2022年6月18日放送。元々「春」で2019年は6月まで遅れたので「雨」となったが、2020年は「春」に戻る予定だったところ新コロ騒動の大延期で7月放送になり「夏」に改題、以後そのまま3年連続の「夏」となった。これまた4本固定。
オトドケモノ
北山宏光主演。
ウェブデザイナーとして自宅作業がメインのタクヤ(北山宏光)看護師の妻ゆかり(小島藤子)の帰宅時に夕食の準備を忘れていたため宅配で取り寄せようとする中で2秒で届けるという謎のアプリ「オトドケモノ」を発見。商品代金+送料800円でマジで2秒で宅配員の女(乃木坂46樋口日奈)が届けに来た。やがてゆかりも一緒に色々と宅配実験を行い、どこまで届けられるかを確認。昔飼っていた犬はお骨になって配達されたが、生前の状態を希望したら生前の犬が届いた。しかしゆかりの死んだ母を配達するには億単位の金額が表示された。生涯年収で決まるらしい。しかし夫婦間であれば金額は発生せず送料800円のみと判明。2人は旅費を半分にしたり、通勤や待ち合わせの瞬間移動装置としても活用。
だが仕事でのお疲れから夫婦喧嘩になった際に2人は同時に互いを呼び出してしまった事でバグが発生。闇の異空間に閉じ込められてしまった。脱出手段は無かったが、外部と電話や通信は可能であったため、貯金で必需品を配達させ、タクヤの外注ウェブデザイナーとしての収入で資金を調達するというギリギリの生活ラインは確保。ゆかりは看護師をクビになってしまい経済状態が逆転した事と暗い空間での永遠の2人暮らしにますます関係は悪化してしまう。
タクヤは最終手段として1度離婚して他人になり、ネット結婚して相手に自分を配達してもらって脱出後にそいつと即離婚してもう1度ゆかりと結婚する事でゆかりを配達してもらう事で2人が脱出できると提案。しかし夫婦関係は既に破綻している上に、そもそもタクヤにネット結婚できるほどの高スキルが無かったために誰かと結婚するという最初の段階で計画は破綻。その間にゆかりは看護師時代に「オトドケモノ」で妻の形見の時計を届けさせていた塚本さん(綾田俊樹)が資産家のおじいちゃんだったためゆかりを配達してもらうのに必要な正規料金の億単位払ってもらって勝手に脱出、おじいちゃんと結婚するとして派手に裏切る。阻止しようと再度ゆかりを宅配して取り返す寸前に離婚が成立してしまい、タクヤは取り残されてしまった。ひっでぇな。離婚前、おじいちゃんと結婚する前なのでタクヤを救出した上で別れておじいちゃんと結婚する事も可能だったのに異空間に閉じ込めたままにするなんてどれだけ恨めばそんな行動が出来るのか。
そのままバッドエンドかと思いきや1年後宅配員の女にすがったタクヤは女から1つだけ脱出の方法があると告げられる。異空間に存在する宅配員の女は量産型で大量に存在したが、タクヤは量産型の女に混ざって宅配員と化すことで脱出に成功。おじいちゃんと優雅な暮らしをしながらなおも「オトドケモノ」を便利に使ったゆかりの前に宅配員としてタクヤが登場してTHE END。
やたらセクシーな宅配員に樋口日奈、ラストの量産型ひなちまはインパクトだったが、これタクヤが宅配員化したところで自由にはなれないどころか今より不自由になるのでは…。
何だかんだ銀座
有田哲平主演。
実質的に主演は飼い主の少年である祐介(岩田琉聖)。銀座の密を木に塗ると金持ちたちが集まってきて網で捕獲する事でカブトムシクワガタ感覚で金持ちを飼う事が出来るという超世界での話。“野生のお金持ち”であるニホンオオカネモチというのが有田哲平の役どころだが、現実に大会社の社長であるらしく散歩と称して会社に連れていく場面もあった。また基本的に銀座の高級品しか食べないので食費がかかりすぎるなど問題があるものの、言葉を発する事は出来ず、他の飼い主たちの様子からも静かに付き従い、せいぜい飼い主の名前を呼べるようになるくらいしかできないほど人ではなく飼われる存在となる…という。
結局家の財政事情で手放すことになり、涙の別れとなった。ニホンオオカネモチ自身も終盤は飼い主の祐介に情を寄せつつあり別れを惜しんでいたようだったが…。
やがて就活生に成長した祐介(松田悠我)は面接を受けた会社の会長に直々に呼び出される。そこにはニホンオオカネモチだった有田哲平が待っていた。この状態での有田哲平は普通の人間で普通に会話もできた。再会を喜ぶ素直な祐介だったが、有田哲平はニホンオオカネモチ化させて飼われた事を恨んでいたのか網を取り出して祐介を捕獲。この網で捕獲して首根っこを掴むという行為が飼育関係化する発動トリガーらしく、言葉を失いクワガタカブトムシ化してしまう祐介、不敵に笑う有田哲平でBAD END。
