降り積もれ孤独な死よ 全10話

2024年夏クール、読売テレビ製作・日本テレビ系「日曜ドラマ」枠(22時30分~23時25分)。2021年から『マガジンポケット』で連載途中の原作:井龍一,漫画:伊藤翔太による漫画原作。単行本はイブニングKC枠だが2023年のイブニング休刊以前から雑誌媒体での連載は最初からなくWeb連載作となっていた。

前クールの『ACMA:GAME』もマガジン作品原作だったので2作連続講談社漫画原作となったが、こちらは完結していない。後半はオリジナル展開となったが、原作者は自由にやってくださいとオリジナル展開を許可したとされる。

1話

2024年現在、家出少女失踪事件を追う燈子(山下美月)は7年前2017年の灰川邸事件との関係を疑い、当時関与していた元刑事の冴木(成田凌)を尋ね、2017年当時の灰川邸事件を追う回想の形で物語がスタート。屋敷の地下室から子供の白骨死体13体が発見され、所有者である灰川十三(小日向文世)が容疑者として上がる中、灰川を“父”と呼ぶ蓮水花音(吉川愛)が現れ、“父”は殺していないと証言。育児放棄で路頭に迷っていた花音を拾ってくれたのが灰川で以降も訳ありの子供たちが増えていき19人の子供たちと家族のように過ごしていたが、6年前に急に解散を言い渡されてそれぞれ関わっていなかったという。19人のメンバーの中に腹違いの弟で子供の頃に別れたきりだった瀧本蒼佑(萩原利久)がいる事を知った冴木は動揺。また身内がいる事を理由に捜査を外されたが、花音が積極的に協力を持ち掛けてきたので一緒に追った結果、蒼佑が生きていた事は突き止め、残り6人のうち5人の所在が判明。5人は口を揃えたように灰川はやっていないと回答するが警察は灰川を犯人と断定。その灰川があっさり確保されるところまで振り返られ、再度2024年に戻って事件は終わっているという冴木に本当に終わったのか問いかける燈子で次回へ続く。

ミステリアスな吉川愛が不思議な魅力を放っていたのが印象的。原作の判明している要素をどこまで取り入れるのか、どこまで改変するのか。完結していた前クールの『ACMA:GAME』は原作者がツッコミまくるのが面白かったもののかなり別物になっていたっぽいし、ましてや完結してない原作を持ってくるなど「あなたの番です」辺りからの”考察”に味を占めたままで全く懲りていない日テレ案件だけにワクワクしながら見ていたら酷いことになる可能性もなくはない。

2話

灰川十三(小日向文世)が捕まってあっさり自供したが動機は不明。花音(吉川愛)が何者かに突き落とされて怪我を負った(割と血だらけで病院送りになったが冴木が駆け付けた時にはちょっと包帯してるだけでもう歩いて帰れる程度に復活していて次に会った時は綺麗なお顔に戻…)事から生き残った6人に犯人がいてかばっているのでは?という事になり、冴木は単独で6人を調べ始める。弟の瀧本蒼佑(萩原利久)に暴力父と同じ暴力癖があったことが発覚。そして灰川が檻の中で首吊りで死んでしまって次回へ続く。

謎を振りまくだけでイマイチ先が見えない展開が続いているが、灰川邸事件とは別の連続暴行事件も進行しており、灰川邸事件は捜査する事が無くなったので、上司の五味(黒木メイサ)や新人の鈴木(佐藤大樹)は連続暴行事件を追っており、被害者全員が実は子供に暴行していた虐待親と判明。子供への暴行は冴木と蒼佑の父親とも関係があり、暴力衝動と血縁というのは今作に通じる要素になっており、蒼佑の暴力衝動が明らかになったところで灰川事件というより連続暴行事件って冴木…?(今やってるの2017年の話で2024年には刑事辞めてるし)

3話

灰川が死んでしまったが、独自調査を続けた冴木は花音を突き落とした犯人、灰川死亡の際に近くの防犯カメラに映っていた男がいずれも顔に傷のある男(ノンクレジット)だと突き止める。

一方で上司の五味(黒木メイサ)は子供を虐待していた親を狙った連続暴行事件の犯人を残された防犯映像での犯人の挙動のクセから冴木と特定。なんと父からの暴力の影響で暴力衝動を抱えた冴木はマジで連続暴行犯主人公だった。被害者の方がむしろクズ野郎共で結果的には子供たちを救う事になっていたのもあって自首するまでは黙認するという五味の恩情で即逮捕にはならなかったが、改めて自身の抱える傷を直視した冴木は花音には本当のことを打ち明け、花音も実の母が死んだ時にようやく死んでくれたと喜ぶくらいには自分も壊れていると語る。冴木は花音に励まされて弟の蒼佑と向き合う事に。

