相川七瀬 25周年シングル回顧1~1995-1999~

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相川七瀬 25周年シングル回顧1~1995-1999~

1990年にソニーとビーイングが共催していたオーディションに出演するも友人の付き添いで来ていたのが友人が出られなくなって代わりに出たとかで織田哲郎によれば審査員の手元に用意された履歴書の写真と名前が別人のものだったという。笑顔も見せずにずっと眉間に皺寄せて睨み付けるような態度で大声で歌唱して帰っていき、当然審査員からは何の評価も得られず落選。しかしその場にいた織田哲郎は感じるものがあり、ソニーとビーイング双方の許可を得て実家の大阪まで出向いて親もろとも説得するが失敗。その後本人から連絡があってからは相川七瀬としてのデビューに向けて織田哲郎の徹底プロデュースで準備が進められた。

当時織田哲郎はビーイングで主に作曲提供を手掛けていて大量のデモ曲を渡していたようだが相川七瀬に関しては作詞作曲編曲ギター打ち込みとほぼすべての演奏を織田哲郎本人が手掛けていた。後年相川七瀬を新興勢力だったエイベックスからデビューさせたのが長戸大幸と織田哲郎が袂を分かつことになった原因だと主張するライナーが『BEST OF BEST 1000 織田哲郎』で書かれ、同時期のZARDのベスト盤では坂井泉水と織田哲郎が人格的にそりが合わなかったなどと勝手に想像するライナーが書かれるなど織田哲郎に対する強い裏切者扱いするかのような発信がビーイング側から相次いだ。

しかし織田哲郎のインタビューではビーイングでやるつもりで話をしたのにビーイングが興味を持たずにやらないと言い、ならばほかでやってもいいのかと問えばそれでいいと答えたという。手を挙げたのがエイベックスであり、これにより”ビーイングの織田哲郎”がエイベックスから相川七瀬をデビューさせるという事になったらしい。

この経緯は2007年のアスペクトインタビュー2013年のBARKSインタビュー2019年の「あれからこれから」連載と時期を開けて3度ほど語られているが、後年ほど詳細を明かしている。

2007年の時は何故エイベックスなのかは全く触れていなかったが前述のライナーを勝手に書かれたためか、2013年にはビーイングがやらないと言ったと明言、そして「あれからこれから」ではさらにオーディション時は長戸大幸が社長だったので長戸大幸に許可を取った、その後長戸大幸から業界を辞めると直接本人に言われて社長も変わった(別の回で記述)、相川七瀬デビューの時は新社長になっていたのでその新社長に話を持ちかけたがやらないと言われ、さらにエイベックス側は義理立ててビーイングとどう共同でやるかまで考えて動いてくれたのにビーイングが全部そっちでやってくれと丸投げしてきたので、会社も立ち上げる事になったと明かしている。

つまり織田哲郎は長戸大幸に引退すると聞かされ任せるとも言われて実際に社長も変わっていたので長戸大幸は既に退いたと認識、ビーイングに話をするのに長戸大幸に話をする必要が無く、新社長とコンタクトを取って新社長がてんでその気が無いのでエイベックスと組んだという話を通すべきところにはちゃんと通したという主張を回を追うごとに詳細を明かしながら回答している。

一方で長戸大幸は近年顔を出してインタビューに答える事も多く、引退していたはずの90年代後半以降も平気でプロデュースを継続していた事になり、既に引退後で名義上も関わっていないはずのFIELD OF VIEWをプロデュースしていたとFOV25周年ベストのコメントで堂々明言。さらに東京から大阪へ行って大阪でプロデュース業を継続していた(=GIZA studioのKANONJI=長戸大幸)と明かしてしまうなど、ずっとプロデュース業を続けていたというスタンスで語るようになっている。特にZARDにおいては近年とにかく名前を出して証言しまくるようになり、これまた名義上は『揺れる想い』辺りでもう引退して関わっていなかったはずが、近年は堂々と坂井泉水と共同でZARDを作り続けていたかのように語っている(96年以降は坂井泉水単独プロデュース扱いになっていたにも関わらず…)。

