ひねくれ女のボッチ飯 全8話

テレビ東京木曜深夜1時~1時30分枠。元『木ドラ25』枠。2017年4月クールから2021年冬クールの『あなた犯人じゃありません』まで続いていたが時間が繰り上がり0時30分~1時の『ドラマ24』になって『ゆるキャン△2』が放送されていた。『ドラマ24』枠の後継は『お耳に合いましたら。』で、今作はその後の時間帯に放送されることとなり、特に『木ドラ25』が復活したという扱いではない単発枠となっている模様。

元々Paravi限定で4月29日、5月15,22,29日に2話ずつ合計8話配信されていた。このため物語は春先の時期となっていて最終回は5月15日設定になっている。配信終了から1ヵ月経過しての地上波放送となった。初回のみ2話連続放送。

1話

人づきあいが苦手でひねくれた性格のコンビニアルバイト川本つぐみ(飯豊まりえ)はついに彼氏にもフラれてしまう。インスタフォローを外した際にホワイトホースなるアカウントを発見、彼女と別れたという似たような境遇をポエム風に添えたコメントと共に投稿されていた写真のカツカレーがなんとなくおいしそうに感じたのと白馬の王子さまなのではないかという妄想からカツカレーを食べに町中華へと向かうが、思った以上にオンボロな個人店で入りにくいとひるむ。意を決して踏み込みカツカレーを注文するつぐみだったが、思いのほか料理がおいしく…。

ひねくれ女という設定なのでいちいち毒づきモノローグを入れたり、他の客にツッコミを入れたり、最終的には料理のおいしさも伝えたりと、おいしいおいしいばかりでネタ切れになりがちなテレ東グルメ系ドラマに新たにひねくれ要素を加えた感じでなかなか新鮮。

ホワイトホースの声はつぐみの脳内では声優の下野紘によるイケボイスで再生されていたがラストで冴えない営業マン白石一馬(柄本時生)である事が視聴者にのみ示され、7ヶ月に及ぶ取引設定が台無しになって契約できなかった事を愚痴ろうとしたところこれじゃ誰も見てくれないなと考えて恋愛風にポエム変換して投稿したものだった。そんなことを知らずにフォロー&いいねをして次の投稿を期待して盛り上がるつぐみ、フォロー&いいねを女性らしい人からもらえて反応があったと喜ぶ白石の対比もなかなかパンチが効いている。

一方でグルメ系ドラマの宿命なのか、今作も『グルメバーガー』に続いて、というか今作の方が先なので正確には今作をこんな風に作ったので『グルメバーガー』もそうなったという方が正解なのだろうが、今作は完全マスク世界線。食事シーン以外は全員マスクという嘘のような現実地獄。2020年より悪化しているんだけどドラマでまでこれをやるのはマジで止めてくれ。

2話

会社員時代の知り合いに遭遇して新しい仕事を紹介するからとLINE交換をしたつぐみだったが一向に連絡は無く…透明人間のような存在だとひねくれる中でホワイトホースの新たな投稿が。今回は大衆食堂でのしょうが焼き定食。といってもメニューがなんでもある個人食堂という点で前回の町中華とあまり大きな違いが無く、透明人間というテーマの方で雰囲気を出していた感じ。

ラストでは白石のポエム変換の真実が明かされ、白石もまた透明人間のような仕事での存在感に悩んでいたがつぐみがフォロー&いいねして反応してくれるので透明ではないと実感して救われていた。悲哀ではあるけど、社会人あるあるでもあり、意外と共感を呼ぶ系ドラマかもしれないこれ。舞台となる飲食店自体はあまりアピールしてない感じだし。

3話

コンビニバイトで理不尽なクレーマーに連続遭遇してひねくれる中でタイムリーに理不尽さを訴えているホワイトホースの新たな投稿が。今回は居酒屋。過去男女2人ずつの飲み会でしんどい思いをしたつぐみは居酒屋にトラウマがあったが、ホワイトホースへの信頼を糧にして1人居酒屋デビューを果たす。なんだかんだ1人飲みでストレス解消になったつぐみだったが、白石の真実は理不尽ではなく単なる自身の無能さによる連続ミスであった。つぐみからのいいね!でやる気を出してようやく奮闘し始めるのだった…。

飲み会嫌いとしては色々と共感ポイントが多かった。

4話

仕事と自宅を往復するだけの繰り返しの毎日に虚しさを感じていたつぐみだったが、ホワイトホースの新たな投稿も繰り返しの日々をポエムした内容だった。相変わらずドンピシャにその時の心情に寄り添った投稿をしてくるホワイトホース王子を信じて今回はちょっとオシャレなイタリアンの店に向かったつぐみだったが、本日貸し切りで断られてしまう。今までだったらひねくれ発動でいじけて即出ていきそうなものだが、テイクアウトメニューを見つけたつぐみはテイクアウトは出来るか尋ねてテイクアウトに持ち込む。ホワイトホース王子と同じものを食べたいという目的があるとはいえ、貸し切りで断られたのにテイクアウトできるか聞くなんて以前のつぐみだったら絶対やらなくね?成長しているな…。