前回まで怪しまれていた蒼佑だったが、実はDV加害者の会に通って自身の暴力衝動を向き合い変わろうともがいていたと発覚。犯人ではない確信を得た冴木は自身が連続暴行犯である事を明かし、これにより同じ父から受け継いだ暴力衝動を抱える者同士として蒼佑も態度を軟化させ、兄弟は和解した。

灰川事件の解決をもって自首する決意を固めた冴木だったが、花音の元には顔に傷のある男の影が近づいていて次回へ続く。

3話にして並行して進んでいた連続暴行事件の犯人がまさかの主人公と判明する超展開に…。

4話

蒼佑との関係を改善し、事件を解決したら自首すると決めた冴木。灰川が別人の戸籍を利用していたので、灰川の正体を探っていくことに。花音や蒼佑が子供の頃に聞いていた灰川のわずかなバックボーンを思わせる単語やドラマタイトルとなっている詩の内容から過去の新聞記事データベースに関連ワードを入れてみたところ、「灰色の雪」で村が1件ヒット。その村で60年代に父親惨殺事件が発生しており、犯人は14歳の顔に傷のある少年だったという事でほぼビンゴ。花音と共に現地に出向いた冴木は古老(不破万作)から当時の話を聞いてより事件の詳細を知る。

顔の傷のせいで父(駿河太郎)から虐待されていた佐藤創(上田琳斗)は村に流れ着いた芸術家の青年(吉村界人)に懐いた。例の詩はその青年に教えてもらったものだったが面白くない父は苛烈な嫌がらせをして青年を自殺に追い込み、ブチ切れた創は父を殺害。父から虐待でつけられた「×」傷にさらに自傷で刻んで六花に書き換えて灰川の例のマークが完成した事まで判明した。また1話冒頭の血まみれの少年の謎シーンはこの時のもの=灰川だった。

こうして灰川が佐藤創だった事は判明。灰川邸に飾ってあった冴木のいう「不気味な絵」と花音が覚えている絵が一致せずどうも会話が噛み合わないことから灰川邸に立ち寄った2人は絵がすり替えられている事を確認。駆け付けた部下の鈴木(佐藤大樹)に花音を一時任せて物音のした方に向かった冴木だったが、鈴木と花音を顔傷男が襲撃。鈴木は発砲するも思いっきり吹っ飛ばされて気絶してしまい、駆け付けた冴木が取り押さえようとするとちょうどいいところに落ちていた鈴木の拳銃で傷男が反撃。肩を撃たれてピンチな冴木のところに、逃げたはずの花音がスプレーを使った簡易火炎放射アタックで攻撃するというアグレッシブさで特攻してきて男を撃退。正当防衛だからいいよねという事で更なる火炎放射で下半身が炎上し始めて焦った傷男は発砲、これが花音に当たってしまい、死亡フラグ全開で倒れてしまい次回へ続く。

ここでの花音退場となるとけっこう辛い展開になりそうだが現代(2024)だと少なくとも冴木以外は不明だしなぁ…。

しかし古老が不破万作(よく出てくるおじいちゃんバイプレーヤー)、父が駿河太郎自殺してしまった青年は『君が獣になる前に』(ジュンペー)で見たばかりだし、鈴木が訪ねたという唯一行方不明の灰川邸生き残り健流の母が長谷川京子だったので見たことのあるゲストが続々出てきた。

5話

重傷かと思われた花音だったが、出血性ショックで2日間昏睡したものの命に別状なしという事でけろっと復活。不死身かこの人。五味から花音の過去が語られ、花音の母親の死が火事によるもので花音による放火の可能性も示唆され(冴木には死んだとしか説明してなかったため)、あまり入れ込み過ぎるのも良くないし巻き込みたくないと考えた冴木は捜査が再開される中でもう関わらない方がいいと告げ、今回これ以降2人が会う事は無かった。

2024年現在に一旦話が進み、森(山下美月)がマヤ(仲万美)に話を聞きに行った事とこの際に“生き残った5人”と森が話したことから、マヤの生存確定と2017年当初の生き残りは6人とされているので1人死亡する事も確定した。この2024年話が終わって2017年に戻った時にはもう花音はけろっと日常生活に戻っており、以降傷を気にする様子もなくピンピンと行動。階段から突き落とされて擦り傷負いまくった時もすぐに回復してたし無敵かこの子…。

健流は行方不明のままなので、マヤ・悟(松本怜生)・優磨(栗谷)・花音の4人は灰川の葬儀に出席。蒼佑(萩原利久)はそれより優先すべきことがあるとして、父の親戚に話を聞きに行き、父もまた父親に虐待を受けていたサラブレッド虐待血筋であったことが判明していた。確かに重要事項だけど、灰川の葬儀とWブッキングしてまで急ぐ…?

