日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった 全11話

2025年冬クールフジテレビ系「木曜劇場」枠。

香取慎吾のフジテレビ連ドラ主演は2014年『SMOKING GUN〜決定的証拠〜』以来。SMAP解散、新しい地図になって以降の連ドラ出演は2021年のテレ東『アノニマス〜警視庁“指殺人”対策室〜』に続く2度目(解散前最後の連ドラは2016年のTBS『家族ノカタチ』。

1話

大森一平(香取慎吾)がいきなり小原家御一行(父の正助(志尊淳)、小5ひまり(増田梨沙)、保育園児朝陽(千葉惣二朗)を迎えるところから話がスタート。一応作中で概ねの設定は見せていったが、基本設定は公式あらすじ等を参照して事前に把握しておくのがベターな感じ。一平が元テレビプロデューサーだったが不祥事で辞める事になりフリージャーナリストとは名ばかりの無職同然の生活を送っている中で幼馴染で政治家秘書の真壁(安田顕)の勧めで大江戸区議会議員選挙に出馬して一発逆転を狙う事に決め、“ホームドラマを演じ切ってやるよ”と子育てアピール&イメージ戦略のために亡くなった妹の陽菜(向里祐香)の子供とその夫と一緒に暮らす事を提案する。なお陽菜とは亡くなるまで疎遠で父親の介護も陽菜に押し付けた事で独身の大森は仕事一直線で成功する事が出来たという事や、陽菜と最初の夫との子供がひまりで、離婚して再婚した正助との間に朝陽が生まれたという設定もあり、全て台詞でも段階的に説明はされたが、けっこういきなり始まった感じで分かりにくかった。

慣れない家事に苦戦し、ひまりはクールだし、朝陽はドラマ典型的糞餓鬼、保育士の正助は陽菜が亡くなってからはパートタイムの仕事に転職して限界的子育てを続けていたがこの同居により保育士に復帰。園長(中山美穂)がこっちの都合も聞かずに残業を強制的に押し付けてくるブラックな職場のため深夜帰宅も頻繁という別に最低男じゃなくても何だコイツらと思うような展開が目白押しに。朝陽が熱を出したから迎えに来いという保育園(朝陽を預けている保育園と正助の職場は別)からの連絡も正助は電話にも出られないほど多忙で政治家と会う大事なタイミングだった一平が対応するハメになったり、一平が家事に疲れてズルしてハウスキーパー&ウーバーで夕食を片付けようとしたところ頼んだスープが牛乳を使用しているのを見落としていて朝陽の牛乳アレルギーを発動させてしまうとか、正助の仕事が忙しすぎて不在だったために起こった出来事でもあり、“最低男”が最低だったからではない

さらに朝陽へ過剰な根性論でお遊戯界のダンス特訓をしたのも正助は咎めてくるし(これはどっちが悪いという事でもなく、何もしない正助と努力をひたすら求める一平との真ん中を模索べき案件だったけど)、母が死んだのは自分のせいだと気にしまくっている朝陽に母ががんで死んだのを説明する元TVマンらしく資料集めをしてVTR制作・編集して伝えようとした一平にも文句を言う正助。結局強引に見せた結果、一平が正解でお遊戯界に行くのを渋っていた朝陽は行くと宣言。しかし実際のお遊戯界ではもじもじして動けない。ただ見ているだけの正助・ひまり。

これまた大事な政治パーティーに出席していた一平だったが、会場で『罠の戦争』最終回後の現在の鷲津(草彅剛)に出会った際に朝陽がくっつけた応援シールを見ると保育園へ猛ダッシュ。モジモジしている朝陽に声をかけて励まし、朝陽は無事に踊れたのだった…。

