時をかけるな、恋人たち 全11話

2023年秋クール、カンテレ制作フジテレビ系「火ドラ★イレブン」枠(23時~23時30分)。

1話

アートディレクターの常盤廻(吉岡里帆)はある日公園のベンチに座っていたらいきなりワープしてタイムパトロールを手伝ってくれと打診される。1度断るも夢だったのかの確認のために後日再度ベンチに座ったら再度ワープさせられ、なし崩し的にタイムパトロール案件に同行する事に。

23世紀人の横井(泉澤祐希)は大昔のCD集めが趣味で1度生で見てみたいと違法な手段でタイムトラベル。偶然見かけた路上ミュージシャン・綿谷ジュン(吉澤嘉代子)の歌に惚れ込んでマネージャーになっていた。違法行為がバレ、双方記憶を消されて元の時代に戻される事を了承した素直な横井だったが最後に今日のライブ出演までは見届けさせてくれと頼みこみ快諾される。ライブ後、時折言動がおかしかった事からジュンも横井が未来人ではないかと薄々思っていた事が明かされ、お互い思い合っていた事も改めて判明しつつも記憶を消されて帰っていくのだった。

一方で廻は最初から妙になれなれしかった井浦翔(永山瑛太)から過去に出会っていた事を聞かされて次回へ続く。エンディング映像では横井とジュンのその後も描かれ、未来が少し書き変わり、それまで音源を制作しておらず横井によれば未来にジュンのCDは残されていなかったそうだが、記憶を消される前に書き上げた横井への思いを曲にした楽曲は記憶を消された後も代表曲になってCDをいくつか制作するに至ったらしく、横井が帰還した未来で記憶が無いながらもジュンのCDを発見して購入していく様子が描かれた。

タイムトラベル&現代人と未来人の恋人モノというコメディになりそうだが、早くも主人公が記憶を消されていて以前にも物語があったことが発覚。なかなか面白そうな出足だ。

2話

翔によれば廻が大学生の頃に出会っていて大恋愛をしたという。記憶を消されているので廻には全く覚えが無く、翔のキモイ挙動も不審者にしか見えん…。

今回の違法トラベラーは17歳の未成年(南出凌嘉)と27歳の教師(鳴海唯)で駆け落ち同然でこの時代に逃げ出してきたらしい。23世紀ではAIによる相性判定で婚約が強引に決められる世界になっている事も判明。今回は同じ時代の23世紀人同士なので記憶は消さないことになったが、ごねる少年。廻が辻褄を合わせる妙案として少年はそのまま元の時代に戻し、教師は元の時代から10年後の世界へ送る。こうすることで少年は27歳で同い年となり晴れて2人は年の差を乗り越えて同い年カップルになる、と。

未来に行くのはOKなの…?10年ウラシマ状態は本人もそれでいい(元の時代に戻っても教師クビになるし)と軽く流されてたけど…。問題は少年が若き日の一時の思いだけで先生LOVEしているだけで10年も経てば別の女に…となってしまう悲劇だったが大して気にしてない一行。世にも奇妙的なドラマだとここに悲劇的な結末持ってくるところだが、今作ではストレートにエンディング映像で待っている教師の元に27歳になった少年がやってきてのハッピーエンドが描かれたのでホッとした。

3話

会社の後輩で廻がほのかに思いを寄せていたが同僚と婚約発表していた広瀬(西垣匠)が廻に気があるようなそぶりを見せ始めたり、取引先の相手が初恋相手で偶然の再会からアプローチを仕掛けられるなどモテ期が到来した廻。翔も積極的で廻も徐々に受け入れモードになっていくがさすがに問題視されたらしく、ラストでは任期1週間が命じられてしまう。

