2004年4月の『風と空のキリム』、ベスト盤『Self Collection〜15 Currents〜』を最後に10周年を迎える2005年は沈黙したまま過ぎ去ってしまった。2006年になってエイベックスへ移籍すると発表、同時に小林武史も脱退してakkoのソロプロジェクトになる事が発表された。当初曲提供もせずExecutive Producer(事務所の社長ポジ)となっていた小林武史だったが、akkoと離婚した後も音楽関係は継続する事を示すように曲提供も再度行うようになった。
akko主導での活動は2009年まではオリジナルアルバムも積極的にリリースしていたが2010年代に入ると鈍化。同時期にアコースティックスタイルのakoakko liveも開始し、このakoakkoが後のライフワークとなる。2015年に久々にトイズファクトリーに復帰して小林武史全面プロデュースで1stアルバムと向き合った新作『re:evergreen』(DISC-2が1stのリミックス)をリリースして以降新作は10年以上停止状態となっている。現在はakoakko liveを軸としながら通常バンドスタイルでのライブも時々行う活動が続いている。
30周年を迎える2025年は一応公式サイトも30th Anniversary仕様となり、年明けの「Akko Band Quintet 2025」は年末のakoakkoでのライブからのバンド編成ライブという位置づけに過ぎなかったが、4月からの「acoakko live, 30th Anniversary Celebration」→8月からの「30th Anniversary Akko Band Quintet 2025 #2」と30周年を掲げてのアコースティック、バンド両方のツアーも開催して精力的なライブ活動は行われた。新作リリースの話は出ていない。配信はトイズ(エイベックスで再発してないトイズ時代のシングル音源+直近最新2作『re:evergreen』「Hello, Again ~昔からある場所~ acoakko ver.」)、エイベックス(一部を除く全アルバム)、ORS(エイベックスと提携していたOORONG RECORDS?)、OORONG-SHA(OORONG消滅後?)と統一せずに分散したまま。『re:evergreen』でトイズ所属に戻っていて「Hello, Again ~昔からある場所~ acoakko ver.」もトイズだったがこれも2017年と遥か昔となっていてそのままトイズと続いているとも思えず、レコード会社はとっくに無所属状態と思われる。
この時代はポップ路線への回帰がメインではあるが、多くのファンが去ってしまい、セールス的には厳しい状況へと落ち込んでいった。良い曲もあるがかつてほどでは…というのが正直なところで過去曲回顧で長年取り上げられなかったのもこの時期がどうしても印象に残ってこなくて取り上げるのが困難だったからでもある。今回改めて聞いて少しでも印象に残るように頑張ってみたが、どうしても微妙な感じにはなってしまった。
(Kinki youで思い立って7月に合わせたKinKi Kids執筆のため大枠執筆後に中断)
17th り・ぼん

2006年11月8日
作詞:akko、作曲:tetsuhiko、編曲:tetsuhiko and other
小林武史が脱退し、ソロプロジェクトとなり、エイベックスへ移籍、全て大文字表記だったのをMy Little Lover、akkoへと表記変更して心機一転の活動再開作。今作よりCD+DVD、CDの2種発売となった。一応ソロプロジェクトになって復活するという事でそこそこの宣伝が行われ、初登場18位、売上1.3万枚と2人時代を若干上回る売上を記録した。歌詞中には”りぼん”がそのまま登場するが、タイトルには1人で再度マイラバを復活させる事からRebornの意味も兼ねていると思われる。なお何故かAmazon Musicでは今作から『イニシャル』、アルバム『アイデンティティー』までのエイベックスの楽曲が全て抜け落ちている(AppleやSpotifyは抜けなくちゃんとあるのを確認。ただし『Best Collection~Complete Best~』だけはAppleもSpotifyもAmazon同様に抜け落ちており「音のない世界」からになっている。Completeじゃないじゃん)。
作曲を担当したtetsuhikoは鈴木哲彦として1994~1997年までソニーでシンガーソングライターとして活動、以降はlittle by littleの楽曲制作担当として2003年に再度ソニーからデビューし1stシングルの『悲しみをやさしさに』でトップ10ヒットを記録したがソニーアニメ典型パターンに陥り2005年に1stアルバムを出した後はリリース停止状態となり1年ほど経過していた(2008年に復活して2作シングルを出したが今度こそ最後になった)。
小林武史についてはクレジットされているキーボード参加だけでなく当時のakkoのインタビューではもう少し手伝ってもらったような事を語っていた事からアレンジの“and other”に小林武史が含まれているのでは?というのは定説になっている。ソロプロジェクトになったと発表している以上、当初は中途半端に小林武史の名前を出すのを避けたのかなとは思う。
作家としてある程度実績がある中での抜擢となったが、akkoの初期のようなポップス路線という意向も大きかったと思われ、本当に初期を彷彿とさせるポップス。ストレートに誰の曲とか分からないような匿名性の高い売れ線J-POPに仕上げた感じ。サビのメロディーがかなり強くていい曲なんだけど、このメロディーはもっと明るくハッキリしたボーカリストが歌った方がより映えそうでもあり、若干akkoとの相性が良くないようにも感じられる。ポップでマイラバっぽいんだけど、っぽいに留まっていて初期ほどの魅力は感じない…というのもまた正直なところ。どことなく「Hello,Again~昔からある場所~」の構成をなぞってもう少し明るいポップ寄りにしたような感じも。
“りぼん”にはかなり引っ張られたのか、『akko』のジャケ写はよく見ると影絵になっているのが雑誌『りぼん』連載だった『ひみつのアッコちゃん』風になっており、ブックレット内にはひみつのアッコちゃん風の衣装のakkoの姿も(原作の赤塚不二夫の権利表記もちゃんとある)。
★★★★☆
6thアルバム『akko』
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~』『Best Collection~Best Akko~』
18th あふれる

