槇原敬之 35周年シングル回顧2+~ソニー時代 1997-1999~

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1997年からはソニーへ移籍。当初はメインレーベルのSony Recordsだったが、1998年に派生レーベルSMEが発足し、そちらへ移動となった(この当時はまだSME独自品番SECLを使用していないので品番はSRCLのまま)。

ソニーではシングル6枚、オリジナルアルバム2枚、カバーアルバム1枚をリリース。当然何もなければそのまま在籍していたと思われるが、『Cicada』のヒット中の1999年8月26日覚せい剤所持により逮捕。その際に一緒に捕まった男性の”友人”が恋人であったとワイドショー、週刊誌レベルで騒がれるなど逮捕以外のプライベートな部分も暴露される形となり、大きな事件となった。事件によりCDは一時的に全回収となり、予定されていた『Cicada』を引っ提げてのツアー「Shadow Pictures’99」も中止となった。このツアー予定は『Cicada』に封入されている告知チラシで確認する事ができる。日本武道館・名古屋レインボーホール・横浜アリーナをそれぞれ2days、北海道公演(真駒内アイスアリーナ)もあれば最後は大阪フェスティバルホール3daysと9~11月まで15公演開催予定のアリーナ規模だっただけに中止で大損害、事務所が借金を抱えたというのもうなずける。また逮捕CD回収の謎文化は今作以降定型化したとも言われている(諸説はあるが確かに回収自体が大きくニュースになっていて回収直前にみんな買いに行って再ランクインとかもあったので当時を生きていれば覚えている人が多い側面はあると思う)。

事件を境にして作風は大きく変わる事となったが、ラブソング、ライフソングという2つの軸で考えたとき、ソニー時代は確かにラブソングに属する曲は多いんだけどこれまでとは少し毛色の違う、事件後ともまた違う新しい境地で達観したような大きな愛を歌った楽曲も多く、30歳を迎えるにあたって次の方向性を模索していた様子も伺える。

後に逮捕されてホッとしたとか良かったとか更生できたと語っているように私生活が荒れていた(『槇原敬之の本』では責任感の無い状態で遊ぶようになっていたと表現)、また個人事務所立ち上げの際にそれまでのマネージャーを社長兼マネージャーに据えたものの業務に意欲を見せなくなり不信感が募る一方となった挙句、逮捕からの復帰前後の時期に1億円横領が発覚し(ツアー中止で事務所が借金を抱えたので監査が入った事で明るみに出た)、犯行は1998年頃から行われていた事が判明するなどかなり混沌とした状況下にあったという。

このようなストレス多い&秘密を抱えていた時期だからなのか分からないがソニー時代3年間でかなり大胆に髪型が変わっており、移籍時7月の『素直』のジャケ写で丸坊主にしたかと思えばその年の11月末『Such a Lovely Place』では金髪モヒカンヘアーという史上最もファンキーなスタイルになっており、逮捕前までにかけては少し長めのストレートな黒髪へと変貌していた。

またこの時代はアマチュア時代の録音担当としてコンビで音源制作を行っていた沢田知久がプロのエンジニアとなり全面起用していた(クレジット上『Ver.1.0E LOVE LETTER FROM THE DIGITAL COWBOY』に記載されている複数のエンジニアの中のトップに沢田の名前がありこれが最初)。学生時代のゴールデンコンビが復活していた時期でもある。

ワーナーでの復帰後2000年に『NORIYUKI MAKIHARA SINGLE COLLECTION』、2002年に「北風~君に届きますように~」「太陽」「桃」をワーナーから引っ張ってきて『Song Book“since 1997~2001”』、2003年にはアルバム3枚とクリップ集DVDをセットにした『槇原敬之BOX 1997~1999』(パッケージ表記上は『マキハラノリユキボックス』)がリリース…とやたら擦られた挙句に2007年に「素直」がCMに起用されると『Such a Lovely Place』を再発したりと、逮捕による契約打ち切りだった事もあり、ソニーからはベスト、BOX、再発が相次いだ一方であくまで既存音源の再利用に留まっており、『Such a Lovely Place』『Listen To The Music』『Cicada』のリマスター再発は行われていない

2011年のトリビュートアルバム『We Love Mackey』はソニーからリリースされており、自主レーベルBuppuではソニーが流通を担当したために2011年『Heart to Heart』からの作品はSony Music Shopでも販売を行っていて、リアルタイムでのソニーとの関与が復活した(ただしソニーのディスコグラフィーの方には非掲載)。これと同時にソニーからのベストや再発はされなくなった。

