2024年夏クール、日本テレビ系「土ドラ10」枠(土曜22:00~22:54)。
原作の無いオリジナルストーリー。
1話
九条開発の社長だった九条謙一(神保悟志)が亡くなった。謙一は政略結婚による婿養子で社長ながら長男の遥人(上杉柊平)へ継ぐまでの繋ぎの社長で孤立しており、半年前に火事の現場で倒れていたところを介護士の今井夏(松雪泰子)に助けられた事で夏を気に入り、火事後のケアをお願いしていた。死期を察知して残していたという遺書には遺産は妻や息子、娘に分配するように記されていたが、会社の株すべては夏へ譲り渡すと書かれていた。
夏は主体性のない地味オバなシングルマザー(といっても子供の智(清水尋也、彩(吉柳咲良)は2人とも成人していて謙一の厚意で九条開発の社員にしてもらっていた)で言われるがままに株を渡そうとしてしますが、そこに謙一から託されたというトータルコーディネーターを名乗る本宮密子(福原遥)が現れる。わざとらしく株譲渡を阻止しつつ、言葉巧みに夏をその気にさせて地味オバルックからいつもの松雪泰子ルックへと変貌させた密子。覚醒した夏は会議の場に乗り込み次期社長へと名乗りを上げ、事前に密子が脅しをかけていた荻野目(石井正則)を支持者にして遥人の過半数票を阻止。これに伴い次期社長候補は遥人と長女の玲香(志田彩良)にも引き続きチャンスが残り、夏との三つ巴の対決になって次回へ続く。
冒頭で孤立していた女の子に話しかけていた本宮密子だったが、実は育児放棄されていた荻野目の娘だったと判明。謙一派ではあったが表立って逆らえなかった荻野目をその気にさせたのはこの一件のおかげだったが、さりげに謙一死亡のニュースが入ったのは女の子と接した後。謙一は突然死しており、殺害疑惑も出ていたが、密子は間もなく死ぬのが分かっていたっぽいのは…?さらに夏が急に吹っ飛ばされて車にひかれそうになった際に密子が助け、秘書の千秋(桜井日奈子)が逃走していったが、ラストで実は指示待ちしていたが指示が出るより前になんか夏が吹っ飛ぶのが見え、直後に密子が助けに出てきたのを目撃したので自作自演だったのではないかという疑惑が浮上。さらに密子と謙一の接点も見つからないと不審がって報告しているところに(相手は遥人?)、密子がノータイムで注射器昏倒アタック。忍かよ!早くもヤベェ奴っぽさが…。
『アンラッキーガール!』や『18/40~ふたりなら夢も恋も~』は興味が持てず、朝ドラ『舞いあがれ! 』も後半失速、最早『ゆるキャン△』続編も見込めない(もう年齢的に行き過ぎた)状況で最近あまり見ていなかったが(不動産のやつもスルーしたので朝ドラ以外だと『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』以来)、今回はいつもの優等生的な感じではない新境地になりそうだ。あとよく見たら対立する相手になっている九条家の長女玲香(志田彩良)は『ゆるキャン△』の恵那。全く雰囲気の異なる大人の女性に成長しており、やはり『ゆるキャン△』続編はもう無理だな…。マジで映画版の内容、今の実写キャスト勢でやるなら適齢だったのになんでアニメで…。
2話
長男の遥人(上杉柊平)の秘書の千秋(桜井日奈子)が遥人の盗撮フォルダ、アクリルスタンドグッズ化した品々を所持した変態ストーカーだった事を突き止めそれをネタに密子が脅して言う事を聞かせる事に。さらに社長候補決定まで社内に専用部屋が用意された夏の担当として千秋が派遣されたため、夏・密子・千秋がほぼ3人揃って行動を共にする事になった。
今回は総務部で働く夏の息子の智(清水尋也)がパワハラ上司森山(小久保寿人)に夏の一件で余計に目をつけられていびられるところから密子の暗躍で覚醒する展開に。きっかけとなった重要データの紛失(森山が智1人責任を押し付け、これを利用して遥人は親子揃って責任取らせる)だったが智がブチ切れるとあっさり狼狽してしまいあまりの役立たずっぷりに速攻切り捨てられる小物上司森山。そしてデータ紛失は実は千秋の破壊工作だったと判明。密子によって見破られた千秋は改めて念押しされる形にはなったが…。
千秋が思ったよりもギャグキャラで、上司も小物で…と本気の暗躍にならないためかなりコミカルに話が進行するなど思ったよりも軽いノリなのか。早くも密子が九条謙一が重傷を負った例の火事で死んだ秘書と関係があり、復讐を目的としているっぽい事がけっこうあからさまに示唆されてしまうなど謎を引っ張る様子もないんだよな。
