小さい頃は、神様がいて 1~7話

2025年秋クール、フジテレビ系「木曜劇場」枠(22:00-22:54)。

妻役の仲間由紀恵ではなく、夫役の北村有起哉の単独主演扱い。地上波連ドラ初主演となる。

松任谷由実(荒井由実時代)の「やさしさに包まれたなら」の冒頭のフレーズがタイトルに採用されており、挿入歌として使用されているが主題歌は新曲の「天までとどけ」。

1話

冒頭で小倉渉(北村有起哉)、あん(仲間由紀恵)夫妻の幼少期、大学時代の出会いから結婚までを「やさしさに包まれたなら」に乗せてダイジェストでお届けし、夫妻が3階建ての「たそがれステイツ」3階へ居を構えるまでを描いて現在へ。息子の順(小瀧望)は消防士として寮生活に突入して家を出ており、大学生で映画監督を目指しているゆず (近藤華)と3人暮らし。2階は1つ空室でもう1つに若い貧乏女性カップル奈央(小野花梨)と志保(石井杏奈)、1階には老夫婦の永島慎一(草刈正雄)、さとこ(阿川佐和子)が住んでいた。それぞれ顔見知りではあったが深い交流は無かったものの、台風のある日、水没の危険性があるという理由で渉が3階の自身の家へみんなを招待。一晩一緒に過ごして仲良くなるまでが描かれた。翌朝の会話の中で渉が発言した「子供たちが20歳になったら離婚する」なんてケンカをした事があるという思い出話を語ったところ、神妙な表情になったあんはその晩あの約束はまだ生きているんだけど…と離婚するつもりだった事が明示されて次回へ続く。

岡田惠和脚本らしい人間ドラマで何も起きないが雰囲気が良いタイプのドラマになりそう。冒頭からあんが積年のストレスにより離婚を考えている事は示唆されており、ゆずの20歳までの日数を正確に記憶していたりとその日を心待ちにもう決めている様子は描かれていた。そして基本的にいい人なんだけど色々と察しの悪い渉という構図も描かれていたがう~ん…どっちもどっちっぽい感じも…。

仲間由紀恵はふくよかになっており、同じくらいの年齢の頃の松坂慶子コース(『人間の証明』『マザー&ラヴァー』頃)の大女優になっていくのかもしれない。草刈正雄氏は70越えても頭髪が不自然に若すぎてそろそろ違和感が…。

ベテラン岡田惠和脚本でも令和同性LOVE必須案件は変わらないらしく、奈央と志保は不自然なまでに超絶ラブラブいちゃつきバカップルっぷりが描かれた。奈央は明るく社交的で志保は引っ込み思案でおとなしいという性格の違いがあるんだけど、2人になると関係なくラブラブ。そして全員集合時には改めてカップルだと明かした上で、男性側はドラマの影響で最近理解が進んでいるが女性同士だとそうでもない等やたらとリアルな主張をし始めたので必修科目感が強くなってきて1話なのに妙に違和感があった。ただそこで小倉夫妻も永島夫妻も特に強い反応を見せたり、同調したりすることはなく、令和同性LOVE必須案件に違和感がある人ほとんどが思っているであろう我々は全く気にしないし好き同士ならいいんじゃないのというような自然な態度を示していたのはちゃんとした現実的な反応で良かったし、さすが岡田脚本とは思った。

あとは連ドラとしてどう話を持たせるのか…。夫婦の再生の話なのか、新たな始まりとか新しい家族ノカタチとかそれっぽい前向きさを示した離婚ENDに向かっていくのか。

「やさしさに包まれたなら」は『魔女の宅急便』のイメージが強いのでここは『魔女の宅急便』で使用されていてベスト盤でもほぼ毎回収録のアルバムバージョンではなく、素朴なピアノ主体のシングルバージョンで差別化してほしかったなというのと、これじゃ新曲主題歌でも霞むよ…っていう…。

2話

あん(仲間由紀恵)の離婚話はマジだったと聞かされて愕然とする渉(北村有起哉)。ケンカ洗車ドライブではあくまであんが本気だということくらいしか分からず苦悩する渉。この事は永島慎一(草刈正雄)、さとこ(阿川佐和子)夫妻の慎一だけはさとこに言われるまで気づかず、さとこ、奈央(小野花梨)と志保(石井杏奈)は発言時のあんの表情でとっくに察しており、後半のゆずを除いた永島家での集いでは全員把握している前提でこの話の深部へと話が移っていった。

