SICK’S~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~厩乃抄

SPECサーガ完結篇と銘打たれた最終作シリーズの3分割のうちの11~15話までで1~5話の恕乃抄、6~10話の覇乃抄に続く最終章。2019年9~11月にかけてParavi限定で配信され、その後2020年6月にはTBSチャンネル(CS)でシリーズが一挙放送された。

Blu-ray/DVDは2020年10月発売。

完結するはずだったが…?

残されたホリックの謎、暗躍する秘書官長谷部(波岡一喜)、ニノマエイト(黒島結菜)との最終決着に向けて物語は動いていく…。

完結は期待していなかったが予想以上の相変わらずの投げっぱなし。しかも1話冒頭の派手な最終対決シーンには全くつながらずにしょぼい最終決戦で作戦勝ちして終わってしまう始末。あの最終決戦の3ヶ月前から始まった物語だったはずなのに、どうやら何も考えずに派手な見せ場だけ用意して、ストーリーをのらりくらり展開した結果、物語も予算も全く都合がつかなくなってしまったのだろうか。明らかに回を追うごとに能力使用(CG駆使)が激減していたのでまた暴走しすぎて予算削られていたんじゃ…。

加えて意味もなく『ケイゾク』『SPEC』、そして同時期制作だった『サトリの恋』の生き残り登場人物をことごとく殺害していくというシリーズファンを足蹴にするような行為も加速。暴走を続ける植田Pには恐らく物語に関する苦情や深読み、矛盾指摘の声が相当数届いていたものと思われ、そういう面倒な連中の相手するのも嫌になって嫌がらせのようにファンが大切にしているキャラや設定を積極的に破壊しにかかっているんじゃないかと割と本気で思えてくる。最終話での下手な替え玉役者を使ってまでの柴田殺害は本当に意味不明だった。

最終回なのでとりあえず暗躍してた国内の暗殺組織は片づけておこうみたいなノリで組織を逮捕させるのに『SPEC』の3刑事を出して突入させた際に、ナンシーは本人を出して、戸田恵梨香は出てくれないので当麻の影武者を使って冥界から助けに来たという設定でこっそり手助けして野々村、近藤と一緒に消えていく…とかもファンサービスのようでいて完全にバカにしにかかってきてたようにも見えてくる。

ホリックの謎やニノマエイトに関しては今作のメインの話だったのでそれなりにちゃんと設定されていて一応正体も明かされていたようには思うけど、これもやはり行き当たりばったりっぽいところはあった。当初から出ていた黒いイトと白いイト、白いイトが途中からほとんど出てこなくなっていたなと思っていたら終盤で唐突に黒いイトに殺害されて消えてしまうなど雑な扱いで強制退場。結局黒いイト1人がラスボスになってしまったのでいつもの時間を止める相手にどう裏をかいて倒すかという『SPEC』で何度も繰り返した戦いを懲りずにやり直す結末になって、これでは1話冒頭の派手な最終対決シーンにも繋がらない。散々暗躍した堤監督お得意の中国と決して言わないけどモロ中国なアジアの超大国マフィアに至ってはホリックの正体が判明すると同時にフェードアウト。散々ホリックとイトを追っていたはずの陳部長(矢野浩二)だったが、上司らしき人物が実は超大国がホリックを確保していてその研究の中でイトが生まれたと説明。知らなかった陳部長がバカみたいな事になって出番終了。あんまりだ。

思わせぶりアサクラに関しても、SPECに関係なく御厨(木村文乃)の中に眠る人格という設定で再登場するも結局何なのかは全く分からないまま。とりあえず御厨自体がSPECに関係なく元々アサクラという別人格に苦しめられてきたという設定になっていて、イトによりSPEC覚醒で強大な力を得たがこれをコントロールできずにアサクラ人格が発動してしまう、そしてイトによる強制SPEC発動の注射を打たれたのが原因で遺伝子に異変が起きた事で末期がんで余命間近になってしまった、という。余命設定のせいで最後はほとんどフラフラだし、倒れたまま終わってしまうという幕引きとなったがこれでは続きようがない。続きようがないのに続きを匂わせて途中で打ち切る。しかし前2シリーズからの主要人物は『SPEC』の3刑事以外は全員死んだ事にされ、続けようがない。また新しいコンビを用意して、今回の2人は影武者や死んだ事にして続けるつもりか…。

『SPEC』完結の時も怒っているファンが多かったけど、今回はけっこうマジギレしているファンも散見され、考察サイトでも最終2話の考察を放棄したり、謎を列挙しまくったり、そんなのもいくつか見た。植田Pの暴走はいつまで続くのか。結局この人の思想ってこの国の未来が云々の理屈合戦に集約されている気がするんだよな。言ってる事同じになってきてるし。

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