3話
メインは前回の息子の智に続いて娘の彩(吉柳咲良)が玲香(志田彩良)に取り入ろうとしているところから母の夏の協力者へと心変わりする展開。遥人(上杉柊平)が何故か密子に乗り気ではないお見合いでフラれるコーディネートをしてほしいと依頼してきて密子が遥人(上杉柊平)に着く事になり夏を裏切る!?という流れもあったがこちらは大して盛り上がらず、最初から彩が味方になるように仕向けていたのと遥人から見返りのデータを入手したかっただけという…。しかもコーディネートは結局遥人の人間性の悪さからそのままで行けば自動的にフラれるというドスレートに酷い内容だったが、従った遥人は自動的に断られ、激怒するどころか約束は果たしたとしてデータをちゃんとくれる始末。性格は悪いけど素直な人(アホ)だったのか…。
会長の五十鈴(小柳ルミ子)は明らかに遥人・彩・そして2人の母(五十鈴の娘で死んだ社長の夫)である美樹(渡辺真起子)と比べると事態を静観しているどころか夏の活躍を面白がってさえいるような節があったが、ラストでは密子と面会。夏には小説の登場人物として説明した人が助けられたというレモンのかき氷が好きな謎の男性が同じくレモンかき氷が好きな智かのような匂わせもありつつ次回へ続く。4話でもう正体発覚みたいなフリをしているけど『マル秘の密子さん』なのにマル秘を明かしてしまっていいのか。
4話
五十鈴(小柳ルミ子)が意味深に呼び出したので密子と繋がりがあったかに見せかけてたた探りを入れてきただけで五十鈴な~んも知らなかった…。
夏の夫で暴力&アル中&借金で家を出ているが正式に離婚していない丈晴(山中聡)が金をたかりに登場。案の定、玲香と美樹ら(密子の調査に御執心の遥人は無関係で五十鈴もノータッチ)がけしかけたものだった。会わないように警告する密子だったが、玲香と美樹が断酒していた丈晴に酒を飲ませてさらにけしかけた事で暴力化。社内で殴り掛かってくる大騒動を起こしたため、夏に味方しようとしていた役員の信用を失ってしまう。
さらにここに来て密子が幼少期に親の暴力から養護施設に逃げこんでいた過去が発覚。暴力がフラッシュバックした密子は硬直して使い物にならなくなってしまい、夏が異変を察知して咄嗟にかばって殴られてしまう。しかしこの状況は密子をかばって殴られた姉の姿とさらに一致してしまう。その後なんとか持ち直して酔いつぶれている丈晴を得意の注射アタックで監禁していつもの余裕ぶった態度で殺すと脅しをかける密子だったが、意外とキレ者の丈晴は子供の頃に智と彩に暴力を振るっていた時の2人の目と密子が同じ目をしていると指摘して、親からの暴力被害者だと見抜くと逆に殺しは出来ない、一生脅えて生きていく、永遠に苦しめてやると呪いの言葉を並べ立てて密子を動揺させる。密子は本気で殺しにかかるが夏が飛び込んできて止め、夏と密子が改めて信頼を確認し合う展開となり、密子は自身の過去を明かした。さらに姉=火事で死んだ秘書の小原鞠子(泉里香)と明かし、姉の死の真相を探るために近づいたと目的も明かしたが全てを受け入れた夏により、2人の信頼は完璧なものに。
一方で丈晴は布を被せられて殺されそうな体制のまま放置され、無抵抗のちそのまま夏に逃がされて出番終了。さすがに話の都合すぎやしないか…。当初は酒のせいで…とか夏が愛した人なのだから元はいい人みたいなフリもあったけど、あんだけ呪いの言葉ペラペラ並べ立てられる生粋の暴力クズ野郎なのを見せつけた直後に何故かおとなしくなって帰ってしまうって。
その頃、探偵に調べさせた遥人も養護施設を訪れて密子の過去と小原鞠子の姉であるほぼ同内容を把握していた。
という事で早くも目的と過去が判明し、余裕ぶって全て見透かすような姿勢でいたもののけっこう密子の行動は綱渡り&トラウマ発動するとフリーズして使い物にならなくなってしまう事が発覚。「秘密の」では無くなってしまった上、失った役員からの信頼を取り戻す具体的な策も無しのまま、小原鞠子の過酷な勤務実態を精査して過剰労働の証拠を云々…と九条家の闇を直接暴く方向に持っていくつもりのようだが大丈夫かコレ。
そして何故か改心した丈晴が電話をかけてきて爽やかにもう会わない、最後に情報を提供するとやたら協力的に。借金仲間(ナニソレ)の間で火をつけるバイトがあったがヤバすぎて断ったという例の火事が放火だった重要証言を提供し、さらに現場に遥人がいた事を密子に教えた直後に突き落とされて転落死してしまった。そんな外から丸見えの高いところでデカい声で極めて重要な情報ペラペラ喋るから…。突き落とす直前にどこかに駆け付ける遥人の姿が映し出されており、遥人が突き落としたり放火したりしたかのように見せていたが、遥人は直接実行するタイプではないだろ。