なんかもっと初回はマジで嫌な奴から改心していくドラマなのかと思ったら、口では“ホームドラマを演じ切ってやるよ”と言いながらも、自身の幼少期と重なった朝陽にかなり入れ込んでいるし、手間もかけようとしていた(元々努力の人なので1度決めたやるべき事への努力は惜しまないタイプ)。動機はどうあれ実の父である正助よりよほど朝陽と向き合って本気でぶつかって問題解決していて、実際出て行こうとしていた正助も正直嫉妬したと残る事を決めるほど。ラストでは“ホームドラマを演じ切ってやるよ”と電話しているのをひまりが聞いてしまい問い詰めるところで終わったけど、日本一どころか”最低男”でもなんでもないじゃん…

あと中山美穂の遺作が話聞かずに残業押し付けてくるというけっこう嫌な役だったのに驚き。

2話

不動産屋で地元の有力者である二階堂(岩松了)の支持を得るためどうしようか、という中で朝陽の保育園の先生が二階堂の息子の剣聖(佐野玲於)だったと判明。しばらく帰っていないらしく、ここから世話を焼いて恩を売ろうとした一平だったが、剣聖はパートナーの智也(中井大)と結婚式を挙げようとしている同性カップルだった。智也側は周囲の理解を得られていたが、二階堂は分かってくれないだろうという事で躊躇していた剣聖に対して一平はTVプロデューサー時代のツテを使って夕方の特集番組でLGBTQのドキュメント企画の放送枠をゲットし、自ら撮影してドキュメントの制作を開始。

当然二階堂は激怒して一時決裂、結婚式自体も無くなり最悪の事態となりかけて追い込まれるが、反省した一平は真摯に向き合い剣聖と智也に手作り結婚式を提案。信頼を勝ち取った一平に2人が自らやはりドキュメントを撮ってほしいとお願いし、無事放送され、放送では父への感謝の手紙の部分がノーカットで使用された事でそれを見ていた二階堂も氷解。万事解決となった。

色々と近い繋がりでいかにもドラマ的なためか、開き直って智也の高校時代の同級生が正助で智也から告白を受けた正助は戸惑ってしまい気まずくなった…という過去までぶち込まれていたのは御愛嬌。特に1話完結エピソード型ドラマでは昨今必修案件、1ドラマ1エピソードがノルマになっているかのように扱われる同性LOVE案件が早速登場。センシティブな話題を利用しようとする最低男…とそのままやってしまうにはセンシティブすぎるせいか、一平は表面上最初から最後まで丁寧な対応で失態らしい失態も無く(辛い事も多かったでしょうからみたいな最初の一平の発言を聞き流して受け入れていたのに一時信頼が崩れてから再度持ち出してきてほらやっぱり分かったふりしてるだけで利用してたんだとあーだこーだ文句言うのは無しにして)、終盤は本気じゃないとフリでは動けないような対応。やはり”最低”だったらできないような打算を善意に変える天才だし、思ったより優しい作風のようだ。

3話

ひまりが本格的に不登校になってしまい、不登校支援を選挙に利用しべきだという真壁(安田顕)の勧めで一平は不登校問題に向き合う事に。相変わらず選挙のためだと言いながらも向き合う中で柔軟な発想を見せ、率先してリーダーシップを発揮して冬キャンを企画実行したり、実の父ではない事もあって苦悩する正助に割と的確な言葉をかけたり、別の不登校児との交流によって信頼を得たりと口先だけとは思えない真心ある行動を連発して事態を改善させた。ツンケンしていたひまりも氷解して、ひまりちゃんからひまり呼びに変え、わざわざ宣言してみたりと計算だけではできないような信頼関係を構築。さらに序盤で支援とは名ばかりのクソ区長(堺正章)による暴力的な不登校矯正施設の話にその時は乗っかった一平だったが、最後には真壁に何かうまい具合に断ってくれと伝えて今回の件で得た不登校問題について持論を語るなど、学習能力もハンパなく、普通にいい人のいい話過ぎる展開。最後に再確認するように「すべては選挙のためだ(ニヤリ)」で締めるも最早取ってつけたようで…。

