2024年1月13日~、テレビ東京「ドラマ25」枠。『すべて忘れてしまうから』の後番組。
田辺誠一主演。ヒロインの影山優佳は前年に日向坂46を卒業後初の連ドラ出演。ドラマ自体は学業休業前のけやき坂46時代の2017年『Re:Mind』以来、映画含めると日向坂46在籍時の2021年の映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ファイナル』以来となった。
1話
洋食屋「キッチン白鳥」店長の白鳥(田辺誠一)の元に突然バイト希望の天野杏奈(影山優佳)がやってくる。試しでの働きっぷりが良かったので即採用となり、初日を終えた杏奈が帰宅するのと入れ替えるように”依頼人”の平野壮馬(戸塚純貴)がやってくる。白鳥は親から引き継いで1人でやってきた昼営業のみの「キッチン白鳥」とは別に犯罪以外であれば特殊な依頼を引き受ける「運び屋」の仕事も行っていた。平野はデュオでプロを目指していた路上ミュージシャンで依頼内容は突然行方不明になった相方の一ノ瀬奏太(山口大地)にギターと楽譜を届けてほしいというものだったが、どこに住んでいるのか分からないという。こっそり戻ってきて話を聞いていた杏奈も勝手にくっついてきて一ノ瀬探しが始まる。
平野も元大家のおじさんも楽器屋の店主もみんな口を揃えて一ノ瀬は元々はいい奴だったが最後の方は約束を守らなかったり、家賃を滞納したり、勝手に消えたりと身勝手な行動が目立っていたと証言。実家に出向いた2人はそこで一ノ瀨を発見するが、一ノ瀨は記憶がない様子。母に聞くと若年性アルツハイマー病になってしまい昔のことを覚えていないという。当初拒否されたがギターを届けるまで帰らないとごり押しした結果、渡す事となったが、ギターを渡された一ノ瀨は思い出しはしないがギターの弾き方を覚えていた。
若年性アルツハイマーと聞いても白鳥が驚かなかったのは、これまでの証言や渡された楽譜には何故か路上ライブの日付だけでなく平野と歌う事まで詳細に記載してあった事から察していた事が明かされ、後日知らされた平野は号泣しながら音楽を続けると宣言。こんな感じで依頼人の思いを届けて繋いでいくという形で「運び屋」としての白鳥の様子を描きつつ謎なのが杏奈。30分枠なのでほとんど詳細が明かされず、明るく好奇心旺盛な性格なのは示されたもののド頭での謎の少女の涙の回想からの店にやってきた様子など含みを持たせているが…過去に「運び屋」白鳥との接点があったのは間違いなさそうだが、単純に生き別れの父親とかではないよな…さすがに。
2話
榊原(立石晴香)から指定時間にスマホを届けてほしいという依頼が。相手は人気芸人の飯沼(おいでやす小田)で妻子がいたが別れると騙して榊原と付き合っていたらしい。告発案件かと思いきやお届けに上がると既に俳優の妻(東風万智子)にバレており、妻は自身の料理YouTubeで公開生謝罪をさせると息巻いていた。スマホに映っていたのは不倫の証拠ではなく子供達に人気がある飯沼のファン達の動画で子供たちの夢を壊さないためになんとか内々で処理できないかという榊原の気遣いだった事が発覚。更なる土下座懇願アタックで激怒する妻にすがる飯沼だったが白鳥と杏奈が去った後にギリギリで話がついたらしく公開謝罪は行われなかった。時間が指定されていたのも子供が塾で家を空けている時間を狙ったという気遣いだったらしい。
しかし後日、榊原に報告した際には週刊誌に既にネタが掴まれていて不倫バッシング全開、しかもみんな知らなかったもう1人の相手がいた二股不倫だった事も報道されているという地獄絵図(飯沼にとって)になっていて気遣いは余計だったのか…というなんともいえない後味で終了。杏奈の謎は特に進展なし。
昨今の不倫ムーブを大胆に導入し、どうしようもねぇ不倫芸人をリアル芸人のおいでやす小田にやらせるという絶妙すぎる人選、事務所の大先輩が不倫を越える大スキャンダルで週刊誌と世間警察によって地の底へと堕とされて逝く真っ只中でこの回が放送されたのもなんともいえない味わい深さであった…。
3話
小学生の少女(志水心音)からネット上で励ましてくれた友達リコちゃんが突如音信不通になりクマのぬいぐるみを届けてほしいという依頼が来る。2人は父親と思われる大学教授(升毅)を突き止めるがどうにも反応が冷たい。杏奈は純粋に教授が父親だと信じていたが、白鳥は違和感に気づいて教授にその研究は辞めろと言われている教え子(長岩健人)に注目。彼こそがAIリコちゃんを生み出した開発者だった…というオチ。AIだった事は明かさずにAIリコちゃんを再起動して通話させることで依頼人の少女を救う形で配慮して終了。
