2022年春クール読売テレビ制作日本テレビ系『木曜ドラマ』枠。2018年夏クールの『探偵が早すぎる』、2019年12月の2週連続SP『探偵が早すぎる スペシャル』の続編。
1話
1作目で5兆円を相続、SPで5兆円を守り抜いて5兆円が狙われることは無くなり、女子大生だった一華(広瀬アリス)も化粧品会社の研究所の職員として働き、5兆円は橋田がほぼ使わずに管理しているため元の家で質素に生活していた。なお他の2人は年齢不詳設定で一華しか設定されていないが1作目では21歳、SPは設定なしだったが今作では26歳で広瀬アリスの実年齢(27)に少し近づいていて、2018年夏から2022年春のそのまま4年経過ではなく、作中では5年経過に修正されている模様。
千曲川(滝藤賢一)とも会う事は無くなっていたが、その頃千曲川は美津山一族の会長(宮崎美子)から遺産狙いの子供たち4人(長男は失踪中)、二郎(和田正人)、成美(MEGUMI)、明日香(ソニン)、純三郎(永野宗典)から命を狙わているとして依頼を受け、トリック返しで4人を返り討ちにしていた。何故かその後一華が呼び出され、会長が以前交通事故で死にかけた時に輸血提供をして救ってくれたのが亡き母(新山千春)だった事から、遺産は失踪した長男の子ども(会長の孫)である宗介(萩原利久)と葉子(木下彩音)、そして一華に相続させたいという。
あの命を狙われる落ち着かない日々を繰り返したくない一華は1度は断るが、橋田(水野美紀)の母が残した縁だという言葉に引き受ける事を決意。さらに孫2人がターゲットにされないように表向きの発表は一華1人で相続する事にして敵4人の注意を自分1人に向けさせるよう提言。早速宗介もろとも交通事故死を狙われた一華を事前に仕込んだトリック返しで仕留め逆に二郎と成美が車が大破する大事故に遭わせて物語が始まった。
という事で前作でも回想シーンのみ登場だった新山千春が再出演しての新たな回想シーンを制作して母が恩人だった設定で相続というやや強引な始まりではあったが変わらぬハイテンションが相変わらず楽しい。さすがにいつまでも女子大生では厳しくなってきた感はあったとはいえ、研究員になっていたとは驚き。理系だったのか…。そして広瀬アリス、なんかしれっと『恋なんて、本気でやってどうするの?』でも堂々主演やってんだけど今季スケジュールどうなってんの!?(朝ドラと金田一を掛け持ちする上白石萌歌、NHKとWOWOWを掛け持ちする福原遥なんかもいるが、主演掛け持ちって)。
2話
前回のトリック返しによる事故で二郎(和田正人)はコルセット状態に、明日香(ソニン)は腕にちょっと包帯程度となっていたが、今回は純三郎(永野宗典)が刺客として一華の職場に潜入。白衣にエタノールを仕込み、ブレスレットにわざとぶつかって擦らせることで発火させて焼死させるというトリックを仕掛けてくるが千曲川が事前に阻止。トリック返しを決められて自身が包帯ぐるぐるにされてしまい終了。
終始ハイテンションでふざけ倒していたが、千曲川がトリック返しを決めるところや、一華に興味を抱きつつあるのか無表情すぎて良く分からない宗介に一華には手を出すなと忠告する時など一華や橋田がいないと千曲川がちゃんとシリアス一辺倒でカッコよくキメているところはメリハリが効いていた。
3話
宗介(萩原利久)のバーで葉子(木下彩音)も手伝いに来ているタイミングで会社の大谷(塩野瑛久)と真央(新條由芽)と一華がキャンプに行く話をしていたのでみんなで行くことになり、さらにテンションの上がった橋田が強引についてくる…とレギュラー陣勢揃いのキャンプ回に。
時期が早すぎたのか、天候が悪かったか、終始寒そうに見える冬キャン感溢れる映像になってしまったが、刺客は明日香(ソニン)のみ。テントに毒を塗っておいてキャンプ場スタッフに化けてストーブとやかんを持ち込んで結露させ、毒水滴が一華の口元にクリティカルヒットするように仕掛けて朝を待つという無駄に回りくどいトリックを仕掛けるが、事前に防がれていた。トリック返しを喰らった明日香は病院送りに。一華に気がありそうなそぶりを見せ始めた宗介だが、明日香が死にかけているのを助けようともして千曲川に何を考えているんだと言われたりどうも読めないところがある。葉子の方は明るく人懐っこい性格で既に一華とも馴染んでいるがこの兄妹も敵になるパターンはあるんだろうか。