4話

今度はこども食堂をやろうという話に。都(冨永愛)に話を持ち掛けるが子供がいない都はイマイチそこに共鳴できずに断るが、生理の事を一平や正助に相談できずに万引きしたひまりとの交流を経て考えを変えるという今回もいい話に。しかも都と家庭を持った友人の千夏(美村里江)で考えが変わってしまい、都が自身を大人になり切れていないと評したり、改めて一平が死んだ妹の陽菜が自分をどう思っていたのか気にかけたりと独身と既婚者の感覚の違いを見せてきたのはあまり出てこない視点で興味深かった。1発ゲストの美村里江って誰かと思ったら22年前に月9でデビューしてしばらく主演級だったけど気が付いたら見かけなくなっていたあの”ミムラ”か。当時も何で急にこんな主演級なんだろうと思っていたが、すっかり普通の脇役アラフォー女性になっていた。

冨永愛と美村里江が同じ40そこそこで、中学高校で先輩後輩関係だった=1歳差か2歳差で香取慎吾、その幼馴染が安田顕って改めて実年齢との差がおかしくない?香取慎吾と冨永愛だと6歳差なのと千夏(美村里江)が40越えて急に考えが変わったような事を言っていたので2人の間を取った40半ばくらいに設定しているにしても安田顕だとさすがにもう少し上に見えるしなぁ…。

5話

正助の働くブラックフォーピース保育園が舞台。園長の園田(中山美穂)が正助に無理な仕事を押し付けまくっている様子が何度か出てきただけだったが、中山美穂急死に伴って鮫島(中山忍/中山美穂の実妹)が新園長として登場。園田の出番が少なすぎてイマイチキャラが掴めないままだったが、別人ながら設定上は役柄をほぼ引き継ぐという事で繋ぎの脚本を変えて子供たちに「誰?」と言われる、新園長として職員に挨拶するシーンを追加した以外は元々園田がやるはずだった言動行動を鮫島がやっていると思われる。鮫島は”選ばれる園”になるために改革をすると宣言、英語教育やプログラミング教育を導入すると言い出して職員の反発を買い、早速栗田(八木優希)ら若い保育士5名が一斉に退職宣言。前から限界だったのが改革宣言きっかけで辞めるという展開を”前園長の頃から”限界だったのが”新園長の”改革がきっかけになった形に変えたようだ。

こうして真壁の指示で手伝いとして一平が参加する事になり、おっはーとキメの挨拶をしたところ子供たちが誰も知らず「お、おっはー知らないのか…」「おっはー知らないのか…」「おっはー知らないのか…」と連呼しながら地味にショックを受けている中の人ネタ(慎吾ママは2000年なのでそろそろ知っているのが親世代に近づきつつある)に時代を感じるぜ…(後で子供に面白いからと真似されて嬉しそうにしていた)。

いつものようにインスタに様子を投稿していた一平だが保護者から勝手に自分の子供が投稿されていると苦情が来たので正助がアカウントを確認したところアカウントが自分たち家族になっている事も判明。一平に消してくれと強く言うが何故か苦情が来たとは言わないので一平も曖昧な謝り方しかせず…しかもアイコンと保育園写真だけ消せばいいのにアカウントもろとも削除しようとして結局止めてしまうというなんだか双方モヤッとした感じに。

船井(山村紅葉)も一緒にボランティアで参加して上手くやっていたかに見えたが転んだ子供が怪我も無さそうなので報告もしなかったところ、捻挫だった事が発覚して園長に苦情が来て一平と船井は追い出されてしまう。そしてその様子に愛想をつかしたベテラン保育士の林(伊勢志摩)まで辞めると宣言。

一平は謝罪しつつ秘策を思いついたと言い、園長への最終嘆願が失敗に終わると保護者を集めて正助と一平だけで勝手に説明会を開催。保育士の窮状と大変さを訴えてストライキをやるけどその間も別の場所で子供を預かるから大丈夫だ協力してくれと言い出す超展開に。もうみんなこの保育園辞めようとしているのになんだコレ。しかも実際にはどんどん辞めているどころか正助1人しか保育士が残っていない崩壊状態なのは黙っていた挙句、協力に来た栗田と林らもにも後から連絡して次の職場が決まってなかったから来てくれたという…。

