2025年冬クール(1月25日放送開始)日本テレビ系「土ドラ9」枠。
原作:西荻弓絵・作画:幾田羊による漫画原作。2020~2022年に『イブニング』で連載されていたが雑誌休刊が決定してそのまま終了してしまい全7巻。ドラマは原作者が自ら脚本を担当している(『ケイゾク』『SPEC』シリーズの脚本でも知られる西荻弓絵だが、それ以外でも脚本を手掛けている)。
1話
灰江(赤楚衛二)は元弁護士の相続探偵で、生前知り合いだったミステリー作家今畠忍三郎(橋爪功)の通夜の席で相続問題を察して首を突っ込む。生前遺されたビデオレターでは秘書の桜庭(髙嶋政伸)に相続させ、娘3人(佐藤仁美/うらじぬの/松井愛莉)は既に散々たかってきたので1円も残さないという内容だったが、言わされているような不自然な点があると指摘。後日、顧問弁護士の福士(落合モトキ)も登場して同じ内容の遺言書が読み上げられるが、灰江は既に医大を休学中の助手の令子(桜田ひより)と元警視庁の鑑定会社社員朝永(矢本悠馬)の協力の元調査を終えており、桜庭による虐待と本当の遺書のありかを突き止めていた。遺産は本当に良くしてくれたお手伝いさんの下島(田中真弓)に一部が相続されて後は全額寄付となり、首謀者の桜庭は悔しがっていたが、娘3人は最終的に納得。さらに今畠が下島に託していた書き下ろし小説は相続探偵の灰江が一連の謎を解き明かしてくれるのを期待して書かれたものでほぼ実際に起こった事が予見されていた。
70代後半の役だったが実際にはもう83歳の橋爪功は声もフガフガして聞き取りにくくなってきてるしさすがに年取ったなぁ…。ルフィ、クリリンでお馴染みの田中真弓は最近こういうちょろっと存在感見せるおばあちゃん役でチョイチョイ見かけるのは何故だ。『虎に翼』『GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜』に続いてこの1年で3度目って遭遇率高すぎ。
赤楚衛二は出演作にほぼ当たった事が無く朝ドラ『舞いあがれ!』以来(朝ドラの後もこれで3年連続連ドラ主演)。子役上がりからここ数年躍進していた桜田ひよりはゴールデン帯の主演orヒロイン枠連投となり本格的にブレイクに至ったか。今回はちょっとカッコいい格闘派の役どころだがバイクを乗り回す役という事でバイクシーンは顔が見えないヘルメットで明らかに代役…。
灰江の父が過去に亡くなっているらしい事や何故令子が休学中なのか、ラスボス感醸し出すラストに登場して福士と話していた謎の人(加藤雅也)など全体を通しての謎も明かされると思われ、この辺りから発展して盛り上がりそうなところで俺たちの戦いはこれからだばりに終わってしまったらしいのでドラマでアレンジしてその先を含めた原作者当初の構想通りに話が終わるのかも気になるところ。
2話
後妻業をやっている疑惑の女、島村紗流(宮内ひとみ)(桜庭ななみからの本名改名独立後最初の出演)の悪事を暴く話。真琴(毎田暖乃)の父が離婚して死んで保険金の受け取りを巡って不審に思った保険会社の鬼頭(矢柴俊博)が依頼しにやってきたが、灰江とは元からの知り合い?なんだか慣れた様子で報酬1000万とか言ってたし。
令子が家政婦の三田輪に扮して潜入という桜田ひよりの2023年の『家政夫のミタゾノ』第6シリーズパートナーネタを思いっきりぶち込みつつ真相に迫っていく一行。最終的にはロシアマフィア絡みで断れなくなっていたという壮大な海外組織ネタになり、日本にない検出されない毒物というアポトキシン並の毒トリック&紗流が見た物全てを映像として記憶できて絵の偽造や筆跡コピーなども可能な特殊能力持ちだと判明したりとミステリー的には反則的な超展開に。組織に目をつけられて抜けられなくなっていた紗流が少し可哀そうな人っぽくなったり、死刑は免れないと容赦無かったりと妙な後味の悪さはこれこそが西荻弓絵原作脚本の本質なのかなといった感じも(『ケイゾク』『SPEC』だとT監督の方が前に出ているし、さらにUプロデューサーがT監督以上に前に出てペラペラ思想を語りだして暴走していたので、実際の脚本である西荻弓絵の存在感はほとんどなかった)。
