3rd secret base~君がくれたもの~
01年8月8日
初登場19位から最高2位まで上り詰めてロングヒットを記録したダントツ最大ヒット作。1stシングルまずまずのヒット(6万)→2ndでコケる→3rdがTBS昼ドラ主題歌タイアップで上昇型ロングヒットで最大ヒットというブレイクまでの経緯がWhiteberryと全く同じだった。
タイアップ先の昼ドラ『キッズ・ウォー』シリーズは夏休み中の学生世代に大ヒット、以降もシリーズが続いたほか、夏休み期間の昼ドラタイアップでヒットを狙うというパターンが以後もしばらく続くようになった。特に後年ほど「secret base~君がくれたもの~」のヒットよもう1度とばかりに、制作サイドに「secret base~君がくれたもの~」のような曲を!!と強く言われたんだろうなという曲がチラホラ…(高橋瞳「evergreen」とか少年カミカゼ「Altair~キミと出逢えたこと~」とか)。
ただし『キッズ・ウォー』シリーズ自体はこの時点で既に3作目という人気作だったが、実は「2」の焼き直しのようなストーリー(井上真央と斉藤祥太がすれ違いまくりながら最後くっつく感じで終わる)で既にネタ切れだったのに「3」の大ヒットを受けてSP、4、5と作り続けたところ、焼き直しを通り越して「5」ではついに主役だった生稲晃子&川野太郎を事故死で殺害してしまい(ついでにほとんど出番が無かった末娘も一緒に殺害)、初回から衝撃の葬式シーンを展開、脚本家が「マンネリ回避のために両親には死んでもらいました(笑)」などと(笑)でインタビューに応じるほどイカれていた。回を追うごとに不評を極めていき、その後の主題歌がヒットすることは皆無だった。結局シリーズでヒットしたのは「secret base~君がくれたもの~」だけだったので完結編では「secret base~君がくれたもの~」が再起用された。
前作がコケたこともあり、タイアップ以前にこの曲で行きたいという事務所メンバーサイドの要望に対してソニー側は拒否の姿勢を取り、MIZUHOによれば「3枚目も売れなければ…」というようなことまで言われたという。それでも強い意志を持ってソニーサイドに屈せずに強硬発売した結果の大ヒットであった。ソニースタッフは前年にWhiteberryの「夏祭り」に反対していたことも後に明かされており、全く先見の明が無いことが証明される結果となった。
今作よりマキシシングルケースの仕様が変わり、薄型CD-Rケースのようになってしまった。これは歌詞カードに背表紙部分が無く、帯を無くすと背文字が無いので何のCDか分からなくなるという不便なタイプのケースであった。
初回封入特典はメンバー個別のソロジャケットランダム封入。本格的に売れ始めた頃にはとっくに初回盤は売り切れていたと思われ、ZONE初回盤の中でも中古でもまずもってお目にかかれないレアな品となっている。当時引き当てたのはTAKAYOであった。MIYU来い!MIZUHOでもいいよ!まあMAIKOでもいいよ!と思いながら買って帰ってきたらTAKAYOだったという当時の落胆ぶりは察してほし
secret base~君がくれたもの~
作詞作曲:町田紀彦、編曲:虎じろう
TBS昼ドラ「キッズ・ウォー3」主題歌。インディーズ時代から楽曲を手掛けていた事務所ランタイム社員の町田紀彦の楽曲がメジャー初採用となった。書き下ろしではなく元々インディーズデビュー前からあった曲で当時はTAKAYOが歌っていてアレンジももっと素朴だったとされている。そのためか書籍『ここから』のラストインタビューでTAKAYOは自分の曲だった歌があまりに大きく違うものになってしまったことに対する複雑な心境を言葉を選びながら語っている。
転校で離ればなれになる友人を見送るという夏の終わりの別れの物語がノスタルジックに展開。歌詞とメロディー含めて誰もが実際にそんな記憶が無くても遠いあの夏の日を思って感傷的になってしまうという問答無用の大名曲。流行りの曲に関心を示さない父までもがこれは名曲だと言って未だにウォークマンに入れているらしいので本当に幅広く受け入れられたんだなぁと実感した。
町田紀彦の少年時代の実体験から書かれた曲というのが定説になっているが、当時ZONEに深くかかわっていたフェンダー社員だった方のブログによれば、町田紀彦本人から“音楽教室のスタッフとして可愛がっていた生徒の転校の時の体験からの発想”だと聞いたそうだ。
またバンドルとして弾かずにおもちゃにしていた楽器もいよいよ本格的に演奏となった。猛練習を経てイベントライブ出演時(TV出演等のアテブリなやつ除く)に生演奏を開始した。ただし当時のようやく習得したばかりの演奏力ではオケを完全再現できなかったためやや簡易なアレンジにして演奏していたようだ。楽器編成ではTAKAYOがアコースティックギター、MIYUがエレキギターを演奏。そのまま演奏するとバレーコードの連発でアコースティックギターでの演奏がきついため、TAKAYOのアコースティックギターのみ半音下げチューニングでGにして演奏していたという(TAKAYOとMIYUが押さえているコードがなんか違うように見えるのはこのため)。ただしTAKAYOが歌っていた原曲の頃はそもそも半音高いオリジナルキーがGの曲だったらしい。
