チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像

2014年3月公開。

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海堂尊原作。

2008年秋クール『チーム・バチスタの栄光』、2009年SP『チーム・バチスタ第2弾 ナイチンゲールの沈黙』、2010年春クール『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』、2011年夏クール『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』、2014年冬クール『チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮』と2008年~2011年まで毎年放送され、3年ぶりの連ドラ第4弾に続けて映画での最終作映画だけすっかり見損ねてて10年遅れでようやく見た…10年か…Blu-rayが通常盤のみでスペシャルエディションがまだDVDしかない時代なのな…

当初『チーム・バチスタの栄光』は2008年2月にTBS系で竹内結子、阿部寛主演で制作され、同年秋にフジテレビ系で伊藤淳史、仲村トオル主演でも制作。2009年には竹内結子、阿部寛主演版映画の第2弾『ジェネラル・ルージュの凱旋』が公開され、その翌年にフジテレビ連ドラ版も『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』と同じ原作を使って別キャストで映画と連ドラを別々にシリーズ制作するというややこしい事をやっていた。結局竹内結子、阿部寛主演の映画版は2作で打ち止めとなり、連ドラ版だけがシリーズを重ねていた。今回は連ドラ版が映画になったが当然前の映画2作とは無関係。中には映画シリーズ2作しか知らない視聴者もいたため、一部で混乱もあったようだ。

また『チーム・バチスタの栄光』が海堂尊のデビュー作で、ここから同一世界を基にして登場人物がクロスオーバーする形で1つの世界観を形成する作風となっていったが、田口と白鳥が主人公の作品にこれといった共通のシリーズ名が無く「田口・白鳥シリーズ」とそのまんまな呼ばれ方をされていた。

連ドラ版は1作目の『チーム・バチスタの栄光』の“チーム・バチスタ”という部分をシリーズ名として採用して以降も使用し続けたが、これはドラマオリジナルのシリーズ名である。”チーム・バチスタ”とは本来1作目で描かれたバチスタ手術を行っている7人の手術チームを示す名称で、田口と白鳥の主人公2人は含まれていない。『チーム・バチスタの栄光』で発生した一連の事件によりチーム・バチスタは解体され、2作目以降に”チーム・バチスタ”のメンバーは1人も継続出演していない。対して2作目『ジェネラル・ルージュの凱旋』の”ジェネラル・ルージュ”は救命医・速水晃一(西島秀俊)を指し、速水率いる救命救急センターは以後も存続しているため、以降のシリーズでも出演者がゲスト的に同じ役で再度出演し続けていた。

今作には結果的に『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』の速水率いる救命救急センターメンバーが軒並み再登場(西島秀俊、松坂桃李、木下隆行、加藤あい、戸次重幸)して過去シリーズ出演者の中でダントツ最多となっているほか、『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』に出ていた刑事の玉村(中村靖日)、『チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮』で生き残って失踪していた桜宮すみれ(栗山千明)が再登場する。1作目だけ再登場がいない

田口(伊藤淳史)、白鳥(仲村トオル)は当然全作出演、田口の所属する部署の看護師である藤原(名取裕子)も脇役ながら全作出演を達成した。1作目出演者はこの3人だけであり、3人とも”チーム・バチスタ”ではない。“チーム・バチスタ”マジで関係ねぇ

これといった分かりやすいシリーズ名が無く、原作の「田口・白鳥シリーズ」という主役2人の名前を並べただけの呼び方ではしっくりこなかったのもあるんだろうけど、ドラマ版がこのように2作目以降無関係の”チーム・バチスタ”をシリーズ名にしてしまったのは決定的に違ったんじゃないかとは思う。バチスタ手術が一般に広く知られるきっかけにもなったが、実はバチスタ手術は経過があまり良くなかった事がその後判明してほとんど効果なしとされ、すっかり誰も行わない手術になってしまったという。そんな“終わった”手術の名称使い続けるのはどうなのかっていうところにもなってしまったし…。

というわけでFINALと銘打たれた今作も当たり前のようにバチスタは無関係だし、田口(伊藤淳史)、白鳥(仲村トオル)が暴いてきた事件での活躍は作中でも一部で知られるようになっているが、2人が作中で”チーム・バチスタ”と呼ばれている設定も無い(そもそもコンビ名が無い)。

連ドラ時代から推進してきたAiだがいよいよ日本初となる国際Aiセンター発足を目前に控える中で白鳥の協力者の1人が死亡。地下室に集められた10人の医療関係者のうち9人が死亡し生き残った1人を速水(西島秀俊)の救命救急に運ばれてきた。死因の究明に新型MRI「リヴァイアサン」を使用して殺人トリックを暴いて犯人を追う中で、国際Aiセンター発足のシンポジウムへの脅迫が届き、『4』で生き残って失踪していた桜宮すみれ(栗山千明)が疑われる中、田口に声をかけてきたフリー記者の別宮葉子(桐谷美玲)にも…

田口・白鳥の積み重ねてきた2人の関係の集大成にして、サスペンス色の強い内容。連ドラが毎回10話以上かけて延々と主要人物を怪しく描いて引っ張って…とかなり長々とやるのに比べると2時間で終わる映画は実にスマート。アイツも怪しいこいつも怪しいというのはあるけど、引っ張らずに進むので連ドラよりも店舗良く話が進む印象。これなら連ドラSP完結編でよくね?という感じも…。何でもかんでも映画化の波に乗せればいいってもんじゃねぇ…というのも確実にあると思うけど、変に映画らしいスケール感を無理やり出して派手なアクションだのドッカンだの超巨悪との対決とかやられるよりもシリーズらしさを貫いて最後だからとかドッカンせずに最後を締めたのは良かったと思う。

ただ終わってみると9人殺害事件と脅迫事件は別物でこうなると4作目の続編要素しかない桜宮すみれ(栗山千明)は蛇足だったようにも思う。4作目が3月18日に最終回を迎えたばかりで今作はその月末公開なので記憶が新しいうちにやり残したすみれ(栗山千明)のその後をきちんと描いたというところでは正しく連ドラの続編で、新しい事件の方が新キャスト同士による新事件ではあるんだけどなんだろう…。この構成だとすみれをついでで片づけたというか今こっちの事件が佳境で逃げた真犯人追ってて大変な時に動き出すんじゃねぇよ!っていう…。

あとAiの名称が「リヴァイアサン」なので、作中で連呼されると(特に担当者の生瀬勝久)リヴァイアさん!リヴァイアさん!と何故かAiをさん付けして呼んでいるみたいに聞こえてしまった。

★★★☆☆

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