あなた犯人じゃありません 全8話

テレビ東京「木ドラ25」枠。2018年4月~2020年3月までの月~金、テレビ東京夕方17時30分~18時の30分生放送で放送された『青春高校3年C組』の生徒出演によるドラマ。番組は2018年の4月から1週間ごとに入学希望者がやってきて金曜日に生徒合格者数名を発表、これを9週繰り返してクラスが完成し、その後も2回オーディション期間を設けて2期生3期生が加入。部活動での活動がメインにシフトしつつ、女子アイドル部をメインにして2020年にCDデビューも果たした。2020年3月で生放送レギュラーは終了し、4月から深夜の収録週1放送となり、徐々に生徒も離脱していく番組末期状態へと突入していた。

今作は本来深夜枠移動と同時に2020年4月クールのドラマとして企画・撮影が開始されたが撮影2日目で新コロ強制自粛により撮影中止、そのまま放送未定となってしまった。実際には2020年夏には当初の季節(冬服)設定で撮影をひそかに完了していたが、結局放送は2021年1月となった。

2020年夏以降も生徒のフェードアウト離脱・正式卒業発表が続いたため、出演者の中には既に辞めている者、辞めるのが時間の問題なほどにめっきり本番組に出演していない者もいる。先日の『絶メシロード』でも妻と娘が追いかけている4人組アイドルの1人として写真出演していた田中柊斗は7月末(+10月のファンイベント)、林優菜は9月に、兎遊、涌嶋茜は12月で既に番組から離脱している。

平日生放送時代にNGT48の中井りかが副担任としてレギュラー出演していたのでゆるゆると見ていて、いい番組だなぁと思っていたんだけど、2年目から下り坂、CDデビューがどうこう言い始めて部活メイン(女子アイドル部メイン)になった辺りから当初の素人が集まってきて青春感を楽しむという仲間意識も希薄になり、深夜枠移行以降はもう末期状態になってしまった。既に3年目も終わろうという中、リアル高校生メンバーは数名しか残っておらず、大半が大学生、年長組は大学卒業の年齢も越え始めていつまでも青春”高校”とか言ってられなくなってきたので、恐らく番組も終焉が近い。これが最期の思い出作りになるのではないかと思う。

大方の予想通りに2/1の放送で3月終了(事実上打ち切り)が発表され、ちょうど3年で終了となった。

1話

今作では全員本人役。キャラはドラマ用に変えているが恐らく1カット出演のメンバーが大半で、女子アイドル部メンバーが中心になると思われる。役名なのは刑事の五島(山崎樹範)、殺された担任教師の泉(北乃きい)だけで、泉先生は殺されているので回想シーンのみの出演。犯人探しに燃える五島が学級委員で陰キャクイズオタクで推理力のある日比野芽奈とコンビを組み、毎回犯人だと名乗り出てくるクラスメイトの証言の矛盾を突いて「あなた犯人じゃありません」とキメるという、秋元康案件らしいクセのある内容。今回も大枠だけ指示して脚本家に丸投げした策士家お得意の錬金術なのだろう。事件の真相も大して明かされないと思っていた方が良さそう。

初回では前川歌音が犯人だと名乗り出る展開ながらその脇や全く関係ないところで名前表示と共にほぼ全員のクラスメイトが出演。なんとなく全員出演感は出してみたもののどうなることやら。

2話

陸上部の兼行凜が今度は犯人だと名乗り出てきた。万引きをしたので大会出場停止を決定した泉を逆恨みで殺したと無茶苦茶な事を言い出し、犯行に使った包丁も万引き、そこから3キロの道程を高校記録で走破して学校に戻ってきて犯行を行ったという。最初からすでに無理目なのに終始偉そうな態度で言い張る兼行凜。河野紳之介、佐藤諒、西村瑠香のミス研部員もレギュラーとして協力してタイムを計測したところ本当に高校記録級で走破してしまうという超展開だったが、犯行当日は道中の牛丼屋がセールで長蛇の列が出来ていたので包丁片手に全力疾走してくる陸上ユニフォームの女子高生が走り抜けたらどう考えても目撃者多数でパニックだという理由で「犯人じゃありません」炸裂。高校記録で走破するのがインチキではなかった方が逆に凄い…。

3話

兎遊がボールドウィン零が犯人だと告発してきた。2人は親友だったが半年前に大喧嘩して以来不仲だという。ボールドウィン零は兎遊のYouTubeチャンネルで泉先生も協力してのヤラセ動画撮影をしているのでその証拠をつかもうとして追い込んだら事故死させてしまったという。