5話
密子が姉の小原鞠子(泉里香)の死の真相を探る目的を明かし、結託を深めた今井家御一行。丈晴は転落死した事になっていたが何故かあまり悲しまれず…。最早密子に先回りする戦術などなく、九条家の闇を暴くような週刊誌記事を出させるくらい…とどうにも密子の限界と程度が見えてしまい、これはちょっと残念。最早挑発してても強がっているだけにしか見えないし…。
また遥人は週刊誌記事だけでかなり動揺しており、秘書の坂東(黒羽麻璃央)に平手打ちされてしっかりしろと言われてしまう始末。さらに密子が言い放ったあなたのような人に社長は務まらないをかつて鞠子にも言われていて自身の人望の無さをかなり気にしている様子も描かれる一方で、坂東が暗躍していて夏を足止めして密子を呼び出して罠にかけようとしているなど、もう全て実行犯は坂東、リアル秘書がすべてやりました案件まっしぐら。何せ美樹(渡辺真起子)から坂東の仕掛けた罠だから放っておけと聞かされるなり役員接待すっぽかして鉄骨アタックの餌食になった密子を助けたのは付近まで来ていた智ではなく遥人。
この遥人の行動で千秋(桜井日奈子)が密子に嫉妬して、火事の日には一緒にいたと証言し始めたり、かつて姉を助けたというかき氷の人が智であるかもしれない事に密子が気づく…などラブ要素を組み込み始めて一気にチープな展開になってきてしまった…。
ずっと密子が調べてた鞠子のPCからも一向に新情報が出てこないで延々カシャカシャしているだけだったが、千秋が遥人の写真は隠しファイルに保存していると何気なく発言した事でようやく隠しファイルの可能性に気づいてPCの隠しファイル表示設定を変更したら隠しファイルが同一フォルダ内に発見される始末。今までそんな事にも気づかなかったの?何やってたの?PC詳しくないならとっとと専門業者に依頼しておけよ…という低レベルのザルスキルだった事が判明。しかもPASS付で結局開けられない始末。あまりにもガッカリ過ぎる…。
罠と知りつつ無策で出かけていって罠にはまるマヌケっぷり、途中で坂東の罠だと見破って坂東にも驚かれるほどキレッキレ覚醒している夏に罠だからすぐ逃げろと警告された際にも罠と知ってても少しでも手がかりがあるなら行くしかないと頭の悪い発言しかしないで聞かないし、鉄骨アタックで遥人に助けられて無傷なのに気絶してしばらくお姉ちゃんお姉ちゃん寝言言い続けて無防備(遥人が真の悪人ではなかったのでむしろ良心に訴えかける効果はあった)。主人公が完全に打つ手なし、余裕なし、スキル低し、頭悪しに成り下がってしまい、底が見えてしまったのは残念。目的が明らかになったところでもあくまでクールに“マル秘の”密子さんとしてもう少しキレのある行動言動でいてほしかったなぁ…。
6話
遥人を社長にしようと暗躍しているものの、あまり目立っていなかった美樹(渡辺真起子)の暗躍が本格化。というか坂東(黒羽麻璃央)辺りに不正を一手にやらせて裏で暗躍しているような感じだったのが、露骨に政治家への裏金を千秋の遥人への思いを利用して千秋(桜井日奈子)に運ばせるようになったかと思えば、協力しようとしない玲香(志田彩良)を従順にさせるために、玲香の不正をわざとリークして追い込んだところで母としての美樹からの愛情に飢えていた玲香の心情を見透かすように誕生日プレゼントを渡して懐柔させるなどキレッキレの人心掌握力で暗躍しまくり。
既に余裕がないのに余裕顔を崩さない密子の方はというと、姉の隠しファイルも未だ解除できない始末で、結局夏が密子の名前こそがPASSであると一瞬で見破って解除という顛末でいいところなし。分かりにくい裏金メモっぽいものが見つかったので、裏金の証拠を掴んで九条家を追い込もうと動き出す。
智(清水尋也)と彩(吉柳咲良)が玲香の不正の現場を写真付で“上から”のアングルで写真にも抑え(吹き抜けの建物で下の階が庶民が入れないような高級なバー、智と彩がいたのは高級バーを上からのぞけるという上の階のカジュアルな店という良く分からない構図の店。高級バーが庶民から見下ろされる配置にあるの…?)、酔いつぶれた玲香を夏も含めて3人で助けてあげて玲香の心を動かす事に成功。さらに写真をリークしやがって!とキレる玲香にクールに自分たち側につけば副社長の座を用意すると夏が交渉。別人のような立ち回りを見せる夏だったが、ここで美樹の誕生日プレゼントの呪縛が効いて玲香は拒否。
