絶メシロード 全12話

テレビ東京金曜深夜「ドラマ25」枠(昨年の『日本ボロ宿紀行』と同じ枠)。絶メシとは店主高齢や後継ぎがいないなどの理由でこのままでは間もなく絶滅しそうである老舗の飯屋を意味しており、群馬県高崎市の絶メシを紹介しているローカルサイト「絶メシリスト」を原案としていて、サイト作者が関与していている模様。ドラマ化にあたっては1泊2日の車中泊旅行を軸にして車中泊×絶メシで実在する個人経営の飲食店を巡っていく。

1話

普通の中年サラリーマン須田(濱津隆之)は妻(酒井若菜)と娘(西村瑠香)が揃ってアイドルグループの追っかけで週末遠征していて2人が留守の間の金曜夜帰宅後~土曜の夕方までの間に1泊2日で1人の時間を満喫する車中泊旅行をするのが楽しみ。今回出向いたのは山梨県の富士吉田、吉田のうどんで有名なこの地で食べログで高評価だった「たかちゃんうどん」に辿りついた須田はあまりにもローカルなプレハブな外見に驚くが…。

という感じでおじさんが1人旅満喫&旅先の絶メシ店舗で少し話を聞いて交流する、という内容で『日本ボロ宿紀行』同様に実在の店舗でそのまま撮影しつつも店主は役者の人が演じるというスタイル(ED映像では役者の人と恐らくそのモデルになったであろう実際の店の人との写真が出てきた)。

1人旅している濱津隆之の風貌は1人旅好きの旅人っぽくていいんだけど、普通のサラリーマン姿にはかなり無理があって、率直にあのヒゲ面でサラリーマンは無理がありすぎる。最大公約数に合わせてのリーマン設定なんだろうけど。

初回は番組の雰囲気を伝える感じだったので、妻も娘も写真のみ。また娘の方は最近売り出してる「青春高校3年C組」の生徒の1人(日テレの『俺のスカート、どこ行った?』にも生徒役で去年出てた)だが、レギュラーキャスト3人(濱津隆之と酒井若菜と2話から登場の車中泊仲間になる山本耕史の3人しかキャスト掲載されていない)には入ってないので今後出てきてもほとんど出番はないのか…?(一応本人は3話から登場すると告知している)

2話

千葉県木更津の「とみ食堂」。冒頭で車中泊したのは中の島大橋近くだったが、中の島大橋は立ち入り禁止になっていて須田ガックリ。しかし立ち入り禁止の理由は作中で特に明言されず。何で廃墟みたいになってるのかと思って検索してみたらどうやら2019年9月の千葉で大きな被害を出した台風15号で破損して立ち入り禁止になってしまった模様。台風でダメになったくらいの説明は入れてほしかった…。

今回は車中泊していた駐車場で車中泊の先輩のような鏑木(山本耕史)が登場。鏑木の方は好意的だったが、須田が引いてしまったのであまり親しくはならず…。さらにご飯にも誘われたが須田は断ってしまう始末。この際の須田のモノローグで「絶メシの魅力を知ってしまった」としながら1話のうどんを思い出していたので、どうやら設定上は車中泊の1人旅には少し前から目覚めていたが鏑木からすれば車中泊は初心者であり実際車中泊用のクッションシートを今回購入して初使用するくらいなので車中泊歴も長くない、そして絶メシに関しては1話で目覚めたばかり、という事なのか。

絶メシに目覚めたといいながら前回同様に店の前で入るのをためらったり、そのくせいざ店に入ると店主と会話して触れ合ったりと積極的なのか消極的なのか良く分からないオッサンだなぁ。

雰囲気はいいんだけど今回の店の設定が旦那は亡くなっているので初老のおばちゃん1人で店を切り盛りしていてそれゆえ「絶メシ」…と思いきや修行中の息子がいることが判明。息子の料理の腕がまだまだなので店を任せられるには至らないが、それでもおばちゃんの夢は店を息子に託して自分はその隣で蕎麦屋を開くことだと語るなど「絶滅するかもしれない」と認定するには少し申し訳ない感じの設定がぶち込まれた。なのにモノローグではこの店を「絶メシ」認定して終わるという。エンディングの実際の店主写真では前回と違って息子が出てこなくて店主のおばちゃんだけだったので現実のこの店は後継ぎがいないのかもしれないが、ドラマの設定で後継ぎ候補がいる事にしてしまうと「絶メシ」認定は確実に違うのでは

