捨ててよ、安達さん。 全12話

『絶メシロード』に続くテレビ東京金曜深夜「ドラマ25」枠。安達祐実が本人役で主演しているがクレジット上は「安達さん」となっていて、作中でもほぼ「安達さん」と呼ばれている。

放送前に撮影完了済みだったと思われ、他ドラマが続々延期・途中停止になる中で安定の完走を果たした。発売はDVD-BOXのみでBlu-rayでの発売は無い模様。

1話

雑誌の企画で「毎号一つ私物を捨てる」という断捨離連載企画全12回を提案された安達さん(安達祐実)。その日の夜、夢の中に謎の少女(川上凛子)が現れ、さらに謎の女(貫地谷しほり)が訪ねてくる。女は安達さんの代表作のDVD安達さんの代表作のDVDだと名乗り、4年前に当時のスタッフから円盤化されていない同作の完パケをDVDに焼いてもらったのに1度も見てもらえない、だったら捨ててくれと頼み込んできた。

やんわりと捨てるのも見るのもスルーしようとする安達さんだったが、ヒートアップして「同情するなら見ておくれ!」と叫ぶ女に対して、ついに代表作ではあるがそのイメージがずっとつきまとい最近ようやく払しょくされてきたから見ると戻ってしまう気がすると複雑な心情を説明。捨てる事に決定し、最後に3人で鑑賞し、女が自ら「これ(自分が再生されているはずなのに)私が一緒に見ているっておかしくない?」と設定にセルフツッコミを入れつつ、安達さんの夢だからいいやとやはりセルフで解決。スッキリしていざ捨てるとなったが、少女がDVDをそのまま捨てると悪用されるから破壊した方がいいみたいな話をすると女は怖がりだし、結局捨てるのではなくあげる事になり、安達さんは娘にDVDをあげて終了。

娘は存在示唆のみで出てこなかったがエンディング映像では安達さんと一緒にドライブしている娘(新井美羽)が登場した。この娘は当然本物ではなく架空設定の模様(実際は前旦那と現旦那と子供2人いる)。また旦那は海外出張で3ヶ月いない(放送期間)という設定。

というわけで精神世界系というか基本的に安達さんの夢の中の世界観現実とフィクションを織り交ぜたような独特の作風。「安達さんの代表作のDVD」というのは一切名称を出さず、しかし「同情するなら見ておくれ!」だけは出すという事でまあ「家なき子」なのは確実だが、そもそも全12話+映画+続編が全13話の「家なき子」の完パケがDVD1枚に入るはずが無く、1枚に収まるのはせいぜい映画版1作ポッキリだろ…というのがこの枠らしい設定の緩さ(夢の中で鑑賞したので視聴時間がおかしいのはスルー可能だが…)。

生活感ある雰囲気の安達さんをゆる~く鑑賞しつつ、捨てるもの候補のゲスト俳優との珍妙な掛け合いをゆる~く楽しむインドアな感じのドラマになりそうだ。

「絶メシロード」のアウトドアな雰囲気は徐々にインドアを強いられていく中で癒しにもなっていたので、ますますインドアを強いられる中でインドアな精神世界系ドラマというのは少し息が詰まる気がしなくもない…。

2話

今回は輪ゴム(臼田あさ美)とレジ袋(戸塚純貴)が男女ペアで登場。輪ゴムはほかの輪ゴムよりも少し大きめで便利だったことから安達さんに多用されまくり、もう限界だから切れる前に捨ててくれと言い、逆にレジ袋は本屋で雑誌を買った際の少し使い勝手の悪い固めの袋だったためごみ袋としてストックされているのに一向に使用されずに放置されているのでだったら捨ててくれと訴える。そしてなぜかこの2人付き合っているという設定で延々とシュールな会話劇が繰り広げられた。1話同様にちょいちょいと設定にセルフツッコミが入りながらも基本的に安達さんの夢の中なのでなんでもありだという事にして強引に進行していくが本当になんでもありになりそうだな。2話にして捨てるものがそもそも小物すぎないかという気もしなくもないが…。

