びしょ濡れ探偵 水野羽衣

テレビ東京水曜深夜(30分)枠の2019夏連ドラ。舞台中心の女優活動になっていた大原櫻子が2年ぶりのドラマ出演にして初主演。ついでに主題歌も担当。

映画の主演主題歌デビューを果たしてから6年近くも経過してのようやくの初主演ってあまりに遅すぎるというか、既に大学も卒業する年齢になってしまっていて逆に今更主演主題歌って…。

ドラマ出演に関しては所属事務所を転々としてきた影響が露骨に出ていて要するにドラマによく出ていたのはフジパシフィック所属時代だけ。出演歴を見れば分かるように2014年夏~2016年まですべてフジテレビ限定出演女優だったという分かりやすさ。

そんなわけで今作では就活中の女子大生というギリギリの学生設定。水をかけられると任意の過去にタイムリープできて、タイムリープ先で自ら水を被れば元に戻る、そしてタイムリープ先では過去その時濡れていなくてもびしょ濡れな状態のまま行動する事になる、という特殊な設定。

ストーリー自体は、事件といっても殺人レベルの事件は起こらず、父が経営するラブホテルの一室で兄が探偵事務所をやっていて、主にそこに持ち込まれたけっこうくだらない案件の解決を手伝う、というもの。毎回の進行は非常に緩い展開で、しかも父も兄もボケ倒しのハイテンションキャラ友人はカタコトの台湾人でやはりボケ倒しの破天荒…ゲストの依頼人もぶっ飛んだ人ばかりで主人公大原櫻子以外に真面目でまともな人間がいないので終始ハチャメチャ、基本的に1人真面目に頑張る大原櫻子の正統派アイドルドラマといった装い。ホントなんで今!?というというくらい3,4年はやるのが遅い企画のドラマだったと思う。

ストーリー自体の緩さに加えて今作はテレ東がやっているネット放送Paraviと連動しての「ドラマパラビ」枠のため、Paraviと契約しないと話が真に完結しない作りになっていた。TVだけでほぼ完結している回もあったが、回によっては依頼人がA,Bと2人いてTVでは片方しか事件を解決させず、もう片方の依頼人の解決はParaviで!という露骨なParavi加入誘導回もあったが、別に加入してまで見たい話でも…という内容だけに何とも言えない感じ。

また兄、父親、友人がそれぞれメインの回や、主人公がタイムリープしない(どころかパズルにハマって没頭しているという設定でほぼ出てこない)回もあるなど、基本パターンに捕らわれずにかなり自由な作りであっちこっちへとボケ倒し、ふざけ倒すというなかなかシュールなドラマだった。

最終盤になって失踪していた母親(ふせえり)が登場。それまではエンディングでまるで見守っているかのようなナレーションだけしていたが、実際見守っていたらしく、これまで過去から戻る際に毎回都合よく水の入ったバケツや桶などがその場に置いてあるのはギャグ描写ではなく、毎回母親が仕込んでいた事が判明。しかしそれだけならそこそこ感動的だったはずが、母親を超絶に最低に描くという斜め上を行くシュール展開となり、娘にタイムリープ能力が発動したので自分も苦しめられたその能力に嫌気が指して逃げた事、逃走先で不倫キメこんでいた事、パチンコ依存症になっていた事、ブチ切れた羽衣に逆ギレして家に戻らないと言い放った挙句にその発言を過去に戻ってなかったことにしようとする兄妹を体を張って阻止し続けて水を被りまくった挙句にこれだけ被ったんだから許せと言い放つ外道っぷり。ギャグにしてもトンデモすぎる…。

そんなわけで終始ユルユルテキトーであったが、大原櫻子がナチュラルアイドルかわいいという点においては正しくアイドルドラマだった。違う回もあったが大体兄の手伝いでタイムリープするため、兄に水をかけてもらって発動する回が多く、その際に毎回「お兄ちゃん!来てっ!」と妹キャラ感醸し出してくるのもアイドルドラマだった。

ベスト盤のジャケットとかあんな誰だか分からないような写真にせずに、今作のエンディング映像の最後でカメラに向かって水をかけて笑顔な瞬間とかにしていれば2倍とは言わずとも+1万枚は売れていたのではないか…。ていうか本人が相当大人っぽく行きたいっぽいのと深夜ドラマで実家がラブホテル経営でびしょぬれなんて設定だからてっきりもっと露骨にアダルト路線のドラマかと思ってたらここまでアイドルPV的なドラマになるとはなぁ…。

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