妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪- 全9話

2022年春クール、テレビ朝日「土曜ナイトドラマ」枠(23時~23時30分)。2020年夏クールの同枠『妖怪シェアハウス』の続編。放送時間は50分だったがちょうど前作を最後に20年秋クールから30分枠に縮小されており、今回は30分枠となった。6月にそのまま映画化されることも告知されている。前作のDVD化すらされていなかったため、映画公開を前にして5月27日に前作のDVD-BOX発売が決定した。

キャスト陣はメイン勢5人(主演の小芝風花とシェアハウスする妖怪勢役の松本まりか、毎熊克哉、大倉孝二、 池谷のぶえ)のみ続投。その他主人公の職場レギュラー陣は前作の最後で辞めているために一掃され、新たな神社にシェアハウスを構えている設定で神社の住職ら関係者も全てキャスト交代となった。主題歌も交換となった。

1話

放送時間が30分に縮小されてしまったが初回のみ60分SP。前作で開き直りの妖術を獲得して妖怪化を受け入れて旅立っていった澪(小芝風花)…だったが、出版した「妖怪シェアハウス」は全く当たる事無く埋もれ、2冊目を書く資金も無く厳しい現実に打ちのめされ、バイトを大量掛け持ちしても困窮するというボロボロの日常を送っていて生えていたツノも消失し妖怪化の兆候も消失していた。あまりにもバイトを掛け持ちしてあちこち動き回っていたのでこの過程でお岩さん(松本まりか)、酒呑童子(毎熊克哉)、ぬらりひょん(大倉孝二)、座敷童子(池谷のぶえ)それぞれの人間形態とも遭遇するが、あまりのボロボロぶりに澪は気づかない。お岩さんと座敷童子は澪の救済を訴えるが、酒呑童子とぬらりひょんは見守るべきだと言う。なおこの際の会話の中で前作で澪の結婚相手候補となっていた神主のユズ、澪の職場の上司だった原島の存在がぬらりひょんから一言だけ語られ、2人ともとっとと次の相手を見つけて結婚して幸せに暮らしていると語られて処理されてしまった。完全に用済みになっているじゃないか…。

澪も一応彼らを頼ってかつてシェアハウスがあった神社を1度訪ねていたがそこはもぬけの殻になって建物も半壊していた。

その後見つけた新たな水泳教室のバイトで川辺(小久保寿人)に救われた澪だったが女性の魂を抜いて食べているのを目撃、さらに逃げようとした澪に妖怪化して襲い掛かってきたところを酒呑童子が救助し、正式に再会。川辺を倒すべく動き出した一行だったが、ドタバタとギャグを繰り広げながら探っているうちに河童が正体だと判明。しかし河童にしては妙に強く装いも物凄くゴテゴテしていて酒呑童子ですら通用しないほど強い。座敷童子の歌で苦しみだした河童は公害で飲みこんでいたプラゴミを大量に吐き出すと元の河童に戻り、正気を取り戻して謝罪。

こうして妖怪シェアハウスでの生活が再度スタートした。

30分では収まらなかっただろうけど60分はそれはそれで長く序盤の困窮ギャグがちょっとしつこく、再会後のドタバタっぷりも前作以上にふざけまくっていて早くも内輪ノリの空気になりかけているような気もしなくもなかった。一応完結した話だったし、急に映画化まで駆け抜けて失速しないかが心配。やはり主人公の成長物語成長して完結したのに続編のためにやっぱ無理でした元に戻っちゃいました!は難しいよな。

2話

美容外科の赤坂姉妹(村岡希美、内田慈)の清掃バイトをしていた澪は姉妹に目をつけられていて怪しげな歯をカラーリングするお歯カラーのモニターになってしまう。同じく元アルバイト仲間でミュージシャンの小梅(井頭愛海)も友人だからという理由でタダで整形してもらい人が変わったように自信を深めていた。4妖怪がドン引きする中でどんどん騙されていく澪はついにマックスハッピーの手術を受けてしまう。ウキウキで帰宅した澪だったが4妖怪は目と鼻が無い口だけののっぺら化した澪に仰天して次回へ続く。

やはり30分枠では話が圧縮され過ぎてしまうので前後編になったか…。40分枠できっちり完結していた前作に対して60分2分割だと結局20分も長くなって間延びするなぁ…。特に前編が澪が騙されっぱなしになって解決に向かわないのはしんどい。

3話

目と鼻が無い口だけののっぺら化した澪に慌てる妖怪勢だったが、佐藤(池田成志)の除霊で正気を取り戻すどころかのっぺら化に加えてお歯カラーまで解除されて元の姿と精神に戻った。今回の住職、通称は生臭和尚だけど前シリーズの寺の人より霊力凄くね…?

