CURIO EPIC時代シングル回顧~1997-1999~

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1995年に大阪で結成されたNOB(Vocal,Sax)、AJA(Guitar)、KASSAI(Bass)、BRITAIN(Drums,Programming)の4人組バンド。1997年にEPICよりデビューした。翌1998年に「粉雪」がロングヒットを記録し、続く「君に触れるだけで」も前2作が大ヒットしていたアニメ『るろうに剣心』3代目OPとして起用され同等の10万ヒットを記録。いずれもトップ10には届かなかったが2ndアルバムではトップ10入りを果たしブレイク寸前まで盛り上がった。しかし1998年後半以降のシングルは失速してしまい、そのまま低迷。結果的に3年間でシングル8枚、アルバム3枚をリリースした直後、2000年年明けにNOBが覚醒剤所持で逮捕されてしまう。ソニーレーベル(SME)では前年夏に槇原敬之が逮捕されたばかりで、槇原は契約解除になっていたが、CURIOも契約解除となってしまった。

ヒットチャートでの活躍が記憶されているのはこの3年間のみで、今回もこの3年間を取り上げるが、CURIO自体は紆余曲折を経て復活を果たしている。

逮捕から1年後の2001年にはインディーズで活動を再開。しかしメインライターだったAJAが脱退し、NOB、KASSAI、BRITAINの3人編成となる。翌2002年にはワーナーへ移籍してメジャー復帰を果たし、このタイミングでEPICからベスト盤『BEST BANG!』もリリースされた(メンバー4人表記が“CURIO were”とご丁寧に過去形で表記されていた)。しかし復帰以降全ての作品がO社100位圏外となり、再度インディーズに戻ってシングルを出した後で2003年解散

しばらく動きは無かったが2007年にはEPICから3枚のオリジナルアルバムをリマスター&未発表音源を追加収録して再発、CURIOリターンと銘打たれた。先に脱退していたAJAがボーナストラックの解説を行うといった元メンバー関与の動きはあった。

2012年にNOBとAJAが2人でCURIO名義でライブを行い再結成、2013年にもCURIO名義でライブを継続したところでBRITAINも合流し、3人で2014~2016年の3年間では新作シングルも続々と発表して精力的に活動を行った。KASSAIはグラフィックデザイナーに転身しており不参加

2017年以降は新作が出なくなり、新公式サイトの更新も停止したがライブ活動は継続していた模様。2020年以降の世界変異により残されたFacebookの更新もかなり飛び飛びになっているが、存在自体は継続しているようだ。というか2023年にはXアカウントを乗り換え、NOBのソロ名義NOB FROM CURIOとしてCDリリース、ライブを行っている模様。ソロ名義だが2人も参加しているっぽい。

2024.2~3新規執筆

1st ときめき

B000064Q9R
1997年4月9日
プロデューサーにムーンライダーズの白井良明を迎えたデビュー作で初登場67位を記録した。

ときめき

作詞:NOB、作曲:AJA、編曲:CURIO&白井良明
ボーカルNOBがサックスプレイヤーである事も存分にアピールされていてイントロやアウトロにはサックスが導入されている屈託のない明るくポップで無邪気なラブソング。モータウンっぽいウキウキリズムがときめき感全開である。初期の頃は特に恩田メイン路線だった頃のJUDY AND MARYがやっていたような放課後の青春的な10代向けの方向性を売れ線として(同じEPICだし)、徹底してシングル表題曲では打ち出していっていたような印象。デビュー作から自作でこれだけのポップセンスを発揮できていただけに期待の新人バンドだったんだろうなというのは年月を経ても感じられる1曲。
★★★☆☆
1stアルバム『HYBRID
ベスト『BEST BANG!

