希望と絶望 その涙を誰も知らない

2022年7月8日公開。
2022年12月21日Blu-ray/DVD発売。

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日向坂46のドキュメンタリー映画第2弾。前作『3年目のデビュー』の続編で制作陣もそのまま引き継がれている。当初から東京ドーム公演までとして構想していたため、東京ドーム公演の延期が繰り返されるたびに今作の公開予定も後ろにずれていったらしき事が監督から明かされている。

前作以降、東京ドーム公演が終了し、直後の新コロ休業期を終えた2週間後までとなっているが、渡邊美穂の卒業は早くにメンバー内には明かされていたため作中ではかなり早い段階で卒業を考えている前提での渡邊美穂のインタビューも登場する。ただドーム終了後のブログでの卒業発表と新コロ休業期がほぼ同じだったため、今作では一般への卒業発表やその後の卒業するところまでは描かれていない。4月半ばに今作の公開が発表され、5月末にタイトル発表、そして7月になって公開された。

Blu-ray/DVDは前作同様それぞれ1種発売で通常盤は存在せず「豪華盤」仕様のみ
DISC-1が劇場公開版119分/予告集
DISC-2がディレクターズカット版~前編149分
DISC-3がディレクターズカット版~後編77分、イベント集(日向坂映画祭/完成披露上映会舞台挨拶/公開初日舞台挨拶)

三方背アウターケース仕様だがブックレットの類は存在せず、封入物はジャケットサイズポストカード集23枚のみとなっている。

前作より重め暗め

新コロ制限下という過大なストレスがのしかかる状況となったため、ただでさえ疲弊しがちなアイドル活動に及ぼす影響は大きく、全体にトーンは重い。相次ぐ体調不良による休業者続出によりなかなか全員が揃わない、加えてグループが大きくなったことにより考えがまとまらなくなったり、オーバーワークによる疲弊、理不尽なスタッフによる昔は良かった的な考えに基づく根性論などストレスに次ぐストレスで見ていて辛い部分も多かった。

ただこれはタイトルにあるようにわざと暗い部分を強調した側面も強い。また最終的にはドーム公演をゴールとしているのでとりあえずはようやくたどり着けた、叶ったという形で最後は明るくまとめてはいる。それでもどこかしっくりこない部分が目立った。これは主にオーバーワークによる疲弊、理不尽なスタッフによる昔は良かった的な考えに基づく根性論押し付けの2点がけっこう印象的なせいもあるし、たぶん意図してこれは現場スタッフのやり方はどうなのかというのを映画で大々的に描く事でファンに知らしめるという映画制作サイドから現場サイドへのナチュラルな問題提起の意味合いも含まれているんじゃないかと思うほどだ。

オーバーワークによる疲弊は「君しか勝たん」のヒット祈願企画として行ったチアダンスの本番生配信でのセンター加藤史帆の過労。途中からフラフラで笑顔もキープできなくなり、キメポーズも苦痛の表情になり、最後の挨拶時には画面から消えていたというあからさまな異変が当時思いっきり生配信されファンをざわつかせたが、今作でも当然ここは裏側までピックアップ。オーバーワークで余裕が無くなり、インタビュー途中で情緒不安定で泣き出してしまう加藤の姿や本番当日の様子、立っている事も出来なくなり運ばれて行く様子なども映し出されている。ここまでやらせたのは誰なのか。加藤以外であれば長期休業に追い込まれる可能性すらあるほど明らかに異常が生じているのに止めなかったのは何故なのか。実際にこの後に加藤ではなく映画撮影等で多忙だった小坂菜緒が長期休業に追い込まれ、一時的ながら佐々木美玲、富田鈴花、松田好花、宮田愛萌も休業しており、宮田はそのまま卒業の原因にもなった(復帰後に体調が回復しないどころか明らかに悪化してほとんどライブ不可能にまでなったのは他に何か原因があったとしか思えないが)。

オーバーワークはライブの演出でも示唆されており、各メンバーがライブが楽しくないと言いだし、セットリストもメンバーに何の相談も無く無謀な曲目で勝手に決まっている事がさらっと明かされるなど現場サイドとメンバー間の課題が今回は妙に垣間見える場面が多かった。

また2021年夏の『W-KEYAKI FES. 2021』酷暑の中での初の野外ライブとなり、リハの段階でバッタバタとメンバーが倒れまくり、車いすで運ばれたり、裏で倒れている様子が何度も映し出される。それでも本番を全力でこなしたメンバーだったが、スタッフが昔のような勢いがないというような厳しい事をLINEで送ってきたらしく、憤慨しつつも奮闘したメンバーは2日目はさらにハイテンションでライブを盛り上げる。しかし今度は直接以前のような良さが無くなってきているだの体力づくりに励むようになど偉そうに告げる現場スタッフ。その場ではさすがに頑張る旨を告げるキャプテン佐々木久美だが直後のインタビュー(映画サイド)では率直にあの暑さは危険だった、体力作りや対策してどうにかなる話ではないともうほとんど笑ってしまうような勢いで語る。マヌケな根性論を語っていた偉そうな現場スタッフよりキャプテンの方がド正論を語っている始末。最早現場より映画サイドのスタッフとの方が信頼感があるし、そこまで話せる仲になっている、不満を話せるのがいいガス抜きになっているのが見えるような場面だった。この模様がそのまま映画になった事により、現場スタッフサイドが正しいと思うようなファンなんていないだろう。

いずれにせよドームに向かっていくこの期間は困難ばかりだったので、日向坂46に限らず恐らくどのアイドルグループでドキュメントを作っても苦労ばかりになってしまうのは仕方ない。とりあえず明るく締めてはいるんだけど、体調不良続出だったり、勝手に決めて押し付けまくる現場スタッフとの関係はちょっと気になるところではある。

ディレクターズカット版、まさかの1枚に収録しきれず

前作は劇場公開版119分に対してディレクターズカット版173分だったが、今作は226分にまで膨らんだため149分+77分で2枚分割

正直長すぎてダレるが、やはり本編は明るい話より苦労話にフォーカスしたんだなという事が分かる。基本的には本編の内容を膨らませてカットされていた他メンバーのインタビューを長く見せたり、現場の映像を長く見せているが、序盤から本編ではカットされていた新3期生加入時の上村ひなのとの対面メイドドッキリの模様もしっかり収録されている。こういう平和な部分をもう少し見たかった。

東京ドーム公演の裏側も長くなっているが、この部分は『3周年記念MEMORIAL LIVE』が別に発売済みでメイキングも収録されていたのでなんかこのやり取り見た事あるな…という部分も多かった。2日目に卒業生も見に来たという事で今作でも長濱ねる、柿崎芽実、井口眞緒がテロップと共に鑑賞中の映像が出てくるが『3周年記念MEMORIAL LIVE』同様に目元しか見えないし、メンバーと対面する場面までは見せてくれない。状況が状況だっただけに対面すらなかったのだろうか。

★★★☆☆

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