一方で密子は千秋の態度が分かりやすいので最初からロックオンして裏金の運び屋をしている事を突き止めて、通報すると脅しをかけるが、九条家に利用されている千秋に対して非情になりきれず、通報して不正を暴く事ができない。密子は指示をしているのは遥人だとにらんで遥人にばかり揺さぶりをかけ、遥人は遥人で火事の件にしても裏金の件に関しても強がりつつも動揺しまくっているのを隠しきれていない。密子の観察眼ならあれ?こいつマジでなーんも知らない無能おぼっちゃま君で裏で暗躍しているの美樹とか坂東じゃね?と気づきそうなものなのであえてやっているのだろうか。2話辺りで遥人の人脈の無さやコミュ力の無さも存分に目にしていたはずだし。
最後は密子に情けをかけられている事を知った千秋が人情パワーで密子に協力する道を選んで裏金の運び屋をやれないと拒絶。密子、夏ばかりか遥人や会長の五十鈴(小柳ルミ子)を引き連れて証拠を押さえにかかるが、美樹と坂東はこの行動すら読んでいて本当のお菓子にすり替えていて失敗。そのまま投票が始まり万事休すかと思いきや、玲香とその手の幹部たちが夏に投票し、遥人5票VS夏5票で決定はおあずけに。
夏、智、彩からの協力依頼を拒否して去ろうとした玲香の前に実は密子が現れていて、不正の現場の写真が“同じ高さ”から撮られていたもので智と彩が撮れる写真ではなかった事、誰が何を狙ってこんな事をしたのか分かるよね?と美樹の玲香懐柔の企みを暴いていて玲香を裏切らせることには成功していたという。主人公らしい上を行く暗躍で逆転…とは言いつつも相変わらず綱渡り。そして今度は九条謙一(神保悟志)の死に殺人の線が浮上して一緒にいた夏が重要参考人にされてしまい驚愕して次回へ続く。秘密でもなんでもない余裕顔で余裕のない綱渡りは続く…。
7話
夏が警察に呼ばれ、本日中に無罪の証拠を見つけないと候補から外す=遥人社長決定となってしまい、焦る一行。前回土壇場で裏切った玲香が居場所が無くなり暫定的に味方陣営についてくれたので色々やりやすくなったものの時間が無さすぎる。そんな中、会長である五十鈴の秘書であるクミ(玉田志織)が美樹に情報を流すスパイをやっている事を突き止めた一行は、クミに証言させて無罪を証明しようとする。”推し”を密かに遥人から密子へ変更した千秋もすっかり協力的でクミに率先して迫ってあっさり協力者に引き入れてしまった。しかし美樹の言う事を聞いていた理由が父親の会社が子会社で弱みを…みたいな理由なのに千秋と密子が凄んで迫っただけであっさりちゃんと証言します!って大丈夫なのか。案の定先回りした美樹に遭遇して腰を抜かすクミ。これで裏切りの裏切りムーブなのかと思いきや、クミはそのまま軟禁されてしまい失踪。実際に遥人を餌にして千秋を操ろうとして最終的に失敗しているのでヘタにクミを脅してもう1度嘘の証言させるよりも出てこないでいてもらった方が得策で合理的だ…。
玲香、彩、夏が遥人に迫るも遥人は何も答えず、2人きりになった夏はどうして社長になりたいのか、なって何をするのかのビジョンを問うと、社長になる事を母親から義務付けられるかのように言われていた遥人は自身の目的を見失い結局最後まで答える事が出来なかった。
謙一(神保悟志)の死の直前、夏の後に遥人が面会していたので遥人が犯人なのではないかと疑惑を持つ密子ら一行だったが、謙一がいつもボイスレコーダーを持ち歩いて自身の思いやアイデアを記録していた事を夏が証言したのでそのレコーダーどっかにあるんじゃね?と探す事に。今まで何故それを思いついてやらなかった…というのを手遅れ寸前でやり始めるパターン多。それを知った遥人は謙一の遺品がしまってある別荘に会議そっちのけで飛んでいってしまい、密子が密かに同乗。その間に残された面々は遥人が不在の中で美樹が1人決定白決定白言う中でみんなで抵抗して明朝まで期限を延ばす事を五十鈴に確約させる。
ていうかやってきた別荘が灰川邸なんですけど…。別に一部分だけ映してとりあえずデカい別荘と分かればいいのに明らかに分かるように、あっちのドラマで毎回何度も映し出されたあの灰川邸の全景をわざわざ見せてきたので、九条家の別荘が灰川邸でしたー!というギャグでやったのかもしれない。
