2024年夏クール、日本テレビ系「土ドラ9」枠。
原作無しのオリジナルドラマ。
2022年秋クールの日本テレビ「日曜ドラマ」枠『城塚翡翠』で”まことちゃん”と呼ばれていた真役だった小芝風花が、今作では相棒の真(大島優子)を”まことちゃん”と呼ぶ側に回っているというのは狙ってやっているのだろうか…。
オリンピックと24時間テレビに伴い8月に2回放送休止となった。
1話
身元不明の遺体を特定して関係者のもとへ帰す「警視庁身元不明人相談室」が舞台。冒頭で外人窃盗集団による中学校理科室への侵入を現行犯逮捕した捜査一課の手嶋(阿部亮平)は現場で盗まれかけて落ちていた人体骨格模型を怪しみ鑑定に回したところ本物の人骨と判明。しかも1年前の死者らしい事が発覚し、理科教師の西川(坂本真)に話を聞きに行く。通常の1話完結サスペンスだといかにも怪しい西川だったが証拠が見つからず…というパターンか、演じているのが坂本真なので利用されているパターンなどで展開しそうなところだが、手嶋らがそのまま突っ込んでいくと動揺しまくり、怪しいので奥の部屋を探ると標本マニアと判明。御丁寧に標本ノートがあり、そこに男性死体を標本化した記録が残されていたのであっさり逮捕となった。坂本真、サイコ野郎パターンだった。
西川は標本に出来そうな動物の死体を探して山中に出向いた際にちょうど男性が飛び降りるのを目撃。駆け付けると既に死んでいるのを確認し、人間を標本にしたい欲が抑えきれず標本化したと開始直後からやべぇ動機を激白。これだけでサイコ犯人のサスペンスとして完結しそうな濃さだったがこのドラマとしてはその後、死体は誰なのか?というところから主人公の桜(小芝風花)と真(大島優子)の所属する「警視庁身元不明人相談室」に話が持ちかけられて身元捜しが始まるという流れに。
といってもけっこうあっさりバスケ選手の富田純也(浅利陽介)と判明。しかし妻(仁村紗和)が失踪している夫の死を受け入れたくなくて夫ではないと言い張るという心情配慮案件となり、何故死んだのかを探る方向になっていき、死の真相探しで主に奮闘する話に。桜と真は事前情報では“性格も趣味もまるで正反対で顔を合わせれば言い合いばかり”と犬猿であるかのように書かれていたが、実際には軽妙な軽口をたたき合えるくらいの信頼関係があり、目的は同じなので普通に協力しているし、やり切れない時は一緒にボクシングに興じるくらいにはウマが合いまくり。2人は10歳差だが、同期なので桜は余裕のタメ口というのもあって、あまり10歳差を感じないコンビだった。
富田純也は努力の末に日本代表になったプレイヤーだったが、階段から足を滑らせた妻をかばった際に腕を骨折してから元に戻れずに苦悩していた事から自殺と思われていて、妻も責任を感じていたため認めたくない心情だった。最終的に上司の利根川(吉田鋼太郎)、堀口(戸次重幸)、武藤(半海一晃)も協力し、1年眠っていたスマホを発見…するも解析不可だったがクラウドに上がったラスト写真がサーバーに残っていた。この事から桜の推理では、当日の純也の行動が自殺を決意した人の一直線な行動ではない事や、純也が復帰困難である事から書かれた雑誌の別の記事に妻との絆のパワースポットの記事があり、ここを訪れて写真を撮っただけでこの際に事故死したのではないかというものだった。これにより妻は遺骨を純也と認めて引き取るのだった。
回想にて桜は自殺を試みて歩道橋から飛び降りる過去映像と誰か亡くしている事、真には失踪したままの大切な人がいるらしいワケありの過去がほのめかされ、軽妙なやり取りの中にどこか暗い影もあるような作風になっていた。今までにないちょっと変わった設定だったが、設定が設定だけにこれくらい通常のやり取りを明るめにしないとけっこうしんどい話になりそう。
しかし30代半ばを過ぎた浅利陽介が日本代表のバスケ選手設定にするには10年近くは遅い感じはあった。『コード・ブルー』のメインメンバーの1人として山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未と同世代として知られている役者だし、一般的にももうアラサーくらいのイメージよりは上に上がっているだろう。オリンピックの実際のバスケ代表選手は基本は20代でベテランに30過ぎが数人いるみたいだけど30代半ば過ぎはいない。大ベテランになるような年齢での骨折から回復しきれず…となるとちょっと意味合いが変わってくるな…。
2話
綾部雪雄(片岡鶴太郎)がアパートの一室で死んでいるのは発見される。名前も判明していたが調べると偽名のようで天涯孤独で4000万円も現金を自宅に持っていたのに貧乏生活をしていたこと、直近で強盗事件が発生していて犯人として捕まった男と接触していた事から強盗犯の一味なのかという疑いも浮上しつつ、正体に迫っていくという展開に。
息子の写真が見つかった事から、少ない情報から息子秋信(萩原聖人)の現在地を突き止め、綾部雪雄が坂下雪雄だったと判明。事業に失敗して借金を作って1人逃亡、残された秋信と母はなんとかいい人に巡り合えてやってこれたという。現在は秋信の息子が難病で募金を募っていた。この段階ではまだ雪雄の強盗関与疑惑が払しょくできておらず、正直に話すべきだという真が疑いがあると告げてしまったので汚いかもしれない金は受け取れない!と秋信の逃げた父への恨みを爆発させてしまい失敗。まだ詳細を掴めていないのに4000万円を受け取らないかと提案する桜もどっちもどっちで、そりゃ怒るよなぁ…。