教授に1人息子がいる事は明かされたのといくら方針に沿わない教え子だからって冷たすぎるのはAI開発者の教え子が息子だからなのかと思ったが苗字も違うし別にそんな事は無かった。教授を父親ミスリードさせるためにちょっと教授の態度に違和感があったかな…。全体に違和感がありすぎてAIリコちゃんオチはすぐに見えてしまった。
4話
家出をした娘に誕生日ケーキを届けてほしいという母親(中島ひろ子)からの依頼。娘(中井友望)は思いっきりグレてしまい10代不良のたまり場というか不良が住み着いているという寂れた商店街に生息しているという。なんだその無法地帯設定。しかもそんな不良がたむろする現場で白鳥が「ハコビヤだ」とか名乗るともう白い粉とか売りに来たそっちの運び屋(非合法)みたいになってるじゃないか…。
1度追い返されてケーキを持ち帰った2人だったが、家に飾られた歴代誕生日写真の0歳だけなかった事に気づいた白鳥が聞くと、赤ちゃんポストに捨てられれていた子供を養子にしていた事とその事がバレて家出された事が判明。最後は2人が母親も連れて行って母親から直接思いをぶつけてもらった事で和解となった。不良仲間達も実に気のいい連中で突っかかってくる事もなく温かく見守ってくれるというちょっと綺麗にまとまりすぎた感はあるものの普通にいい話で着地。
5話
3話にもツケの常連客として出ていた店のオープン時からの常連だという椿山(皆川猿時)がまたしてもツケにした後に届けの依頼をしてきた。着ぐるみを渡してほしいという事でこれまた支払わずに料金分のハズレ馬券を渡してきた椿山だったが、きちんと引き受けて向かう白鳥。しかし着ぐるみバイトの代理を引き受けさせられただけで、仕事が終わった後にやってきた椿山は給料だけかっさらってまたはずれ馬券で逃げていったのでさすがに白鳥と杏奈も追跡して確保。確保時にゲーゲンプレス!!とか影山のキャッチフレーズをぶち込んできたのが笑った。
白鳥は着ぐるみ時にやってきた少年とその母親(映美くらら)に関係があると推測しており、問い詰めたところ椿山は少年の母親が高校時代の同級生で当時30回告白してフラれた片想い相手だと自白。最後の告白時に日本一の芸人になったら付き合ってくれと言い物凄く曖昧な表情をされたのが最後だったという。着ぐるみのバイト中にあまりにティッシュ受け取ってもらえなず暇なのでパントマイム芸をしていたところ、少年がメチャクチャ食いついてきて常連となり、その母親が偶然にも高校時代の初恋相手だった。しかし落ちぶれたバイト生活の自分が惨めなので正体は明かせず、あくまで着ぐるみのうさぎさんとして少年と交流するだけの日々が続いていたがさすがにしんどくなってきてバイトを押し付けたらしい。
椿山と白鳥では体型が違い過ぎたためか、同じ着ぐるみでも少年は別のうさぎさんだと気付いていたようで、白鳥のうさぎに対して友達のうさぎさんに渡してくれと手紙を渡していた。両親の離婚で引っ越すことになった別れの手紙で、これを知った椿山は去っていくバスに向かって着ぐるみ姿でパントマイム芸を披露し少年と母親を喜ばせるが、正体は見せずにあくまで着ぐるみのうさぎさんを全う。
椿山は日本一の着ぐるみになると新たな目標を立てるも相変わらずツケは払わないままで逃がさないように2人が追い立てるも払わず、結局着ぐるみバイトのついでで店のチラシを配らせることになって終了
同時に白鳥が新聞記者だった事が明かされ、父が亡くなって店を継いだ時に学生時代に借りパクしていたゲームを返してほしいという返却代行を頼んだ最初の「ハコビヤ」依頼が椿山だった事、これがきっかけで「ハコビヤ」が始まり、椿山が周囲で触れ回った事で軌道に乗った事も明かされたが…正直それだけで甘く見続けるのはさすがに…。ただ椿山の愚行が極端にならないようにツケの料金がたった1万4000円(1万はハコビ料金なのでツケは4000円だった)だった事も最後に明かされた。のらりくらりで何年も溜め込んで10数万近い被害額になっていてもおかしくなかったが、常連で4000円という事は1食500~1000円程度だとして5回~10回未満程度となり、週1~2回程度の常連だとすればこの1,2ヶ月でツケを連発していたっぽい。