というわけで双方の主張に食い違いが生じているのは確かで、この相川七瀬デビューを巡っての一連の流れにより関係が変化したのも確かなようではあるが未だ真相は不明のままである。織田哲郎は特に長戸大幸への感謝は欠かさず語り続けているがビーイングを辞めた理由に関しては「あれからこれから」においても詳細は語らないと宣言している。一方で長戸大幸は織田哲郎について直接言及することが無い。

というビーイングと織田哲郎とエイベックスを巡る何かがあったのは確かだが相川七瀬は当初の周囲の期待に反してデビュー作から大ブレイクを果たした。当初最初の4シングルはロングヒットこそしていたのでどれもヒットしていた印象はあるが、爆発的な数字を叩きだしていたわけではなく、売上が大爆発したのは1stアルバム『Red』の245.5万枚という空前の大ヒット。以後シングル「恋心」でシングルでも初ミリオン、続く「トラブルメイカー」「Sweet Emotion」は50万程度での2番、3番ヒットを記録した。しかしこれらを収録した2ndアルバム『paradox』も140万枚のミリオンヒットとなったものの早くも100万人がいなくなり、以後はシングルは一気に低迷していきブーム的な人気は去っていった。織田哲郎がオーバーワークで疲弊しきっていったのも大きいが、99年の初ベスト『ID』で再度ミリオンを記録した後は、大胆な金髪イメチェンを図るなどよりダークな方向へ向かい、織田哲郎による全面プロデュースは4thアルバム『FOXTROT』で一旦区切りとなった。

2020.11~12執筆

1st 夢見る少女じゃいられない

B00005EDCL
95年11月8日
作詞作曲編曲:織田哲郎
キラキラ夢追いのヒット曲が蔓延していた当時のヒットシーンの中で周囲にこんなんじゃ売れないと散々言われたという衝撃のデビュー作。当初周囲の予言通りの初登場92位からの100位圏外で終わったかに思われたが、エイベックスもけっこうプロモーションを頑張って継続していたようで2ヵ月弱経過した年明け1月に50位に再浮上すると31位→26位→17位→12位→12位と浮上。この2週連続12位が最高位でトップ10入りまでは果たせなかったものの18週ランクインして37万枚のヒットを記録。

上昇型のヒットだったとはいえ実は大ロングセラーになったというほど上位に居座ったわけでもないが一応『CDTV』で毎週紹介されていたトップ50基準で言うと18週のうち15週がトップ50に居座っていたので3ヵ月くらいはトップ50にいた事になる。51~100位の期間がほとんどなく、急に上がって急に消えたのが若干不自然ではあるものの(エイベックス…お前まさか…)、数字以上のインパクトを残したのも確かで、相川七瀬といえばこの曲というくらいには浸透。ミリオンヒット「恋心」ではなく、筆頭で「夢見る少女じゃいられない」という扱いになっているくらい、衝撃のデビュー作だったという印象になっている。当時チャートを見始める前だったので実際の体感は無いが、確かにこの曲はあちこちでかかっていて知らないうちに知っていた1曲にはなっていた。なのでむしろ後で順位や枚数を見てミリオンどころか50万すら届いてなかったの?と驚いた。

タイトルからして挑戦的だが、ダークさを漂わせながらも歌詞の主張はさほど重くはなく、サウンドも同様。何よりドキャッチーな売れ線のメロディー、歌だけでなくひたすら曲を引っ張り続けるギターサウンドも印象的なメロディーを奏でる。イントロからサビまで鳴り続ける織田哲郎のギターサウンドのインパクトは初期の一連のヒット曲でほぼ毎回聞くことができるが、ソロはともかくビーイングでの提供では一切見せていなかった(デモ曲しか渡してないでアレンジお任せだったので)ギタリスト織田哲郎が全開で出ているのも聞きどころだと思う。初期の曲のインパクトが強いのはサビのメロディーの強さだけでなく、イントロや間奏で繰り返されるくギターリフのメロディーも強いからだと思う。曲によってはイントロの方が馴染み深いくらいの勢い。今作に関してもサビ頭の”もっと激しい夜に抱かれたい”よりもイントロのギター(ジャーッジャラージャッジャッジャラー♪)やキメのフレーズ”夢見る少女じゃいられない”の流れの方がインパクトが強い気がする。またわざとチープな音色にしながらもダサくならないギリギリのラインを狙ったような作り込んだチープなロックサウンドも絶妙だった。

