推しが武道館いってくれたら死ぬ 全10話

2022年秋クール、朝日放送テレビ「ドラマL」(日曜23:55~0:25)、テレビ朝日ではほぼ1日早い日曜(土曜深夜)2:30~3:00で放送。『彼女、お借りします』の次クール。

原作は2015年から連載中の平尾アウリによる漫画。2020年には全12話でアニメ化もされている。

2021年に乃木坂46を卒業した松村沙友理のTV初主演ドラマ(卒業と同時期にParaviの配信ドラマ『シンデレラ・コンプレックス』では主演経験あり)。

作中に登場する7人組アイドルグループChamJam事務所アミューズの若手女優陣で固められているが、このうちの4人がさくら学院の2019年度卒業生で現在は@onefiveとしてグループ活動を継続。主題歌は@onefiveが担当し、メジャーデビュー作となる。ChamJamの持ち歌として作中で歌唱されている「ずっとChamJam」は2020年のアニメ版ChamJamの持ち歌として使用されていた楽曲をカバーしたもの。

1話

岡山県が舞台。街を歩いていたえり(松村沙友理)はおとなしそうなアイドル舞菜(伊礼姫奈)から商店街でのライブの告知チラシを受け取る。何気なく商店街に向かったえりだったが客は5人しかおらずメンバー7人より少なかった。善良そうなファンのくまさ(ジャンボたかお)に声をかけられたえりはチラシを渡してくれた子が左隅で踊る市井舞菜だと教えられるが、くまさによればセンターに立つのは難しいという。しかしえりには何か感じるものがあったようで…。

次のシーンでは舞菜のTO(トップヲタ)としてくまさとも馴染み・対等の関係になって終始高校時代の赤ジャージ姿えりぴよと呼ばれる有名なヲタ(ドラマ版では本名表記が無く人物紹介が「えりぴよ」だけ)と化していてくまさが新規ファンの基(豊田裕大)にえりぴよを紹介しているところまで時空が吹っ飛んだ。えりぴよの推し歴も古参オタみたいになっていたが、1年以上経過してんのこれ?2,3年は続けないと古参扱いされなそうなもんだけど、そうするとChamJamの活動歴も長くて意外とメンバーの年齢がいっているか、低年齢の頃から活動している事になっちゃうしな…。豹変のきっかけと流れはもう少し描いて欲しかった。古参の定義って何年以上とかあるのだろうか。

舞菜は引っ込み思案な性格だが、えりぴよは動じずに熱烈にアピールし続けほぼ一方通行という様子が延々描かれ、TOとして人生も資金も費やす異様な姿だけが延々と続き、随所で用語解説が入り、くまさは理想的といいうか熱心なんだけどマナーのしっかりした常識人兼解説役として回していくような構成。

舞菜の心情がほぼ描かれず、本当は嬉しくは思っているが引っ込み思案すぎて塩対応になってしまうという設定もほとんど作中では分からなかったので1話はただただ主人公が色々な意味で推しへの押しがすげぇ奴という印象しか残らなかった。ただ松村沙友理は乃木坂46時代からこのようなノリを見せる事が多々あり、演技面でも振り切った怪演が持ち味だったのでまさに適役。松村沙友理のためのドラマかというほどハマってはいた。ていうか主人公のキャラがキャラだけに一歩間違えると迷惑ストーカーファンだし、かといって現役乃木坂46時代の松村沙友理はトップメジャーアイドルの超人気メンバーであったためローカルアイドルのTOという役どころではChamJamよりオーラが出過ぎて起用が難しいところで卒業後&30歳を越えてようやくギリギリ成立するようになった感じ。

2話

ChamJamが女性向けファッションショーに出演する事になるが、選抜メンバーだったので期待せずにくまさと共に向かったえりぴよ(基は妹と出向いたらしいが登場せず現地で声だけ聞こえるという役者稼働節約)。予想通り3トップメンバーしか出なかったとあきらめたところで突如舞菜が登場。えりぴよに気づくも相変わらず無反応どころか涙ぐんで去っていったのでそんなに嫌だったのかとちょっと落ち込むえりぴよだったが、その夜にブログ更新で代役での出演だったけど幸せだったと書いてあったのでそれで良しとポジティンブシンキンで納得。

実際には裏でメンバーに対して誰にも望まれてないと思ってたからと涙の理由を語っていて、それはつまり完全アウェーだと思っていたら自分のファンであるえりぴよがいてくれて嬉しくて泣いたという事と思われるが直接言及せず