保育園でその様子を撮影した動画を見ていた園長だったが、正助が辞めた保育士や一平たちが嘆願に来て具体的な改革案を提示してももまだ考えを変えず、トドメに一平が保護者の要望書を出してこのままではそもそも園児がゼロになる事を突きつけてもようやくツンデレ気味に渋々受け入れる始末。既に保育士が正助1人、園児も間違いなく辞める状況でもこの態度って一体どうするつもりだったんだろうかこの人。中山美穂もここに来て随分な嫌われ役を引き受けていたんだなぁ…。

2008年『薔薇のない花屋』で子役時代に香取慎吾の子供(実際は友人の子供)として出演していた八木優希とのドラマ再共演が実現したが、直接的な会話は無し。

最後は一平の部屋で選挙パンフみたいな原稿を見つけた正助が一平に激怒し、選挙に出るために家族を利用しているのかと迫って次回へ続く。正助って割と一平を早くに信頼しつつも頻繁に一平の人間性を疑うという行ったり来たりで一平評がブレブレなところは前からあった。ブラック保育園で長時間労働していて一平といる時間が少なく、平日は疲れて帰ってきた夜と慌ただしい朝くらいでほとんど接点がないせいかとも思ったんだけど(展開上2人でよく話しているように見えるけど実際は画面に映っているところ以外ほとんど顔合わせてもいないよねっていう)、今回はかなり直接的に助けてもらって行動を共にする時間も長く、打算ではない一平の真剣な部分にきちんと接したと思うんだけど、それでこんなキレちゃうものなのか。感情が分かりにくい大人が多いドラマだなぁ。

6話

ごまかすかと思ったら家族を利用したと認める一平。しかし正助はかつて一平に「ちょっと疑っていたが生活に困窮していたのでそうだとしても乗っかってしまおうと思ったと」正直に語っていたため、一平も「正助も自分を利用しただろう」と迫る。正助はあっさり謝罪してひまりの誕生日を過ぎたら出て行くと告げ家事は全部自分でやると宣言。前回で改善の兆しを見せたとはいえ一平の元で暮らすまでは保育園勤務が出来ない状態だったわけで、あのブラック保育園勤務を続けられるとは思えないんだけど…。一時やる気を失う一平、朝食は正助が用意したが、しがみつけという真壁の指示で夕食を明るく張りきるも無理だと方針転換。子供たちを味方につけて出て行きたくないと言わせようと考える。

ひまりの誕生日に合わせて実の父の話題になるが、捨てて逃げた最低野郎という事前情報しかなかったがその本人である康太(奥野瑛太)が登場して改めて真実が明らかに。友人と孤立する老人のためのシステムを作って
会社を立ち上げるも営業する企業から理解が得られず、また営業力の無さもあって頓挫しかけていた。そんな中でも陽菜が献身的に支えてくれてやがて結婚してひまりも生まれて幸せに。しかし会社はうまく行かず、プレッシャーと申し訳なさから逃亡してしまったという。登場するなり土下座の情けない姿で保険金を残して死のうとしている有様にキレた一平はお互い利用し合ったっていいじゃないかと相互利用の件も踏まえながら大演説。正助も乗っかって、ひまりの誕生日にはついに再会。一平の提案で実の父はお父さん、正助の事は正助くん→パパに呼び方を変えて分ける事になり、今後の再会も約束して感動的に終了。

康太はこども食堂の一件を報じたニュース番組の特集に出ていたひまりを見て陽菜が死んだ事も把握して会いに来たというきっかけだったが、これとは無関係に同じくニュースを見て怒りに震えていたのは一平がプロデューサー時代に強く叱責した事で倒れてしまった人物で強い怨みを抱いている様子で…。