その前にかつてした離婚の約束の回想も入り、あんが生まれた直後に育児ノイローゼで精神崩壊寸前だったあんはケーキを買ってきた帰ってきた渉に人生こんなはずじゃなかったと泣きつき、ゆずが20歳になるまでは頑張るから離婚してくれと懇願。渉はひとまず分かったと言ってだきしめてなだめる、というもので、夫婦喧嘩の末とか渉の言動や行動に家庭を顧みないところがあって孤立化していた、とかでは全く無かった。渉も肝心なところで間の抜けた言動をしたり、話をそらそうとして核心に入って行かない悪癖はあるものの、これであんに共鳴する視聴者いるのかよ酷すぎるだろ…。

最後の話し合いでも渉が嫌いになったわけではないし、行動や言動に問題があったわけでもないが、自分の人生を生きたいから離婚する、という20年前の育児ノイローゼの時の若い思考のまま時が止まっているのがヤバイ。最初の話し合いの時も生活はどうするのかの話を「考えている」とは言ったものの、何か虎視眈々と仕事の準備をしているならまだしも近年パートしているだけで正直甘く考えてそうだし、世間知らず感がスゴイ。2話でここまで醜態をさらしたんだからまだまだ展開はあるとは思うけど、もう少しどっちもどっち感出してくるのかと思ったらコレだから大丈夫なのかこのドラマ。

軽快な笑える会話劇を挟むことでかなり柔らかくはしているけど、肝心の芯の部分が酷すぎてちょっとキツイなぁ…。

一方でゆずは離婚話を聞いてしまい、兄の順(小瀧望)に相談しにいったところ、離婚約束宣言の際に当時3歳だった順は当時の会話をしっかり覚えていて平然と知っていたと言い放ち、それを覚えていたおかげでこんな天使な息子に育ったと自賛。ゆずは渉があと50数日でどうにかひっくりかえせると思えず(あんが1度決めたらブレないのは子供2人も共通認識)頭を抱えていたが…。

3話

激重な空気と化した親睦会会場を間に次ぐ間でコミカル風に描いた後は男性陣(渉と慎一の2人)と女性陣(4名)で就寝。この際の慎一が語る仕事ばかりであまり家庭を顧みる事が出来なかった後悔をしんみり語る様子だけは妙に説得力があるというか脚本家岡田惠和66歳のリアルが反映されているかのようでもあった。対して女性陣はもう何を話しているのかも良く分からずにあんを全肯定するという奇天烈空間と化しており、あんの考え方に異論を挟むことはないっていう。

結局ラジオ体操の朝に泣きながら渉が離婚すると宣言し、事情を知らない周囲がドン引きする中号泣する夫婦2人、優しく見守る関係者一行、兄の順のところから戻ってきたゆずはその様子を目撃して「ナンダコレ」と静かに泣きながら去るというあんまりなシーンが爆誕。順は相変わらず聞き分けのいい優等生過ぎて最早アンドロイド息子ロボット1号なんじゃないかという勢いだが、ゆずは去年の誕生日にあんが涙を流しながら誕生日祝いしてたの何を思っていたんだろうか…と当然の疑問と答え合わせに直面して苦悩。これで隠せている気になっているあんがまた…う~ん…。

最後は深刻な表情で震えながらしばらく家を空けるとさとこが告げにやってきて慎一と去って行ったが深刻さが伺えるものの何も分からずに次回へ続く。ここからどう展開すれば面白くなるんだコレ。

4話

離婚に泣く泣く同意した渉は残された時間を穏やかに過ごそうと事あるごとにニコニコしていたが、あんはそれも気に食わずにいちいち突っかかってくる始末。しまいには過去の小さなズレた行動を例に挙げて、常に言いたい放題な自分が悪者で渉が被害者ヅラするのが気に入らないなど身勝手な文句を次々に繰り出しまくる(離婚約束の日の渉がホールケーキを買ってきていたのも並んでまで買う時間があるならとっとと帰ってきて助けてほしかったと文句)。性格上マジで渉はこれといった文句はないらしく、自身のズレも自覚しているため返す言葉にも逡巡するがそんな様子もあんは気に入らないと言い、どの口が「貴方の事が嫌いなわけじゃない」とか言ってるのか。かろうじて渉が口に出したのは「良くない?もう離婚するなら」だったがこれも失言だったらしい。ていうか分かってほしい分かってほしいばかりでコイツもう何言ってもNGワードになるんじゃないのか…。