C/W 新世界

作詞作曲:AJA、編曲:CURIO&白井良明
打ち込みを程よく生かした爽快ポップロックナンバー。1番の後は間奏(やや長め)~サビと展開して2番が無い構成で普通に終われば普通に爽やかポップな楽曲でサビの爽快さには表題曲級のキャッチーさもある3分ちょいのコンパクトにまとまったポップソング…のはずが何故か曲が終わらずに延々と長い演奏が展開。1度演奏が終了して打ち込み音のみになった後にベースが復活してボーカルも歌詞にならないダッダッダァッ!イェイイェイなどひたすら繰り返すとギターとドラムも戻ってきて延々演奏が続くカオスな状態になり、収拾がつかないままにフェードアウトしていく。

シングルバージョンは5分過ぎでフェードアウトで終わらせているがアルバムバージョンではフルサイズとなりインストが延々と展開。全体にミックスも変わっていて目立っていたベースラインが引っ込んでギターの激しさが増している感じ。歌メロの部分の2倍以上の時間延々とインストを聞かせ、最後まで演奏された時には8分22秒に至っていた…という謎の超大作に仕上がっている。正直曲本編とは関係ないようなアウトロとも呼べないような別展開みたいな演奏でここまで規格外の大作になってしまったのは謎過ぎる。CURIOがただのポップバンドではない事を印象付ける1曲になったとはいえ攻め過ぎである。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
1stアルバム『HYBRID』(アルバム バージョン)

2nd ひまわり

ひまわり
1997年07月16日
まさかの前作と同じ初登場67位となったが2週目も74位に残った。今作ではプロデューサーにGLAYやJUDY AND MARYを手掛けている最中で全盛期を迎えていた佐久間正英を招いている。EPIC期の大半は白井・佐久間両名をほぼ半々で起用しつつ、セルフやSALON MUSICの吉田仁を招いたりと1つの体制に固定しない方針となっていた。クレジットを見ると1stアルバムなんか録音エンジニア5名、ミックスエンジニア4名ととにかくその都度色々な制作陣を試しているのが伺えるが、新人バンドにそれだけ人件費をかけられていたバブル期だったんだな…(遠い目)。

ひまわり

作詞:NOB、作曲:AJA、編曲:佐久間正英&CURIO
前作と同路線の放課後の青春系ラブソングなので系統は似ているがさらにテンションが高い。元々は今作がアマチュア時代(大阪時代)の代表曲でこの曲の入ったデモテープを持って色んなコンテストに応募したり賞を獲ったりしたそうなのでこの曲の方向性を生かして初期の路線が決定づけられていたっぽい。ただアクセント的にアーリー90’sっぽいオケヒをフィンフィン連発させるところに若干古さを感じなくもない。

シングルバージョンは普通に演奏のみのイントロだがアルバムバージョンではイントロ部分にNOBによるレディース&ジェントルメン!イントロデュース!We are CURIO…(一部聞き取れず略)といったテンションの高いバンドの自己紹介のような叫び(ラップ?)が入っている(歌詞には未掲載)。この部分はアルバムで加えたものではなく、2007年リマスター盤BONUS TRACKのOriginal Prototype(’96 August-Demo)にも入ってたので、デモの段階ではあったものをシングルリリースの際に一旦外してアルバムで再度復活させたという流れだったのかも。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
1stアルバム『HYBRID』(アルバム バージョン)
ベスト『BEST BANG!』(アルバム バージョン)
1stアルバム『HYBRID』2007年リマスター盤BONUS TRACK(Original Prototype(’96 August-Demo))

C/W 君のすべてを見ていたい

作詞:NOB、作曲:AJA、編曲:佐久間正英&CURIO
表題曲と真逆の方向性の大人なラブソング。昼間から一転して歌詞も夜の世界観だし、ボーカルにはエフェクトがかかっていて曲調もダウナーな部分が前面に出ていてバンドの二面性を存分に提示している印象。間奏で急にハイテンションラップを始めてしまい世界観がここだけ異なる。ラップ部分の表記が全部カタカナで“エヌオービーノブボクノブ”(NOBノブ僕ノブ)というただボーカルが自己紹介しているだけの全く意味のない箇所の語感が絶妙すぎて笑う。

アルバミックスでは全体のミックスが変更されており、特にボーカルにかかっていたエフェクトが外され、序盤のキメの部分や2番サビやラストサビで鳴っていたブラス音がほぼ聞こえなくなっていて全体にストイックにバンドサウンドを押し出した雰囲気に変貌している。ただやっぱり間奏のハイテンションラップだけ浮いて…。