3話
灰江(赤楚衛二)と朝永(矢本悠馬)は将棋&コーヒー仲間の将棋道具店店主の加藤香車(でんでん)に呼び出されるも行ってみると呼んだ事を忘れているなどボケの兆候が見られていたが程なくして急死。疎遠だった息子の金斗(和田聰宏)も葬儀に駆け付ける中、遺言書が発見されマリーアントワネットに相続させると書いてあった。
という突拍子もない始まりから、香車が最近買い始めた猫の名前がマリーアントワネットだと近くの保護猫カフェ店長のソフィー(トラウデン直美)に惚れていた朝永が突き止め、猫に相続!?となった後、色々調べて行ったら、ソフィーの本名が本庄みゆき、母の名前が本庄マリーアントワネット(シルビア・グラブ)、金斗が14歳の31年前に香車が再婚しようとしたが金斗が反対したため結婚を断念したその人だったと判明。ソフィーが香車の子供というわけではなく、マリーアントワネットは別の人と結婚してソフィーを生んだらしいが、香車はマリーアントワネットの動物保護センターの支援を匿名でずっと続けていて、娘のソフィーの保護猫カフェも支援していたらしい。
実の息子放置ではなく、息子の会社の株は兄弟に頼んで別名義で購入して支援しており、粋な漢だったという事になってしみじみ終了していったが…なかなか超展開な…。マリーアントワネットが長年支援されていたのを知らなかったため、別れた後に交流は途絶えていて一方通行だったと思うんだけど、大昔に別れた男からいきなり遺産までいただくのさすがにちょっと受け取りにくくないか?そもそもそんな遺言もありえなくね?と思ったら、説明台詞だけではなく、わざわざ回想シーンで、灰江に遺言とは最後のラブレターと聞かされた香車が、金斗は会社が成功していて金に困っていないので財産は不要、動物保護センターという社会貢献活動をしているマリーアントワネットには死後も協力したい事を理由にして決めた!と思うがままに遺言を書き始める場面も登場。
とはいえやはり31年前に別れた結婚破綻相手に唐突に全額遺産あげるとか遺言残しちゃうのはやはりボケが深刻な状態だったようにしか思えないけどなぁ…。マリーアントワネットもありがたく受け取れるものなのだろうか。名指しではなく、マリーアントワネット運営の動物保護センターに寄贈なら分かるんだけど。
4話
京都で100年以上の歴史を誇る菓子匠『鳳凰』の大将・紘一(大河内浩)が急死。元婚約者の従業員多津子(床嶋佳子)は実家破綻で釣り合わない事を理由に婚約破棄となり、代わりに雅(山村紅葉)が結婚したが子供が出来ず跡取り問題が生じしてきたためいずれ結婚するのを条件に多津子は紘一の子・野心(白洲迅)を生んだが翌年雅も正臣(小関裕太)を生んだのでいずれ結婚の約束も無くなり肩身の狭い思いをしてきたという。正臣は店に顔も出さず遊び呆けているドラ息子で、紘一の弟子として野心は職人の腕を磨いていた。遺言には全て正臣に相続とあったが、多津子は「『鳳凰』という『ブランド』を正臣に、『作業場』と『売り場』を野心に」と生前聞いていたという事で灰江に依頼が。
一向は京都に出向くが、割と早い段階でいかにも怪しい雅、そして番頭・与平(池田鉄洋)がやけに雅と息の合った嫌味な態度を取ってくる。多津子によれば元々この2人は折り合いが悪かったと聞いた灰江は本物の遺言書を与平が持っていて脅しているのではと推測。あっさり与平と雅を刑務所送りにして本物の遺言書をゲット。「『鳳凰』という『ブランド』を正臣に、『作業場』と『売り場』を野心に」と生前聞いていたのと同じ内容の遺言だった。
野心は新たについてきた従業員と『野心』を開業。『鳳凰』ブランド名だけ残されたが実力のない正臣は失脚するかに思われたが意外とやり手だった正臣は支店連発、安さ重視のお気軽路線でインバウンド需要もかっさらって大盛況と、『野心』側(依頼者の多津子側)の雲行きが怪しくなったところで次回へ続く。同時進行で過去話もやったためかヤケにゆっくりした展開で後編へ続くになってしまった。