配信においてはソニー時代の楽曲のみで構成された作品は全て配信されているが、他社が混ざったベスト盤『Song Book“since 1997~2001”』は未配信。また他社からリリースされたソニー時代の曲が収録されたベスト盤『Completely Recorded』『Best LOVE』『Best LIFE』も未配信となっている。

2014年 『槇原敬之 ソニー時代 1997-1999 レビュー』として公開
2020 30周年用にリメイクに入る直前に2度目逮捕により中止
2025.12~2026.1 35周年を記念してブログ移植リメイク

17th 素直

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1997年7月30日
ソニー移籍最初のシングル。特に何か反省するような事をやらかした後というわけではない。しかしまさかの丸坊主姿のジャケット写真はさながら囚人のようで、後追いでこのジャケットを見ると今作が事件からの復帰シングルだったのかと勘違いしてしまう。単なる移籍1発目のシングルである。

初登場12位とトップ10入りは逃し、2週目には24位と落としたものの3週目は26位で以降の推移も緩やかで6~11週は50~60位台に停滞するなど下位で粘る推移で100位内12週ランクインとなり、これは次回作の10週よりも長い。売上は14万枚まで伸ばして前作とほぼ同等だった。

素直

アステル東京CMソング。移籍1発目とは思えない全てを削ぎ落としたピアノ弾き語りバラード。童謡的な要素もあるようなシンプルなメロディーを静かに歌い上げていく。恐ろしく地味なんだけど何故かとても心に響く曲だ。ピアノ1本の勝負バラードって本人の思い入れの強さに反してそこまででもなくない?と思ってしまう事がほとんどなんだけど今作だけはピアノ1本が最良にして最高、これ以上ない究極のピアノ1本バラードだと思う。『Best LOVE』ライナーによれば“さびしがりや”という言葉を入れてほしいというCMサイドの要求にその言葉がイマイチ好きではないとして1度は断ったがそれでも再度依頼してきてくれたので“さびしがりや”が素敵に聞こえるような曲にしようと考えて作られた事も後に明かされている。ただCMソングとしてのOA期間は“とても短い間で終わった”とも振り返っているのでよほどだったのだろうか。確かにCMの印象無いけど…

Album Versionでは音数が増えているがなんだか少し余計に感じられてしまいシングルほどのシンプルに通ってくる感じが無い。2011も同じく少し音を足しているんだけど、結局1番この曲が響くのはピアノ1本のシングルバージョンだったと思う。

チャート推移から当時も少しじわじわ広がっていくような動きの痕跡が見えるが、後年さらに評価が高まった感があり、2007年にはバンホーテン『ピュア・ココア』CMソングとしてAlbum Versionが使用されたのもあってか『Best LOVE』にソニー時代からは「Hungry Spider」と並んで選曲された。続けて2010年にはJR東日本・東北新幹線全線開通CMソングにも起用され、2011年~2015年にかけてトリビュートアルバム『WE LOVE MACKEY』福原美穂が今作を担当したのに続いて、自身のカバーアルバムで河口恭吾、清水翔太、柴咲コウが相次いで取り上げるなど10年経ってからトピックが相次いだ時期があった。また2018年にスキマスイッチがピアノ1本の「未来花」を制作した際に発売当時の今作に衝撃を受けた事を語っていた
★★★★☆
8thアルバム『Such a Lovely Place』(Album Version)
6thベスト『SINGLE COLLECTION~Such a Lovely Place 1997-1999~
7thベスト『Song Book“since 1997~2001”
8thベスト『Completely Recorded
9thベスト『Best LOVE
41st(販路限定)シングル『林檎の花』C/W(2011 Version)
4th配信限定ライブアルバム『マキハラボ』(Live)

C/W 情熱

渋めのファンクナンバー。音楽的に攻めても複雑な曲でもある程度のキャッチーさは意識されていた今までと違って、マニアックさが強くてあまり親しみやすくない…というのも今までにあまり無かったように思う。新境地を感じる1曲。情熱というわりにはあまり熱いナンバーではなく、何とも煮え切らない感じが聞いててモヤモヤしてくるところは槇原流の情熱なのか。昔はあまり好きじゃなかったけど、サウンドにハマれる1曲に変わった。

