あたりのキッチン! 全11話

2023年秋クール、東海テレビ・フジテレビ系「土ドラ」枠(23:40~0:35)。

この枠は年間6~7本で概ね2ヶ月程度で入れ替わる変則編成となっているが、2023年6作目となるこのドラマは唯一10~12月のほぼ1クール放送となっている。

2017~2018年まで連載された白乃雪による漫画(全4巻)原作。

1話

極度の人見知りで人と話すと挙動不審になってしまいまともに対話できない重度のコミュニケーション難な大学3年の辺清美(桜田ひより)はバイトをしようにも電話をかける段階で失敗してしまうほどだった。絶対味覚を持つ料理好きな清美は無意識に匂いに引かれて定食屋「阿吽」に突入。この店は1年前に妻を亡くした中江(渡部篤郎)が1人で切り盛りしていた。独り言で料理の素材を正確に言い当てる姿を近所のフラワーショップ店主のハル(峯村リエ)が称賛し、バイトに雇えばいいと言った事から勇気を出してバイトしたいと意思表示した清美は比較的挙動不審な清美にも寛容な姿勢の中江に採用されてお試しバイトを開始。

注文を取ったり水を運んだりと基本動作にかなり難があるものの、真面目な姿勢や料理の知識は中江も感心するほどだったが、気遣いをしようとして失敗した清美はバイトを辞めてしまう。中江が大学に乗り込んできて諭したことで復帰した清美は失敗の原因となった若いサラリーマンがストレスで胃腸を悪くしている事を見抜き、「なんでもいいからさっと食べれるもの」という注文から関西風のだしを取って鶏みぞれうどんを提案し、感謝されるのだった。こうして清美が正式採用されて物語が始まった。

思った以上に主人公が挙動不審でドラマとしては若干イラつくレベル。もう少し成長するまではこれは仕方ないか。しかし同クールのミタゾノの6代目パートナーとはまた正反対のキャラを…。30分枠か長くても40分枠で収まりそうな話を1時間枠でやっているのでやや間延び…というか途中からCMが小刻みに入りすぎていた印象はあったけど、割と暖かな空気感で良かった。1人1人にあった食事を個別に用意するという店主のこだわりがあったとはいえ、時短で急いでそうなサラリーマン相手にダシの取り方から2人で話し合ってじっくり作っていく…ってあのうどん提供するまでどんだけ時間かけたんだ…というのは野暮か。

渡部篤郎がすっかり初老っぽくなっているところに時の流れも感じたが…。そういえばあの独特の癖のある喋り方を今回はしてなくて普通に優しいオジサンになってたな。

2話

学部は違うが同じ授業を取っていて顔見知りになっていたもののうまく話しかけれらなかった桜(工藤美桜)と仲良くなるというあらすじしか公式に触れられていなかったが、実際には近所の洋菓子店「ちあき」の跡取り息子の専門学生で根暗な勝と遭遇、ノートを落としていったので届けに行った際に根暗同士で通じるものがあって試食して感想を述べるなど菓子作りの方向性に悩む勝に助言するというサイド展開もあった。桜は公式の相関図にも載っているが、勝は相関図に入らないどころかあらすじにすら載せてもらえずクレジット以外にWeb上で役者名が表記されていないとかなんでこんな雑な扱いに…。

桜は華やかに見えたが食事や人づきあいがが苦手らしく勉強が得意なので同級生の取り巻きはいるもののあまり深い付き合いは無いらしい。食事は栄養バーで乗り切っており、取り巻きと分かれた途端に貧血で気絶してしまった。食べた方がいいという清美にみんなと同じ事を言うとして1度は失望して去ってしまうが、食べるのが苦手な人もいるという中江のアドバイスで清美が改めて謝罪。挙動不審ながら誠実な清美の態度に桜も心を開いて人づきあいが本当は苦手で食事も嫌いだという本心を明かしてくれた。清美は「阿吽」に桜を連れて行き、中江と共にさばの味噌煮定食を食べやすいように作り上げて提供。おいしさを知った桜はまた来ると感謝を告げるのだった。一方で清美に作りたいものを作ればいいのではと言われたっきり疎遠になっていた勝は「阿吽」にやってきてこのやり取りを見ていて覚醒。こういう事なのかと原点回帰して誰かに喜んでもらえるお菓子を作ると目標を定めた。

という事で新たに2人との関係を深めた…んだけどこの内容でなんでその片方である勝とのエピソードが公式あらすじに一切載らないなんてことになるんだ。そこが最大の謎だよ…。

工藤美桜が大人っぽくなってて分からなかったが、そういえば去年の『彼女、お借りします』で桜田ひよりとレンタル彼女の先輩後輩で共演してた。あの時は妹キャラなのでかなり振り切って幼い感じに見せていただけで今回の方が普段通りというか年相応だったのか。