2007年3月7日
作詞:akko、作編曲:小林武史
フジテレビ系ドラマ『今週、妻が浮気します』挿入歌。アルバム『akko』では事務所社長としてのExecutive Producerだけでなく、作編曲に名前はないがキーボード演奏(とたぶん”other”)で参加していた小林武史だったが、早くも楽曲提供者として復帰。ドラマではあくまで挿入歌として使用され、OP「た・す・け・て」、ED「てんやわんやですよ」共にクレイジーケンバンドでこちらはトップ10ヒットを記録した。今作は初登場39位となり5000枚程度の売上に低迷した。
年明けに小林武史と一青窈の不倫が報じられており、『今週、妻が浮気します』がシャレになっていなかった。なんだよこのタイアップ妻じゃなくて夫の方だろが…という何とも言えない状況で「あふれる」。一体何があふれるというのか。怒りか嘆きか悲しみか。曲どころじゃねーぞ…というのが当時の実際のところだったのではないか。
2000年代半ば以降のコバタケバラードといった感じのこってりナンバー。ヒットしていなかった割にはサビ頭は妙に当時から覚えていたが、文字通りドマンネリあふれるって感じのバラードで小林武史どうしちまったんだ…という印象が強く残っている。ただこの『アイデンティティー』、何故かストリングスのクレジットが無く(Guitar&Bassが西川進、Keyboardsが小林武史、Drumsが松永俊弥という3人だけ)、四家卯大の名前も登場していないのでストリングスっぽいラインも全て打ち込みで代用しているようで、ある程度こってりは軽減されてはいる。これでピアノストリングス全開だったらさすがに持たなかった気はする。
album ver.はどこが違うんだか良く分からなかったが、ざっと聞き直したところやっぱりほぼ同じなんだけど4分直前辺りのところでサックスみたいな音が新たに追加されている。ストリングス同様にアルバムの演奏クレジットには何も書かれていないんだけどこれも打ち込み?
★★★☆☆
7thアルバム『アイデンティティー』(album ver.)
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~』『Best Collection~Best Akko~』
1st配信限定アコースティックセルフカバーアルバム『acoakko』(セルフカバー)
2ndアコースティックセルフカバーアルバム『acoakko debut』(『acoakko』収録Ver.)
19th dreamy success

2007年8月22日
作詞:akko、作曲:松浦友也、編曲:安達練
今作はDVD付は無く、CD1種のみ。松浦友也は2001年にソニーからソロデビューしてシングル1枚で終了し、自身が表に出るのは早々に辞めてしまったようだが、2004~2005年にシングル3枚で解散した晴晴゛では外部作家の立場からメンバーを押しのけてメインライターとして曲提供していた。晴晴゛はすぐに解散してしまったが、My Little Loverでは特に重宝され『akko』『アイデンティティー』『そらのしるし』といったソロプロジェクト化以降の新作活発期のメインライターの1人として曲提供しまくっていた。売上は初登場80位0.2万枚と深刻な領域まで低迷した。
ピッポパッポした電子音が印象的なデジポップナンバー。演奏クレジットには西川進のギターしか表記されていない。小林武史が電子サウンドを導入した「Private eyes」周辺の頃は非キャッチーで実験的な方向性になっていたので、何気にデジタルサウンドでポップなのは新境地だったといえる。とはいえそこまで強いメロディーでもなく、何度聞いてもちゃんと覚えてないシングルの1つ。
★★★☆☆
7thアルバム『アイデンティティー』
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~』『Best Collection~Best Akko~』
20th ラビリンス

