ハロー張りネズミ 全10話

『島耕作』シリーズが有名な弘兼憲史の80年代の原作漫画のドラマ化。91年に唐沢寿明で映画化、92年に中原茂でOVA、96年に緒形直人で2時間サスペンス枠で映像化されてきたらしいが、21年ぶりの映像化にして初の連ドラ化。91年に主演していた唐沢寿明の妻である山口智子が所長役で今回出演しているので26年越しで夫婦揃って同じ作品に出演した事に。

1話

所長のかほる(山口智子)、所員の五郎(瑛太)とグレ(森田剛)の3人でやっている「あかつか探偵事務所」は人情を売りにして一風変わった依頼も引き受ける探偵事務所として営業していた。小さな運送会社を立ち上げた社長の伊藤淳史が今回の依頼人。伊藤淳史は1ヵ月前に妻と娘が交通事故に遭い、娘は即死、意識不明の重体に陥った妻はかろうじてわずかに意識を取り戻すも余命間近だという。娘の名前をつぶやく妻にとっさに娘は無事だったと言ってしまった伊藤淳史は後に引けなくなり娘に似た人物を用意して死ぬ前に妻に会わせたいと無理難題を。

グレがプロデューサーに知り合いがいたので子役オーディションで演技力のある子供を探そうとするが失敗。しかし公園で偶然発見した女の子(三本采香)は髪こそ長かったが見るからにカツラ死んだ娘にそっくりだった。ていうか子役同じだからな後をつけた2人は孤児院にたどり着き、園長から女の子が父親から虐待を受けていて市の職員が救出に向かった際には父親の死体の横で平然と横たわっていたというダークな過去を持ち、誰とも関わりたがらず、夢も希望も持っていない子だと聞かされる(父親を殺したのかどうかは不明)。

話を聞いても拒否されたため、1度は断念したが妻の容体が急変したので駆けつけた五郎は少女に土下座して君が必要だと訴える。誰からも必要とされていないと思っていた少女は心動かされ、髪まで切ってくれて死相全開で死にかけている赤の他人のオバサン相手にママ死なないでと泣きながら呼びかけるという感情を閉ざしていたとは思えないようなMAXな感情を見せつけ妻は死亡。伊藤淳史は娘としてこの子を引き取る事にするのだった。完全に身代わりでありこの先を懸念する五郎だったが、所長は代わりでもお互いが必要としているならそれでいいじゃないかと説いて終了。

これでいいのか?という終わり方がまたかなり曖昧というか当初から伊藤淳史のキャラが不安定。最初からちょっと悲壮感に欠けていて妙に冷静な部分があったり、五郎に泣きつくシーンはギャグ主体にされるしで、率直に娘を1ヵ月前に亡くし、妻も亡くすという修羅場に立たされている人物に見えなかった。娘ソックリな子をそのまま身代わりにしてしまう辺り、けっこうキテいるという事なのかもしれないが…。ラストカットでは死んだ娘と同じバレエを習わせていて、それに従う女の子、帰り道でぎこちなく手を繋ぐ2人というのも、徐々に2人が親子になっていくというよりちょっと怖い終わり方にも感じられた。どういう意図だったのか…。

ちょいちょいギャグやツッコミを入れてくるも入れ方がけっこう緩めでどっちつかず。さすがに福田雄一脚本みたいな終始会話がギャグになってしまうのはアレだけど、会話の中でビシバシギャグが入ってくるようなノリの良さに慣れてしまうと今作の小ネタはかなり中途半端。

また前半は終始2人1組で行動していた相棒のはずなのに途中からバッサリ森田剛が登場しなくなった。具体的には前半の割とどうでもいいノリの時はずっと一緒で、孤児院での少女への説得→拒絶までは参加したが、そこからの帰還が本筋に関わった最後。