序盤で千曲川が一華からハバネロアタックを仕掛けられたのでトリックの代わりにハバネロアタックをし返したというのは視聴者用の(ミエミエであったが)仕掛けとして秀逸だった。
前回コルセットだった二郎は今回はコルセットも取れて復活し次回では再び仕掛け側に復帰する意欲を語り、前回炎上した純三郎は入院中で登場せず…と一応今回刺客が4人で回しているので病院送りや大ケガを負うと1回休みになって次の回では回復して復帰となるようだ。
4話
復活した二郎が単身バスボム毒ガスアタックを仕掛けてくる話。例によって事前に防ぎ、二郎は毒ガス返しをされて再度ダウンとなった。今回は成美(MEGUMI)しか残されておらず、純三郎と明日香は復帰どころか登場すらしなかったのでそのまま次は成美ターンになる模様。
バスボムアタックを仕掛けてきたのが大谷(塩野瑛久)が持ってきた学生時代の先輩だったため、千曲川は大谷への注意を喚起する。大谷へ好感を抱きつつあった一華は戸惑うが…。一華に気がありそうで内心複雑そうな宗介もなんだか不適だし、大筋自体はパターン化しつつもレギュラー陣も誰か怪しいかもよという感じで適度な緊迫感を醸し出している感じ。
5話
成美がペイント毒アタックを仕掛けてくる話。ていうかこの4人って物理専攻、工科大卒、化粧品会社、農大出身とか4人それぞれ設定されているけど結局全員が毒作りしてんじゃねーか。大谷に成美が接触して毒入りペイントを大谷が持ち込んできたため、一華が既に前回の段階で大谷を疑っていた事も重なり、一華が見破る珍しい展開となった。ただそこも込みで千曲川は見抜いていたようで大谷の潔白を確認している事が橋田経由で後から伝えられ、大谷といい感じに。
トリック返しで意識不明の重体に追い込まれた成美も病院を抜け出して復帰し、二郎、明日香、純三郎も復帰して4人揃ったところで美津山一族の会長(宮崎美子)急死の知らせが入る。同時に純三郎が遺産は一華だけではなく孫である宗介、葉子も受け取る事になっている事を突き止めており、宗介、葉子もターゲットにして千曲川含めて4人ともまとまて消してしまおうと決意。一華や橋田も気づかれた事に気づきますます厳しい戦いになる事を予感しながら一章閉幕。
トリック返しがかなり早い段階で炸裂してしまい、さすがにそろそろパターン化が気になってきたところでまさかの会長急死で一気に新展開させるとは…。
6話
会長の葬儀の場で二郎、成美、明日香、純三郎の4人は一華、宗介、葉子と千曲川までまとめて処分しようと動き出す。純三郎の仕掛けた懲りない毒トリックを暴いてキメ台詞を決めようとしていた千曲川だったが、二郎、成美、明日香は純三郎を見捨てて囮に使い、千曲川を先に病院送りにしてしまう。純三郎も意識不明だが意に介さない3人は葬儀場に残った二郎、成美が爆殺トリックを仕掛けるが不発。そこに千曲川が現れて全て計算通りだったと告げる。
純三郎が意識不明になったのは千曲川のトリック返しで喰らった毒の効果で千曲川と純三郎が喰らったと思われる毒ガス攻撃は未然に防がれていた。二郎が仕掛けていた爆殺トリックも防がれており、さらに会長の死体もアンドロイドだった事が判明。会長本人が生きて再登場し、すべてを終わらせるために自身の死から全部仕掛けていた(病院ごと買収していた、純三郎の治療はリアルにちゃんとしている)が、数々の振る舞いに完全に見限ったと宣言。逃げようとした3人だがトリック返しで車が爆発炎上、純三郎に続いて病院送りになったと思われ、さらに会長が証拠も集めてあると宣言した事で全滅となった。
最早最終回のような勢いだったがラストでは一華に懸賞金がかけられている謎の映像と共に黒幕編への突入が示唆されて次回へ続く。行方不明で一切登場していないが役者は設定されている宗介、葉子の父親で会長の長男宗太(和田聰宏)、そして示唆だけされていた宗介の婚約者として堀未央奈の登場が告知されており新展開になる模様。
一華側の登場人物たちとの関係も安定し、今作での4人での犯行やクズ芸もルーティン化して早くもパターン化、決死のハイテンションでごまかしている感はあったけど、さすがにそれだけで最終回まで引っ張るには厳しく、会長の死の偽装などぶっ飛んだ展開でひっかきまわして一気に清算してくるとはなかなか刺激的な…。
7話