その後、どうやら恒例らしい2人のボクシングアタックシーンを挟んで真相が判明。強盗の自供から強盗した金は既に暗号資産に変えて海外送金されており現金では残っていない事が発覚し、雪雄無関係が発覚。さらに雪雄と仲が良かったホームレスのおじいちゃん(坂本あきら)を発見し、彼から概ねの雪雄の人生を聞く事が出来たのでほぼ全真相が発覚した。借金を返すために必死に働いて1000万貯めた中年期(秋信が高校生)の頃に金を持って家に戻ろうとしたが既に新しい家族がいたのを見て断念。しかしその後もいつか役に立つとギリギリの生活と日雇いの超貯金生活を40年続け、ニュースで秋信の息子が難病で募金を募っているのを見て今こそ役立つ時だ!と喜んでいたらしい。身分を偽って生活していたので銀行口座を持たず全て自宅貯金で金を貯めていた雪雄は送金できなかったので、10数年前の福島での短期仕事の際に同僚だった松平(鈴之助)に久々に連絡を取って現金を直接運んでもらうよう依頼していたが当日倒れて死んでしまったという。最後は父の思いを知って秋信が複雑な心境ながら金よりも一緒にいてほしかったと涙しながら遺骨を引き取り、4000万は手術費用だけ使用して後は寄付するとして感動的にまとまった。
最後は感動的だったが、結末まで引っ張ったり、汚い金だったのかギリギリまでミスリードするためだけに謎強盗エピソードを絡めてきたせいで、なんでそんな10数年前に少し一緒に仕事してただけの奴の連絡先知ってて4000万託そうとしたんだ…っていう。結果的にそいつドンピシャで強盗犯しかも既に足がついていて逮捕秒読み段階だったわけで、倒れずに渡せていても高飛び費用にされていたかもしれない事に…。
雪雄発見者の大家さんがクリリンルフィの中の人(田中真弓)、雪雄をよく見かけていたという目撃者でホームレスのおじいちゃん発見のきっかけになったおばちゃんがドラえもんの中の人(水田わさび)と、大物有名キャラ声優があまり出ないドラマのゲストに1回で揃って出てくるっていうのは一体どんな…。
3話
3年前に失踪した婚約者を探して相談室に定期的に訪れていた佐伯(葵揚)。その探していた婚約者美江(東野絢香)が海に身を投げた自殺として発見された。葬儀に現れた梨々香(山本美月)を見た佐伯は何かに気づき、後日梨々香を襲撃して逮捕され、実は美江を殺したと謎の供述を開始。インフルエンサーRILIKAとして動画配信で活動している梨々香と美江は中学の同級生だった事が判明するが、美江の両親が水死した事故は梨々香が海に落ちて助けようとした美江がおぼれたというのが発端となっており、以後2人は気まずくなってほとんど会話もしなくなっていたというが、佐伯の元から失踪したここ数年の美江はRILIKAの活動のスタッフとして働いていたという。
ややこしい状況から真は2人の入れ替わりを推測。美江が自殺するまでの半年間はRILIKAも活動を休止しており整形して準備するには十分だった。しかしDNA鑑定アタックを仕掛けるのも美江の結婚相手だという峯岸(長田成哉)が提出した美江の毛髪と梨々香の毛髪は一致しなかった。美江がRILIKAを恨んで殺して入れ替わったという定番パターンの可能性を排し、ここで峯岸も協力者なのではないかと推測した真と桜、さらに休止前のRILIKAの動画での声枯れやのどの不調から喉頭がんになっていたのではないかと疑いが生じてついに真相へ。
両親の件で気まずくはあったがインフルエンサーRILIKAに憧れて関係修復を密かに望んでいた美江(東野絢香)の元に梨々香(山本美月)の恋人の峯岸がやってきて梨々香も気にして再会を願っていると言ってきた。再開した2人は過去のわだかまりを越えて意気投合し、梨々香は美江をスタッフにスカウト。幸せな日々を送っていたが、梨々香(山本美月)の喉頭がんが発覚。死期を悟った梨々香(山本美月)は美江(東野絢香)にこれからRILIKAとして生きてくれと頼み、美江(東野絢香)は梨々香(山本美月)の顔へ整形、RILIKAの振る舞いを徹底的に教え込まれた。こうして美江(整形・山本美月)がRILIKAとして復帰するまでを見届けた余命間近の梨々香(本物・山本美月)は美江(整形・山本美月)の制止も振り切って自殺してしまったという…。山本美月(本物)が山本美月(整形)に山本美月(本物)の振る舞いを練習させる回想や、自殺しようとする山本美月(本物)と止めようとする山本美月(整形)の真相シーンという山本美月だらけの珍映像が展開しまくった。
冒頭で発見された際に傷のついた頬など顔はハッキリ映さない描写で美江(東野絢香)の免許証の写真だけを視聴者に示し、佐伯が遺体と面会しようとする際に桜が「海での死体は損傷が激しく…」と顔見ても酷い有様で判別できないよ?みたいなニュアンスを含ませた台詞を言わせていたのは落ちていた美江(東野絢香)の免許証で美江(東野絢香)と判断してしまうくらい顔が分からなくなっていた…という事?ていうかそうじゃないとこの話、遺体発見の次点で美江(東野絢香)ではない別人→あのインフルエンサーのRILIKAって同じ顔じゃね?ってなってしまうし…。ていうか梨々香もなんでまたうっかり損傷少なく漂着したら秒で整形工作がバレるような死に方したんだ…。確実なのは2人が揃って互いの顔に整形しておくっていうパターンだけど、そこまで行くと闇医者に頼まないとさすがに怪しまれるし、余命間近な状態でそんな大整形に耐えられそうにないしなぁ…(美江によるインフルエンサーRILIKAの顔そっくりにしてくれ!だけなら闇医者じゃなくてもなんとか通せそう)。