毎回回想シーンで殺される泉先生、早くもかなり無理のある死に方になってきた…。ボールドウィン零は撮影していたその動画を削除したと言い張るし、結局兎遊が証拠として持ってきた動画も後半は別日撮影だったことと2人はとっくに仲直りしていた事も日比野に暴かれて「犯人じゃありません」。

これまでも犯人を名乗り出る動機があやふやだったが、今回は明確に不自然になってきていて、前2回の前川・兼行が2人揃って兎遊&ボールドウィン零を大丈夫かと心配しているシーンや、犯人じゃないのを暴かれた後に失敗してしまったと何かを不安がっている様子の兎遊&ボールドウィン零、お前らも失敗しやがったなとばかりに飛び込んでくる前川、その他何かを知っている様子の怪しいクラスメイト達…と日比野以外の全員が一丸となって何か秘密を守ろうとしているかのような匂わせが…。

それにしても兎遊なぁ…。次の頓知気さきなと並んで3期生としてセミプロ以上のところから事実上のアイドル部戦力補強目的のデキレース的特例加入(頓知気さきなはあからさまな芸名、兎遊はまさかの年齢非公開)っぽくて、一応地下アイドル出身とかバイトAKBだった子とかも今までもいたとはいえ、デキレース感強すぎて「青春高校」としては随分露骨に加入させたなって感じだったんだけど、兎遊に関しては加入時20歳までのルールがあったのに年齢非公開という不公平さと2020年コロナ以降は番組事態に出演しなくなり幽霊状態だったからどうにも…。しかも幽霊状態のまま年末に正式卒業したと思ったら、即座に別グループに移籍加入という青春高校を踏み台以下の扱いで足蹴にして辞めていってしまった。ドラマ撮影だけはちゃっかり参加してメイン回までもらっていたとは本当にしたたかな御方だった…。

4話

生徒会長の頓知気さきなが犯人だと名乗り出てきた。お上品キャラだった頓知気さきなだったがホスト狂いで自身は未成年で店に通えないため泉先生に金を渡して貢いでもらおうとしたところ揉めて殺したという。当初は泉先生がホスト狂いになってシャンパン開けまくり彼の取り合いになっただの色々盛っていたので最初から嘘の上塗り濃厚で早速日比野に先生はアルコールダメでシャンパン飲みまくるとか出来るはずないと割と致命的なツッコミを受けてしまう始末。

結局ホスト狂いは本当だったので単に本性がバレただけで失うものしかなかった頓知気さきな。親衛隊として雑に処理された男子生徒5名の忠誠っぷりは変わらずに終了。頓知気さきなは本性を隠してキャラを演じているホスト狂いという情緒不安定な設定だったので演技の下手さを絶妙にごまかせていたが、この人に関しては『青春高校』における兎遊の年齢不詳と並んで、あからさまな芸名、既に一定のファンがいてアイドル部補強のための即戦力加入が露骨だったのでなんかVIP様、外部テコ入れ参加の印象のままだったな。

例によって前回までの犯人ズがあいつもダメだったか…的な次の刺客送り出す算段をしていたり、兼行は「このままでは日比野が…」と意味深発言。これはこのままでは日比野が真相を暴いてしまう、逆に日比野を守ろうとしているのどちらかなのか。一応毎回出てくるミス研部員も河野が意味深な表情を見せることが増えてきたし、この辺りもじわじわ明かされていくならそこは面白くなりそうだ。

5話

元不登校でクラスに馴染めていなかった大曲李佳が犯人だと名乗り出てきたが…。最早最初からスマホのカンペ棒読みしてるし、向こうでは歴代犯人ズが監視してるしで、誰かの指示であることは匂わせまくり。しかも準レギュラーだったミス研部員もこれまでは別行動だったが今回からは歴代犯人ズの一味と行動を共にしている始末。

一方で日比野は事件があったので母親から転校を言い渡されている事や、クイズ研究会(宇都木彩乃、出口晴臣)に入部しようと勇気を出して突撃したら露骨な嘘で部員募集していないと拒絶され、通りがかった西村にも迷惑がられていると指摘されるなど、これまで以上にハブられている事が判明。

最初から敗色濃厚なので謎に兄まで出てくるが結局クラスメイト全員の前でボロ出まくりで日比野に暴かれてしまい犯人じゃありません。大曲はブチ切れて暴れまわるが、この際に同じようにハブられている日比野が同情しようとすると本当の性格は違うくせに!と大曲が反論。日比野本人もその意味が理解できない中で次回へ続く。