葬儀の場から骨壺ごとそのまま盗んできた花音は灰川がもし死んだら遺灰を屋敷に撒いてくれと言っていたとして4人で屋敷に向かって遺灰をまく事に。てっきり『世界の中心で愛を叫ぶ』方式で小瓶に遺灰かと思いきや、花音は骨壺をセット一式持ち出していた挙句、屋敷に到着した4人は骨壺の中の灰ではなく、骨の欠片をゴリゴリぶっ潰して灰を生産するという奇行に及び始めた。なんだこの超展開。灰川に育てられた特殊環境からして常識は知らんみたいな事言ってたけどそれにしたってわざわざ欠片取り出してゴリゴリって。誰も躊躇せずに揃いも揃って…。

造花が六花の形で設置してある子に気づいた花音は3人が帰った後もその場に残って造花6本を回収。その中心地を掘り起こしたら灰川の日記を発見。

…っていやここ事件現場だよね?しかも灰川邸事件の捜査が再開されれいて花音本人が撃たれた直後なのになんでこんな開放されっぱなんだ。そして花音も傷男が行方不明のままでよく来れたな。そしてよく1人でこの場に残ったな…。普通なら今度こそ死亡フラグだぞこの行動。

冴木には会わずに届けられた日記には灰川が少年院から出所後、孤独に暮らしていたところで夫のDVから逃げていた人妻深雪(小島藤子)の自転車パンクを救った事をきっかけに好意を持たれいつしか深い仲になり、1993年に子供が生まれていた事が書かれていた。しかし離婚が成立していない、かといって居場所がバレるのは避けたいとの考えから出生届を出さずに育てるという異次元の発想で無戸籍で「ジュン」が生まれていた事が発覚。

ジュンの名前から新人の部下鈴木を思い浮かべる冴木、例の絵を差し替えるために購入していた人物が灰川の判明している関係者ではなくたまたま写真に写っていた鈴木である事に驚愕する五味、蒼佑が拉致されてその犯人がまさに新人刑事の鈴木潤…と3つ同時進行で鈴木潤が灰川の子供で事件に絡んでいる事が発覚したところで次回へ続く。鈴木が電話に出た相手が花音だったが一足先に日記を見ているので冴木同様に「ジュン」からこないだ現場に同行していた鈴木潤だと思い浮かんだんだろうけど番号交換してたの?

6話

2024年、森(山下美月)が五味(黒木メイサ)に話を聞きに行くとあんな終わり方をした事件なんて語りたくないと追い払われてしまった。

前話では灰川の日記を発掘した事から鈴木=灰川の実の息子で真犯人と一足先に察した花音が鈴木に電話しているところで終わっていたが、2017年に話が戻るともう花音も拉致されていて蒼佑(萩原利久)と一緒に監禁されていた。最終的には無敵だけど突き落とされたり撃たれたり拉致されたりと危機回避能力は異様に低い…

警察でも花音が送り届けた日記から鈴木が最有力容疑者になっていたが、捜査本部は警官が大量殺人犯なのは伏せたい方針から決定的な証拠が上がるまでは顔傷男の方を最有力にしたままの方針で、五味のさらに上司の川相(野間口徹)は事態を重く見て自身の責任で率先して鈴木をマークし始める。

しかしなんと当の鈴木余裕の出勤。いつも通りに接しつつ、絵を買った線から取り調べを開始し、鈴木もマークされている事に気づいて証拠がないと堂々と開き直り始めてしまいには堂々と帰ってしまった。しかし最初に五味が鈴木の髪をワシャワシャした際に大量の髪の毛をゲットしており、これにてDNA鑑定完了で灰川の子供と判明。自宅に逮捕に向かうが鈴木は宅配員に化けて大挙して逮捕に来た五味ら御一行の目の前を堂々逃亡。一気にマズい展開に…。

冴木は何故か野性の勘?だけで宅配員が逃げたという方向に先行して車を飛ばして、宅配員返送一式セットを発見→Nシステム等から鈴木が花音や蒼佑を拉致した際に逃げていった方面が大体分かった一報が入ると先行して別荘地帯へ向かい、ほぼピンポイントで車を発見。この辺恐ろしく雑に進行したな…。