事前に梨々香(山本美月)の恋人である峯岸と美江(東野絢香)の結婚の既成事実を作っておいたのも良く分からんが、梨々香(山本美月)が美江として顔が分からない状態になるほどの自殺をする覚悟が既に決まっていて死体発見時に美江(東野絢香)と確認するための役割って事なんだろうか。
佐伯は不起訴、美江(整形・山本美月)も殺したわけではないので執行猶予(公式サイトによれば詐欺罪と公文書偽造の罪)となった事が明かされ、夫婦となった2人はRILIKAの遺志を継いでRILIKAの名前も含めた3人名義の動画チャンネルを経営して暮らしている様子が描かれて終了。美江は元の東野絢香の顔に再整形する事はなく、戸籍上は美江に戻して梨々香の顔のまま暮らす模様。
いやこれこの世界の視聴者混乱しないの?インフルエンサーだったRILIKAの顔は知れているので、山本美月の顔ならイコールRILIKAで浸透しているのに急にRILIKAが路線変更して夫婦旅チャンネルになった上に、チャンネル名の真ん中に追加されたYOSHIEって誰だよ?っていう…。RILIKAは死んでRILIKAの顔をしたYOSHIEだと明かした上で、RILIKAの名前をチャンネル名に残したうえでYOSHIEとして活動しているとかややこしいので、親友のYOSHIEが死んだのと結婚を機に路線変更してYOSHIEが好きだったマンホール絵集めを夫婦で行う内容に変更するとかそれっぽい理由に改変して芸名RILIKAのまま活動しているのか。
入れ替わりの衝撃展開として面白い内容ではあったけど、その衝撃のために重ねた設定がギシギシ音を立てていてちょっとギリギリ感もあった。とりあえず超脚本で2役を演じた山本美月お疲れ!
4話
大学生がバイク事故で死亡。身元不明だったが両親が出していた行方不明者リストと照合した結果大学生の葉山聡(濱田龍臣)と判明。色々怪しいものが出てきて強盗グループの一員だったらしい事が明らかとなり…という展開に。また聡は1年ほど前から行方不明だったが、10日ほど前に両親のもとにお守りが送られてきており、それを見た真は驚愕。東日本大震災で福島にいて行方不明になった慎一(福田悠太)が持っていたお守りと同じものだった。葉山家が福島出身だった事から、当時接点があったのではないか、事件とも関係があるのではないかという事で慎一の正式な行方不明者届を提出する事で捜査を継続する面々。
最終的に聡が強盗グループの下っ端だった事は確定。元々は同郷の幼馴染で大学でも同級生だった横田(荒木飛羽)がお守りに隠された強盗グループデータ奪還のために暗躍して逮捕。横田が簡単なバイトとして友人の聡を誘ったところ、段々バイトが強盗化していき抜け出せなくなってしまったという。それでも活路を見出そうと構成員のデータを盗んでメモリをお守りに隠し、告発のために動いていた聡、ただ従うだけの横田だったが逃走の際に聡が囮になってバイクで逃げて事故死してしまったという。
そこまでしてもらったのに1人助かって逃げ切ろうとした横田。メモリに構成員として自分の名前があるからと盗もうとするなどゲスが過ぎる…。しかも聡は自分の名前はそのまま残していたのにデータから横田の名前だけ消す友情を見せていただけに余計に酷い。
とはいえ聡も何とも言えない謎行動の果てに堕ちた感も否めず、できもしないホスト業に手を出したり、横田の紹介する怪しい闇バイト話に乗ったのも金目当てで何故そんなに必要かというと、どうやら震災復興支援の活動をしようとしていて資金作りのためだったっぽい事が示唆された。支援のために身を滅ぼしてしまうっておま…。
事件解決まで結局慎一の事は分からなかったが、聡のPCの中には震災津波発生時の現場の動画が残されていた。そこには逃げ遅れた人たちを必死に救おうとしている慎一が映し出されており、描写からして再度動けない人を助けに津波が迫る目前の場所まで降りて行って背負って逃げている最中に逃げ遅れたっぽい(そこまで映さずに真が目を伏せる様子に切り替わってしまった)。そしてこの動画とは関係なく、もっとそれより前の津波が来る前に当時子供だった聡が港で座り込んでいるところに慎一が励ましに来てお守りを託されていた事が横田の証言で判明したという。
慎一は出版社時代の同僚で真面目な性格だったが、書いた記事が原因で自殺未遂騒動になってしまい故郷福島に帰って無気力になってしまっていたが、震災時には人々を救おうと奮闘していた事が分かり、真がようやく気持ちに整理をつけて終了。
実は当時繋がりがあったという超展開で間接的に真の過去話を整理。相変わらず強引なところはあったし、聡と横田の行動には不可解な点も多かったが…。
それより酷かったのは実際の津波回想映像に突入した瞬間に《ニュース速報》という超ドンピシャタイミング。何かと思えば卓球の人が銅メダルという速報だったが、そんな津波映像になった瞬間に都合よく《ニュース速報》表示になる?