3話

マネージャーとの昔の携帯を捨てられないという話から次は初代ケータイ(高校時代に使用)にしようと決めた安達さん。2連続での変な夢を回避して明晰夢を見ようと初めてちゃんとベッドで眠りにつくも結局いつもの少女が出てくる夢の中へ…。少女は実は安達さんと同い年だと言い放つし、やってきた初代ケータイ(加藤諒)はこれまでと違い捨ててくれではなく、何で捨てるのかと抗議をしにやってきて早くもパターンを崩してきた。連続モノなのにパターンを崩すのかとセルフツッコミしながらも主張を聞けば携帯には思い出が詰まっていると主張する加藤諒。

しかし安達さんは高校時代も仕事で忙しかったためほとんど覚えてないし、青春も無かったのでさほど高校時代に思い入れもないとコメントして謝罪。納得した加藤諒はなんでも記憶しているとして日付を言えば何があったか(携帯の履歴から)答えられると豪語。最後に1999年5月7日に何があったのかを思い出してから捨ててくれと言い残して夢は終了。

目覚めた安達さんが充電器で復活させた初代ケータイのメール記録を参照するとその日は同級生の男女で海へ遊びに行った日だった。すっかり忘れていたが写真も残されていて青春らしいこともしていた事を思い出した安達さん。後日その同級生と久々に会う約束をしてスッキリした幕切れとなった。

4話

光代おばさんという親戚だと思うけどどんな関係か良く分からないおばさんから無駄にデカい手作り時計が送られてきた。社交辞令でお礼の手紙を書こうとして思いつかず眠ってしまった安達さんの夢に出てきた捨ててほしい人物はまさかのその来たばかりの時計。しかも安達さんによれば時計を名乗る片桐はいりは光代おばさん本人だという。これまでは安達さんの知らない人になって出ていた捨ててほしい物たちだったが、ここに来て送り主の顔になって出現するとは…。

見た目が光代おばさんのため当初社交辞令的な態度を取ってほめていた安達さんだったが片桐はいりは自らを捨ててくれと言い放ち…。最終的にはパーツに使われていた石の意味が解放を意味しているとかなんとか教えられ、石だけイヤリングに転用して時計は処分。

年を重ねるごとに片桐はいりの顔面インパクトがすさまじいものになっていくような気がするが、いつもの薄暗い部屋の中で片桐はいりはパンチが効きすぎているためか、片桐はいりの登場シーンがホラーすぎた(ノックする音がしたのに入ってこなくてドアに注目していたら庭の方のガラスから既に侵入して立っているというホラー)ためか、それ以降は明るい日差しの昼間の室内シーンになったのは正解だった。

5話

ドラマで梶原ひかりと共演することなった安達さんだったが、梶原は自分の演技はどう思うかと迫ってきたかと思えばぶつかり合う役どころなのでもっと役者同士で化学反応を起こすべきだとストイックな持論を並べ立て、当たり障りない回答をして平和にやっていこうとする安達さんに何考えているのか分からないなどと言い放ってきて安達さんも威圧されてしまう。マネージャーからは誰からも好かれようと無理しなくてもいいのではと言われた安達さんは今週のバイバイリストには「誰からも好かれたがる気持ち」と初めて夢より先に書いて就寝した安達さんだったが…。

今回は最初からいつも出てくる謎の少女と会うために眠りに入った安達さん。モヤモヤした思いを少女と飲み語らって晴らそうとしていたが、語り合いもそこそこに夢の中で現れたのはまさかの梶原ひかり本人。もうピンポンして玄関からくることも無く、2階からおはようございま~すを高らかに連呼しながら登場し、現場とは違うモッハモッハに爆発したボンバーな髪形と派手なドレスアップというインパクトな格好で出てきた。TVに出ていた末期の頃のKABAちゃん氏を少し彷彿とさせ

現実の続きで持論をぶつけてくる梶原に当たり障りなく回答していた安達さんだったがヒートアップしてくる若造(梶原)相手にさすがにブチ切れ、子役時代の経験から周囲とのバランスを取って気を遣うようになったがそれの何が悪い!自分勝手な持論掲げてんじゃねーぞ!と梶原の持論を否定して叫び倒して逆に梶原を圧倒。本音を見せた安達さんに髪形や服装が元の格好にシュポーンと戻った梶原は感激して和解。2人で激しく盛り上がって夢は終了。