その後ファンレーターを1人だけもらったことがないという舞菜にメンバーが気を利かせてライブのMCで欲しいものを聞いたところ、変に負担になるとえりぴよに気を遣った舞菜は短冊なら手紙より負担が少ないと「ファンから短冊が欲しい」と謎のお願いをして謎の空気にしてしまう。

しかし斜め上を行くえりぴよは執念で札束以上の厚みの短冊を延々書き続けて重ねて送付。しかし茶封筒に包まれたまるで不審物のような梱包だったため運営の人が確認しようと開封した途端に扇風機の風で外へ吹き飛び、スタッフ3人が必死に拾い集めるという超展開になってしまい舞菜に届かないまま終了(拾ってはいるので後でちゃんと届くとは思われる)。

という事で今回もえりぴよの一方通行っぷりが延々続いたのみ。舞菜側の心情を何故か直接描写せずに匂わせ程度にしているので舞菜とえりぴよのすれ違いもなんだかわかりにくく…。こんな進展の無さで延々話が続けられるとも思えないのでいずれもう少し舞菜側の心情が前に出てくるとは思うんだけど…ここまでの2話は微妙だな…。

3話

基の妹で高校生の玲奈(片田陽依)が2話でファッションショーを見ていて(役者削減で基もろとも会場内での登場シーンは無かったが基の声援を入れて会場のどこかにいると示唆していた)舞菜のファンになったという。新たなファンの登場に喜びつつも、舞菜も握手会で同世代の女の子ファンの登場に喜んで積極的に話しかけたため、あまりの対応の差でえりぴよがショックを受けるという展開に。

さすがにこのままではただ舞菜がえりぴよを苦手に思っているだけだったという別の話になってしまうためか、今回はモジモジしてうまく伝えられないだけでえりぴよには感謝している事を前2話よりも分かりやすく描写。えりぴよが会場にいないのを見て動揺する、会場を間違えて到着が遅れて最後方になってしまったえりぴよを発見して安心する、えりぴよが誤解しているっぽいので違うと言ってあげたいけどなんか言えないどうしよう…みたいな葛藤の描写が増加。最後は前回ラストのトラブルでそのまま舞菜に渡っていなかった短冊を同僚が急かしてくれた事で運営が渡していなかった事に気づいて回収した短冊を全て渡してくれた。そこには舞菜への真剣な応援が書き込まれており(後半ヤバい願望も入っていたはずだがそこまでは見なかったか検閲削除されたか)、素直に喜ぶ舞菜。そして落ち込みながらも愚直に応援し続ける事を考えていたえりぴよが路面バスに乗ると偶然舞菜も乗り込んできた。

動揺しつつ喜んで車内に天使がいる!と私服姿の舞菜に天使コスプレを加えた妄想ビジョンを繰り広げながらもファンマナーを守って車両を変えると冷静に行動するえりぴよに向けて全く顔は見ていないものの舞菜はいつも応援してくれる感謝と短冊のお礼を告げ、それだけで満足なえりぴよで次回へ続く。

玲奈には抵抗なく話しかけられるのはやはり同世代以下だから+アラサー年上女性のえりぴよのスタイルが異様過ぎてやはり感謝・好意を持っていても気圧されてしまうからなのか。中の人的には伊礼姫奈より片田陽依の方が年上だが、台詞の感じからして玲奈の方が少し年下っぽかったし。

4話

人気投票開催が決定(システムはCD1枚1票で簡略化)。1位獲得のためにえりぴよはバイトを掛け持ちして奮闘。一方でChamJamではセンターの位置にいるれお(中村里帆)を推しているくまさはれおが前のアイドルグループの人気投票で最下位だった際に次は1位にすると約束しており(解散したため実現せず)、今回約束を果たそうとしていた。

人気投票の模様は今回では完結せず、後半はれおの生誕祭に向けて奮闘するくまさのファンの鑑といえる模範的行動がフューチャーされ、生誕祭を取り仕切るも自身は前に行かずに後ろで見守ると宣言したところ、他のヲタ共があなたは前に行くべきだ!と最前列を譲るなど、綺麗な話が展開。加えて人気投票というギスり案件でもファン同士が揉めることなく、くまさもえりぴよも双方自分の推しを1位にすべくやる事はやりつつ交流は普段通り。基本的に他者を蹴落とそうとしないという基本的人格者設定が登場人物全員に徹底されていてChamJamメンバー同士でも不安を訴える者がいても励ましあい、そんなこと言ったってどうせ上位だから余裕あっていいよねくらいは言うものの本気でギスったりはしない、対決姿勢を見せる者同士でも勝ったら言う事聞く事にするなどカワイイ約束をして楽しんでいるような感じ。実に綺麗な話だ…(遠い目)。いや美化しすぎじゃないのかこれ。性善説に基づいたいい人しかいない。なんて平和なアイドルグループなんだ。