5話
防犯映像が残るような人通りの多い商店街でふいにくも膜下出血を起こして死亡した身元不明おばさんは高倉桐子(阿南敦子)とすぐに素性が判明。Facebookから医学部を卒業した娘がいるらしい事が判明したが自宅に人の気配はなかった。しかし受験勉強の参考書が庭先に捨てられている違和感から桜と真が家に飛び込むと娘の紀子(久間田琳加)は自殺を図っていた。助かったものの実は8浪している事が判明。口論になり突き飛ばして頭から流血するほどの傷を負わせた事から自分が殺したと証言する紀子だったが、2度も検証した結果、頭の傷とは関係が無いと判明した。
医大を受験したいといった紀子に対して教育ママと化して8浪するまで受験させ続けた事で親娘関係は悪化、夫(阪田マサノブ)は二浪した辺りで妻の過激化っぷりと家庭内の空気の悪さに耐え切れずに離婚していて今も関わりたくないと紀子との接触も拒否。いわゆる毒親問題的な話になりそうなところだったが、今回のエピソードは桜が自身の親娘関係を重ねて過去エピソードを描くためのきっかけとなっていたためいつもより短めにあっさり終結。毒親でしたオチでは桜が自身の母と向き合えないため、実は桐子も娘を大切に思っていて流血沙汰の負傷をしながらも娘の好物のオムライスを作るために切れた砂糖の買い出しに出かけていた事と激痛の中でこれが原因だと思われないように頭の傷を隠すようにして死んだ事なのが明かされた。紀子も紀子で直近の3回ほどはとっくに合格A判定の域に到達していたが母への復讐のために途中退席してわざと落ちていた事も判明。しかし最初からボイコットではなくそんな遠回しな事をしていたのはなんだかんだ迷いがあったからではないかとされ、ドラマ的にはなんともあやふやな決着になってしまった。ここ数年は娘側が反逆していたのかもしれないが、4浪する辺りまでは夫が逃げ出して娘もろとも2度と関わりたくない過去を消したいと思うほど異様な家庭状況、Facebookに娘が医者になったとホラを吹くほどの見栄っ張りである事実は覆っていないし、オムライスの件や傷隠して死んだ件もそういった歪んだ愛情の成れの果てとして解釈できるもので不自然どころか普通にやるだろう行動だ。とても美談になるエピソードではないような…。
桜の過去は室長の利根川(吉田鋼太郎)だけが知っており、今回の件でいつもと様子が違う桜を不審に思った一行が尋ねるとペラペラ勝手に喋ってくれた。母(鈴木杏樹)が再婚して妹が生まれたが、両親ともに妹にばかり愛情を向けるようになり、次第に溝が生まれていき、母も父の顔色を伺うようになって味方でいてくれなくなり孤立を深めた桜は妹を衝動的に殺そうとして我に返り自己嫌悪から自殺を図ろうとしたという。この際に利根川が担当したという事で知り合ったらしいが…。
母はしつこく一緒にまた暮らそうと電話してきたり押しかけてきたりしており、電話に出ず来ても追い払っていた桜だったが今回の一件で向き合う決意をして母を招き入れる。しかし嫌な人ではないんだけど全く理解しようとせずに、妹が一緒に暮らしたがっているまでは良かったが、妹が桜と同居したいと言っていて妹が出ていくと父が寂しがるからと言い放ち、結局は継父の御機嫌取りだと判明。桜は妹を殺そうとしてしまい自殺未遂をした事を話すが母は知らなかったらしく、いい加減にしろだの困らせて何が面白いんだのとズレたブチ切れをかましてきて全く寄り添おうとしてくれないので桜も心折れ冗談だった事にしつつも決別。状況を察してスタンバってくれていた真が優しく抱きしめてくれてひとまず終了。
なんと自殺未遂騒動は家族には伝わっていなかった事が判明し、さらに桜がいつもお墓参りしている名無しの誰かの墓の中の人についても回想されずにエピソードが終わってしまったが最後に回想が入ってようやく明かされた。自殺しようとした桜を間一髪飛び込んで助けに来たおじさん(尾美としのり)は自身も死のうと思ってここに来たが先に飛び降りようとする桜を見て咄嗟に助けに来てしまい、これにより自身も死ぬ気が無くなり、娘に会いたいし帰るかと宣言するとにこやかに立ち去っていった。しかし直後にぶっ倒れてしまい死亡。中年のおじさんやおばさんが歩いててパタッと倒れて急死する案件が1話の中で2例も描かれるって…。そのまま身元不明らしい。
つまり親が知らなかったのは、桜の自殺未遂が事件になったのではなく、おじさんが急死した案件の第一発見者として桜の証言を聞いただけだったから。この際に桜が自分が死のうとしたのを助けてくれたおじさんという説明だけでなく、家庭環境から自殺しようとした理由までペラペラ担当の利根川に喋ったから利根川は桜の事を良く知っているという事になる。おじさんが倒れた際の状況を聞くだけの場で桜も自分の事をペラペラ喋りすぎな気もしなくもないが、まあ孤独を深めていたので誰かに聞いてもらいたかったんだろう。利根川はその後の桜の進路まで面倒を見て部下として迎えているのだから思った以上におせっかいないい人ではあったようだ。
6話
“トー横キッズ”の女性が自殺。”トー横キッズ”界隈での聞き込みは価値観の相違から難航したが、科捜研の早瀬(高島礼子)が何らかの”罪滅ぼし”として時々”トー横キッズ”がたむろする店で人生相談を受けていた人脈から女性が”キィちゃん”と呼ばれている事と、終始マスク姿のハルピ(莉子)と仲が良かった事が判明。しかし信用してもらえず、桜が地雷系メイクで歩み寄ろうとするも失敗し、結局は熱意が通じてキィちゃんの持ち物をハルピが提供してくれたことで地元が掴めた。地元へはハルピも強引に同行して、最終的にハルピが聞き込みで知っている人を見つけて身元を特定できた。