後半で妻がいよいよ死にそうだというシリアスな方向で突き進んでいくと瑛太とゲストだけで進行。森田剛が再登場したのはすべて片付いたエピローグになってこれでよかったのかな?と所長含めた3人で振り返っているところまですっ飛んでしまった。これはちょっとあんまりじゃないか。軽快なノリの部分だけしか使えないキャラなわけじゃないよな…。今回やった事と言えば不発に終わった子役オーディションを自身の人脈で開催させた(ただし借金をネタにゆすった形)のと園長相手に自分も孤児だったと大嘘ついて人のいい園長を騙したくらいでいい印象もないっていう。次回以降では最後まで出番あるんだろうか。

ヒロインのはずの深田恭子はド頭で「あかつか探偵事務所」を大手探偵事務所の所長に紹介されていたが、次の登場は40分経過後。この時は去ってしまい、ラストで正式な次の依頼人として登場し、ようやくの初台詞&名前が判明したのみだった。

2話

依頼人としてようやく登場した蘭子(深田恭子)は25年前のサンダー貿易副社長(平田満)自殺事件が殺人であると依頼してくる。25年前に詐欺事件にあって失脚した副社長はその末に何者かにビルから突き落とされたという。当時の部下(吹越満)から殺害当時の模様を録音したCD-Rが送られてきたことから25年も前の事件を調べる事になったらしいが、所長(山口智子)は何か裏があるのでは?と勘繰る。当時の書類を所持しているという南(リリー・フランキー)が書類を発見したと思ったら爆破されたところで次回へ続く。

ゴロー(瑛太)が蘭子と行動を共にしてメインで事件を追いながらもグレ(森田剛)は吹越満を追って別行動して探し出してきたので1話と違って森田剛にもそれなりに出番があった。

父親の死の真相と言って25年も前の事件だとは思いもよらない。送られてきたCD-Rの電話音声に対してあれ?携帯も無いような1992年にそんな咄嗟に会話録音できるような機能あったっけ?なんていうセルフツッコミも入っていたが実際どうなのか。

平田満の右腕のような部下が吹越満という「満」繋がりは偶然なのか狙ったのか不明だが(個人的には映画『ホワイトアウト』に2人とも出てたなぁっていう)、もう1人ゲストと思われたリリー・フランキーはレギュラーキャスト紹介の方に名前が載っていたので1発ゲストではない模様。ラストで思いっきり爆破されてたけどあれで助かるのか…?

3話

無事だった南(リリー・フランキー)の資料により、証拠は出そろい週刊誌に売り込む準備を始めた一行。しかし雇われたヒットマン(高橋努)が事務所に戻ったもグレ(森田剛)と大格闘。グレ劣勢のまま長々と格闘した末にカッターで腕をめった刺しにする攻撃でグレが逆転しかけるが土壇場で拳銃を持ち出したヒットマンは乱射して逃亡。

今度はホテルに滞在している蘭子(深田恭子)を襲撃し、ゴロー(瑛太)も駆けつけるがまたしても長々と格闘の末に結局蘭子を人質にヒットマンは屋上へ逃亡。最終的には捨て身で特攻したゴローがヒットマンを屋上から叩き落し、自身はギリギリで柵を掴んでいて落下を免れるという形でヒットマンのみ転落死。その後ゴローが警察のお世話になっている描写は無かったがどうなってんだこれ。正当防衛扱いになるとはいえ、主人公が完全に殺人してないか。そしてグレ&ゴローのヒットマン相手の格闘シーンどっちも長すぎ。

同時刻に吹越満は黒幕の1人である現社長の中原丈雄を蘭子の父(平田満)と同じようにビルから突き落として殺害。こちらは完全に殺人なので逮捕され、獄中で事件全体を総括する手記を書くと宣言した(報道では吹越満の殺害の動機すらちゃんと報じられていない状態)。

結局、バックにいた政治家らは逃げおおせてしまい、当初売り込もうとしていた週刊誌の件も有耶無耶になってしまい、蘭子は何故か探偵事務所の所員に転職して終了。色々と雑な作風なんだろうか…う~ん…。