えりぴよに感謝を伝えて以降は舞菜もえりぴよにもう少し反応を見せるようになり2人の関係も少し進展。奮闘したえりぴよは中間発表で舞菜を3位に押し上げる。1位でも数百票という地下アイドルらしい現実的な数字にしていたが、1人でほぼ300票とか入れているとなると単純に1票1000円なので中間発表時点で既に30万円以上、フリーター生活で掛け持ちしてもキツイ、就職したら今度は時間が無くなってイベント参加できずに本末転倒という考えからえれぴよは就職して稼ぐという案を却下、くまさもそれを理由に会社員を辞めてフリーター生活で推し活を続けている設定だけに絶妙な票数に設定されているな…。

5話

掛け持ちバイトの配達で移動中に巨大な桃のオブジェが斜面から転がってきて衝突したえりぴよは足を骨折。バイトが出来なくなり即資金が無くなってしまったため人気投票のための購入も出来なくなってしまい、握手会のために1枚購入が限界になってしまう。そんなえりぴよをくまさがメイドカフェに誘ったところ、メイドの副業をしていた文(和田美羽)に遭遇。この話に変な尾ひれがついてえりぴよが文に推し変した説がファンの間で流れ始め、骨折を心配していた舞菜も推し変を疑って2人の関係に変調が…という展開に。

同時に人気投票の途中経過が発表され、舞菜はほぼ票数がステイでそのまま最下位へ転落。後列だったゆめ莉(SOYO)が3位に上がったことで前列になるが、実は親友の眞妃(KANO)がダンスの上手いゆめ莉を前列で見てほしくて大量投票していた事が判明。綺麗すぎる2人の思い合いと友情が描かれるというサイドストーリーも展開。なんだかんだ背景にならずに各メンバーもピックアップしていくのは漫画・アニメっぽい展開(主役だけ持ちゲルよりもサブまで多角的にキャラ人気を得た方が人気が上がるため)。

メンバー間の関係性は創作ファンタジー級美談なのにファン同士はこれだけ狭いコミュニティでも勝手な噂が流れるわ、えりぴよはくまさ、基としかつるまないのでそんな噂全く耳にしてないわ(舞菜のファンが他に玲奈しかいないので横の繋がりもない)というファン同士のドライな関係は地味にリアル志向なんだな…。あんだけ毎回顔合わせてんだから噂するより本人に聞けよ…。

6話

空音(MOMO)が男と歩いていた情報が流れ、ショックを受ける基。基はガチ恋勢だったため、恋愛感情とは別だと割り切っているくまさ、えりぴよとの考え方の違いが鮮明に。死にかけていた基だったがライブでのファンサ(ハート送り)だけで復活。ファン離れが起こった事で逆に自分1人が応援し続けられると無敵な思考を発揮。また目撃情報が基の住んでいる街であった事、空音と基の妹の玲奈と髪形が同じで遠くから見たらほとんど同じである事から、この目撃情報自体がライブ帰りの基と玲奈の事だったのではないかというくまさの推理により、より無敵になる基。しかし空音が気にしている事には気づかず投票も怠った結果、通常前列3人だった空音の投票結果は5位、後列に転落してしまい、沈んでいる空音を見た基はくまさ、えりぴよを見習って自分以外にもファンを増やしたいと考えを改めるのだった。

一方でなんとかえりぴよに感謝を伝えたい舞菜はいつもの喫茶店にくまさ、基といるえりぴよを通り掛けに見かけ、決死のハート送りを行う。しかし普段やっていないので不慣れでえりぴよは何のことなのか良く分からない。くまさもハートのようだが気功のようにも見える…と発言した事からえりぴよビジョンでは舞菜からの気功という事になってしまい、全力で舞菜の気功を浴びたえりぴよは骨折が完治。翌日松葉杖なしで走って登場したえりぴよはくまさと基を震撼させる。即バイトに励んで投票最終日に備えるが働きすぎて帰宅と同時に玄関で気絶。帰宅した母に夜まで発見されなかった事で投票は締め切られてしまった