正直これ人権問題にならないの?というくらい人をペット…いや扱いとしてはクワガタカブトムシ扱いして飼うという攻めた内容だった気がしなくもないが、さすがにぶっ飛びすぎてて世界観についていけなかった。この世界観で大真面目に少年や家族や周辺住民たちはクワガタカブトムシのような扱いで金持ちを飼育しているのだから余計にうすら寒いというか…。祐介と同級生みたいなノリで接していた明美(伊礼姫奈)も明らかに小学生の祐介とは年の離れた女子高生のお姉ちゃんででなんでこんな姉弟みたいな年の差で親しいのか良く分からないままだったし…。
メロディに乗せて
生田絵梨花主演。
ある日絡まれているオッサン(金剛地武志)を助けようとした叶海(生田絵梨花)は突如ぶっ倒れてしまう。医師(濱津隆之)によると脳内メロディ症候群という病で突如として脳内に鳴り出す曲調に合わせた行動を取らないと負荷がかかって今回のように倒れるか最悪死ぬという。いつ鳴り出すか分からないメロディーと場にそぐわない曲調の中でどう振舞うかで悩まされる叶海だったが、社内に突如ミュージカル調に駆けずり回っている充(稲葉友)と遭遇。社内でも奇行で知られているという充にピンときた叶海が声をかけると3例しかないもう1例の脳内メロディ症候群が彼だった。同じ悩みを持ち恋人同士となった2人は理解し合い、心折れかけていた叶海も励まされていたが…。
オッサンがなんと3人目の脳内メロディ症候群だった。オッサンは叶海に助けられて運命を感じてストーカー化。邪魔な充を消そうと襲い掛かってくる。3人同時に流れている曲調が全く異なる(充は死にそうなサスペンス調、オッサンは1人自分の世界で「君を思って行動しているとき僕は痛みから解放される」という状態、叶海は通称「スネ夫が自慢話をするときに流れている曲」だった)のでシリアスなのに変な空気になり3人それぞれ必死というシュールな展開に。
最後は自分の行動は自分で決める!とオッサンに突っ込んでオッサンは頭打って気絶。叶海と充で抱き合うが、充の死のメロディーは止んでおらず死にたくないからと叶海を刺殺してくるという強烈な裏切りBAD END。しかしこの際の叶海の脳内メロディーは「Amazing Grace」に変わっていたため、刺されて点に召されて行くというあまりに行動がピタリだったためか救命医により叶海は復活。頭を打ったオッサンも無事で連行され、充もメロディーのせいだと叫びながら連行されていた。しかし3人の中で共通のメロディーが流れだす。医師が言っていたそれが鳴ったら全てが終わるというそのメロディーは「世にも奇妙な物語」のテーマソングで3人が戦慄する中でタモリが出現してタイトルバックになるというメタ的な超オチで強制終了。
とりあえず「ドラえもん」のBGMなのでドラえもんのようにカバンからポイポイ放り投げてシャープペンシルゥゥゥ!とかやってみる叶海が今作最大のお笑いポイントだった。しかし通称「スネ夫が自慢話をするときに流れている曲」なのでイメージ的にはやはりドラえもんのモノマネではなく自慢話をしないとダメだったのではないだろうか(実際全然収まらなかった)。
しかし今回1度は相思相愛で理解しあった男女が思いっきり派手に裏切って片方を殺しにかかるっていうの2作、復讐オチの『何だかんだ銀座』と3本も裏切りENDかよ…。
電話をしてるふり
山本美月主演。
11歳の時に死んだ父からの電話を装ってナンパをいつもやり過ごしていた望(山本美月)。しかしその日はナンパ師がしつこく、電話をしているのか疑って電話を奪い去ってきた。嘘がバレたと焦る望だったがナンパ師は本当に父に謝っているかのように誰かと通話している。電話を返されると通じていなかった。しかし警察官だった事まで名乗ったらしく死んだ父なのではないかと思った望は実験を開始。
その結果、誰かの前で電話をしてるフリをする→それを聞いている相手に電話を替わる→その相手と死んだ父が通話できるという仕組みだと判明。しかし望自身は父と会話する事がどうしてもできなかった。
3年後結婚の際に母にこの仕組みで父と通話させた望。母は一瞬でこの超常現象を信じて父と通話していたが、最後に電話を返されると初めて通話が通じた。恐らくこれが最後になるという父と最初で最後の通話をするという感動系の話のまま終了。
シンプルストレートな感動系。さすがにオチもひねりもなさすぎた上に時間も短かったが、裏切りオチ3連発だったので最後に安心感はあった。ただ父の仏壇に望のウェディングドレス写真が飾られているという遺影みたいな演出が追加されていたおかげで変な余白が出てしまっていたのは狙いか(写真が黒縁だったら露骨に遺影確定だけどそうではなかった)。
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