春の呪い 全6話

テレビ東京土曜23時25~55分の30分枠に2021年春クールより新設された『サタドラ』枠の2作目。前作「私の夫は冷凍庫に眠っている」が全6話で4~5月、今作も全6話で5~6月に放送された。

原作は2016~2017年に1年間連載された小西明日翔による漫画作品。




1話

立花夏美(髙橋ひかる)、春(桜田ひより)の母が2009年に死去。父(飯田基祐)は母が亡くなる前から次の妻と交際しており、これを見抜いた夏美(09年当時は白鳥玉季)は父を軽蔑、妹の春(09年当時は田中乃愛)だけを家族として愛し、将来は一緒に住もうと約束して仲良く過ごしていた。

2019年、柊財閥の跡取り息子冬吾(工藤阿須加)の結婚相手としてかつて分家だった立花家は09年の母の葬儀時から現当主の妻聖美(高島礼子)から目をつけられており、春はまだ高校生だったが婚約話が2人も告げられる。しかし聖美は当時から反抗的な目を向けてきた夏美は無視し、春の方を選べと冬吾に指示。春と冬吾が結婚前提でお付き合いを始める。

1年後大学に進学して交際を進める春だったが、夏美は徐々に春が離れていく感覚がして婚約者に選ばれなかったことを嫉妬しているのか妹に執着しているのかで葛藤。やがて祝福すべきだと結論を出すが…。

なんと次の瞬間には母の葬儀の時のリフレインのような葬儀シーンになっていて、死んでいるのは春。一体何が起きたのか唐突に死んでいる春の亡骸に泣きつく夏美だったが、春は突如目を開けて腕をつかむと「冬吾さんは渡さない」と呪いを発動させる。驚愕して逃げ出す父と新母。焦る夏美だが腕は離れず引きずり込まれてしまい次回へ続く。

なんじゃこりゃ…。

まさかの死因すら明かさずに急に死んでしまう春。そして唐突すぎるホラー展開。超脚本すぎるだろと思って監督と脚本を見たらまさかの落合正幸。97年『パラサイト・イブ』、99年『催眠』、00年『世にも奇妙な物語 映画の特別編「雪山」』でよく知られ、先日感想を書いた『学校の怪談 呪いの言霊』でもトンデモ投げっぱなしホラーをやらかしてくれたあの監督だった。一瞬で納得。こんな超展開でもあの監督ならやるわ…。

2話

さすがに飛ばしすぎた1話の補完。1話ラストのホラー展開は夢オチで、春は病死。入院している回想シーンや冬吾とのデート中にふらついて病院に行くのを勧められるシーン(これが最後のデートになった)、葬儀の際に「抗がん剤を飲んでいた」「若いのにかわいそうに」等の台詞を入れた事でなんらかのガンで亡くなったことは示唆された。

春の死から4ヶ月ほど経過して冬吾は夏美を呼び出して婚約者候補として次は夏美だと淡々と告げ、即断る夏美。しかし妹の春へのほとんどラブな感じの自身の感情に悩んでいた事を語るとせめて春と冬吾が見た景色を見せてほしいとかつてのデート先巡りをお願い。淡々とこなす冬吾、改めて春への愛を思い出し、死ぬ間際まで自分ではなく「冬吾さんに会いたい」と言っていた春に申し訳なく思う夏美は冬吾と別れた後にそのまま橋から飛び降りしようとするが…。これまで淡々としていた冬吾が決死の形相で止めに入ってきて「お前が死ぬなら俺も死ぬ!」などと言って次回へ続く。

改めて妹への愛がラブ(恋愛に興味が無く春にしか興味が無い)という夏美の思いが改めて明らかになる一方で淡々とした冬吾の思いはほとんど明かされないまま話が進行。今回は特にホラーテイストは無いのに、なんだかちょいちょいホラーテイストというか不穏な音楽、意味深で不気味な雰囲気が漂うのは作風か。

3話

「お前が死ぬなら俺も死ぬ!」と熱さを見せた冬吾だったが春への愛情をあまり感じられないドライな態度に戻ってしまい結局感じ悪いままその日は終了。これっきりかと思いきや春との思い出の場所巡りは第2回も平然と開催され、夏美も夏美で割とフランクに接し始める始末。どうなっているんだこの人たち…。