Album Versionではサウンドの趣味性を高めるかのように全面リアレンジされて音数が増えておりこのモヤモヤ感をさらに強調したような仕上がり。
★★★☆☆
8thアルバム『Such a Lovely Place』(Album Version)
6thベスト『SINGLE COLLECTION~Such a Lovely Place 1997-1999~

18th モンタージュ

B00005G9SL
1997年10月29日
前作から3ヶ月、ジャケットの一部に近影が写し出されているが坊主からそのまま伸ばしたようで短髪ながらほぼ以前のイメージに戻ってきている。ドラマタイアップもあり、初登場9位となり前2作で逃していたトップ10復帰で登場週数は10週で前作を下回るが前作を上回る18万枚の売上。ソニー時代では2番目のヒットとなった。

モンタージュ

江角マキコ主演日本テレビ系ドラマ『恋の片道切符』主題歌。相手役が稲垣吾郎だった。視聴率は平均15%を下回り当時としてはあまりヒットしなかった。この同じ秋クールでは木村拓哉が月9『ラブジェネレーション』で30%越え大ヒット、この年初めて連ドラ主演したSMAP最後の主演男草彅剛が2作目の主演『成田離婚』でも18%くらいは取っていたのでSMAPのドラマの中でも稲垣吾郎の出演作だけあまり話題にならない…という流れになってきていた。

これまでに比べると実験的なシングルやこれまでのようなラブソングを脱却しようという試みが目立つソニー時代のシングルでは最もワーナー時代のイメージに沿ったヒット性が高い王道的なポップチューン。Aメロからやたらキーが高いけどその分だけとてもクリアなボーカルが印象的で主人公のピュアさが強調されている。とはいえこれまでと同じというわけでもなく、ラブソングではあるが顔も思い出せない一目惚れ…というか一目惚れした感覚だけが残っている相手へあれやこれや思いを巡らせるという歌詞の内容はやはり今までとは少し着眼点が異なる気がする。”自分の耳が赤くなっていく音を聞いた”など斬新な表現も。
★★★★☆
8thアルバム『Such a Lovely Place
6thベスト『SINGLE COLLECTION~Such a Lovely Place 1997-1999~
7thベスト『Song Book“since 1997~2001”
8thベスト『Completely Recorded

C/W 僕のものになればいいのに

「情熱」に続いて渋い雰囲気の曲で何ともスッキリしないモヤモヤまったり系の楽曲。タイトルだけ見ると表題曲のダークサイド的な心情を歌った裏モンタージュ的な曲にも見えるが、今作ではお互いがお互いを認識した関係性で相手に恋人がいると言いながら思わせぶりな態度をとる相手に気持ちを抑えきれない主人公の葛藤が歌われる。そういう意味では楽しいだけではない裏側をリアルに描いたラブソングか。

ワーナー時代のC/Wは王道的なバラードが多かっただけに30歳を目前に控えて次の境地へ行こうとしていたのが良く分かる。ただ『Such a Lovely Place』は好きなアルバムだけどこの曲が1番下の印象にはなってしまう。
★★★☆☆
8thアルバム『Such a Lovely Place
6thベスト『SINGLE COLLECTION~Such a Lovely Place 1997-1999~

うたたね

1997年11月27日
From 8thアルバム『Such a Lovely Place
アルバム冒頭を飾る穏やかな1曲。これまでの量産型バラードとは異なる文字通りうたたねしてしまいそうな夢の中を漂っているような穏やかな雰囲気がひたすら心地いい。先行したシングルでは幸せな曲は無かったが、このアルバムでは愛の境地にたどり着いたようなところから始まる。過去を回想しつつ、どこか自分自身を幽体離脱して空中から眺めているような感じも。
★★★★☆
2ndライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA“cELEBRATION”』(Live)

Fan Club Song

1997年11月27日
From 8thアルバム『Such a Lovely Place
ファンクラブの曲ではなく、恋人同士の関係をファンクラブに例えたユニークなラブソング。大きな愛や抽象的な描写が多いアルバムの中では以前に近いポップロック調のキャッチーなラブソング。アルバムでは「印度式」が全て持っていってしまったため割と普通の曲に聞こえるが、今までであれば今作がアルバムの中の遊び枠になっていたと思う。

3回出てくるサビの歌詞は全て同じだが、サビの真ん中で出てくる”おまけ”の表記が3回すべて異なり、1番は”特典おまけ“、2番は”オマケ”、最後は”おまけ”となっているのもちょっとした遊びだろうか(歌詞サイトによってはこの違いが反映されていないのもある)。
★★★★☆