EPIC時代最終期にはライブで大幅リアレンジしたバージョンをライブ音源としてC/Wに収録したりもしていた。
★★★☆☆
シングルミックスアルバム未収録
1stアルバム『HYBRID』(アルバム ミックス)
8thシングル『see you,see me』C/W(live take)
3rdアルバム『PAWKY』2007年リマスター盤BONUS TRACK(’98.12.27 渋谷公会堂)(8thC/Wと同一音源)

3rd 風の宅配便

風の宅配便
1997年10月15日
1stアルバム『HYBRID』からのシングルカット。C/Wも同じくアルバム収録曲「Mr.ダイナマイトのテーマ」を「Mr.ダイナマイト2号のテーマ(AMAZON RIDER MIX)」に改変したシングルカット。ジャケット写真があからさまに『HYBRID』の別カットという正直若干手抜きを感じる仕上がりに…。アーリー90’sまでのシングルアルバム同時発売でジャケット使い回しは散見されたけどもう90年代後半だぞ…。初登場100位とギリギリランクイン。シングル盤にはアレンジ表記が書かれていない。

風の宅配便

作詞:NOB、作曲:AJA、編曲:CURIO
今作はプロデューサーが参加していない単独名義のアレンジになっていた曲で(シングルに表記は無いが…)、結果的にはEPIC時代のシングルで唯一のセルフとなった。アルバム曲ではけっこうロックな曲が多かったり、そもそもシングルでも隙あらばエレキギターを派手に鳴らしていたりするのでポップ一辺倒ではなく、もっとロックな部分も出していきたいというのが一貫してあったと思うんだけど今作はシングルカットされただけあってポップ寄り。間奏で突如ラップが始まりまたもWe are CURIOと叫んでバンドをアピールしているがこちらは正式な歌詞らしく、歌詞カードに記載されている。曲本編に全くジャズっぽさはないポップな楽曲だがこのラップ部分では若さ溢れるハイテンションとは対極に突如オシャレなアレンジになり“きらめきのジャズ”とか唐突に言い出すのでちょっと驚く。ていうかカオス
★★★☆☆
1stアルバム『HYBRID
ベスト『BEST BANG!

C/W Mr.ダイナマイト2号のテーマ(AMAZON RIDER MIX)

作詞:NOB、作曲:AJA、Programming by BRITAIN
ダッ!ダッ!ダッ!ダイナマーイ♪というノリノリな連呼がゴキゲンなロックナンバー「Mr.ダイナマイトのテーマ」が2号になりAMAZON RIDER MIXになったバージョン。新たに加えた表記は仮面ライダーネタと思われるが曲自体にライダー要素は無い。また2号なのに何故アマゾンなのかも分からない(アマゾンはシリーズ4作目で1号、2号、V3、Xに続く5人目、ライダーマンを4号とするなら6人目である)。BRITAINのプログラミング表記のみ記載されている。ロックバンドサウンドだったオリジナルとは打って変わった全面打ち込みに変貌しているのでBRITAINによる実質リミックスといえる仕上がり。
★★☆☆☆
アルバム未収録
1stアルバム『HYBRID』(原曲「Mr.ダイナマイトのテーマ」)

4th 粉雪

B000064Q9T
1998年1月14日
初登場29位→29位→30位→31位→38位→40位→39位→42位→38位→54位→70位→77位と刻むようなロングランで11週ランクインし、12.4万枚のヒットを記録。上位には届かなかったが『CDTV』を毎週見ているとかなり印象に残る1曲となり、当時をリアルタイムで体感していれば1度はどこかで聞いたことがあるのではないか。レミオロメン「粉雪」が大ヒットした後でも元祖「粉雪」だとか、「粉雪」はCURIO派、CURIOも名曲…といった声が多く飛び出していた印象で覚えている人が多かった模様。

今作がロングヒットしているのを見てCURIOを知った。名曲だと思ったものの中学1年の最後の頃でまだあまり資金力も無く当時まだ手に取ることは無かったが後年『BEST BANG!』を手に取り、さらに後年アルバム3枚を聞く事になる最初のきっかけになったのは今作のロングヒットの記憶だった。

