ZYYG 30周年シングル回顧~1993-1997~

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ZYYG シングル回顧~1993-1997~

1993年に高山征輝(Vocal)、ソロシンガー、作曲者として活動していた栗林誠一郎(Bass,Keyboards)の2人組ユニットとしてデビュー。2nd,3rdシングルでは4人組となっていたがメンバーが固定せず、4thシングルで後藤康二(Guitar)藤本健一(Drums)が加入して固定。1stアルバム『GO-WILD』をリリースするも栗林が脱退。メインライターだった栗林の脱退により1年近くリリースが止まったが、加藤直樹(Bass)が加入、作詞のみを手掛けていた高山が作曲も自身で手掛けるようになり、さらに後藤も作曲を開始して活動を再開。最終的に10枚のシングル、アルバム3枚をリリースするも3rdアルバムをリリースした97年に活動が停止し、99年に事後報告的な解散が発表された。

06年2月には当時のGIZA studio御用達の大阪のhillsパン工場の地下にあるライブハウスでの一夜限りの復活ライブにして正式なラストライブが開催された。これに合わせてか『at the BEING studio』ではヒット2シングルが男性コンピに収録されただけで単独発売されなかったが、2007年の『BEST OF BEST 1000』で初のベスト盤が実現している。

ボーカルの高山はBON-BON BLANCOに1曲提供した程度でその行方はほぼ不明だったが、ZYYGでメインではなかったが何曲か作曲も手掛けていたギターの後藤康二は後に作家として覚醒。当初はビーイングGIZA内部での提供にとどまっていたが、大島こうすけ、小澤正澄らと同様に外部への提供を開始。48/46系列ではC/Wへの曲提供もいくつかあるが、2013年には乃木坂46「ガールズルール」(作編曲)で自身初のO社1位を記録しているほか、2016年にはBOYS AND MEN「Wanna be!」(作編曲)でも1位を獲得している。

ZYYGは既にビーイング主力作家でZARDへの提供でもお馴染みの栗林誠一郎がメンバーにいたので、当初は栗林誠一郎が作曲、さらに編曲も手掛ける自作体制だった。栗林脱退後はすかさず高山が作曲担当になり、後藤も作曲、編曲はZYYG名義となった。よって1度もビーイングのアレンジャー陣がクレジットされた事が無い。一方でヒットした2シングルのみバンド外部の提供で織田哲郎の作曲だった。シングルで3度のトップ10入りは果たしているが、最終的に下げ止まらずにあっさり100位圏外に陥っていてあまり固定人気もつかめなかった。栗林脱退後は精力的なライブ活動も行っていたとはいえ、ビーイングのブームの中で生まれ、ブームと共に消えてしまったバンドの1つといえる。

しかしヒット曲を2つ持っている事、そのうちの1つはアニメ『SLAM DUNK』2代目OPであり、スラムダンク世代にとっては後追いで聞いてみるきっかけが非常に大きなバンドである。実際そこから聞いてみたが、思っていた以上に自分たちのサウンドを確立し、鳴らしていたバンドだったんだなというのが最初の印象だった。

2019年に後藤康二の呼びかけで高山、藤本、加藤の「ぜったいに誰も」以降の4人のメンバーが再集結し、再結成が発表された。再結成後、ライブは行われ、レコーディング作業を行った事も示唆されているものの正式な音源発売は無く、YouTubeでドキュメント映像や新録音セルフカバー「Dreamer」「ぜったいに誰も」などが公開されるのみとなっている。また消えてしまった旧公式サイトに代わる(といっても基本的にインターネット普及以前の時代のバンドであり、旧公式サイトが稼働した頃は既に活動が止まっているような時期で1999年に解散告知を出したくらいだったりするが…)新公式サイトをオープン。全楽曲(シングル・アルバム)がDL限定で配信解禁された。ストリーミングはされていない。