印度式

1997年11月27日
From 8thアルバム『Such a Lovely Place
「まだ生きてるよ」は普通の曲だった、と思えるほどの破壊力を持った槇原史上最大の超怪曲“ワキ・スネ”といいきなりおかしすぎるコーラス、へぼん(平凡)な毎日じゃつまりませーん美容部員と相撲部員と男なのにボインをひっかけた韻踏みというか最早ダジャレ、怪しいセールスのような間奏の謎ラップと衝撃展開に次ぐ衝撃展開で、歌詞もこのままじゃモテないからと飛躍してホルモン注射や脂肪吸引にハマった2010年代のぱみゅぱみゅ風に言うところの美容モンスターな男をコミカルに描いている(?)。正直意味不明&完全にラリっている

これまでもお遊び曲はあったが、今作に関してはあまりにぶっ飛んでて楽しいというより唖然とした。1998年中学2年生当時、発売からちょうど1年後のタイミングでアルバムを名作だと言って貸してくれた友人も渡す前に「印度式はマジヤバいから」、渡しながら「マジヤバいから印度式」、渡した後も「印度式はホントヤバイ」、去り際にも「とにかく印度し(以下略)」とこの曲のヤバさを連呼しながら貸してくれたので一体どんなヤバイ曲なのかと思ったら友人のあの連呼は誇張じゃなくてマジでヤバイ曲だった。友人は同時に「曲はいいけどマッキーの髪型がヤバい」「ジャケットに3人もいるのがまずやべぇ」とも言っていた。確かに囚人風坊主姿で始まった記憶が鮮明だったソニー時代だが、その4ヶ月後であるアルバムアートワークにおいては金髪モヒカンという槇原史上最大にファンキーに攻めまくりなスタイルになっていた。つーか髪伸びるの早くね?翌年『Listen to the Music』のジャケ写では元の黒髪に戻っており、その後逮捕前までにもう少し伸びていた。逮捕される前は”混沌とした状況”だったと語っている槇原だが、確かに髪型だけ見ても短期間でこんだけコロコロ変わっているのでかなり落ち着きのない状態だったことはうかがえる。この曲が出た直後に逮捕されていたら…そしてもっとインターネットが普及した後だったら「Hungry Spider」以上に、というか「Hungry Spider」なんてすっ飛んでこの曲こそがクスリの影響だと言われてただろうな…。

当時ネタ曲として気に入っていたのか、今作にコーラスやガヤで参加したスタッフ勢からThunder Babiesに発展したのか2年後の『Cicada』初回盤8センチCDにほとんど説明なしで収録されたThunder Babies「待ってたぜBaby!」では今作の間奏ラップが引用されていた。

『Song Book“since 1997~2001”』は明らかに非公認作で選曲に本人関与は無いと思うんだけど今作を選んだソニー担当者誰だもうだいぶインターネットが普及してきた後だったのでヘタに蒸し返されて”発見”されてたらヤバかっただろ潰す気か
☆(へぼんな☆じゃつまりませーん)
7thベスト『Song Book“since 1997~2001”

Such a Lovely Place

1997年11月27日
From 8thアルバム『Such a Lovely Place
イントロを聞くたびに何か1つの物語が終わるような、果ての果てまで到達した感覚になる。具体的に到達したような表現はないんだけど、何か1つの愛の境地を悟ったような、ここでちゃんと根を張っている、ここにもちゃんと愛はある、というなかなかたどり着けそうにないような場所に今確かにいる事を感じられたような…。

間奏のギターソロが奏でているメロディーが「うたたね」のサビメロという1曲目がリフレインする演出も感動的だ。大きな愛と優しさに満ちた大名曲

ライフソング以降で顕著になった教訓の説明文とか全部不要で、これ1曲提示すればライフもラブもひっくるめて救済できるくらい全てが詰まった曲だと思う。最高傑作

実際には当時焼身自殺した友人に向けて書いた曲とされており、冒頭の内緒で出ていった君を誰も裏切ったなんて思っていないというくだりもその事を示唆しており、別の世界でLovely Placeにたどり着いてほしいという思いが込められていたようだ。
★★★★★×2
7thベスト『Song Book“since 1997~2001”
1st配信限定ライブアルバム『MAKIHARA NORIYUKI SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT “cELEBRATION 2015”~Starry Nights~』(Live)