3話

母の朋子(西尾まり)が亡くなってからあまり会話も無かったが中江の高校3年の息子である清正(窪塚愛流)と中江のややギクシャクしていた親子間を清美が取り持つお話。清美が大学受験の際に弁当を忘れて空白で大学周辺を彷徨っていた際に通りがかってメンチカツを分けてくれたおばさんが実は中江の妻であり清正の母だった事が発覚(昔の写真を見せてもらった時に写っていたのが朋子だったため判明)。清正の部活の大会前の決起集会に店を使う事になりその際のメニューとして当時のメンチカツを清美が再現。中江と清正はどこかで食べた事のある味だと感じており、朋子のメンチカツだと知った2人は感動、亡き母のメンチカツを通して2人の仲も改善されるとう暖かいお話となった。

この窪塚愛流って窪塚洋介の息子か。もう20歳になるのか…。そういやブレイクして20代前半ですぐ結婚、フライング事件起こした時はもう息子生まれた後だったっけ。

4話

桜に惚れたので手伝ってほしいと秋斗(遠藤健慎)が依頼してきててんやわんやする話。食事が苦手な桜に対して辛い上に量も多い店に連れて行ってしまい失敗するも最後は清美がシェアできる麻婆豆腐で2人を良き友人関係にまで持っていくことに成功。

既に割と変わった人っぽい事は示唆されていた桜だったが、今回もチャラ風な秋斗を嫌っているわけではなく、普通にお友達になろうとしていて1度拒否したのは食事の件で相手に悪いと思ったからというもので挙動が怪しい上に明らかに下心ありそうな秋斗に対する警戒は全く無い。なんかそのうち悪い奴に騙されそう…。

5話

両親が亡くなってから清美を育ててくれた明美(原沙知絵)が再登場。妊娠中だったが子供が生まれたら新居でまた一緒に暮らさないかと言ってきた。極度の人見知りだった清美のために何でもお膳立てしようとしてきた明美だったが清美は独立したいと考えていてうまく伝えられず、最終的には伝えあい、明美は清美の成長をしっかり感じて去っていった。桜だけでなく、秋斗も友人としてレギュラー化。

6話

中江の味覚が消失。御時勢のせいか明らかに原作にはない「コ〇ナの検査もしたが陰性だった」という台詞がぶち込まれたが、結局その後発熱して風邪が原因だったと判明。なんだこの展開。味覚消失は〇ロナ特有のものではなくただの風邪でも起こりうるという事をさりげなく示唆したかったのだろうか。どこまで立ち入っていいのか清美が思い悩む話。秋斗がレギュラー化したのがいい感じに作用してこれまで出会った人たちからのアドバイスもあってより信頼関係を深めていく流れとなった。

5話ラストで何故か店のチラシ寿司のレシピが清美の幼い頃の料理ノートに挟まっていた事を中江だけが気づいて不審に思っていたが、今回も判明せず。清美は店の前の置物に恐怖を感じた子供の頃の記憶がフラッシュバックするもなんだか自分でも分からず、中江は「こんな偶然があるなんて」とだけ言っていたので受験の時に朋子(西尾まり)と関わった以外に子供の頃にも接点があった様子。

7話

桜の祖母を元気づけに清美も実家へ同行する話。当初豚汁を作ろうと事前練習をして準備していた2人だったがついてみると祖母は祖父との思い出の喫茶店のナポリタンを食べたがっているっぽいので急遽予定変更。しかし桜はパスタをゆでてと言われて鍋からはみ出たパスタをそのままくってりさせてしまうほどの料理下手で自身喪失。仕方なく清美がほぼ全部作って完成させるが、祖母はおいしいと言いながらほとんど食べずに残してしまう。母曰く精神的に落ち込んでいるので食欲もないとの事だが、再度思い直した2人は桜がメインで少し味を変えて再度作り、今度は祖母も喜んでくれたという展開に。

う~ん弱っているとはいえちょっと祖母が優しそうで面倒そうな人に見えてしまった。2人の友情が深まるのは良かったんだけど。

おばあちゃんの若い頃の写真が既にカラーである事に地味に時の流れを感じた。

8話

清美が就活シーズンに突入、進路に悩み、食の関係の仕事を探す中で食品開発はどうかと大手弁当チェーンのインターンを受ける事に。男女2人との3人組で新商品の企画プレゼンを行う事になり、オドオドワタワタしていた清美は当初まともに提案もしないので若干見切られ気味で、男女2人だけでほとんど話を進めている状態となってしまう。しかしから揚げ弁当の新展開というテーマが決まった後、用意していた既存の弁当を食べてもいいですか?と言って食べだす辺りまでは完全にもう駄目だコイツ的な目で見られていたが、得意の食材分析を見せると一転驚愕となり、新たな味つけの変更を提案すると一気に2人にも信頼されるようになり打ち解ける。