『ID:2』初回盤ボーナストラックでのPOLYSICSによるリアレンジは…なかなか大胆(というか3曲ともかなり大胆)。09年のアルバム『REBORN』に収録された「yumemiru..」新曲とのマッシュアップ曲となっていて、今作のギターリフのサンプリングとそれまで全く違う曲を歌っていたのにサビの後半になると急に鏡の中今も~夢見る少女じゃいられない♪と「夢見る少女じゃいられない」になるというなかなか不可思議な仕上がりの1曲となっている。
★★★★☆
1stアルバム『Red
1stベスト『ID
2ndベスト『ID:2』(初回盤ボーナスCD、POLYSICSによるリアレンジ)
10thアルバム『REBORN』(マッシュアップ曲「yumemiru..」)
3rdベスト『ROCK or DIE

YouTube

2nd バイバイ。

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96年2月9日
作詞作曲編曲:織田哲郎
前作が最高12位を2週連続記録していた2週目に初登場19位、2週連続19位(前作は17位)を記録したが、売れ始めた前作の最初から下にランクイン。下手すりゃ1発屋コースだったがそこから30~40位台で粘り、終始前作を下回り続けながらも比較的一緒に買われ続けていたようでなんだかんだ16万枚を越えるヒットを記録。初期の中では最も売上が低く、インパクトも薄目ではあったもののそれでも十分に存在感のある1曲だと思う。メロディーやギターサウンドよりも冒頭から鳴り続けている雨の雫がヤカンに当たってるみたいなテテテッテテッの繰り返しの音がやたら気になる。1度気になるとこの何とも言えない間抜けな音が果たして本当に必要だったのか、こんだけ気になってしまうという事は作者の術中にハマってしまっているのではないか…と気が付けばテテテッテテッの深みの中へ…。

マザコン気味な相手に痛烈なバイバイを突きつけるという強い女性像は確かにこれもまた新しかったのかもしれない。前作の雰囲気からして確かに夢見る少女じゃいられないとか言うような奴はこういう事も言いそうだというイメージ通りな感じでもあった。あくまで繋ぎ的なシングルではあったけどそこも含めて繋ぎとして狙った完璧なプロデュースワークだったのかも。
★★★☆☆
1stアルバム『Red
1stベスト『ID
3rdベスト『ROCK or DIE

3rd LIKE A HARD RAIN

B00005EDCR
96年4月17日
作詞:相川七瀬・織田哲郎、作編曲:織田哲郎
初登場8位を記録して初のトップ10入り。30万枚を越えて本格的に相川七瀬の名前が浸透してきた感のあるヒットを記録した。作詞に本人も参加。圧倒的にキャッチーな歌メロで更なるヒットを狙ってきたかのようでもあり、前2作で見せたロックなイメージを確立しつつも隙が無い。サビのメロディーにシンセを重ねて強調するという手法がなんだかとっても90’s。しかしけっこう激しめのラブソングだけにこれが住友生命のCMタイアップで大丈夫だったのかというのが気になる。
★★★★☆
1stアルバム『Red
1stベスト『ID
2ndベスト『ID:2』(初回盤ボーナスCD、JOHN TAYLOR with DAN CHASEによるリアレンジ)
3rdベスト『ROCK or DIE

4th BREAK OUT!