復活後に新公式サイトもオープンしたが、新公式でのヒストリーコーナーでは栗林誠一郎に一切触れておらず、1stアルバム『GO-WILD』の後に「この後メンバーチェンジがあり」と言及しているのみとなっている。3rdまではサポートメンバーと共にレコーディング、4thで後藤康二、藤本健一が正式に加入、「メンバーチェンジ」で加藤直樹が加入した事になっているので、「メンバーチェンジ」になった人物(栗林)はサポートではなく正規メンバーであったと解釈できるが、何故名前を一切出していないのかは不明である。

高山・栗林の2人から4人組になる過程で参加していたサポートメンバーはギター折居直喜、ドラム宇津本直紀だったというのが定説になっているが、当時のCDに記載されていたものではない。公式には後年のライナーノーツで2人の名前が挙げられている程度。現在本人談で確認できるのは宇津本直紀の証言のみ。インタビューにてビーイングのドラマー募集のオーディションに参加し、合格後にZYYGに入らないかと言われて入ったが急に突然「メンバーから降りてくれ」と言われ、プロデューサーからいつか呼び出すからといわれて4か月経過、DEENのドラムが辞めたので入らないかと言われてDEENのドラマーになったと語られている。宇津本直紀が正式にCDにメンバー表記されたのは1994年のアルバム『DEEN』であり、ZYYG辞めてDEENになるのが決定するまで4ヶ月かかっている事から93年後半~94年年明け頃の出来事と思われる(94年4月のZYYG4thシングルで藤本が正式ドラマーになっているため)。

『at the BEING studio』『BEST OF BEST 1000』でのライナーから栗林在籍時を1期現メンバーになってからを2期と区分するのが公式のようになっているが、WANDSと違って現公式では1期2期の区分を用いていない。Wikipediaによる区分では作品クレジットで1度も名前が出た事のない折居・宇津本を1期メンバーとして、後藤・藤本・加藤を2期として記載しているが、実はこれもかなりの独自解釈となっている。

作品においてはZYYGには4つの形態があった事になる。

1期:高山・栗林(1st+「果てしない夢を」)
2期:高山・栗林・折居・宇津本(2nd・3rd、ここまでメンバー表記無し)
3期:高山・栗林・後藤・藤本(4th+1stアルバム)
4期:高山・後藤・藤本・加藤(5th~解散、再結成~)

2012年頃に公開していたものを2017.9全面修正(再結成情報を2019.4追記)
C/W追記で2023.1 全面再構成、2023.5公開

1st 君が欲しくてたまらない

B00005F58O
93年5月19日
1992年12月MANISH→1993年2月BAAD→1993年3月DEEN→1993年4月REV→そして5月はZYYGがデビュー…とビーイングからほぼ毎月のようにデビューしていて、既にZARD、大黒摩季、B’z、TUBEが売れていて上位に居座ってもいたのでこの時期のチャートはビーイング系が占拠しているような状態だった。

初登場4位を記録したが1位はZARD2位はTUBEであった。2週目も4位で3週目に3位へ浮上、4週目4位となったがこの週にはZYYG,REV,ZARD&WANDS featuring 長嶋茂雄「果てしない夢を」もチャートインしてきて仲良くランクインし続けた。トップ10に6週ランクインして100位以内16週ランクイン、70万枚を突破するダントツ最大ヒットを記録。

栗林誠一郎は元々は出口雅之とREVを組む予定だったが音楽性の相違でREVは出口雅之のソロユニットとなり先にデビュー、栗林誠一郎は高山征輝とZYYGを組むことになったと2003年の『vocal compilation 90’s hits vol.1~male~ at the BEING studio』ライナーノーツで説明されている。現在は公式に栗林誠一郎の名前が消されている

今作時点では完全に高山征輝、栗林誠一郎の2人組だったようでジャケット、裏ジャケット共に2人だけが写っている。メンバー表記は無いが、作詞作曲編曲クレジットで2人の名前が登場している。