ここにきてようやく冬吾ビジョンでの夏美も明かされ、最初会った際に何故あんなに暗い表情なのかと気になっていた事、実際暗くは無かったが妹を取られると思って自分に恨みを抱いていたのではないか等ほぼ当たりな推測を展開。実はかなり気になっていたらしい。妹のためだけに生きてきたが春はもういないんだと諭す冬吾だったが、冬吾もまた家に縛られていてそれだけ資格を持っていれば家を出ても普通に生きていけるのにと夏美に指摘されて初めて自身が縛られている事に気づき、なんだか2人はいい感じに…とけっこう強引な急展開急接近

聖美は夏美の事は候補に入れていないため既に冬吾と夏美の姿を隠し撮りさせて立花家へ近寄るなと圧力をかけていて不穏なまま次回へ続く。

4話

聖美の策略というか超解釈により、夏美は金目当てで妹の婚約者をたぶらかそうとしている悪女という事になっており、夏美は父と母(義理)から圧力をかけられ、冬吾は知らない間にはとこである真由子(結城モエ)を次の婚約者としてあてがわれてしまっていた。冬吾は直前まで知らされてないどころか真由子がやってきてからも真由子の兄に言われるまで全く気付いておらず(いくら血縁が重要といってもはとこでは近すぎるのでありえないと思っていたため)、その後も全くやる気ない態度。

一方で夏美は偶然春が生前「アキ」のHNで書いていた闘病ブログを発見。当初は夏美の知る春らしい姉への感謝が綴られていたが、些細な積み重ね(病室で冬吾にペンを借りた際になんか阿吽の呼吸感を醸し出してしまった、春を取られたくない一心で冬吾は金持ちなので価値観が合わないかもしれないが覚悟はあるか?などと変な事を聞いた)で、春は大好きな冬吾を取られるのではないかと嫉妬、特に死の間際に書かれた最後のブログではもし盗られるような事になれば姉を地獄へ連れていくなどと呪いの言葉で締められていた。
ショックを受けた夏美は放心状態の末に自殺を考えるが、冬吾が真由子と(冬吾本人は嫌々)歩いているのを見かけ、謎の復讐心に燃えてどうせ地獄に堕ちるなら…と妙なリミッターを外してしまって次回へ続く。

今回夏美のシーンの大半がブログを読んでいるシーンだったが独り言の連投過ぎてちょっとヤバい人だった。

5話

再会した冬吾と夏美。そもそもに最初に夏美を呼び出したのは冬吾だったがその理由は夏美に好意を抱いていたからだと初めて告白する冬吾。しかし春への愛が深い夏美には届かないだろうと考えてずっと黙っていたという。割とひねりなく婚約中に姉の方に心を持っていかれていた事が判明し、しかもピントがズレている。夏美は夏美で春への愛情の深さから恋などしないだろうと自分でも思ってたのにコロッと冬吾に行ってしまったわけで…。

その後、夏美を気にしすぎた冬吾は真由子とのデートをすっ飛ばして人身事故の報を聞くと夏美が飛び込んだのではないかと心配して駅へと向かってしまう始末。真由子はこれにてあいつないわ~と見限って出番終了。さすが話数が少ないと割り切りが早い。全然違う男性が事故に遭ったと知って高笑いの末に憔悴して夜道を歩いていた冬吾はリアル交通事故に遭ってしまい…。

ついに幻ではなくポルターガイスト的に腕を引かれるようになった夏美は春の呪いを感じつつも事故に遭ったという冬吾の元へ駆けつけ、壊れた2人が止まらない感じで最終回へ続く。

