罠の戦争 全11話

2023年冬クール、関西テレビ制作フジ系月曜22時枠。2015年「銭の戦争」、2017年「嘘の戦争」に続く戦争シリーズ第3弾の位置づけ。00年代の僕シリーズ3作同様に3作に繋がりは無くタイトルを揃えているだけ。

「嘘の戦争」以来の草彅剛主演地上波ドラマ復帰作となり、ジャニーズ退所後初にして6年ぶりの連ドラ主演となった。

1話

かつて救われた犬飼大臣(本田博太郎)に忠誠を誓い、有能な秘書として働いていた鷲津(草彅剛)。仕事が多忙でなかなか家族サービスはできないものの、妻の可南子(井川遥)、息子の泰生(白鳥晴都)との関係も良好だったが、泰生が何者かに突き落とされて瀕死の重傷を負い意識不明になってしまう。

政治的な何かが絡んでいるのか犬飼大臣に事故でもみ消すようにという特命が下り、犬飼から事故で処理するように脅された鷲津はショックを受ける。鷲津の有能さは認めている犬飼は本気か嘘か脅しをかけつつも、言う事を聞いてくれと懇願気味の態度に転じて土下座までする始末。要求をのんだ(かに見えた)鷲津に可南子はショックを受けて離婚を切り出そうとするが、鷲津は怒りと復讐に燃えていた。鷲津は危ない橋を渡って関係者全員権力の座から引きずり落とす事にしたから離婚した方がいいと逆に提案するが、可南子も共に戦うと宣言。夫婦仲安泰

手始めに秘書の蛍原(小野花梨)が同じ秘書で1番年上の立場の虻川(田口浩正)の常日頃のパワハラ行為にもう辞めようかと言っているのを聞いて、協力者として引き込み、虻川を貶める罠を仕掛ける事に。虻川と責任者である犬飼をある程度追い込むことに成功した鷲津は自身の境遇と復讐するという目的を明かし、正式な協力を蛍原と新人の蛯沢(杉野遥亮)に依頼。日頃から鷲津がそれとなくパワハラから守ってくれたり、今回の件で覚悟を決めている蛍原は乗っかるが、新人で何も知らない蛯沢にまでいきなり明かすのはヤバいのでは?と聞く蛍原、自分でもそう思うという蛯沢。しかし冒頭で政治パーティーに現れた蛯沢が犬飼大臣に生卵アタックをキメようとしていた事を観察眼で見抜いていた鷲津は何らかの恨みがある復讐者だろうと分かっていてあえて雇っていた(何故雇ったかは不明だが側に置いておいた方が監視出来て安心と考えたのかもしれない)。詳細は聞かなかったもののその行動を見て協力者になってくれると確信していると告げ、内部から蛍原・蛯沢、記者の熊谷(宮澤エマ)とコンタクトを取って罠にかけて次々と失脚させていく復讐が始まる…。

出足は好調。必要以上に理不尽シーンと主人公追い込まれを続けると初回から辛くてしんどくなるが、初回から味方も引き入れて早くも復讐行動を開始したので割とテンポが良かった。問題はどこまで順調に計画通りに事を進めていけるかだが、秘書としての有能っぷりは散々示されたのでそれなりに毎回うまく進めていける話になりそうではある。最後の最後の大逆転まで遠回りで追い込まれ展開が続くというよりは1人ずつ失脚させていくパターン+事件の真相に迫っていく…ならいいんだけど。

若手秘書役の小野花梨、他の画像だと全く違うんだけど秘書メイクアップしている今作だとどういうわけか秋元の真夏さんに雰囲気が似ているような…。ジャニーズ時代末期のパターンだと20代の蛯沢役にキスマイ、Sexy Zoneら飯島案件グループから誰か、今回だと息子役にジャニーズJr.とかバーターしていたんだろうけど、ジャニーズ後輩がいないというところにジャニーズではなくなったというのを感じる。

また「冬のサクラ」で年上の今井美樹が相手役だった以外はヒロインがいつまでも10以上年下の20代というのが続いていたが、今回は同世代の井川遥が妻役の既婚者というところも時の流れを感じる。政治家相手の話なので、必然的に高齢者ばかりになってきて画面が終始中高年ばかりになってしまうためか協力者の秘書仲間に若い20代の男女を揃えたりも。ジャニーズ案件というしがらみのない中でどんな展開になるのかは楽しみ。