このシングルには初期ミックス版の存在が確認されている。

君が欲しくてたまらない

作詞:上杉昇、作曲:織田哲郎、編曲:栗林誠一郎
サントリービール「ダイナミック」CMソング。CMには赤井英和が出演。70万枚という大ヒット曲だが正直当時の記憶は全く無く、曲自体も2003年に『vocal compilation 90’s hits vol.1~male~ at the BEING studio』で聞くまで全く知らず、聞き覚えのある曲ではなかった。さすがに当時リアルタイムでヒットチャートを見ていれば(放送開始したばかりの『CDTV』をチェックしていれば)1ヶ月以上トップ10に残っていたのだから耳には残っていると思われるが、後追いリスナーだと途端に全く知らないという人も多いのではないか。あまりにもビーイングでの他のヒット曲が多すぎて埋もれてしまったのもあると思う。

作詞が上杉昇だが、複数のボーカリストが歌ってクライアントに選ばれたのが高山ボーカルだった事で急遽デビューが決まったという経緯だった事が『BEST OF BEST 1000』ライナーで明かされている(ただし筆者の推測として書いてあることも多いため全て本当なのかは分からない)。

今作が珍しいのは作曲が織田哲郎で栗林誠一郎が編曲しているという1点。2人とも自身のソロ名義では編曲まで一手に手掛けるが、提供ではほぼ作曲のみで、メインアレンジャーとしては活動していなかった。よってこの2人が1曲の中で同時にクレジットされる機会は皆無だった。しかしZYYGでは栗林誠一郎がメンバーであり、所属アレンジャーではなく栗林誠一郎にそのまま編曲を一手に手掛けさせる制作体制だったので今作をZYYGでやるとなった事でこの奇跡の”作曲:織田哲郎、編曲:栗林誠一郎”の並びが実現した。

ややこもり気味のボーカルだが、高く突き抜ける上杉昇とは異なり、”ダイナミック”さを感じるボーカル。サントリーサイドに高山ボーカルが選択されたというのは実に納得。それに合わせるようにビートロック的なアレンジになっているが、ビーイングらしいキャッチーさも忘れていない。シンセのキラキラも鳴ってはいるがかなり控えめで当時のビーイングサウンドの中では比較的ロック寄りな印象。いきなりのサビ始まりもあってか、間奏は1番と2番の間に配置され、2コーラス目はそのままラストサビに突入して終わっていくので3分程度で終わってしまい、けっこう駆け抜けていくような構成にも感じられる。

表記は無いが、シングル盤の途中でミックスが差し替えになったらしく、シングル盤でも差し替え後が発見されていてCD内周部のロット番号表記が「BGDH-1003-2」となっているようだ。ZARDの「きっと忘れない」と同じパターン。『GO-WILD』以降全てのアルバムでミックス変更後の音源で収録されているようなので差し替え扱いだろう。

具体的な違いは初期ミックスはボーカルの処理が全体的に異なりやや加工したような響きになっているのに対して差し替え後の方がクリアに聞こえる。また最後のサビでバンド演奏がオフになる部分で鳴っているシンセ音が初期ミックスではテレテレテレテレテレ鳴っている音が聞こえるが差し替え後では聞こえなくなっている等の違いがある。
★★★★☆
シングル初期ミックスアルバム未収録
1stアルバム『GO-WILD』(差し替え後のミックス)
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG』(差し替え後のミックス)

君が欲しくてたまらない
ZYYG

C/W 愛しさを抱きしめたまま

作詞:高山征輝、作編曲:栗林誠一郎
C/Wでは自作曲。ボーカル高山が作詞、栗林が作編曲を一手に手掛けるという体制を早くも確立した。ZYYGのC/Wはミディアム系が多いが、今作でそういう流れが決まったのか、アップテンポなA面に対してバランスをとるために自然とこうなったのかは不明。

