パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜 1~4話

2022年春クール、日テレ系「土曜ドラマ」枠。日本テレビ×Hulu 共同製作ドラマとなっているためHulu商法が炸裂し、全10話放送後に6月より全6話のSeason 2がHulu限定配信されることが発表されている。

原作は中村啓による小説『SCIS 科学犯罪捜査班 天才科学者・最上友紀子の挑戦』で2019年にスタートし、現時点で5巻まで刊行されているが、ドラマ化に当たっては主人公を最上友紀子から小比類巻祐一に入れ替えて両者が同期生という設定も大きく変更(ドラマでは10歳離れている)、少なくとも1話や2話のストーリーは原作5冊のあらすじと異なっており、設定を改変利用しただけの比較的別物になっていると思われる。

1話

神楽テクノロジーのCEO安井が窒息死し、AIロボットのLEOが殺したと自白。新たに立ち上げられた科学犯罪対策室の小比類巻(ディーン・フジオカ)は捜査一課の長谷部(ユースケ・サンタマリア)を引き抜いて捜査を開始。さらにアドバイザーとして3年前に科学界から姿を消した天才科学者最上(岸井ゆきの)に協力を依頼、ひらめき(小比類巻)、知識(最上)、行動力(長谷部)の必要な3要素が揃って捜査を開始するが…。

途中から長谷部の出番は無くなってしまい、小比類巻の後輩で厚生労働省官僚の三枝(佐藤隆太)が情報提供してくれた情報を手掛かりに小比類巻が動機と犯行を推理し、犯人の美鈴(内田理央)にも小比類巻と最上だけで会いに行ってしまったのでトライアングル感が醸し出せないというなんか思ってたのと違う展開になってしまった。

3年前に病死した前CEOと美鈴が信頼関係にあり、安井はとっとと企業ごと売り飛ばそうとしていた。またLEOは前CEOの脳をコピーして再現したAIロボットで、それを初期化しようとする安井にキレた美鈴が殺害。LEOは美鈴をかばって自らが殺害したと証言していたのだった。真相を暴かれるやいなや安井殺害と同じ手口で小比類巻と最上をまとめて窒息死させて葬り去ろうとする美鈴。目覚めたLEOはプログラムに反抗して煙を吹きながら抵抗し、命令無視して2人を助けるとまるで前CEOのようにふるまって美鈴を諭して機能停止。どっちみち捜査本部では美鈴が疑われていたとはいえ、新たに判明したロボットがかばっていた、AIがそこまで心を持ち掛けていたという事実は世間には伏せられた。

ラストでは娘を生んですぐに死んだ小比類巻の妻亜美(本仮屋ユイカ)が娘には外国で治療していると教えられている事が判明(最上もここまでは把握)。しかし実際にはさらに上を行っていて小比類巻は海外の専門企業と契約して亜美の遺体を冷凍保存していつか蘇生方法が確立した時に目覚めさせようとしている事が視聴者にだけ発覚。さらに2話で起きる事件のさわりだけ流された後になんか急に終わった。なんだこの尻切れすぎる終わり方…。

ディーン・フジオカらしいカッコいい感じのドラマで、アラサーにして大ブレイクした岸井ゆきのも良かったんだけど、ユースケ・サンタマリアの出番が途中から無くなってしまったのは拍子抜けだった。必要な3要素とか言ってて3人がそれぞれ足りない部分を補いながら進行するかと思いきや、長谷部の出番は最上勧誘まではただ小比類巻にくっついて回っていただけで3人揃った後は最上がAIに試そうとした事を早とちりして止めてしまうという足を引っ張る行動だけして出番終了って…。50歳、40歳、30歳と綺麗に3人が10歳ずつ離れた設定になっているが、長谷部は小比類巻の方が階級が上だと分かった途端に年下の小比類巻相手にも丁寧な態度で従順になってしまったので反発キャラでもなくこのままだと弱いのでは。