粉雪

作詞:NOB、作曲:AJA、編曲:CURIO,白井良明、ストリングスアレンジ:深澤順
屈託のない放課後の青春路線のラブソングとは打って変わって今作では切なさ漂う失恋ナンバーでただ無邪気でポップなだけではないCURIOの新たな魅力を前面に打ち出した1曲になったといえる。抑えに徹しつつも存在感を発揮するバンド演奏とストリングスの絡みも絶妙でこの辺りのバランス感覚はこってりストリングスが前面を覆いつくすような大作がトレンドになった2000年代以降とは一線を画すものだと思うし、定番ストリングスアレンジャーには作れないアレンジだったのではないかと思う。歴史に残る名曲

『Sweet & Bitter』収録時に表記は無いがストリングスによる北風を思わせるイントロが新たに追加された。このイントロの頭は厳密には前曲「素晴しき世界」との曲間ギャップ部分に収録されており、プレイヤーにマイナスカウント表示があるCDプレイヤーではマイナス表示になる。マイナスカウント表記が無いプレイヤー及び配信では「素晴しき世界」トラック内の末尾にストリングスイントロが収録されている。このため『Sweet & Bitter』で「粉雪」を直接再生するとシングル同様のサビ始まりになるが、ストリングスが繋がっているのでストリングスが途切れたような音と歌始まりから再生されてしまう事となり、この事は注意書きとしても掲載されていた。『BEST BANG!』にはこのアルバムバージョンが採用されているが、上記の小細工が無くなりストリングスのイントロが頭から収録されているものを聞く事ができる。

シングルバージョンはいきなり歌始まりのためか、BACKING TRACK(カラオケ)では冒頭に小さなクリック音が入っていて歌い始めのタイミングをこっそり教えてくれる親切設計。ただCURIOってパッと聞きそんなに高音キンキン系ボーカルではないし、親しみやすく歌いたくなるようなキャッチーさなんだけどいざ歌おうとするとキーがやたら高い事に気づく。Bメロ辺りからもう限界越えてくるし、高音続きのサビはまともに歌えない(なのでカラオケに入れる人に会った記憶がないし、個人的にも試したことは無い。たぶん1つ下げた程度ではどうにもならず2つ3つ下げないとまともに対応できそうにない。しかしそこまで下げると別の曲みたいになってしまって音程取れないと思う)。

2007年リマスター盤BONUS TRACKにはOriginal Prototype (’96 August-Demo)が追加収録された。歌詞も一部異なるがアレンジがだいぶ異なっており、ややクリスマスっぽさも加味したようなアレンジになっている。AJAの解説によれば大阪時代のライブで数回披露しただけで色んな話の流れから一度は封印しかけた曲になっていたが1stアルバムの制作途中にレパートリーに復活させたという。このバージョンだと正直イマヒトツでその後のバンドの急成長と白井良明、深澤順のアレンジが光る。
★★★★★
シングルバージョンアルバム未収録(イントロ無し歌始まり)
2ndアルバム『Sweet & Bitter』(表記は無いがイントロを追加してその一部を前の曲の終わりに繋げたアルバムバージョン)
ベスト『BEST BANG!』(アルバムバージョンのイントロを頭から収録)
6thシングル『TO BE LOUD』C/W(Acoustic Breath)
2ndアルバム『Sweet & Bitter』2007年リマスター盤BONUS TRACK(Original Prototype (’96 August-Demo))

C/W いつか見た夢

作詞作曲:BRITAIN、編曲:CURIO,白井良明
HYBRID』からのシングルカット。BRITAINによる重めのミディアムロックナンバー。メインライターではないメンバーが書いた曲ってなんか方向性が違う感じがする事も少なくないが今作は割とメロディー勝負にもなっているし、ロックなCURIOの部分を引き出していて浮いた感じはあまりしない。時系列では逆だけど前作のAMAZON RIDER MIX何だったんだよ…後にベスト盤にも選曲された。
★★★☆☆
1stアルバム『HYBRID
ベスト『BEST BANG!