B00005EDCQ
96年6月5日
作詞作曲編曲:織田哲郎
初登場4位から2週連続7位で3週連続トップ10入りを果たして1stアルバムの大ヒットを勢いづけた先行シングル。ジャーララジャーラジャッジャッジャッジャラジャラジャーララジャージャ…♪とひたすら繰り返されるギターサウンドが歌メロよりもインパクトを残すが、歌メロもすぐに覚えられるほどの凄まじいキャッチーさ。しかし何気にサビらしいサビが無く、そのまま全部サビのような勢いでBREAK OUTしていくという全盛期極まる1曲。ビーイングでのサビをしっかりキャッチーにという方法論を真っ向からぶち壊していくような織田哲郎の挑戦的な姿勢も伺える。
★★★★☆
1stアルバム『Red
1stベスト『ID
3rdベスト『ROCK or DIE

5th 恋心

B00005EDCS
96年10月7日
作詞作曲編曲:織田哲郎
いきなりこれまでの累計売上レベルの初動30万枚を突破するも、PUFFY「これが私の生きる道」が大ブレイクしていたため初登場2位、PUFFYが華原朋美すら寄せ付けない2週連続1位の2週目には3位、圧倒的な勢いで3週連続1位のPUFFYに3週目に再度2位に浮上するも結局2位止まりのままでその後も5位→4位→5位→7位と7週連続トップ10入りで最終的に初ミリオン自身ダントツ最大のヒット作となった。2番ヒットで次回2作の50万なので売上だけなら代表曲としてほぼ1択レベルであったが、現在は「夢見る少女じゃいられない」と双璧くらいの扱いになっている。

『CDTV』を見始めた頃にロングヒットしていて印象に残っていた96年晩秋~年末にかけてのヒット曲の1つとして印象深く、リアルタイムで聞いたのも今作が最初だった(ただその割に「バイバイ。」以外の前3作はいつの間にか知っていた)。

ロック路線ではあるがこれまでよりも圧倒的に歌謡曲の要素が強く、アレンジ次第では演歌っぽくもなるようなコテコテっぷり。しかしこのコテコテ感もサビのメロディーがとにかく古き良き日本のポップスの琴線に触れるような極みのメロディーで問答無用に耳に残ってくる。デビュー前からあってタイミングを見計らっていた曲だと言うだけあってまさに最良のタイミングでリリースされた1曲だったと思う。

ヒット中によく流れていたPVの1シーンはほぼ軒並み倉庫でパンを食べている逃走中?らしきシーンだけだったが、PV全体では彼氏と連続強盗殺人を行った挙句に最後は警察に射殺されるというかなりすさまじい内容。監督と意見が合わずだったら俺がやると織田哲郎自らが監督となり、なんでもガソリンスタンドの爆破シーンまで構想していたがさすがに予算が無くてそれは出来なかったなんて言うエピソードも。コンビニ強盗のシーンではMAX松浦が射殺される店員役織田哲郎が人質のオッサン役で出演しているほか、当時のスタッフがあちこちに出ているという。
★★★★★
2ndアルバム『paradox
1stベスト『ID
1stベスト『ID』初回盤のみ(Acoustic Version)
3rdベスト『ROCK or DIE

YouTube

6th トラブルメイカー

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97年2月13日
作詞作曲編曲:織田哲郎
2週目のミスチルに及ばずまたも初登場2位。トップ10には4週、50万枚を越えた2番ヒット作。勢いでヒットしていたものの下位での粘りがなくなってきて思ったより早くチャートアウトしていった印象があり、広がりは前作で上がりを迎えた感はあった。

「BREAK OUT!」に続く明確なサビが無いままに全編サビのように駆け抜けていくロックナンバー。相川七瀬の若き頃を記録したかのようなイメージの歌詞になっていて改めて尖っているロックシンガーのイメージも決定づけた1曲だったと思う。当時何故か間奏の男性ラップ部分にハマって一時期歌詞を見ないでも全部このラップ部分歌えるぜ!くらいになっていたが、実際にカラオケで歌った事も無く、何で覚えてしまったのか今思うと良く分からない。ゲッダーゥ!
★★★★☆
2ndアルバム『paradox』(trouble mix)
1stベスト『ID
3rdベスト『ROCK or DIE

7th Sweet Emotion

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97年5月1日
作詞:相川七瀬・織田哲郎、作編曲:織田哲郎
今度は華原朋美の2週目に及ばず初登場2位。前作とほぼ同等、50万枚突破の3番ヒットとなり、結局全盛期3作が全て2位となりシングルでの1位獲得は無かった。

