相続探偵 1~4話

2025年冬クール(1月25日放送開始)日本テレビ系「土ドラ9」枠。

原作:西荻弓絵・作画:幾田羊による漫画原作。2020~2022年に『イブニング』で連載されていたが雑誌休刊が決定してそのまま終了してしまい全7巻。ドラマは原作者が自ら脚本を担当している(『ケイゾク』『SPEC』シリーズの脚本でも知られる西荻弓絵だが、それ以外でも脚本を手掛けている)。

1話

灰江(赤楚衛二)は元弁護士の相続探偵で、生前知り合いだったミステリー作家今畠忍三郎(橋爪功)の通夜の席で相続問題を察して首を突っ込む。生前遺されたビデオレターでは秘書の桜庭(髙嶋政伸)に相続させ、娘3人(佐藤仁美/うらじぬの/松井愛莉)は既に散々たかってきたので1円も残さないという内容だったが、言わされているような不自然な点があると指摘。後日、顧問弁護士の福士(落合モトキ)も登場して同じ内容の遺言書が読み上げられるが、灰江は既に医大を休学中の助手の令子(桜田ひより)と元警視庁の鑑定会社社員朝永(矢本悠馬)の協力の元調査を終えており、桜庭による虐待と本当の遺書のありかを突き止めていた。遺産は本当に良くしてくれたお手伝いさんの下島(田中真弓)に一部が相続されて後は全額寄付となり、首謀者の桜庭は悔しがっていたが、娘3人は最終的に納得。さらに今畠が下島に託していた書き下ろし小説は相続探偵の灰江が一連の謎を解き明かしてくれるのを期待して書かれたものでほぼ実際に起こった事が予見されていた。

70代後半の役だったが実際にはもう83歳の橋爪功は声もフガフガして聞き取りにくくなってきてるしさすがに年取ったなぁ…。ルフィ、クリリンでお馴染みの田中真弓は最近こういうちょろっと存在感見せるおばあちゃん役でチョイチョイ見かけるのは何故だ。『虎に翼』『GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜』に続いてこの1年で3度目って遭遇率高すぎ

赤楚衛二は出演作にほぼ当たった事が無く朝ドラ『舞いあがれ!』以来(朝ドラの後もこれで3年連続連ドラ主演)。子役上がりからここ数年躍進していた桜田ひよりはゴールデン帯の主演orヒロイン枠連投となり本格的にブレイクに至ったか。今回はちょっとカッコいい格闘派の役どころだがバイクを乗り回す役という事でバイクシーンは顔が見えないヘルメットで明らかに代役…。

灰江の父が過去に亡くなっているらしい事や何故令子が休学中なのか、ラスボス感醸し出すラストに登場して福士と話していた謎の人(加藤雅也)など全体を通しての謎も明かされると思われ、この辺りから発展して盛り上がりそうなところで俺たちの戦いはこれからだばりに終わってしまったらしいのでドラマでアレンジしてその先を含めた原作者当初の構想通りに話が終わるのかも気になるところ。

2話

後妻業をやっている疑惑の女、島村紗流(宮内ひとみ)(桜庭ななみからの本名改名独立後最初の出演)の悪事を暴く話。真琴(毎田暖乃)の父が離婚して死んで保険金の受け取りを巡って不審に思った保険会社の鬼頭(矢柴俊博)が依頼しにやってきたが、灰江とは元からの知り合い?なんだか慣れた様子で報酬1000万とか言ってたし。

令子が家政婦の三田輪に扮して潜入という桜田ひよりの2023年の『家政夫のミタゾノ』第6シリーズパートナーネタを思いっきりぶち込みつつ真相に迫っていく一行。最終的にはロシアマフィア絡みで断れなくなっていたという壮大な海外組織ネタになり、日本にない検出されない毒物というアポトキシン並の毒トリック&紗流が見た物全てを映像として記憶できて絵の偽造や筆跡コピーなども可能な特殊能力持ちだと判明したりとミステリー的には反則的な超展開に。組織に目をつけられて抜けられなくなっていた紗流が少し可哀そうな人っぽくなったり、死刑は免れないと容赦無かったりと妙な後味の悪さはこれこそが西荻弓絵原作脚本の本質なのかなといった感じも(『ケイゾク』『SPEC』だとT監督の方が前に出ているし、さらにUプロデューサーがT監督以上に前に出てペラペラ思想を語りだして暴走していたので、実際の脚本である西荻弓絵の存在感はほとんどなかった)。

3話

灰江(赤楚衛二)と朝永(矢本悠馬)は将棋&コーヒー仲間の将棋道具店店主の加藤香車(でんでん)に呼び出されるも行ってみると呼んだ事を忘れているなどボケの兆候が見られていたが程なくして急死。疎遠だった息子の金斗(和田聰宏)も葬儀に駆け付ける中、遺言書が発見されマリーアントワネットに相続させると書いてあった。