5th 君に触れるだけで

B000064Q9U
1998年5月27日
アニメ『るろうに剣心』OPというCURIO史上最大のタイアップで初代はJUDY AND MARY「そばかす」(ミリオン/最大ヒット)、2代目は川本真琴「1/2」(70万越え/最大ヒット)とどちらも突き抜けてダントツ最大ヒットを記録していたので注目が集まっていた。「粉雪」のロングヒットもあって今作で大ブレイク間違いなしと思われていたが…。意外と伸びずに初登場14位、2~5週目に4週連続19位という微動だにしないキープ力で一定の存在感を示すも34位→42位→56位と来てアルバムが発売されたのもあってか8週ランクイン、12.3万枚と前作と同等わずかに及ばずな売上となった。ソニーとしてはこのタイアップで一気に50万以上の大ヒットを想定していてもおかしくなかったと思われ、以降ろくなタイアップも用意されなかったのはその辺りにも理由がありそうだ。それでも二大代表曲として残るところには残ったヒットにはなっているんじゃないかなと思う。

君に触れるだけで

作詞:NOB、作曲:AJA、編曲:CURIO&佐久間正英
アニメ『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』3代目OP。前の2曲は40話前後使用されていたのに対して今作は12回しか使用されずに最終回となった(1クール分ではあるが夏の間は野球中継で放送が飛びまくるので一応4月~9月まで2クールかけて放送された)。前作に続いて『CDTV』で見ていて印象には十分残っていたし、これからまだまだブレイクしていくバンドなんだろうなというイメージで見ていた記憶がある。ただ結果的にはこれっきりNOBの逮捕報道までリアルタイムのCURIOの記憶が途絶えるんだけど…。また佐久間正英はJUDY AND MARYもプロデュースしていたので3作のOPのうち1作目と3作目を担当した事に。

1st~4thシングルで見せていた元気で明るくポップな放課後の青春っぽい屈託ないラブソングを歌う若手新人バンドCURIOという初期路線を極めに極めたポップ路線の最高峰的楽曲。ロックサウンドを聞きやすく仕上げる事に長けていた佐久間正英のプロデュース曲の中でもかなり明るめに仕上げている印象で、GLAYやJUDY AND MARYよりも同時期に手掛けていたアイドルバンドを脱そうと路線変更を模索していたTOKIOでの仕事っぷりに近い方向性だったように思う。

アニメは見ていなかったが、トップ20付近で粘っていたのは記憶していて前作と共にCURIOの名前は完全に記憶したので近いうちに聞こうかなと思っていたのは記憶しているが、この後アルバムが出たらしいという情報を最後に急速に情報が入ってこなくなった。5~6年経過した時に『BEST BANG!』が出ていたのを知ってその時に聞いたのはこの当時の記憶からだったが、そんな風に聞けば覚えている当時の10代は多いんじゃないかなと思う。

Sweet & Bitter』収録時は最後の残響音が次の曲「欲望のはじまり」まで若干残っている。
★★★★☆
2ndアルバム『Sweet & Bitter』(最後の残響音が次の曲まで若干残る)
ベスト『BEST BANG!
2ndアルバム『Sweet & Bitter』2007年リマスター盤BONUS TRACK(Original Prototype (’96 November-Demo))

C/W オレンジのKISS

作詞:NOB、作曲:BRITAIN、編曲:CURIO&佐久間正英
C/Wやアルバム曲ではポップなだけではない部分を見せる事が多かったが、C/Wで最もシングル表題曲のポップ路線に準じた方向性の1曲。王道っぽいのでAJA作曲かと思いきやBRITAINが手掛けており、AJAに続くもう1人の作曲者として才能を発揮している印象だったが…EPIC期はこれっきり作曲しなくなってしまい全部AJAになってしまったのはもったいなかった。

「君に触れるだけで」があればC/Wになってしまうのは仕方なかったが、「君に触れるだけで」を気に入ったリスナーにC/Wも良いバンドと思われるには十分すぎる1曲だったと思う。この路線で続ければもう少し売れた気もしなくもないが、既に最初期のハイテンションラップなど若さ全開な要素は鳴りを潜めつつあり、ロックバンドとして進化していきたいと考えるような急成長期だったのも確かだったのかも。

定番曲として人気もあったらしいが何故かアルバム未収録のままとなり、ベスト盤で初収録、2007年の『Sweet & Bitter』リマスター盤ボーナストラックとして追加収録された。
★★★☆☆
ベスト『BEST BANG!
2ndアルバム『Sweet & Bitter』2007年リマスター盤BONUS TRACK