利用し合ってもいいじゃん!という演説と今回の主題であるひまりの実の父の話に引っ張っていくために正助があんな変な言動になったという事か…。エピローグが無かったので正助が出て行く話をどうするのか、改めて考えを伝えるシーンは無かったが…。

7話

老人ホームに入っていた父の平蔵(柄本明)が突如帰還。不機嫌に怒鳴り散らかすザ・昭和の頑固親父かに思われたが…。正助が部屋で死にまつわる短文が書かれたノートを見つけたため遺書ではないか、大病が見つかって施設を追い出された(健康な老人用の施設なので)のではないかと推測。亡き陽菜と約束していた様子から去年で終わってしまった冬の商店街の祭りを復活させるべく一平が奮闘を開始。

しかし、平蔵は昔ミュージシャンを目指した事があり、今改めて曲作りを再開していただけだった。入院していた陽菜との約束は祭りで歌を披露するというもので、むしろより暖かい話に転がっていき、祭りも成功。祭りの場では平蔵が陽菜へ捧げる弾き語りオリジナル曲を披露し約束も果たし、元気にホームへと帰還していくのだった。

今回の一件で一平は気まずくなっていた旧友と再会して友情を取り戻し、2話で関わった二階堂(岩松了)との関係も深まり、父との関係も改善させ、正助も選挙利用を容認したようで、新たな選挙用チラシにツッコミを入れるほど信頼関係が増した。

ザ・昭和の頑固親父の描き方が斬新で素直になれない頑固ジジイかと思いきや、平蔵は早い段階で一平の訴えを聞いて自分がダメな人間だった事はとっくに痛感しているとして人生が間違っていたとまで過ちを認められる人物像が描かれ、その上でさらに本音を見せて正助や一平との関係も良好なものにちゃんと自ら変えていけた。時代ごとに価値観が変わっているので、当時はそれが正しかったと正助がフォローしたりもしていたし、ステレオタイプではなかったのはかなり丁寧だった印象。

しかし柄本明マジで弾き語りするんかい…と思ったら若い頃に歌手活動したこともあったのね…。古くても40代の頃の『ゴジラVSスペースゴジラ』からしか知らなかったので驚いた。

8話

前回協力してもらった高校時代の同級生武流(田中美央)経由で宮島(須賀健太)から近くの学童が閉鎖になったので見つかるまで子供を預かってほしいと頼まれ、数名の子供たちを自宅で引き受ける事になった一平。正助も手伝う事になるが、延長延長で20時までのはずが21時が当たり前になるなど様々な問題点が浮き彫りになる。

今回は明確な解決を描くのではなく問題を提示しながら一平と正助が意見をぶつけ合ったり、改めて一平がこの状況を改善するのが困難である事を認識しつつ、政治家になって少しでも変えてくれと正助がここに来て本格的に一平の選挙計画を応援する流れになったりと選挙編突入への前フリとなった。ひまりと朝陽が一平の選挙を応援する空気を作るため、一平は事前に真壁に話を通して、“一平の友人で政治家秘書の真壁がこれまでの一平の活動を見て政治家になるよう打診しにくる”という茶番を演出。正助もこれに乗っかりみんなで応援するムードが出来上がったのだった。

また正助はこのまま学童を自らやりたいと言って一平も乗っかったので自宅で学童をやる事になったが…区長(堺正章)から命じられたのは再開発反対派の説得。さらに再開発立ち退きには自宅も含まれることが発覚。再開発の話は二階堂(岩松了)に前回の最後にここだけの話として教えられ、冒頭で真壁に聞いた時ははぐらかされた話だっただけに、真壁が信用できるのかも含めて最終展開はどうなるか…。

須賀健太は冒頭お願いに出てくるくらいしか出番無いし、他の子の母親である星野真里も毎日延長して申し訳なさそうにしているだけ(出てきた回数は多かったが)と、2人のゲスト役者の出番がなんだかイマイチな感じがしたがこれは香取慎吾と2002年の月9『人にやさしく』繋がりの2人というところに意味を持たせた感じか(須賀健太は子役時代)。