鈴木は父への愛に飢えていたと動機を語り、警察になってから子供たち13人を1人ずつ拉致して閉じ込めて餓死させた事や留置場の灰川を自ら殺したとにこやかに自白。灰川は毎年鈴木のいる施設に誕生日に花を届けに来ていたため、子供の頃の鈴木は待ち構えて声をかけるが逃げられてしまった。今度は自力で灰川邸を探し出してたどり着いたが灰川は他人の子供たちを集めて暮らしており、鈴木は突き放されてしまったという。これで鈴木は壊れてしまい、警官になってから1人ずつ殺していく計画を実行。なお顔傷男はマジで知らん奴だったらしい。

日記を読んでいた花音は灰川が実の息子をかばうために終始知らんぷりしていた事を把握しており、灰川が鈴木を捨てた経緯を説明。前回は人妻深雪(小島藤子)との間に潤が生まれた事までだったが、まだ潤が子供の頃に深雪の夫が居場所を突き止めて深雪を襲撃。灰川が帰宅した際には一面血だらけで深雪は虫の息でナイフを持った夫が迫ってきた。深雪が最後の力で夫に掴みかかり逃げてくれと叫びめった刺しにされる(たぶん絶命)中で灰川は逃走の末に養護施設の前に潤を置いたという。壮絶な事情も説明され、蒼佑と花音にWで実の子供を守るために遠ざけたと言われると鈴木は動揺し始め、餓死ではなく練炭死させようとしてきた。

かなり早く現地には到着していたはずの冴木は何故かなかなか監禁部屋を発見できずに彷徨っており、ようやく入口を発見した際には既に入口が目張り済みではがそうとしたら鈴木に背後を取られてしまった。この少し前に鈴木が監禁部屋で壁に向かって発砲しており、これを聞いた冴木が当たりをつけてここに向かってきたはずなので敷地内にいたはずだが…冴木が駆け付けるまでのそんなに長くない時間に鈴木はドアから出てきて改めて入口からドアをガムテープ張りにして(この時点でビリビリガムテープ出す音が響き渡るはず)封鎖を完了させてやってくる冴木を待ち伏せして背後を取った…という事に。

さらにこの間には花音は割れたガラスで自身の拘束を解いて既に意識を失いかけている蒼佑の拘束も外してほとんど動けない蒼佑を引っ張って入口付近まで逃げてきて力尽きる…とそこそこな時間が経過している。冴木けっこう離れた場所にいたのか…?近くにいた割には駆け付けるまでに時間がかかりすぎているような…。

背後を取られたとはいえそこは連続暴行犯バイオレンス冴木。隙を突いてあっさり鈴木を確保し、ドアをぶち破って2人を救出。気絶していた蒼佑も何とか息を吹き返した。しかし2人の暴力癖を知っていると告げて挑発してくる鈴木にブチ切れた冴木は延々と鈴木を殴り続け、そのまま次回へ続く。

とりあえず無敵花音は今回も蒼佑がとっくに気絶して死にそうなのに耐久力の高さを見せていて大丈夫そうだった一方でヤバそうだった蒼佑が死なず犠牲者が出なかったのは良かったが…。どうやらこれでほぼ原作の判明分を消化しきっているようなのでオリジナル展開に突入するのだろうか。

7話

連続暴行犯バイオレンス冴木と化した冴木はわざわざ鈴木にかけた手錠を外してタコ殴りにしていたが、鈴木は殴られながら冴木のポケットから拳銃を奪って形勢逆転。しかしついさっきまで一時呼吸停止して冴木の人工呼吸で復帰したばかりで動けなかった蒼佑が飛び込んできてかばい撃たれてしまいそのまま絶命。花音は2日昏睡で復活したのにまさかの一撃キル。せっかく助けたのに蒼佑が殺されてしまう最悪の結末になってしまった。

鈴木はそのまま外へ逃げ出すも冴木を撃ったはずが蒼佑を殺したことにショックを受けており、駆け付けた五味ら刑事勢の前で聞いた時は一蹴していた花音の話(灰川が突き放す態度だったのは守るため説)が今更効きまくってしまい灰川の幻を見てそのまま自殺してしまい事件は終結。