そんな理不尽芸を見せられつつ、ゆずは離婚話を知っている事を話したいが兄の順は制止。あんは完璧に隠し通せて母親やってきた自信があるはずだし言うタイミングも決めているはずだからそれまで待とう、子供2人が離婚話とっくに知っているどころか順はその当日の話を覚えていてずっと知ってたなんてあんが知ったら壊れてしまうだろうからと聖人発言していたが…。むしろそのくらい現実見せて勘違いの自己満自信なんか木っ端みじんにしてやった方がいいんじゃないのか。

前回ラストで意味深に去った慎一・さとこの永島夫妻だったが連絡があり、娘夫婦が事故で亡くなり、夫側の両親はもっと高齢なので永島夫妻が幼い子供(孫)を引き取る事になったという。奈央と志保も呼び出し、ゆず、そして順も駆けつけて精一杯の歓迎会を開く事になった。孫を引き取るとしか話していなかったので1人かと思ってたら姉と弟の2人だった。弟は幼く両親の死を分かっていない様子だが姉も十分お子様ながら弟が分かっていない事を皆様にお詫びするなど大人じみた言動に出ており、さとこはもう少し子供のままでいられるように育てたいと決意を語る。一方で慎一は仕事仕事で家庭をおろそかにしていたため孫とも接し方が分からないと苦悩を語るが、渉がこのシリアスな場面でしゃっくりが止まらなくなり、なんとか止めようとワタワタ奇妙な動きを繰り広げたので場が和んで次回へ続く。

娘夫婦が事故で亡くなったという話を聞かされてみんな悲痛な表情で、ゆずも話を聞いて涙目になっていたが、聞けばその死んだ永島夫妻の娘は1度会った事があるという程度の超他人だし、それ以前に永島夫妻との交流も今までほぼ無くて最近1話の台風の時に家に呼んだ…程度の仲だからなぁ…。離婚話の時は子供達は不在なのでゆずは永島夫妻や奈央志保と交流を持った回数も少ない。なのに悲しみ方が昔からよくしてもらっていた親しみのある人の死を聞かされた時のレベルなのよ…。

後半は唐突な人死にでそれはそれでついていけなかったが、あんの理不尽文句を延々聞かされるよりはマシか。

5話

永島夫妻が孫2人を育てることになり…という新展開が前回あり、姉の方がいなくなるという騒動はあったものの、相変わらず身勝手あんの身勝手劇場が続く。今回の騒動きっかけで順が離婚話を知っていた事に気づいて最低だ…と情緒不安定に1人泣き出す場面もあったが、散々身勝手な振る舞いをしてきたんだから少しはショックを受けやがれとしか…。

どや顔で「あと●日」をスマホでカウントダウンして渉に見せてきたり、既に1ヶ月を切ろうかというところで今後について話をしないととは言い出していたものの離婚にまつわる具体的な手続きやその後の生活をどう考えているのかはやはり具体性が無い。何より子育ては自分の方が現役に近いから手伝えることはないかと永島夫妻の元に押しかけて色々今後も手伝っていく風な態度を取っているのが実に不可解。あんた離婚するけどここを出ていく気ないのか。渉を追い出すのか、同居生活は続ける気なのか

6話

冒頭で奈央志保バカップル誕生の過去が回想されるも特に深みが増すわけでもなく、順が離婚話を知っていた事に気づいたあんがいつもよりおとなしかった(渉に理不尽に当たり散らかすことはなかった)だけでだいぶ平和な展開ではあったが、終盤にようやく渉が聞く形で順とゆずに離婚話知ってたのではないかと問いかける。離婚話が家族共有となり、あと20日と和気あいあいになってしまったが…う~ん…。ゆずの誕生日に離婚するというのは応援する、盛大にパーティーしようぜ当たらしいお母さんの門出に!とかちょっと何言ってんの…?としか。おでんパーティーの後みんなの前でそれをやるっていうのはもう今作の芸風なので仕方ないけどさ。

次回予告でようやく今後の財産分与、生活をどうするのかの話を渉が切り出している場面が出てきたがようやく現実的な話始めるの…?

