世にも奇妙な物語 ’19秋の特別編

2019年11月9日放送。6月の「雨の特別編」以来。今年は「春の」が遅れて「雨の」になっていたが秋は概ね去年と同じ時期に戻った。




鍋蓋

杉咲花主演。

色々仕事を押し付けられたりとパッとしないOLライフを送る杉咲花の元に謎のメールが届き開封するとショッピングサイトのお勧め商品が表示される。意味不明の「鍋蓋」を勧められてそのまま閉じたが、何度もお勧めが色々表示されるので試しに1回購入。すると購入した商品がドンピシャで周囲の役に立つ、特に憧れの男性社員(岩永徹也)の役に立つという事態に発展。その後も半信半疑で何度かお勧め商品をスルーした杉咲花だったが、スルーした商品が必要だったという事態が起こった事からお勧め商品を妄信し始めた杉咲花は全購入を続け、周囲との関係も良好なものになっていく。

しかし男性社員との恋仲に発展しかけていたところで同僚女性社員に嫉妬し始めた杉咲花は一気にサイコさん化し、これに応じてお勧め商品が包丁となり、その包丁で同僚を殺しにかかるというサイコ展開に。絶体絶命のところで同僚女性社員はまさかの鍋蓋を取り出して防御。ここで監視していた海外のAI会社の社員会議の模様が映し出されて、AIの未来予測に基づいてお勧め商品を提示する実験を行っていた事が判明。基本的に対象を幸せに導くシステムだったはずが杉咲花のサイコさん化を招いてしまう最悪の事態となってしまったという。しかしそこでAIは殺人犯を生み出さないために同僚女性社員に鍋蓋をお勧めして買わせておき殺人事件の発生を防いだという。間違った方向に進んでしまったものを見事に軌道修正して最悪の事態を回避した事でリカバリーもできる素晴らしいAIシステムだ!となり、肝心の主演の杉咲花は同僚女性社員と一進一退の攻防の後、同僚女性社員の放った鍋蓋のフリスビーアタックを額に喰らってノックアウトして出番終了。その後は国家規模でAIショッピングで国防を図る様子、アメリカ大統領がNABE-BUTAのお勧めを見て「NABE-BUTA?」とつぶやいておしまい。

杉咲花がかなりの金額をお買い上げになっている様子が描かれたのでサイコさん化するにしても破産オチかと思ったらなんか壮大な話に。鍋蓋が本編にほとんど関係していない中で、最後にタイトルオチに持っていくのは珍しかったが、主人公はサイコさん化して気絶させられて終わってしまっただけに結局幸せになれたのかどうかは…。

恋の記憶、止まらないで

斉藤由貴主演。

すっかり売れなくなった中年女性シンガーソングライターがスランプに苦しむ中で、夢の中で降ってきた曲に何かを感じた斉藤由貴はその曲を完成させ、「恋の記憶」と題された新曲は起死回生のヒットを飛ばす。

しかし1983年の子供時代に歌自慢系の番組に出演した際のVHS録画を久々に見た斉藤由貴はその中で流れていた地方CMが夢で見た映像と酷似していて曲のサビに関しては丸パクリだった事を知って愕然。以降精神に異常をきたしていく。

まずはそのシンガーの事を調べた斉藤由貴だったが、そのシンガーは曲の発表直後に急死CMも地方で1度使われただけで封印されたため、シンガーの名前と曲自体は都市伝説系のマニアックなサイトには掲載されているものの曲自体は全くインターネット上には出回っておらず、知られていなかった。ただ盗作した負い目もあって、そのシンガーの幻影を見たり、そのシンガーの死因が不明だったので当時調べた記者に話を聞いたところ「何度も謝りながら死んだ」と聞いてますます精神状態が悪化していく斉藤由貴。ひとまずVHSをぶち破って唯一残されていた盗作の証拠も消して開き直ったりもしてみたものの、「恋の記憶」がCMに起用されるという1983年と同じ事態になった事で追い詰められるとそのシンガーの亡霊に追いかけられたり、盗作だとバレて冷笑される幻聴・幻覚が生じて発狂してしまう。

自室にこもっていた斉藤由貴の前に自身のCMが流れ、続けて1983年のCMが流れるが、CM映像だけでなくそのシンガーがボロボロで謝る映像も流れ始め、「何度も謝りながら死んだ」という1983年のシンガーもまた誰かの盗作をしていて追い詰められて死んだ事が判明。「恋の記憶、止まらないで」というサビが「この曲盗らないで」に空耳されていき、そこに原曲の作者らしき少女の姿をした亡霊が「この曲盗らないで」とささやきかけ、発狂して笑い出した斉藤由貴でバッドエンド。本編では描かれなかったがその後のタモリパートで斉藤由貴の出演バージョンのCMをバックに流しながら出演者の歌手が死亡した事により1度流れただけでお蔵入りしたと語られているのであの後に発狂死してしまった模様。

なかなかホラーだった。斉藤由貴くらいの年齢の女性シンガー、つまり80年代~90年代前半くらいにヒット出してた女性シンガーソングライターって大半が売れなくなってるだけに設定が地味に現実反映しすぎてるのがまず怖い。アラサー前後くらいの役者起用して若い子に押されてきて最近売れなくなってきたくらいの設定ならまだしも、50代でヒットが出せない以前に曲も全く書けない…という枯れきった絶望感はリアルすぎる。しかも夢の中で降ってきた会心の1曲かと思ったら幼少期に聞いたことのある既存曲で知らずにパクっていたという絶望の重ね掛け。これだけで十分ホラーなのに、本当に呪いの盗作ソングだったという恐怖までプラスされるなんて恐ろしすぎる…。

ただ唯一怖くなかったのは「恋の記憶、止まらないで」が「この曲盗らないで」に空耳というちょっと強引すぎる部分だがここはお笑いポイントだったのか…?