目覚めた安達さんは本音を吐き出したことでスッキリした表情でドラマ現場で梶原と改めていいドラマにしようね!と話しかけて現場の士気が高まったところで終了。今週は捨てるのではなく残すという形でリストに書かれた「誰からも好かれたがる気持ち」は×で消されていた

という事でモノではなく心に変わって自身の思いと対峙するというこれまでよりも安達さんの内面に踏み込んだ話となり、現実とフィクションがこれまで以上に入り混じるような作風に急変してきた。シュールだったのは夢の中で登場時の梶原ひかりの珍妙な格好くらいだった。

しかし『女王の教室』で主人公(志田未来)の親友から裏切りポジについてイジメ首謀者からの転落で散々暴れまわったのが印象深い梶原ひかり、なんかそのまま気の強そうな雰囲気で成長したんだな…。

6話

今回は最初の結婚のときの婚約指輪。前回からさらに踏み込んだエピソードとなったが、そろそろ来るだろうと安達さんがいつになく始めから予期していた通りに登場。タキシード姿の擬人化された指輪を演じたのは渡辺大知。思い出の海に捨ててほしいと頼む指輪に対して、謎の少女も安達さんも高価な品なんだから売る、ドラマティックに捨ててくれとかドラマの見すぎだと断言するドライさがシュール。

イメージシーンで海へ飛んだ後は若かりし日の安達さんと彼がプロポーズに至った回想がイメージ的に投影される。さすがにリアル元夫ではなく(名前も出なかった)、渡辺大知が代役していて安達さん本人も「彼が違うけどね」といちいち突っ込んでいたが、涙しながら若き日を思い出して吹っ切れ、指輪も納得して終了。

しかしいざ売りに行こうとしたところ、娘が遊んでたら間違えて排水溝に流してしまったという置手紙を残していた。唖然とする安達さんだったが、娘はなんと嘘をついていて隠していた指輪を見つめて満足げなところで終了。

最後の娘が不穏すぎて怖いんですけど…。なにあれどういう意図?遊んでたら気に入っちゃったけど捨てようとしているっぽいので(捨てるリストに「指輪」とあったので)、無くしちゃった事にしたという子供の悪知恵?

これまで娘(新井美羽)の姿は存在は示唆されながらも本編に登場せず、エンディングのドライブ映像のみという出演だったが、今回は冒頭で眠っている姿と前述の指輪隠し持っていたという形で本編にも娘が出た。さらに安達さんが子供の部屋を2つ訪れている(1つは覗いているだけのカット)映像も出てきた。ここまでの描写では子供は1人っぽい様子だったが、前夫のエピソードも出てきた今回は現実通りに子供が2人いるというのが初めて明確に示されたところもポイントか。

7話

冒頭では5話に登場した梶原ひかりが再登場。5話で撮影していた連ドラの撮影が進んでいるという設定で現場ですっかり仲良く会話している2人…という初めて明確に連続性のある展開に。

今回は本を何冊か捨てようとピックアップしていた安達さんだがやってきたのは徳永えり、松本まりかという2人の女性。聞けば同じ本の単行本と文庫本だという。どっちかを捨てろと迫る2人。しかし安達さん的には愛読書で1年前に文庫本で買い直す(この際に購入したのが2話の輪ゴムとレジ袋というここにも連続性が)ほどだったというので困る。確かにもう読んでない本ならまだしもなんで愛読書が捨ててくれとか面倒な事言い出すのか。

ドタバタした末にふいに登場した第3の女は安達さんの娘や謎の少女と同じくらいの女の子(秋山琴音)で、電子書籍版だと名乗りだした。文庫版を買ったことも言われるまで忘れていた安達さんだったが、実はタブレットと電子書籍を購入していた事も忘れていた…という安達さんの記憶力が大丈夫なのか心配になる展開になってしまったが、場がカオスになったところで夢は終了。

何故か氷をガリガリ食べにやってきていて暑がっていた電子書籍さんだったが、安達さんが目覚めるとタブレットはアップデート中で発熱していた…という細かい夢との繋がりも。

結局捨てる事になったのは文庫版で、現場で読んでいたところ梶原ひかりが役者仲間に勧められた本で読みたかったというのでいっそあげる事になり、安達さんは梶原ひかりから別の本をもらって終了。