2話も写真のみだった妻も娘だったが、電話でラストに声だけ出演。この感じだとお父さんの威厳なさそう…。

3話

今作の元サイトである『絶メシリスト』にも掲載されていた群馬県高崎市の「香珍」が舞台。

冒頭ではついに妻(酒井若菜)と娘(西村瑠香)が揃って在宅で登場。初めて金曜の夕食時に妻と娘が在宅しているところから始まったが、妻と娘は友人からチケットを3万円で譲ってもらう話をしていて結局週末も出かける様子。しかし妻と娘が先に出かけていく様子が無いままに、須田はいつものように前2回と同じ定型ナレーション(妻と娘が帰宅する土曜夕方までに帰る)で出かけていってしまうなど雑なところも。

榛名湖畔での車中泊では族が出現して一晩中おびえ続けるというギャグもあったが、無事に生き残り(?)、「香珍」へ。初回では食べログで確認してから出向いていたが、気ままにそれっぽい店を見かけたら入るという方針で行動しているようで観光後にそろそろいただきにいきますか!と車で適当に移動しながら古そうな個人店を見つけたら飛び込むスタイルらしい。

1人の老人が切り盛りしている石に囲まれた店内では先客の若者3人が注文すると老人はなんと1人でやっていて大変だから同じものを注文してくれと言い放ち、若者たちは唖然として抗議。別に態度がデカすぎるわけでもなかったがこの謎事態を理解しない若者たちに老人究極奥義“静かに慟哭して謝罪(演技)”を披露した老人に若者たちは退店。メニューはたくさんあったが常連が勧めてくるラーメン1択となった須田はラーメンを注文。手打ちで丹精込めたラーメンに満足する須田であった…。

元サイト『絶メシリスト』掲載店だけに定義通りに老人1人でやっていて後継者もいない(本人は継いでくれる人がいるならというスタンス)というまさにこれぞ絶メシ。シンプルだけど確かにうまそうなラーメンだった。

奥さんに先立たれ、自身も1度倒れて無理が効かず、以前は従業員もいたが今はギリギリ1人、という事情も明かされたがメニュー大量にあるのにあの追い返し方はなかなか独特な…。『絶メシリスト』の記事の方ではラーメンとチャーハンを注文しているのでそのくらいなら大丈夫っぽいし、食べログでも複数で行ってもオーダーは2種類までと書かれているので放送後の反響も含めて印象的かつ少し厳しめに描写したのかもしれない(これくらいしておけばドラマ見て店に行っても複雑なメニューを大量に注文する一見客は出てこないだろうし)。あとED映像での実際の店主と演じた役者さんが今まで以上に似ていた。

4話

静岡県下田市の「とんかつ一(はじめ)」が舞台。今回は娘に「最近車の後部席がおじさん臭い」と言われてしまった須田が加齢臭と若さを気にする展開も盛り込まれたが、どういうわけか食事の際に会社でソリの合わない部下が突如出現し、「妄想です」の注意書きと共に妄想フードファイトを繰り広げるという超絶謎展開に…。この謎フードファイトの勝利した後は、けっこうズケズケ話しかけてきてズケズケおかわりを与えてくる店主が実は客1人1人をよく見ておかわりを絶妙な塩梅で差し出していた事を示すなど急にいつものいい展開になったのでマジフードファイトだけ意味不明だった…。

実際のこの店は絶メシというより(店主が高齢なので絶メシといえばそうなんだけど)珍百景等の他局番組に出た事もある、デカ盛&店主が勝手におかわりを盛ってくるというユニークな店としてその道では有名なようだ。普通に店主のキャラだけで面白いので変なフードファイト演出いらなくないかとも思ったんだけど逆に既に他局で取り上げられていて知っている人は知っているのであえてアレンジを加えた結果が妄想フードファイトだったのか…?

帰り際には娘と妻から謝罪の電話があり、今しがた食べたばかりの揚げ物やカレーを晩飯として作ってあげるといわれて嬉し困る須田というオチもついたが、何故か昨晩出かけたはずの娘と妻が昼食直後の時間帯にもう帰宅していることになり、「週末アイドルの追っかけで出かけている妻と娘が帰宅する夕方までに帰宅する」という旅の前提を吹き飛ばしてしまったのはどうなんだろう。

あと車中泊パートでは鏑木(山本耕史)が2度目の登場。キャンピング仕様の車内を強引に見せて須田を感嘆させるといつもは妻と来ると言いながら前回も1人でしたよね?とツッコまれるとスルーするなど意味深な言動も。ただ車中泊にさほど時間を割けない上に、須田が車中泊ライフを毎回充実させていくという展開でもないし、鏑木が活きてくる展開あるのか…?