冴木は暴行事件の犯人として自首せずに蒼佑の葬式には出席したものの、支えようとする花音を冷たく突き放してしまい、衝動のまま暴行活動を再開しようとしていた。しかしターゲットを襲撃する直前に花音からの着信があり、そちらは無視したが大量の着信履歴の中に蒼佑が鈴木に拉致される直前、父親もまた虐待を受けていたという親戚の話を聞いた帰りに入れた留守電が残っていた。冴木はここまで気づいていなかったらしく、聴いてみたところ、父が虐待を受けていた事やここで終わらせるべきだという事、暴力は血縁が原因ではないと言われた事、2人で乗り越えていこうと前向きなメッセージが残されていた。号泣した冴木は通報してターゲットが確保されるのを見届けた後に自首連続暴行犯冴木自首のニュースを見た花音は冴木に別れを告げて会う事無く引っ越していって過去編は終了。

現代では一気に話が進行し、タトゥーのマヤが突如謝罪しまくりながら突き落とされて殺される事件が発生。森がマヤにも話を聞きに行っていた事から、以前は話も聞かずに森を追い返した五味が森に接触して改めて失踪した少女にも関心を示し、さらに森が冴木の居場所を知っていると聞くと五味は知らなかったらしく冴木と再会。五味は冴木と森で失踪事件を追ってほしいと頼み、五味の今度こそちゃんと決着をつけようという言葉でこれまで動こうとしなかった冴木も動き出した。

しかし森と冴木の調査で判明したのは万引きしようとした失踪少女を連れて行ったのがどうやら花音らしいという事、また2017年に花音を突き落とした犯人が不明のままだったがマヤのアリバイが嘘だった事が発覚してマヤが突き落とした犯人だったとすればそれを知った花音が復讐する動機になるとして花音に疑惑が向いた。冴木は花音の蒼佑が死んだのは自分のせいだと謎な発言も今更気になり始め、蒼佑の墓参りに出向いた際に花音の形跡(好きだったチョコのお供え物といれたての線香)から付近を探って花音と再会を果たして次回へ続く。しかし灰川邸付近で謎の白骨死体も見つかり…。

と、オリジナル展開に突入した現代編で一気に花音が怪しい事に…。原作で犯人じゃないヒロインポジの人を犯人にするとは思えない…というところの逆を突く可能性もあり、実際2008年の『シバトラ』でそのパターンがあった(しかも続編で殺されるなど散々な扱い)からなぁ…。1番楽なのはオリジナルキャラ=森が黒幕でしたパターンなんだけどそれもそれで…。

8話

冴木を巻き込むつもりはないと告げて花音は逃亡。冴木と森は顔傷男が健流(杢代和人)ではないかと考えて調査を進めて母親(長谷川京子)に話を聞きに行くが、健流は誕生日にカーネーションを送ってくる以外は姿を見せていないという。

花音犯人説が高まってきて目的を見失ってきた冴木に森は失踪少女にこだわる理由を明かす。高校時代にちょっと浮いた不良っぽい同級生と仲良くなるために家庭環境に問題がある作り話をした森に同級生も自身の家庭環境の問題を語り分かり合えた感を出せたものの嘘がバレた結果、同級生は自殺。その罪滅ぼしだという。この言葉に冴木も再度やる気を出し、ついに失踪少女を発見。そこから花音の居所も予測できた冴木は再度花音と再会し、今の自分は刑事じゃないから一緒に逃げようと提案。花音も動揺するがそこに顔傷男が襲撃。花音を逃がそうと抵抗する冴木だったが顔傷男は花音に向かって逃げろと言い放ち驚愕する冴木で次回へ続く。

そして遅れて現場へ向かっていた五味は白骨死体=健流だったという報告を受けていて顔傷男=健流説は消失した。

森の過去話はさすがに本筋に関係なさそうだし、ちょっと停滞感があったか…。

9話

花音は逃げたが顔傷男は冴木と揉み合っている間に駆け付けた五味と部下により逮捕された。しかし黙秘し続けて名前も分からない。そして健流(杢代和人)が13年も前、つまり灰川の屋敷を出た直後に死んでいた事も発覚。過去の言動から花音、マヤ、優磨(栗谷)は少なくともそれを知っていたのではないかと疑う一行。しかし防犯映像から花音と墓地で遭遇した事を冴木が黙っていたのを五味にとがめられてしまい、冴木と森はここまで、後は警察だけでやると言われて追い出されてしまった。ここまで来たら真実を知りたい2人は独自で動き、花音の幼少期にいた養護施設を訪れると、2つ年上の兄のように慕っていた瀬川涼という存在が浮上。さらに花音の母が火事で死んだ際にも「逃げろ花音」の声が聞こえたと大家が証言した事と顔傷男の傷というかあれ火傷跡っぽいよねという発想から瀬川涼=顔傷男と確信する2人。即座に五味に伝えられて、取り調べで回想モードに突入。