4話

人気漫画家の北村(内田慈)から家の中に誰かがいるから調べてほしいという依頼がやってくる。話を聞くと幼い娘と2人暮らし(夫とは離婚)で娘が生まれた際に建てた新居に住んでいるが、原稿の締め切りに追われる日は北村は近所の仕事用のマンションに缶詰になるという。その間に娘がママらしき謎の人物にオムライスを作ってもらっておりその痕跡も残っていた。

まずゴロー(瑛太)が家に監視カメラを仕掛け、実際に北村の仕事場で北村が確かに仕事場にいることを確認しながら家にいる娘を監視していると、突如部屋の扉が開き、娘はママらしき人物と会話を始めた。抱っこされている様子で宙に浮く娘…と早くも完全なホラー展開に陥る。

困ったゴローはひとまず蘭子(深田恭子)が街でチラシを配っているのを見たという児童心理学の教授(古舘寛治)に話を聞きに行く。教授は娘が宙に浮いたり、映像がバリバリ乱れるという超現象に至る前に映像を閉じてしまい、娘の心の問題だと決めつけてしまう。娘に話を聞きに家に向かった教授は改めて心の問題だと持論を展開するが腑に落ちないゴローと北村。2階のトイレに向かった教授は謎の巨大な手に頭を掴まれ大流血で病院送りにされてしまった。

いよいよヤバい完全に霊能力の世界な事態に南(リリー・フランキー)を頼ったゴローは過去会った霊能力者を名乗るインチキ者たちの中で1人だけ本物だったという河合(蒼井優)を紹介。やってきた河合は南が昔知り合ったという割にはかなり若く明るいキャラだったが、家の中で早速何かを感じる。自分1人では太刀打ちできないほど強力な奴だと告げた河合は北村と娘を仕事場へ移動させ、ゴローと共に解決へ乗り出す。

教授がやられたトイレの真下の和室にある怪しげな古い木の柱に霊が住んでいるらしく、道具を取りに戻った河合がいない間に不用意に柱に近づいたゴローはリアル巨大な手に襲撃されてしまう。間一髪駆けつけた河合が唱えた術と道具により一時的に封じたものの、応急処置にしかならず持って3日だという河合。力を使い果たして眠りについてしまった河合で次回へ続く!

なんといきなりリアルホラー。子供の心の問題かと思ったら専門家の教授が妙にサクサク決めつけていき、作中でも「なんだかうさんくさい」呼ばわりされてしまうという扱い。確かにこの教授、決めつけすぎであり、ビデオをあと5秒見ていれば顔色が変わっていたかもしれないのに…。ていうかゴローや北村も教授の決めつけテンポに押されてないで1番不可解なその部分を見せろよ…

ラストでは娘の両手両足に妙にたくさんアザがあったので、ゴローは親子関係に問題は無さそうだと言っていたが北村の母親としての態度には問題ありそう。ママと会っていたという娘の超常現象発言にかなり激昂して怒鳴り散らしていた辺りかなりヒステリックな部分ありそうだが果たして…。

今回ほとんど依頼人とゴロー、河合だけでグレ(森田剛)は冒頭で話を聞いてお化けじゃーんイヤダァァぁとおしっこもらした程度しか目立った出番なし。次回はきっとサブで手伝ってくれるはず…。

5話

漫画家の北村(内田慈)の娘(後藤由依良)を狙う悪霊の正体を探し、倒す後編。ゴロー(瑛太)と河合(蒼井優)は悪霊が入っている古い柱の出所を探って奥多摩山中へ。そこの家の祈祷師の婆さんは依頼を受けて呪いのワラ人形を制作するのにその柱を使用。柱はその影響で悪霊化。婆さんの死後、売りに出されていた空き家でこの柱を発見した北村の当時の旦那が柱を気に入り、新居にこれを設置させたという。娘は霊感が強く、反応して悪霊が解き放たれたらしい。