ここからは一気に妖怪たちが調べ上げて、赤坂姉妹を確保。正体はお歯黒べったりで、やはり正気を失って闇堕ちしていたが座敷童子の歌とお岩さんと知り合いだった事を思い出したことで正気に戻った。美の価値観が西洋化によって変わったことで迫害され復讐のために活動しているうちに正気を失っていたらしい。小梅の方はその後口頭で説得していたので小梅が整形に走ろうとしていたのは妖力的なものではなかったらしい。澪より洗脳されている感ハンパなかったけど…。

2連続での闇堕ち妖怪の登場、澪が小説を書けない謎の呪いと謎を残しつつ次回へ続く。

さすがに後半は一気に展開。結局調べ始めると話が動くので、やはり解決に向かわせない前回が時間稼ぎ感あったな。

4話

今作では澪の職場が定まっておらず、前2回で赤坂姉妹のクリニックに雇われたままだったが、クリニックに来ていた客(武田梨奈)が緊急で送ろうとしていたメールの文面をアドバイスした事でIT企業「ベンチャーフォレスト」にスカウトされ、そこの出版部門に見習いで入れてもらえるという超展開になりジョブチェンジ。しかしそこの責任者として出てきたのは澪の2作目を否定した嫌味編集長の上様(安井順平)だった。澪が来たことで先輩編集者(岩崎う大)にも1人入れたら1人辞めさせるなど上がパワハラし始めたので先輩編集者も異変をきたしていく。

澪はWeb記事の仕事をやれると引き受けるが呪いにより執筆が出来ない症状を克服できず、覚悟を持って挑んでも呪いが増幅してしまう。この呪いはシェアハウス一行や佐藤にも相談されてみんなの知るところとなったが佐藤が前回ののっぺら状態解除させたように除霊できるものではないようで未解決のまま。結局呪いで文章を書いたり打ち込んだりができないが考える事は出来るのでお岩さんが代わりに打ち込み、シェアハウス一行の応援もあって記事を完成させた澪。評価も上々だったが、上は自分で記事の方向性を提示しておいてこの内容で大河内先生(木村靖司)が激怒したとして澪と何故か先輩編集者にまでクビを宣告。

怒りが限界突破して平静を失った先輩編集者は小豆洗いとしての妖怪形態へ変化して次回へ続く。

今回は妖怪が闇堕ちして既に暗躍している前2回パターンではなく、闇堕ちして正気を失ったところまでが描かれるという別パターンに。上の圧力で澪だけでなく小豆洗いにも呪いが発動していたのでてっきり上が相手に呪いをかける系の妖怪かと思った…。

5話

小豆洗いが澪に襲い掛かったところで即シェアハウス一行が助けに現れてシェアハウスへワープ。小豆洗いが正気を取り戻して和解したところで今度は呪いに詳しいという菅原道真が登場。菅原道真は澪の呪いはかけられたものではなく自分が自分にかけている事もあると説く。さらに澪と小豆洗いのクビの原因になった大河内(木村靖司)をぬらりひょんがワープさせてきて大河内のAIロボットと一行が対決する事に。シェアハウス一行勢の勝負はAIの圧勝だったが、小豆洗いはAIが処理しきれなかったデータを指摘して勝利、澪は作文対決でついに呪いを振り切り、さらに大河内のハートに刺さる文章を書きあげた事で許されて一件落着となった。

改めて作家としての道を歩みたいと宣言する澪、元々澪をスカウトしてくれた小暮(武田梨奈)からの期待度は高かったがその間にいる直接の担当部署の編集長である上様は相変わらず厳しそうな感じで次回へ続く。

初回から引っ張っていた呪いを振り切る展開となったが、結局強い思いで抗う&祈るという一辺倒で今までと何が違ったのかはよく分からず。菅原道真のアドバイスが効いたのか、こっそり菅原道真が呪いを振り切った際に影から細工していたので結局菅原道真の霊力でどうにかしてくれたのか…。

6話

書けない呪いを解いて映画のノベライズを担当する事になった澪だが使われていない倉庫部屋のような場所でこもりっきりで原稿を仕上げる事に。その部屋にある狸の置物が何やら怪しく動き出し…。

満(豊田裕大)の元にはやたらアザトカワイイ澪が登場してラブラブモードを醸し出してくる。それを見たお岩さんは絶句、シェアハウス一行勢は澪のインスタがアザトカワイイ投稿だらけになっている急激なキャラチェンジに戸惑っていた。そんな中、集中して部屋にこもっている澪の元に謎のたぬき蕎麦差し入れがあり、食べた直後から透明化。慌ててシェアハウスに戻るとアザトカワイイ偽澪がすっかり溶け込んでいて澪の声は誰にも届かない。なんとか触れるものを使ってアピールしようとするもただのポルターガイスト状態で偽澪にしか澪の姿は見えていない様子。

偽澪に挑発されて絶望する澪だったが、シェアハウス一行は姿こそ見えていないものの偽澪が偽澪だと気付いてを張っており(満だけ本当に騙されていた)、闇堕ちした化け狸(本多力)の正体を暴く事に成功。正体を明かした事で澪の透明化も解除され、佐藤が持ってきたマイクで座敷童子が歌っていつものように闇堕ちも解除。

