2024年3月放送、テレビ東京系「ドラマ25」枠。1月クールの『ハコビヤ』が3月8日に全8話で終わり、4月クール前の3月の余った4週で放送された。
テレ東初の”ライブ配信“を題材にした配信に集うライバーとリスナーを双方向から描いたオリジナルドラマとして、1話ごとに主役が異なるが、全員がライバーとリスナーとして全話に登場し、メンバー同士の繋がりも生じるという内容。
イントロダクション含めドラマ公式サイトとしては配信元アプリの名称を出してはいないが、制作協力にDeNAがクレジットされており、本編終了直後のCMでは1話主演の松井愛莉がドラマの役で配信を見ているという設定の配信アプリPocochaのCMが流れる。
また作中の時間経過は2話が最古で2話→3話→1話(前半)→4話(1話と合流)という時系列だった事が判明する。
1話
松井愛莉主演。母を早くに亡くし、父親(池田鉄洋)と2人暮らしの会社員美緒(松井愛莉)は小学校時代からの親友千春(梶原ひかり)に密かに恋心を抱いていたが、母を亡くした時に父から結婚するまでお父さん頑張ると言われていた事もあり、普通に男性と結婚するという価値観と自身の本当の志向に悩みながら暮らしていた。
そんな中、配信で思いを吐き出すという世界を教えられた美緒は配信視聴者としてハマっていくが、そんな中で自由人な千春が海外へ行くと宣言。近くにいられなくなるとショックを受け、つい親友だと思った事は無い(=好きな人だから)と言い放ってしまい、千春を傷つけてしまう。
この辺りから父が明らかに美緒の思いに気づいた様子で見送りに行くべきだと諭すようになるが、突っぱねて家を飛び出してしまう。初めて配信する側として配信を開始した美緒のところに「仮面おじさん」なる視聴者が登場、話を聞きたいんだとコメントされたため美緒は初めて思いを吐露。帰宅後、捨てたはずの千春へのプレゼントとして作ったパンダのぬいぐるみが机に戻っている事に驚くとすべて見透かしたような父から行ってこいと言われて美緒は千春の元へ。思いは伝えなかったが、ちゃんと見送ってどこか吹っ切れた様子で終了…。
ま、また同性LOVE話…というのはあるにしても配信で言えない事を吐き出すという点を打ち出してドラマの世界観を提示したような話だった。
2話
加藤史帆主演。お嬢様を装っているが実はやさぐれ貧乏人なかすみ(加藤史帆)はお嬢様キャラ維持のために奮闘し続けていた。メイク好きな地味男子視聴者の1人(小笠原海)にメイク術を聞いてパクッて配信していたがパクっているがバレてしまい窮地に。さらにバイトの配達でその地味男子の家に当たってしまいさらに窮地に陥ってしまう。全く脅すとかそういう気はない善意の地味男子の話を聞いたかすみは改めて地味男子を協力者として配信を再開しようとするが、最終的には開き直って素の自分を出す方向性に方針転換。またその姿を見た地味男子もキラキラ系のメイク系ライバーキラとして人気ライバーとなるのだった。
1話で配信者として出ていた2人は既に素のやさぐれお姉さんとキラとして配信に参加しており、2話ではそうなるまでの過程が描かれた。やさぐれ加藤史帆が面白かったのと何より貧乏過ぎてバイクどころか自転車も買えないのでウーバーみたいな配達仕事を全部マラソンで行っているという体力馬鹿設定も笑えた。
3話
小笠原海、 堀家一希主演。キラ=光(小笠原海)はアパレル会社勤務のサラリーマンだった事がここで判明し、仕事は地味男子の風貌で行っていた。一方で仕事にそんなにやる気のない水戸(堀家一希)は光とコンビで仕事をする事になり当初はやる気を見せなかったが、実はキラの大ファンだった。キラが世界に1つしかないと言いながら見せていたグッズを光が持っていた事からキラ=光だと気付いた水戸は態度を一変させて仕事に打ち込み、彼の熱意に押された光と共に仕事をやり遂げるのだった(光は最後までキラだとバレているとは知らないまま)。
水戸が同性のキラを推しと言いながら明らかにときめきまくりながらのめり込んでいた様子からまた同性LOVE?美緒ほどで明確に描写されていたわけではないが…(光に対してLOVEである描写は無く、他にLOVEな相手の同性がいる様子も無かった)。
4話
池田鉄洋主演。1話で美緒の父として登場し、最終的に暖かく見守りつつ理解者として背中を押す役回りだった桂木(池田鉄洋)の1話の裏側での奮闘を描いた話。1話中盤で千春との関係が悪化してしまい、プレゼント用の手作りパンダ人形を美緒が捨ててしまったのを何故か終盤で桂木が家のテーブルに置いていたが、そこまでとんでもない苦労が会った事が判明した。
千春との話を偶然目撃していた桂木はそこで初めて娘が同性LOVEな事を知り、子供の頃に美緒が結婚するまで頑張ると告げた事が重荷になっていた事を理解して苦悩。パンダ人形は回収していたが、妊婦を助けた際に妊婦の紙袋の中に人形がINしてしまい、気づいた時は妊婦はタクシーに乗って何処へ…。妊婦が配信を見ていた事から自身も「仮面おじさん」としてタイガーマスクを被って素顔を隠して配信を開始。とりあえず最初に見に来た水戸に相談し、水戸のアドバイスと拡散でアプリ内でパンダ人形捜索がスタート。キラやかすみの元にもその話が届いて拡散に協力、最終期限日に妊婦(出産後)が名乗りを上げる。岩手だったので困ったが、岩手にいたトラックドライバーが協力を申し出、お互い顔を知らないものの指定の場所で受け渡しをする事で各地のリスナーがリレーしていきついに人形が桂木の元へ…。
と、なんだか『電車男』の現代版みたいな「仮面おじさん」を応援するムーブがアプリ内で起きていた事が判明。最後に背中を押す時の美緒ビジョンの父が少しお疲れ気味だったのはこういった背景があった事が判明したが、その後はあまり描かれずにブツっと終了してしまった。
全部終わっての感想
全4話と短いので各話が繋がっていたり、時系列が逆だったり、初回の話の裏側を最終回で見せるという10話以上の編成だと2ヶ月先で忘れているような展開でもうまく回った。配信という”案件”前提があるゆえの不自然さや偶然の連発はファンタジーにしてもそこそこ面白かった。ただ同性LOVE展開はこんなに毎回やる必要あるのだろうか。前クール『ハコビヤ』でも性転換の人が出てくる回があったのに、全4話で主人公5人のうち2人男女それぞれ2人が同性LOVEとなるとさすがに多すぎる気はしてきた。
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