今回の違法トラベラーは堅物系公務員のチサ(清水くるみ)で仕事で令和に来た際に道に迷って見かけた看板で惚れたホストにゾッコンになり、ホスト通いしていた。一方的にホスト狂いになっただけかと思いきや相手のホスト永遠(とわ)(吉村界人)も本気だったことが判明。ルールではトワの記憶を消してチサは強制送還だったが…辻褄を合わせようと考える廻の元に違法トラベラーカップルを手助けするような活動で指名手配されている時空犯罪者のうちの1組である時空賊マギー&キケロから紙飛行機のメッセージが届く。指示に従いトワのDNAを調べたところ23世紀で盗まれたクローン孤児と判明。よってトワは元々はチサと同じ時代の人間だと判明し、2人して未来へ行くという事で辻褄合わせとなった(エンディングでは未来で子供が生まれている事と未来でもNo.1ホストになっている事が明かされた)。

1話の頃から廻と翔をこっそり見守っている廻と翔(別時空の2人?)という場面があったりしたので、今回名前だけ登場した時空賊マギー&キケロが廻&翔(微妙に名前ももじってる)であろうことも示唆された。既に1週間の任期という期限付きになったので次回まで定型パターンで5話から展開が変わるのか(マギー&キケロの活動開始へ移行)、最終展開になるのか。

4話

翔の気持ちを受け止めて再び恋に落ちようとしていた廻だったが、浮かれすぎて仕事をミスしてしまう。さらに今回の違法トラベラーのトシ(田村健太郎)は現代で出会った売れない芸人の桜(福田麻貴)とコンビを組んで活動して人気コンビとなりつつあったが、当然任務としては別れさせる事になり、任期1週間を知らされた廻が改めて時空を超えた恋愛は出来ない事を思い知らされる羽目に。

トシは23世紀で芽が出ない作家で気晴らしの時空旅行で業者に騙されて現代に取り残されていたところを桜に救われ、ピン芸人だった桜の構成力の無さを見抜いてネタを整理整頓。なし崩し的にツッコミ役として一緒に舞台に立つようになったという。これまでの回だと現代人の相手にも未来人だと伝えた上で、2人を呼び出して現代人側の記憶を消すことに同意してもらう形を取っていたパトロール一行だったが、今回はコンビとしてそこそこTVにも出て売れてきているため全員の記憶を消すことが至難であり、徐々にフェードアウトさせるしかないという事で未来人であるトシの方の記憶を消した上で未来へ戻し、桜の方には真実を告げずに別れさせるという措置が取られた。

よって2人を救済する手段がそもそもなく、廻がやったのもトシが死んだという設定の新台本をトシに書かせて散々練習させ、当日トシを失踪させ、1人で台本のコントをやらせて1人で生きて行けるようにするというなんだかしっくりこない内容。桜はそれでスッキリした表情で空を見上げて終わり、記憶を消されたトシは普通に未来へ帰って終わってしまい、その後トシは未来で作家として賞を受賞、桜もピン芸人として何らかの賞を受賞してお互いステップアップした事だけが示されて終わり。けっこうトシにラブラブ依存気味だった桜が割とあっさり立ち直れたのがあんな死んだ設定台本だけでそんな心情になれるのか、かなり謎だった。

5話

後輩の広瀬(西垣匠)が婚約を破棄したと廻に知らせてきた。1度メッセージを返信した廻だが即削除。しかしアプリ(LINEに相当するものとして描写)の仕様上、自分側のメッセージを消しても相手に送信されたメッセージは相手のスマホには残ったままとなる。これに気づかず、広瀬をその気にさせてしまい苦悶する廻。

そんな中、今回の違法トラベラーは2023年にバス事故で死んだ妻に会いたいと30年後からやってきた矢野(今野浩喜)。過去を変えるのは禁止だと即返そうとする一行に対して思い出のレストランにだけ行きたいという願いを翔が聞き入れてしまい、案の定逃げられてしまう。矢野はバスに向かう妻に突撃して止めようとするが駆け付けたパトロール一行が阻止し、記憶を消して強制送還。

しかしやりきれない思いを抱えた廻は翔が駆け落ち用に準備していた違法タイムボードを使って記憶を消されて元の時代に帰った30年後の矢野を再度連れ出し、現代の矢野のスマホを盗んで妻に朝のケンカを謝るメッセージを送らせ、それを見た妻からの返信を確認後そのメッセージも消して(現代の矢野には何も残さないため)思いを伝えあう事だけを成功させる。運命は変わらず妻は死ぬままとなったが、30年後の矢野は感謝を告げて去っていくのだった。