殺した瞬間の証拠を消すためなのかとで迫る密子。先の夏の問いでアイデンティティにヒビが入っている遥人は動揺しまくり、ついに抱えていた社長になる義務・重圧へ本音が飛び出すが、追い込まれた遥人のこの様子から密子は冷静に分析して犯人ではないと確信。なんか盲目的に遥人犯人説に突き進んでいる感があったけど、ようやく主人公らしいキレの良さと人間観察力を見せてくれた。さらに玲香、彩、夏との会話が盗聴されているのを見抜いてわざと罠をかけて、真犯人が夏の前の職場のロッカーに置いてある引き取った衣類を探しにやってくるように仕向け、やってきた坂東(黒羽麻璃央)を確保。ハッタリと挑発で事実上の殺害自白を引き出したりとしっかりクールに決めた。これには味方一行だけでなく、遥人も協力してくれて現場に隠れており、坂東確保のアクション要員として活躍。坂東は自分が捕まったら黒いネタが出回るように仕込んでいると高笑いすると、密子にはあの火事の件は自分じゃないと告げて捕まっていった。
謙一に社長にしないと言われてショックだった遥人だったが、ボイスレコーダーに残っていた謙一の真意、遥人と玲香には社長になんかならずに自由に生きてほしいというメッセージを聞いて氷解。危機に陥る会社を救ってくれと密子に土下座してお願いし、密子は五十鈴に先回りして世間に全てを公表して謙一を悲劇のヒーロー、夏がその意思を継ぐ英雄の新社長とする事で九条家を一掃するしか道はないと迫り、五十鈴は記者会見で夏の社長就任を発表するのだった。
一応五十鈴も九条家の人どころか設定上は謙一が婿養子で美樹が実の娘のはずなんだけど娘と違って九条家絶対主義のこだわりがなく、いざとなれば自ら含めて九条家を切り捨てる判断できるなんて器の大きい人だったんだな…。これからどうして美樹のような強欲モンスターが生まれ育ったのか。美樹は遥人と玲香の前で「どうしてこんなことになっちゃったのよ!」とかキレ散らかして、玲香にたしなめられていたが、そもそも美樹と坂東が不倫していた事や美樹の黒い工作の数々が招いた結果じゃないか何言ってるんだ…。
こうして夏が社長となったが、密子の姉の死の真相、火事の原因は明らかにならず、密子はまだまだこれからという様子で張り切っているが、夏は火事の時に現場に駆け付けて謙一を救助した際に姉の姿も見たことを回想していて…。
遥人が自身の立場に迷いがあるのは随分前から示唆されていてとても殺人できるタマではない事、逆に坂東は何でもやらかしそうな気配があったので、謙一の死が殺人ならまあレギュラーの中なら坂東しかいない感じではあった。火事の方は引っ張るのと、もう社長になった事からも夏にまだ何かありそうだし、もうひと盛り上がりはあるのは確実として、ここのところギリギリの綱渡りで余裕顔をキープできている密子がどこまで主人公力を発揮できるか。
8話
夏が社長になり、会長の五十鈴は一家は豪邸に移住させる(豪邸過ぎて落ち着かないらしい)。遥人や玲香は今まで夏たちが拠点にしていた地下室行きになり、美樹は引きこもり。千秋は秘書のトップに出世し、会長の五十鈴は夏に全てを一任して軌道に乗ったら会長職も退くと協力的。経営陣も荻野目(石井正則)以外は一新された。火事の調査チームを立ち上げるように夏に要請した密子に夏は協力すると言うがどこか歯切れが悪く…。
密子は遥人を火事の犯人と疑い、さらに姉の日記が紛失した挙句にビリビリに破かれて発見されるなど不穏な動きも発生。全部遥人のせいなのか?と疑う夏以外の一行。遥人がハッキリ否定しないのも悪いが、こぞって疑いすぎだろ…。そしてここに来て夏がホイホイ出入りする部外者の密子に対して今後はホイホイ出入りしないように釘を刺し、さらにプロジェクトに遥人を加えるなど密子の意に反する行動を取り始める。密子は留置場の坂東に話を聞きに行くと議員が協力者じゃないかという”憶測”を聞かせ、誰が得をしたのかよく考えろと意味深なアドバイスをするが、全部遥人のせいなのか?とさらに疑いを深める密子と智と彩。さすがに密子も前回の遥人の様子から本当にそうなのか?とも考えつつあるようだが…。
密子が要求した火事の調査を保留し続ける夏に焦る密子はこれでは何のために社長にしたのか?とまで言い放ってしまい関係がギクシャクし始め、夏はプロジェクトを密子に手伝わせる事でさらに保留をキープ。