なんかもう少し隠された思いが明らかになっていく的な流れかと思ったらもう出尽くしててこれ以上視聴者に知らされてないエピソードや思いはあんまり無さそうだなこれ…。

6話

案の定もう明らかになる隠された思いみたいなのは無くて夏美が病院に駆けつけ、冬吾が無事だったとわかると改めて今までのおさらい。冬吾が知らなかった春が遺していたブログでの姉へと嫉妬心と2人の仲を疑って呪いの感情を抱きながら死んでいった事が改めて説明された。この春のブログの音読も数回は繰り返していたので今更感があったがそういえば冬吾が知るのは初めてか。それを聞いてもそれでも夏美に惹かれたと改めて思いを告白する冬吾。夏美は冬吾に惹かれている事を初めて本人の前で告白。冬吾は夏美は春にしか興味が無いので自分には関心が無いと思っていたし、夏美も冬吾に直接言ってなかったのでこれにて春との3人の出来事で双方が知らなかった判明している思いは全て伝え合った事となり、相思相愛を確認した2人は覚悟を決める。

冬吾は聖美に家を出ると宣言。最初は余裕ぶってどうせ半年もすれば詫びに戻ってくるだろうから全部ポストを開けて待っててやるなどと言っていた聖美だが、聖美から離れたいんだ!と強い口調で言われて出ていかれたため、あれこれマジのマジなやつ?とちょっと驚愕の表情で出番終了。

夏美も家を出ていくことを決意しこっそり出ていこうとしたが義理母が帰還。父が実はけっこう夏美の春との関係からくる心理的負担を心配して冬吾との事を反対していた事を告げると、それでも自分は夏美と春の実母が亡くなる前から父と付き合っていた(不倫していた)ことから強く言えたことではないとして夏美の決意を後押しし、父が帰宅する前に出ていきなさいと告げ、最後に母と娘として分かり合える。

こうして2人で歩き始めた夏美と冬吾だったが、ものの数歩でまた春の幻影、呪いを感じて萎縮する夏美。情緒不安定が過ぎる。今更のようなやはりこのまま2人で付き合っていいのか、春が見ていたらどう思うかという疑問を口にする夏美に冬吾は死んだ人間がどうなるかは死なないと分からないし、生きている俺たちは生きていくしかないと開き直ったかのような前向きな姿勢を語る。

罪悪感が軽減されると幻影の春は亡霊のような姿から笑顔の姿となり夏美と寄り添って歩き出し、吹っ切れた夏美は笑顔で冬吾と歩き出して完結。ええ~…。

全部終わっての感想

なんか普通にハッピーエンドで愛を貫いて終わってしまったが、「春の呪い」とはそもそもが夏美が悲しみと春の婚約者と付き合うという罪悪感によって出現していたもの+春が嫉妬の感情を書き遺していたブログでさらに強固な罪悪感、呪いとして夏美の精神に影響を与えていたもので、要するに夏美が生み出したもの。冬吾の言葉で気持ちを切り替えたら幻影の春が笑顔になってしまったという単なるメンタル問題だったみたいな終わり方はどうもなぁ…。ただ実際夏美が病んでいる感はあってほとんど独り言連投でヤバい感じは終始あった。

一方の冬吾は家の問題はあったにしても、切り替えが早く、春に愛情が全くなかったわけではないが(結婚して普通の家庭を作るビジョンはあった)、さほど葛藤せずに夏美に向かっていく(躊躇してたのは夏美が春を深く愛していて勝てないと思ったからというだけ)という事で、全く「春の呪い」を感じていないというところはさすがにちょっと春がかわいそうだった。

春はなんか普通に純粋でいい子だったみたいだし、最後の嫉妬も死への恐怖と孤独からくるものであって普通にかわいそうな人生だった…。

ホラー監督の無駄ホラー演出で桜田ひよりのセーラー色白にらみつけカットというマジ呪いっぽいシーンが頻出していたが終わってみればホラードラマではなかった。また30分が6話なので1時間ドラマ3話分しかなかったので、2人の関係が進むのを邪魔する展開はほとんど引っ張らずに終わっていくという点ではスムーズだった。

しかしそもそもどう終わろうとすっきりしようがない設定であり、特に桜田ひよりが恋愛ドラマはあまりやったことが無くてこの役が難しかったと語っていたがこれだけ特殊な設定は経験に関係なく難しいんじゃないかとは思った。変なドラマだったなぁ…。

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