日比野が二重人格なのを示唆するような展開になってきたが、今回はもう完全に誰かの指示によってクラスメイト達が動いている事はかなりハッキリと出してきた(ただ犯人ズ会議に参加しているのは歴代犯人ズとミス研の河野・佐藤までで、西村は別行動)。真相は気になるが秋元案件のミステリーモノはろくなことが無いからなぁ…。

6話

持田優奈はみんなとゲームをしていた、この中に犯人はいないと五島に告げる。同時に日比野が行方不明となり、もう辞めるという留守電があり、母親が転校させると学校に来ていたのもあって困る五島。その頃日比野は持田と部下の三鴨アーサー、黒木美佑に監禁されていた。持田は日比野には自分が殺したと告げて凄むが…。

留守電に不審な点を感じた五島は暗号に気づいて日比野を救出。クラス全員からプレッシャーをかけられていた日比野だが持田も犯人じゃないと暴くと改めて犯人を見つけると宣言。

少しパターンを変えたのと五島と日比野のコンビ愛が少し出た展開となったが、本人が監禁されて失踪状態なのに母親が転校させると学校にやってきているだけというのは結局なんだったのか…。これも真相への伏線なのだろうか。

アイドル部でも全員メイン回をもらえるわけではないようで、女鹿椰子は日比野にこれ以上クラスを乱すなと怖い顔でプレッシャーかけるだけの1シーン、黒木は持田の部下という役回りなところに格差が…。

7話

これまでミス研メンバーとしてちょこちょこ出ていた西村瑠香が真犯人だと言い出し、これまでの歴代犯人候補ズを操っていたと告白。推理小説家志望の西村は歴代犯人ズそれぞれに殺害とは関係ない行動をアドバイスし、それぞれがその指示通りに動いた結果、泉先生が毒で倒れてしまい、慌てた一行に西村が全員が共犯者だと脅しをかけて順番に犯人だと自首させていたという。自殺したがっていた大曲が毒物を入手というのは死へ直結するキーになっていたとはいえ、兼行がナイフを万引きしていたのは西村がトドメ用に使用するという若干おざなりな筋書きになっていたが…。

しかしどうもおかしいと感じた日比野はいつものように犯人ではない事を暴く。そのきっかけになったのはラスボスのような悪女っぷりを見せていた西村だが、これまでも西村が持ってきたタピオカを日比野が手に取ろうとすると必ず西村が決死の勢いで止めていた事だった。甲殻類アレルギーの日比野がアレルギーを起こすのを危惧していたという事で、どうも元親友っぽい、日比野は記憶喪失を起こしている事が本格的に示唆され始める。以前入部希望に行ったら部員に妙な戸惑いを示され、直後にやはり西村が回り込んできて止めていたクイズ研究会に再度出向いた日比野は見覚えのあるロッカーで泉先生の血のついたドレスと自身のスマホを発見。中には西村らとワイワイやっていて泉先生とも異様に親しげな日比野の姿があった。

日比野は自分が犯人だったと告げると気絶。五島が西村に本当の事を言ってくれと詰め寄って最終回へ続く。というわけでやはり自分が何かしでかしてそれを忘れていてみんなはそれなら思い出せずに転校して忘れてしまった方がいいとして動いているという日比野を守るための記憶喪失展開だったっぽい。最終回でどこまで不自然にならずに鮮やかに説明できるか。歴代秋元案件からすると全く期待できない。

テレ東的には『絶メシロード』の娘役抜擢で実績があり、青春高校のアイドル部メンバーの中では2週目合格の日比野に続く3週目合格でNo.2古株の西村が実質ラスボス的な登場という事で扱いが良かった。

なんか今回これまでちょいちょい挟んでいたその他クラスメイトが一切出てこなくて女子アイドル部の歴代犯人候補ズ(犯人候補ズ入りしなかった女鹿、黒木は出番なし)しか撮影参加してなかったんだけど急にどうした?ミス研の河野・佐藤まで消えててちょっと不自然だった。

8話

真相説明回。日比野が気絶している間に西村が真相を説明。2年前にぼっちだった西村は日比野に話しかけてもらったのがきっかけで仲良くなり、ミス研として河野・佐藤と共に活動するようになるなど周囲とも打ち解けるようになっていた。西村は日比野をそのままでかわいいと称賛していたが、実は日比野は担任の泉先生と恋人関係にあり、泉先生は束縛が厳しく、徐々に狂気的な愛を見せるようになっていた。泉先生の狂気的な愛に徐々に笑顔を失っていく日比野を心配していた西村は改めてこのままでいいのかと問いかけるが…。