ZYYG結成は急遽だったと思われ、今作は栗林ソロ用かZARD提供用を引っ張り出して、ZYYG用に転用した曲では無かったのではないかと何となく思う。実際栗林ソロのソフトなロック路線やZARDへのこの当時の提供曲に雰囲気が似ている。明石昌夫にアレンジを任せたら「もう少し あと少し…」辺りに雰囲気が近づいたりもするのではないか。またサビの歌詞が3回全部同じなので、2番と最後のサビは”*Repeat×2″と省略、これにより歌詞が5ブロックしかないのでやけに短く見える

後追いで聞くと正直ZYYGとしてやりたい曲ではなかったんだろうなぁ…とはどうしても思ってしまうが、こういう落ち着いた曲を歌っている高山征輝というのは新鮮でもある。
★★★☆☆
アルバム未収録

愛しさを抱きしめたまま
ZYYG

2nd 風にまぶしい

B00005F590
93年11月10日
前作から1ヶ月でZYYG,REV,ZARD&WANDS featuring 長嶋茂雄「果てしない夢を」を挟んで半年ぶりのシングル。「果てしない夢を」では前作同様にZYYGは高山・栗林の2人だけだったが、今作ではジャケットにしれっと4人写っており、4人組バンドになったらしきことが示唆されている。だが相変わらずメンバー表記は無く、新たに参加しているギターとドラムが誰なのかは明かされていない。後に『BEST OF BEST 1000』ライナーにてサポートメンバーとして折居直喜宇津本直紀の名前が挙がるという記述があるため、ギター折居直喜、ドラム宇津本直紀と思われるが、折居直喜は完全に後ろを向いてしまっていて顔が写っていない。ドラムはハッキリ写っており、確かに翌年にはDEENに加入する宇津本直紀と同一人物っぽい。

宇津本直紀は後年自身の経歴を振り返るインタビューでこの時の事について語っており、ビーイングのオーディション合格後にZYYG加入の打診を受けて入る事になったが急に突然「メンバーから降りてくれ」と言われた、プロデューサー(=長戸大幸)にいつか呼び出すからと言われてそのまま4ヶ月放置されてDEEN加入が決定したとの事。

あまりに一気にデビューさせた弊害で93年下半期になると早くもチャート独占状態というほどでは無く少し落ち着きつつあった。今作は半年も開けたのが響いたか初登場6位とトップ10入りこそ果たしたものの2週目には22位まで急落、3週目23位と粘るも最終的に100位以内10週、17万枚程度の売上に落ち着いた。

風にまぶしい

作詞:高山征輝、作編曲:栗林誠一郎
ビクトリアCMソング。ロックという軸は定まっていてけっこうギターが効いたアップテンポのロックナンバー。この当時のWANDSやB’zと比較しても硬派な印象だが、それでもZYYGの楽曲の中では最もビーイングっぽいキラキラ爽やかキャッチーな部分が前面に出ているように思う。歌詞にしても後の高山らしいアウトローな姿勢よりも、良くも悪くもたぶん相当指導が入ったんだろうなと思えるようなテンプレ的なキラキラしたラブソングになっている。それでも個性は発揮されていて一方で「風にまぶしい」という表現は独特でインパクトがある。
★★★★☆
1stアルバム『GO-WILD
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG

風にまぶしい
ZYYG

C/W 愛したけど…

作詞:高山征輝、作編曲:栗林誠一郎
超 ス ロ ー バ ラ ー ド 。キーボードメインのアコースティックな演奏から静かに始まり1番サビでバンドインする構成だがそこまでバンドっぽくはなく、ユニットっぽいイメージ。終始じっくりスローに歌い上げていくため、歌詞が1コーラス4行×2、ラストサビ2行の合計10行しかないにも関わらず4分半に達する。もう少しテンポアップすればZARDのアルバム曲にも入っていそうな曲だが、さすがにじっくりすぎてちょっとかったるい。
★★★☆☆
アルバム未収録