5話

千葉県銚子漁港にある「こころ」が舞台。今回は金曜に帰宅すると遠征で北海道に行ったのは娘の紬(西村瑠香、出番なしで写真も出なかったので今週はクレジットも無し)だけで、妻の佳苗(酒井若菜)は家にいた。須田はこっそり車中泊旅行しているつもりだったようで食堂のレシートがポケットに残っていたことを突っ込まれて妻には車中泊旅行している事を見破られているのを悟ると妙に慌てていたが、一応誘ってみるとやけにオーバーリアクションで嫌がられてしまう。いくら何でも嫌がりすぎ。最早悲鳴を上げる一歩手前くらいの嫌がり方じゃないか、どうなってるんだこの夫婦…。

今回は珍しく行きで寄り道して茨城鹿島の工場夜景を見て付近のいちゃつきカップルとお互い邪魔に威嚇しあうというやり取りを繰り広げたため、車中泊描写はほぼ皆無。駐車場について「(カップル相手に)負けた」と疲れてシートに倒れこむだけ。これも倒れこんだだけなので寝るところではなく本当に着いただけで最早起床する描写すらカットで翌日観光&「こころ」に到着してしまった。このドラマって一応車中泊要素もあるんじゃなかったのか。

店主のおばちゃん(朝加真由美)が静かに涙している場面に遭遇して焦る須田だったがすぐに持ち直して少し口の悪いおばちゃんと交流しながら「おまかせ定食」を頂く。今回は恒例の常連おじさんもいなくて、先週のような変な演出も無くてひたすらストレートにグルメドラマしていた。これは「おまかせ定食」の中身が豪勢でいろいろなものがあるのでモノローグしやすかったのもあったのかも。ただ食事シーンの尺の使い方に困るくらいなら車中泊の方をもう少し工夫すればいいのに…。あと店に入る際に「これまで数々の絶メシ店を渡り歩いてきた経験を…」とかモノローグしてたけど、須田が絶メシに目覚めたのはそのまま1話の体験が理由だったように描かれているので話数=絶メシ回数であり、まだ5軒目じゃ…?

涙の理由は結局正式に語られる事は無く、終盤になって3年前に夫が他界した事が明かされた。これも最初は別にお互い干渉せずに夫は店にも興味が無かったと夫婦関係はドライだったかのような口ぶりだったが、須田が店の前にある看板について去り際に触れたところ、看板は夫が書いたもので本当は店を閉めて2人で全国を旅しようと言っていたのに叶わなかったと寂し気におばちゃんが語ったため、口は悪いけど本当は…と須田だがあれは亡き夫を思い出して泣いていたのだと悟る形に。帰宅後、妻の佳苗にいつか一緒に旅行しようと告げる須田だったがまたしても車中泊とか嫌だしとあっさり拒否され終了。さすがに出かける時ほどの異様な嫌がりっぷりではなかったとはいえ後味悪いな。

そういやいつもエンドロールは写真の方にばかり目が行っていたのであまりよく見ていなかったが、今更ながら「音楽:河野丈洋」に気づいた。GOING UNDER GROUND脱退後この道でけっこう活躍してるんだなぁ。

6話

神奈川県横須賀市の「The Cabin」が舞台。同期の西野(忍成修吾)から会社を辞めて紅茶の店を出すと聞かされた須田。6話にして初めて須田がタメ口で話す同僚が出てきたがまさかの忍成修吾1発ゲスト出演。ていうかえ?後輩じゃなくて同期なの?と思ったけど濱津隆之と忍成修吾2人とも81年生まれの38歳で同い年だった…。娘が高校生だし濱津隆之の風貌も40代半ば~後半くらいのイメージでなんとなく見てたけど、ヒゲでだいぶ老けて見えていたんだな…。ていうか妻(酒井若菜)の方が1つ上だったんじゃん…。

前回ほぼ車中泊がカットされてしまったが今回は車中での様子も多少復活。窓からカップルが花火やっているのを見て夏に家族用に買ったものの買ってきたと言い出せずに車の底で眠っていた花火を引っ張り出して真夜中に1人花火&起きてから砂浜を裸足で1人ダッシュ…などいつもよりなんかはじけていた。