結果舞菜は最下位となってしまったが、スタッフから締め切ったけど舞菜のために稼いだお金だからとえりぴよがCD全部購入(段ボールいっぱいに数箱)して帰った事を聞かされ、感謝を伝えるために猛ダッシュ。残念ながらえりぴよは気づかずに路線バスで去ってしまい終了。

舞菜の最終投票数が箱買いを足したくらいで当初のえりぴよが積んでいた分から数百増加した票数に思えたが、買う前に締め切られ、スタッフが集計終了した結果を持っていってしまった後、締めきったと承知の上で購入したのは明示されていた。なので箱買いが加算されていたらさらに+数百票で最下位を脱していた可能性が高いがどうなんだろうか。えりぴよ抜き、もしくは骨折以降CD1枚買いで握手、その1枚が1票になっていた+玲奈が票数を積んでいたとしても舞菜の票数が数百増える事は考えにくいんだけど…。

7話

劇場の改修により1ヶ月ChamJamの公演が無くなってしまう。その前の特典会でボイスメッセージを一言吹き込んでもらえることになり、基、くまさがそれぞれ萌える台詞を言ってもらう中、何故か「積んで!」(=握手券のために大量にCDを買う事)というお願いを舞菜に吹き込ませるえりぴよ。張り合いの無い1ヵ月間をその一言を活力に生きるえりぴよだったが…色々ズレてんな…。

この1ヶ月の間に舞菜の誕生日があったため生誕祭を行えないのを残念がっていたえりぴよにくまさは祝うのは自由だと進言。文(和田美羽)がバイトしているメイドカフェに連れて行ったところ、奇跡的にバイト初日の舞菜がメイドになっていた。喜びつつもチェキ500円すら業務外では!?とか言ってまともに話しかけられないえりぴよ。結局文が率先してチェキを取ってあげる始末。やれやれ状態ながらやっぱいい子だ。えりぴよも熱狂的なファンなのにファンとしての線引きが恐ろしくしっかりしているため、変なところで律儀だな…。

待望の公演再開の日、えりぴよは風邪で寝込んで欠席。ChamJamメンバーも2人風邪で欠席したため5人フォーメーションとなり舞菜が前列で踊る事になったため、くまさ、基、玲奈は来れなかったえりぴよを思って複雑な表情。くまさに至っては公演後に舞菜に1枚握手券を使ってえりぴよが風邪で来れなかった事を舞菜に伝えるとえりぴよに電話してフェス出演決定を報告、しかし舞菜が前列で踊った事は一生後悔しそうだからとあえて伏せておく気配りを見せる。相変わらず善人しかいねーなこの世界

一方の舞菜は公演が1ヶ月なくてえりぴよに会えないと思うと放心状態、メイドバイト初日誕生日当日にえりぴよに遭遇して動揺しているので文が心配していると「バイト初日誕生日にえりぴよさんに会えるなんてすごい奇跡」と実は超感激していたり、前列で踊っているのを見てもらえず残念がったり、くまさがえりぴよと電話しているのを見て自分はえりぴよとは友人にはなれないと考えて友人関係のくまさをいいなぁとうらやんでいたりと、いつの間にか感謝を伝えられないくらいの感情から、やらえりぴよにだいぶ気持ちが傾いている片想い少女みたいな様子が連発された。

薄々思ってたけど、これ女性同士だしアイドルとファンの話だけど、どこかすれ違い系のラブストーリーが下敷きになってるよね。

8話

ChamJamの『岡山アイドルフェス』への出演が決定。えりぴよ、くまさ、基は出演者の中でもメジャーデビューしていて人気のめいぷる♡どーるのライブへと偵察に行くことに。同じくChamJamも優佳(GUMI)と文(和田美羽)、舞菜(伊礼姫奈)が偵察に来ていた。

あまりやる気を見せない優佳と、めいぷる♡どーるのパフォーマンスに焦りを見せてもっと練習すべきだという文、そして何故か歯切れの悪い複雑そうな表情のリーダーれお(中村里帆)とここに来て不穏な空気を漂わせるChamJam。しかし居残っていた舞菜に文が語った自身はセンターにはなれない事を悟ったがグループとしてはセンターに立ちたい、武道館を目標にするという思いを外で聞いていた優佳はその思いを受け止めてあっさりと一致団結