同時進行で京都出身の令子が医学部を休業している理由も明かされた。朝永はこの事を知らなかったが、断片的な情報から調べて分かったという形で説明され、令子の父は大学の消化器外科教授で医療過誤を疑われて係争中に急死、マスコミには散々叩かれて娘の令子は引き受けてくれる弁護士がいなくて困っていたところ最後にたどり着いた灰江に相談したという。灰江は弁護士時代これが最後の担当であった事が地鶏(加藤雅也)と福士の会話から判明し、復学の意志を示しに教授に会いに行った令子に”父の一件は裁判で事実無根であった事が証明されたが冤罪への理解が進んでおらず患者や世間の偏見の目は完全に消えてはいない”事を理由に復学はまだ難しいと難色を示される事で裁判には勝ったが何らかの出来事により灰江は弁護士資格を奪われて探偵となり令子がそのまま助手になった事は明かされた。
紘一が急死した際に最後の力でわざわざ息子2人の手を平等に握った事からも、経営に長けた正臣と職人として優秀な野心の2人で力を合わせて『鳳凰』を守れというメッセージなのを露骨に見せてないか…?とも思ったんだけど、それ以上何かある?後編それに気づくまでのドタバタ以外に何か残されているのか…?令子と母の確執解消も同時進行でやるのでそれくらいでも1話分になるか。
5話
菓子匠『鳳凰』の後半+令子と母の確執問題を同時進行、完全別進行で展開。
令子は母沙織(中島ひろ子)と遭遇するも怒ってすぐに帰還。父の冤罪事件の際に医大生だったのでありえない冤罪である事が令子には明確だったが素人の母は憔悴してマスコミに勝手に謝罪してしまい事を大きくしてしまっておりその事をずっと恨んでいたのだった。現在の教授で父の弟子だった長谷川(髙橋洋)にもあの時どうしてかばってくれなかったのかと責める令子だったが、実は母が胃がんだと知らされると動揺。さらに吐血して緊急手術だと聞かされると狼狽して現地入りして確執はすっかり解消され、泣きながら母に寄り添ったり、責めていた長谷川に頭を下げて執刀をお願いしたりして解決。灰江が導いたというより、母の病気は灰江も知っていたわけではないし、『鳳凰』の一件を引き受けたのは京都行きのきっかけになったとはいえ、結局吐血からの緊急手術は京都行きに関係なく、病気を知った途端に令子の感情が怒り<<<<心配に切り替わった以上は何もしなくてもこうなっていた事に…。
『鳳凰』の方は経営の才能はあるが菓子作りの才能がない正臣、菓子作りの才能は父に匹敵するがそれしか出来ない完全な職人タイプで経営素人な野心というのは当初から明確だったように前回は野心の店『野心』が全く流行らなくなったのが伝えられていたが、正臣の『鳳凰』もブランド名だけでネットの評価が低評価連発になり、『野心』は潰れる寸前、『鳳凰』もいずれ潰れるという苦境へ。灰江と朝永が再度出向いてそれぞれに話を聞くも共に頑固、特に元々の依頼者である多津子(床嶋佳子)も向こうに頭を下げるのなんて御免だという態度だし、遍雅(山村紅葉)は強がって勝ち誇っているだけだしで話にならない。最終的には遺言の真相を知りたくはないのか?という灰江の言葉に反応した正臣側を野心の方に連れてくる形で4人を集合させ、本音をぶつけ合ってもらう事に。
やはり頑ななだったが母同士を黙らせつつもやはり正臣側が強気な態度を崩して、野心の菓子の才能を認める形からお前が必要だ、経営は俺が支えるといった形で関係を改善させ、2人が手を組むことになった。ベタででも兄弟が兄弟として信頼し合う感動的な流れではあったが、その背後で母同士が和解しているのはわざとらしさが過ぎるし(山村紅葉に存在感がありすぎてわざとらしくなっちゃうのよ…)、こんな分かりきった結末に2話もかける必要があったのかは…。
6話