「The Cabin」は昔はジャズ喫茶として栄えていたが今では月1程度の演奏しか行っておらず店主(ミッキー・カーチス)も高齢となっていた。お勧めの煮込みハンバーグ定食を食べていた須田だったが店主から昔話を聞かされてついついカレーライスも注文。Wで完食するも特に満腹描写は無く満足して終了。店主から人生楽しんでる?と聞かれた須田は同期の西野や、出かける直前に娘の紬に「いつもありがとう。お父さんも楽しんでね」と言われたのを思い出して笑顔で楽しみたいです!と答えるのだった。

妻娘の須田への態度の冷たさと関心の無さ、特に前回の妻なんかは塩対応すぎる描写だったのでいくら須田が1人で旅を楽しんでいてもなんとも煮え切らないところがあったんだけど、紬の感謝の言葉は少しはお父さん気遣いされていて良かったね…という気分になった。というか妻が須田の週末旅行を見抜いていたのでそのまま紬も須田が週末ひっそり絶メシロードを楽しんでいるのを把握していて言ったのだろうか。

ミッキー・カーチスの長い白髪と長すぎる白髭はさすがに衛生的に…と思ったら実際の店主は雰囲気は確かに似ていたがさすがにあんな長い白髪も髭も無かった。そりゃそうだわな。

7話

埼玉県秩父市の「パリー食堂」が舞台。後輩社員がSNS自慢をしているのを見た須田は自身も旅と絶メシの写真でSNSデビューを飾ろうかと考える。このくだりが入ったため、会社→運転と場面が一気に飛びいつもの自宅風景と旅のルール説明モノローグが初めてカットされた。妻と娘が出てこない回はあったけど自宅と説明が出てこないのは初めてで今回に限っては独身サラリーマン設定でも通じるくらい妻子の気配が皆無の流れだった。

運転中、SNSをやらない理由としてもし始めたら後輩社員に今更マウントとられるというのを第一に気にしていたが、そもそも須田さんあんた実名&顔写真付で後輩にもアカウント律儀に知らせてSNS始める前提なのか…。ハンドルネーム&顔出しなしで絶メシロードSNSをすればいいだけで、絶メシ旅をしている事すら会社の連中知らないんだからハンドルで始めれば同僚にバレる可能性なんてほぼ皆無に等しいし、仮に顔出したとしてもよほどの巡り合わせじゃない限りは当たらないはず。どういう思考回路してるんだろう。

最近はほとんど適当に流されてきた車中泊模様だったが今回は2話のマット以来の新アイテムが登場。秩父が山間で寒いというのを理由にして電気毛布&バッテリーという新装備で車中泊を充実させる様子が出てきた。

秩父観光の後に訪れたハリー食堂では店主以外に孫の青年が手伝っていた。孫に話を聞いたところ両親が共働きだったので少年時代から手伝いをしていて継ぎたいと思って料理の専門学校に通い、他の店での修行もしてきたが、店主から継いでくれとは1度も言われず料理も作らせてもらえない、時々ラーメン作っても味が薄いとしか言われないという。オムライスを注文後、一時孫が電話で退出したので店主に何故継がせないのか聞いたところ、あいつにはあいつの人生があるから継いでくれとは言えないという。店の苦労も経験してきた店主からすれば継いでくれとはいえないし、味が薄いというのは店主なりの優しさかもしれないと須田はこの祖父と孫の関係を思いながら完食するのだった。

絶メシ…というところでは孫が継ぐ気があるだけにかなり判定微妙で、これで絶滅するかもしれないと言っていたら結局個人経営の食堂は全店絶メシになってしまうという根底を揺るがしかねない展開だったけど、制作側も単に年季が入ってる個人店くらいにしか考えてないのかもしれない。さすがに祖父と孫の関係を須田が思っていつか孫が作る料理も食べたいと孫に継ぐことを期待する言葉をかけた直後に定型ナレーションの「ここもまた絶滅するかもしれない~絶メシフォーエバー」とか入れちゃうのは何も考えてなさすぎて戸惑った。