9話

再開発に反対している老舗の銭湯高田湯のあき子(市毛良枝)を説得すれば2/3になり再開発を進められるとしてあき子の説得を指示される一平。腑に落ちないながらも二階堂ら地主連中は未来の街のために必要だと純粋に再開発を望んでいた。一方で庶民であるあき子は地主だけが得をする、再開発計画に反対ではないが他にやり方はあるのではないかと考えており、説得は難しそう。一平自身も街に愛着を持ち始めており、1度断念。しかし、嫌がらせ地上げが始まってしまい、一平が差し向けたのかと疑われてしまい、説得したくないが説得しなきゃいけない板挟みに。ついには抗議デモまで開催されてしまい、必死にみんなをどうにかしたいと訴える一平を正助も擁護。正助のアシストで平和に収まりそうだったところ、抗議用の看板が即席過ぎて切れて落下、一平を突き飛ばした正助が意識不明の重体に陥ってしまう。

この件で高田湯は立ち退いて再開発は進められることになったが、一平は区長らに計画を見直すべきだと進言。それが受け入れられないなら公認は辞退して無所属で出馬すると宣言。それも区議ではなく、間もなく任期を迎える春の区長選挙に立候補するとして区長や黒岩、そして真壁も敵に回す事を決意して次回へ続く。

区長が実に嫌な奴に描かれていただけに、やはりラスボスとして倒しに行く展開になった…が、一平のP時代の叱責で辞めた部下というデカい火種の伏線が残っており、区長を倒して新区長になってハッピーエンドというストレートな展開になるかは読めない。

10話

区長選挙出馬を決めた一平。これまでの仲間の協力で選挙活動を開始するが、早々にプロデューサー時代に一平のパワハラが原因で辞めたとされる野上(ヘイテツ)が暴露系配信者になっている事を聞かされ、窮地に追い込まれる事を予見すると方針を転換。協力者達の協力を断って打ち切りにして、いざ記事が出るとマスコミを挑発。ヤバイ奴だと思わせておいて野上のキメポーズを使って、パワハラ相手が野上だと示唆すると野上が暴露配信で自宅に突撃訪問してくるように仕向ける策士っぷりを発揮。

野上と正直な意見をぶつけ合い、野上自体も意外と心優しい人物で随分前にこども食堂のニュースで見かけた一平に復讐しようとしていたが、まさかそんな事をやり始めるとは思わずこれでは他の関係ない人たちを巻き込んでしまうと考えて躊躇してこれまで取り上げなかったという。

結局思いをぶつけあって和解の流れになったところで一平は裏で準備していた現区長のパワハラ隠し撮り動画をその場で公開。大騒ぎになり不敵な笑みで最終回へ続く。

「最低男」感がほとんどなくどんどんいい人になってしまった中で、ここで最低男っぷりを発揮。今回ほぼ全て先回りして計算して行っていた(迷惑を書けないように周囲の人間を遠ざける、野上を引き入れるか引き入れられずとも野上がやってきて区長のパワハラをリークできればいいという捨て身の作戦、そのために時間稼ぎしてパワハラ素材を集める)ところが実に悪だくみ。

このひねりっぷりだと区長当選ENDではないか?