6th TO BE LOUD

B000064Q9V
1998年10月28日
2ndアルバム『Sweet & Bitter』の次のシングルとなったが今作まではこれまでの制作陣で制作されており、佐久間正英がプロデュースを担当した。C/Wには前々作「粉雪」のリメイク「粉雪~Acoustic Breath~」を収録。こちらは原曲のまま白井良明となっており、佐久間・白井が揃って参加したシングルは唯一となる。またEPIC時代のシングルで唯一C/Wのカラオケも収録された4トラック仕様。

『Sweet & Bitter』は唯一のトップ10ヒットを記録していたが、今作は初登場22位から3週で速攻チャートアウトしてしまい一気にピークアウトしてしまった。というかリアルタイムの記憶が前2作のヒットとアルバムがトップ10入りしたらしいというところで止まっていて、同年にまだシングルが2枚も出ていた事も把握していなかった。少なくとも初登場週は『CDTV』で聞いていたはずだし、そもそもその『CDTV』OPとして一時期毎週かかっていたはずなんだけど…。

歌詞カードに記載されている演奏時間が前作『君に触れるだけで』のコピペになっているという誤植があり、実際の演奏時間と異なる(「TO BE LOUD」は「君に触れるだけで」、「粉雪~Acoustic Breath~」は「オレンジのKISS」の演奏時間が記載されておりカラオケにもそのままコピペされている)。

TO BE LOUD

作詞:NOB&AJA、作曲:AJA、編曲:CURIO&佐久間正英
これまでのJ-POP王道的なラブソングを離れて扉を開けて先に進んでいこうという前向きなメッセージ性を前面に出し、新たな局面へ向かおうとしたような1曲。メロディーはポップだし、勢いで突き進んでいくようなパワーも感じられるが、本人達のもっとロックバンド的な部分を見せたい意向を佐久間正英も汲んだ形跡が見て取れるくらいにハチャメチャに歪んだギターサウンドを押し出してきていてなんだか忙しない。元々アルバムでは1曲目からダウナーな雰囲気の重めのロックナンバーで幕開けさせたりとロックな部分を見せており、その部分をもっと出していきたいという事だったのかもしれない。前作までとこの後を繋ぐ1曲として申し分ない1曲だったようには思うが、サウンドのゴチャゴチャ感でメロディーの良さが少し押され気味になってしまった感じもあり、パッと聞きよりも何度か聞いているとこの曲凄くね?と後から気づく。難しいところだがこの曲がどうにも届かずブレイクの波が収束してしまった事からも少し違う方向性に手を出したのは早急だったのだろうか。TO BE LOUD→トゥービーラウド→とーびーらー→扉というダジャレが滑った感も無くはないが…。個人的には前向きなメッセージ性から後期のL⇔Rのシングル(「NICE TO MEET YOU」や「STAND」)と近いポジションにある勢いをつけたい時に聞きたい曲リストに入ってくるような1曲になった(当時は知らなかったのが悔やまれる、なんでこれが売れなかった…と後追いで思う点も共通)。

このシングルを最後にプロデューサーを変えたため、『PAWKY』ではボーナス的にROC-02MIXとして最後に収録されたが、冷牟田竜之(東京スカパラダイスオーケストラ)による完全なトラックメイカー系リミックスで面影が無いほど完全に解体されてしまっていて延々続くインストトラック、ようやく出てくるボーカルパートは加工音声…とワケの分からん事になってしまった。『PAWKY』の作風にも合ってなくて何故こんなことになったのか…。

シングルバージョンは『BEST BANG!』でようやくアルバム初収録となり、『PAWKY』の2007年リマスター盤ではSingle Version表記でボーナストラックとして追加収録された。
★★★★☆
3rdアルバム『PAWKY』(ROC-02MIX)
ベスト『BEST BANG!
3rdアルバム『PAWKY』2007年リマスター盤BONUS TRACK(Single Version)

