今夜すきやきだよ 全12話

2023年冬クール、テレビ東京「ドラマ24」枠。

2021年に3ヶ月連載された全1巻の谷口菜津子による漫画原作。

仕事はできるが家事が苦手で恋愛体質の太田あいこ(蓮佛美沙子)、絵本作家としてはあまり売れていないが家事が得意で恋愛に関心がない浅野ともこ(トリンドル玲奈)は高校時代特に仲が良かったわけではないが、同窓会で再開してなんとなく意気投合(さほど仲が良かったわけではないのにともこが恋愛に興味がない事を告げる程度には心を開いた)。後日婚約者に料理が出来ない事を理由に婚約破棄されたあいこはスーパーで再会したともこを見るなり号泣。励ましているうちにさらに意気投合した2人はいっそ一緒に住むか!と盛り上がり、あいこの自宅にて共同生活が始まった。

という1話から半年後、共同生活にすっかり慣れたところから2話が始まり、以降は特に何も起こらない日常系ドラマが淡々と展開。その中で既存の価値観にとらわれない生き方や互いを尊重する事などを話し合ったり、理解しあったりと、どちらかというと昨今の多様な価値観提示系の内容で進んでいった感じ。一応作品タイトルや各話のタイトルが飯モノっぽくなってるんだけど、特に食べているものがクローズアップされるわけではなく…。

ともこの後輩で友人関係以上に踏み込まない気の許せる相手であるしんた(三河悠冴)、そして早い段階で出会ったあいこの新恋人ゆき(鈴木仁)も当初はそれぞれの関係者という感じで接点が無かったが、中盤で2人がメインになる回があり、この際に知り合って意気投合。最終的に4人で不思議な関係性を築いていった(しんたについては特に何も語られなかったが、どこか中性的な雰囲気をまとわせていて、最後までともことは友人関係のままだった)。

中盤過ぎにはあいこが再度結婚と家事の問題に直面するが、価値観認め合い話し合い系のドラマらしく、双方の生活を大事にした結果、あいことともこの共同生活を維持したままの別居婚、その代わりゆきが2人と同じアパート(マンションというより団地とかアパートっぽい見た目)に引っ越してきて自由に行き来するような関係となり、新価値観を提供。

最終回では一気に子供が生まれ、この流れでついに同居が解消…したものの、共同生活を経て絵本作家として一皮むけて成功したともこの収入は1人で家賃を払い続けられるまでになっており、そのままともこが1人暮らしをするようになった。結局あまり変わらない感じで頻繁に行き来したり、4人で集まって楽しそうにすきやきをつつきながらハッピーにエンド。

30代前半の男女が常識に収まらない関係性や夫婦関係を自分たちで模索しながら人生を彩っていくという派手さのない地味なドラマではあったが多様な価値観提示しながらなんだか登場人物が生きている感じのあるなんとなくいい雰囲気の作風ではあった。アロマンティックは昨年NHKが大々的に描こうとした結果、どこか堅苦しく真面目になってしまったが、今作ではあまり堅苦しくなくて自然体なのも良かった。

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