それでもちょっと椿山が酷すぎるかなこれは…。実際の皆川猿時と映美くららは10歳離れてて皆川猿時に合わせた50代設定なのか映美くららに合わせた40代設定なのか不明だったが、40~50代の中年男性が結局14000円の支払い能力すら持たないままでビラ配りで許してしまうのはユルすぎるし、厳密には着ぐるみパントマイム芸っぽいけど日本一の着ぐるみになるって発言がイタすぎるしエピソードの残念感が凄かった。自身の情けなさを正直に吐露する場面もあっただけにツケを真面目に返済するくらいの行動は見せてくれないと…。あとティッシュ誰も受け取ってくれない感が凄すぎた割に最後のビラ配りはみんな受け取ってくれてるのもツッコミ待ちだったのだろうか(普通に逆だろう…)。
6話
依頼人が来ないままに届けに出かける事になり、いつ来たのかと聞けば1年前だという。満男(水瀬裕也)という青年が1年後に女性に渡してほしいと託したのは指輪と花束(花束は1年前では無理なので当日調達指定)。話を聞いた杏奈はフラッシュモブを仕掛けたプロポーズだと推測。なんと実際にフラッシュモブを行う派手な妄想シーンが展開。
しかし実際にそこに待っていた女性の姿をした男性声の人物は1年かけて手術して性転換した美月(元満男)だった。自分で自分を祝福してあげようという意図でこのような事をしたらしく、例によって白鳥は状況から推測していた模様。両親にも会えていないという美月を杏奈の提案で両親の元へ送り届け、1年前の自分からの手紙の朗読をバックに無音声で両親との対面シーンが描かれ、父親の方は反応不明で出番が無くなり、母親は動揺していたものの、平静を装う満男と呼んでから名前も?と聞くと名前も変えたよと答える美月。名前を聞けずに一旦離れた母だったが子供の頃に女の子だったらミツキと名付けていたという話を思い出し、ミツキ?と聞くと美月も覚えていた事に驚いてそうだというので親子の絆を感じて抱き寄せるのだった。
当人の辛さをセンシティブに繊細に描いていたものの、ルックス好青年すぎな水瀬裕也に無理やり化粧とヅラ被せて女装させているだけにしか見えず…。また極端な女性口調にするよりもただ静かに控えめに話すキャラ設定になっていたので生まれ変わった本当の私感よりも孤立してでも茨の道を進むみたいな繊細さが出すぎてしまっていたような。まあ繊細に描けばいい話風になる昨今の風潮ではあるのか(逆に一時期のようなオカマキャラとしてお笑いにしてしまうみたいなのは差別だ傷つけるだという事で禁じ手になったある感じ)。
7話
画家の世良(森永悠希)から今度コンクールに出す絵を音信不通になった恩師の朋美先生(原田佳奈)に届けてほしいという依頼。自身の絵にもう1つ確信が持てていなかった世良は朋美先生の教えで進むべき方向性を見出し、自信作が出来たら真っ先に見せると約束していたが突然もう会わないと言われてしまい音信不通になっていた。それでも約束は果たしたいという事での依頼で、杏奈はあえて厳しく突き放したのではないかと推測していたが…。
お届けに上がると朋美は失明しており絵を見る事が出来なくなっていた。これを隠そうとして音信不通になっていた事が判明したため、世良に真実を伝えるべきか悩んだがあえて伝えた白鳥に杏奈は激怒。ちょっとキレすぎだろ…というのもあるが、依頼人の世良が帰ってからではなく、世良の目の前でブチ切れまくって出ていくのはさすがにどうかと…。
世良が持ち帰った絵にペインティングナイフを向けたカットの後に再依頼があってお届けアゲイン。激怒してたはずの杏奈も普通に同行していたが、今度は朋美が激怒。しかし絵に触れてみてくれと白鳥が言うと、実は来ていた世良が導き、絵に触れさせると絵はペインティングナイフにより激しい凸凹がつけられており、触る事で何が描かれているか感じる事ができるようになっていた。これにより「見えた(想像できた)」朋美は感謝し、世良も約束を果たせたことを喜ぶ。帰り道に杏奈は激怒した事を謝罪。一方で子供の頃に自身を母に届けてくれという依頼を何故果たせなかったのかと改めて考え…。
杏奈の過去の大枠は明らかになっているが、未だに白鳥に聞こうとしないで1人で何故何故言っているだけで結局進展なしのまま最終話手前まで来てしまった。次回「最終話」という告知が一切なく普通に「8話」予告が流れたが。次回が最終回(次回作『これから配信はじめます』が3月9日放送開始と既に発表されているので必然的に3月2日の8話が最終話)となるが、当時の杏奈に似た依頼人がやってくる話になっていて1話かけて過去を掘り下げるわけでもないようなのでちゃんと終わるのかどうか…。