灰江の馴染みの銭湯「笑福湯」4代目主人ケンジイこと福田健治(本田博太郎)も高齢となり、娘夫婦に後を継ぐ気はないので存続の危機となっていた。生きているうちに銭湯継続をどうにかしてくれと頼まれて尽力するお話に。幸い、孫である美大生の真央(恒松祐里)が継ぎたいと思っていた事が発覚。覚悟を決めてまず所有している土地の売買を常連で不動産会社の飯山(市川知宏)とその部下の女に頼むが…。
調査の結果、ヒ素が出たという事で問題になり、安くてもとっとと土地を売ってしまおうと言いなりになる両親やケンジイ。しかし灰江、そして飯山がどうも苦手だと感じていた真央は2人で調査。結果、飯山と部下が前科のある詐欺師で偽名だった事を暴いて逮捕劇へ。
完全に騙されかけた両親と違って真央も詐欺を暴く活躍をした一家の救世主なのにこれに懲りてまともに就職しろと言う両親に対して真央は銭湯の改革案をプレゼン。美大で得た人脈を駆使してしっかりしたプランを提示した事で両親も氷解し、ケンジイもノリノリでリニューアルオープンが実現してハッピーエンドとなった。
さすがに1話と3話に続いて知り合いの高齢者が登場するなり急死してするとう展開を3度目となると死神すぎるためか、今回はケンジイは最後まで元気なまま生存。死者が出ない初パターンとなり、生前相続でいい感じにまとまった。ただ本人が生存しているとこれまでのような分かりにくい遺言書を巡ってのトラブルにならないため唐突に詐欺師が出てきてひっかき回してくる展開に…。常連だからとケンジイは信じていたが、聞けばわずか半年程度の常連だったというし、感覚的に怪しいと感じて動いた真央が慧眼だったっていう頼れる5代目な印象を残しつつも、ケンジイの見る目のなさ(衰え?)の方が際立ってしまってちょっと残念だった。
7話
灰江の恩師でワイン仲間の荻久保(佐戸井けん太)教授が最近亡くなった薮内教授(佐野史郎)の七人の隠し子騒動を解決してほしいと依頼してきた。スクープ記事を出そうとしていたのは天敵のフリージャーナリストのハゲタカこと羽毛田香(三浦貴大)だった。ハゲタカはDNA鑑定の裏取りもしていたが、灰江が改めて調査したところ7人全員が元受刑者で、偽物だったと判明。さらなる調査の末、薮内は一卵性双子で双子は縁起が悪いとしてすぐに里子に出された郷田蜆(佐野史郎)の存在が発覚。不幸な境遇をバネに妻子に恵まれて一時の幸せを手にできたものの、境遇への恨みは忘れず妻にも先立たれ、窃盗の犯罪を繰り返す中で、薮内と同じ遺伝性の病気で先が短い事もあって薮内の名誉を落とすために息子の妻鹿夫(柾木玲弥)と共に計画を立案。遺産ではなくあくまで評判を落とすのが目的だったため、刑務所で出会った息子と同年代の若者を使って騒動さえ起こせればそれでよかったらしい。
ハゲタカは利用されたマヌケではあったが、いち早く方針を転換して次なる一手を考えているらしく今回は不穏な動きだけで早めに出番終了。郷田親子の恨みの根源はかつて薮内に会いに行った際に金目当てだろうと言われて札束を投げつけられるというあんまりな体験に根差したものだった。
全員悪役じゃん…という後味の悪さのまま幕引きとなり、ハゲタカの不穏な動きは次回へ続く…となった。
まさかの佐野史郎が2人…という超展開(しかも回想シーンが少し若い時設定なので実際の若い頃よりも前髪の盛られた佐野史郎が2人向き合っているという見慣れない構図)、しかも数年前に大病をして復帰した佐野史郎に死んだ役と死にかけの二役はヘビーだなぁ…。自宅に引きこもっているだけでまさかの出番なしの藪内の妻(筒井真理子)はさすがに次回は出てくるよな…。
8話
薮内教授(佐野史郎)の本当の隠し子だという正樹(小林虎之介)が死んだ母から聞かされたとして事務所にやってくる。調査の結果マジで隠し子だったが『死後認知』の訴えを起こすか、解決金をもらって訴えは起こさないかに悩んだ結果、マスコミ対策もあって何もいらないというほど普通に気のいい青年だった。灰江の勧めでとりあえず実家の維持費だけでも貰うべきだという事で藪内の妻(筒井真理子)と会ったところ、先週はほとんど自宅で無気力で佇んでいたのにあっさり回復しており、薄々感づいていたと言い出すと遺産全部譲ると言い出し、真実も公表すると言い出すのでさすがに公表は…と灰江が止める始末。吹っ切れすぎだろこの人…。