しかし父(和田聰宏)はクズ感漂う継父で、実の母(遊井亮子)は娘の死を悲しむも、継父は遺骨引き取りを拒否。しかし所持金15万円の文字を見て15万目当てで引き取ると態度を一変させたので桜もハルピも憤りを隠せない。宿が無かったのでそのままキャンプ場に泊る事にした2人はさらに親睦を深め、ハルピはキィちゃんが死んだのは推しの漫画キャラ(割とジジイ系のキャラ)が作中で死んだのがきっかけだと語る。…マジか…。なお推しがいるか聞かれた桜が思い浮かべたのは何故か真だった。さらにエンディングではハルピの推しが桜になっており一緒に撮った写真を缶バッジ化してカバンに飾るほどで一緒に食事に行こうと誘うとそんな恐れ多いとおののくほど心酔していた。推し推し推し推しと押しすぎて脚本おかしなことになってないか。
翌日15万円だけ渡してこっちで供養したいと申し出た2人だったが金を受け取った継父はあっさり快諾。かわいそうな女だと憐れむ姿にハルピがマスクを解放してブチ切れてかわいそうじゃない!と継父のDVを暴露。直接聞いたのではなくキィちゃんがアザだらけだった事からハルピが察したっぽかったが、家を出てからハルピと出会うまでの間に別の誰かにDVされていた可能性もあったのでは…。ていうかこのキィちゃんとハルピ、いつ頃から”トー横キッズ”なんだ…?キィちゃんの本名が発覚した時点で出身高校の卒業写真が出てきて当時の担任から卒業後にメイクの勉強のために上京したと語られていた事から、現在キィちゃん18~19以上という事になり、18~19の場合は上京して5ヶ月くらいしか経っていない事になり、1年以上経っているなら今度は10代ではない(19~20以上)事になってしまう。ハルピは高校を辞めたとだけ語っていたがけっこう前の事のように語っているのでやはり10代ギリギリか20代に突入してそうな…(演じていた2人は21~22歳)。”キッズ”だからか10代半ばくらいの少女っぽく描いていたが2人ともまさか成人?キッズではないような…。
何にせよ継父は明らかに動揺して「躾だ!」とかすぐ白状したのでDVマジだった事が判明。母も知らなかったらしく驚愕。継父はキレて掴みかかろうとしてきたが前夜のキャンプの際に桜とボクシングごっこで遊んでいたハルピは鋭い一撃で鼻に軽く当てて継父に尻もちダウンさせ、継父は小物だったと判明。さらに桜の丁寧なお願いにより、母は何もしなかった自分よりも桜とハルピに供養を任せる事を決断して金も返して決着した。
何だかゴチャゴチャしていて”トー横キッズ”なのにキッズじゃなくね?だったり、推しキャラが作中で死んだので後追い自殺する飛びっぷり(メイクの夢<<<<<<<推しキャラの後追い自殺)といい、ちょっと良く分からなかった。2020年以降学校で終始顔パンを強要されたため顔パンを外せなくなった典型例のような設定のハルピが食事でまさかの“尾身食い”を披露したのも風刺利かせているのか、単に素顔が恥ずかしい以上の事は考えずに”尾身食い”ではない”マスク越し食事テク”として描写しただけなのか、どっちだったんだろう。
7話
犬の散歩中に亡くなった身元不明女性(大後寿々花)の謎を探っていく話。死因は急性大動脈解離だったが、付近で強盗が目撃されており、強盗がスマホやサイフ等を盗んでいたために身元が分からなくなった…というややこしいところから始まるも強盗は初期設定を身元不明としてややこしくする舞台装置でしかなかった。名前だけは判明したこのチアキという女性は婚活アプリで4名の男性とそれぞれ趣味もキャラも全く異なる設定で意気投合するもいずれも会ったのは1回きり(4人目はLINEのみで会わず)という謎行動をしていたので結婚詐欺師なのかと身元不明人相談室一行は考えるが…。
桜がたどり着いた犬を1度預けていたと思われるペットサロンのトリマー真由美(宮本茉由)は明らかに動揺していてチアキを知っているようなそぶりだったが当初知らないとすっとぼけ、しかし自身の感情を抑えきれないかのようにヘタな演技で顧客情報を調べると言い出して、川崎千明という本名情報だけでなく実家が箱根で旅館というところまで教えてくれた。しかし両親は遺骨受け取りを拒否。さらに千秋と会っていた5人目の男(入江甚儀)も判明したが異様に冷たく知らないと突き放されてしまった。
何がどうなっているのか分からない中、桜は犬が真由美に慣れていた事や、用意されていた指輪のサイズが妙に小さかった事から千明と真由美が恋人同士だったのではないかと推測。しかし男性と会っていた件などの謎も多く、この手の話は世間に隠したがっている人も多いのに勝手に色々暴くのはどうなのかという事になり、結局真由美に直接聞く事に。
千明と真由美は付き合っており、真由美の両親は理解があったが、千明の両親は理解がなく、頭では分かるが心がついていけないと言い放った父(金田明夫)が挨拶に来た2人を追い返してしまい、その後普通に男性と結婚して跡取りを生んでくれと要求してきたという。両親を再度説得して絶縁すると宣言する千秋だったが、優しい人なのでそこまで出来ないと考えた真由美は千秋が昔は男性と付き合った事もあるなら両親の意向に沿った方がいいのではと言い出し、結局2人は喧嘩別れしてしまったという。真由美は街中で男(入江甚儀)と楽しそうな姿も目撃していたのでこれでよかったと思っていたらしいが…。