C/W 粉雪~Acoustic Breath~

作詞:NOB、作曲:AJA、編曲:CURIO,白井良明
4thシングルのリアレンジバージョン。オリジナルは同年1月リリースだったので同じ年の年末で次の冬が来る前のタイミングで早くも別バージョンでもう1回擦った事になる。このバージョンではエレキギターは使用されず、2番の途中まではほぼアコースティックギターのみの演奏で進行、2番Bメロからベースとドラムも入ってきてバンドサウンドになり、間奏のサックスソロも再現されるなど原曲のアレンジに近づくがギターは最後までアコースティックで進行していく。

後半はアンプラグド風な原曲アレンジでそれはそれで味わいがあるが、リズム隊が入らない前半の方がより別バージョン感はあったかも。アコースティックバージョンとアコーティックバンドバージョンと2バージョン作れるところを1曲で2度おいしいみたいな。

このバージョンは2007年リマスター盤でも回収されなかったので8センチCD『TO BE LOUD』を探してこないと聞く事ができない。
★★★★☆
アルバム未収録バージョン

7th 祈り

B000064Q9W
1998年12月9日
初登場26位で5週ランクインし前作よりは伸ばした。今作より制作体制を一新し、新たに今井裕をプロデューサーに迎えたが、C/W「クルージン」は『Sweet & Bitter』からのシングルカット。

祈り

作詞:NOB、作曲:AJA、編曲:CURIO&今井裕、オーケストレーション:村山達哉
第77回全国高校サッカー選手権大会イメージソング。新たにプロデューサーとなった今井裕はサディスティック・ミカ・バンド(再結成以降不参加)、サディスティックスの元メンバーで、直近ではRAZZ MA TAZZやMOON CHILDに携わっていてそれぞれの最高ヒットシングルを担当したり、ラストツアー前のBluem of Youthに関与したりしていたが、いずれも関わる期間が短かったりすぐに契約切れや解散に至ってしまっている事もあってかプロデューサーの名前が前に出る時代においてもあまり知名度は高くならなかった。売れ線かというとこだわりやロック色を丁寧に磨き上げる感じでよく聞くと聞き応えがあるんだけど、パッと聞きの瞬発力やヒット性が少し足りない…という感じはある。CURIOにおいても今井裕でのラスト2シングルは最初に聞いた時には地味になっちゃったな…という印象しか無かったが後年になってけっこう良かったんじゃないかと思えてきた。

歌詞のメッセージ性は高校サッカーにも寄り添わせた感じにはなっている…が、シングルにしてはとにかく暗く重めで6分40秒と規格外に長く、人気面ではトドメになってしまったのは分からなくもない。ミディアム~バラード系はありだとしても応援歌的なポジションの曲なのにモヤモヤしたようなけだるめなサウンド感はシングル曲としてはかなり攻めている。元々のポップさを完全に消し去ってイメージ変えすぎたんじゃないかと思う。

シングルバージョンにはオーケストレーション:村山達哉のクレジットがあってストリングスが入っていた。アルバム収録時はStandard Styleとなり名前ごとカットされている。しかしパッと聞き元々がモヤモヤと長い曲な事もあり違いが分からないまま過ぎ去っていってしまう。シングルバージョンでのストリングスは2番のサビ途中辺りからいつの間にか鳴っているが、終始聞こえるわけでもなく引っ込んでしまったり、Cメロ終盤やラストサビでは部分的に目立ってストリングスのラインが聞こえてきたりはするもののかなり存在感が薄い。シングルの時点であまり入れたくなかったんじゃないかというくらいあんまりな扱いになっているので、アルバムでカットされていても気づかなかったというかまさにストリングスが無いのが確かにStandardなStyleだなという感じ。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
3rdアルバム『PAWKY』(Standard Style)
ベスト『BEST BANG!』(表記は無いがStandard Style)

C/W クルージン

作詞:NOB、作曲:AJA、編曲:CURIO,白井良明
Sweet & Bitter』からのシングルカット。旧制作陣での楽曲となるが、重めでどっしりとしたロック系なので雰囲気は合わせてきてのチョイスと思われる。ただ今井裕を新たに迎えての新曲を用意できなかったというところでは時間が無かった感じも…。高校サッカータイアップだったので早めに出したかったのはあったんだろうけど、1998年シングル4枚目だしちょっとペースが早すぎたか(1997~1999年の3年間でシングル8枚のうち半分が1998年だけで出ている)。
★★★☆☆
2ndアルバム『Sweet & Bitter

