4thアルバム『PIECE OF MY SOUL』
フルアルバムとして2作目にして結果的に2期での最終作。生音中心のロックバンドへと大きな変貌を遂げて賛否両論を起こしたとされているが現在は圧倒的に最高傑作に上げるリスナーが多い。96万枚とミリオンに迫る売上を記録し、前作をわずかに上回ったアルバムでの2番ヒット作。
何気に帯のデザインが2パターン存在する。
2015年に発売20周年記念で行った対談で全曲語ったのはこちら。
1.FLOWER
作詞:上杉昇、作曲:柴崎浩、編曲:葉山たけし
先行シングル「Secret Night~It’s My Treat~」があったとはいえ、当時はかなり驚かれたんじゃないかというくらい音も違えば投げやり気味な上杉のボーカルスタイルも違う。ド頭から“PUNK ROCKを聞いてはMilkを飲む老婆”というキラーフレーズが炸裂。凄みのあるボーカルもインパクトが強いが柴崎によるキャッチーな歌メロの良さもあってただ激しいだけではない名曲に仕上がっている。
★★★★★
2.Love&Hate
作詞:上杉昇、作曲:柴崎浩、編曲:葉山たけし
派手なキーボードやポップなメロディーからは以前のWANDSを思わせるし、当初その方向性で作っていた曲の1つだったんじゃないかと思うが、ギターサウンドの激しさはこれまでとは一線を画している。当時はとにかく生き急いでいて余裕がなかったのかもしれないがこのくらいからじっくりシフトチェンジしていけば時間はかかってもやりたい方向にもっていけたんじゃないかと思う。
★★★★☆
3.世界が終るまでは…
4.DON’T TRY SO HARD
作詞:上杉昇、作曲:柴崎浩、編曲:葉山たけし
刹那なバラード。しっとりアコースティックで始まり後半はドラマティックに盛り上がる。正直今作の中で格段に人気があるわけでもなかったと思われるが、長戸Pが偉くお気に入りらしく『complete of WANDS at the BEING studio』に唐突に選曲され、さらに選曲を絞った『BEST OF BEST 1000 WANDS』ではラストにまで配置。これらを基にしている販路限定ベスト『WANDS BEST HITS』にも収録された。1度ならず2度も長戸Pお気に入り(ライナーにも明記)で収録されている特権発動曲となっているが何をそこまで気に入っているのかは良く分からない。そんな何度も収録するより「MILLION MILES AWAY」を収録しろよと多くのリスナーが思ってそう。疲れ果てて眠りについていくイメージの世界観に感じるものがあるのか、Pが最後に会った時の辞めて去っていく上杉昇の姿と勝手に重なるものがあるのか…。しかし設定上はPは引退していたはずで実際に脱退した時の社のトップは中島正雄氏ではないのか…?
★★★☆☆
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS』
Don’t Try So Hard
WANDS
5.Crazy Cat
作詞:上杉昇、作曲:柴崎浩、編曲:葉山たけし
冒頭サビは歌とピアノで比較的ポップに始まるが、すぐに重いギターサウンドに呑まれていく…という冒頭のアレンジが当時の木村氏の存在感がそのまま音になっているようで象徴的だなとなんか勝手に思っている。ダークな平メロとキャッチーなサビは以前のWANDSとこれからやりたい事への変化を示唆しているようでもある。
★★★★☆
6.Secret Night~It’s My Treat~
7.Foolish OK
作詞:上杉昇、作曲:柴崎浩、編曲:葉山たけし
当時社会問題になっていた未成年の自殺を取り上げた楽曲。”最上階の柵を越えて自由を探す”とは学校の屋上からの飛び降り自殺を示していて、嘘でも負けでもいいから今は生きろ(超訳)というメッセージが込められている。決して綺麗ごとだけではない言葉が並んでいるだけにより強く響くものがある。
★★★★☆
8.PIECE OF MY SOUL
作詞:上杉昇、作曲:柴崎浩・上杉昇、編曲:葉山たけし
抑えたA,Bメロからサビでバンドサウンドが炸裂する重いロックナンバー。向かい風に魂を削られながらも前進し続けるようなボロボロの歌詞世界はやりたい事を貫きたい意志と実際のWANDSとしてやってきた事の差を埋められない苦悩が滲み出ている。痛みを伴うが何故かとても魅かれる1曲。
★★★★★
9.Jumpin’ Jack Boy~Album Version~
編曲:葉山たけし
10.MILLION MILES AWAY
作詞:上杉昇、作曲:木村真也、編曲:葉山たけし
木村真也の初作曲作品。上杉・柴崎在籍時では唯一の木村作曲作品。痛みを伴う歌詞は共通しているが、1番は抑えたアレンジで、2番から本格的にバンドが入る構成はT-BOLAN「あふれでる感情」の進化系のようでもあり、同年にFIELD OF VIEW「君がいたから」にも共通するものがある。連呼される“粉々に砕けたガラスのようだ”はまさに当時の心境だったと思われる。上杉は後に今作での木村の作曲センスを褒めていたので今作へ悪い感情は持っていないと思われるが、いち早く3期でセルフカバーしてしまい、5期でも遠慮なくカバーされ唯一の歴代ボーカル3人が歌った楽曲となったため今更改めてもう1度歌うという事は無さそうだ…。
3期、5期のカバーも悪くは無いが、やはり当時の上杉昇が書いた歌詞を当時の上杉昇が歌っているからこそリアルに迫るものがあると思う。もう少し気軽に歌える木村曲が2期で用意されていれば3期や5期がわざわざ今作をカバーすることは無かったかも。ていうか現在配信にあるのがオリジナル以外(3期と5期のカバーだけ)って…。
★★★★★
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』(3期カバー)
19thシングル『YURA YURA』名探偵コナン盤のみC/W(WANDS 第5期 ver.)
Million Miles Away
WANDS
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