堀口と武藤が千秋と男(入江甚儀)の写真で男の靴ひものシンボルのレインボーカラーから男が同性愛者である事を見抜き、丁寧に話を聞きに行ったところ、別に自分は隠していないがこの前はいきなり死んだと聞かされて動揺したとかなんとかどう考えても物語の都合で今度はちゃんと事情を説明してくれた。千明は人工授精の相談を持ち掛けていたらしい。精子提供による人工授精で子供を作り、後継ぎという両親の希望を叶えつつも真由美との関係を認めさせるべく1人模索し、真由美とのペアリングも用意していたらしい。
真由美は桜と共に両親の元に出向き、「古い価値観だと文句を言いに来たのか」と対話を拒否する父に千明を生んでくれてありがとうと告げ、帰りたかった場所はここだと訴えかける事で両親に遺骨を引き取らせる事が出来た。犬やペアリングは真由美が引き取り、満足げな千秋の亡霊が出てきて終了。
なんかいい話風だったけど…。まずまた同性LOVE案件。マジで1話ごとのゲスト系ドラマでの同性LOVE案件を最低1回ねじ込むという裏ルールが可決されているのではないだろうか。人工授精まで踏み込んだ割には謎を振りまくためにばらまいた設定がメチャクチャすぎて意味不明な事に…。真由美が千秋と別れたと言っていた以上、別れた後に千明は真由美に何も言わずに人工授精の可能性を1人で模索して勝手に復縁しようとしていたっぽい。そ ん な 重 大 な 案 件 は 話 し 合 っ て か ら 2 人 で 道 を 探 せ 。
何より4人の男性と婚活アプリで知り合って別キャラ演技をしていた奇行の謎は最後まで判明せず。人工授精に同意してくれる相手を探していたっぽい流れだが、実際には相手男性の好みをプロフィールやSNSの過去投稿から正確に把握し、付け焼刃以上の知識を習得してその趣味に合った女性になりきるという高度な騙し演技テクを都度披露しており、手間がハンパない。そもそも人工授精に同意してくれる相手を探すためならば一 般 の マ ッ チ ン グ ア プ リ で 何 や っ て る ん だ 。
同性愛者の男(入江甚儀)と知り合った経緯も良く分からないし、深刻な相談していたという割には何故か恋人同士のような写真が残されていたり、深刻な相談の割には真由美が見かけて即座にその様子から彼氏だと疑いなく確信するくらいにはデ ー ト 感 醸 し 出 し て 談 笑 し て い た の は な ん な ん だ 。
この辺りの千秋の死の間際の単独行動の流れは完全に奇行の域に達していて最後まで理由が不明のままだった。焦りすぎておかしくなっていたのだろうか。4人目は会わずにLINEだけで終わったと言っていたので3人やって4人目に取り掛かったところでやり方を根本から間違えていた事に気づき、とりあえず同士を探そうとして同性愛者の男(入江甚儀)にたどり着いた…のだろうか。それよりは真由美と別れてから4人目に取り掛かるまでは両親の意向に沿って男性と結婚するつもりで無理やり行動していたが、やはり自分は騙せないとなって方針転換して、秘策・人工授精計画を思いつき、同志の男性を探して相談してペアリングを購入して復縁しようとしていたのか…。結局死んでしまった人の真意は推測でしか分からないという高度なメッセージなのかもしれない。
大後寿々花は中学生の頃はすさまじいオーラがあって2007年『セクシーボイスアンドロボ』、映画『遠くの空に消えた』、2008年『シバトラ』辺りまでは評価も高かった記憶があるが(主要キャラの「幼年期」や小学生までではなく、もう少し成長した中学生まで評価上がりっぱなしだった)、2014年の『明日、ママがいない』の頃にはもう脇役になってきていてほとんど見かけなくなってしまったのでかなり久々に見た。引退してしまう者も多いだけに今も残っているだけでも凄いのかもしれないが子役時代ピークの諸行無常はやはり感じた。
8話
一課の手嶋(阿部亮平)が2人組に拳銃を奪われ、そのうちの1人が死体で発見される事件が発生。暴力団案件として染野組の組長(泉谷しげる)を尋ねるも知らないと言われてしまうが明らかに知っているぽい。2人組がよくキャッチボールをしていて野茂投手を神と発言していた目撃情報を聞かされた謹慎中の手嶋はもう1人の犯人を高校時代の野球部仲間だった梶原(落合モトキ)と確信。
桜が熱弁した事で組長は組の解散を決めて2人が組員だったと認め、手嶋は梶原と直接会って話し合おうとし、念のために真も話を聞くために潜伏していた。なんでも組の資金繰りが厳しいのを知った若手の梶原と弟分のキャッチボール仲間でもあった池田(三浦獠太)は警官から銃を奪って現金輸送車を襲うザル・バカ計画を立案。手始めに拳銃を奪う事に成功するが、現金輸送車に警備が多い事から慎重になった梶原は直前で中止を決定。しかし池田は何言ってるんだやろうと主張して揉み合いの末に撃って殺してしまったという。襲撃した刑事が知り合いの手嶋だったのは偶然で、梶原は驚いて警官襲撃用の鉄パイプを木材に切り替えて手」加減しようとしていた事や現金輸送車襲撃中止を決めたのも手嶋から奪った拳銃を使うのをためらったから…と野球部時代に満身創痍だった梶原の事を将来を考えて監督に伝えて梶原は試合に出れずチームが敗退したため手嶋をずっと恨んでいるようで本当は友情を分かっていたという涙の展開となったが…この辺りで既に色々苦しい感じ。
さらにフォローするように拳銃を返すタイミングになって突如「池田を撃った銃は川に捨てた」と言い出し手嶋から奪ったこの銃は「1発も撃っていない」と実は拳銃はもう1つあったと言い出した。は?