安達さんの内面に踏み込んだ話が続いていたが今回は最初の雰囲気に戻ってきてカオスな雰囲気に。電子書籍もあったというオチのため安達さんが妙に忘れんぼうになってしまったもののシュールさは戻ったか…。

8話

今回は若い頃に童顔低身長がコンプレックスで彼氏のために背伸びして無理して買った靴(早織)。高級な靴だけに当時はイケイケだったらしいがすっかり卑屈な性格になっていてほぼ玄関先で地べたにはいつくばったような状態で話が進行。卑屈ギャグ的な方向性かと思いきや安達さんは当時の背伸びしていた恋愛をしんみり振り返りだしてシリアスモードになったので思いのほか切ない感じに…。

夢の中では涙流しつつ振り返っていたが、目覚めた後は靴本体を最後に履いて庭で動き回り笑顔でスッキリした雰囲気に。ここに来て実物が登場した靴だったが想像の斜め上を行く造形で、思っていた以上に爪先立ち状態を強制される異常な70~80度くらいはあるようなすさまじい靴(しかも背伸びしてたのでブッカブカ)だった。

最後はオークションに出して値がどんどん上がっていく中、同じく無理をした恋愛をして失恋したマネージャーの西村君を励まして、西村君が彼女に渡せずに別れてしまったプレゼントを一緒にオークションに出してオークションで盛り上がって終了。

9話

冒頭現実パートでは北村匠海と仕事でインタビューを一緒に受けるシーンを挟みつつ、不在の夫との家事分担の件でストレスが溜まり、マネージャー西村が前話での失恋を機に金髪にしてきたが自身はドラマやイメージがあるので髪形を指定されて自由にできない事からストレスが溜まり…という形で夢の中へ突入すると願望が反映されていて金髪姿になっていた安達さん…という展開に。

さらに今回やってきたのは何故か娘(新井美羽)だった。しかしよく見ると妙に大人っぽい服装をしていて聞けば10年前の安達さん本人だという。10年前でも30手前くらいなのに何故か12,3歳の娘の姿というカオスな状況から、自分同士という事で盛り上がる2人。しかし10年前の安達さんは子役出身からの20代を苦労していたらしく、今も主演級で役者を続けられていると聞くと喜んだかと思えば、しかしどうせこれ夢だし…とネガティブな事を言い出すなどさらにカオスな事に…。なんだかんだここで苦労した20代という安達さんの内面をさらっと深く描いてはいたが、結局盛り上がってきた2人は安達祐実のイメージを(どうせ夢の中なので)ぶっ壊せと10年前の安達さんの髪をバッサリいってしまおうとするが、そこに北村匠海が登場して阻止。聞けば北村匠海ではなく10年前のマネージャー西村だという。謎に弾き語りを披露した後は、結局阻止されて反抗した10年前安達さんも10年前西村も飛び出して行ってしまい、そういえば30くらいの時に髪バッサリ切ったな…と安達さんは思い出すのだった。そういう意味ではいかにも今までのよりも夢っぽい夢だったのかもしれない。

夢から覚めて現実でも思い切ってショート金髪にしようとした安達さんだったが、切る直前にマネージャー西村が駆けつけて阻止。次のドラマが決まったんですから!と差し出してきた企画書は本人役だという「捨ててよ、安達さん。」だった…とメタネタ落ちで終了。なお結局今回捨てたのは当初の指示通りの前髪5mmという事になった。

一部内面に迫った部分もあったが、なかなかハチャメチャな遊び回でぶっ飛んでいた。まだまだ油断できないなこのドラマ…。ED映像と6話で少し出てきただけの娘役の新井美羽はちゃんと立って出てきて喋ったのはこれが初(ED映像では車に乗ってるし、6話では寝てた)。アラサー頃の安達さんを演じているというのもあったけどそれにしても思っていたより身長もあって(謎の少女(川上凛子)よりも明らかに大きい)、大人っぽく見えたので驚いた。