2008年3月12日
作詞:akko、作編曲:小林武史
前年の不倫報道が出てから約1年、2008年1月にakkoと小林武史が正式に離婚したと発表。しかし事務所の社長と所属アーティストという音楽関係は今後も続くと発表し、今作より3ヶ月連続でのシングル2作、アルバムリリースを発表。現在・過去・未来の3連作とされ、今作は“現在”に該当する。初登場60位で0.2万枚。
コバタケピアノバラード。ストリングスっぽいラインは聞こえるが相変わらずクレジットには記載がなく、記載があるのは基本バンドメンバー(ギター、ベース、ドラム、キーボードの4人編成)。このためかコバチルバラードよりもバンド感があり、出だしこそピアノだがバンドが入ってからはピアノだけが目立つというほどではない。小林武史によるマイラバっぽいシングル曲…ではあるけどなんか凄く過去の模倣っぽい。3人時代の曲のようなオーラは無く、”っぽい”だけでなかなか印象に残ってこない。
★★★☆☆
7thアルバム『アイデンティティー』
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~』『Best Collection~Best Akko~』
21st イニシャル

2008年4月9日
作詞:akko、作編曲:小林武史
連続リリースの第2弾で“過去”に該当する。初登場47位売上0.2万枚。3作連続で0.2万枚なのは一緒だが前々作80位→前作60位→今作47位と順位だけは連続で劇的に上昇した。連続リリース第3弾のアルバム『アイデンティティー』最終曲「アイデンティティー」が”未来”に該当する。
“過去”に該当するコンセプトであるためなのか、徹底して最初期の難解さのない純粋にポップ全開なマイラバを模倣したようなポップな1曲。待望のあの頃のポップ感のはずなんだけど、セルフパロディ感が強すぎるのか、模倣以上にはなっていないようにも思う。この辺りは当然ヒット曲しては全く耳にしてないし、目にもしてないような状況なのでリアルタイムの記憶もなく、ベスト盤で後追いで聞いたのもあるが、その後も定着せず、極稀に聞き返すたび、毎回初めて聞く曲状態になってしまう。
★★★☆☆
7thアルバム『アイデンティティー』
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~』『Best Collection~Best Akko~』
22nd 音のない世界/時のベル

2009年2月4日
同事務所のレミオロメンがエイベックスに新たに事務所のレーベルOORONG RECORDSを立ち上げて移籍。これに合わせて元々エイベックスにいたMy Little LoverもOORONGへ移動した。マイラバは前年にトイズ時代の権利を移動させてエイベックスからMY LITTLE LOVER全アルバムを通常プラケース仕様にリサイズして再発していたが、結果的にメインレーベルであるエイベックス(AVCD品番)で再発しておいたために早期廃盤を免れた。OORONGはレミオロメンが活動休止した事とマイラバの活動も停止した事で所属者の稼働が無くなりそのまま消滅、OORONGでアルバムを再発していたレミオロメンのCDは全て早期廃盤になってしまった。『り・ぼん』以降のエイベックス移籍後の音源はAmazon Musicのみ配信されていないが、OORONG移籍が関係しているのか今作からは配信されている。しかしAppleやSpotifyなど作品単位でエイベックス時代の曲が配信されているサブスクでも一貫して『Best Collection~Complete Best~』はエイベックス時代がカットされており、今作以降の収録となっている。一方でCDカタログにおいてはOORONGの作品はレミオロメン中心にAmazon謎の不具合(?)カタログ削除(『レミオベスト』が抹消されたのを筆頭にOORONG再発盤が消えている)の憂い目にあっており、マイラバの場合は今作のCD+DVDが削除されている。
C/Wには新曲ではなく「Hello,Again~昔からある場所~」「愛と平和」のacoakko Liveバージョンを収録。
「音のない世界」の昼ドラタイアップが当たったのか、先行配信していた着うたが『レコチョク』で1位を獲得するなど久々に注目を集めており、初登場8位、売上2.9万枚を記録。実に「DESTINY」以来10年7ヶ月ぶりトップ10入りとなった。ソロプロジェクト以降唯一のヒット作。
音のない世界
作詞:akko、作曲:松浦友也、編曲:皆川真人
TBS系愛の劇場40周年記念ドラマ『ラブレター』主題歌。『アイデンティティー』期の曲にはストリングスのクレジットが無かったが、今作以降は普通にバンド+ストリングス編成(今作は弦一徹ストリングス)。「DESTINY」前後の頃の難解さも出てきていた頃のシリアスなマイラバの王道っぽい雰囲気か。イメージを変え過ぎず、小林武史が作る模倣っぽいマイラバよりも今の本物のマイラバっぽさはある。松浦友也は「dreamy success」に続くシングル表題起用だが、少なくともこの時点での小林武史よりはいいメロディーを書いていたように思う。今作だけ極端に強いわけでもない…が、タイアップが当たりさえすれば、この手のマイラバのポップスはまだ求められていたという事もあったのかもしれない。
★★★☆☆
8thアルバム『そらのしるし』
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~』『Best Collection~Best Akko~』
時のベル
作詞:akko、作曲:tetsuhiko、編曲:皆川真人
ダイハツ「ミラ」CMソング。tetsuhikoは「り・ぼん」に続く表題曲起用。
ルリランラン ルリランラン♪のサビが「ALICE」を彷彿とさせる。というか「り・ぼん」にどこか「Hello,Again~昔からある場所~」っぽさが少しあったのとは比べ物にならないくらい思いっきり「ALICE」のパロディを堂々隠す気も無くやっているような…。さすがに今作はセルフパロディが過ぎたように思うが、しかし振り切ってここまでやると他の”っぽい”曲よりも馴染みがあるだけにより具体的に”「ALICE」っぽい曲”として結局エイベックス時代で1番覚えている曲になるという・・・。
★★★☆☆
8thアルバム『そらのしるし』
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~』『Best Collection~Best Akko~』
23rd blue sky