7話

離婚が家族共有決定事項となり、改めて色々話す渉、あん、順、ゆず。子供たちのせいではないとか言い訳をするゆずにお母さんがそういうならそれを信じると半ば気遣いのような発言をさせたり、改めて語る身勝手な自分中心話はやはり好感が持てぬ…。その夜、渉は今後の生活費をどうするかなどの方針メモを渡し、結婚した際に貧乏暮しはさせないと決断したので離婚後もこれだけの援助はさせてほしいと申し出る。あんはいつもはすぐに分かってないとか文句言うくせに言葉を失っていたので、マジで離婚した後の生活考えてなかったっぽいがこの件はそれ以上言及されず暗黙の了解のようになった。メモの中に新しい仕事が決まるまでは経済的援助をするようなことも書かれていたので離婚まであと20日なのに仕事決めようとしている様子もないわけでホントなんだろうなこの人は。

奈央志保バカップルはキッチンカーを断念。ハッピーエンド志向のゆずは落ち込むが、店主に頼み込んでキッチンカーを1日タダレンタルさせると映画用のキッチンカーオープンハッピーエンド映像を「たそがれステイツ」住人全員にヘタな演技をさせながら演出撮影。妙だな、…2人のドキュメント映画だったはずが、ハイパーやらせフィクションハッピーエンドになってしまった。それでいいのか。またゆずが頼みに行った際には思いっきりキッチンカーの値札が出ていたが148.8万円だった。とても手が出せないとか苦渋の断念するくらいなので数百万以上はするのかと思ってたら148.8万円って。奈央志保バカップルはスーパー銭湯の正社員で2人で働き、家の中には家財を置かずにテント生活して貯金しているという設定だったはずだが、148.8万円を出せずに断念するってどれだけ給料低いのかor「たそがれステイツ」の家賃がバカ高いのか?正社員じゃなくてバイトだったにしてもフルタイムで働いている様子だし貯金貯まって無さすぎであり、散在しているか、貯金=貯金箱レベルでしか貯めてない(=いつになっても実現不可能)とかだったのだろうか。

結局店主が1日レンタルして戻ってきた後のキッチンカーを見てキッチンカーを愛してもらえる2人が使うべきだと思ったとして、無理のない範囲でレンタル料を払っていく形で提案。歓喜した2人は家族に相談するとして「たそがれステイツ」住人全員に相談してから再訪してキッチンカー契約を結ぶのだった。

今回は渉が悟り切って聖人化。冒頭の家族間の話で順に本当に離婚するのか確認された際はあんよりも早く離婚すると返事し、逆にあんが戸惑うほど。さらに思い残す事が無いように書類忘れわざと演技をしたのもあんがヒステリックにキレなかったのでカワイイ感じにまとまった。さらに離婚約束当日に至るまでの渉の回想も描かれ、営業に移動になり全く成績が残せずに余裕が無かった事やそんな中でも家族のために頑張ってわざわざケーキを買って帰宅したらあんなことになっていた(その上最近はケーキをわざわざ買って帰宅した事についても改めてブチ切れられまくった)というのが渉視点で描かれた。渉も余裕が無かった事を改めて明示した上で永島夫妻の孫2人のおままごとが亡くなった両親を反映しているっぽい様子で大人たちをしんみりさせ、孫2人が渉とあんにもおままごとをお願い。この際に夫婦が共同作業する流れでおままごとが展開し、渉はあの時こんな風に家事や育児に協力する姿勢を見せるべきだった事を痛感して号泣しながらおままごとというしっちゃかめっちゃかな展開にも…。

結局渉がもっと家事育児に協力を申し出るべきだったと反省号泣するオチになったのはやはり脚本の岡田さんが自身の後悔を永島だけでなく渉にも反映させた結果にしか見えないかなぁ…。あんのワガママは基本何でも許されて渉は事情も言い訳扱いされてひたすら反省を強いられるってキツくないかやっぱり。

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