花音を守ると誓っていた少年瀬川涼は母の元へ帰った花音を訪ねて施設を抜け出して家まで行って花音が育児放棄・虐待されているっぽい事を知る。施設に戻ろうと呼びかけるが花音は灰川と知り合った直後で、灰川と暮らすと宣言すると突如現れた顔半分傷の怪しい男(灰川)と行ってしまった。なんだあいつは…という事で灰川邸まで突き止めた少年瀬川涼が中で他の子供たちと伸び伸び遊び回っている花音を門の外から見ていると灰川がやってきた。1度会っているので概ね事情を察した灰川はここで育てると告げると花音は俺が守ると宣言。その言葉を信じるしかなく、少年瀬川涼は花音に会わずに去っていった。

その後青年となった瀬川涼(笠松将)は街で偶然花音を見かけ、尾行すると花音が母の元へ戻っていて母にたかられている事を知る。花音に全く会わずに母に手切れ金を渡して花音を解放するよう頼んでみるも効果が無く、母のクズ過ぎる態度に絶殺を決めた瀬川は母が寝ている部屋に侵入し火を放ったことが判明。目を覚まして逃げ出さないか見張るつもりだったのか何なのかギリギリまで燃える室内に留まり、窓の向こうに花音が立ち尽くしているのを見て逃げろ!と叫んでみたりしているうちにドッカン爆発になってしまったようだが、大やけどを負いながら逃げ延びた様子は描かれず。少なくとも徒歩で帰宅中の花音を見かけるくらいはかなり近所に住んでいたっぽいし、火傷の男が病院に現れたらすぐに繋がってしまいそうなので大火傷の身で無治療で姿を消したはずだが…。

また13人の白骨死体発見のニュースを聞いた際に瀬川は真っ先に灰川邸に駆け付け、逮捕される前の灰川を発見して面会していた事も発覚。火傷を見て随分変わったなと言いつつも灰川もすぐにあの少年だと分かったらしく、守るって言ったじゃねーか!と激怒する瀬川に秘密を守るのに協力してくれと持ち掛けて花音を守りたいならこれからはオマエが守ってくれと後を託し(恐らく健流の埋めている死体という秘密を明かした)、花音に合わせる顔がないという瀬川に本人の気づかないところで会わずに見守るという形での守り方もあると教え、実際瀬川はこれまでの事件の花音の背後で見守っていた事が判明。突き落とされた時は守りきれていないがここは触れられなかった(タクシーの運ちゃんからの男の目撃情報はあったので見守ってはいたが咄嗟の突き落としアタックでは離れて見守っている瀬川では対応できなかったのだろうきっとそうだろう)

銃撃事件の時は鈴木が花音を襲おうとしている事にいち早く気づいて鈴木狙いで襲撃していた事が発覚したが、冴木も言っていたように現在の花音は不明だがこの時点での花音は顔傷男が瀬川だと全く思っていなかったようで即席火炎放射器で逆襲している上、ある程度ハッキリ顔を見た後も躊躇なく追撃しようとしている。加温は焦った瀬川に撃たれていてここは演技ではなかったし、良く分からずに逃げ去った瀬川はその後の記事で花音が銃撃されていた事を知って後悔の念から暴れ回っていてこのカットは当時もあった。花音突き落とし犯や現在の花音は瀬川を瀬川と認識して接点があるのかは絶妙に明かされないままだったが、瀬川はお前らは何も分かっていないと五味よりも真相に近づいているらしい事をほのめかす。

再度協力して動く事にした冴木と五味は陽子(長谷川京子)に毎年カーネーションを送るのを灰川から引き継いだ人物を花屋への聞き込みから少なくとも今年はマヤだった事を突き止め、さらに花言葉が良くない事から黄色ではなく赤を買っていった事、翌日陽子が黄色を買い直しに来て「お礼をしないと」と意味深な一言をつぶやいていた事を突き止めた。優磨の事故現場の防犯映像にも陽子が写っていて、ここに来てマヤ殺害&優磨を追いかけて事故に遭わせた人物が陽子である事がほぼ確定し、その陽子を灰川邸に呼び出した花音が私が全て終わらせると宣言して最終回へ続く。また健流の死を知っていたんじゃね疑惑が他の全員にかかってきた中でも1人放置されていた川口悟(松本怜生)。マヤが殺され、優磨が意識不明、花音は絶賛失踪中で唯一話を聞けるのが川口悟なので真っ先にお前も知っていたのか?と聞きに行くべきなのにみんな何故かスルーしていた。川口は自ら森を呼び出して知っている事を話そうとしている様子も。誰も聞きに来てくれない、忘れられてるから自分から来ちゃった…みたいな感じになってしまいシリアスなシーンなのにちょっと哀愁が…。