ダークさがあったこれまでよりもカラッと明るい雰囲気のロックナンバー。織田哲郎がロックンロールを全て詰め込んだ1曲とも語っているようにギターサウンドもひたすら爽快。とても楽しい予感漂う夜を歌っていてそのままライブでも一体となってかなり盛り上がりそうな1曲。今作は初めてみんなと共有できるような楽しさがあるというか。メロウさでも全盛期のキレを放った最後にして最高の1曲だったと思う。最も聞き返すことが多いのは個人的にはこの曲だった。
★★★★★
2ndアルバム『paradox』(S.V. mix)
1stベスト『ID
3rdベスト『ROCK or DIE

8th Bad Girls

B00005EDD0
97年11月12日
作詞:相川七瀬・織田哲郎、作編曲:織田哲郎
2ndアルバムを経て、初登場5位、2週目には10位に残ったものの売上は20万枚まで激減。一気に失速感が漂ってきてピーク越えの印象が根強く残った1作となった。

チャート推移の悪さもそうだったけど、何とも煮え切らない曲調や、これまでメロディーどころかギターリフだけでもとんでもなくキャッチーだったのに突然どうした?というくらいに一気にインパクトが薄れた地味な曲がシングルになったので正直失速オブ失速といった印象が当時から強い。今作での1番のインパクトポイントはサビよりもサビ前にそこまでやるかというくらいジャッジャッジャージャッジャッジャッジャラジャラジャッジャッジャージャッジャッジャッジャラジャラ♪と引っ張りまくるの連打の部分だと思う。織田哲郎が本格的に疲弊してきていたのもあったようだが、ハイペースすぎて潰れるという点ではEvery Little Thing(五十嵐充)もこの半年くらい後から同じような道を辿っていてどっちもエイベックスだった。
★★★☆☆
3rdアルバム『crimson
1stベスト『ID
3rdベスト『ROCK or DIE

9th 彼女と私の事情

B00005EDD4
98年2月4日
作詞:相川七瀬・織田哲郎、作編曲:織田哲郎
ドラマ『太陽がいっぱい』主題歌。初登場6位から2週目16位とついにトップ10には1週ランクインのみとなったがドラマタイアップが効いて初動が回復したため、前作を上回るヒットを記録。

少なくとも暗くて地味だった前作からタイトルそのままのサビのキャッチーさは戻してきていて、サビ頭の1ポイントインパクトではあったけど、そこだけでも強烈に残る1曲ではあったと思う。彼女と私の事情♪の部分だけ強すぎて他はどんなだったっけ…?となってしまうところもある。『CDTV』見ているだけでも勝手に耳に残っていたヒット曲となるとこの辺が最後になってくるかなぁ…。
★★★☆☆
3rdアルバム『crimson
1stベスト『ID
3rdベスト『ROCK or DIE

10th Nostalgia

B00005EDD7
98年5月8日
作詞:相川七瀬・織田哲郎、作編曲:織田哲郎
初登場7位で前作を下回るが「Bad Girl」は多少上回った。個人的には一気に売上を落として低迷していく中でふいにキレッキレの名曲が出てくるということはよくあると思っているんだけど相川七瀬では低迷期に誕生する奇跡の名曲がこれ。低迷期に誕生する奇跡の名曲全体の枠でも割と筆頭で浮かぶ曲だ。疲弊さえも武器にするというかやや沈んだ感じの平メロから派手には突き抜けないんだけど、切なくも鋭く突き抜けていくようなサビの流れが圧巻。セツナの名曲というか、ロウソクの最後の輝きのような儚さも感じられ、まさにギリギリの状態が生み出した奇跡の1曲だったような気がする。

シングルではリフレインする間奏のジャラジャラジャララジャ~ララジャ~ララの後にジャーーーンと演奏が終了するが、『crimosn』ではジャーーーンとなる前にピタッと終了する形にエンディングが変更された。このためジャーーーンの分だけ5秒ほど短くなっている。以後ベストアルバムには『crimosn』バージョンで収録されているため、ジャーーーンと演奏終了するシングルバージョンは当時の8センチCDとコンビニや高速道路の売店等で売られていた『COMPLETE BEST 相川七瀬』でしか聞けない(サブスクではシングルを選択すればシングルバージョンが聞ける)。
★★★★★
シングルバージョン一般発売アルバム未収録
3rdアルバム『crimson』(エンディングが異なる)
1stベスト『ID』(『crimson』収録Ver.)
3rdベスト『ROCK or DIE』(『crimson』収録Ver.)