この一件を通して駆け落ちを決意した廻は翔と共に別の時代へワープして逃避行が始まって次回へ続く。

という事で定型パターンを外れて、既に匂わせている時空賊マギー&キケロ爆誕へと話が展開していくものと思われる。面白くなりそうだ。

6話

駆け落ちした2人は廻が生まれる前の1980年代に逃げ込み作戦を考える事にするが気がつけば豪遊していた。そこにオペレーターのりおん(伊藤万理華)が追いかけてきた。書き置きがあったというりおんだったが2人に心当たりはなくこれも後の時空賊マギー&キケロへの伏線か。

実はこの時代のこの場所は両親の結婚のきっかけになった場だったが、父(村上淳)はりおんに惚れて追いかけ始めてしまう。混沌とした状況の中で母(森カンナ)にフラれてしまわないように奮戦する一行だったが最終的にはタイムボードで父を少し前の時間にタイムスリップさせて解決。すると後から昨日出現した未来の自分に明日ここに来るように言われたから自分も役目を果たしに行くという。

どうも両親の出会い自体が廻・翔・りおんの介入とタイムボードありきだったようで…。これまでクールなだけで存在感も薄かったりおんが慌てふためていたり違う表情を見せてきた。

7話

自分たちが過去を改変した行動がそもそも正史になっているのではないかと気づいた廻・翔は廻が今のデザイナーの職業に就くきっかけになったお姉さん=自分だった事に気づいて確認するため2003年に。初恋相手の諸星君は3話で登場して「手紙ありがとう」と言っていたが、改めてこの時ラブレターは渡せなかったはずだった事を思い出した廻。リリリー(夏子)が妨害工作にやってきていたのだった。

しかしさらに過去に回って手紙を書き換えた廻。これを見て何故かリリリーはあっさり手を引き、一時帰っていたりおんが戻ってきて2人への協力を約束して次回へ続く。

ぼちぼち過去の回との辻褄合わせも出てきたが、リリリーがあきらめるの早すぎね?30分枠の弊害?と思ってたらエンディング映像で諸星君の様子を見に行った際に諸星君との相性が翔を上回っていて一目惚れしていた事が分かって態度を豹変させていた事が分かる…となっていた。

8話

現状で手段はないがルールが変わるまでの時間稼ぎとしてりおんの提案で時空犯罪者を捕まえて昇進する事で任期満了や転任を回避してひとまず乗り切る事にした廻・翔。2人が最初に出会った2013年で翔が捕まえられなかった時空犯罪者を捕まえればいいんじゃね?という事で当時の2人の出会いを見守りながら2013年の大学内に出向いた2人。しかし廻の後輩の広瀬(西垣匠)が追いかけてきてこの際に2023年の流行り言葉を口にしまくり、聞いていた学生たちの間で拡散。翔と広瀬が当時の翔の任務であった流行ってないはずの言葉が流行っているという異常の調査の犯人であった。さらに廻も加担してしまい…辻褄合わせというか前回同様にこれらの干渉が史実だったという事に。

ラストでは廻・翔の当時の記憶を消した別れが足早に描かれたが、広瀬を追いかけてさらにやってきた受付の梓若菜(田中真琴)には触れられなかったのでこちらは次回描かれる模様。

干渉・改変ありきの正史だった事になってきたがどこへ向かうのか。

9話

隊長の和井内(石田剛太)に呼び戻された2人だったがお咎めなしで廻の上司の猿谷(岩谷健司)が未来人と接触して未来の情報を受け取っているという疑惑の調査へ乗り出すことになる。梓と遭遇して協力してもらい、実は広瀬が思いついたプレゼンの企画変更案は廻がこの時に梓に教えたことを広瀬に自分の提案として言うようにお願いした者だった事も判明した。

未来人の正体はまさかのタイムパトロールの同僚八丁堀(シソンヌ・じろう)だった事が判明して驚愕したまま次回へ続く。

詰め込み展開でちょっと良く分からなくなってきた。8話終わりでタイムボードで広瀬を迎えに登場してきた梓ってなんだったの?