2009年8月5日
作詞:akko、作曲:松浦友也、編曲:皆川真人
単独A面だが構成は前作と同じで、2曲目に新曲「try」、3,4曲目に「ALICE」「STARDUST」のacoakko Liveバージョンを収録。前作のヒットが嘘のように初登場68位、売上0.2万枚。元に戻ってしまった。今作ではベーシストとして参加しているが、レミオロメン前田啓介はアルバムでは1曲作編曲も担当、四家卯大と共にストリングスアレンジも担当するなど小林武史不在の中でストリングスアレンジャー小林武史の弟子のような存在感を垣間見せていた(しかし程なくして地元山梨で前例のなかったオリーブ農家への道へと転身し、音楽業界を事実上引退してしまった)。
今作を最後に再び散発的な活動へと移行。オリジナルアルバム収録のシングルとしては今作が最後となっている。
開放感のある始まりのようなイメージの楽曲。『そらのしるし』では1曲目に選ばれており、ベスト盤で9曲目に出てくるよりもハマりがいいように思う。松浦友也の提供の中では今作が1番だろうか。この時点での小林武史ではちょっと書けないんじゃないかなという勢いもあり、前作に続いてのヒットにならなかったのは残念。やはり120%タイアップ効果だったか…。
★★★☆☆
8thアルバム『そらのしるし』
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~』『Best Collection~Best Akko~』
はなかっぱ x マイラバ カラフル

2011年2月2日
作詞:akko、作曲:松浦友也、編曲:皆川真人
NHK教育アニメ『はなかっぱ』1期OP。現在まで続いているアニメシリーズの初代OPで、最初の数年はOP/ED共にエイベックスが占拠していてEDはデビュー間もない東京女子流「おんなじキモチ」だった。何故かMy Little Loverはこのタイアップを完全な企画作扱いとして正規シングルとしてはリリースせずに、はなかっぱ x マイラバとしてシングルCDを発売。ジャケットからして“はなかっぱ x マイラバ”名義の「カラフル」というタイトルのシングルとしてリリースしたのではないかと思われるが、現在の公式サイトではOther枠に『はなかっぱ x マイラバ カラフル』というタイトルで記載している。
この公式表記では初回盤はステッカー付でジャケットが黄色、通常盤は青となっているが、実際にはCDは青ジャケしか流通していた形跡がないような…。収録曲はC/WにTVサイズ ver.、Instrumental、TVサイズ ver.Instrumental、そしてボーナストラックではなかっぱ × ももかっぱちゃん × がりぞー ver.を収録していたようだがこれらC/Wは全てCD限定となり、現行配信版では黄色ジャケットで表題1曲のみとなっている。
制作陣はエイベックス時代お馴染みの作家陣…にして何気にこのメンツでの最終制作となってしまった。ここに来てピコピコした電子音も鳴り響く明るくはじけたアップテンポで勢いのある楽曲。ピコピコと打ち込みだけでなく、いつになくエレキギターも目立たせており、藤井脱退以降最もギターに存在感があるように聞こえてくる1曲にもなっている。変に企画扱いせずに普通に扱っていたらもう少し注目されたんじゃないかとも思う。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
2nd配信限定アコースティックセルフカバーアルバム『acoakko gift』(セルフカバー)
24th ひこうき雲

