世にも奇妙な物語 ’20秋の特別編

2020年11月14日放送。
新コロ延期により前回の春は夏に延期されていたが、秋は通常通りの放送となった。延期の影響か7月11日の「夏の特別編」エンディングでは既に今作の予告編が流されており、撮影は6月までに進んでいた模様。

コインランドリー

濱田岳主演。
派遣切りでフリーター生活をしている橋本(濱田岳)はコインランドリーで動かない乾燥機に遭遇。仕方ないので隣の乾燥機へ移動させるがビール飲みたいなぁとつぶやいたら、その動かなかった乾燥機にビールが出現。驚いていると清掃員(コロッケ)がこの乾燥機に願うとなんでも出てくると告げる(最初は知らないので乾燥機として使おうとしてコインを入れていたが、願うのに特にコイン投入もいらないようでその後はただ乾燥機の前で願えば出てきていた)。出てきたものは1日で消滅してしまうというが、田舎の父の入院費用30万円を振り込むのに1日あれば十分なのでこの乾燥機を使って30万円を工面した橋本は以後調子に乗り出し…。

最初のビールの時に就活に失敗している近藤(岡崎紗絵)を励まし、近藤から好感を持たれていた橋本だったが、彼女には目もくれずにやがて乾燥機に自分好みの女を注文して遊びほうけるようになり、豪遊している橋本を見た近藤は別人化してしまった橋本にショックを受ける。

乾燥機で資金調達→消える前に宝石類に変える→毎日美女召喚→その宝石類を与えて1日遊びほうける、という文字にすると割と虚しいプレイに興じていた橋本。しかし清掃員は1つ言い忘れたとして「人は出してはいけない」と伝える。何故なら「1日で消えちゃうから」と。

その場では意味が分からなかった橋本だったが…。橋本の変貌にショックを受け、橋本が席を外した時に召喚した美女と揉めていた近藤は元の橋本に戻ってほしいと泣き崩れる。それはまさに例の乾燥機の目の前であり、その瞬間に橋本は乾燥機の中にイン。慌てて飛び出した橋本。ニュースでは近所の宝石店から現金が消える怪事件が相次いでいるというニュースが流れ、今更俺が出した金だ…と現実を実感する橋本。そして人は出してはダメ=自分自身もこの後1日で消える…という事だと悟った橋本が崩れ落ちて終了。

乾燥機から出てくるのは作られた存在ではなく実在する人物を召喚していたという誘拐&1日で消滅させてしまう悪魔のマシンだった…のかはチョイ微妙なところ。召喚された女たちが何故自分が乾燥機の中にいるのか驚いている様子が一切無かったことと、特に橋本が特定の実在する人物を思い浮かべていなかった事から彼女らは実在の人物ではなく乾燥機によって作られた存在だった可能性も高い。橋本が乾燥機の1日で消滅ルールを痛感するのに宝石店から現金が消えたというニュースなんて最初から分かってたような事を改めて突きつけるより、あんだけ毎日とっかえひっかえしていたんだから女性の連続失踪がニュースで流れていた方がショッキングなのになぜかそれはやらなかった。近藤のように実在の橋本を願ってしまうとその人がマジで消滅してしまうので「(実在の人物を思い浮かべてしまうと危ないので)人は出してはいけない」という事だった、という感じだろうか。

それよりもコインランドリーで死んだ目をしてビール飲んでる10歳くらい年上の冴えないオッサン(橋本)に親し気に声をかける近藤の方がよっぽど世にも奇妙だし、現金召喚→宝石で現物に変える、まではやったのに、そこからは宝石類はリサイクルで使い回すというケチ臭さ。再度現金に変えて1日で消えるルールを突破して稼ぐ億万長者狙いの方法はいくらでもやれたのにそっちに行かず、近藤にめっちゃ好感持たれてるのに気づかずに1日限りで女とっかえひっかえ一直線に走る橋本って確認しなくてもけっこうバカだったのではないか。