このままだと結局奪われた拳銃で殺人事件が起きたという事が決定してしまうためなのか、手嶋が「拳銃を奪われただけで使われてはいない」事にするために何言わせてんだこの超脚本…。あまりに超展開過ぎて肝心な話なのに公式ネタバレあらすじでも最後のこのくだりだけ綺麗にカットされてるぞ…。そして恐らく事情をさほど知らされずに兄貴が突然強盗辞めるとチキンな事言い出したので何言ってんだやるぞ!と強行しようとしてワケも分からず頭を打ち抜かれて殺されてしまった池田の亡霊がにこやかに梶原と手嶋のキャッチボール眺めてるのもなんなんだ。今回のは死者がありがとうございましたするような話じゃないだろ。
最後に完全崩壊してしまった感が否めないが、そんな破綻を覆い隠すようになんとラストシーンで、いつも一緒に捜査していた相談室メンバー堀口(戸次重幸)が死んでしまう衝撃展開になって次回へ続く。うん、今回の話は忘れよう。
9話
相談室メンバー堀口(戸次重幸)が歩道橋から転落事故死。冒頭には早くも葬儀シーンとなり、妻由理恵(星野真里)と息子翔太(白髭善)も登場(後で堀口の実子ではなく、身内に殺人犯がいたために離婚された由理恵の連れ子と判明)、。両親は死んだと言っていたが戸籍を調べたら母が存命だったので由理恵が葬儀に呼んだが、遺影を見た堀口(本物)母は誰?と言いしこれは堀口ではないと言う。堀口が堀口の戸籍を使った偽者だった事が判明し衝撃を受け、調べ始める一行だったが利根川だけは辞めておけ…と言い始める。
身内に犯罪者がいると警察官にはなれないという事で、過去の堀口(偽者)の言動から山形県出身と当たりをつけ、過去の事件を探したところ父親が殺人犯の伊藤和宏が堀口(偽者)ではないかという説が浮上。しかし利根川はこれ以上は本当に辞めろと言い出す。
利根川は公安部長の佐川(杉本哲太)が代議士高山の不正をもみ消しているという情報を掴んで告発を試みるが相談室に飛ばされていた。堀口が公安から送られた監視役だと気付いた利根川は逆に佐川を告発しようと堀口(偽者)に協力を呼び掛けたが堀口(偽者)はそれは出来ないと言い、何か弱みを握られているようだったという。そして利根川は付近の防犯映像を徹底的に調べ、代議士高山がホステスに暴力を振るうのを止めようとして突き飛ばされて頭を強打していた映像が残されていた。恐らくこれが致命傷となっていて階段から落ちたのではないかという。堀口(偽者)が佐川と高山が繋がっている証拠を押さえようとしていたと思われたが、既に佐川が手をまわして堀口(偽者)を事故死に処理して証拠も無かった。
しかし反発した桜は真相は遺族に伝えるべきだと調査を継続。堀口(偽者)に戸籍偽装を持ち掛けた警官磯辺(モロ師岡)は当初しらばっくれ、実母(朝加真由美)もしらばっくれたが死んだというとショックを受けて教えてくれた。父が起こした殺人事件の後で親身になってくれた磯部に憧れ警察官になりたい夢を抱いた和宏少年だったが、そのままでは警官になれないので磯部が佐川に相談して佐川が堀口の戸籍を用意したという。さらに堀口(偽者)は警察官ではいられなくなるが罪を償って伊藤和宏に戻る決意を込めた手紙を実母に送っていた。
今回は堀口(偽者)が葛藤の末に伊藤和宏に戻り、佐川の不正を暴こうとしていたらしいというところまで判明して由理恵に伝えたところで終了。真が相談室を辞めると言い出し、さらに佐川の不正暴きもこれから、桜の過去回想で出てきた自殺を救った身元不明おじさんの身元得てうなど全て最終回へ持ち越しとなったが…最終回でそんな詰め込んで大丈夫なのか。
とはいえラスボスが巨悪な大物権力者っぽく出てくるのに最後はマヌケな墓穴を掘って自爆失脚して捕まる事に定評のある杉本哲太。1年前の2023年夏ドラ(テレ東)『ブラックポストマン』、日テレでも2022年秋クール『invert 城塚翡翠 倒叙集』でやっていて同じ局でもまだ丸2年経っていない。さすがに3年連続巨悪な大物権力者役のラスボスが杉本哲太はちょっと…。そんな飽き飽きした配役なので片づけるのに1話丸々使う必要もないだろう。
10話
真は4話での一件から福島県警に行くために相談室を辞めると決意。しかし伊藤和宏だった堀口(偽者)のため、佐川の悪事を暴くため最後の戦いに挑む。利根川は佐川の恐ろしさを良く知っているため未来ある2人は止め、自身が動くといい、定年間近の武藤(半海一晃)もいざとなったら全て押し付けてくれて構わないと宣言。前回登場した磯辺(モロ師岡)が証言をしてくれる手はずを整えた手嶋だったが、到着するなり磯辺は申し訳ないを連呼。どうやら退職した磯辺にさえ何らかの圧力をかけられて証言できなくなってしまったらしい。桜・真・手嶋は有給フル活用で動き、利根川・武藤は責任を受け止める覚悟で佐川の悪事を暴く戦いが始まっ…最終回で違うドラマになってない?