仕事場に娘を連れてきていた北村だったが締め切り間近でアシスタントに全力ヒステリックに叫び倒して罵倒するどころか、娘にまでヒステリックに怒鳴り散らすなど荒れており、娘は何かに憑りつかれたように包丁片手に自宅へ戻って封印を解き、悪霊と対峙。柱に引き込まれてしまう。

前回ラストから娘の全身に赤いアザが出ていたので北村が虐待したのかと思ったが、娘の精神状態が悪化するとより鮮明に浮かび上がるようになり、その後の娘は包丁片手に半ば導かれるように悪霊の元へ向かっていったので霊気にアテられてアザが浮かんでいたという設定なのか?イマイチよく分からなかった。悪霊も悪霊で包丁を受け取ると離れたところにいる北村をめった刺し(ただし流血せず激痛が走るだけ)にするという攻撃も。北村、ほとんど全力リアクション芸人みたいになっててさすがに吹いた。

駆けつけた河合はゴローと共に娘を救出。その後、河合の念仏で何とか悪霊を爆散させることに成功した。河合によれば自身の霊力だけでは戦えないので娘の力も必要とのことだったが娘が何かする様子は無く、河合も側にいるだけでいい、ゴローにも娘を自分にくっつけておいてくれと頼むだけなので文字通りに見た目ひっついているだけで絵的に地味だった。蒼井優のドスの効いた念仏や「ハァァァァァァァァァァ!!!」という普通の作品ではまず発しないような能力放出系の叫びもシリアスなんだけどどこか滑稽でもあり。

北村は仕事場を解約して自宅を仕事場とし、霊のいた部屋は娘の希望で娘のマイルームに。大丈夫なのか不安な感じは残しつつ、娘も最後まで何考えているのか全く分からない表情や態度のまま終了。河合によれば成長と同時に能力が高まる場合も消える場合もあるとか。

ぶっ飛んだ話で前エピソードのようなスッキリせずに終わる話に比べれば面白くはあったけどいつの間にか初回から視聴率が半分以下になってしまったというのも分からなくもない。グレ(森田剛)は冒頭で元夫に柱の出所を聞きに行っただけだし、蘭子(深田恭子)も元ベビーシッターからあの家は怪奇現象が起きるからみんな行きたがらなくなるという別に無くてもいいような情報取ってきただけ。思った以上にほぼ瑛太+ゲストのコンビで物語の大半が進行するので森田ファンも深田ファンもこれはしんどいだろうなぁ…という。

6話

この手紙が届いたら訪ねてきてほしい、自分は死んでいるはずで犯人は群馬の県議会議員候補の伊佐川(ムロツヨシ)だ、という浅田玲奈(玄理)からの手紙がゴロー(瑛太)宛に届く。ゴローが訪れると浅田玲奈は死後2週間経過した状態で発見され、自殺と断定される。

犯人が県議候補の伊佐川だと名指しされているのでゴローたちは調査を開始。相変わらず出てくるのはゴローばかりだが、浅田玲奈がキャバ嬢などをやっていた事から元ホステスの蘭子(深田恭子)がその辺りの聞き込みを担当するという自然な流れで蘭子の出番はある程度確保された。グレ(森田剛)は…なんかもう相棒ポジでもない脇役のまま…。

やがて浅田玲奈が元は全く別の顔(役者も別の人)だったことが発覚。調査を進めていくと伊佐川とは高校の同級生で2人はずっと付き合っていたが、政治家になるための資金を稼ぐために浅田に夜の仕事をさせ、夜の仕事をするにはルックスが良くなく稼げなかったので整形までさせていたという。しかし、政治家への足掛かりをつかんだ伊佐川は資金のある有力者の娘と婚約してしまい、浅田を捨ててしまう。浅田は全部バラすと脅したが逆に伊佐川に殺されると感じ、ゴローに後を託したという。