11th Lovin’ you

B00005EDDE
98年11月6日
作詞:相川七瀬、作編曲:織田哲郎
今作でシングル表題では初の単独作詞を担当。前3作を下回って20万割れとなった。切なげなバラード調のナンバー。強く引き付けられるようなメロディーではなく、かなり疲れ切った感じがするんだけど、それがいい感じに少し退廃的な世界観を作り出しているように思う。派手さは無いけどふいに聞くと引き込まれるというか。今回改めて聞き返していった時に印象薄めだったこれ以降のシングルが意外としっくりハマってきた。どこか疲弊を感じさせるのが2020年の現在の世相にマッチしているからだろうか。

3rdアルバムの後の最初のシングルだったが、そのまま翌年の初ベスト『ID』収録のみとなったためオリジナルアルバムには未収録。『ID』ではボーナスやシークレット除く実質最後の曲がこれなので大ヒット期の相川七瀬が今作で綺麗に終了してしまう感じもある。
★★★☆☆
1stベスト『ID
3rdベスト『ROCK or DIE

12th COSMIC LOVE

B00005EDDH
99年3月17日
作詞:相川七瀬・織田哲郎、作編曲:織田哲郎、Additional arrangement:DJ TAKE
最後の8センチシングル。かなりはじけたデジロックナンバー。編曲は織田哲郎だが、Additional arrangementとしてクレジットされたDJ TAKEによりかなり強烈にリミックスされたかのようなサイバー感で奇妙な方向にデジデジとはじけた感じの異色な1曲に仕上がっている。近未来っぽいといえば近未来っぽいし、混沌としまくった世紀末らしい先の読めなさも映し出されているような…。はじけながらもサビメロの人懐っこさ(?)もあって、一聴しただけでも耳に残り、花王ラビナスCMタイアップでのOAも含めて当時割とあちこちでかかっていた印象。そんなにヒットしてないのに(13万程度)、初期ヒット群と並ぶインパクトで記憶されている。

ベスト盤『ID』より2ヶ月ほど前に発売されたが『ID』には未収録。しかしシークレットトラックとしてアコースティックバージョンで収録された。アレンジのはじけっぷりが排されたアコースティックでもサビのキャッチーさは際立っているのが分かる。次のオリジナルアルバム『FOXTROT』にはオリジナルバージョンで収録された。

PVもかなりぶっ飛んでいてよくTVで流れていたのはサイバー空間みたいなところをバイク飛行している相川七瀬というシーンだったと思うんだけどそれ以外では曲中でシタールっぽい音色が随所で登場するためか、インド風衣装で佇む謎カットが登場し、締めはその姿でのドアップというシュールの極み、メチャクチャすぎて笑撃的だ。
★★★☆☆
1stベスト『ID』(シークレットトラックでアコースティックバージョン)
4thアルバム『FOXTROT
2ndベスト『ID:2
2ndベスト『ID:2』初回盤ボーナスCD(DANCE☆MANによるリアレンジ)
3rdベスト『ROCK or DIE』メモリアル盤のみ

13th 世界はこの手の中に/Heat of the night

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99年7月23日
今作よりマキシシングルへ移行。初の両A面シングルとなった。『ID:2』では両A面扱いで2曲揃って収録されていたが(「Heat of the night」の方が先)、『ROCK or DIE』メモリアル盤では「世界はこの手の中に」だけとなった。前作よりさらに下げたが10万枚は突破。10万枚以上のヒット作はこれが最後となっている。