なお2人に話を聞くのに夢中になってて料理写真すら取り忘れた須田は心に刻めばいいと考え、SNS開設を辞めるのであった…。

8話

栃木県栃木市の「焼きそば櫻井」が舞台。おしっこを我慢して帰宅してトイレに飛び込むと娘の紬に立ってしていると文句を言われ、妻がお父さんは座ると出ないから仕方ないという謎やり取りも早々に出発。初めて東北道を攻めるかという事で向かった車中泊先は何故かかなり手前の埼玉県加須の道の駅埼玉・群馬・栃木の県境に位置していて近くの道を走ると3県境を頻繁に行き来することになりナビが「埼玉県に入りました」「栃木県に入りました」「群馬県に入りました」を連続で繰り返す現象が発生するという面白い人には面白い地なのでついでで選んだと思われるが(須田も車でわざわざ往復して楽しんでいた)…。

しかし「焼きそば櫻井」は栃木市なのでたぶん20キロ以上北上しているんだけど加須から栃木まで下道延々走らせて行ったのか…?ちょっと走らせて周辺探しました感出してたけど20キロも当てなく北上(夕方までに帰るルールなのにこの段階でどんどん家から遠ざかっていく)ってなかなかノープランが過ぎる…。

焼きそばしか置いてない個人店だったが、ジャガイモを入れた焼きそばは絶品だった。後から来たサラリーマンが先に食べ終えて出ていく中で、店主の妻は過去を語り出し、店主はある日フラッと失踪して15年後に石が出来て体調不良で帰宅、その後何もせずにゴロゴロしていたのを近所の駄菓子屋のおばあちゃんが作っていた焼きそばの作り方を伝授してくれて開店して現在に至るという話が語られた。なかなか凄いな…。

継ぐ者はいない、という事で絶メシ認定。帰り際にトイレを借りてトイレの綺麗さに夫婦を思う須田という冒頭のトイレネタになんとなくつなげた感じで終了。

初期にいた常連客も最近は出てこなくなって、須田と店員しかほとんど関係してこないような話が続いていたが(特に前回は妻娘も出てこなかったし)、今回は冒頭で妻と娘、道の駅がカップルの聖地になっているという事でカップル夫婦、回想シーンで以前とは別の同期社員が出てきて、店内でも別の客(常連ではない)が出てきて…とモブゲストがいつもより多かった

9話

「ロードパーク女の浦」が舞台。これまで定型パターンで進行していたが、今回は須田が部下の尻拭いのために金曜日に出張で金沢に出向くハメになり、土日は休みだったが、週明け月曜にも金沢で確認作業をしなければならないため、土日もそのまま金沢に滞在する事に。宿が見つからないのでレンタカーを借りて土日の2日間を絶メシ巡りに費やそうと閃いた須田の前に偶然にもベテラン車中泊マスター鏑木(山本耕史)と3たび出くわした

3度目の偶然の出会いに喜ぶ鏑木は須田が露骨に嫌そうな顔をしているのも気にせずに、土日が空いているなら一緒に車中泊しようと自身の1000万円の改造キャンピングカーで須田を連れ出す。キッチンや冷蔵庫もついているので夕飯を振る舞いようやく須田の方も打ち解けてきたところで、そういえばいつも妻と一緒と言っていたのに1人に飽きたと言っているのを不自然に思った須田が妻について聞くと途端に様子がおかしくなる鏑木。ついには寝床で嗚咽し始めるので須田は気になって寝不足に陥ってしまう。ていうかそれ以前に結局過去2回ちょっと会話しただけの他人のオッサン2人が至近距離で並んで寝るというのがハードモードすぎないかこれ。

翌朝車中泊した場所の景色を堪能するまではいつもの須田ビジョンで須田によるモノローグだったが、その後連絡先を交換し、須田が絶メシについて説明、絶メシにピンと来ていない鏑木に逆に奥さんについて再度須田が聞くと実は1000万円の車改造を勝手にやったので妻が怒って実家に帰ってしまい実家のある石川に来たが怖くて会いに行く勇気が出ない…と鏑木が告白すると須田は突然それなら会いに行くべきだ!と過去最高の強気な態度で言い放つとそのままこの付近には何もないと鏑木が制止するのも聞かずに荷物を抱えて1人徒歩で去ってしまい今回出番終了