しかもピザが冷めるのを危惧して家まで待たず、近所の公園で食べ始めた。そんな晴れた日に暑…と思ったがそういえば撮影時はまだ春先か。これまた人目を気にしまくっていたこれまでからすると大胆な行動。そこそこ人通りはあったが、ひねくれツッコミを入れまくりながら食事を進めていてむしろいつもよりツッコミのキレが増して面白くなってるし。

白石の真実は営業で同じところばかり回って一向に契約取れないという相変わらずっぷりだったが、つぐみからの投稿いいねが入った直後に営業先から電話が入り契約1つ取れたつぐみさん幸運の女神かと盛り上がっていたがけっこうなダメダメっぷりが続いていたので白石に救いの描写があったのはこれ幸い。

しかしマスク世界線で繰り返しの日々という描写をやると絶望感が無限界王拳。こんな状況じゃ繰り返しの日々を打破する気力も行動も起こせないという絶望感が倍々になっていくの恐ろしすぎる。

5話

嘘が苦手で失敗したつぐみだったが、王子もまた嘘についてビューティフルライなるポエムでタイ料理を投稿。激辛なタイ料理を堪能したつぐみはスッキリした様子だったが、白石の真実はまた仕事がダメになったというもので…。これは前回契約が取れたやつが速攻ダメになったのではなく別案件だよな…。救いがなさすぎる。

6話

コンビニバイト同僚の早苗(片桐はいり)が辞める事に。これまでうざい相手だと思っていたものの、現在の生活でまともに会話しているのは早苗だけであり、改めて寂しさを感じるつぐみ。そんな中、ホワイトホースの書き込みも別れを示唆するもので…。

今回は1人焼肉。つぐみには普通なのにほかの女性1人客(市川紗椰)には店員が揃ってデレデレしまくっていたのはやや不自然だったが、設定上のつぐみは飯豊まりえよりももっと地味顔という事になっているのだろうか…。

白石の真実は別れた大切な相手というのは深夜残業で動いていたお掃除ロボット。なぜか共鳴を覚えて残業を過ごす夜にいつも励まされるようになっていたがそれが5年の時を経て壊れて役目を終えたらしい。相変わらず斜め上すぎる…。

7話

夢について考え目標のないコンビニバイト生活に焦りを感じ始めたつぐみ。今回の王子セレクトは安い回らない寿司屋。ハッシュタグになっている寿司ネタが読めないため王子セレクションではない寿司も食べつつも寿司を堪能。さらに仕事の夢だけでなく生活の中でのもっと些細な夢もいいんじゃないかという店主の言葉から、今の小さな夢は王子に会う事だと思いを新たにするのだった。

白石もまたつぐみに会いたいと考えるようになり、これまではフォローされているだけだったがつぐみにフォローを返す。つぐみは王子にフォローされたと衝撃を受けるが…。

8話

5月15日はつぐみの誕生日だったがボッチで迎える誕生日に虚しさしかない。そんな中、王子の投稿はフレンチだったが内容はほぼつぐみへのメッセージとなっていた。つぐみのアカウント末尾の数字が515だったことから自分は5月15日が誕生日なので同じで運命を感じた事、いいねが救いになっていた感謝などが綴られ、さらにフレンチの写真は去年のもので本日17時よりその店へ向かう事が示唆されていた。

王子に会えるかもしれないとそわそわするつぐみだったが店長が交代にやってくるのに遅れて17時を過ぎてしまう。店にはほぼ1時間遅れで到着し既に誰もいなかった。1人席を片付けている形跡と後から締めのデザートに自身とツグミを祝うメッセージカードを添えた写真をアップしていたのでさっきまでいたのは確からしい。

コース料理を堪能して同じデザートで王子へ向けてメッセージを返した投稿を機に自身もインスタを開設したつぐみは王子への感謝DMも送信。

一方の白石は「いいね」がつかないためいきなりつぐみに向けたメッセージを送ったのが先走り過ぎてやっちまったのかとぐったりして帰路についていたがいいねが来たのとDMやつぐみのインスタ開始を知らされてテンション上昇。お互い気づいていなかったが白石が喜んでいた橋の中央横の逆サイドにつぐみが佇んでおり気づかないままにニアミスして終了。

白石が思った以上に情けないダメ社員&ブ男風に描かれていたのと、王子の投稿読みナレーションをわざわざ声優起用してイケボイスでやっていたので実際に会ってしまうとつぐみがよほど心広くない限りは王子と白石の真実の差に幻滅するのも必定。白石的にはその気になるほど後がキツイ気がしなくもないだけに会わずにお互い好感を持ちつつ終わったのは良かったと思う。

ひねくれ女っぷりもなかなか面白く、近年ドラマで見た飯豊まりえが『電影少女 -VIDEO GIRL AI 2018-』とか『君と世界が終わる日に』とか不機嫌キャラだったのもあってか、ちょっと不機嫌くらいなのが似合っている印象だったのもあるかも。料理や店自体には重点を置いてなかったので、必要以上に料理を褒めるよりもナチュラルな佇まいで食べながらひねくれているのも新鮮だった。

会わずに終わったというのもあるし、マスク無き世界線でのこの物語の続きは見たい。

マスク世界線といえば店長(ゲッツの人)が序盤は普通にマスクしていたのに途中からサイズの小さいアベノマスクみたいなのになってて面積小さすぎて覆いきれなくてしょっちゅう鼻が出かかっていたというのは狙ってやっていたのだろうか。

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