後半はゴローの妄想だったため、当初は伊佐川は爆笑し証拠も無いと言い張る。というか確かに殺すつもりで殺しに行ったら浅田はもう死んでいたとバラす。殺すつもりだったのに勝手に死んでくれてラッキーだった、面倒に巻き込まれたくないから放置したと半笑いのまま告げるクズっぷりを見せる伊佐川だったが、この話を聞いたゴローは浅田の真意に気付いて推理を訂正

伊佐川を殺人犯にしたくないという配慮を見せた浅田は確かに自殺した。しかしわざと2週間後にゴローに手紙が届くように猶予を設け、この間に殺しに来た伊佐川が死んでいる浅田を発見し、通報しちゃんと弔ってくれればそれでよし、ゴローに手紙が届いてももう葬式も済んで全部片付いているはず。もし発見しても放置したなら2週間後にゴローに手紙が届き、ゴローが伊佐川に辿りつき真相をつきつけてくれるはず…というものだった。世間に公表するかはゴローの判断に託された形だが、クズっぷりを見せつけてきた伊佐川に配慮する必要もなく、ゴローは警察ではなくマスコミに情報を渡すと宣言。ここに来てようやく事態の深刻さと身の破滅を実感した伊佐川は泣き崩れ、後日ゲス議員としてマスコミに追われていた(事実を突きつけられた直後に当選はしていたので一応議員にはなっていた)。

ゴローを名指しで浅田が指名してきたのは整形前のキャバ嬢時代にゴローが客として浅田に接触しており、容姿に自身の無かった浅田を持ち上げながら盛り上がってくれてついでに名刺ももらっていたから。元ホステスの蘭子曰く、それでゴローの人の良さを見抜いていたのだろうとのこと。

1話以来の1回で綺麗に完結。ムロツヨシはヨシヒコ以降福田雄一脚本芸人の印象が強く、登場時も主演陣にチャカされた感じで出てきたものの、今回はふざけた役ではなく失脚する悪党役をしっかりやっていたのでなんだかんだ名役者だなと思った。この点は仏以前からわりかしそうではあったがいつでもどこでも佐藤二朗に磨きがかかりすぎて最早同じような役しか期待されなくなってしまった佐藤二朗との大きな違いかもしれない。

7話

近所の八百屋(宇野祥平)が毎晩ネギを買って帰る女性(橋本マナミ)と付き合いたいから調べてくれとやってくる。純情中年M字坊主というザ・オッサンな八百屋に対して、高嶺の花すぎるとゴロー(瑛太)ら事務所一行は即座に無理だろ…と感じるも調べることに。

ゴローと蘭子(深田恭子)のなかなか進展しない様子を後押ししようと所長命令でこの2人がコンビで調査をする事になり、深田恭子がメインに。今回もグレ(森田剛)は出番ほぼ無し。ていうか最初の頃は補足調査くらいはしていたのにここのところ深田恭子の出番を増やしたせいでグレほとんど何もしてなくね…?

調べると橋本マナミは夜の仕事をしていて複数の男を関係を持ち、貢がせている事が判明。ゴローはビッチだ!とブチ切れ、ホステスだった蘭子への疑念も膨らんでしまい調査が雑に。蘭子はその割には生活が質素なので理由があるのでは?と告げるが、ゴローは水商売を見下すような発言を連発した事で蘭子怒らせてしまいグーパンチを喰らってしまう。

蘭子は結局自ら橋本マナミのところに乗り込んで事情をうかがうと、やはり家庭の事情でやっていた事、実はそんな中でまっすぐで明るい八百屋の事が好きになっていたと告げる。ゴローは八百屋にはビッチですと調査報告してしまっており、翌朝お互い謝罪したゴローと蘭子は八百屋の元へ走り真実を告げ、八百屋は実家に帰り農業をしていた橋本マナミの元へ爆走して告白しゴールイン。見届けたゴローと蘭子も告白してキス!と盛り上がるが即座にホテルへ連れ込もうとしたゴローは再びグーパンチを喰らって次回へ続く!