ここから鏑木ビジョンで鏑木によるモノローグへ切り替わり主人公がさらっと交代。妻の実家がある輪島へ向かう途中休憩のために立ち寄った場所でトイレだけ借りるつもりが、「ロードパーク女の浦」という聞いた事のあるそこそこ評判の店だと気づき、そのまま能登ラーメンを注文。店主のおばちゃんや、食材を提供しているという漁師のおばちゃんも出てきて13年前に夫が亡くなり今は1人で切り盛りしているが当初はラーメンもうどんも作れなかったという店主のおばちゃんのエピソードを教えてくれて交流しながら海鮮丼も追加で食べた鏑木はこれが絶メシか!と須田に話を聞いた時はピンと来ていなかった絶メシの魅力に目覚める。さらに店主のおばちゃんにも励まされた鏑木は意を決して妻へ電話を入れて会いに行くと伝えるが断られてしまい主役交代のまま次回へ続く。

なんとまさかの主役交代劇。一応公式クレジットが須田と妻に続く3番手なのにまだ2回しか出ていなかった鏑木が突如主人公になるとは大胆な…。現地でレンタカー借りてと少し変化をつけるだけと一瞬思わせて完全に主役交代させてくるとはなかなか凄い。須田の去り方が強引ではあったけど(普段気弱なのに妙に強気すぎた)…。

OPタイトルバックではまだ須田が主人公だったのもあって「主演:濱津隆之」の表記だったが、ED映像ではご丁寧に濱津隆之を2番手に下げて、1番手は山本耕史になっててしっかり主人公交代に対応。

“部下の尻拭い”に関してはこれまで何度か登場して妄想フードファイトの相手にもされた事のある堀内(長村航希)は姿も名前も示されず、部下が誰なのかは明言しなかったが、地味にクライアント役の野間口徹は2度目の登場。今回は妻も娘も出てこなくて鏑木の妻もまだ写真と声だけで後は今回の絶メシゲストしか出ていないので、まさかの野間口徹がキャスト3番手になってたりも。

10話

冒頭のモノローグは須田視点でOP映像での「主演:濱津隆之」はそのままながら今回も鏑木が主人公(エンドクレジットで1番手は山本耕史)で話がスタート。OP後の鏑木のモノローグにて前回1000万円の車中泊仕様改造車であることくらいしか分からなかったが、職業がフリーライターだった事、ベテランのように思われているが実は車中泊歴は2年最初の1年はノーマル軽ワゴンだったが1年前に1000万円かけた現車両にしたことがとても説明調語られた。

妻に会いに行くと告げるも断られてしまったが会いたくないわけではなく単に友達の結婚式で東京に行っているからであった。翌日戻ってきて会う約束をした鏑木は1日空いてしまったので、金沢に戻っている須田に連絡。本名も聞いて番号交換したのに登録名わざわざ「ノーマルさん」にしてるんかい…。

その頃、須田は娘の紬と合流していた。友人も妻もインフルエンザで来れなくなったアイドルイベントの追っかけで単身金沢まで来たがアイドル本人もインフルエンザというインフルラッシュでイベントが中止になりテンション下がりまくりの紬は1日空いているなら何か楽しませてくれと須田にムチャぶり。困り果てた須田の前に鏑木が登場し、須田が車中泊を趣味にしている事をバラして、3人で車中泊しないか?と誘い、なぜか紬も車中泊に興味を示して同意するという超展開に。

高速で富山のうなづき湖まで移動して車中泊となったが車内でカップ麺を食べた後は鏑木1人が就寝スペースで眠り、須田と紬は遠慮して運転席と助手席で眠る事に。専門学校に進学したいけど母が反対すると語る紬に須田は自分はこの年まで趣味も無かったけどやりたいことがあるなら応援すると優しく父親する。振り返ると親子で車中泊を楽しめとメッセージを残して鏑木は姿を消しており、翌朝近くの「とちの湯」に行くと鏑木も温泉に入っていて近くの宿に泊まったと告げる。

これまで多少の曇り空はあっても爽やかな秋晴れの風景で来ていたのに、金沢で車に乗り込むところから移動中、うなづき湖に到着した夜、翌朝の温泉まで終始雨が降り続けていて本格的に天候に恵まれないロケだったのだけ惜しかった(たぶんこのせいで湖を眺めるような観光シーンとかカットになってるだろうし)。

親子を送り返した後は鏑木が単独で富山の「お食事処ポーク」で絶メシ。前回同様に明らかに同じ演出とは思えないくらいモノローグも食事の見せ方もうまそうな感じでこれは山本耕史が張り切って自分ならこうすると意見を入れてやっているからだったりするんだろうか。娘が手伝いに来ているものの妻に咲き出たれた83歳の店主はメニューを減らして時短営業でオリジナルのポーク風ライスを看板メニューに営業を続けていて絶メシ感も満載だし、フツーのうどんとかフツーのラーメンとかも今まであったけど、ピラフ+卵+とんかつでポーク風ライスというメニューにはオリジナル感もあった。