議員と遥人が繋がっているのを疑う流れで尾行した玲香と密子だったが、遥人は謎の輩どもに殴られていた。議員の指示で火事を起こそうとして輩どもが実行する予定だったがさすがにそれは出来ないとして遥人はそれを止め、現場に確認しにも行っていたので目撃情報はそれだろうという。輩どもに受けた怪我の傷を手当て中に遥人はようやく潔白である事を説明。議員との関係を断ち切って会社を辞めようとしていたが夏に能力を買われて残留した事も説明された。ようやく遥人疑い展開が終わったと思ったら夏が火災現場のようやく修復されたデータをとっとと夏が独断で捨ててしまうなど怪しい行動と坂東に言われた誰かが1番得をしたのか?という話から一気に密子の中で夏犯人陰謀論が膨れ上がり、夏と密子の決裂は決定的になってしまう。
対立させるための展開…といった感じで、坂東に操られるように夏犯人説で陰謀論のような糾弾を行う最早秘密も何もない終始冷静ではない感情制御不可能な密子、密子の糾弾を全無視して急にキレ者になり会社への密子出禁を宣言する夏…と2人ともかなり不自然な言動行動。なかなか本心を語らなかった遥人がここに来て急に全部喋ったのも遥人犯人疑い→夏犯人疑いへの転換のために引っ張った感じで不自然だったし、これだと納得のいく自然な真相は期待できないかもなぁ…。
9話
火災現場の映像データでは助けを求める姉と夏が謙一を助ける映像が映し出されていた。これを夏が助けを求める姉の無視して社長を助けて恩を売ったと解釈して夏を犯人呼ばわりした冷静ではない密子を見限った夏は出禁を宣言。キレた密子は遥人のいる地下室に潜伏すると遥人に映像データを見せて協力させる。密子は夏を社長から引きずり下ろすと宣言するとでっちあげ記事を用意させるが、夏は先を読んで阻止。
続けて密子は秘書室長となった千秋を味方にしようと協力を依頼。シリアスな場面で究極の選択を迫られたかに見えた千秋だったが一旦外に出ると「推しと推しがタッグを組んでいるぅぅぅ!!!」と夢の推し活展開に狂喜乱舞し、冷静な顔で戻るとしぶしぶ了承したフリを。振り切ったな…。
出禁なのにウロウロしていた密子はあっさり智に見つかり、突如バッチバチにやり合い始めた密子と母に争ってほしくないから事情を説明してくれと言われるが密子はダンマリ。彩と協力して夏を説得すると言った提案もお断りし、告白までしてくる智に協力してもらうつもりはないとなんか妙に冷たい。夏が姉を見殺しにしたとは息子の智には言えないという中途半端な優しさなのか、前提でもう目が曇っててなんも見えてないので無意味なんだけど、容赦ないわりに変なところで気を遣うのがむしろ余計こじらせている…。密子は遥人と共に五十鈴に協力を依頼。権限はもうないという五十鈴に元会長の権力で役員に夏の解任を求めるよう要求。会社を救ってあげた借りで脅しをかける密子だったが、夏は先を読んで五十鈴に忠告しており失敗。アナタガアネヲコロシタンデスカ!BOTと化した密子は夏に迫るが夏は無視、凶器を突きつけても無視で去っていってしまった。
冷静になれという遥人は姉のためだけに生きてきた密子は夏と共に進むうちに夏を好きになっていたからショックを受けているんだと諭す。孤独だった密子が人間的に…という意味でLIKEだとは思うが昨今の風潮からまたも同性LOVE案件のようにも見えるし(智の告白を告白とすら受け取ってないほど気にも留めてなかったし)、色々展開がおかしくなっているからよく分からん…。智はかつて密子を助けたのも姉に資材が倒された際に助けたのも自分じゃないと言って誰とは言わずに遥人を呼び出して示唆。そして不自然にかき氷を食べ始め、遥人の選んだのがレモン味だった事と、姉に怒られた事がある事とあなたが変われば世界は変わると姉にも同じことを言われた事を話し、密子はようやく遥人を見直して犯人扱いした事を謝罪。…遅ぇよ…。
遥人は憎しみの目ではなく、信じていた頃の目で見たらどうなるのか?と提案し、映像データを見返して姉の「助けて」は「自分ではなく動けない謙一を助けて」という意味では?とアドバイス。夏は何かがあって密子を守ろうとしたのではないかという考えに転換。慌てた2人は夏のオフィスに届いていたという謎の手紙を脅迫状の類と推定して探索。夏がオフィスに戻りかけた際に観念した千秋がかなり早めのフライング土下座して待機したりとすっかりギャグ要員に…。智による謎の書類チェックが時間稼ぎになり、この隙に隠してあった脅迫状(推定)をゲット。