一件落着したが今回は元に戻った化け狸が御先祖様の墓参りをしているところに謎の妖怪が出現し、再度闇堕ち状態に戻されて気絶しているという意味深なカットが挟まれた。今作での相次ぐ闇堕ちを先導している黒幕の示唆か。そんな深い話になるのかこれ。

というわけで初回1時間SPを除くと初めて30分1話完結のエピソードとなった。透明化絶望状態での危機感を煽って引き延ばすこともできただろうけど、主人公が周囲に一切認識されずに存在意義も失って苦悩する展開のまま次週へまたぐのは作風的にもちょっとしんどすぎるしな…。それよりも今作では基本アワアワな小芝風花の全力ぶりっ子アザトカワイイ路線を見せてコメディノリを強調しての1話完結がベターか。

7話

ノベライズの話が無くなったが合宿参加の権利をもらえた澪。しかし合宿自体が罠だった。3話で澪を会社に誘ってくれた小暮(武田梨奈)がいきなりクモをモチーフにしたような怪しい飴で参加者たちをげっそりさせて才能を絞り出させ、上が間を取り仕切り、すべては黒原(六角精児)のゴーストライター育成のためだった。今回は澪が追い込まれるのみで終わってしまったが、4話の小豆洗いの証言からシェアハウス一行もふざけつつ警戒はしていて澪についたクモの巣からある程度の推測は進めている模様。

というわけで小豆洗いがこの会社妖怪だらけと言っていたように、時々出てくる時以外はあまり出版部門には関与していなかった小暮も思いっきり妖怪、最初から怪しかった上もその配下、ラスボスが六角精児だったと判明。本当に妖怪ばかりだな…。

8話

アイデアを搾り取られて顔には怪しいシワが現れたヘロヘロ状態となってしまった澪だが座敷わらしの作った”己を取り戻す”薬を飲んだことで正気を取り戻す。会議中に黒原(六角精児)に意見した澪は自主退社を勧告されてしまうが、今回は早めにシェアハウス一行が動き、既に小暮(武田梨奈)と接触していた酒呑童子が小暮を捕らえ、ぬらりひょんが得意の指パッチン瞬間移動気絶術で上(安井順平)を捕らえる。座敷わらしの歌で小暮が正気を取り戻して絡新婦だったと判明、上は雑に扱われてただの山びこだったと判明。やはり黒原によっておかしくなったと語り、闇堕ちさせていたのは黒原、その正体はだいだらぼっちではないかと推測し正式にラスボスが判明した。

という事で今回は日常パートほぼ無しで一直線に小暮と上を正気に戻してラスボスだけ残す展開で最終回へ向けて盛り上がる王道の流れに。映画に続くでブツ切りになるのか、ちゃんと完結するのかは気になるところ。

9話

小暮と上も協力者となり黒原を調査した結果、やはり黒原はだいだらぼっちなのではないかという事になるが、澪は相手が誰だろうと立ち向かうと宣言。消えていたツノが再度出現するが前回と違って今回は1本ツノ。佐藤によればサイのツノとの事だが、前回の住職と違って妖怪化を懸念するのではなくナチュラルに前向きなアドバイスを送るんだなこの人は…。

助っ人として何故か1期7話ゲストだった黄泉醜女(峯村リエ)が再登場。黒原を呼び出して正体を暴こうとするが一向に正体を見せない黒原。いつもの座敷わらしの歌でも効果がなく、好物の柿を巡っての人力スローモーションドタバタで無駄に時間を浪費しながら、今度は澪の「かあさんの歌」熱唱で幼児帰りし始める始末。澪によれば過去の(替え玉使ってない頃の)著作を読んだところ田舎の柿好きのマザコン、つまり普通の人間なのではないかと推測。何のために助っ人に来たのか分からなかった黄泉醜女のおばちゃんトーク力が冴え渡り、悩み相談に応じて弱音を吐き出させたことで黒原も落ち着いて反省。最終的に反省しているのかいないのかは良く分からない感じになったものの、一応解決した。

一方で妖怪たちの闇堕ちに関わっていた黒幕の正体は不明で、それを懸念する満に佐藤はそれを暴くのはお前の仕事だと告げるが…(映画に続く要素)。ひとまずツノを取り戻して澪が前向きに生きていくところで終了。映画への引きは正直弱いところではあるが…。

全部終わっての感想

まあそのまま「帰ってきたん怪」っていう、そんな感じの続編だった。この放送枠が40分枠だったのが30分枠になった弊害で2話分割では間延び(前編が澪が追い詰められるだけになる)、1話完結では早すぎる…とけっこう難しい感じでなんだかんだ40分枠って絶妙だったんだなと。

妖怪のインパクトは前回の方があったけど今回は闇堕ちという謎要素で引っ張り、さらに澪の恋愛要素は無くなった。さらに化け狸は謎の黒幕に再度闇堕ち状態に戻されたまま出番が終わっていて気になる部分はあるけど…既出の登場人物の中に黒幕がいるなら妙に色々知っている上に霊力高そうな佐藤しかいないんだよなぁ…。

映画はまあレンタル…。

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