顔傷男が特殊メイクの笠松将だろうという事は言われていたが、役名だけでなく、笠松将がクレジットされたのも今回が初となり、笠松将本人の提案でノンクレジットだった事も放送後に明かされた。瀬川が意外と灰川と顔見知りどころか後を託していたのは驚きだったが、その後を託した秘密という健流の死はどうもみんなで隠していたっぽいし、誰かが殺したよりも事故死に近い形になるのが現状1番マシなルートか。

10話

森の元に自分からやってきた悟(松本怜生)はポストに入れてあったという花音から冴木へのメッセージと13年前の健流(杢代和人)死亡にまつわる破られた灰川の日記のページだった。悟はこれが届くまで健流の死の真相を知らなかったという。灰川の誕生日を祝った夜、片付けには花音、マヤ、優磨、悟が参加していたが幼い子供が蒼佑(萩原利久)が先に寝てしまったので絵本を読んでと下りてきたので悟が引き受けた。灰川への隠しメッセージプレゼントを取りに花音が地下室へ向かったところ、陽子(長谷川京子)に追い出されて居場所を失った健流が出戻っていた。灰川が実の子供を追い払う場面を小さい頃に目撃していた健流は灰川にとっては自分たちは代用品だと主張して灰川に反抗するようになっていて出て行ったが、花音はそれでも育ててくれた恩があるとブレない姿勢。これに激高した健流は陽子に追い出され、灰川とも揉めて出て行く羽目になり誰からも愛されない居場所がないと絶望して花音の首を締めにかかってきた。駆け付けたマヤがハサミで背中に一撃グサリ。この時点では致命傷に至らず、健流は何をするんだとマヤにつかみかかるくらいは元気だったがマヤが突き飛ばして滑って背中からあおむけに転んだため刺さったままのハサミが深く刺さって健流死亡殺害犯はマヤだった。遅れて灰川と優磨が駆け付け、灰川がなんとかするから戻れと言って花音はマヤを連れて出て行ったが、優磨は手伝うと言って残り灰川と優磨が健流を埋めた実行犯だったと判明。そして花音とマヤも含めて4人だけの秘密としたため、その場にいなかった悟や蒼佑は何も知らず、特に蒼佑は知らないまま死んでいるので、現在生き残った灰川邸の子供たちで知らないのは悟だけだった。おいてけぼりだったか…。また殺害実行犯=マヤ、死体遺棄犯=灰川・優磨となる中で花音だけは秘密共有勢4人の中で唯一直接関わってない事に。

陽子を灰川邸に呼び出した花音だったが、マヤが死ぬ前に全部喋っていたので花音が説明せずとも陽子は既に健流の死の真相を知っていた。激怒した理由は死んでいる事を秘密にしておいてくれなかった、死んだと認めたくなかったのに死体発見とか罪告白とか勝手にしてくれやがってなんで黙っててくれないんだ、もっと絶対バレないところに埋めろ!というちょっと斜め上の方向からの逆ギレだった。マヤを衝動的に突き落とした際も陽子は当初は今年は健流に頼まれてカーネーションを届ける役目をマヤが請け負ったが色を間違えただけという“設定”を陽子自らがそうよね?と迫ったが、マヤの方は自分が殺したとハッキリ言って謝罪したからだったので、マヤが保身でしらばっくれるような奴だったら逆に生き残れたかもしれないのか…。

ついには警察からも健流死亡の報が届いて健流の死を認めざるを得なくなった陽子は優磨を訪ねて、健流は死んでないと言ってくれ!的な勢いで迫ろうとしたが、優磨は陽子がやってくるなり窓から逃走、追いかける陽子の話を聞かずにそのまま交通事故に遭ってしまった…という事でこっちは無罪(事故扱い)。

一方で瀬川は留置場で頭を打ち付けまくって気絶し、救急車で運ばれた際に拳銃も奪って大脱走。灰川邸へと花音救出へ向かう。

冴木、五味、森らは判明した事実を整理。この際に花音突き落としは健流の死体が見つかる事態になる事を避けるため、真犯人に花音が狙われている風を演出する目的で花音がマヤにやらせたほぼ自作自演と判明。自ら突き落としてもらったとはいえけっこうな高さから死にかねない勢いでガッツリいったな…。ていうかマヤが手伝う必要あったのコレ?勢い次第では受け身取りにくくなるから自分で調整して飛んだ方が良くね?