19th 足音

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1998年1月21日
『Such a Lovely Place』収録曲のシングルカット。『まだ生きてるよ』と同じ1曲+カラオケでC/W曲は無い。『まだ生きてるよ』と同価格の税抜き777円だったがこの間に消費税が3%→5%に変わっていたので『まだ生きてるよ』の時は800円だったのが今作時は816円と中途半端な値段になっている。アルバムに3059円という中途半端な値段がしばらく一般的になっていたのも3%で3000円だったのが5%になったためである。5%→8%→10%の流れから現在に至るまでは物価高騰を理由にするにも苦しすぎる異常な便乗値上げや特典付属で価格が界王拳してカンストするなど段々やりたい放題に

長野オリンピック聖火リレーが1998年1月6日~22日にかけて全都道府県を巡ってから1月23日~2月5日まで長野県内の全ての市町村をリレーしていって2月7日に開会式というスケジュールになっていたため、公式ソングとして最も盛り上がってきているタイミングでのシングルカットを狙ったようだ。初登場24位から5週ランクイン4.1万枚と売上は振るわなかったが、2~4週目は41位→47位→59位と聖火リレーから開幕までの盛り上がりに連動するような推移だった。

レンタル落ちをたまたま買ったのでリアルタイムで手に取った最初のシングルが今作だった。なので816円じゃなくて200円のイメージ

足音

1998年長野オリンピック聖火リレー公式応援ソング。聖火リレーの応援歌なんて他のオリンピック開催時にあったのかどうかすら知られていないし、2020(2021)東京オリンピックでも各企業やアーティストがそれぞれ応援ソングみたいなのをやってはいたようだがこれが公式っていうのは無かったように記憶しているがこの時は公式のがあった。自国開催だけに各局の中継曲以外にもいろいろなオリンピックタイアップがあり(ボランティアサポート公式でDEENとか)、それぞれそこそこマスメディアでも取り上げられてはいたように記憶している。

“愛を1つ胸に掲げて行こう”と歌うサビはシンプルだけどアルバム全体のテーマにもなっていて確かに響く楽曲。聖火リレーなので「聖火」の聖なる感じを強く意識させられるといえばそうかもしれない。僕らの行く先には何もないとか無力感を示すフレーズがちょいちょい出てくるので希望もあんまり無いように思えるけど”後に続くみんなの光になるから”というフレーズが来ると聖火リレーとしてもズバッとハマっていた。

正直今作がアルバムを締めるバラードでも十分であり、今作でもかなりの大きな愛の悟りの境地、到達点に達していると思うんだけど、この先に「Such a Lovely Place」というのが凄い。『Such a Lovely Place』は締めが完璧すぎる。
★★★★★
8thアルバム『Such a Lovely Place
6thベスト『SINGLE COLLECTION~Such a Lovely Place 1997-1999~
7thベスト『Song Book“since 1997~2001”
8thベスト『Completely Recorded

20th HAPPY DANCE

B00005G9VA
1998年7月23日
半年ぶりのシングルだが新曲としてはアルバムから8ヶ月ぶり。初登場14位から急落はしなかったものの(7週ランクイン)累計7.3万枚となり、移籍当初から半減。タイアップが弱くなるとトップ10入りがなかなか高い壁となってきていた。

HAPPY DANCE

テレビ朝日『ニュースステーション』8月ウェザーテーマ曲。ラテンやフラメンコっぽい要素も混じったダンスナンバー。大人っぽさを攻めたこの時期らしい楽曲で王道のポップからは遠ざかっており、HAPPYというわりに曲調にはかなり哀愁が漂っており、あまりHAPPYな気がしない。当時は特にけっこう異色な感じがしてどうにも馴染めなかった。現在でもあまり上位に入ってくるような曲ではないけど、改めて聞いてみるとサウンド面がけっこう凝っていて聞き応えのある曲だなと思う。またそんなに好印象じゃなくても確かに全編しっかりメロディーが残っているのは全盛期ゆえか(後年はやっぱり好印象じゃない曲はマジで聞き返さないとなかなか残)

Album Versionはイントロや間奏が長くなっており、トータルで1分近く長くなっている。
★★★★☆
9thアルバム『Cicada』(Album Version)
6thベスト『SINGLE COLLECTION~Such a Lovely Place 1997-1999~
7thベスト『Song Book“since 1997~2001”
8thベスト『Completely Recorded
3rdライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2005”~Heart Beat~』(Live)

