生き残った6人によると 全6話

2022年8~9月、毎日放送/TBS「ドラマイズム」枠(火曜深夜30分枠)。全6話。このため夏クールの中では遅れて8月に放送開始されるも他が終わるより早く終了した。

2020年より連載中の山本和音による漫画原作。

主演の桜田ひよりは『彼女、お借りします』にもヒロインで出演中で夏クール兼任となった。

1話

ゾンビパンデミック×シェアハウス恋愛を掛け合わせた異色作で、ゾンビウイルスの浸透で危機的状況に陥る中で安全地帯のショッピングモールに逃げ込んで衣食住の最低限の確保は出来たため、死ぬ前にどうせなら恋がしたいとしてゾンビを撃退するのではなく好きに生きる…という。

冒頭から千葉がゾンビパニック、安全地帯ショッピングモールから警官が家族に会いに行くと出ていってゾンビを倒しながら進んでいくが自分の車にたどり着く前にあっさり殺されてしまう。この冒頭からゾンビに殺されてゾンビにされてしまう警官役に深水元基。つい最近見た顔だと思ったら『パンドラの果実』のSeason2で惨殺されたばかりだった。そんな連続でむごく殺されなくても…。

避難所でクラスターが発生して命からがら逃げてきて力尽きた梨々(桜田ひより)は屋上から発見した正太郎(田中光輔)に助けられる。中では男女7人が割と楽しく生活していた。避難所には指定されていない逃げ遅れだったが、冒頭で殺された警官が片っ端からゾンビを殲滅して封鎖したために安全地帯となり、電気水道は通り、ショッピングモールなので当面の物資もあるのでここに籠城して救助を待つのが得策だという。そしてこいつらは恋愛に浮かれていた

正太郎は梨々に好意を抱いており、まともそうな事もあって梨々と一緒にここから脱出しないかと持ち掛ける。少し浮かれていた梨々だったが翌日正太郎は紗奈(八木アリサ)と2人で脱出すると宣言すると、救援を得られればちゃんと呼ぶという約束付、全員見送りでの円満脱出していってしまう。ビースト(髙石あかり)によれば梨々を誘っているのを見た紗奈が正太郎を誘惑してその気にさせたのだろうという。どこまでも恋愛優先な連中に目の前で部活仲間や教師が犠牲になったため、恋愛にうつつを抜かすなど考えられない梨々は激高するがビースト(髙石あかり)にはだからこそ最後に恋愛をするのだと言われてしまう。

6人となった一行、生き抜く決意をした梨々で次回へ続く。

桜田ひよりはソフト部設定だがショートカット地味眼鏡スタイルで『彼女、お借りします』でのレンタル彼女感を完全封印どころか地味スタイルの時よりもさらに別人な地味さ。俳優だなぁ…被りそうなものなのに全く印象が被らない。

成田空港に到着した一機の航空機を皮切りに、千葉県内に“パンデミック”だとか、避難所に“感染者”が紛れ込んでて“クラスター”だとかこの2年間で覚えたような単語を駆使してゾンビパニックを表現していたのがとっても2022年だった。

2話

ビーストがかく乱のために書いたラブレターを雫(中村ゆりか)からだと言って平坂(大貫勇輔)に渡せと入江(倉悠貴)にお願い。しかし平坂から筋トレ道具を借りたい梨々が平坂に会いに行くというので梨々にお願いした際に、雫からだと言うのを伝え忘れ、平坂にはビーストからだと伝わったために勘違いの連鎖が開始。さらにこのラブレターがれんれん(佐野玲於)にも渡り、れんれんは雫だと勘違い、さらに梨々までもが平坂からのラブレターと勘違いしてのぼせ上ってしまい、結果当人の雫と入江以外の4人が互いに勘違いして意識し合うという地獄絵図に。

地獄の空気を感じた雫は倉庫に避難するがそこでガタガタしているカートの奥を確認すると施設内に残っていたゾンビ1体が開放されてしまってピンチに。このドサクサで全く使えないれんれん、平坂、ビーストは助けようともせず立ち尽くすのみでさらに勘違いの連鎖が発覚して勝手にケンカを始めてしまう始末。梨々まで加わって平坂にその気になっていたので激怒。この間に雫が襲われる寸前となり、最も激高しながらもそれでも最も3人よりは人命救助に対してマシな梨々がバット片手に特攻するが渾身のスイングは思いっきりカートに直撃してしまい反動で気絶。今度は梨々が襲われそうになったところで武器を持って戻ってきた入江の一撃でゾンビを倒して終結。

入江が自分が伝え忘れた事を謝罪していたので入江がゾンビ1体を閉じ込めて封印していたという事だったのか、駆け付けてすぐに逆走したのは武器と突撃用にビーストのローラーブレードを取ってくるためだと伝え忘れて逃げたように見えた事を謝罪したのかちょっと良く分からなかった。

またビーストも最後に指摘したように冷静なように見えて梨々が最も急にのぼせ上がって周りが見えなくなる恋愛脳っぽく危険な事も判明して次回へ続く。ちゃんとしたオチは…あるよな…?

