ドラゴンボールZ とびっきりの最強対最強

1991年7月20日公開。
『ドラゴンボール』通算劇場版第8作。

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Amazon Prime、何故かこの映画だけ悟空がキャンプに行こうとしている場面を切り取った謎サムネになってんの…?

この時点でのアニメはかの有名な「あと5分でナメック星爆発するって言ってるのに何話もかけていた」時期まさにそのままで超サイヤ人になった悟空がフリーザと戦っている最中に決死の引き伸ばしを続けており、完全に追いついてしまっていた原作はほぼ同時期に決着を迎え、アニメでの決着は野球中継による放送休止も駆使して結局9月上旬の放送まで引っ張り続けた…という事でまだフリーザとの戦闘中だったが、今作ではフリーザを倒したとなっていて、当時のアニメより先の話になっている。作中では亀仙人がカメハウスの前の海で修行している悟空を見て悟空がナメック星から戻ってきてまた強くなったと発言している。

時系列では原作/アニメに挟んでも比較的違和感のない、フリーザ戦~人造人間編の空白の3年間の出来事…とする事も出来るが、悟飯の髪がナメック星の時と同じ(悟空が地球に帰還したメカフリーザ来襲時は髪が伸びていた)なので、厳密には矛盾する。悟飯がナメック星の時と同じ髪型だったのはメカフリーザが来襲するより前、本来なら悟空がヤードラット星で瞬間移動の修行をして地球不在だった時期となるので、今作は”みんなと一緒に地球へ即帰還していた”というパラレル設定っぽい。実際今作での悟空は自在に超サイヤ人に変身できない様子で動けなくなるまで追い込まれた末にギリギリで覚醒していたり瞬間移動も使用していない。原作/アニメでは地球への帰還時にトランクスに自分の意志で超サイヤ人に変身できるか聞かれ、最初は無理だったが今は出来るようになったと発言しており、今作はその無理だった時期に該当しているっぽい。なお悟飯の初期衣装の黄色いやつ、映画だと今作でもまだ普段着として使用している(戦闘時はピッコロにもらった衣装に着替えるスタイル)。まだしっぽも生えているし…(悟飯のしっぽは今作が最後)。

3作連続で登場したハイヤードラゴンは今作でも悟飯を乗せて仙豆を取りに行く活躍を見せるが、この後3年後の人造人間編以降の悟飯の成長に伴い、カワイイ子供演出がバッサリ消失。これによってハイヤードラゴンもお役御免となり、今作が最後の登場になった。またOPが旧バージョン(クリリン・ヤムチャ・天津飯の必殺技カットが挟まれ、最後のキメのシーンが初期メンバー)な映画は今作が最後となった。

1990年10月17日に放送されたアニメオリジナルで悟空の父バーダックがフリーザに挑んで殺されたエピソードを描いた1時間のTVスペシャル『たったひとりの最終決戦~フリーザに挑んだZ戦士 孫悟空の父~』を今作では取り込んでおり、冒頭は同作でバーダックがフリーザへの最終決戦を挑んで惑星ごと殺される場面、そして同時期に赤ん坊のカカロット(悟空)が1人用の宇宙船で地球に向けて送り出されていくシーンが登場。ここに新たにクウラ機甲戦隊が一部始終を見ていてさらにカカロット(悟空)の存在もレーダーで確認して撃ち落そうとしていたが、クウラがこれはフリーザが自分で蒔いた種だとしてフリーザもまだまだ甘いと評してあえて撃ち落さずに見逃していた…というエピソードが追加された。

悟空・悟飯・クリリン・ウーロン・ハイヤードラゴンはキャンプに来ていて、クウラ機甲戦隊(サウザー・ドーレ・ネイズ)に急襲される。悟飯とクリリンでは相手にならなかったが、悟空は1対3でも余裕の立ち回り。しかし様子見の戦いをしている間にクウラが登場。フリーザそっくりの容姿に驚いていると、どういうわけか悟飯が迂闊に現場に戻ってくるという大失態。悟飯のしっぽを見たクウラはサイヤ人は皆殺しだと悟飯に破壊光線を発射。かばった悟空は背中を撃たれ、悟飯を抱えたまま墜落しながら反撃の気弾を放つも力尽きてそのまま川にザブン、プスプㇲ煙を出しながら滝壺に飲まれて流れていってしまった。悟空は生きてはいたが背中の負傷で動けなくなり、周囲を破壊して探しまわるクウラ機甲戦隊の目をかいくぐってクリリン・ウーロン・ハイヤードラゴンと合流。洞窟に身を潜め、クリリンとウーロンが残り、スカウターで感づかれてしまうため、ハイヤードラゴンに乗って悟飯がカリン塔へ仙豆を取りに行くことに。

行きはうまくいったがカリン塔を途中から登ったのをカリン様にとがめられてしまう。しかし一緒にいたヤジロベーが仙豆一式セットを勝手にくれて、カリン様も許してくれ、さらにカリン様が食べようとしていたもう1粒もヤジロベーが奪って放り投げてくれた。その1粒は懐にしまい込み、帰路へ。疲れたハイヤードラゴンに仙豆を与えたところ、回復して猛スピードになったためハイヤードラゴンの気さえもスカウターに感知されてしまった。「仙豆でパワーアップしすぎた!」とか言ってたけど、仙豆にパワーアップ効果は無いし、行きに感知されなかったならハイヤードラゴンが出発時の時点でかなり疲れていて全開には程遠かった事に…。