愛したけど…
ZYYG

3rd 壊したい現実

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94年3月4日
4ヶ月ぶりのシングル。今作のジャケットは再び高山&栗林の2人だけとなっているが裏ジャケではバンド編成で演奏しているっぽい4人組になっている。再結成後の公式サイトでは今作まではサポートメンバー扱いとなっている。それどころか栗林誠一郎の名前が一切出されず、メインライターであった栗林誠一郎の存在が無かった事になっ

年が明けてビーイングのブームもさらに落ち着いたのか、今作は初登場24位と低迷し一気にトップ20落ち。それでも100位以内に7週ランクインして7万枚の売上を記録した。

壊したい現実

作詞:高山征輝、作編曲:栗林誠一郎
前作からキラキラ爽やか風味をごっそりそぎ落としてよりロック方面に特化したかのような1曲。勢い良く進んでいくので3分程度で駆け抜けていく。栗林在籍時のシングルの中では最も脱退以降の作風に接近しており、今作ではだいぶ高山の意向を汲んだのではないかとも思えてくる。歌詞も全体的にもがいている感じで、最終的に高山の歌詞はアウトロー宣言のような世界に突入していく(3rdアルバム『SWEET PUNK』)のでだいぶ自分の色を出してきていたのかもしれない。栗林誠一郎の音楽性も広いので難なく対応は出来ているとは思うんだけど…やはり単純にこの2人が組んでの化学反応はプロデューサーが思っていたようには行ってなかったのかなとも思う。

MVでドラマーが帽子を被っているのが前作と共通していて宇津本直紀と思われるがZYYGでの宇津本直紀は帽子のドラマーという指示だったのか…?
★★★☆☆
1stアルバム『GO-WILD
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG

壊したい現実
ZYYG

C/W 思い出にはできなくて

作詞:高山征輝、作編曲:栗林誠一郎
ピアノと歌からいきなり入るピアノバラードナンバー。1番終了後にエレキギターと共にベースドラムも入って重厚なバンドサウンドになり最後はまたピアノに戻って終わっていくので前作C/Wよりもピアノの印象が強い。ただバンドが入っている部分ではかなりロックバラードっぽい。まだメンバーが定まっていなかったとはいえ、ユニットではなくバンドである点を強く意識したのかもしれない。表題曲含めて今作に関しては栗林誠一郎がZYYGでやる用に書いた感じというか、ZARD辺りが歌っているのはあまり想像できない仕上がり。
★★★☆☆
アルバム未収録

思い出にはできなくて
ZYYG

4th NO RETURN LOVE

B00005F59M
94年4月23日
前作から1ヶ月強での連続リリース。前作同様にジャケットは高山&栗林の2人のみ、裏ジャケットに佇んでいる4人という構成。逆光気味で暗くなっていて顔が判別しにくいが、現公式では今作より後藤康二、藤本健一が正式に加入したとハッキリ書かれている。

初登場20位と前作より順位は上昇したが売上は下がっており、100位以内4週でチャートアウト、5万枚に届かない売上となった。この低迷を引きずり、続く7月の1stアルバム『GO-WILD』もトップ10入りを逃し(13位)、今作以外の3シングルを下回るなど人気が定着しなかった。

今作にも相変わらずシングルにはメンバー表記が無かったため、7月の1stアルバム『GO-WILD』で初めてメンバー4人の名前がクレジットされた。

Vocal,Backing Vocals:高山征輝、
Bass,Keyboards,Backing Vocals:栗林誠一郎
Electric Guitar,Acoustic Guitar:後藤康二
Drums:藤本健一

結果的にこの4人をZYYGとするクレジットは1stアルバム『GO-WILD』が最初で最後となった。アルバムを最後にメインライター栗林誠一郎が脱退。ZYYGとしての活動は11ヶ月途絶える事となった。