3話

ビーストが好きだという入江をれんれんプロデュースでくっつけようという計画が持ち上がり、ディナーでもてなすため、雫や梨々も協力する事に。指示通りに頑張った入江は一見いい感じに思われたが、誰の言葉だ?最後の最後で言葉の羅列でしかない!と入江自身でぶつからなかった事を指摘されて砕け散ってしまう。

一方で厨房で料理を準備していた雫を手伝っていた梨々は雫が1話で去った紗奈が好きだったと聞かされる。そのまま雫の作る料理を褒めていた梨々に雫がすっかり梨々を気に入ってしまいキス…と百合百合しながら次回へ続く…。

まあ変な男女しかいなくてどの組み合わせもしっくりこないから女同士のカップルの方が華やかさはあるけどさ…。

4話

梨々と雫がラブラブユリユリチュッチュ状態となり、苛立ちを隠せないれんれん。雫は手に入るまで追いかけるが手に入った後のテンションは落ちていくだけだと冷静に忠告するものぼせやすい梨々には届かない。それどころか雫にメイクされてすっかり雫そっくりに染まっていく。だが雫が寝言で1話で去った紗奈を呼んでいるのを聞いてしまう。しかもそれだけでは終わらず延々と知らない名前を繰り出していく雫。ついには100人に達するも梨々は呼ばれずに101位以下が確定。酷いと言う梨々の言葉で起きた雫だが全く言い返さず追いかけもしない。ほとんどギャグのように今週もまた梨々が燃え上がって目が覚めるというホント惚れやすいなこの子。しかしメイクアップしても雫そっくりでかわいい子にはなるがレンタル彼女と同一人物に見えないのはさすが。

入江はビーストと気まずくなっていたが、ゾンビの映像を使って声だけでビデオメッセージを送り改めて「自分の言葉」でビーストへ謝罪。そのまま去ろうとしたので平坂が止めている間にビーストが駆け付け、中学時代の暗い過去を語り心を明かしたうえでお前だけじゃないと手を差し伸べ入江は出ていくのを辞める。思いのほかいいシーンになり、平坂も感涙するのだった。

落ち込んでいた梨々の前のガラスの向こうに1話で出ていった紗奈が助けを求めて出てきて次回へ続く。

5話

戻ってきた紗奈だったが、正太郎については脱出ルートがどこも使えなくてこれ以上一緒には行動できないからとここに戻されたと説明。それではさっきまで正太郎も近くにいたのかと問う梨々に曖昧な返事をした紗奈は食事したまま気絶してしまう。指先のゾンビ化兆候に梨々だけが気づき、れんれんもまた紗奈のゾンビ化を怪しんでいた。梨々と雫が介抱する中で腹回りにも明確なゾンビ化の兆しを発見するが、雫は隠し通そうと画策。

しかしれんれんが疑念を語ったのをきっかけに梨々も紗奈のゾンビ化を指摘。雫は紗奈を守るためにれんれんがCEOというのは嘘だという経歴詐称を暴き立場を無くさせてれんれんのそれ以上の動きを封じるが、梨々が紗奈をゾンビ化の前に殺そうと強い決意で動き出した。ここに来る前の避難所で親友がゾンビ化、即座に殺せなかったために自身はなんとか逃げ延びるも顧問の先生が食い殺されるという悲劇を経験していたためだった。

紗奈が観念する中で顧問の先生と親友の明美(佐々木舞香)の亡霊が登場し、3人で会話した梨々はやはり殺せないとして紗奈を逃がす選択をして次回へ続く。逃がしてもらった恩を仇で返すようにモール内部に隠れ留まるのではなく、当然自身のゾンビ化による意識喪失に至る前に危害が及ばないようにモール内からちゃんと自分で出ていくくらいの覚悟は決まってますよね?