だが、1人振りが遅れる舞菜、そして最初から様子のおかしかったれおにはめいぷる♡どーるのメンバー1人からメールが届く。2人は元同じグループの同僚だった。

なんだか謎な回。偵察に行った時点でめいぷる♡どーるのメンバーがくまさが客席にいる事に気づき、その後の握手会でめいぷる♡どーるのメンバーとファンとの会話から前のグループで顔見知りの存在である事は視聴者に早々に明かされたがくまさがえりぴよ、基にそれを明かすことはなく、れおも様子がおかしい事だけ延々明かされるもChamJamの一部メンバーが少し気にしているだけで結局最後にメールが届くまで何の動きも無し。何故視聴者にだけ早々に明かしてしまったのか。

もっと謎だったのが舞菜でここのところえりぴよへの思いはだいぶ明かされてきていたものの、今回終始無表情で内面が明かされず、何を考えているのか初期以上に不明で終わった。このため何故一致団結している中で1人だけ上の空で1人だけダンスが遅れているのか、理由が一切不明のままという…。最終回が近いだろうし、何か抱えているのを示唆するだけの繋ぎの回か。

9話

リーダーれお(中村里帆)がめいぷる♡どーると自身の立ち位置を比べて悩んでいた件はえりぴよに言われてくまさが前向きな言葉を投げかけた事で解決。一方心情描写がほとんど入らなくなったまま沈んでいた舞菜の様子には全く気付かずにフェスへの応援の言葉をかけるえりぴよ。れおと舞菜ではタイプが違うので、当の舞菜は「そのままでいい」とメンバーにもえりぴよにも同じことを言われたのと、実際には振りが明らかに自分だけ遅れて足を引っ張っているのが明確な状況を自分自身で1番分かっているため、本気で存在意義を気にしていたようでますます沈むのみ。元々おとなしいので、些細な事でも必ず気づいてフォローし合う聖人揃いのメンバーさえ誰も異変に気付かず(れおは今回自分の悩みでいっぱいいっぱいでメンバーに気を配る余裕が無かったとはいえ、メイドバイトも共にして普段割と気にかけてくれていた文(和田美羽)でさえ全く気にかけている描写が入らないほど)、基の妹で舞菜ファンの玲奈(片田陽依)だけが様子がおかしい事に気づいていた。握手会で大丈夫か聞いたところ、フェスが怖いと初めて本音を話した舞菜。玲奈はえりぴよにそのことを伝え、舞菜にとってえりぴよは特別な存在だからえりぴよにはそんな姿を見せたくなかった、それでも舞菜を勇気づけられるのはえりぴよさんしかいない!などと恋愛ドラマ最終回手前の恋のライバル役が主人公にアイツにはお前が必要なんだ的な台詞の改変を言って最後の告白シーンに持っていくためのテンプレみたいな展開に。しかし街中でニアミスしてお互いどうすればいいか迷ったまま最終回へ続く。やはりこのドラマ、構造はベタな恋愛ドラマと同じだよなこれ…。

また最終回前という事でこれまでたまにしか出てこなかったえりぴよのバイト先のパン屋の同僚美結(あかせあかり)に初めてアイドルファンだと明かす場面もあり、この際に美結は特に引く事はなく自身は二次元キャラ好きを告白するといった展開も。アイドル同士の仲はとてもクリーンで、アイドル同士でラブっぽいカップリングもあるし、同僚も二次元好き(ただし一応相手キャラは男性)、基&くまさとえりぴよはお互い仲間意識しかないし、とことん男女に恋愛関係が存在しない世界線なのにやっている事はテンプレ的なすれ違い系恋愛ドラマのフォーマット。新しいドラマなのかもしれないと最終回前に改めて思った。

…ていうか最終回前に映画化決定って…。

10話

『岡山アイドルフェス』当日。えりぴよは舞菜のために何ができるかを川辺で考えていてそのまま野宿状態で就寝、遅刻。フェス会場では浮かない表情の舞奈を何故か誰も気にかけず、お手洗いと言った舞奈はそのまま姿を消してしまい、ようやく異変に気付いたリーダーれおと空音が探しに行くことに。この途中でめいぷる♡どーると対面。ここ数週ずっとれおが気にしていたものの作中で実際に遭遇するのはこれが唯一となり、相変わらずいい人しかいない世界線のこのドラマらしく、何の嫌味も無く再開を喜び、何の嫌味も無く武道館公演が決定した事をにこやかに告げる元同僚のメイ(喜多乃愛)。気にしていたれおは咄嗟に対応できなくなるが空音が手を握ってくれるというこれまたラブストーリー的描写で勇気をもらい、自身も武道館を目指すと返す。いくらいい人揃いだからと言ってもこれにはそうなんだ頑張ってねくらいしか返せずなんだかメイの方は微妙な反応になってしまったが、れおとしては吹っ切れたらしい。