8th see you,see me

B00001NFNK
1999年6月30日
半年ぶりのシングル。EPIC内に1999~2000年のわずかな期間だけ存在した謎のレーベルSO What? Recordsへ移動してのリリース。3rdアルバム『PAWKY』1ヶ月前先行シングルとなった。C/Wには2ndC/W「君のすべてを見ていたい」のライブ音源を収録。8作のシングルで唯一表題曲カラオケが無い全2トラック仕様。『PAWKY』期の3シングルC/Wはリメイク・シングルカット・ライブバージョンと続いて新曲が発表されなかった事に。

今作と『PAWKY』では作詞作曲がメンバーの本名カタカナ表記へと変更されているが、「君のすべてを見ていたい(live take)」は元のままとなっている。またアレンジャーにはCURIOと今井裕に続けて何故かAJAが単独で別途表記されていたが、『BEST BANG!』収録時にはAJAの表記は消えていた。

98年後半の失速から半年のブランクが響いて初登場43位から2週ランクイン、1万割れとなった。『PAWKY』以降リリースが無いまま1999年が終了し、2000年2月ボーカルNOBが覚せい剤所持で逮捕され、活動停止、EPICとの契約終了となった。99年8月にはSME所属の槇原敬之が逮捕されたばかりだったので、当時はマッキーに続いてあの「粉雪」「君に触れるだけで」のボーカルが…という感じで少し話題になったものの、周囲でも「粉雪」「君に触れるだけで」以来名前を聞いた…という感じだったのを記憶している。

see you,see me

作詞:オオクボミツノブ、作曲:アサジュンイチロウ、編曲:CURIO/今井裕/AJA
ピアノを生かしつつ程よく落ち着いたメロウな楽曲。これまでを考えると突き抜けた明るさはないし、テンポ感もやや中途半端でミディアムでもアップテンポでもなく、ポップ寄りでもロック寄りでもなくギターも落ち着いた演奏になっている。特に間奏でギターソロを弾かずにサックスソロに譲っているのは今までと異なる点で、「粉雪」でもサックスソロの後にはギターソロも入っていただけに今回ギターの主張が今までより控えめだなと印象が強い。

全体にインパクトではやや落ちるが、サビのメロウさは絶妙だし、落ち着きつつ爽やかで涼し気なサマーソングとしてじわじわ効いてくる良曲。どこかセンチメンタルさも感じる曲調でタイトルにしても解散前ラストシングルのような1つの時代が終わったような空気が漂うが結果的に本当にEPICで最後のシングルとなってしまい、NOB逮捕からの復帰後はギターでメインライターのAJAが脱退してしまったので色々意味深なシングルになってしまった。
★★★★☆
3rdアルバム『PAWKY』(エンディングのザワザワSEで次の曲と繋がる)
ベスト『BEST BANG!

C/W 君のすべてを見ていたい(live take)

作詞:NOB、作曲:AJA、編曲:CURIO
2ndシングルC/Wで1stアルバム『HYBRID』ではアルバムミックスに変更していた楽曲のライブバージョン。ごっそりアレンジが変更されているが『PAWKY』に向けて制作に入りヒントとなるものを探すべく既発表曲のリアレンジを試みて色々模索していた時期で”あえてこの手のヘヴィな曲調にトライする事で新機軸を見つけようとしていた”と後年AJAが振り返っている。模索感ありありの重~いアレンジとなり、当然間奏のあのハイテンションラップは完全削除され、バンドが新たな局面を迎えていたことが良く分かる仕上がり。

ただライブ感を出すためなのかボッヤボヤの音像になっていて音質があまり良くない。シングル盤にはlive takeとしか表記されていなかったが、『PAWKY』リマスター盤ボーナストラック収録時は’98.12.27 渋谷公会堂と明記されて収録されている。この際はリマスター効果なのかもっと手を入れて調整したのかだいぶクリアな音質に変わっている。シングルの方が最後の歓声のフェードアウトが遅めで6秒長い。
★★★☆☆
3rdアルバム『PAWKY』2007年リマスター盤BONUS TRACK(’98.12.27 渋谷公会堂)(同一音源)

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