冴えない中年オッサンが美人に片思いと思いきや奇跡の両想いでゴールインというストレート展開、ゴローと蘭子もこれに乗じて好意を伝え合う…という30代の男女2組による微笑ましい純情物語になるとはこのドラマ、本当に作風が幅広い。そしてやはり深田恭子、若い頃よりかわいい。グーパンチもなんかかわいい。

8話

昼飯で近所の古いラーメン屋に行ったゴロー(瑛太)、グレ(森田剛)。「幸福の黄色いハンカチ」を名作だとグレが主張しながら食事をする2人だが、近場なのに今まで行ったことが無かったらしく、近くで探偵やっていると店主のおばちゃんと盛り上がっているとその後で料理人のオッサン(國村隼)が娘と息子を探してほしいと依頼にやってくる。オッサンは素性を明かさず、早くに妻を亡くして男で1つで育てていたがある事情で離れ25年会っていないという。

いつものようにゴローが調査するはずだったが謎の腹下りにより動けなくなってしまったので全行程をグレが担当する事に。道中でオッサンが殺人犯として服役していた事が判明。オッサンは昔は自分のラーメン屋を持っていたが元ヤクザであり、ヤクザ仲間の嫌がらせを受けた事で相手を殺してしまい、その瞬間を子供たちが目撃。10年前に出所したが2度と会わないと手紙を送りつけられていた。

娘には会う事ができ、グレの発案で炒飯を振る舞い、少しは態度も軟化。当初は拒否られていた息子(兄)の連絡先を教わるも娘と別れた直後にオッサンが気絶。脳腫瘍で余命半年だったがここに来て急速に病状が悪化したオッサン。病院ではなく、息子の元へ連れて行ってくれとグレに頼み、グレは会ってくれるなら黄色いハンカチでもタオルでもかけていてくれ!と娘経由でお願いするといういよいよ「幸福の黄色いハンカチ」になってきたが、結果は無かった。光の速度で弱ってしまったオッサンは既に目が見えなくなってきており、そのまま息子に会えなかったがグレに会えてよかったと告げて亡くなってしまった。

葬式では未登場の兄も登場。しかしゴローが話を聞いただけでグレは現れず。グレはオッサンとのもう1つの約束であるかつて家族で行った海に「幸福の黄色いハンカチ」を大量に掲げ「オッサン見えるかぁぁぁ!!」と叫んでいた。

グレは軽薄なようで涙もろい設定だったので、今回の人情路線はゴローよりも適任だったと思う。回を追うごとに出番が減っていただけにキャラクターの掘り下げもなされていなかったが今回はオッサンとの交流の中で傷害で少年院にいたという過去も少しだけ明かされた。改めてけっこういいキャラクターだし、森田剛も好演しているのに何でここまでこんな出番が少なかったのか…。

ただオッサン急速に弱りすぎ。当初から余命間近なのかなという感じはあったけど(演じている國村隼がまだ還暦そこそこなのに死ぬ前に会いたいとか言っていたので)、まさか倒れてからそのまま一直線に衰弱して死んでしまうとは…。

9話

事務所の家賃を5ヵ月滞納していて経営危機だったことが発覚。何でも屋と化した赤塚探偵事務所はさっそく幼稚園の先生(樋井明日香)からヒーローショーをやってくれと台本のみ渡される難題を引き受ける事に。樋井明日香とはまた懐かしい…。15年位前にアイドル歌手としてエイベックスでデビューし、当時全盛だったTommy february6プロデュースだったり、伊秩弘将提供だったりしたんだけどパッとしなくてHINOIチームというグループになってもやはりパッとせず当時人気だった芸人の長洲小力と「NIGHT OF FIRE」出したり色々やるもやはりパッとせず自然消滅。00年代前半~半ばのエイベックスはFolder5とかEARTHとか解散もせずに自然消滅してしまうティーングループがけっこういた。樋井明日香は移籍して生き残っていたのか。すっかり大人になったなぁ…。

