SICK’S~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~ 恕乃抄

『ケイゾク』、『SPEC』に続く新シリーズでSPECサーガ完結篇と銘打たれたドラマ。2018年4月からParaviの有料ネット配信限定で公開された。ピンチョス配信と題して毎日数分ずつ公開して週末にまとめ配信していたが、不評につき2週目からは週明けにまとめ配信を先にして毎日配信に切り替わった。おおよそ1ヶ月で1話が完成という形で8月までに5話まで公開されて一旦終了した。三部作の序章とされ、この5話までは「恕乃抄」と題されている

その後、続編の公開が無いまま半年以上が経過していたが、2019年3月にBlu-ray/DVD BOX化及びレンタルDVD合計3巻がリリースされ、3月下旬から続編「覇乃抄」の公開がParaviで開始された。これに合わせ「恕乃抄」を編集した「特別濃縮版」を無料配信、TBS深夜で放送もされた。

今回DVDレンタル開始に伴いレンタルしてきて見てみた。

一部出演者が継続

木村文乃、松田翔太が主演に代わり、前シリーズの出演者は竜雷太が続投しているが、今まで演じていた野々村は死んだ事になっていて、弟の野々村光次郎として出演している。この他『ケイゾク』レギュラー、『SPEC』では準レギュラーとして出演した近藤(徳井優)が5話に1シーンのみ登場、さらに柴田を思わせる人物(総監と呼ばれている)も顔を映さずに登場させるという『SPEC』で柴田の存在を示唆した時と同じような演出が取られている。

また『SPEC』2話で神父として登場した大島優一(佐野史郎)は同じ名前の人物で、今作では新たに登場する「インナープラネッツ」という新興宗教のNo.2となっている。

また2018年秋にParavi限定で『SPECサーガ黎明篇「サトリの恋」』の配信も行われ、これは『SPEC』登場人物だったサトリ(真野恵里菜)の高校時代を描いた作品として公開。こちらに出演している一部の登場人物は今作の登場人物と連動して繋がっている。

途中で終わる

三部作の序章という位置づけの今作、散々匂わせぶりな組織や政府など色々な面々が暗躍している様子があちこち描かれながらも何一つ明らかにならず、しかも一旦の区切りでも何でもない完全に話の途中で唐突に終了してしまう。

これですぐに続編が始まるならまだしも一旦クランクアップして再度撮影が開始されたのも相当後だったらしく、配信終了が2018年8月、続編開始が2019年3月末というのはちょっとブランクが空きすぎ…。DVD待ちだともしかして全部終わるのに3年かかるのか…?

『SPEC』との繋がり…?

『SPEC』の世界観を踏襲していて一部出演者が繋がっていたりもするが、『SPEC』の結末との繋がりがハッキリしていない。前作の所属組織であるミショウが存在していた事は示唆されており、野々村が殉職した事も明言されていて、ニノマエのクローンへの言及もある。しかし同じ名字で能力的にさらに上を行くニノマエイトという人物が出てきたり、前作主演陣への言及が無かったり、そもそもSPECそのものへの対応にやや前作の世界観との違いを感じる。今作ではSPECの存在はかなり秘匿されていて限られた者しか知らないし、主人公である御厨静琉(木村文乃)はSPECの存在が公になれば秩序が崩壊するとして身を削ってまでどうにかしようと動いている。前作ではそこまでシークレット扱いにされていたわけではなかったような…。

というか『SPEC』の結末で当麻が自らを犠牲にしたことで世界はリセットされ、当麻のいない新たな世界として死んだ面々は野々村含めて全員無事に暮らしている様子が描かれていたはず。野々村が殉職しているというこのドラマの世界は『SPEC』の結末で変わった世界とは異なるパラレルの世界に思えるが…。野々村が死んだのはかなり物語の佳境の段階だったが、どう考えてもこのドラマの世界線はそこまで事態は進んでいない。当麻がいない世界で『SPEC』とは違う歴史を辿った世界の話で野々村もその過程で死んでしまったとか?こればかりは続きが始まらないと何も分からない。

面白い感じのドラマではあるんだけど、ここまで途中で終わってしまうと何とも言い難く、とりあえず続きを待つしかない。

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