厳しい戦いになると思われたが、科捜研の早瀬(高島礼子)、桜と真の同期の菜津(柳美稀)も協力して、現場の防犯映像に佐川もいた事を発見。利根川は早瀬に作らせた議員とのヘタな密会映像を佐川に送り付けて佐川を呼び出すと、あきらめたと宣言。しかし伊藤和宏だった堀口(偽者)の戸籍問題は追求すると急に態度を変えると桜と真が乗り込んできた。桜と真が現場に行ったら議員に暴行されていたホステスが気にして来ており、説得シーンもカットで味方になり、磯辺も手嶋の再説得であっさり味方になったらしく、由理恵(星野真里)も了承。次々と証言が集まった事であっさり追い込まれてしまった佐川、開始20分もしないで観念。議員との関係が白日に晒されるよりもダメージの少ない戸籍問題の方の責任を取って公安部長を退任する形で退き、議員の方には後ろ盾が無くなったので再捜査で逮捕されんじゃね?みたいな流れになってあっさり終了。…おい嘘だろ…いくら定評があるからって『invert 城塚翡翠 倒叙集』『ブラックポストマン』を遥かに凌ぐ小物っぷりで自爆すらしてないぞ…(一応堀口が暴行されたのを気にして防犯カメラに映るところまで出てきてしまったのが痛恨という事にはなった)。しかも由理恵は了承したが息子は今後説得するという覚悟の決め方だったので世間に絶望してグレるコース一直線だった…。
この一件により相談室を特集するネット番組の取材が入り、ディレクター役になぜかひょうろく。この取材で例の助けてくれた5話回想のオジサン(尾美としのり)の事を桜が話した事でそれを見た医師が連絡してきた事で一歩も進まなかったオジサンの件が進展する超展開に。強引にもほどがある…。山梨で救急で運ばれてきて一命をとりとめたが、海外移植しか助かる見込みのない難病で勝手に病院から消えてしまったという。ネット番組なんて視聴者大していないでしょとか作中でも言ってたの相談室は列ができるほどにぎわったのに、その条件と去り際にオジサンが感謝を伝えたメモには千葉⇔山梨の高速バスチケットだったため、元々の主治医を探し当てようと相談室総出で千葉県の心臓系病院に片っ端から電話する頃にはまた相談室暇になってるし…。またこのネット番組を5話で溝が埋められないままになっていた桜の母(鈴木杏樹)が視聴していた事で桜が自殺しようとしていた事が本当だったとようやく知る事に。オジサンの墓を訪れて利根川と対話した母は桜へ改めて手紙と夕食を届けて会わずとも和解の気配を漂わせて出番終了。
こうして主治医の病院が判明して藤田昭良だったと特定。しかし藤田は病気の事を妻と娘に隠して一方的に離婚届だけ置いて失踪していて、妻は藤田が何かに苦しんでいる事は感づいており失踪後に部屋の痕跡から病気の事も察知して死んだのだろうと覚悟はしていたが、それ以上に捨てられたという恨みが強く忘れようとしていた。 ていうか藤田の妻真知子が藤田朋子って狙ったのかよ…。娘(富田望生)はショックで引きこもりになり9年かけてようやく外に出れるようになったという。
という事で拒否されたので一旦帰宅。すると夢の中に伊藤和宏だった堀口(偽者)の亡霊が出現し、既に答えは自分で言っていると謎のアドバイスを送り、娘(富田望生)の名前が秋桜里だった事から、家族の思い出の地である山梨の秋桜畑に行っていたと判明。その事と改めて自身が自殺を救ってもらった事を話すために藤田家を訪れ全てを説明。2人は氷解して遺骨を引き取ることになり藤田は9年ぶりに家族の元へ帰り、福島に旅立つ真と桜が最後にボクシングで終了。
桜の回想で散々藤田が自身も死のうとしていたが思い直したっぽい事、何よりも桜の自殺を止めた後に「娘に会いたくなったから帰る」と宣言していたので、とりま真っ先に桜が妻と娘に伝えるべきところはそこだったんじゃないかと…。確かに家族を捨てて離婚届置いて家出したんだろうけど、思い直して娘に会いたいから帰ると言っていた直後に倒れたという何故かそこのところを避けるように桜が説明をするどころか「私のせいで死んだ」「申し訳ありませんでした」とかワケの分からない事言い出すので秋桜里も「自分の家族は捨てておいて見ず知らずのあなたを助けて死ぬなんて」と解釈してしまい一時的にますます頑なにさせてしまうなど妙に回りくどかった。
全部終わっての感想
感動風の話は多かったけど、深く考えないのが正解なけっこう設定が強引な内容が多かった。得られたヒントと真相が直結していないというか、それだけでなんでその発想にまで至るの?というか、妄想・想像で補った仮説の中の仮説みたいなのが120%いつも正解で真相になってしまうような歪さ。最終回も凄い超展開で杉本哲太の雑な処理と議員は台詞だけで放置って。
あと毎回ラストで身元の家族の周囲に身元不明人だった死者の幽霊が出現して軽く一礼してそれを桜だけが見えているような描写があったんだけど、最終回での藤田の幽霊は桜には見えてないように描写されていたのは謎。藤田がその様子を見て満足そうにありがとうと言っているようにも見えたので、身元不明人の幽霊が見える能力が消失した=桜の自殺未遂以降の心の引っ掛かりが解消されたという意図と思われるが桜にとっては最も見えるなら見たかったであろう肝心の藤田が見えないのが何故なのかは全く分からない。
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