GTOリバイバル

2024年4月1日放送。

1998年夏クールに連ドラとして放送され大ヒットし、1999年6月に『GTOスペシャル』、1999年末に映画『GTO』以来となる反町隆史主演版の続編

EXILEのAKIRA主演でより原作漫画に寄せたリメイク版『GTO』が2012~2014年にかけて連ドラ2本、SP3本制作され、こちらは明確にシリーズ完結となっていた。今回AKIRA版には全く触れずに26年ぶり続編として大々的に宣伝された。反町は続編のオファーを長年断り続けていたが(だからこそリメイクでAKIRA版制作になったものと思われる)、今回は反町サイドから逆オファーした事で続編が実現したとされる。

反町版はスペシャルまでは大ヒットしてイケイケで映画を公開したものの、映画は大コケしてそれっきりになってしまっていた。映画版は反町以外のキャスト一新どころか、制作陣も一新したため、ドラマ版との繋がりがいくつかの台詞で示唆される程度で完結編という感じでもなく、独立した番外編のような立ち位置でもあった。

元々反町版は原作の要素だけ使ってほとんどオリジナルキャラ、オリジナルストーリーだった事と、50歳の鬼塚先生など原作では描かれていないので、50歳を超えた鬼塚がどうなっているかというのは完全に演じる反町隆史の考えが強く反映されていると思われ、実際に脚本も10数回直したことが語られている。

そういう状況の中であのドラマ版の世界の現代版として非常に良く出来た話だったと思う。昔ほど過激な事や暑苦しい事はやれないが、それでも年齢を重ねた鬼塚ならこうするだろうという変わったところと変わらないままのところがビシッと決まっていて今になってリバイバルさせただけのことはあった。 しかも100分ちょっとの間に小林桃子、畑芽育、日向亘、八木莉可子とメインで4人の生徒の問題と次々向き合い、日向亘に関しては赴任先(鬼塚は副担任)の担任教師である岡崎紗絵も向き合う様子が描かれるなどスピード展開すぎるところはあったけど、濃縮して複数のキャラの活躍が描かれていて映画版よりちゃんと臨時教師やってるなと。映画版は居候先の笠原秀幸と問題を抱える田中麗奈の2人以外の生徒は全員背景だったし、鬼塚も掴みどころがない人物像に変わっていたので反町の鬼塚像が少し変わってしまったのではないか、終始焦る事もなくちょっと人間味が無くなってヒーロー然とさせすぎたのではないかという違和感があったけど、今作はちゃんと『GTOスペシャル』からの世界線だった。動画拡散の対象にされていると知るやガクガクブルブルし始めて動揺するところとか人間味のある部分もちゃんと描かれていてそうそうこれがドラマ版鬼塚だよなという感じがちゃんとあった。池内博之、山崎裕太、窪塚洋介、小栗旬、徳山秀典(教師になっていたが休職中に代理で鬼塚が臨時教師になるという設定なので序盤は動画の中でしか出てこなくて最後に登場した際も他のメンバーとの合流は無し)が元生徒として登場し、友人だった藤木直人、そして松嶋菜々子が登場したのも熱い。女生徒は1人も登場しなかったが、希良梨以外のメインメンバーは全員とっくに芸能界引退済みな上、希良梨も『GTO』以降役者活動はしていなかったので出なかったとか呼ばなかったとかではなく、女生徒で出れる人がいなかった…というのが実際のところだろう(内山田教頭の娘役だった馬渕英里何は生き残っているが生徒ではないしな…)。『女王の教室』もAKIRA版『GTO』も『幽かな彼女』も2000年代以降の学園ドラマの生徒役って何なら女子生徒役からの方が複数人ブレイクして長く活躍しているのもあるのに、1人もいないってそれはそれで珍しい…。

気になったのは鬼塚が30回以上クビになった教師扱いされていた事で、26年で30回以上なので年1以上でクビになっている事に…(しかも現在は教師ではなく配達の仕事で繋いでいて教師復帰が久々っぽく描かれていたので実際はもっと短い年数の間に30回以上クビ)。鬼塚は武蔵野聖林学苑の理事長に気に入られて教師になり、最終回では武蔵野聖林学苑の教師全員を味方につけ、さらに理事長の顔が広く、スペシャルと映画での臨時赴任は理事長の紹介だったので、理事長という後ろ盾がある限りそんな困るほどクビを重ねる事はないと思うのだが…。理事長を演じていた白川由美が2016年に亡くなっているので、赴任先を紹介してくれていた理事長がいなくなったせいにしても30回クビではなく、理事長の紹介で30件以上各地で臨時教師をやって問題を解決してきた、という方がしっくりくる。

最大の謎は冬月(松嶋菜々子)がスッチーに戻ってしまって教師を辞めていた事。原作版と違って客室乗務員希望だったけどなれなかったので仕方なく教師をやっていた設定の冬月は鬼塚の影響で教師としても目覚めていったが、連ドラ終盤では客室乗務員に採用され学園乗っ取り騒動の際にこっちから辞めてやる!と宣言して客室乗務員1本に転職。しかしすべて解決後迎えに来た鬼塚を受け入れ、鬼塚が臨時教師で他校に赴任した際に担任として採用され、最終回で「GTF」を名乗る教師に戻っていたはず。何故また教師を辞めて客室乗務員になっているのか。松嶋菜々子にはもう1つ大ヒットドラマ『やまとなでしこ』があるので、『やまとなでしこ』を彷彿とさせる客室乗務員姿を見せた方が視聴者が沸く…という狙いだったのだろうか。

いずれにせよこれだけ丁寧に現代の『GTO』、現在のオリジナルな鬼塚像を丁寧に描けるなら、反町本人もやる気のようだし、また続編を見たい。数字が出る時代ではないとはいえ話題になってた割に関東の視聴率が一桁だったのはちょっと痛恨…(関東が9.6%、関西が12.8%)。

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