ハゲタカは既にこのネタを掴んで灰江をマークして正樹との写真を撮って記事を執筆していたが、直後に膵臓ガンで余命3ヶ月と発覚。一応ジャーナリスト魂があったらしく、ここに来てこんなことがやりたかった事なのかと原稿を見て自嘲気味に笑い出すが…記事は載ってしまった。激怒して出版社に向かった灰江はハゲタカに遭遇して双方殴り合いとなってしまう。この件をきっかけに令子に過去を話す形で灰江の過去が判明。
18年前にバス事故を起こした灰江の父の和宏(鈴木浩介)は実は育ての父だった事が発覚。事故がいつの間にか和宏の居眠り運転にされてしまい、圧力をかけたのが実の父の地鶏(加藤雅也)だった。意味深に出ていた地鶏がまさかの実の父。和宏が実の父だと思っていた灰江は生物学上の実の父である地鶏を許せず、和宏の無念を晴らすために弁護士となり、証拠も掴んだところで地鶏に横領をでっち上げられ弁護士会を追われた。
地鶏と改めて戦うことを決めた灰江は事務所を畳み、令子は福士の事務所に移籍させ、残った朝永の協力で動き出そうとするがそこに病気の事を隠してハゲタカが組まないかと持ち掛けてきた。ハゲタカは記事を止めようとしたが地鶏の圧力で掲載されてしまった事を告げ、そろそろジャーナリストの誇りを懸けて司法の闇に挑みたいとして地鶏と戦う、5000万の資金もあるが巨悪過ぎるのでバックアップを依頼したいという事で2人が組むことになり次回へ続く。
原作漫画が『イブニング』雑誌休刊でそのまま俺たちの戦いはこれからだばりに終わってしまったらしく、残り2話は”原作漫画では描かれずに終わっていた“気になる続き”を原作者でもある西荻弓絵が自ら執筆!ドラマオリジナルのストーリーを展開!”とされている。原作者自らなので大丈夫だろう…か…?なんかここまでハゲタカを嫌な奴に描き過ぎて、余命3ヶ月で心変わりにしても唐突過ぎた感が…。嫌な奴だけど筋は通ってたとか、もう少し明確に改心を示す場面が無いとどうもなぁ…。
何より藪内の妻、急に元気になってなんか意味深っぽかったのに、正樹と灰江と令子を食事に招待してそれで出番終了?けっこうな騒ぎになってしまったのもその後が全く描かれずに次の話になってしまったし、薮内教授も結局不倫してたけど詳細不明のままって何だったんだよ…。
9話
ハゲタカと協力して育ての父和宏(鈴木浩介)のバス事故の無念を晴らすため実の父である権力者地鶏(加藤雅也)の悪事を暴く展開に。ひとまず情報共有していたが、ハゲタカはバス事故周りの話や地鶏が裏で手を回していた事は知っていたが、灰江が弁護士を追われた横領事件も地鶏によるでっち上げだった事は今初めて察したらしく、さらには地鶏が実の父だというのは全く知らなかった様子。最終的に今まですまなかったと死亡フラグ謝罪をしていたが、灰江の周りとイヤ~な感じでうろついてたのって“横領で弁護士を追われて相続探偵やっている”っていう胡散臭さだけで絡んでたのかよ…。
今回は基本的に追っているだけで大きな進展はなく、バス事故の裁判を担当した元裁判官煤田(水橋研二)の証言を得て国家賠償請求を行うという目的と道筋が示されるも、地鶏が繋がっているザ・権力者がわらわら出てきて巨悪との戦い定食みたいな展開に…。司法が腐っている権力との戦いだみたいな流れは『SPEC』の時は表に出てくる植田Pがやたら主張していた印象だったが、その話を実際に書いた脚本家はこの人なわけでやはり権力者巨悪思想路線に行きがちなのだろうか。
ハゲタカが出そうとした記事は全て潰され、オールドメディアはダメだならばSNSだ!といういかにもなやり方、さらにはハゲタカが朝永をチーギュウ呼ばわりするとか、立派なオールドメディア日テレもそこまでインターネッツに毒されなくても…。