須田の方もおざなりではなく、恐らく紬は最大最長の出番でいつもと違う父親の姿にちょっと見直した感じだし、父親している須田の姿はいい父親になっていた。まさか公式キャスト表記2番手の妻スルーで非掲載の娘エピソードを掘り下げるとは思わなかったけど…。

まだあと2話残ってるけどクライマックス今回で来ちゃったような気がする。ただ鏑木が妻に会いに行く前に終わってしまい、それでも普通に会えそうな感じで終わればまだ良かったのに無駄に「その車は見たくないからそれでは来るな」と言い放たれてしまい鏑木がガックリしたのをオチにしてしまったのでモヤモヤは残ってしまった。そもそも1000万円車の無断購入を謝って許してもらうために会いに来たてるんだから、ウケ狙いのためだけみたいにオチつけようとしてこんな台詞ぶっこむ必要なくない…?妻役として遊井亮子がクレジットされていたがちらっと出た写真と電話の音声出演だけでまさか終わりなのか…?

11話

東京都奥多摩にある「島勝」が舞台。通常の須田主人公に戻るもなんだか奇妙な演出が目立った謎回だった。冒頭から須田が帰宅後の誰もいない家で週末に妻も娘もいないなら家でのんびり過ごせばいいのではないかと物語の前提を覆すような事を言い出したり、今までは何かから逃げるように旅に出ていたが何かを探すための旅に出ようと言い出したり。車のハンドルに髭面をスリスリしたかと思えば突然星の本を持ち込んでいて星空を堪能しようとしたり、豪雨で断念するも念入りにプラネタリウム持ち込んでて車内で始めたり…。

加えて久々登場の会社内でのゆとり部下社員のテンプレゆとり回想(上司に怒られるが全く悪びれずに須田を捕まえてきて上司の悪口を言ってきて無理やり同意を求め、須田の歯切れが悪いと須田も終わっていると言い放ち去っていくというもうこいつクビにしろレベルの過去登場時より酷い言動)を特に意味も無く見せられ、店では突然30年前に食い逃げしたという中年男が謝罪に現れるなどとにかくそれいる?という謎エピソードがガンガン展開。

メインの食事であるとろろ定食も普通においしさを表現するだけで事足りるくらい豊富な付け合わせがあるのに、店主夫婦と食い逃げ男を使った謎の妄想コントを繰り広げるというひたすら明後日の方向に演出が迷走していく始末…。あまりに意味不明すぎて良く分からなかったがもしかしてとろろとトトロをかけたコントだったのか…?

前2回の鏑木がモノローグとリアクションだけで十分見せていただけに謎すぎる演出の数々で無理やり盛らないと話を持たせられないのかと改めて強く思ってしまうくらい意味不明の謎演出のオンパレードだった…。

絶メシ認定の緩さは相変わらずで今回は最初から須田も絶メシ店ではないか…?と疑うほど店は清潔感があり、夫婦健在だし、息子の存在も示唆され、息子の嫁が継いでもいいというなら続けられるという話も出てきて絶メシ感は薄かったが…それよりも最終回前にして前回の鏑木のオチの先の方が気になってしまうくらいどうでもいい物語しか展開しないとはなぁ…。景色と雰囲気の良さがほとんど相殺されてしまった。

12話

長野県塩尻市「食堂SS」が舞台。妻と娘が追っかけていたアイドルグループTear Drops(紬を演じている西村瑠香が所属している青春高校3年C組の男子アイドル部のメンバーのうち選抜された4人で写真(ポスター)出演のみ)の週末イベントがいよいよ千秋楽となり、この週末旅も千秋楽になる…と落ち込む須田。ここに来てカレンダーが思いっきり大写しになった事で、今週が2019年11月最終週(11/29,30)だったと判明。9、10話のみ同じ週末の話だったので1話が9/20,21からだったという事になるのかな。

車中泊で向かった先は高ボッチ高原。まさかの『ゆるキャン△』でも出てきた高ボッチを同局同クールでもう1回見るとは…。車中泊に際して色々増えたものだ…とか感慨深げにしてたけど、これまで車中泊描写なんておざなりで下手すりゃ平気でカットしていてほとんどアイテム増加も無かったのに車中泊も充実させてきました感出されても…。まともに追加購入アイテムとして出てきたのって最初期のマットと前回のプラネタリウムくらいだったじゃないか…。