一方的に殺されそうになり、今回戦闘での活躍皆無となってしまった悟飯だが、駆け付けたピッコロは頼もしい強さを見せる。異常な強さで3人がかりのクウラ機甲戦隊の攻撃を受け付けず、悟飯追跡に飛び出したドーレに向かって放った何でもなさそうな溜めも無しの追尾気弾は悟飯の速度を追い越すスピードでドーレを追いかけていき、ドーレが受け止めようとしたところ全く受け止めきれずにそのままドーレは爆死。ネイズが放った電撃で感電させられているのかと思いきや全く効いてなくて近づいてきたネイズを掴むとネイズを感電死させ、圧倒的強さでクウラ機甲戦隊はあっという間にサウザー1人に。ピッコロはサウザー相手にも有利な戦いだったが、サウザーを仕留める前にクウラの背後からの一撃で貫かれ、更なる連続エネルギー弾でやられてしまった

悟飯が仙豆を渡す直前にサウザーが追いついて仙豆袋は焼かれてしまった。激高したクリリンがサウザーに挑むがあっさりやられてしまい、その間に悟飯はヤジロベーからオマケでもらっていた懐のもう1粒を思い出して無事だった最後の仙豆を悟空へ食べさせた。直後に悟飯もサウザーに挑むがクリリン以下の耐久時間で瞬殺されてしまい、悟空がついに復活。

クウラも気絶しているピッコロを抱えて登場し、受け取れと放り投げて更なる追撃という鬼畜っぷり。これで死んでないピッコロが凄ブチ切れた悟空はサウザーの攻撃は受け付けずにあっさり吹き飛ばしてクウラとの戦闘を開始。界王拳なしの白いオーラのみでそこそこ善戦するとクウラはあと1回変身を残しているとして最終形態へ変身(普段フリーザの最終形態の姿で行動している)。悟空はあっという間に追い込まれ、赤いオーラ(界王拳)を発動しても相手にならない。渾身の界王拳かめはめ波(20倍?)に至っては、なんとクウラはかめはめ波の中をノーダメージで突っ込んでくるという圧倒的強さであっさり悟空は戦闘不能に。

高笑いするクウラだったが、悟空はみんなを守れなかった無力さから超サイヤ人へ覚醒。数発だけで素の格闘では勝てないと判断したのかクウラは弟とは違う!と巨大エネルギー弾を一瞬で生成すると地球へ向けて放ち、受け止めようした悟空は超サイヤ人の力をもってしても押されてしまい一気に不利に。1/3近くが地面にめり込む状態まで追い込まれたところで悟空は両手からのエネルギー波で押し返し、直撃したクウラはそのまま太陽まで運ばれ、甘かったのは自分もだったと後悔しながら焼死していくのだった。

安堵する一行はピッコロの姿が見えない事を心配していたがそこに吹っ飛ばされただけなので普通に生きてたサウザーが登場。戦力が残っていない悟空・悟飯・クリリンに襲い掛かろうとしたがどこからともなく魔貫光殺砲が飛んできてサウザーを倒した。技が明らかに魔貫光殺砲(うずまき状)だった事からピッコロの生還を確信する一行、ピッコロは近くの水場で無事な姿を見せて終了。

前作は良く分からないうちに見た記憶があるが、今作はパンフレットも購入してリアルタイムで劇場で見た記憶があり、シリーズで1番思い出深いかも。

この後のアニメオリジナル魔凶星のエピソードでガーリックJr.と戦った際は悟空不在の地球の中で中心の戦力として悟飯が活躍していたが、いかんせん原作での活躍があまりなく、第2形態までのフリーザに怒って突撃した際に猛攻するが結局通じない…このくらいでは映画になるとそんなに活躍できず、戦力外扱いになってしまうか。出番は多いんだけど、3作連続で秘められた力発動も無しで前作のように蹴散らす用の量産型雑魚もいないし、敵幹部相手にも勝負にならないところには悟飯の扱いの停滞感が…。

一方で今作のピッコロは異常な強さ。結果的にクウラ機甲戦隊3人全員をピッコロ単独で撃破していてとんでもない活躍っぷり。戦力的には次回作以降の神と融合してからの方が一時的に仲間最強の座についていた全盛期に当たるはずなんだけど、映画では今作が間違いなく全盛期。

とはいえ当時公開されていたクウラ機甲戦隊の3人の戦闘力は20万未満とされる。ピッコロはネイルと同化で100万以上のフリーザ第1形態と互角に戦っていたし、悟飯も瀕死パワーアップでフリーザ第2形態に通じなかったものの猛攻を仕掛けるほど強くなっていたので、20万未満のクウラ機甲戦隊など余裕で倒せるくらいには2人とも強くなっていたはず(結果的に3人全員仕留めたとはいえピッコロなら全員一撃で行けるレベルだし、悟飯でもさほど苦戦せず倒せたはずではある)。

今作では何故かみんな技名を叫ばずハーッとか掛け声だけで必殺技を繰り出しており、悟空は界王拳使用時も赤いオーラを出すだけで〇倍だぁ!どころか界王拳の名称が出てこない。かめはめ波を撃つ際も「ダァァァァ!!」だけでいきなり放っている。監督が技を出すたびに技名を叫ぶことに否定的だったのだろうか。最後にクウラの技を悟空が押し返した際も今作では技名を叫んでいないが、次回作の回想シーンで取り上げた際にはわざわざ「かぁめぇはぁめぇ波ーーッ」とかめはめ波の技名を叫んでいる新規音声を差し込む再編集をしていた(両手離れていてかめはめ波の構えじゃない…)。

さらにたった一撃背中を撃たれた程度で悟空が全く動けないほどダメージを受けて一晩回復できず完全に仙豆待ちという描写も珍しかったかも。またこれまでは『魔神城のねむり姫』以外は毎回ドラゴンボールを使っていたが、今作ではドラゴンボールが全く登場しなくなった。チョイチョイ新しい部分がある転換期の1作。

★★★★☆

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