地鶏が灰江を呼び出してついにドラマ上では初対面となったがザ・ラスボス感全開に脅してくるだけ。何故実の息子にここまで攻撃的なのかは全く明かされず、目的が全く見えない。割と余裕あるというかうざいんで潰しておくかくらいで命もなんとも思ってなさそうなのは明白なのに何故か灰江もハゲタカも「効いてる効いてる」「これは奴らが焦っている証拠だ」って正気か君たちは。
令子は別行動で福士の事務所を結局辞めると煤田の元に遺言書片手に乗り込んで命がけの脅しでここで死ぬとかワケのわからん気迫で無理やり従わせようとする奇行に。さらに死亡フラグ立てまくりなハゲタカも掴んだ証拠を郵送して自身は組織に拉致され消息不明に。灰江の元には遺言書と書かれたハゲタカからの証拠が届いた。さらに灰江の母は意味深に和宏の仏壇から遺言書を取り出し…といくら遺言書のドラマだからって無理やり遺言書を出してきてサブタイトル「三つの遺言書」って。
10話
ハゲタカは病院送りになり発見され意識不明のふりをして駆け付けた灰江に後を託す。自身をわざと襲わせてその証拠映像を撮影しており、その犯人が浅葉の孫(地鶏が政略結婚した妻の父親で元総理のドンが祖父)と解析される。このバカ孫、元々ハゲタカが「女性が死亡した薬物乱用パーティーに参加」というネタを掴んでいて、もみ消すためにドンが地鶏に手を回すよう依頼していたというものだが…。それにしたってなんでエージェント雇わずにエージェントと一緒にバカ孫本人が襲撃の主犯として参加してんだよ…。結局このネタは世間への拡散用に使用されただけで、これで地鶏の黒い噂を立てて、そこを足掛かりにして灰江がバス事故の件の訴訟を起こして、地鶏の圧力があった事を認めさせる裁判に打って出る流れになったので浅葉関連への言及も出番も終了。
ここに至るまでに灰江と朝永が1度逮捕されるという追い込まれ展開もあったが、朝永がデータを消していたので何も出てこずすぐ釈放。福士も裁判に協力してくれた(添削をやってくれただけで弁護士としては協力できず傍聴には変装してこっそり応援参加)。裁判では煤田もしっかり証言。しらばっくれようとする地鶏に灰江は実の息子だと明かしたうえで、今まで判明していなかった地鶏の動機を説明。子供が出来なかったので灰江を引き取ろうと何度も和宏(鈴木浩介)に話を持ち掛けて断られた結果、逆恨みして潰そうと考えたらしい。なおバス事故自体は実際に起きたものなのでこれを和宏死亡をいい事に居眠り運転だった事にしてしまうという死者の名誉を棄損するという怨みっぷり。
最後は灰江の挑発に乗ってあっさりと圧力の何が悪いと口走って圧力を認めてしまったので委縮していた裁判官も世論も手伝って灰江の全面勝利で裁判終了。灰江は最後に事前に和宏が遺していた遺言書を見せるとそこには断った時に声を荒げた事で地鶏を傷つけてしまったかもしれないと書かれており、灰江には誰も恨まずにいてほしいと書かれていた。佇む地鶏で出番終了。
勝訴をニュースで聞いたハゲタカは力尽きて御臨終。結局今回そのまま病院で寝ているだけで終わってしまい、先の襲撃で殺されてても殺されてなくてもあまり変わらなかった事に…。確かに彼の役割はここまでで終了しているし、殺されて終わる後味の悪さよりは伏線になってた病死の方がマシだけどさ。裁判が終了して、ハゲタカを弔った後に令子は大学に戻り、朝永はフランスの科捜研に行くと言い出し、灰江は1人で弁護士に戻って相続探偵を続けている様子で大団円。
全部終わっての感想
浅葉関連など本筋に関係ない本筋にからめるためのネタは深掘りせず放置し、地鶏以外の権力者も前回ゾロゾロ出したけど全部放置、地鶏のシンプルな動機も明かされ、みんな活躍して勝って大団円と考えうる完結を、原作漫画で出来なかったという完結を分かりやすい勧善懲悪でもって大きな破綻も無く足早にやりきった感じか。時間内に綺麗にまとめて綺麗に終わった感じ。
原作の絵柄に寄せた3人のビジュアル、原作者自らによる脚本で原作の俺たちの戦いはこれからだENDの「これから」をしっかり書いて終わらせる事が出来た意味は大きいと思う。
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