1st Man & Woman/My Painting
1995年5月1日
当時のO社や『CDTV』でも「Man & Woman」単独A面扱いされていたはずだが、ジャケットをよく見ると確かに「Man & Woman・My Painting」と書いてあり(/ではなく・)、袋に貼ってあったシールにも同じ大きさで2曲書かれている。ただし表と裏でそれぞれのジャケットというタイプの両A面ジャケットではなく、表で2曲分、裏ジャケは普通に裏ジャケとなっている。
後のベスト盤では全て「Man & Woman」しかA面扱いされていないが、公式サイトディスコグラフィーでは現在でも律儀に両A面表記で記載されている。
初動1.1万枚で初登場48位を記録(1.1万で48位って…)、45位→43位と粘った後に33位→21位→13位→12位→16位と駆け上がってトップ10寸前で足踏みした後に8位→11位→7位と推移し、9週目でトップ10入り、11週目で最高7位を記録、その後もロングヒットして11月まで27週ランクイン、91.7万枚の大ヒットを記録した。最もミリオンヒットが生まれた1995年だっただけにこの売上でも年間32位とさほど目立たない順位になってしまうのが恐ろしや…。
今作時点では小林武史プロデュースのボーカルAKKOとギター藤井謙二の2人組。AKKOは小林武史が見つけてきた新人で藤井謙二はTHE BARRETTのギターとして既に1度デビューを経験、1993年に解散した後のセカンドキャリアとしての参加だった。
作詞の名義に使用していたKATEは“Kenji Akko Takeshi Ensemble”の頭文字を取った共作名義とされ、女性が作詞しているイメージを作るためという理由もあったようだ。実態は小林武史の単独作詞であり2人は関わっていなかった。1stアルバム時点で小林武史の正式加入が決まるとKATE表記は破棄されて、小林武史名義へと修正されている。また編曲も”小林武史 & MY LITTLE LOVER”にしていたが、これも実態は小林武史単独だったようでメンバー入りした事によって単独名義に変更された(大枠は小林武史でも担当楽器のギターのアレンジやソロ考えるくらいは藤井謙二も関わってそうだが…)。よってKATE名義、小林武史 & MY LITTLE LOVER名義が表記されているのは1st~3rdシングル盤のみである。
Man & Woman
作詞:KATE、作曲:小林武史、編曲:小林武史 & MY LITTLE LOVER
作詞作曲編曲:小林武史(1stアルバム以降表記変更)
90年代半ば頃、ガールポップという若いポップス系女性シンガーを総称する呼び方があった。絶妙にヒット曲を聞き始めた時期とズレていたのもあって全くと言っていいほどこの括りの女性ソロシンガーはほとんど通っていなくて知らない。しかしガールポップという単語を聞くと真っ先に浮かぶのがこの曲だ。まさにガーリーなポップ、その極みにある軽快でキャッチーなポップスだと思う。桑田佳祐、サザンオールスターズそしてMr.Childrenの大ブレイクでアレンジャーとしてブレイクした小林武史だが作曲と編曲を手掛けた小泉今日子「あなたに会えてよかった」(1991)のミリオンヒットという作家としての実績もあり、満を持しての自身が楽曲も一手に手掛けるユニットのデビューとなれば新人離れした楽曲クオリティになっているのも当然だった。しかしこの曲でさえも1stアルバムの中ではまあ割と普通のシングル曲というくらい次の2シングルが更なる高みなのであった。あと最初から完成され過ぎて天井だったので、違う方向に向かうしかなくてアート、深化、実験に走りすぎたという側面もあるか。
最初のAメロと最後のAメロでももう1回出てくる“あなたとのことはきっとピントきてた”という歌詞、てっきり”ピンときてた”、要するに「ピン」と(いう直感が)きていたという意味だと思っていたのである時改めて歌詞を見てたらトまでがカタカナになってて「ピントがきてた」(ピント=焦点が合っていた的な意味)だったと知って随分後になってえええ!?と驚いた。てっきり誤植なのかと思って他の収録アルバムの歌詞を見たら全部「ピント」だった。しかし「ピントきてた」って微妙に良く分からない言い回しより「ピンときてた」の方が文章の意味が通ると思うんだけどなぁ…(納得いってない)。
別バージョンはしばらくなかったが、2010年代以降になって『acoakko』でのアコースティックセルフカバー、『evergreen+』でのリミックス音源が発表されている。『evergreen+』バージョンはドラムの質感が変わっていてクレジットがCDトレイ下の円形表示になってて超絶見難くて確認が大変だがドラマーのクレジットがあるので打ち込みドラムから生ドラムへの演奏差し替えが行われている模様。
★★★★☆
1stアルバム『evergreen』
1stベスト『Singles』
6thアルバム『akko』リクエストベスト付DISC-2
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~』
配信限定アコースティックセルフカバーアルバム『acoakko』(セルフカバー)
2ndアコースティックセルフカバーアルバム『acoakko debut』(『acoakko』収録Ver.)
9thアルバム『re:evergreen』DISC-2『evergreen+』(リプロデュース)
My Painting
作詞:KATE、作曲:小林武史、編曲:小林武史 & MY LITTLE LOVER
作詞作曲編曲:小林武史(1stアルバム以降表記変更)
両A面だったの…?と後追いだと誰もが思ってしまいそうだが、公式サイトでは現在もしっかりA面扱いで当時はPVも制作されていたという(2001年のDVD『clips』にもしっかり収録)。しかし1stアルバムに一緒に収録されたのを最後に1度もベスト盤に収録された事がない。自選集『Self Collection〜15 Currents〜』にも選んでもらえず…っていくらなんでもあんまりだ。
これまたガールポップ感溢れる良曲ではあるんだけど、この時期においてはまあ順当にC/W、トータル名盤なアルバムの中の1曲…という印象は変わらない。それこそ今になってこんな曲が出てくれば全盛期クオリティ!全盛期を思わせるこれぞジャパニーズポップス!とか言って絶賛しそうではあるし、それくらいのクオリティではある。
その後の扱いからお察しなように小林武史があまりこの曲に興味が無いのか、最初から完成されていたという認識なのか『evergreen+』でも全体の印象があまり変わっていない。冒頭のドラム音がオリジナルよりクリアに響いている感じはあるけど「Man & Woman」のような生ドラム差し替えも行われていない。
★★★☆☆
1stアルバム『evergreen』
9thアルバム『re:evergreen』DISC-2『evergreen+』(リプロデュース)
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