8話
小2の湊(木村優来)から手紙は来るのに2年前から行方不明の母の元へ届けてほしいという依頼が入る。自身が子供の頃に母の元へ運んでもらえなかった事と重ねた杏奈は自分が絶対運ぶと宣言。自ら運転して探しに出かけるが、同行していた白鳥は母の手紙からすぐに状況を察し、湊を叔母の元へ帰そうとする。これに激怒した杏奈は白鳥に失望してもう仕事辞めると怒鳴り散らすと湊の家の前に白鳥を置き去りにして車で去っていってしまう。
以前もブチ切れてこうなったけど、思い込みの激しさと察しの悪さで時々凄く酷い言動行動に出るよなこのヒロイン…。白鳥の言葉足らずはあるにしても何か言おうしたら「来ないでください!」と叫んで話聞かずに勝手に車に乗ってっちゃうもんだからあんまりすぎる(白鳥は湊に聞かれる状況では真実を言えないが、杏奈が終始湊を連れ回して行動しているので伝えようもない)。
その後も勝手に聞き込みを続ける杏奈だったが車に発信機を仕込んでいた白鳥が追いつき、届けない方がいい依頼もあると告げる。しかし察しの悪い杏奈は自分の時もと激怒モード継続。この際に少女時代に母を届けてもらえなかった事も分かっているんだろうと杏奈が告げて白鳥が否定しなかったので白鳥は杏奈の正体を既に察していた事も判明した。そして湊が海を見て走っていったのでようやく聞かれる心配がなくなり、湊の母は既に死んでいる事を杏奈に教える白鳥。置いて行かれた際に叔母にも確認を取り、母が急死し叔母が引き取り、真実を言えずに仕事で遠くへ行っている事にして母を装って手紙を出していたという。
ここは渾身の謝罪と思いきや、何事も無かったように元に戻る都合のいい杏奈はさすがにどうなのか…。しかも真実を知って泣き顔モードだし、ついには湊にまで気を遣われてる。既に母はいない事を聡明な湊は察しており、杏奈の様子から母の死をやはりそうかと確信し、無理な依頼をしてごめんなさいと謝らせてしまう始末。母代わりの叔母の元へ送り届けて終了。
改めて白鳥は少女時代の杏奈の依頼の真実を語り、見つけられなかったのではなく見つけたが既に思いっきり子供2人もいる新家族(杏奈の年齢的に夫の連れ子っぽいけど)と幸せそうに暮らしていたので母にも何も告げず、杏奈には見つけられなかったと嘘をついていた。それを知った杏奈は納得。納得するよりお前まず白鳥に数々の非礼を一言でも謝れよ…。
ラストでは新たな依頼人として『推しを召し上がれ~広報ガールのまろやかな日々~』コラボで主人公の由寿(鞘師里保)が登場しておしまい。
通常エピソードとこの回だけで杏奈の過去の真実と白鳥がとっくに気づいていた事も明かさないとならないためか、かなり圧縮したらしく、本編25分より長い31分のディレクターズカット版がTVer配信となった。冒頭でカレーの話をした時に母のカレーの例え話を出してすぐに察する白鳥など随所で白鳥が察しているカットや細かい場面が追加された。本編ではいきなり薬局から杏奈と湊が出てくるカットがあったが、これも顔写真を見せたら薬局店員だと言われて薬局に行ったら似ている人だったという行程がカットされていたものだったらしい。
全部終わっての感想
1話30分でスパッとまとめたエピソードは毎回感動話ではあったけど、杏奈の過去を最後まで引っ張ったのはあまり盛り上がらず…。というか白鳥が察しが良すぎる&聞かれないと語らないのもあるが、それ以上に杏奈の察しの悪さとそれに付随するラスト2話での勘違いキレ芸がちょっと酷かった。当初は明るさを前面に出していいキャラだったし、多少察しが悪くても明るさと行動力カバーできていたのに7話→8話のキレ芸2連続は2連続で悪化してあまりにもあんまりだし、少女時代の杏奈を白鳥が運べなかった事もここまで白鳥と行動を共にして間近で見てきた最終回時点の杏奈なら運べなかった事情があったのかもしれないくらいは想像できるだろうに…。聡明さで知られる影山さんが想像力皆無なアホの子(最後の最後で直接聞かされて「そういうことかぁ…」とやっと分かる)というのが最終盤で強調されたのは残念さに拍車をかけた。
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