11話

暴露スキャンダルを否定できないと踏んだ区長は会見中に倒れたフリをして、その後泣きの出馬取りやめで区民の同情を買いながら黒岩(橋本じゅん)を後継候補として院政狙いに方針転換。一平は容赦なく黒岩のスキャンダルも暴露し、野上と共に暴露連発で区長選を世紀の足の引っ張り合いで泥沼化させる。見かねた二階堂は区民と直接接する機会が多かった黒岩の秘書である真壁(黒岩の出馬により議員秘書は自動失職)へ出馬を要請。真壁の落ち着いた公正な態度が指示を集めていく。一平にはどんどん悪評が溜まっていき…。

最終演説の日、真壁の演説を近くで聞いていた一平は思わずし、さらに復活した正助がやってきてなおも悪役に徹しようとする一平にこれまで一平と関わってきた人はやろうとしている事は全て分かっていると告げる。ここでようやく回想が入り種明かし。区長選出馬を宣言するより前(9話終盤?)に真壁が集めた区長パワハラ素材をもって一平の元にやってきて、これを暴露して区長を失脚させるが黒岩が後を継ぐだろう、その黒岩の不正も今集めているからこれらも暴露する、そしてお前が区長になるんだ!と要請してきた。元々一平を政治の道に誘ったのは高校時代に一平が掲げた理想を区政として実現させるためだったが、一平には何も知らせずにやった方がいい結果になるだろうから伝えなかったという。互いの信頼と友情を改めて理解した一平は暴露は俺が引き受けるから区長は真壁がなれと告げて作戦を考案。こうして悪役に徹していたのだった。

また二階堂には事前に根回しして作戦を伝えてあり、そんな演技は出来ないという二階堂に、二階堂の元に真壁擁立の声が増えてきたタイミングを見て動けば自然でいいと指示していた。野上とは対談配信の場で突如暴露をしたのはマジで、あの配信を終えた後に事情を説明。話を聞いた野上はそこに乗っかり、最終的に真壁へ票が集まるように世間を扇動するためにピエロになる覚悟はあるか聞いた上で、一平の振舞い方を詳細に提案して一緒に動いてくれていた事が判明。これだと最低男と一緒に暴露合戦を繰り広げた野上もかなり信頼を失ってしまう事になるが…それでもやってくれるなんていい人だったな…。

他の人たちは誰に言われるでもなく、真壁へ投票するという作戦だと勘づいてくれていたっぽいが、ひまりやその友人になった子とかはちょっと難しくないか?朝陽なんて全く理解できずに嫌がりそうだったが、そこはドラマ的に悪ぶった最低男を演じる一平を全員が真意を理解して応援するという形に。

こうして真壁が当選。黒岩はなんだかんだ認める形で去っていったが、現区長の出番はなし。そして元の家に戻った正助、ひまり、朝陽の元に旅立った一平が帰宅して声だけ聞こえて帰還を示唆したところで終了。

全部終わっての感想

最後がやや強引だったが、コロッコロ空気で態度を変える一般市民を絶妙な具合で皮肉った秀逸な最終展開だった。真壁との友情が最後の最後でクローズアップされ、単体では熱い友情に泣ける展開ではあったが、前回まで真壁の行動や心情があまり描かれず、ほとんど「高校時代からの同級生」「一平に毎回問題解決を指示するか勝手に問題を持ち込んだ一平に忠告する」というくらいで、政治家としてそんな理想を持っていた様子が無かっただけに急に穏やかな聖人になってしまった感はあったか。

全く最低ではないのが初回から続いていて最終回で作戦によって世間的には”日本一の最低男”を背負うことになったという自己犠牲オチだったとは…。分かっている人が分かっているからそれでいいんだ、無責任な世間なんて気にするなという事でもあり、今のフジテレビがやる事でより説得力が増した。

久々の香取慎吾のフジテレビ連ドラ復帰だったためか、SMAP時代共演した子役との大人になっての再会共演(須賀健太、八木優希)を筆頭に過去共演者がゲストで出てきての再共演が目立った。よく考えたら対立した区長(堺正章)とも新旧孫悟空繋がり(香取慎吾主演の『西遊記』で堺正章はお釈迦様でゲスト出演)でもあった。ただこれらの狙ったようなキャスティングは2000年代までに限られていて2013年以降『幽かな彼女』の生徒達とか『SMOKING GUN〜決定的証拠〜』共演者の登場は無かったな。

コメント

タイトルとURLをコピーしました