世界はこの手の中に

作詞:相川七瀬・織田哲郎、作編曲:織田哲郎
この辺りからさらに一段落ちてストイックというか重くて内省的なモードへ完全に移行。後年織田哲郎がこの時期は本当にカラカラになっていてでも走り続けている状態だったみたいな事を振り返っているので本当に疲弊がダイレクトに反映されていたのか、世紀末の世相だったのか。髪を切ってショート金髪にしたので元から怖かったのが近寄りがたい怖さになってしまい、メディア出演も控えめになったので一気にアングラ感が増したようにも思う。一気に売れなくなってブーム的な人気は収束、この辺りから勝手に耳に飛び込んでくるくらいの勢いが一気に薄れたのはあえてやったところもあったのかも。

曲自体があまり明るくないがサビ2連発の後半“壊れたままでいこうよ いかれたままでいこうよ”とか“ひらき直ればなんとかなるでしょ”とかの若干やけくそ気味な達観っぷりには作詞は共作ではあるけど当時の織田哲郎がそのまま出ているようにも思う。世界全体がパニックになって疲弊している2020年、必要なのはこの曲の境地なのかもしれない。
★★★★☆
4thアルバム『FOXTROT
2ndベスト『ID:2
3rdベスト『ROCK or DIE』メモリアル盤のみ

Heat of the night

作詞:相川七瀬・織田哲郎、作編曲:織田哲郎
サビのメロディーのインパクトは今作の方が強く、暑い夏の夜の歌という印象がそこそこ残っている。ちょっと一昔前っぽいミッドナイト感というか夜を駆け抜ける疾走感が心地いい。シングルっぽい曲というとこっちの方でだからこそ両A面になっているのかも。当時からずっと今作の方が印象に残っていて、「Jealousy」「China Rose」含めてこの時期では今作1択でしょ!と思っていたが今回改めて聞き返したら今作の印象据え置きで「世界はこの手の中に」「Jealousy」「China Rose」が追い抜いていった。
★★★☆☆
4thアルバム『FOXTROT
2ndベスト『ID:2

14th Jealousy

B00005EDAB
99年9月29日
作詞:相川七瀬、作編曲:織田哲郎
前作で見た目が一気にやさぐれていたのが曲でもさらに反映されて、不良っぽいけど親しみやすいという要素は消失。普通に怖そうストイックなロックナンバー。タイトルそのままジェラシーを歌っているので歌詞もサウンドも重めだ。何度か聞いているとサウンド面でメチャメチャカッコよくロックしているんだけど、これまでとは明らかに変わってきている。メロディーより全体の雰囲気とカッコよさ重視で聞くと良さを感じられる。
★★★☆☆
4thアルバム『FOXTROT
2ndベスト『ID:2
3rdベスト『ROCK or DIE』メモリアル盤のみ

15th China Rose

B00004S2Q1
99年12月8日
作詞:相川七瀬・織田哲郎、作編曲:織田哲郎
前作より売上は回復していたが初登場13位となり、3rd~14thまで続いた連続トップ10入りが途切れた。デビューから続いた織田哲郎プロデュースは今作で一旦区切りとなった。3連続で続いた金髪重めのロック路線(?)の終着点。キーボードや重厚なブラスサウンドが導入されたかなり厚みのあるサウンドで古い洋楽のハードロックのようなミディアムナンバー。じわじわと食い込んでくるようなサビの雰囲気は1度ハマるとなかなか抜け出せないような不思議な魅力を放った1曲。

当時『CDTV』でサビだけ流れているのを聞いているだけでは最近すっかりパッとしなくなっちゃったなぁと思っていたがちゃんと聞くと意外と飽きの来ない深みがあって聞き応えはあったりもする。これは『FOXTROT』の時期全体にそうだったと思う。立ち位置的にも1stベスト『ID』を経てブーム的な人気に一区切りがついた後ながらもデビューから続いた織田哲郎全面プロデュースとしては最終作、同時に織田哲郎本人もスペインでの強盗の襲撃により声が出せなくなってしまう前の最後の時期にして疲弊してボロボロ(本人曰くアル中&うつ状態)で走り続けていた末期でもあり、色々絡み合っていたわけで相川七瀬の歴史の中でも以前にも以後にも実は属さなかったりもする過渡期的な時期だった。
★★★★☆
4thアルバム『FOXTROT
2ndベスト『ID:2
3rdベスト『ROCK or DIE』メモリアル盤のみ

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