脅迫状(推定)は盗まれてバラバラになり、1枚だけ戻らなかった姉の日記の1ページで裏には昭和の犯行予告ばりのアナログな切り抜いた文字の貼り付けで火事の真相に近づくなという警告、密子の写真、殺された夏の夫の写真にバツ印がつけて同封されていた。どこで監視されているか分からないから説明も出来なかったんだろう…と遥人の言い訳説明台詞が入ったが、それでもやはり夏の行動は無理がありすぎる。こっそりやり取りする手段などいくらでもあるし、実際この警備ザルすぎな社内は出禁でも誰も気にせず超出入り自由だし…。智による謎の書類チェック依頼の書類に何か異変を感じた夏は智の元へ行こうとエレベーターに乗るが、降りるとまだ1人あきらめていない美樹が立っていて夏を眠らせて拉致監禁。美樹から密子に宣戦布告で最終回に続く。ほら…警備ザルにも程がある…。
物凄く強引な引き延ばし回。これまでの積み重ねを思えば、全く不要かつありえない2人の無意味な敵対。夏が何も言わないのが不自然ではあるものの、密子がアナタガアネヲコロシタンデスカ!BOTと化して暴走主人公へと堕ちてしまったのが残念過ぎる。これもう真犯人が出てきても挽回不能だし、最後の最後で今回の対立全部嘘で真犯人をあぶり出すために夏と密子で周囲も騙して芝居してましたくらいじゃないとリカバリーできないような…。
10話
美樹が夏を眠らせて拉致監禁したが監視映像がシステムダウンして映像が残されていない、電話を受けたのが密子1人でその時一緒にいた遥人と千秋が直接美樹の犯行宣言を聞いたわけではない事、さらに前話で五十鈴を巻き込んで夏を社長から降ろそうと画策した密子の醜態もあって五十鈴は密子が夏を恨んでいたのではなくて?と密子の確保を指示。ほら言わんこっちゃない…。密子は責任を感じたものの探しに行こうとするのは遥人・玲香・智・彩・千秋が止め、密子は自宅で連絡を待つことに。
密子は何故五十鈴が警察に連絡をしないのか…と五十鈴を疑い始め、遥人も同意し、同時進行で五十鈴の事も調べ始める。しかし謙一が婿養子だとは明言されているんだから、五十鈴の実の娘が美樹っていう設定じゃないのか。娘をかばっているっていう発想は無いのか、五十鈴と美樹が親子な感じが全く無いんだよな…。五十鈴は荻野目(石井正則)を社長代行に任命。
無駄に智を怪しくした前回の謎書類だが重要になったのは書類の内容ではなく添えられたメモ書きの筆跡だった。「7」に横線を入れる筆跡から姉の残した裏帳簿の写真と筆跡が一致、そいつが裏帳簿に関わった人物だと判明。このタイミングで美樹からの1人で来いという指示が入り、密子は急いで向かう事に。しかし謎種類確認のために智と来た時は相変わらずのザル警備で入るシーンすらカットで地下室まで来れたのに、出ようとした時は警備がしっかりしていて出られない。たまたま通りがかった荻野目(石井正則)に助けられた密子は荻野目の車で現地へ向かおうとするが、この際に筆跡の件も説明したところ、観念した荻野目が突如「そのメモは僕です」と言うと同時に密子に麻酔アタック。
というわけで1話で密子に脅されて手なずけられて以降、最初の夏指示派として出番は少ないながらずっと本筋には絡まずにいた荻野目が一挙全ての真犯人だったと判明。既に遥人・玲香が容疑者から外れ、千秋も推し推し興奮しているだけのギャグ要員と化した今、前回の智の動きが少し不自然なくらいで若者サイドは全員容疑者から外れていたし、坂東は檻の中、誘拐実行犯の美樹以外だと五十鈴と秘書のクミ、そして荻野目くらいしかずっと出ているキャラクターがいなかったので消去法で確かにこいつしかいなかった。
遥人が坂東に面会して隠れ家を聞いたので遥人と智が向かうが、密子を確保した荻野目の指示で場所が移動されてしまい、結果密子と夏が揃って誘拐されてしまう。いつから繋がっていたんだ!と全く見当がついていなかったらしい密子だが、初回で荻野目を脅して言う事を聞かせていたあの頃の全て見透かしたような「秘密の密子さん」はもういない…。美樹によると夏が社長になるまで敵対していたのは事実だが、やはり社長は九条家じゃないとダメで夏は社長にふさわしくないと考えを変えて美樹と結託したらしい。あ…(察し)。ここで殺しても遥人が社長になれるわけではないと言っても「私が遥人を社長にする」と荻野目に同意を求める狂い気味思考停止状態な美樹。返事をせずに薄ら笑いで密子と夏に角材もって迫る荻野目。お、おう…(察し)。
と、分かりやすいフラグ全開で美樹を殴り飛ばした荻野目は誰に口をきいているんだ…とタメ口で本性を露わに。その頃、五十鈴を調べていた玲香・彩は五十鈴の秘密を突き止めており、隠れ家から戻ってきた遥人と玲香で五十鈴の元で向いて判明した事実を突きつける。遥人が隠れ家を行ったり来たりしているだけでもかなり時間が経過しているはずが時間軸どうなっているんだ。