特にこれといった深いストーリーが展開することも無く、事務所メンバー4人に加えて、事務所ビルのオーナーがほとんど出番が無かったゴロー(瑛太)らの行きつけのスナックのマスター(ロッチ中岡創一)だった事が判明し、マスターと店員の萌美(片山萌美)もショーのキャストとして初めてメインで出演。さらに幽霊回で出てきた節子(蒼井優)も観客として登場するオールキャスト集合回に。

樋井明日香が彼氏に監禁DVを受けていて脱出後に幼稚園を通りかかったところ無邪気な子供たちの姿に癒され救われ、先生募集の張り紙を見てそのまま先生になったというエピソードと、元悪役プロレスラー(後藤洋央紀)とゴローたちが偶然出会って悪役だったけど実はいい人だったというサイドストーリーも展開する中でヒーローショーが開幕。

完全に悪役に振り切る所長(山口智子)、OVER 30’s WORLDでもロリ系だとかキョトン顔が最高にかわいいと作中で褒め称えてピンクが似合う蘭子(深田恭子)、蘭子がそんなわけでカワイイ一点集中で露出皆無なのにけっこう露出高めの衣装な萌美…と女性キャストが完全に中の人ありきになっている感があったが、順調にヒーローショーが進む中で元悪役プロレスラーが乱入。DV男とはこいつの事で、ショーの最中に樋井明日香をさらっていこうとするので、ゴローたちが戦う羽目に。当然全く歯が立たなかったが、節子の霊波動により行動を封じられたプロレスラーはゴローとグレ(森田剛)に滅多打ちにされてKO。ヒーローショーの体裁も整い無理やり大成功で終了。

ほとんどヤケクソに振り切った謎回だったが、エピローグではプロレスラーは逮捕された事、感謝していたはずの樋井明日香は備品が壊されその修理費を理由にノーギャラを要求してきたのでノーギャラになったと明かされる(本人は登場せず)というめっちゃ雑な処理。頼んできて、しかも救ってもらったのに報酬を拒否するのはさすがに無くない?ここまで見せてきたキャラとも合致してないじゃないか…。

また1番最初にプロレスラーの攻撃を喰らって1人病院送りの大怪我(たぶん彼の大怪我が傷害によるプロレスラー逮捕の主要因)して気絶していたマスターは達成感を得た他の面々との温度差が激しかったためか、大怪我を負ったのを本気で恨んでいて事務所強制退去を法的に命令。いよいよ解散の危機に陥った事務所だったがそこに最終回の依頼人が埋蔵金を探してほしいとやってくる。

そして所長はこれまた出番のなかった大手探偵事務所の片桐(矢島健一)に3人を雇ってくれと頼んでいた。キャスト表に掲載されているキャストのうち南(リリー・フランキー)以外の全員が出演した事に。だったら南も出せばよかったのに!

10話

家賃滞納による強制退去=あかつか探偵事務所解散が迫る中、亡くなった祖父が徳川埋蔵金がこの家には隠されていると遺言を残したと権田(柄本時生)が調査依頼にやってくる。1話に出てきた伊藤淳史の紹介だといい、身代わりになってそのまま養子にした三本采香と仲良く暮らしているらしいことが写真で紹介された。

かつてTBSが散々さがしたのに見つからなかった(自虐)と、半信半疑だった一行だったが現地調査にて、権田家は戊辰戦争後に処刑され、埋蔵金を隠した人物とも言われている小栗忠順が落ち延びて改名した=権田家の始祖は小栗忠順ではないか=埋めた埋蔵金を代々守ってきたのではないか(権田の両親は離婚で家を離れてしまい、権田は祖父に育てられたが一族が代々守ってきた秘密を祖父から受け継ぐ前に祖父が倒れて意思の疎通ができない寝たきりとなってしまっていた)、という事になり徐々に信憑性を帯びていく。