という突拍子もない始まりから、香車が最近買い始めた猫の名前がマリーアントワネットだと近くの保護猫カフェ店長のソフィー(トラウデン直美)に惚れていた朝永が突き止め、猫に相続!?となった後、色々調べて行ったら、ソフィーの本名が本庄みゆき、母の名前が本庄マリーアントワネット(シルビア・グラブ)、金斗が14歳の31年前に香車が再婚しようとしたが金斗が反対したため結婚を断念したその人だったと判明。ソフィーが香車の子供というわけではなく、マリーアントワネットは別の人と結婚してソフィーを生んだらしいが、香車はマリーアントワネットの動物保護センターの支援を匿名でずっと続けていて、娘のソフィーの保護猫カフェも支援していたらしい。

実の息子放置ではなく、息子の会社の株は兄弟に頼んで別名義で購入して支援しており、粋な漢だったという事になってしみじみ終了していったが…なかなか超展開な…。マリーアントワネットが長年支援されていたのを知らなかったため、別れた後に交流は途絶えていて一方通行だったと思うんだけど、大昔に別れた男からいきなり遺産までいただくのさすがにちょっと受け取りにくくないか?そもそもそんな遺言もありえなくね?と思ったら、説明台詞だけではなく、わざわざ回想シーンで、灰江に遺言とは最後のラブレターと聞かされた香車が、金斗は会社が成功していて金に困っていないので財産は不要、動物保護センターという社会貢献活動をしているマリーアントワネットには死後も協力したい事を理由にして決めた!と思うがままに遺言を書き始める場面も登場。

とはいえやはり31年前に別れた結婚破綻相手に唐突に全額遺産あげるとか遺言残しちゃうのはやはりボケが深刻な状態だったようにしか思えないけどなぁ…。マリーアントワネットもありがたく受け取れるものなのだろうか。名指しではなく、マリーアントワネット運営の動物保護センターに寄贈なら分かるんだけど。

4話

京都で100年以上の歴史を誇る菓子匠『鳳凰』の大将・紘一(大河内浩)が急死。元婚約者の従業員多津子(床嶋佳子)は実家破綻で釣り合わない事を理由に婚約破棄となり、代わりに雅(山村紅葉)が結婚したが子供が出来ず跡取り問題が生じしてきたためいずれ結婚するのを条件に多津子は紘一の子・野心(白洲迅)を生んだが翌年雅も正臣(小関裕太)を生んだのでいずれ結婚の約束も無くなり肩身の狭い思いをしてきたという。正臣は店に顔も出さず遊び呆けているドラ息子で、紘一の弟子として野心は職人の腕を磨いていた。遺言には全て正臣に相続とあったが、多津子は「『鳳凰』という『ブランド』を正臣に、『作業場』と『売り場』を野心に」と生前聞いていたという事で灰江に依頼が。

一向は京都に出向くが、割と早い段階でいかにも怪しい雅、そして番頭・与平(池田鉄洋)がやけに雅と息の合った嫌味な態度を取ってくる。多津子によれば元々この2人は折り合いが悪かったと聞いた灰江は本物の遺言書を与平が持っていて脅しているのではと推測。あっさり与平と雅を刑務所送りにして本物の遺言書をゲット。「『鳳凰』という『ブランド』を正臣に、『作業場』と『売り場』を野心に」と生前聞いていたのと同じ内容の遺言だった。

野心は新たについてきた従業員と『野心』を開業。『鳳凰』ブランド名だけ残されたが実力のない正臣は失脚するかに思われたが意外とやり手だった正臣は支店連発、安さ重視のお気軽路線でインバウンド需要もかっさらって大盛況と、『野心』側(依頼者の多津子側)の雲行きが怪しくなったところで次回へ続く。同時進行で過去話もやったためかヤケにゆっくりした展開で後編へ続くになってしまった。

同時進行で京都出身の令子が医学部を休業している理由も明かされた。朝永はこの事を知らなかったが、断片的な情報から調べて分かったという形で説明され、令子の父は大学の消化器外科教授で医療過誤を疑われて係争中に急死、マスコミには散々叩かれて娘の令子は引き受けてくれる弁護士がいなくて困っていたところ最後にたどり着いた灰江に相談したという。灰江は弁護士時代これが最後の担当であった事が地鶏(加藤雅也)と福士の会話から判明し、復学の意志を示しに教授に会いに行った令子に”父の一件は裁判で事実無根であった事が証明されたが冤罪への理解が進んでおらず患者や世間の偏見の目は完全に消えてはいない”事を理由に復学はまだ難しいと難色を示される事で裁判には勝ったが何らかの出来事により灰江は弁護士資格を奪われて探偵となり令子がそのまま助手になった事は明かされた。

紘一が急死した際に最後の力でわざわざ息子2人の手を平等に握った事からも、経営に長けた正臣と職人として優秀な野心の2人で力を合わせて『鳳凰』を守れというメッセージなのを露骨に見せてないか…?とも思ったんだけど、それ以上何かある?後編それに気づくまでのドタバタ以外に何か残されているのか…?令子と母の確執解消も同時進行でやるのでそれくらいでも1話分になるか。

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