翌日高ボッチからの諏訪湖を眺めた後は(『ゆるキャン△』では見えた富士山は曇ってて見えず)、食堂SSへ。普通定食と追加で唐揚げとご飯を食べて千秋楽を堪能する須田。最終回感を出すためか車中泊の時からいちいち歴代回想をちょいちょい差し挟んでくるがこの辺りでちょっと多すぎないかと気になってきた。この後ED映像カットでも過去映像ぶち込んできたが正直それだけで良かっただろ。ここまでちょくちょく入れられるとそんなに尺が余って困っているのかと思えてくるぜ…。

店主によれば東京オリンピックの頃に父が始め、父は25年前に他界、叔母が継いでいたが厳しくなってきたので5年前に継いだが借金あるわ、テーブルほこりまみれだわでかなりきつめであきらめかけたがやはりつぶしたくないという事で、やはり父から継いだ電気屋を続けながら妻を中心にして店の方も継続(あと料理担当のじいさんがいたが誰なのか明かされず)しているという。

演じているモロ師岡が61才な上に一応継いでまだ5年なのでそんなに絶滅寸前でもないが(立地も一応国道沿いの昔ながらのドライブインといったところなので悪くないし常連もそれなりにいそう)、最早定型文絶滅するかもしれない絶メシ認定して終了。

最後の旅を堪能して帰宅すると既に妻と娘は帰宅していた。お祝いだという2人に何故かと聞くとTear Dropsの次のツアーがライブハウスツアーに決定したという。かなり細かく回るので週末はこれまで通り追っかけになり、須田も旅を続けられることが発覚。みんなで喜んでハッピーエンド!

妻も娘も須田の1人旅という趣味を普通に認めているだけにそもそも前提が…というか何もかも前提がおかしかったなぁ…。

全部終わっての感想

昨年の『ボロ宿』以上に前提となる設定がおかしかったり、毎回間が持たないので無理やり入れている変な演出やドラマがことごとく変な感じで、そんな変な事してワケ分からなくさせるより素直にテーマの1つとして掲げていた車中泊描写をもっとやればいいのに…というのがまず1番。それこそ原案がサイト「絶メシリスト」なんだからそれをそのまま生かして主人公を普通のサラリーマンとするのはそのままに車中泊と絶メシに目覚めてそれをWebで公開するようになってその毎回の旅の記録という感じでドラマも構成すればもっと自然になったんじゃないだろうか(実際にはブログを始めようか悩む描写を入れて後輩にバレるのが嫌で止めるという謎のストーリーつけて否定してしまう始末)。

絶メシの定義も回を追うごとにおかしくなってきて、初期は店主1人だけで後継ぎもいないくらいだったのが途中からは個人経営の店で店主がアラ還以上なら夫婦経営以上でも全部認定みたいな感じになってたし、中には後継者候補がいて須田自身が継いでくださいと期待をかけた直後に定型文で絶滅するかもしれない~などとモノローグ入れたりと思考停止しちゃってる回もあった。

放置されていた鏑木が3度目の登場で突如主人公になるという斬新なアイデアはそんな中では面白かったし、鏑木回では変な演出もいれずに店料理のおいしさをかなり的確に伝えてくれたのは良かった。ただ鏑木回の後の残り2話での須田は「うまい」しかほとんど表現してなくて、どううまいのかとかこれとこれの組み合わせが絶妙だとかそのレベルの事すら言わず後は変な演出ぶち込んできておかしな空気にしてしまっていた辺り、須田の食事シーンの伝わらなさが余計際立ってしまった感じはあった。それでも途中までは須田でももう少しどんな具合でおいしいのかとかちゃんとモノローグしていたはずだが…特に最終回は料理の感想がほぼ「うまい」しか言ってないのでちょっと唖然とした。

雰囲気と素材はとても良い内容だったのでそれだけでも全12話それなりには楽しめたけど、少しでも考えれば確実にもっとうまくやれたんじゃないかなというのは多分にあるドラマだった。

あと恐らく撮影も作中と同じく2019年9~11月だったと思われるが、このドラマの放送期間の間に世界は一変してしまった。先ほど絶メシの定義が云々と書いたが最早現状飲食店すべてが絶メシの危機となってしまっており、特にこういった絶メシ扱いされるような個人経営の店は…どうなってしまうんだろうか。

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