危機は去り、比較的のんびりとした展開となったがダークウェブで一華に1000万円の懸賞金がかけられ早速契約が成立、新たな刺客林田(阿部亮平)と森本(山根和馬)が迫っていた。職場の消火器を毒ガスに入れ替えた攻撃はさすがの千曲川も事前に察していなかったらしく、消火器を使おうとする一華の元に決死の表情で駆けつけてギリギリで阻止。ここまでギリギリなのも珍しい。懸賞金の件を把握して以降は再度警戒モードとなり、一華に大谷とデートをさせて囮にして林田と森本の次なるトラップを破ってトリック返しに成功。
しかし大谷はさすがに何か隠している事に気づき、宗介に何を知っているのか聞き出そうとする。また葉子が何者かに襲撃され、トリック返しで気絶させられていた林田と森本の前に橋田が現れて黒幕が誰かを吐かせるために格闘。宗介の婚約者として登場した奈々(堀未央奈)は今回はほぼ出てきただけと謎は謎のままだった。
緩めに展開しつつも黒幕の正体や目的はまだ引っ張り、ルーティンの4人を退場させたことで緊迫感も戻り、一華の恋模様も展開してなかなか面白くなってきた。
8話
研究所で何度か起きた騒動で防犯カメラを調べていたら不審者(千曲川)と一華がよく一緒に映っていたという事で一華は所長から休職(自主退職に追い込もうとする感じ)を言い渡されてしまう。葉子が何者かに襲撃され、一華にもらった服を着ていた事から一華を狙って間違えたのではないかという疑惑になり、失踪したままの宗太(和田聰宏)に疑惑が向かうが…。一華は宗介のバーでバイトをすることになるが婚約者の奈々(堀未央奈)や大谷など暗殺絡みの事情を知らない面々は落ち着かない。そんな中でも刺客は自宅に潜入してきたり、バーに潜入してきたりと次々に出現。千曲川が防いでいくが、バーに潜入してきた刺客は宗介にも危害を加えて病院送りにしてしまった。そこまで防がなかった千曲川に腹を立てた一華は契約破棄を言い渡すが…。
結局今回も刺客が出てくるだけで黒幕は不明のまま。しかし宗介がダークウェブを見ていたり誰かに連絡をしていたりと行動が怪しくなってきた。元から何考えているのか分からず、一華に気がありそうという謎な感じをミスリードにうまく使っているのかどうなのか。未だ登場のない宗太や出てきたばかりの奈々がどう動いてくるのかも気になるところだが既に出ている中に黒幕がいるとなると誰にしても残念ではある。
ルーティン化していた4犯人を片付けてしまったり、一華の職場も機能しなくなったら即座に切り捨てて宗介のバーでバイトにしてしまうなど切り替えが潔い。
9話
宗介は病院送りになるがすぐに退院。行動に怪しい点が多く、山梨の農家への仕入れに一華を同行させて目的地の寺に刺客が罠を仕掛けていてそれを知ってそうなそぶりを見せるなどしていたが途中からは千曲川の指示だったと発覚。既に千曲川が先回りして現地の罠は細工しており、千曲川本人はダークウェブの犯人である奈々(堀未央奈)の元へ真相を突き付けに行っていた。
動機は単純に宗介を取られるという嫉妬から一華を殺そうとしていたもの。実は長男宗太の犯行なのかの確認のために一華の遺産は正式に放棄して周囲に伝わるようにしてあり、遺産目当ての犯行なら一華を狙う理由は無くなっていた。葉子への襲撃は葉子が一華派で奈々とは性格が合わなかったので衝動的な反抗だったという。宗介も奈々が犯人だと分かって千曲川に協力していたと知った奈々は自殺を図り千曲川でも防げずに病院送りに。直前までトリック返しの決め台詞を言っていたが本来はどういうトリック返しをするつもりだったんだろうか。
一方の一華は大谷を振ると宗介に気になるみたいだと告白。すると宗介はいきなり結婚しようと言い出して結婚が決定してしまう。奈々が重体の報を聞いて駆け付けた宗介は何故か「後は俺に任せろ」と真・真犯人かのような言動を吐いて次回へ続く。
という事でダークウェブで一華殺害を依頼していたのは奈々で、概ねの宗介の怪しかった行動も説明されたと思いきや意味深台詞…。引っ張るな…。
10話
あっという間に一華と宗介が結婚し、千曲川は海外へと旅立っていった。しかし一華を狙う鉄骨アタックが炸裂。橋田が防いだものの、思いっきり鉄骨を落とした犯人が宗介だと描写される中、宗介は1ヶ月後の披露パーティーを別荘に変えないかと提案。秋菜(宮崎美子)はそれなら1週間後にしようと提案し、パーティーが開かれる。パーティーでは宗介がコーヒーの焙煎士を突如気絶させるとガスを噴射させて橋田含めて列席者が軒並み倒れてしまい、助けに入った一華も倒れてしまった。