2人の追求に五十鈴は荻野目が隠し子であった事を認めるがすっかり威厳の無いおばあちゃんになってしまい、あの子を止められなかった…と言い出して2人に移動した隠れ家の場所を教え、共謀者・黒幕の線は消え出番終了。一方で荻野目はサイコさんと化し、社長の金を九条の金は僕のものというジャイアン理論より酷い理屈で使い込んでいた事、バレたので密子の姉を火事で殺した事、目撃者の丈晴も殺したとあっさり自白。火を放って美樹が誘拐犯として2人を殺して自殺したという事で3人まとめて始末して自分が社長になると息巻くキレっぷりを披露。密子のアナタガアネヲコロシタンデスカ!BOTがついに的中。
美樹の共犯者の存在を考えナイフを携帯していた密子は最後に話をさせてくれと言い、夏とここ最近のすれ違いを謝罪し合い文句を言い合いながらこっそりと夏に縄を切らせ、途中からワケの分からない話をし始めて何を言っているんだと近づいてきた荻野目に向かって突如立ち上がってビックリ硬直させると同時に近くの荻野目より高い棚をぶっ倒して動けなくして大逆転。密子は荻野目を殺そうとするも1話で示されていたように育児放棄されていたとはいえ娘がいる事を知っていたので生きて償えと踏みとどまった。しかしそこにジャストタイミングで目覚めた美樹がまだ縛られたままの夏に特攻、飛び込んだ密子が背中~腰辺りを刺され、直後に警察が飛び込んできて荻野目と美樹は逮捕されていった。
夢の中で姉と出会った密子は看病する夏の前で目覚めて生還。結局九条開発は夏も退任して介護士に戻ってしまったので売り飛ばされる事になったが、遥人が飛び回った事で千秋・智・彩など九条家以外の残留と事業がそのまま引き継がれる事は決まっていた。玲香が獄中の美樹に九条開発が無くなった事を伝え、ようやく少しは親子らしくなったことを示唆して出番終了。獄中の荻野目やその後の五十鈴は描かれず出番なし。
退院した密子の元に出向いた遥人・智だったが密子は既に引き払っていて2人でレモン味のかき氷を食べ、王子様フラグを揃ってへし折られて終了。密子は夏と再会した後に、また助けを求める人のところに行くと宣言して「行ってきます」と告げると去っていき、その目的地は1話冒頭と同じ場所。「お父さん(=荻野目)がいなくなった」というしおん(中村雪乃)と再会した密子はしおんを連れて去っていき終了。
全部終わっての感想
1話冒頭と最後を繋げ、普通のドラマなら放置されそうな荻野目の娘を救済したのは鮮やかだった。荻野目犯人はそういう意味で最初から決定していたとは思うんだけど、他の人を怪しく見せるために引っ張りすぎてどこか不自然だった印象もある。アナタガアネヲコロシタンデスカ!BOTと化した密子の後半の余裕の無さや醜態は主人公としてはかなり残念で、最後に荻野目を出し抜いて倒したところくらいしか初期のキレはなかったが…それでもやられっぱなしで智や遥人に救出されて助かるENDにはならず、刺されたとはいえ自力で窮地を脱したところでギリギリ面目を保ったか。荻野目の娘しおんの救済に向かったところも幼少期の自分たちの不遇と重ねて行動は一貫していて良かったと思う。え?完全な女の子連れ去り事案?遥人・智がやれば幼女誘拐変態野郎扱いで即逮捕案件だけど密子・千秋・彩なら救済者なんだよ男女平等バンザ(自主規制)
ただ密子が火事から死去までの間の車椅子になっていた時期の謙一と接触していた写真が1枚残されていたのは謎のままスルーされてしまい特に言及されなかった。単に復讐真相究明の事前準備・諜報活動の一環で潜入していた時の写真だったのだろうか。
夏の社長退任介護士逆戻りはかなり謎。そこまで介護士にこだわっていたわけではなさそうだったし、残った面々で亡き社長や密子の姉の意志を継いでいくとしてその役割を姉の死に少なからず責任を感じている夏が社長として指揮していき、成長した遥人・玲香の兄妹と、智・彩・千秋ら残った面々が支えていくで十分だったような。プロジェクトが進むならそれでいいという事なんだろうけど、採算がとれるのかは分からない実現するなら夢のようなプロジェクトみたいな話だったし、新会社もいつ計画変更破棄するか分からない以上、プロジェクトが形になって継続の見込みが見えるまでは夏が社長として先頭に立つべきだったのでは…。
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