一応最終回手前にしてゾンビ世界を今更ある程度描写。冒頭のビーストと入江の会話で「成田空港からパンデミックが始まったからたぶん日本だけじゃない」に始まり、「今は電気が通っているからいいけどいつ止まるか分からない」「食料だっていつかは尽きる」といったこのショッピングモールでの生活が成り立っている大前提への言及も。モール内が安全地帯になっている理由には改めての言及はなかったが、モール内に突入していたゾンビは1話冒頭で死んだ警官の活躍で全滅させたうえで出入り口は完全に封鎖していてゾンビにそれを突破するほどの力はないという解釈でいいのか。2話で殺しきれずに封じ込められていたゾンビはいたけど逆に言えばちょっとバリケードしておけば生身の人間よりも突破力が無いという設定。

正太郎がどうなったかが明言されなかったが、紗奈の説明に嘘があるっぽい事しか明らかにならなかったので、紗奈がゾンビ化するほどの襲撃を受けた際に正太郎は犠牲になった、紗奈だけ襲撃されゾンビ化したため見捨てられた、のどっちなのかは不明のままだ。『生き残った6人』の6人は結局1話冒頭で警官の人が死亡、梨々が加わって正太郎と紗奈が出ていった後の2話以降も全話出演していたれんれん、平坂、入江、ビースト、雫、梨々の6人なのは確定しているので正太郎が生き残り人数に含まれない以上は再登場もなく、どこかで生き残っているよりは死んでいる方が自然か。

ドラマオリジナルキャラクターとされていた明美(佐々木舞香)は最初から梨々到着時の梨々含めた生き残った8人に混ざって人物相関図に載っていたのに一向に登場しないどころか、「徐々に明らかに」と書いてあるのに全く描かれないまま最終回手前まで来てしまったがピンポイントでいきなり登場してたぶんこの1回だけで片づけられた。この扱いでは相関図に載せるレベルの登場人物じゃなかったと思うんだけど、=LOVEメンバーのねじ込み出演なので客寄せとして掲示してたのかな。

6話

冒頭で紗奈が遺した手紙の内容から、紗奈の覚悟が足りずに感染してしまい、正太郎に止められたが無理やり戻ってきて最後にみんなに会いたかったとここに戻ってきたという正しい経緯が明かされた。出番は全くなかったが正太郎は存命で千葉からの脱出ルートを探し求めているようだ。同時にラジオから救助活動開始の知らせが入る。梨々が屋上に設置したSOSも確認されている可能性が高く、救助範囲にもこのショッピングモールが含まれている事から早くも明日救助が来ることになるとして最後の夜を語り明かす一行。

偽CEOだったのが暴かれたれんれんは大貫の若干ラブじみた友情で復活、紗奈をかばうあまりに雫もみんなと気まずくなっていたがすっかりカップルになったビーストと入江が洋楽をかけながら踊り始め、自然とそこにみんな集まってきて和解。お互いのを確認し合う。

そして翌日、いざ旅立ち…のはずがヘリはやってこない。ラジオからは救助者30人の中に感染者がいたため救助活動が即中止になった事が伝えられる。結局もうしばらくここで過ごすしかない。梨々はれんれんに食糧もいつ尽きるか分からないし、バリケードもいつ破られるか分からないと進言。れんれんからは最年少だがしっかりしていてリーダーに向いていると評され、梨々が率先して今後もしばらくここで生き抜いていく新たな計画を立案して指示を出していく事に。自給自足のために残っている食料の種から自家菜園のようにする計画やバリケード強化点検計画が立案されていた。

そんな中、入江が話しかけていた外のベンチにいるイケメン風ゾンビの横にゾンビ化した紗奈が登場。一同が驚く中、ゾンビ同士でキスしてラブラブっぷりを見せつけてくる様子に一行も盛り上がるが直後に紗奈はイケメンの腕をもぎ取って食べ始め、イケメンも一緒に食べ始めた。唖然とする一行、これは見ちゃいけないやつだ…と最後の最後にダークゾンビギャグが強烈に炸裂して終了。

全部終わっての感想

原作が終わっていない話を恐らくゾンビ×シェアハウス恋愛というノリだけでドラマ化した結果、着地点は最初から無かった…といった感じ。1話でまず何人いるかも分からないうちから正太郎にくっついて出ていく時に初めて目立っただけの紗奈が終盤で戻ってきてみんなに会いたかったとか言われても…。絆にしても恋愛脳でドタバタしていただけで、シリアスに人間関係を深めたのは最終夜の紗奈の件で対立した事をきっかけとしたものだったのでとってつけ感があった。

しかもそれだけ恋愛脳で盛り上がっておいて、ビーストと入江が相思相愛になっただけと恋愛モノとしても消化不良な終わり方となり、4人がフリーのままだった。肝心の主人公梨々も真面目だけど惚れっぽく、最後は真面目さを生かしてリーダー格になるというのはいいんだけど…。30分枠で6話しか無いのではどうしようもなかったがそれにしたってなんかもう少し印象に残るような展開があってもなぁ…。

ゾンビになった紗奈が腕をもぎ取って食べ始める強烈なオチは深夜枠ゆえだろうけど、それにしたって規制まみれの現代で最後の最後だけやけに攻めたな…。

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