2話

確実に虻川を追い込んで追放するためには虻川が持つ裏帳簿の確保が最優先となる。裏帳簿探しに加えて更なる罠を張って虻川を追い込んでいく鷲津。虻川も馬鹿ではなく、鷲津を怪しんで唯一の味方となっている貝沼(坂口涼太郎)を使って鷲津を見張らせる。蛍原にはセクハラしていたので近寄らなかったものの新人の蛯沢を警戒していなかったのが最終的に虻川の失敗となった。鷲津も怪しまれているのは察知して熊谷とも組んで虻川の自爆を誘って立ち回り虻川を追い込んでいく。これまで蚊帳の外だった妻の可南子も何かしたいという事で、熊谷をうまく使って、虻川の失言を誘いながらも事件か事故か知りたいというインタビュー動画を流させ、しかしこうなったのは虻川の失言のせいであって、鷲津は大臣の意向に反してはいないというギリギリのラインを突く大立ち回り。普段の態度の悪さから虻川がどんどん追い込まれていき、ついには暴行事件で留置場行きへ。

迎えに来た鷲津はさすがにお前の仕組んだ事だろうという虻川の問いに感情を抑えきれずに表情で自白してしまうも、裏帳簿を蛯沢が発見確保していたため、大臣に裏帳簿を渡して裏帳簿さえ持っていなければ用済みである虻川をクビにさせる事に成功。

蛯沢は兄の会社が傾いていて兄が大臣に陳謝した際に「前向きに善処」と言われたと聞いて喜んでいたが連絡一切なしのまま兄は過労で死亡。なのにパーティーへの出席案内が届いたので卵でもぶつけてやろうと思っていたと大臣への恨みの理由が判明。亡くなった人へ招待状を出してしまうのは蛍原によればよくある事らしく申し訳なさそうに謝られてもいたし恨みの理由弱いな…。回想での兄のあのビミョーな表情を見るに、政治家のいう前向きに善処が建前でしか無く無理めな事には気づいていたっぽく、むしろ研究研究研究で世間知らずだった蛯沢が勝手に大臣バックアップキタコレと期待して勘違いしている感が少々漂う…。大臣が「前向きに善処」なんて方便だという趣旨の話をしている現場に居合わせて蛯沢がブチ切れそうになっていたのは蛍原が明るくフォロー。

裏帳簿は蛯沢が発見していたり、暴行事件を起こすきっかけになったぶつかった相手が蛯沢の友人だったりと蛯沢の活躍が目立ったものの、明るいフォロー役なだけでなく虻川に最後に恨み節をぶつけにいったのはセクハラ被害に遭っていた蛍原だったり、協力者2人の活躍のバランスも良かった。ただ蛯沢の恨みの理由が思ったより弱く、ラストで鷲津に対して時々豹変して怖いと言う蛯沢とそれなりの秘書経験とセクハラ地獄を経験してきたためか鷲津はとても信用できる人だと気にしていない蛍原とで少々温度差が出ているのは気になるところ。

3話

虻川を追放して虻川のポジションについた鷲津。裏帳簿の内容から犬飼のドラ息子俊介(玉城裕規)が傷害事件を起こして示談金を払っていたと思われる金の流れから被害者の捜索を蛍原と蛯沢が担当。被害者を発見して説得して訴えさせることに成功する。鷲津は猿渡建設と犬飼の収賄らしき案件を掘り進める。同時に犬飼の運転手牛尾(矢柴俊博)が犬飼親子に巻き込まれてしんどそうなのを察すると接近、話を聞き出そうとする。

一時は息子を突き落とした犯人が俊介だったのではないかという疑惑も浮上したが牛尾が否定。何者かに頼みごとをされていたのを目撃したと教えてくれた…が、牛尾も立場が弱すぎたため疑いを持った犬飼に問い詰められると白状。一気に鷲津が追い込まれてしまう。犬飼は幹事長鶴巻(岸部一徳)らの集いに鷲津を連れてくると裏切り者として糾弾。鷲津の追放を見せつけるが鷲津は静かに息子への思いを演説。同時に追い込まれる事を見越して事前に仕掛けていた犬飼親子双方のスキャンダル報道を炸裂させ、親子を失脚させた。

犬飼は心筋梗塞で倒れ、一命は取り留めるも事実上引退。しかし恩を仇で返したと散々言っておきながらその恩も手駒として使えると思っただけと言い放ったり、突き落とした犯人は自分も知らないバーカと言い残したりと外道そのものだった。

秘書時代の友人だった議員鷹野(小澤征悦)は鷲津は明言しなかったものの暗躍を察していたが、この一件を受けて鶴巻に犬飼の代わりに次の選挙に鷲津を出すべきだと進言。鷲津の元にやってきた鷹野は「権力をふりかざす奴と闘いたいなら、お前も力を持て」と要請しにやってきて次回へ続く。

なんと3話でもう犬飼退却。最後にむしろより悪人である事を強調するような終わり方をするとは悪役としては真っ当すぎるが後味悪すぎ。犬飼が恩を売れると喜ぶほどの相手が事件もみ消しを指示したという事で、鶴巻や鴨井、朝ドラで急死したと思ったら入れ替わるように総理になってた総理周辺が今出ている中では候補になってくるが、鶴巻が全く動じずに鷲津を議員に推す事を了承したという事は鶴巻は無関係なのか、よほど自信があるのか。3話でこの急展開だとどう転ぶか分からなくなってきたな。雇い主がいなくなって蛍原と蛯沢がどうなるかも分からんし。