C/W BLIND

曲調からしてこれまでにない攻めた作風が多い中で、サウンドからはワーナー時代の空気感も感じられる比較的王道タイプのC/Wバラード。1つの恋が終わる楽曲だが、未練や感謝すらほとんどなく、淡々と思い出を振り返りつつサビでは”さよなら”と連呼しながら”僕という目かくしをはずしてあげるよ”と歌う。妙に達観した雰囲気が感じられるのはソニー時代っぽい。
★★★☆☆
9thアルバム『Cicada
6thベスト『SINGLE COLLECTION~Such a Lovely Place 1997-1999~
3rd配信限定ライブアルバム『Makihara Noriyuki Concert 2024″TIME TRAVELING TOUR”2nd Season~Yesterday Once More~』(Live)

21st STRIPE!

B00005G9W5
1998年11月26日
ソニーレーベルにSMEが新たに発足し、浜田省吾、久保田利伸、奥田民生らベテラン勢から前年デビューしたばかりのSKOOP(Skoop On Somebody)まで複数のSony Records所属者と共にSME Recordsへレーベル内移動となった。後年SMEの品番はSECLに変わるがこの当時は品番もそのまま(8センチ盤はSRDL、アルバムはSRCL)で、ロゴがSMEに変わっただけであった。

最後の8センチCD。初登場16位、累計6.5万枚と前作を若干下回る売上となった。

個人的には「足音」のレンタル落ち購入に続いて今作以降はシングルも欠かさずレンタルしてくるようになった。

STRIPE!

「アルペン」ウィンターフェアCMソング。当時のアルペンと言えば加藤晴彦が出ている広瀬香美の楽曲が毎年定番でこの年も「ストロボ」が起用され広瀬香美にとって最後の大ヒット曲となるなどCM効果抜群だった最後の年であったが、今作はさほどヒットしなかったのは限定的な使用だったからなのだろうか。「ストロボ」とどう使い分けていたのか謎だが(ウィンターフェア用が今作なのでフェア期間限定なのは確かだがそもそも年明けには広瀬香美の次の曲を使うんだから年内は全部「ストロボ」で良くない?っていう)CMソングとしての記憶が全く無いんだけど…。

スキーをテーマにした曲は他にないので(広瀬香美もスキー自体をテーマにした曲はほぼ無い)珍しい方向性ではあるけど、ソニー時代の中ではかなりヒット性が高いポップな楽曲だと思う。青い空と白い雪というスキー場の景色を“ストライプの大きな布を神様が目の前で広げた”と表現し(そういえば後年一時どうしたのかというほど連呼する”神様”がサビに登場した)、滑走するのを“エッジを効かせて切り取っていく”と表現しているのが凄い新鮮に感じたのを記憶している。スキー場で聞きたい個人的スキーのテーマソング的な1曲。ただスキー場で晴れていると眩しすぎる&雪焼けがかなり酷くなったり、春先は雪がザッコザコだったりもするので、ベストなのは吹雪じゃない程度にゆっくりサラサラの雪が舞っているくらいの方が滑りやすかったりはする。

当時は歌詞も相まって普通にウィンターソングとして聞いていたが、夏のアルバム『Cicada』に収録されたので季節のミスマッチ感が強かった。ただ夏にあのアルバムで聞くとどこか“夏に思う冬の曲”っぽく聞こえてきて特にアレンジは意外と爽やかなサマーリゾートソングっぽくもあるのかもしれないと『Cicada』で聞いている時だけは何故か思う。
★★★★☆
9thアルバム『Cicada
6thベスト『SINGLE COLLECTION~Such a Lovely Place 1997-1999~
7thベスト『Song Book“since 1997~2001”
8thベスト『Completely Recorded

C/W Merry-go-round

クリスマスという言葉は出てこないがサウンドや雰囲気から思いっきりクリスマスを感じる王道のウィンターバラード。ゆったりメリーゴーランドを回っているようなかなりまったりした曲調だが、達観した歌詞が多いソニー時代では歌詞も含めてワーナー時代に近い。逆にそういった作風もあってか別バージョン除くソニー時代のC/Wで唯一オリジナルアルバム未収録になってしまうという不遇な扱いとなったが、人気は高いようだ。ソニーが出しているクリスマスソングのコンピ盤に収録されたこともある。まあ「STRIPE!」でもちょっと季節が…という感じだっただけに今作は『Cicade』収録は無理だよなぁ…。