タテモトマサコ

大竹しのぶ主演。
成海璃子が準主演。志倉楓(成海璃子)は営業部の同僚(佐伯大地)からプロポーズされるが、翌日彼が自殺。営業部で彼と働いていた笠原(森高愛)から彼が志倉の同僚で最近入ったばかりのタテモトマサコ(大竹しのぶ)と何やら揉めていたようだと聞かされた志倉はタテモトに詰め寄るが…。

タテモトが何かを喋ろうとすると画面が暗転。翌日志倉は彼のことをすっかり忘れて出社していたが、社員たちからどうしたのかと言われて鼻血と共に記憶を取り戻す。その後もタテモトに迫ると鼻血と共に記憶を消される事に気づいた志倉は笠原と共にタテモトマサコの事を調査し、前の会社でも不審死があったことを突き止めるが、知りすぎてしまった笠原にもタテモトマサコが迫り、直後に自殺してしまう。しかし笠原は「タテモトマサコを記憶を消せる」という音声データをスマホに残し、スマホのロック画面の解除コードを腕に書いて遺していた事から志倉もタテモトマサコが記憶を消す能力者だと気づき、ついに屋上で直接対決。

タテモトマサコは饒舌かつサイコに喋りだし、持って生まれた言霊の力が異常に強い能力であり、記憶を消すのが能力ではなく、言葉で人を操ることが能力だと明かすと時々は贅沢したいから横領したがそれを知った者は死んでもらった、ただ穏やかに暮らしたいだけなど身勝手な思いをペラペラと語りだす。激昂する志倉は既に2度ほど能力を破って記憶を取り戻していたが、この理由は不明で(タテモト曰く彼の愛の力か何か?との事)別に能力が効かないわけではないようで、結局記憶を消されて自主退職させられてしまう

後は志倉が接触していた人事部の同期の記憶を消せば今回の騒動は片付くと動いたタテモトだったが何故か人事の同期は既にタテモトの存在すら知らなかった(そして何故か能力発動の証である鼻血まで出ていた)。人事の同期は退社前に志倉が送付した音声ファイルを聞いたという。慌ててオフィスに戻ると全社員に一斉送信されていたようで、部長の飯田(小松和重)以外、既に音声を聞いたという社員はみんなタテモトの事を忘れていた。

それは記憶を消される事を予知した志倉が事前に屋上でのタテモトマサコとの会話の録音を仕込んでいて(録音したことも忘れてしまうため)腕に自分は記憶を消されているからこの録音ファイルを全社員に送れと行動を指示するメモ書きを残していてそれに従って退社前に送信したものだった(退社自体はタテモトマサコの命令だったので覆せなかったかわざと流れに任せたっぽい)。

自身の悪行が明るみに出た事に焦り、社内中に音声を聞いたことを忘れろと叫びまわるタテモトマサコだったが、能力で忘れさせる前に“音声を最後まで聞いた者がみんなタテモトマサコの存在自体を忘れている”という矛盾に気づかずに焦って駆けずり回っていた中で、ちょうど「タテモトマサコのことは忘れなさない」と志倉に命令した部分の音声を聞いてしまったタテモトマサコは自分自身に能力を発動させてしまい、自分のことを忘れてしまいTHE END。

結局志倉はメモ書きを実行して去ってからは出てこなかったので、これまでのように消された部分の記憶を取り戻したのか、どこまで計算していたのかは不明のままだった。序盤は成海璃子主演で進行して徐々に正体が明かされていく過程と、大竹しのぶがダーク主人公として正体を見せて終わるかと思いきや、自分に能力をかけてしまったというのは面白かった。というか大竹しのぶの怪演がやっぱり凄い。