4話

犬飼に代わって選挙出馬を打診された鷲津は保留しつつ、後援会長の鰐淵(六平直政)が事件について知っているかもしれないと考え情報を引き出すために動き出す。既に釈放された俊介が継ぐのは息子の自分だとばかりに鷲津を誹謗中傷する動画をばらまき、有力者達に悪口を吹き込み回っていたため、鰐淵にも追い払われてしまった鷲津。しかし妻の可南子が鰐淵の妻(滝沢涼子)を尋ねたところ、鰐淵の母(白川和子)が認知症で徘徊や暴力をふるい、介護疲れしている現場を目撃。鰐淵は支援サービスを受けるのを恥だとして拒否して全部妻任せにしていた。この一件から妻を味方にし、更なる追跡調査で鰐淵水産が金策に困っている事を突き止めた鷲津一行(蛍原&蛯沢)。

あくまで話を引き出すためのチャンスだと思っていたが、鰐淵の介護問題に結果的に協力する事になり、その過程で政治家になる決意も固めた鷲津。徘徊失踪した母を鷲津一行が助けたことで鰐淵が感謝を告げて鷲津を見直し、犬飼に恩義はあったが人脈を尽くして全面協力を約束。こうして出馬が決定した。鶴巻の元に見苦しくやってきた俊介だったが馬鹿息子と一蹴され、俊介が起こしてきた工作活動は無意味だったらしい。

一方で蛍原は過去の記録の中に蛯沢の兄の陳情を受け付けて犬飼に報告しなかったと書いてある鷲津の報告書を発見して動揺。ご丁寧に犬飼が倒れて運ばれた一報が入ったので応対していた鷲津が適当に善処しますと言って切り上げていた当日の回想シーンも出てきた…が、本当なら蛯沢の敵は鷲津だった事になる。

暴行事件で前回警察に運ばれていった俊介があっさり活動再開していたのは笑ったが妨害工作で鷲津さえ消せば順当に当選できると思っているのが凄い。あと六平直政もだいぶ年を取ってきたので、この見た目でボケ老人役とはいえ80代以上にはまだ見えないような白川和子を母さん母さん呼んでいるのがさすがにちょっと違和感あったんだけど、実際には六平直政が68歳で白川和子が75歳なので10歳も離れてない。これでは違和感あって当然か。妻役の滝沢涼子が54歳なので、六平直政をまだアラ還くらいのイメージのまま起用してしまったのでは…。

5話

選挙戦がスタートするが、無所属から対立候補が出てきて鷲津は苦戦を強いられる。同じ民政党だが幹事長の鶴巻の勢力をこれ以上拡大させたくない総理の竜崎(高橋克典)がバックについている事が明白となり、息子の事件隠蔽にも竜崎が関わっているのではないかと考える鷲津。相手がスパイを使って悪い情報を流してきたので、逆スパイを使ってこれ以上の妨害を阻止するなど罠の攻防もあり、最終的には魂の熱弁が功を奏したのか無事に当選を果たす。しかし議員の立場で警察署長の元に出向いた鷲津は署長から息子の事件の捜査を止めたのは鶴巻である事を示唆するような発言をされて驚くのだった。

蛍原は蛯沢が実は報告書の件を知っていて鷲津にも復讐しようとしているのではないかとも疑い、人知れず警戒していたが、スパイを疑われた際の蛯沢は純粋そのもので鷲津を応援しようとしていた。当選後蛍原は例の報告書を抜き取って身の鍵付デスクに隠す。ここで改めて他の報告書も映し出されていたが、他は報告文までPC作成なのに問題の報告書の議員に報告せずの一文は手書きなのは気になる。

前回全面協力を約束した鰐淵は妻も帰ってきてくれたらしく超側近的存在でメッチャ協力的になってくれているキャラ変っぷりは面白かった。妻が戻ってきた事は台詞で明かされたものの、恩義のある犬飼へどう落とし前をつけたのかは明かされなかったが…。

当選はあっさり。けっこうな誹謗中傷や不利な状況でもあったのであの状況から逆転できるってそれは最早一般市民の投票よりもまとまった組織票がモノを言ったようにしか見えなかったが…。メタ的には対立候補本人のキャラクターが全く描かれなかったので敵ですらない記号的なポジションの登場人物でしかなかったというのはあるけどさ。