2008年には『Personal Soundtracks』初回盤(ジャケットが赤いやつ)のボーナストラック「Merry-go-round ’08」としてリメイクもされているがこのバージョンは配信ではカットされている。ワーナーやソニーが初回限定ボーナストラックもきっちり配信に出しているのに対してエイベックスはかなり配信がおろそかになっていて表面上はシングルとオリジナルアルバムは全て配信しているが、『Best LOVE』『Best LIFE』も未配信なので一連のRenewdも未配信となっているなど抜けが多い。

「Merry-go-round ’08」はシャンシャン鈴の音以外はリズムも無いよりシンプルなアレンジ。「遠く遠く~’06ヴァージョン~」「どんなときも’07」「もう恋なんてしない’08」と続いたEMI~エイベックス期にかけての年号付リメイクは結果的に今作が最後となったが、年号付リメイクの中では最も原曲の暖かみを残しているといえるかも。
★★★☆☆
6thベスト『SINGLE COLLECTION~Such a Lovely Place 1997-1999~
17thアルバム『Personal Soundtracks』初回盤のみボーナス曲(’08)(未配信)

22nd Hungry Spider

B00005G7HC
1999年6月2日
今作よりマキシシングルへ移行。ここまでシングル売上は低迷してきていたが、今作はドラマタイアップと今までにない作風が当たり、初動売上だけで前作累計を突破して初登場5位を記録。『モンタージュ』以来のトップ10入りで、トップ5入りとなると『どうしようもない僕に天使が降りてきた』(4位)以来だった。さらに2週目以降も9位→10位→10位→11位→11位→15位とアルバムが1ヶ月後に発売されてもロングヒットを記録。その後もまだ緩やかにロングヒットしている途中で8月26日覚せい剤所持により逮捕・CD回収となった事で9/13付(最後に上昇して前週47位から36位に浮上)で唐突にランクインが途切れ、14週ランクイン35.2万枚で打ち止めとなった。SMEは1998年発足したばかりだったので売れなさすぎた新人1発契約終了とかはこの2年の間でもあったかもしれないが、明確な契約解除としてはSMEレーベル第1号になったと思われ

35.2万枚で打ち止めになったものの『どうしようもない僕に天使が降りてきた』『2つの願い』『ズル休み』も上回っており、ブレイクしてからの3rd『どんなときも。』~8th『No.1』+12th『SPY』の全盛期最上位ヒット曲群に続く売上となる。逮捕が無かったらどこまで伸びていたかは不明だが、今作の次に売上が高いのは『彼女の恋人』49.7万枚なのでここから15万上乗せして50万枚に到達できたかはかなり微妙か。アルバムも出てるし。例えば年末紅白に久々に出場できて紅白効果で年明け再上昇!とかでもそこまでは無理だったようには思う。

いずれにせよ通常時トップ10入りが至難なくらいに低迷してきていたタイミングでここまで持ち直すもなかなか難しく、新たなる代表ヒットシングルとなった…はずだったが…逮捕により曰く付きの印象を与えてしまう事となった。

なお『Cicada』初回盤はThunder Babiesという謎の槇原プロデュースユニットの曲を収録したボーナス8センチCDとの2枚組仕様となっていたが、裏ジャケの裏部分に「Hungry Spider」と書かれているというそれだけだと謎な仕様となっている。アルバムに封入されていた用紙には“この初回盤CDケースには、既発売のマキシ・シングル”Hungry Spider”を同時収納することが可能です。CDトレイ下のバックカバージャケットを裏返し、Thunder Babiesの8㎝CDシングルを”Hungry Spider”のCDケースに移してお使いください”と書かれていた。

要するに今作と『Cicada』初回盤8センチCDを入れ替えて使ってねという事なんだけど、そうなると今作のケースにThunder BabiesのCD入れるという謎な事になりどーすんのよ…というかなり謎な指示であった。

では実際にやってみよう。

指示通りに『Cicade』のバックカバージャケットを裏返してCDを収納するとこのようになる。「Hungry Spider」と書かれているのでなんとなく正しい感じに見える。

そして今作のケースにThunder Babiesの8センチシングルを入れるとこのようになり、ただ違うCDが入っているだけの状態になる。

Hungry Spider

渡部篤郎主演日本テレビ系ドラマ『ラビリンス』主題歌。ドラマ自体は視聴率10%かろうじて越えた程度でヒットしたとは言い難かったが、主題歌タイアップ効果は抜群に発揮されたようだ。蝶に恋をした蜘蛛の苦悩を歌った圧倒的完成度を誇る楽曲。そのあまりの完成度には一種の美しささえ感じるほど。