2011年10月12日
作詞作曲編曲:小林武史
2010年の15周年ベスト『Best Collection』、アコースティック企画アルバム『acoakko debut』を経て、シングルとしては2010年のMY LITTLE LOVER × kitson名義での「ハーモニー」(『Best Collection』新曲枠で収録)、2011年のはなかっぱ×マイラバ「カラフル」と企画作リリースが続いていたが久々の一般発売通常シングルで結果的に最後のシングルCDにしてOORONG RECORDSでの最終作品。アルバム『そらのしるし』では作詞作曲編曲演奏の制作に一切関与しなかった小林武史が一転して作詞まで自ら行って提供した新曲。C/Wには荒井由実「ひこうき雲」のカバーが収録されているが、表題曲である今作はオリジナル新曲である。
正直このシングルは(正確には先の企画2作も)しばらく認識してなくて、『そらのしるし』の次になんかアコースティックアルバム出した後リリースが止まって次が2015年の『re:evergreen』だと思っていて、『re:evergreen』はリアルタイムで聞いて感想書くときに今作が出ていたのを知った。…が、わざわざシングルを聞く事も無く、サブスクを導入した2021年までは聞いた事も無かった。
NHKドラマ10『ラストマネー -愛の値段-』主題歌。ソロプロジェクトになってからは小林武史の楽曲であっても一貫して作詞はakko単独で手掛けていたが今作に関しては以前のように小林武史が作詞まで1人で全部担当。4年後の『re:evergreen』でも全曲作詞作曲編曲を小林武史が単独担当しており、akkoの作詞が無くなってしまったが突然どうしてしまったのか。2008年の提供時よりもピアノストリングス一辺倒になりつつあった小林武史による王道コバタケピアノストリングスバラード。一応MVではakko本人がピアノ弾き語りしているっぽい映像にはしているが、まあどこから聞いてもコバタケピアノストリングスバラード略してコバラードという以外の印象は…。
この状態からの2015年の『re:evergreen』って改めてマジでかなり偉大なる復調、復活作だったんだなと思う。往年の勢いはなかったとはいえ、『evergreen』と改めて向き合った事で生まれた『re:evergreen』というのは伊達じゃなかった。
今作を最後に新曲リリースは途絶えた。2013年に配信限定のアコースティックアルバム『acoakko gift』リリースがあったようにakko主導の活動としては新作を作るよりもacoakkoと題したアコースティックライブ路線に傾倒していったようだ。2015年『re:evergreen』リリース時は古巣トイズへ復帰したが、この1作を最後に新作CDは発売されなくなった。
★★★☆☆
アルバム未収録
配信 Hello,Again~昔からある場所~ acoakko ver.

2017年3月8日
三井ガーデンホテルズ「PRESENT LOVE.」キャンペーンソング。3rdシングルのアコースティックリメイク。バージョン名がacoakko ver.なのでややこしいが、2008年の配信限定アルバム『acoakko』と2010年のCD化『acoakko debut』に収録されていたバージョンにストリングス四重奏とベースを加えたのが今作となる。何故かAmazon Musicでは配信されていないが、基本的には各DL/STサイトで配信されている現時点で最新作が今作となる。ライブ活動は2020年の中止とその余波で2021年も行わなかった以外は最低年に1回は開催しているが、30周年記念新曲も出なそうとなるともう新曲は出ないのだろうか。
原曲よりスローアレンジでゆったり聞かせるバラードバージョンとも言える仕上がり。オリジナル(『acoakko』『acoakko debut』)は終始シンプルなピアノとアコースティックギターメインのアコースティックバラードアレンジだったが、今回はBメロから元々なかったストリングスが流麗に鳴り始める。といってもコバタケェェェェェェ!!!とばかりに鳴りっぱなしではなく、時に引っ込んだり出てきたりと緩急をつけた抑えたストリングスアレンジとなっていて、決して主張せずにあくまで脇役として静かに盛り上げるのに徹している感じ。
メロディーの良さとノスタルジックさは伝わるものの原曲のアレンジ込みで神がかった名曲だったので、このバージョンはひたすらデチューン、グレードダウンさせたようにしか感じられないのが正直なところ。『re:evergreen』でもこの曲はヘタに手を入れて分かりやすくリミックスで変更するような事はしていなかったように原曲の完成度が高すぎる。
★★★☆☆
配信シングルバージョンアルバム未収録
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