20年4月公開延期により21年4月公開。
劇場版24作目。
1997年より23年連続毎年4月に公開されていたが2020年公開予定だった今作は新コロ延期となってしまい、そのまま丸1年延期となり、翌2021年4月となった。これに伴い当初の予定より1年ズレる事となった。原作でも劇場版に合わせてキャラ同士の関係や正体判明を合わせるように調整しているため、1年遅れたのはその後の展開にも大きな影響を与えているものと思われる。
今作では赤井秀一をはじめとして後に家族である事が判明した羽田秀吉、世良真純、メアリーら赤井の家族が勢ぞろいした初の映画作品となった。しかし作中でも家族はバラバラになっており互いの現況、生存を把握していない事もあり、直接出会う事は無く、複雑な関係性での進行を余儀なくされている。
登場人物多め
今作では冒頭でコナン、蘭、小五郎、探偵団ら一行が参加するパーティーに園子のコネで参加できたため園子の両親まで登場、いきなり父が誘拐されて少年探偵団の活躍もあって無事発見されるという形で少年探偵団を早急に活躍させる(以後は博士、園子、探偵団は蚊帳の外)。
小五郎、蘭と留守番しがちな灰原も今回は同行し、リニア乗車前検査のために集められた病院でのコナンも含めたクエンチ昏倒事件にも巻き込まれるが、以後はメインでは関わらなくなり、灰原は最後までコナンと連絡を取り続けてヒントや情報提供を行う。
今回の事件に15年前のFBI管轄の事件が関わっている縁で沖矢昴=赤井が出てきてFBI御一行(ジョディ、キャメル、ジェームズ)も登場、終盤にかけて活躍。日本の警察も出てくるので目暮警部、佐藤、高木らいつもの警視庁メンバーもさらっと登場(白鳥も映るが声なし)。
羽田秀吉が出てくるので恋人の宮本由美も登場。
世良真純とメアリーも登場し、世良は中盤以降の今回のコナンの相棒として行動を共にする。
と、今回レギュラー陣の出番が多くなるべくそれぞれを活躍させようとしているのでかなりゴチャゴチャしている印象。事件の進行があまり頭に入ってこない。
事件自体は終わってみるとこれはあれ…?
犯人が二段階で明らかになり、動機は15年前にあった事が判明。犯人が時間差で判明してそれぞれ動機を説明して恨みを語っている間はなるほど筋が通っていて納得できるんだけど、最終的に犯人1の動機である15年前の事件の犯人が犯人ではない冤罪だったという主張が間違えで、ちゃんと裏付け取れてます本当に犯人でしたという事になってしまったため、犯人1の勘違いだった事になってしまう。犯人2の動機も犯人1の勘違いに基づくものだったためそうなってしまうと犯人2の動機はもっと勘違いだった事になってしまい、なんと勘違いに次ぐ勘違いで動機なんて実は無かったという動機全否定オチになってしまったのはさすがに唖然。
発端となっている15年前の事件をその犯人が何故起こしたのかという事は本筋に関係がないため全く触れられず、ただこいつら勘違いでFBI恨んでましたという事だけ提示されて話が終わってしまうので事件自体を考えるとかなりモヤモヤしてしまう。
今回はリニアアクション
終盤のアクションは今回はMISSION「リニア暴走を止めろ!」といった趣きだが、最終盤でのコナンのアイテムを駆使した解決方法はなんか派手に色々やってはいるんだけどどういう仕組みでどうしようとしているのかがボヤッとしか分からず、なんだか良く分からないままに大破したんだけどどういうわけか助かっているみたいになってしまいそれっきり。ドヤ顔でこれこれこうしたから助かったんだ!という説明も入らないのでこれまでのクライマックスアクションに比べるとかなり分かりにくかった。
制約だらけの赤井一家
赤井一家の正体と現状は原作でも徐々に明かされ、当初は全く関係ないキャラと思われたのが実は赤井一家の1人だった!とか灰原が実は世良真純と従妹だったとか色々判明していったが、お互いがお互いの状況を把握していないためかなり分かりにくい。
メアリーはMI6のエージェントでベルモットにAPTX4869を飲まされて中学生くらいに幼児化(ある程度の年齢だったためかコナンや灰原のように小学生くらいの容姿には縮まなかった)。その正体を知って行動を共にしているのは世良真純のみ。
メアリーと世良真純は秀一は死んだと思っていて今作でも沖矢昴を秀一と知らずにそれぞれいきなり襲い掛かっているが、秀一の方は真純は真純と認識、メアリーの方は直接顔を見ていないが何となく察したような表情をしている。メアリー、真純は気づく様子もない。
メアリーが宮野エレーナの姉である事が判明しているため、宮野明美、灰原哀=宮野志保からは叔母という事に。灰原と真純は従妹同士だがお互いに把握していない。
秀一が生きている事を何故か羽田秀吉だけが把握していて連絡を取り合っている。しかし沖矢昴としては接しておらず羽田秀吉が沖矢昴を知っているかは明かされていない。
羽田秀吉のみ家族全員と連絡を取り合っている事になるが、取り合っているだけでメアリー、真純とは会っていないのでメアリーの幼児化は知らない。また真純は羽田秀吉が棋士だという事は把握していない。
組織との戦いに巻き込まれて命を狙われたため離散したとはいえ、家族関係が複雑すぎる。赤井一家や親類一同は互いの状況を把握していないため、赤井一家登場!という事にしてもこれらのルールを守って話を展開させなくてはならず、制約まみれの中でそれぞれに活躍の場を設けるという実はけっこう高度なストーリー展開だったが、それゆえの面白さというのはあまりなく、もどかしい部分も多い展開だった。
とりあえずもう少し赤井一家の状況は話を進めてほしいなぁ…。
★★★☆☆
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