10話

「ゴッドタン」出演依頼があり何か秘密を1つ話す事になりネタを考える事に。その日の夢に出てきた謎のオジサン(じろう)はこのことを知っているのは自分と安達さんだけと意味深に語り、謎のパントマイム芸を繰り広げる。安達さんは10代後半の仕事が無かった時期に着ぐるみのバイトをしたことを思い出す。オジサンの正体はその時の着ぐるみバイトの給与明細だった。

このバイト経験はあまりいい思い出が無かったようで、当時まず仕事が無く焦りを感じていた中での初めての芸能以外の仕事だった事、顔が知られているので顔が見えない着ぐるみを選んだが、頭の着ぐるみを外しているときに子供たちに追いかけられ素顔丸出しで逃げ惑った後に子供たちの親に謝罪された際には思いっきり顔が出ているのに誰も安達祐実だと気づかなかったため余計に落ち込んだ事が回想される。さらにもう1人の着ぐるみのおじさんには(給与明細の人と同じ人)目が死んでいると指摘される始末。

かなりしんどい経験ではあったがこれを機に役者の仕事にも力が入るようになり結果的にはいい転機だったという。そして給与明細のおじさんによると今この秘密を暴こうとしているのは娘だという。慌てて捨てなきゃ!恥ずかしい!という安達さんに堂々と子供に話してやれ!と説教する謎の少女(川上凛子)。

目覚めた安達さんは先に給与明細を発見して娘に話して聞かせる(新井美羽の出演は無く姿は出てこなかった)。そしてこの話をマネージャー西村に聞かせた安達さんだったが、マネージャー西村は目が死んでいると言われたという話は過去に安達さんに聞いたことがあるがそれを言ったのは母親だと聞いた、と意味深な事を…(最終回や謎の少女の正体への伏線?)。

本当の話だったのかは分からないが、今回も割とリアルな感じではあった。しかしまた何故ナチュラルに娘を出せるストーリー展開で娘の出番が無いのか。

11話

冒頭では梶原ひかりが3度目の登場となり撮影していたドラマの収録が終了。出張が長引いて帰ってこない夫が片桐はいりに惚れたので別れてくれとLINEを送ってきて泣いてショックを受ける…が夢だったなどとメイン以外の夢オチが挟まれ、メインの夢で登場したのは15年着ていたパジャマ(YOU)。当初はコメディノリだったが、パジャマを絶対捨てないと言い張る安達さんは娘と息子(存在示唆のみで未登場)を妊娠中も着ていて思い出深いからと理由を語る。ここまではほのぼのしていて今までだったらそれでもボロボロだから役目を終えたいというパジャマ(YOU)の意向を受けて大団円するはずが、何故か安達さんはストーカーホラー化。私のものでしょ?と所有権を異様に強調し始め、当初割とグイグイ来ていたパジャマもドン引きし始める。さらに真顔で所有権を主張して捨てない一生そばにいろと言い放つ安達さんの姿についにパジャマはビビッて逃走

追いかけようとするストーカー状態の安達さんを謎の少女が止めるが、少女の子供たちはどうなんだという問いに子供たちも自分の所有物だとおかしなことを言い出す安達さん。さらに先週触れられた目が死んでいるという発言を本当は母親が言ったのか当初の説明通りにオジサンが言ったのかという話も唐突に飛び出して母親だったけど赤の他人に言われたと思いたかったのかもしれない…となんだか闇が見えまくりな謎展開で夢終了。

目覚めて無表情でパジャマも捨てようとする安達さんだが、ふとゴミ箱からあの夢の少女の声が聞こえて…というところでまさかの二重夢オチ。結局パジャマを捨てられない安達さんだったが先ほどの夢オチのゴミ箱の中へと迫っていき最終回へ続く。

最終回前に初期の空気に戻って緩い話かと思いきやの唐突な心の闇フルスロットル。安達さんどうした…?というほどなんか触れてはいけないスイッチを入れてしまったかのような…。最終回への引きでもあってここから謎の少女の正体に繋がっていくものと思われるが、今週ついに捨てられなかったというのもどうなるのか。

12話

冒頭からドキュメント風のインタビュー映像が流れ、母としての自分、妻としての自分、俳優としての自分、娘としての自分を語る安達さんだったが、母が常に正しく自分は間違っているだとか、自分は自分のものであり母のものではない、という前回も登場した考えに妙に執着し様子がおかしい。そしてゴミ箱に捨てたままであったナニカは3ヶ月くらい前に母と電話中に母に何かを言われて私はお母さんのものではない!と激怒、その勢いで捨てたであった。