ボーカルはMIYU、TAKAYOがメインだがMAIKO、MIZUHOも目立つ箇所をソロ歌唱していてハモり含めて2人歌唱も多く、4人全員で歌っているのは1番サビや最後のサビくらいでそんなに多くない。MIYUは冒頭サビほか締めのフレーズも歌唱、TAKAYOは1番AメロやCメロ直後のサビを歌唱、MAIKOは2番サビ前半、MIZUHOは2番サビ後半やCメロ序盤を歌唱しているので全員に見せ場らしい見せ場があるといえる。
TOMOKA加入後は編成を一新。TOMOKAがエレキ、MIYUがアコースティックギターに楽器チェンジをした上、一応全員に歌唱パートはあるが以前ほど細かく分けなくなりほぼMIYUメインの歌唱となった。また“10年後の8月”再結成時はMIYUがエレキ、TOMOKAがアコギに入れ替えて演奏していた(MIYUが元の演奏に戻った形)。TOMOKA脱退後もMIYUはエレキで、サポートギターがアコースティックギターを演奏していた。
シングルでは歌が終わると余韻もそこそこに急速にフェードアウトしていってしまうが1stアルバム『Z』では長いアウトロを最後まで収録したフルバージョンでしれっと収録されている。最初にベースが入ってくるタイミングが変わるなど演奏も細かいところがブラッシュアップされている。といっても最後の打ち込み音は結局フェードアウトで消えていく上に、そっちはそっちでちょっと長すぎる気がしなくも無いが…。ライブではこっちのフルバージョンを基本にして演奏していた(最後にはメンバーの演奏パートが無くなるのでシーケンスで締める)。
アルバム『N』に収録されているLive Versionは『ZONE CLIPS 02』にライブ映像でも収録されているが、TAKAYO在籍時の2003年ツアーのライブ音源。メンバーが生演奏した唯一のCD音源となる。
MVでは曲の世界観を事務所の少年2人を起用して表現。各自アップのソロカットでは歌いながらメンバーが涙を流しているが、これは思い入れの強さで自然と流れたものらしく、当時の雑誌インタビューでも曲への思いを語っているうちに号泣しまくったという。
その後、あちこちでカバーされているが特にアニメ界隈でこのノスタルジーさが受けるのか、キャラクターソングとして発売10年で早くも2度カバーされた。1度目のアニメ『今日の5の2』でカバーされたのはさほど話題にならなかったが2度目のアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』は大ヒットして、ちょうど”10年後の8月”にも乗っかってヒットし、結果的にはそこに復活したZONEが乗っかるという逆転現象にまで至った。これ以降のカバーはZONE原曲というより『あの花』アニソンとしてのカバーである側面も強い。2021年は20年後の8月というよりも『あの花』から10年後の8月だと言われるほど。
2019年に事務所ランタイムの後輩ClariSが『SUMMER TRACKS-夏のうた-』カバーした際は今作のオケをそのまま使用。さらにそのオケに対して禁断の演奏クレジットを掲載。ZONEの作品では一貫して伏せられていた本当のレコーディング演奏者が今更正式に明かされた。編曲者の虎じろうの1人である宮永氏もこのようなコメントを残した。
“10年後の8月”からさらに10年後の8月、つまり“20年後の8月”、MAIKO以外が引退・消息不明となっており、リスナーはもうZONEに会う事は出来ない。20年後の8月もう会えないと知りながら聞くこの曲はまた違う意味で泣ける。悲しいけれど信じても届かない思いはあるのだ。大人になるとはそういう事なのだ。
★★★★★+1
1stアルバム『Z』(フルバージョン)
3rdアルバム『N』(Live Version)
1stベスト『E~Complete A side Singles~』
トリビュート+3rdベスト『ZONEトリビュート~君がくれたもの~』DISC-2(期間限定生産盤)-original best side-
C/W 新・僕はマグマ
作詞:ZONE、作曲:森香、編曲:虎じろう
インディーズシングルC/W「僕はマグマ」の歌詞・アレンジ変更リメイク。アレンジはよりロック調になり、4人の歌い方もかなり崩してはじけた歌い方になっていて他の曲では聞けないような変な歌声を聞くことができる。これを聞いた後だと原曲は随分おとなしく歌っていたなと思ってしまうほど。中高生だったZONEの等身大の無邪気さを表した1曲。
歌詞中に登場する「ザジズゼZONE」はファンクラブ名になった。またオリジナルでは冒頭から歌唱して歌詞としても記載されていた“グルグルグルグルピーピーハチャメチャ”の掛け声(?)は無くなってしまった…と思いきや歌詞には載っていないが最終盤でリフレインしてくる演出が地味に熱い。
ファンとしては微笑ましく楽しい1曲だが、全作中最もふざけたハイテンションソングが名曲のC/Wで良かったのだろうか、これでドン引きして1作限りで買うの辞めてしまったリスナーは大量に生み出していなかったのか…はちょっと気になる。
さすがに”10年後の8月”どころかTOMOKA加入以降の時点でもう披露されていなかったが、まさかの“2人になりましたけど…NANIKA?”ツアーでは3曲のダンスメドレーコーナーのラストで2人でこの曲を歌唱した。よくやったなぁ…。
★★★☆☆
アルバム未収録
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