また瀬川を花音が認識したのはつい最近で、森が探していた失踪家出少女を花音が保護していた時に瀬川が姿を見せて花音の名前を呼んだ事で気づいたというものだった。特に結託するというよりは瀬川が守る意思を伝えたくらいな感じで行動を共にしていたわけではなく、その後も瀬川が勝手に見守っていたらしい。

冴木と森が警察に任せろと置いて行かれたが冴木は警察車両を奪って灰川邸へ向かう。冴木お前…せっかく罪を償ったのにまた罪を…

花音は自ら殺される覚悟で灰川邸から死体埋めた地点を指定して移動。埋めたの灰川邸の敷地内かすぐそこくらいかと思ったけど、意外と遠かったのか、冴木が最初に花音と陽子の元へ駆け付けた際は灰川邸周辺の道が警察によって封鎖されていて警察車両奪った身である冴木は近づけず別の道へ逸れて向かったように描写されていた。1番最初に向かっていたはずの瀬川はそれより遅れて到着しており、瀬川を追って灰川邸を捜索するだけの時間があった五味ら警察御一行はだいぶ遅れて(たぶん銃声聞いて)ようやく駆け付けた。

花音を殺そうとする陽子を瀬川が腕を銃撃して止め、死のうとする花音を生きて繋いでいくんだ!と冴木が説得。瀬川は陽子にトドメを刺そうとするので冴木がかばって撃たれてしまい、花音を説得して生かす事には成功したものの伸ばした手を掴む前に気絶。ここでようやく警察が駆け付け、気絶している冴木に向かって泣き叫びながら連れて行かれる花音、陽子と瀬川も確保され、五味が冴木に応急処置をしているようなカットのままエピローグへ。

森が事件の本を出版し、陽子はマヤ殺害で刑務所、瀬川も刑務所、最終決戦直前で目を覚まして健流を埋めた際に花音が自分も死んだときはここでいいと言っていた事から花音が向かうならここしかないという証言をくれていた優磨も元気に復活。死体遺棄は時効で罪に問われなかった。本を読み終えた五味が「あいつも読みたかっただろうに」と冴木が死んだかのような発言をしたため、川相(野間口徹)がその言い方だと死んだみたいじゃないかとツッコミを入れ、冴木の生存がようやく示唆された。花音が蒼佑の墓参りに来ていたところ、冴木がここに来ればまた会える気がして…と登場。2人が共に歩き出し、繋げなかった手を再度繋いで去っていく形でハッピーエンド。雪が降るラストにしたかったためか、景色や空模様が夏で暑そうなのに厚着なのだけちょっと仕方なかったか。

Hulu限定10.5話ではもう少し補強され、その後も描かれていたがあまり明確に2人が付き合い始める感じには描かず、ともに歩く未来を予感させるだけに留めていた。こっちでは季節が普通に夏になっていたので何気に半年くらいは経っている事に?

陽子を凶悪犯にせず、少しずれた発想で動いていたところや、最終的に花音は実行犯でも遺棄犯でもないように徹底して構成されていたのは見事。代わりに冴木が警察車両窃盗犯になってしまったが、エピローグまで冴木と花音が出会えなかったのはその辺でゴタゴタしていたかだろう…。

全部終わっての感想

途中まで原作、後半オリジナルという事で失速の心配もあったが、あからさまな破綻も無く最後まで面白かった。吉川愛は不思議な存在感で印象的だったが(基本ミステリアス美女だったが、場面によっては妙にずんぐりして見える時も…)子役時代含めても何気にドラマで見るのほとんど初めてで今まで不思議なほど出演作に当たってなかった。たぶん吉川愛になってからは2020年の『世にも奇妙な物語』の「アップデート家族」のヒロインだった時くらいしか見てない。今回はかなりはまり役だったのでは。成田凌は『アリバイ崩し承ります』の空回り青年のイメージしか無かったのでイメージが違い過ぎて最初同一人物だと分からなかった。

役割的にも完全にサブの脇役なんだけど、その割には黒木メイサに妙に出番と存在感があったのは復帰作という事で優遇されていたのだろうか。もう1つ上の上司である野間口徹がいればどっちかだけでも良かった気もしなくもないし、野間口徹の方は存在感薄めだったし。

コメント

タイトルとURLをコピーしました