その頃遅刻してきてステージの場所が分からず敷地内の公園を彷徨っていたえりぴよは湖のほとりで佇む舞菜を発見。意を決して初めて会った時のことを話して人生が変わった事を力説、そして武道館とか関係なくとにかく応援する事しかできないと熱い演説。双方涙を流す展開でえりぴよは言うだけ言って去っていき、そこにれおと空音だけでなくメンバー全員が舞菜を迎えに来て舞菜も立ち直る。

ステージではまだ気圧されていた舞菜だったが、客席にえりぴよを発見すると完全に立ち直りステージに集中。覚醒した舞菜にレスまでもらったえりぴよは鼻血を流して狂喜するのだった。

その後の握手会ではメンバー全員とファン(れおとくまさ、空音と基、美結と舞菜以外の各メンバーにもモブのファン1人ずつ)のやり取りが繰り広げられ、最後はえりぴよと舞菜。舞菜の方から手を握り、舞菜の方からえりぴよのおかげでステージに立てたと感謝を告げ、舞菜の方から武道館を目指すからそれまで応援してほしいとお願い。えりぴよも元気よく、武道館に行ったら死ぬと宣言して死んでは困ると言われて生きると答え、ウキウキだったがあまりの神対応(これまでに比べて)にリミットを越えてしまい鼻血卒倒。くまさが「身内ですので」とか言いながらえりぴよを回収しようとしているのが地味に笑える。

復活したえりぴよは武道館に行く資金を稼ぐためにパン屋で出世すると意気込んで走り出して映画へ続く。

全部終わっての感想

一応ドラマとしてはちゃんと完結。終盤で抱えていた諸問題はクリアされ、みんな立ち直って前向きに終わり、問題を映画に回さなかったので良かった。善人しかいないという虚構世界のような美化されたアイドル世界はとても綺麗だったが、過酷な現実も知る中の人であるさくら学院→@onefive4人、元乃木坂46、休止中9nineの合計6人は何を思ったのだろうか…。そう、元乃木坂46松村だけでなく、実は休止中(解散扱いにしていないので「元」ではない)9nine村田寛奈も出ていた(スタッフ3人のうちの1番小さい人)。ChamJamが現役アイドル4人と若手俳優3人ながら所属は全員アミューズなのに対して9nine村田寛奈はレプロ。また9nineで最年少だったのでまだ25歳であり、れお役の中村里帆とは2歳差(3学年差)という事を思うと諸行無常感もあった。松村は28歳までアイドルやってたので一応アイドル役でのオファーが来ていてもおかしくはないけどスタッフ役っていう。公式サイトにはスタッフ3人は載っていないので3人とも現場スタッフかと思われたが本人はマネージャー室田役とコメント。あれ…マネージャーだったの…?でもまあ一応名前があるだけ…ね。某朝ドラどんどんでは高校時代に主人公が料理部で活躍した2週間ほどのエピソードで部員の1人として出演していたがまさかの名前設定なし「料理部員」役という扱いだったので苗字だけの「室田」役だけでもマシだ。

男女に恋愛関係が存在しない世界線でメインでやっていたのはテンプレ的なすれ違い系恋愛ドラマのフォーマットというのは構造としては面白かったけど突き詰めるとこの物語には終着点が無い。アイドルとファンという構造上、永遠にすれ違い続けるしか無く、えりぴよと舞菜は友人同士にすらなれないのだから…と考えるとあまり恋愛ドラマ的なフォーマットを入れ過ぎるのも難しいのかもしれない。

舞菜役の伊礼姫奈はアイドルではなく子役上がりの若手16歳だが、アイドルらしい煌めきもあってこれが出世作になりそう。しかし

ただ映画まではいいかなぁ…。原作終わってないし、メジャーデビューの糸口すらつかめていないのに映画で武道館まで行けるとも思えないし結局同じような終わり方にしかならないのでは…。

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