その様子を聞いていた泉先生はこのままだといずれ日比野が自分の元から離れると確信。文化祭準備の日に自身もウェディングドレス姿、日比野にもドレスを着せてウェディングドレス同士で永遠の愛を誓おうとするが日比野に拒絶され、ならば自分から終わらせると言い放つと毒を飲んで自決

こっそり見ていた西村は慌てて飛び出すが日比野は取り乱して気絶。その後、ミス研の河野、佐藤も合流していたクイズ研究会(宇都木彩乃、出口晴臣)の部室に日比野を引きずっていった西村。日比野が目を覚ますも記憶喪失になっていたが、ドレスの血を見て再度思い出してまた気絶。今度こそ完全に記憶が飛んだ日比野を見た西村はこのまま日比野に泉先生が目の前で自殺したのを忘れさせたまま転校させて、それまでの間の時間稼ぎで犯人候補を次々送り込もうと画策。ミス研の河野、佐藤、クイズ研究会の宇都木、出口と歴代犯人候補ズ(+初回の犯人候補だった前川と同じ演劇部員だった黒田ら)が集められて西村からシナリオを渡されている様子、何が何だか分かっていない日比野母にとにかくこのまま記憶を失わせたまま転校させるのが得策だと説明している様子などが描かれた。

というわけで矢継ぎ早に前半で謎を説明。後半は記憶を取り戻した日比野が自殺を試みるが、五島と西村、ミス研とクイ研と歴代犯人ズが集結しての涙の説得大会が繰り広げられ、西村がさらに泣きの演説で自殺を止めた。死体を運んで死体にナイフを突き立てたり、捜査妨害を画策した西村が五島へ逮捕を要求するが五島は日比野のこれまでの真似をして犯人じゃありません、お前らの証言は信じないとして見逃し、事件を迷宮入りさせる。いつもの日々が戻り、日比野が着ていたウェディングドレスを燃やす西村と日比野がラストカットとなり、どう生きればいいか悩む日比野に日比野なら答えを見つけ出せると告げる西村で終了。

秋元系ドラマ定番の丸投げENDではなく、真相は全部きちんと説明。泉先生が自殺だったという事で犯人はいなかったが、日比野がショックで記憶喪失になったので日比野を守るためにみんなで動いていた、と一応動機もきちんとしたまとまりっぷりで逆に驚いた。企画・原案・プロデュースではなく“監修 秋元康”で、企画は番組プロデューサーの佐久間宣行だった事や、トリック監修者をちゃんとつけていたりとちゃんと完結するドラマを作ろうとしていたのが大きな違いだったようだ。

ただ結果、泉先生がとんでもないサイコ教師になってしまったのとピンポイントすぎる記憶喪失など都合が良すぎる点もあったが、数々の丸投げENDに比べれば些細な事。

初回時点で殺されていたので生前の泉先生の様子というのは実は全く明かされてなくて、犯人候補ズが殺害動機を説明する際に毎回回想シーンで泉先生が出てきていたものは全てシナリオに沿うように用意された架空の言動・行動であった。万引きを許さない厳格教師だったり、自殺を止めようする熱血教師だったりする一方で、ホスト狂いだったり、けっこうキレっぽかったりとシナリオごとに人物像がバラバラで全く生前の本当の姿が見えてこなかった。まさか最後に明かされた本当の泉先生が女生徒に本気で熱を上げて支配の領域に達するほどの狂信的な愛を見せてくるやべぇ奴だったとは…。北乃きいはここ数年どころか10年くらいドラマで見かけない(単発はあるけど連ドラレギュラーはもうずっとやってなかった)のでかなり久々に見たけどなかなかとんでもない役を…。生徒を悪者にしない、とってつけの真犯人は出さないという前提も含めると泉先生が全ての元凶である必要があるわけでけっこうな捨て役、汚れ役だった。

ほぼ全員素人勢な中でみんな頑張っている印象ではあったけど、女鹿・黒木の2人だけアイドル部で完全にハブられていたのは露骨だったので気になった。河野・佐藤がかろうじて準レギュラー、最終回クイ研だったおかげで屋上説得シーンにもまさかの合流を果たせた宇都木、出口以外はまあとりあえずどっかに出番を最低1回は作っておけ的な端役だった。新コロが無ければ恐らくもっと全員が登場する教室シーン含めてあったと思うけど、『3年C組』自体が過剰対策気味で延々とリモート放送を繰り返していたので仕方なかったか。主役の日比野よりも『絶メシロード』でも単独出演していた西村が最終回で全部持っていった感があり、今後引退するのかどうか分からないけどまたドラマで見たいなと思った。

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