10話

八丁堀の罪が暴かれる中で監査(津田寛治、園山敬介)がやってくる事になる。その前につじつま合わせを行うとして廻は過去に向かい、翔も協力してこれまでの話で不自然だった部分に介入していくという最終回前の答え合わせ回

1話の綿谷ジュンに対しては記憶消去後、CDを出さないかと持ち掛けてCDを作るように促した事で未来では存在しなかったはずの綿谷ジュンのCDが残り、エンディングで出ていたように横井が23世紀でCDを手にした(厳密にはこれは視聴者に示された事実であって廻が把握している事ではないのだが…)。2話の未成年と教師の騒動の際は解決のヒントになったものを手早くそこに置いておく。

以降は全エピソードではないが、ゆず胡椒キャラメルがカボスになっていたシーン、翔が実は過去に会っていたと廻に告げた際に廻の名前を叫んだものの翔本人が声を出していなくて驚いていたシーンや、80年代に駆け落ちした際に追いかけてきたりおんが書き置きがあったと言っていたシーン、広瀬が2013年に追いかけてきたシーン、不自然に梓まで2013年に広瀬を迎えに来たのにその後全く触れていなかったシーンなども10話時点での廻が手を回したつじつま合わせだったと判明した。また5話の矢野(今野浩喜)がトイレだと言って逃亡したシーンは本当にトイレなだけで矢野に逃亡する気は無かったが廻が手をまわして逃亡させていた事も発覚。こんな細かい立ち回りまでよく気が付いたな…。

一通りメモしていたつじつま合わせを終わらせた直後、監査に捕まった2人は記憶を消されてしまい最終回へ続く。今回で一通りの過去回の介入があったっぽいシーンは片づけたので残るは謎の存在「時空賊マギー&キケロ」だけだが…。

11話

記憶を消された2人だが和井内とりおんが犯罪者八丁堀に記憶消す装置に細工をさせたため監査の目をごまかして記憶は消されていなかった。それでも翔は時の牢獄送りとなってしまい、廻は記憶を持ったまま元の生活へと戻っていった。広瀬と梓が結婚し、リリリーと諸星の交際が順調である中、1人となった廻は記憶が残っていて逢えないのも辛い…と落ち込んでいたがそこに翔が登場。時空賊マギー&キケロがテロ騒動を起こしたドサクサで逃亡したという。

すぐに和井内とりおんに回収された2人だがそこに未来から通信が入り、リリリーと諸星の間に子供が生まれ、そこから未来への子孫を辿っていくとなんと和井内が子孫の1人だった。和井内が存在しているという事は未来人と過去人の間に子供が生まれた歴史が正史となっている事の証明であり、未来人と過去人の間の恋愛が許される事を意味する。歓喜した2人はそのまま飛び出していくが、その中でついに時空賊マギー&キケロって廻&翔じゃね?という可能性に気づく。2人は時空賊マギー&キケロとしての活動を開始してハッピーエンド。

時空賊マギー&キケロとしての活動はエンディング映像で廻が本来通らないはずの公園に向かうように工事中を装って進路を変えさせてあのタイムパトロールへ通じるベンチに誘導されていた事が判明したのみ。

全部終わっての感想

大きな矛盾が無く軽快なノリで駆け抜けていく良く出来たタイムスリップモノ。さすがに『サマータイムマシン・ブルース』のヨーロッパ企画だけあって手慣れたもの&新しい良作をまた生み出してくれた。30分しか無いのでかなり駆け込み展開になっていたのでテンポは良かったが40分枠くらいならもう少し色々見られたような気もする。

あと早くから示唆されていた時空賊マギー&キケロになるのが最終盤の最終盤となり、時空賊マギー&キケロとしての活動の裏側を見せる場面はほとんどないままだったのだけちょっと残念。10話でマギー&キケロとしてではない過去回の辻褄合わせは見せてくれただけに、時空賊マギー&キケロが暗躍したと思われる出来事の裏側も見たかったな。

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