残ったのは秋菜、宗介、葉子の3人だけだったがそこに千曲川が登場。ガスは笑気ガスに差し替えられて事前に防がれていた。千曲川と橋田は身辺調査の結果、秋菜が黒幕と確信、同じく祖母を疑っていた宗介も千曲川の指示で動いていた(奈々は意識を取り戻していて宗介に秋菜の指示で一華を狙ったと告白していた)。秋菜をあぶりだすために鉄骨アタックは宗介が橋田とタイミングを合わせて行っていたようで、「後は俺に任せろ」という奈々への言葉も若干無理があったものの奈々は実家が借金を抱えていて肩代わりするので一華を狙え、失敗したら自殺しろと言われて追い込まれていたらしいので、追い込んだ犯人である秋菜の犯行を暴くから任せろ…とか?露骨に宗介犯人ミスリードをやりすぎたせいでやはりちょっと不自然か。
一華の母が秋菜を救ったというのも全部嘘で単に金目当ての犯行だった。秋菜を救った時の回想シーンには母(新山千春)も出ていたが、なんと存在しない偽回想のためだけに新山千春が出演していたことに…。
狙いは一華と宗介を結婚させた上に一華を殺して一華の遺産5兆円を手に入れる事。失踪していた宗介と葉子の父であり、秋菜の長男である宗太(和田聰宏)は秋菜と死んだ夫がやっていたインサイダー取引を公表して自身も会社を第三者に譲ると正義感の強い人物だった事が発覚。揉めた末に秋菜はうっかり頭部への一撃で宗太を殺してしまい、そのまま死体を隠して不正と失踪を偽装していたという。宗介によれば父が失踪してから秋菜の笑顔は変わってしまったとの事なので変化には気がついていたようでそれが秋菜黒幕説に納得して千曲川らに協力していた事にもつながるのかもしれない。何も知らなかった葉子はショック顔のまま出番終わっちゃったけど…。
こうなってくるとドラマの前半は何だったのか?という話になってくるが、残った息子と娘4人衆が組んで一華を狙ってくるのは勝手にやられた事でそこで一華が殺されてしまっては困るので千曲川を雇って防がせたという事だろう。また奈々に関してはさらに意味不明になるが(結婚する前に一華を殺されては意味がない)、これも最終目的が一華と宗介の結婚なので、千曲川が防ぐ前提で宗介の幼馴染で許嫁の奈々を退場させるためにわざとやらせた、という事で秋菜が千曲川の腕を信用して利用していたとすれば矛盾にはならないか。今回も千曲川が海外に行ったのを確認して一華殺害に動こうとしていたし、千曲川が帰ってくるかもしれないとなったら慌ててパーティーの予定を早めていたし。
こうして本性を現してトリック返しで倒れていった秋菜。宗介は一華への思いは本物だったとしながらも結婚したのは作戦でもあったので謝罪。秋菜が黒幕だった以上は責任を取る必要があるし、一緒にいれば思い出してしまうからという事で別れを告げるのだった。こうして速攻バツイチになってしまったのをネタにしながらも続編制作を可能としながら千曲川が去っていって完結。
全部終わっての感想
オリジナル脚本ながら今回もぶっ飛んでいて安定の面白さだった。一族の兄弟姉妹が狙ってくるという定番展開でマンネリ化しかけたところを中盤で退場させて黒幕が誰か分からないミステリアスな展開に変えてきたのもスリリングで面白かったが、宗介犯人ミスリードをやりすぎた弊害で秋菜黒幕に唐突感が出てしまったところもある。一応目的が「一華と宗介を結婚させてから一華を殺す事」なので、前半の展開にも奈々の使い方にも矛盾は無かったとは思うけど…。それでもかなりサイコな壊れっぷりだったので秋菜の様子がおかしくね?みたいなところは宗介と葉子の視点でもう少しチョイチョイ匂わせてくれた方が自然に受け入れられたとは思う。ていうか一華を殺して宗介が継いだ後は宗介も殺すつもりだったのだろうか。
葉子だけ何も知らなかった事になるけど、気が合わなかった奈々に突き落とされるわ、一華とは気が合って親しくなり宗介と一華が結婚して喜んでいたのに破綻、祖母が黒幕とかなり散々だな…。宗介のバーで手伝っている以外は特に何か仕事している様子でも学生でもなさそうだったがお金持ちお嬢様でもなくなってしまい貧乏庶民一直線だし。続編を考えると職場サイドの人たち(大谷や同僚の真央(新條由芽))は自然に続投できるけど、出番が多くキャラも良かった宗介と葉子はちょっと出しにくいよなぁ…。
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