喋りが苦手な特性も理解され、プレゼンでは女性が喋り、男性がスライド操作、清美は立っているだけでよいという事になり安心していたが前日に女性が声帯炎で声が出なくなってしまう。清美にスライド操作をさせて男性が喋るという案は清美にスライド操作させてテンパったら大変な事になるからという理由で却下となり、何故か清美が喋る事になってしまう。何故この男女2人はお互いの役割を入れ替えるだけ(男性が喋り、女性がスライド操作)という考えに及ばないのだろうか…

奮闘した清美はワタワタしながらも伝えるべきことは伝え、一定の評価も得たが、優秀賞は取れなかった。それでも成長を実感して満足した清美は採用へ繋がる懇親会は辞退。それよりも清正のサッカー部最後の大会に向けての前夜の食事作りのために奔走し、開発よりも誰かのために料理を作りたいという料理人になるという目標にたどり着くのだった。

ややツッコミどころはあったものの確かな成長を見せた回だった。なんで清美だけ就活してるのかと思ったけど、桜は同じ3年生でも医学部なので進学?兼原に至っては出てこなかったが設定良く見たら兼原は1つ下の2年生だった。

9話

料理人になる事を決めた清美は調理師免許取得のため専門に行くのではなく、実務経験を経て試験を受ける道を選ぶために卒業後も「阿吽」に置いてくれないかと中江に持ち掛ける。既に卒業までのバイト期間から必要な実務2年のうち、卒業後は残り7ヶ月必要らしい。そんな中、一流料理店『和食おおそね』の料理長の息子の小学生がやってきて清美の料理の腕に感嘆。将来結婚して継いでくれと言い出した。「阿吽」が下に見られたためムキになった清正は小学生相手におおそねを越える料理を作ってやると宣言してしまう。

最終的に清正が意見を出しながら清美と中江と3人の共同作業で「阿吽」らしいカレーライスを作って小学生を認めさせることに成功。自分なりに店を支える手段として清正は商学部への進学を決意。一方で中江は卒業後に「阿吽」で働く事には否定的で次回へ続く。清美の父との関係はまたしても引っ張る…。

10話

清美の父と中江は昔同じ料亭で修行しており、清美の父は料理人として有望だったという。しかし妻を早くに亡くし、清美を育てるために料理人の道をあきらめて清美に人生をかけた父は中江にはその事は言わないで置くように言い、明美にもそう言っていたらしい。中江が清美を見ても幼少期に会った事を思い出せず、中江が清美の父に渡したレシピを清美が持っていた事からようやく気付いたという事は苗字が違っていたのだろうか…?

一流料理店『和食おおそね』と中江が話をつけていて料理修行を行うためにおおそねの採用試験を受けるために奮闘する清美だったが失敗してしまい最終回へ続く…。

これまで絶対味覚の持ち主である事と中江が感嘆するようなアイデアを出す事があったため料理の天才的才能がありそうな感じもあったんだけど、中江の料理の知識に清美が感嘆する場面も多かったように、清美は料理の腕前や知識は意外と持ち合わせておらず、あくまで絶対味覚の能力を除くと料理は趣味レベルだったっていう事なのか。

11話

『和食おおそね』の試験に失敗して引きこもってしまった清美だが、聞けば試験に失敗したというより試験前の段階で包丁が危ない位置にあるのを言い出せず、落ちそうになったのを慌てて受け止めようとしてケガをしたために試験が受けられなかったという事らしい。1話以降「阿吽」での日々と出会った暖かい人たちと関係を築いた事で少しは自身をつけてきたものの、一歩外に出れば自身のコミュ不足を改めて認識してしまう結果となり激しく落ち込んでしまう清美。周囲の支えで再度持ち直し、さらにおおそね料理長の息子の小学生樹(森島律斗)との交流が続いていて樹が父の誕生日に和食コースを作ろうとして上手く行かないのを食べたいものを作ってあげればと路線変更をアドバイスした事で大曽根料理長(橋本じゅん)自ら「阿吽」に清美の料理を食べにやってきた。

壁を乗り越えた清美は自分らしく相手に合わせたハンバーグ定食を提供。未熟な部分も指摘されつつも高評価を得て採用が決まるが、「阿吽」でこのまま伸び伸びやった方がいいのでは?と聞かれると「阿吽」はホームであり早く中江に追いつくために修行したい!と熱弁。「和食おおそね」で修行して「阿吽」にカムバックする宣言、やや失礼な感じもしなくもないが本採用となり、卒業後「阿吽」で壮行会が開かれたところで締め。清正は大学生になって本格的に厨房にも立つようになり、「阿吽」は父と息子で今後回していく模様。桜は医学部だったのでやはり研修生活に入っているようで、1年後輩だった秋斗は就活に励んでいた。

全部終わっての感想

料理モノではあったが、極度なコミュ障が一歩踏み出す成長物語として割と繊細に丁寧に作られていた印象。最終回での再度の落ち込みからの再起もややもどかしい部分がありつつも丁寧だったし、それだけに「和食おおそね」での修行にはかなり苦労しそうではあるが…。壮行会ではなく修行を終えて戻ってくるのを示唆する数年後パターンで終わりの方が安心できたかも。

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