35th 明日を夢見て

35th　明日を夢見て

03年4月9日
第二章を銘打ったのに点で終わっていた前作から11ヶ月ぶりの新曲。今度こそ本格的に再始動となり、今作以降は06年序盤まで安定したペースでの活動が続いた。

当初音楽雑誌や公式サイトでは別の写真がジャケットとして公開されていたが発売直前に現在のものへと差し替えられた。実際当時「CD HITS!」に掲載されていたのは下記のようなジャケットだった。いざ発売されているのを見たらなんか顔の向き違うし文字も変わってて何が起きたのかと思った。

明日を夢見て

作曲:大野愛果、編曲:小林哲
アニメ『名探偵コナン』ED。今作以降シングルA面はほとんど大野愛果を独占するという起用方針になった。大野愛果が新人の時はDEEN、FIELD OF VIEW、3期WANDS、大黒摩季にまでA面曲にねじ込む猛プッシュの中でZARDだけが大野曲をC/Wに回し、「Get U’re Dream」でようやく1度A面起用した…という程度だったのに今作から怒涛の連続器用、この頼りっぷりである。他の新人作家を起用しまくるも当たらず、深刻な作家不足で結局大野愛果以上がいないという事になったのだろうか。特に近年のP監修本やP監修の番組等では大野愛果の曲との相性が良かったみたいな事にしている感が強いけどこれには違和感がある。また没後すぐの頃は織田哲郎批判のようなことをしていたが反発が大きすぎた上に人気ヒット曲を書いた織田哲郎を批判する事はファンをも足蹴にする行為だと気づいたのか近年は不自然に織田哲郎に触れずに話を進めるという方針に変わっているように感じる。

編曲は初登場の小林哲。この人はいかにもGIZA生え抜きの編曲者という感じで終始おとなしい控えめな薄味アレンジで統一されていた。今作もかなり落ち着いた薄いアレンジで2番でテンポアップしたりするのだが全く派手にはならない。ただ前作のような単調さは無いので、今度こそ新たなZARDと視点を変えて聞けばこれはこれで味わい深いものはある。

実際にOAされていたコナン主題歌バージョンは徳永暁人による軽いバンドアレンジ風になっていて丸っきり別物。そっちのままではシングルにするには正直微妙だったと思う。『ZARD ALBUM COLLECTION～20th ANNIVERSARY～』PREMIUM DISCでTV on-air ver.として初めてCD化されたが、『THE BEST OF DETECTIVE CONAN 2～名探偵コナンテーマ曲集2～』初回盤DVDにエンディング映像が収録されているのでそこで聞く事も出来る。

『止まっていた時計が今動き出した』ではミックスが変わっており、曲目には何も書かれていないが巻末のクレジット部分にだけひっそりAlbum Mix Ver.と書かれている。あまり違いは分からないが、1番分かりやすい部分は曲が終わったラストにフォフォフォフォフォと続くシンセの音が強めに残っているという違いがある。

『THE BEST OF DETECTIVE CONAN 2～名探偵コナンテーマ曲集2～』には何故かロンドンリマスタリングバージョンで収録されているという情報が出回っているがこれは当時のビーイング系のアンケートハガキに答えると送られてきた無料の情報冊子B-TOWNに書いてあった事らしく、ご丁寧に音色が違うとまで書いてあったので、“ロンドンリマスタリングでミックスが違う”として広まってしまったらしい。リマスタリングで音が変わる事はあるにはあるが、聞いて明らかにミックス違いだと判断するほどに音色が変わるのか(少なくとも音の配置を変えたり、あった音が消えたり、無い音を出したりすることはマスタリングでは出来ないはずでミックスの範疇)、全体の音の響きがなんとなく違うくらいに変化が生じるのがせいぜいいいところなはずで、実際に音の違いに言及しているリスナーもほとんど見受けられず、実際聞いてもほぼ同じものにしか聞こえない。ミックス違い(のように音が違う)というのはさすがに話を盛りすぎなのではないか。
★★★☆☆
10thアルバム『止まっていた時計が今動き出した』（Album Mix Ver.)
4thセレクション『Brezza di mare dedicated to IZUMI SAKAI』
1stBOX『ZARD PREMIUM BOX 1991-2008 Complete Single Collection』
2ndBOX『ZARD SINGLE COLLECTION～20th ANNIVERSARY～』
3rd BOX『ZARD ALBUM COLLECTION～20th ANNIVERSARY～』PREMIUM DISC(TV on-air ver.)
5thベスト『ZARD Forever Best～25th Anniversary～』

C/W　探しに行こうよ

作編曲:徳永暁人
完全に当時のGIZAサウンドって感じの軽めの1曲。後半はそれなりに盛り上がってはいるけどそこまで印象に残るほどではない。軽めのサウンドとはいえ前作よりはこだわっているのはちゃんと聞けば分からなくもないんだけどやっぱ地味っちゃ地味。

そんなに暗い曲調ではないが”君の死”という言葉が登場するなど死を取り扱った歌詞は異色。このためか没後リアレンジで真っ先ににリメイクされたが、まさか本人が亡くなるとは思っていなかったので全く別の味わいの曲になってしまった。
★★☆☆☆
1stBOX『ZARD PREMIUM BOX 1991-2008 Complete Single Collection』
2ndBOX『ZARD SINGLE COLLECTION～20th ANNIVERSARY～』
43rdシングル『グロリアスマインド』C/W(2007 version)
1stBOX『ZARD PREMIUM BOX 1991-2008 Complete Single Collection』
2ndBOX『ZARD SINGLE COLLECTION～20th ANNIVERSARY～』(2007 version)