この怪しげでダークな雰囲気とおよそ3ヶ月後のクスリによる逮捕という衝撃が重なり、実際にはドラマサイドの今までにない曲調という要求に応えただけだったのに、逮捕後は今作はクスリによって書かれたなどとワイドショーレベルでも言われてしまうことになった。本人はクスリと創作活動の関係を強く否定しており、『槇原敬之の本』の頃まではクスリは無関係である事を強調していた。

時を経て2度目の逮捕後の『歌の履歴書』では制作秘話のみに終始しており、ドラマサイドからは僕と君ではなく例えば”俺”や”おまえ”を使った曲を聞いてみたいと言われたので1度断ったが熱意に押されて引き受ける事にして”俺”は無理なので試行錯誤の末に今作のような世界観になったとしている。
★★★★★
9thアルバム『Cicada
6thベスト『SINGLE COLLECTION~Such a Lovely Place 1997-1999~
7thベスト『Song Book“since 1997~2001”
8thベスト『Completely Recorded
9thベスト『Best LOVE
3rd配信限定ライブアルバム『Makihara Noriyuki Concert 2024″TIME TRAVELING TOUR”2nd Season~Yesterday Once More~』(Live)
4th配信限定ライブアルバム『マキハラボ』(Live)

C/W この傘をたためば

曲中に“雷がひどかったあの夜”というフレーズがある事から「雷が鳴る前に」のアンサーソングとされたバラードナンバー。「雷が鳴る前に」は2人の恋が始まる予感が漂うようなラブソングだったので雨でさえも幸せの象徴になっていたのに今作ではただただ悲しい象徴となっている。何があった?どうしてこうなった?曲調は「BLIND」同様にワーナー時代になかった達観した空気を感じる。

また6分半もあって長いので正直かったるさを感じるところでもあるんだけど…「雷が鳴る前に」も踏まえてじっくり聞くとじんわり味わい深さが出てくる曲だと思う。
★★★☆☆
9thアルバム『Cicada
6thベスト『SINGLE COLLECTION~Such a Lovely Place 1997-1999~

C/W Hungry Spider~English Version~

セイン・カミュ英訳した英語バージョン。トラック自体は同じで歌詞が全部英語で歌われている。日本語以上に歌詞が詰め込まれている印象でけっこう早口。

このバージョンのみ6thベストへの収録を外されたため、シングルにしか収録されていない。
★★★★☆
アルバム未収録

pool

1999年7月7日
From 9thアルバム『Cicada
10代の頃の夏を回想していて夏を思わせる単語は入っているものの、プールという言葉から連想されるにぎやかさや夏っぽさは皆無。曲調はどっちかといえばサンバ風なのに、日本の夏らしい湿った質感で空気は圧倒的に。サウンドの妙だ。「~introduction for Cicada~」とイントロがつながっていて合わせて聞くとさらに完成度の高さを感じられる。歌詞というよりサウンド面の隙の無い圧倒的な空気感が好き。
★★★★★
2ndライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA“cELEBRATION”』(Live)

Name Of Love

1999年7月7日
From 9thアルバム『Cicada
実は従兄弟だったというローリー寺西(本名の寺西一雄の名義でリリース)への提供曲セルフカバー。アルバムの中においてはほとんどない以前のようなポップさが感じられる楽曲でそういえば無かったなというピュアさと暖かみを感じさせてくれる。
★★★★☆
7thベスト『Song Book“since 1997~2001”

Cicada

1999年7月7日
From 9thアルバム『Cicada
アルバム最終曲。真っ暗な土の中で太陽を信じている蝉のことを歌っている。蝉は地上に出てわずか2週間ほどで死んでしまうが、アルバムも蝉の一生をなぞるように発売2ヶ月で回収されてしまい市場から姿を消した。サビの“伝えたい事があるから君の住む町にきたよ”というのは逮捕中止になった全国ツアーを思わせる歌詞で各会場で歌うのを想定していた感もあるが(逮捕後、無理だと分かっていてもツアーだけはやらせてくれと裁判官に懇願したというエピソードもある)、“まだ見ぬ太陽の光を蝉たちは信じてる”というフレーズが復帰作へと繋がっていくのは偶然か必然か…。
★★★☆☆
7thベスト『Song Book“since 1997~2001”

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