コールドスリープ

ムロツヨシ主演。

IT会社社長として大成功していたムロツヨシだが不治の病が見つかり治療法が無い。そんな中でコールドスリープを駆使すれば50年眠る事が可能だと知り、治療法が発見されるまでコールドスリープして生き延びる事にする。コールドスリープは50年が限度だが、途中で4度約1日だけ起きることが可能で、それ以上は負荷がかかるので危険だという。治療法が見つかるか何かあったらその4回を使って起こしてくれとコールドスリープに入ったムロツヨシだったが…。

目覚めるたびに期待をかけていた1人息子は1度目は浮気が原因で大臣の娘との婚約に失敗、2度目は浮気相手の方が本命で結婚して子供も生まれていたものの腹心の副社長に裏切られて会社が傾き粉飾決算で息子が逮捕されてしまっていた。2度目まではほとんど終始キレていたムロツヨシだが孫の姿を見れた事や3度目にはついに自分と同い年になった息子一家が小さなアパート暮らしながらも幸せそうな姿を見て考えを改める。さらに息子が同じ病気になっていて治療薬の治験終了実用化まであと6年だと知ると、自身はコールドスリープを拒否して息子に生きろと譲るという親子愛展開に。

コールドスリープに入った息子のその後は描かれずに終了したがエンドロールにて目覚めて家族と再会する様子が黒バックで役者3人のみという舞台みたいな演出で描かれた。

仕事人間だったムロツヨシが最後には親子愛に…という感動話だったが、元の性格がかなり冷たく描かれていただけに実質たった2日程度目覚めていただけでここまで思い描いていた未来とは全く異なる現実を受け入れ、息子も認め、3日目には自身は死を選んで息子に生きることを譲るというほどに人格が変化するのはちょっと不自然すぎた。

ソロキャンプ

板尾創路主演。

ソロキャンプが趣味の板尾創路がソロキャンプしているところから始まり、ソロキャンプの魅力を延々ナレーションしていたので当初は1人ナレーションコメディ(「夜汽車の男」的な)かと思ったら、突如謎の男が現れて脈絡なく人生を語り始めたあたりから様子がおかしくなり、ナイフを奪った男は逃走。さらに女子高生が同じように表れて勝手に語り出すが、近くでさっきの男が何度も腹を刺して自害。それを見た女子高生は包帯を凄い勢いで食べて窒息死という連続怪死を遂げるという超ホラーに。

またしても関係なく現れたおばあちゃんには先回りして死なないでくれ!と懇願する板尾創路だったがばあちゃんも「死にますよ」と言い放って焚火に飛び込んでいってしまう。目覚めた板尾創路は夢オチかと思って一瞬安堵するがテントの周りにはさっきの3人の影が表れていてどうして本気で死なないでくれとあの時行動してくれなかったんだと責め立ててくる。

ここに至って板尾創路が病院の院長であった事が初めて示され、手術ミスでメスを刺しちゃって死なせた男、手術ミスで包帯を頭の中に残してしまった事を部下に指摘されるも再手術はせずスルーしてそれが原因で死んでしまった女子高生、火事で受け入れ要請があったが会食があったので断った際に受け入れ先が無くて死んだおばあちゃん…と全て自身が死なせた患者であったことを思い出した板尾創路。暗い中を逃げまどい崖下へ転落した板尾創路がわずかに意識を取り戻すと手術中でもうこれはダメだな、無理だな…と完全に投げモードになっている医師2名がいた。本気を出してくれぇぇぇと魂の叫びを上げておしまい。

「恋の記憶、止まらないで」でホラーはもうやってるし、ソロキャンプのナレーションコメディかと思わせてのまさかのホラー。しかも板尾創路が医師であることは途中まで伏せられていて、序盤のナレーションでは仕事を成し遂げるとソロキャンプに来るとか、自分自身と向き合える大切な時間だとか主張していて真面目なサラリーマンを思わせるものだったので完全にミスリードだった。さらにホラーが始まっても単に自殺志願者が集まってくる特例地でキャンプをしてしまったという巻き込まれ型ホラーかとギリギリまで思わせておいて、不真面目な医療ミス隠蔽医者だった事と死なせた患者の呪いだった事が発覚するとは。「ソロキャンプ」自体がもうミスリードだった。

恵美論

白石聖主演。エンドロールが完全に終了してから放送された短編。

だる~い日本史の時間が何故か自身の歴史を紐解き研究する「恵美論」の時間になっていて驚愕する恵美(白石聖)というぶっ飛びコメディ。本人にしてみれば自分の事なんだけど周囲は「恵美論」の恵美と今ここにいる恵美は一致していない。友人によれば「理科」という教科と自分の名前である「リカ」は読みが同じなだけで別物であり、「恵美論」と恵美本人もそれと同じ事だという。また恵美の人生と「恵美論」の中の恵美の歴史が一致していても両親が「恵美論」のファンなのか!とか恵美論と同じなんて凄い偶!という超解釈になってしまい決して目の前の恵美本人と「恵美論」で研究対象になっている恵美は同一視されない…という超世界。

最後は「恵美論」を通して親しくなった憧れの同級生男子伊澤も同じように「伊澤論」と学問化されていて伊澤は超絶浮気野郎だと授業が行われているのを隣のクラスで見た恵美は空中パンチをお見舞いしてオチ。最後のタモリパートでその後の彼女は勉学に励んで「恵美論」の第一人者としてだけでなくその他の学問の学者として大成したと語られ最後までボケ倒しておしまい。

今回ホラー寄りでコメディが無かったので最後に何もかも吹き飛ばすハチャメチャな奇妙っぷりで終わったのは良かった。

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