この日の夢ではいつもと違い広い競技場の真ん中で謎の少女と安達さんの会話。その奇妙な会話内容からここは安達さんの母の腹の中で、安達さんは胎児、そして少女は案内人のような役割をしていた。無事に生まれる事が決定し、喜んで飛び出していく胎児役の安達さん…というところで早くも1度目が覚め、リビングに降りた安達さんは捨てられなかった箱をゴミ箱から取り上げて大号泣。泣きつかれて再び夢の中へ。

そこには少女と娘がいて、娘が私は私のものだと言う中で安達さんは娘は私のものだという。娘は逃げていってしまい(出番終了)、自分は母のものではないが娘の事は自分ものではないというその矛盾を少女は指摘。母も安達さんも同じだと言うが安達さんは一緒にしないでくれと激怒、再度箱を捨てようとするがその箱、というか箱の中身こそ謎の少女の正体だった。これまでのクールさから一転して捨てないでくれと号泣する少女。

再び目覚めた安達さん。既に序盤から暗示されていたが、箱の中身が映し出され、少女の正体が正式にへその緒だった事が判明。翌日マネージャー西村に連載の最終回では何も捨てないと明るく答える安達さん。ついでに前回のパジャマも捨てないという(パジャマYOU疲れ果ててたのにかわいそう…)。吹っ切れた様子の安達さんで唐突に物語は終了した。

今回はかなりシリアスではあったが胎児だった時にへその緒が告げた普通じゃない靴磨きの人生の一例というのはあかさらまにあの某ドラマの設定だったり、ちょいちょいギャグも挟まってた。

エンドクレジットでは「謎の少女」が「へその緒」に変わっていたが、最後にまたけっこう深い話だった。リアルとフィクションを織り交ぜ、というか安達さんの母親って00年代半ばにいきなりヌード写真集出したりしてタレント化してて有名だし(安達有里)、子役時代は安達祐実のマネージャーやってたので「目が死んでる」エピソードとか割とマジっぽいし、母親への反抗心とか複雑な心情っていうのが絶妙にリアルではあった。号泣シーンの多さもあって何だか見てはいけないものを見ているような怖いほどのリアルさだったが、最後はスッキリしていたのでまあ良かったか。余韻が無さすぎたけど。

最後の号泣以外は大人びたクールな調子だった謎の少女の川上凛子もなかなか存在感があった。将来化けるかもしれない。娘役の新井美羽とは雰囲気が対照的だったが、新井美羽の場合は何度か登場したものの別人か夢の中設定で、現実の娘役としてはほぼ出番が無くてエンディング映像で安達さんと車中で楽しそうに歌っているだけだった。息子に至っては中盤以降での存在示唆しかされず、中盤までは存在すら示唆されていなかったし、夫は出張扱いでLINEメッセージでしか登場しない…など、家庭をほとんど描かずに生活感のある描写をするというのは放送時間も考えた省略だったのかもしれない。ただ娘役だけは用意したのだから余韻でED映像以外でもう少し普通に親子しているシーンがあっても良かったなぁ…。ED映像のノリが良かったからもう少し娘と喋ってるのが見たかった。

全体にはシュールな世界観でかなり独特だったが安達さんの内面にフェイクドキュメント的に迫っていく深さもあってどこまでリアルなのか分からなくする演出は見事だったと思う。前クール『絶メシロード』が旅行・食事モノで開放的だったのに対して自粛ムーブが本格化して他ドラマの放送すら飛んでいく中で唯一完走した今作が基本夢の中とか暗い室内とかで会話が繰り広げられるのでどう頑張っても明るい気分になれなかったという点ではちょっとどうしようもなかった感はある。

捨ててよ、安達さん。 DVD-BOX
安達祐実(出演), 川上凛子(出演), 西村晋弥(出演), 臼田あさ美(出演), 梶原ひかり(出演), 片桐はいり(出演), 加藤諒(出演), 貫地谷しほり(出演), 大九明子(監督)

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