実家の家具にも隠し扉があった事から最初に暗号文を発見したのは蘭子(深田恭子)だったが、以降は唯一の頭脳担当と称されたゴロー(瑛太)が1人であれこれ悩み、所長(山口智子)はハイテンションギャグ要員、蘭子は権田を一目惚れさせる圧倒的ヒロイン要員、グレ(森田剛)は添え物状態。グレがもう少し暗号解読で協力してもいいんじゃないか。ポジションがあんまりすぎないか。

ゴローが暗号文を解読して現地へ向かった一行だったが、近所の老人3人衆が暗号文を遠方からカメラで隠し撮り(どんな高性能カメラだ)し、ほぼ同じタイミングで解読していたが、ゴロー達より先に山の岩の奥の洞窟へ潜入していた。しかしそれはであり、罠にかかり落石攻撃を喰らった3人衆は血まみれで動けなくなっていた。暗闇に浮かび上がる血まみれの老人3人衆の姿はゴロー達を震撼させる。

老人3人衆の出番は病院送りになった事で終わり、ゴローは再考。改めて暗号を解読して別の洞窟へ挑むと…マジで埋蔵金あった!!

歓喜する一行だったが、直後悲しみの表情の武士の亡霊が出現(小栗忠順?)。権田にしかその姿が見えていなかったが、直後に洞窟は崩壊。埋蔵金は全て埋もれてしまった。権田は掘り出すのではなく、守り続けろという事だったんだと権田家当主の使命に目覚め、このままにしておくと宣言。

事務所に戻った一行だったが、ゴローやグレは崩壊時のドサクサに紛れてそのまま一部の小判を持ってきてしまっており、これを使えば事務所は継続できる!と真っ黒に盛り上がり、まさかのブラックエンド

この世界では悪霊が普通に存在するし、実際小栗忠順の亡霊が現地に権田にしか見えないようにして登場したので、埋蔵金を守るために亡霊がこっちに出動してきて全員呪い殺されそうになる(そして節子(蒼井優)が助ける)という展開が直後に起こりそうな気がしてならないが、そこに新たな依頼人がやってくる。しかし依頼人は自分は依頼人ではないと告げる。

「このドラマが最終回だから歌いに来たんですけど…」

と言ってきたその客は…野田洋次郎

いつの間にかSOIL&”PIMP”SESSIONSの皆さんも登場しており、キャスト5名と共に主題歌をパフォーマンスしながら終了。

全部終わっての感想

サスペンス、人情、泣き、ホラーまで何でもありの世界観は独特すぎたのと、現代に置き換えたとはいえやはり古き良き懐かしの時代(昭和~平成初期?)っぽさが漂って異彩を放ったドラマだった。なんだかんだ心地よくなってきたところで終わってしまった感じでもあり、カルト的な人気からの続編も期待したいが、大コケしたのに最初から映画が決まっていた『神の舌を持つ男』みたいな政治力もなさそうなのでこれっきりかな。

思った以上に瑛太ばかりが活躍して、当初相棒かと思われた森田剛の出番の無さに驚いたが、それどころかレギュラー入りした深田恭子でさえ直後に出番がほとんど無くなる(幽霊回が瑛太と蒼井優メインだったため)など、活躍に偏りがあったのは気になった。一応森田剛にはメイン回、深田恭子は後半になるほど出番が増えた。しかしサブの調査すらしない回も多かった森田剛はもう少し活躍が見たかった。

深田恭子は一体いつまでかわいいヒロインのままなのだろうか。『神様、もう少しだけ』でのブレイクから来年で20周年だというのに、まさかあの頃まだかわいい路線でやっているとは夢にも思わなかった。しかし実際まだ余裕でかわいい。

対して山口智子は年の割には綺麗なオバサンという扱いでかなりはっちゃけて根性と貫禄を見せていた。芸人的なノリになっていたせいか以前のイメージと異なり、きこりの泉にぶち込んで出てきた綺麗な大久保佳代子…みたいに見えたのは気のせいだろうか…。

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