展開上ロボットが自ら抵抗して美鈴の更なる犯行を止めないとならないとはいえ、小比類巻も最上も2人とも頭がキレる設定なのに揃いも揃って美鈴に出し抜かれてあっさり殺されかかってしまうのも残念な展開だった。ここに長谷部不在だったのはさすがに3人揃って美鈴に殺されかかるのは絵的にもマヌケすぎるのと、かといって物語上長谷部が助けに来る役割にも出来ないという事なんだろうけど…。原作を大胆改変しているっぽいので果たしてどこまでうまくやれるのか。不自然なまま展開した挙句にHulu商法で肝心なところは全部Hulu送りにした挙句に欲を出してHuluでも何も解決せずに続編決定(全く作ってなくてこれから企画するけど)というどこかのゾンビドラマみたいな事にならないかが心配。というかそうなるのが嫌なので見るかどうするか迷っていたんだけど、ディーン・フジオカ、岸井ゆきの、ユースケ・サンタマリアは3人とも好感度高いからこの3人のドラマは見たい。うまく展開してくれることを祈るが不安半分かなぁこれ…。

「土曜ドラマ」枠を見るのは『怪盗 山猫』以来だから6年も経っている…だと…!?

2話

プロeスポーツ選手田中が鉄道高架下で仲間たちと共に半グレ集団に暴行されている最中に突如頭から煙を出して怪死する事件が発生。脳からマイクロチップが発見されこれが発火したのが原因と判明。順調に捜査は進み、チップを埋め込むような科学集団としてボディハッカージャパンという団体の代表カール・カーン(安藤政信)を名乗る謎の日本人に会いに行くと離反した部下に脳神経外科医の鮎川(今野浩喜)の名前が浮上。

なんとそのまま鮎川が主犯で、逃げていたeスポーツ選手仲間の残り2人は鮎川を訪ねてチップを外してくれと訴えていたが逆に鮎川にやられてしまう。とりあえず倒れた2人を縛って自身のデスク裏になんとか運んだところでもう3人が捜査に来てしまったので、デスク裏に隠したまま3人を出迎えるという綱渡り全開な鮎川。1人目を覚まして動き出してしまったので無理やり3人を追い払い、部屋に戻ると目を覚ました1人がさらに逃げようと動き出していた(掃除のおばちゃんが少しでも目線を向ければ気づく部屋の外まで逃げ出したがおばちゃん鈍くて気づいてもらえず)。どうにも後手後手で早くも詰みまくりの鮎川は火を放って混乱に乗じて2人をオープンカーに乗せて明らかに人型のぐるぐる巻き&髪の毛はみ出した状態の2体を後部座席に晒したまま首都高を激走して逃走。

しかも燃やしたはずの資料は半焼けだったため、ほとんどの資料は読める状態で一瞬で逃走先も判明。鮎川が開発していたのは精神転送の装置だった。最上は鮎川が精神転送の装置を開発しようとしていたのは知っていたなという確認と説得のためにカーンを訪ねる。カーンは裏で手を引いているわけではないようで鮎川の離反も本当だったぽいものの止めるつもりもないようで話は平行線。というかこれを団体所属としてやられると現時点で色々捕まる案件なので団体としてそんな危険は犯せないから個人で勝手にやれという感じ?

小比類巻と長谷部が逃走先に駆け付けた時点で2人のうち1人三ツ矢は転送実験により既に死亡状態。もう1人はまだで助かったが、鮎川は自らにも転送装置を作動させて死亡してしまった。

しかし本当に死んだのか?実は成功していて転送された意識はネットのどこかを彷徨っているのではないか、しかし確認する手段もない。最上は否定派だったが、妻の件から小比類巻は気になる様子。

そんな中、転送実験により死んだ三ツ矢のプレイを彷彿とさせる謎のオンラインゲーマーthree Arrowsが出現した事が記事になっていた。そのニュースを見て不敵な笑みを浮かべるカーンで話は終了。

どうやらこのドラマ、次回予告を次回予告としてやらない代わりに次の事件の導入部分を長めに見せてそのままブツ切り、という手法のようで今回も次の事件、死体安置所にいた死体が蘇って行方不明になったという怪事件の発生と捜査に着手する3人の様子が描かれて唐突に終わった。

カーンはレギュラー出演のようで以後も関わる模様。劇中で長谷部が「何がカーンだ!どう見ても日本人じゃないか!」と突っ込んでいたが、ユースケ・サンタマリアにもディーン・フジオカにも適用されるツッコミだけにシャレが効いていた。

1話では途中で不自然に出番が無くなり事件解決に関与しないまま終わってしまった長谷部だが今回は長谷部も最後まで捜査に参加(最上は鮎川を追わずにカーンのところに向かって別行動になっただけで出てはいた)。3人で捜査を進めていくごく自然な形となっただけに、改めて1話は不自然だったなと。1話の撮影途中で密かにユースケが濃厚接触強制隔離にでもあっていたのだろうか…?