6~10話

あらすじのみ把握していたが、録画溜めすぎて最終回だけでいいやって事に。

おおまかな流れとしては泰生は無事に復帰。味方に思われていた鴨井の息子が突き落とし犯だったと判明。女性総理を目指していたため当初は開き直る態度を取るが結局謝罪辞職。指示を出していたラスボス鶴巻の事は竜崎総理も邪魔に思っていたため利用し合いの攻防の末に、鶴巻を辞職に追い込む事には成功したが影響力は残したままとなった。これらの攻防の中で鷲津は権力に取りつかれて人相も変わってしまい、周囲にも見限られていく。

11話

鷲津が完全に闇堕ちした状態でスタート。実際顔つきが違う。すげぇ悪人顔になってる…。

兄の事件の事を知った蛯沢が怪文書をばらまいて復讐に出てきたため蛯沢をクビに。蛯沢は5話での選挙違反の件を警察にタレこみ、警察からの追求がじわじわ迫る中で竜崎からは周辺を嗅ぎ回っている鷹野をつぶすネタを持ってくるように指示される。

この段階では闇堕ちしたままで本気で鷹野を裏切ろうとしているっぽく、普通に蛍原に鷹野のスキャンダルを探すよう指示をだしていた鷲津。見かねた蛍原は可南子に相談。可南子はついに離婚を突き付ける決意をし、蛍原もそんな仕事は受けられないと反抗。鷲津はあっさりと蛍原をも今月いっぱいでのクビを宣告。その後で可南子に離婚を突き付けられてしまう

鷲津が明確に闇堕ち状態から目を覚ましたのがいつだったのかはイマイチ分からなかったが、この辺りで今回の計画を立案したようで、鷹野と直接対話して対立した後は総理に記者会見の許可をもらって会見を決行。この場で全部嘘だと言い放った鷲津は事務所に戻って立てこもると待ち構えていた熊谷記者の協力で暴露ネット配信を決行。総理や鶴巻の残りのスキャンダルを暴露し、自身も選挙違反を認め、さらに権力に取りつかれていた事を激白するのだった。

熊谷記者ともとっくに対立しており、今回も最初に会った時は明らかに完全対立のままだったが、熊谷は鷹野と懇意にしており、鷲津が今回の作戦のため鷹野の元を訪れて種明かし(竜崎の秘書の猫田が見張っていて会話を聞いているのを察してわざと鷹野を煽って対立しているように見せかけた)してあれは猫田を欺くための嘘だと説明した時に一緒にいたので熊谷とも和解・再協力関係になっていた。蛍原は明らかに知らされていなかったが、職務を全うしてしっかりくっついてきたので鷲津が元に戻った事に感涙しそうになりながら即座に足止め役として奮闘してくれた。有能秘書だな…。

駆け付けた蛯沢とも和解した鷲津の表情は以前の優しい顔に戻っておりそのまま出頭

離婚して可南子は政治家を目指そうとしていたが、鴨井の支援を受けて鷲津の後釜として出馬して当選。この際に鴨井から選挙違反の件は金をもらった市議がネコババしようとして本来配るはずだった人たちへ分配しなかった疑惑が持ち上がって証言の信ぴょう性が欠けるため、不起訴になる可能性が高まってきたとかなんとか。

貝沼は鷹野の元へ移動したが、蛍原は可南子の秘書として引き続き協力してくれ、蛯沢も面接を受けにやってきて採用。しかし鷲津が闇堕ちしている間に敵が増えすぎていて党内で可南子は嫌がらせを受けまくっていた。そこに鷲津が爽やかに登場。配偶者は政策秘書になれないが離婚したから問題ないとして政策秘書に志願し、採用された。新総理は鶴巻の息がかかった人物であり、不敵な鶴巻という思わせぶりなシーンで終了。

なんか爽やかに決着はしたが…闇堕ちから目覚めた流れがなぁ…。元々鷲津は他人にあまり相談せずに、1人で考えて結論を出して行動するところはあり、さらに凝り固まった考えに執着せずに大胆な方針転換も行えるような人物として描かれていて1話でも復讐するから離婚してくれと一方的に言いだすような人ではあった。それだけに権力に取りつかれて闇堕ちしている状態からでも大胆に方針転換して最後の作戦を立案できたと思われるが…。ドラマ的には蛯沢クビ、蛍原クビ宣告、妻に離婚突き付けられる…といった流れにおいて、離婚がきっかけだったようではあるけど、目を覚ますほど衝撃を受けている様子が無かったから分かりにくかった。可南子が政治家を目指したいと聞いたので、この時点で自身が身を張って作戦を決行して辞職した後に可南子が立候補するのを見越したようにも見えたが…。単に目を覚ましただけなら行動で示した後に家族に謝罪すれば2人とも許してくれるだろうし、離婚まではいかなかったはずだし、この辺は闇堕ちした鷲津よりも政治家になるにふさわしい可南子が政治家に、そして秘書に戻る鷲津というオチが前提になっていたような…。

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