イマジナリーフレンド

広瀬すず主演。
心理学を学ぶ大学生の早希(広瀬すず)に幼少期に現れた空想の友達イマジナリーフレンドのウサギのぬいぐるみユキちゃん(声:加藤英美里)が出現。引っ込み思案な早希は幼馴染佳織(横田真悠)とゼミまで一緒になっていたが最近はもっぱら疎遠で佳織がゼミ仲間にパシリにされていても見て見ぬフリを決め込んでいた。そんな中、学内で強引なナンパをしてきたのを助けてくれた二見(岐洲匠)といい感じになった早希に対してユキちゃんは露骨な嫉妬心を見せたかと思うとついにはポルターガイストみたいな現象まで引き起こして悪霊ホラー化し始める。さらに鉢植えが降ってきたりと不審な出来事まで起こるようになり戦慄する早希は二見に相談するが二見は絶対守ってあげると優しい。

そのままコロッと行きそうだったが、佳織にあの男は同じ手口で何人も女を騙していると教えられた早希は自宅まで来た二見に真実を迫る。すると襲い掛かってきてここでユキちゃんがポルターガイストで手助け(物を飛ばして側頭部に一撃ヒット、トドメとなるフライパンを早希の手元へパス)してくれたおかげで二見をノックアウト・逮捕させることに成功。

その直後、荒れた部屋を片付ける際に幼少期の自分とユキちゃんを抱えた少女の写真を発見した早希が母(堀内敬子)に尋ねると母は急に泣き出してこの子は4歳の時に自分が殺してしまった姉のユキだと告げる(熱を出したけど疲れてて明日医者に連れていこうと寝てしまったら翌朝死んでた)。超展開でユキちゃんとは死んだ姉ユキの魂でもあったことが発覚し、再度ユキちゃんと再会した後にユキちゃんは消滅。早希は佳織との友情を取り戻して終了。

イマジナリーフレンドが悪霊化してしまったというホラーに見せかけたフェイクでいい話に振り切った弊害なのか、姉でした!というのが唐突過ぎ。姉の存在をまるっきり早希が忘れていたのも、子供を1人死なせた母がその後も態度を改めずに同じように仕事で疲れてぐったりして早希を半ば放置していたとか、大人になっても金が無いとたかりに来る(ただし金が何故か無くなっていたのはユキちゃんの仕業だったらしく金が戻ったと後で言っていた)とかかなりひっでぇ母親に描かれていたので前後がどうも納得いかない感じに…。

佳織がどうして二見の手口を暴いていたのかも良く分からず、逆に裏があるのかと思った。

そしてユキちゃんが姉だったと発覚する直前写真の女の子をユキ…!と言う母に「どういうこと?」で入った直後のCM1発目が広瀬すずのリアル姉の広瀬アリスだったというのはCMまで使ったどういう事?ってこういう事!というギャグだったのだろうか。

アップデート家族

高橋克実主演。
家庭内で行き場のない黒崎睦夫(高橋克実)は新聞広告で新商品ファミリーアップデーターを発見。高校から帰宅した娘の夏海(吉川愛)は睦夫から家族をアップデートしたと告げられ…。母は6人の別人に(ただの睦夫好みのハーレム)、ヤンキーの兄とガキの弟はヤンキー兄をベースにして1つに融合、飼い犬は散歩が面倒だとしてVHSビデオ化…と原型を留めずに改変されたツッコミどころ満載の家族に夏海がツッコミを入れまくる中更なるアップデートで祖父母がオブジェ化。夏海が慕っていた祖母はただ千円札を吐き出すオブジェ化してしまった事でツッコミまくっていた夏海もブチ切れて怒声と共にアップデーターの破壊を試みるが睦夫ともみあいになり、テーブルの角に頭を打った睦夫はそのまま死亡。主演死亡という超展開に夏海が壊れて高笑いし続けるという投げっぱなしのまま翌日、父も別人にアップデートされた自宅で夏海が帰宅してきて夏海もまたアニメーキャラにアップデートされておしまい。

何故か今作だけ10分ちょいの短編であっさり終了。高橋克実がひたすらボケ倒して吉川愛がひたすらキレ味鋭く突っ込みまくるという親子コント状態が面白かっただけにもう少しアホなやり取りが続くのかと思ったら速攻話を畳みにかかってきたのでかなり唖然としている間に終わってしまった。主人公もこれ高橋克実じゃなくて完全に吉川愛だったし…。

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