3話

安置所の死体が蘇って行方不明になる事件が発生。何らかのトリックでも仕込まれているのかと思いきや死体が死体だった事は確定しており、蘇って徘徊しているのも確定。同じ建物で植物の再生力を研究している安田(華優希)が作り出した人工タンパク質が原因という話に。この人工タンパク質をドライアイスの上にこぼしてしまうミスがあった際に換気したところ、空調整備中だったため、安置所の方に流れていってしまい、加えて死ぬ直前まで投与されていた強心剤が合成された事で死体が蘇ってしまったという。

動いている死体に意識は無さそうではあったが、小比類巻は妻の事もあるので心は宿ると主張、最上は否定派だったが、小比類巻の予想通りに死体は家族との思い出の公園にたどり着いて効果切れで再度絶命していた。明確な意識は無かったのかもしれないが、この場所に来たかったんだ…と若干ファンタジーじみた結末に。

ラストでは深夜に水を飲みに起きてきた最上が小比類前の話し声が聞こえるので部屋をのぞき見したところ、冷凍保存された妻のリアルタイム映像に話しかけている姿を目撃し、小比類巻の妻の冷凍保存を知ってしまう事に。一方で最上の過去は未だほとんど明らかにならず。ただ越えてはいけない一線があると主張し、安田もそのために研究所を辞めてしまった事は明かされた。

割とひねりなく研究していた人工タンパク質で死体が蘇ったというのはやや超展開じみていて説明それだけ?感はあった。今回はそれ目的ではなく偶然で黒幕も犯人もいないというのもあっけなく感じた理由か。

4話

半年前から突如の飛び降り自殺が増えていた。自殺者の共通点は一般ユーザーが開発したVRゲーム。その内容は誰かをパートナーにして仮想空間で簡単なかくれんぼを行うようなものだった。パートナーのデータを死んだ犬にした長谷部が最初にプレイしたが、自殺者もみんな亡くなった知人や肉親をパートナーにしていた模様。小比類巻は冷凍保存している死んだ妻をパートナーにして実際にVRの世界へ飛び込み、やや平静ではいられない状態となるが、冷凍保存の件を知った最上が強めに説得。なんとかギリギリのところで踏みとどまって真相へと迫っていく。

といっても今回は悪気があったわけではなく、開発者が天才小学生でボディハッカージャパンが協力していたとはいえ発想が小学生だった。裏ワザとしてVR内で飛び降りるとパートナーに会えるというもので、開発者と開発者の死んだ友人の誕生日の数字が浮かんでいるのが見えたら飛び降りるというのが引き金になっていた。ゲームをやりすぎたプレイヤーは現実世界で偶然高いところで近くに似た数字列(デジタル表示の時計とかアパートの棟の番号とか)を見た瞬間に現実とゲームの区別がつかなくなって咄嗟に裏ワザに走って飛び降りてしまったという事だったと判明。

開発者の少年も亡くなっていたが意識不明の状態でゲームを完成させていたという。結局ゲーム内に残る少年の意識と対峙した小比類巻と最上が説得したところあっさり納得して少年は消え去り、ゲーム自体も停止させて解決。小比類巻はゲームに残る妻の幻影に会わずにゲームを去った。後にボディハッカージャパンから最上は少年の両親が少年としてログインさせていたことを知らされたのは少年が自主的に意識をゲーム内に残して生きていると考えた小比類巻への最上の優しさだったのか…。そして悪気が無かったという割には飛び降りを裏ワザにしたりとどこか闇を感じなくもないような…。

妻の件が掘り下げられて葛藤が見えた回となったが、そんなに小比類巻が壊れていく事は無く、現実を見つめようともしている感じに。今回は犯人が実際いないようなもので悪意も無かったとはいえ、数字を見ただけで現実とVRの区別がつかなくなって飛び降りてしまうっていうのは依存度が凄すぎるなぁ…。

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