ジャケットと裏の曲目は「No Return Love」「Over The Black Fence」と表記されているが、歌詞部分は2曲とも全大文字表記になっている。C/Wはジャケットと裏にしか表記が無いが、シングルの背文字、『GO-WILD』『BEST OF BEST 1000 ZYYG』と全てが全大文字の「NO RETURN LOVE」表記なので大文字が正式表記なのか。

NO RETURN LOVE

作詞:高山征輝、作編曲:栗林誠一郎
一直線にアップテンポな曲が3連発続いたので1stアルバムを前にして違う一面もあるんだよ的なポップな1曲。サウンドはけっこうロックなので中途半端にポップでファンキーな雰囲気があまり合っていない感じもするし、メロディーも突き抜けきらないので印象はちょっと薄い。前作以上にちょっと噛み合ってない感じ。2番サビ最後で突然”My Angel”という歌詞を叫ぶのは一瞬失敗テイクかと思うほど唐突でビックリする。
★★★☆☆
1stアルバム『GO-WILD
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG

NO RETURN LOVE
ZYYG

C/W OVER THE BLACK FENCE

作詞:高山征輝、作編曲:栗林誠一郎
どっしりとしたヘビーでミドルなロックナンバー。1stアルバム『GO-WILD』1曲目を飾った「ONE NIGHT HEAVEN」とかなり雰囲気が似ているので、意識的にC/Wとアルバム曲で分けたような感じはする。工場で働いている人の視点である事が冒頭で示されているが、高山征輝は工場で働いた経験があったのだろうか。3rdアルバムでも工場が出てくるし、アウトロー的な歌詞世界にも通じていくところがあるので割とこの視点がベースにあるのかなという気も。
★★★☆☆
アルバム未収録

OVER THE BLACK FENCE
ZYYG

5th ぜったいに誰も

B00005F5GL
95年6月26日
1stアルバム『GO-WILD』から11ヶ月ぶり、シングルとしては1年2ヶ月ぶり。メインライターで作編曲を一手に手掛けていた栗林誠一郎が脱退。新たにベース加藤直樹を加えて事実上の再始動となった。後にこれ以降を2期と定義し、栗林在籍時を1期と定義するようになったのは『at the BEING studio』『BEST OF BEST 1000』ライナーノーツによる一応ビーイング公式媒体のものだが、WANDSのように公式サイトではハッキリと定義していない。前述のように1期の間に加藤以外のメンバーは参加していたのだが、この説明も端折られているため特に1期の定義は曖昧なままである。現公式サイトでは1期2期の区別を行っておらず、今作で現メンバー4人が揃ったという扱いで、栗林誠一郎、折居直喜、宇津本直紀の3人の名前は一切出していない。いくらなんでも栗林誠一郎の名前を一切出していないのはかなり不自然に感じられるが…。

一方で今作のジャケットではまだ加藤加入がハッキリしていなかったのか、高山&後藤の2人しか写っておらず、裏ジャケのボッヤボヤのバンド編成になっている写真でも明らかに3人しか写っていない。ジャケット制作時に加藤が正式メンバー扱いされていたのかはかなり謎である。

アニメ『SLAM DUNK』2期OPタイアップ効果もあり、初登場3位を記録。1st,2nd以来のトップ10ヒットとなり、30万近い売上を記録して2番ヒット作となった。再始動作として順調な出足となったが結果的にこれが最後のヒットとなった。

またカラオケバージョンが収録されたシングルは今作が最後となった(今作まではC/W含めた2曲のカラオケをきっちり収録)。

ぜったいに誰も

作詞:高山征輝、作曲:織田哲郎、編曲:ZYYG
アニメ『SLAM DUNK』2期OP。主人公の桜木花道が海南戦敗北の責任を取って坊主頭にして以降に起用された。ヒロインの晴子さん目当てでバスケを始めたようにさわやかスポーツアニメ風だったBAADの「君が好きだと叫びたい」のOP映像とは対照的にストイックにバスケに打ち込む硬派なスポーツアニメっぽいOP映像へと変化。楽曲自体もよりロックバンドらしい逞しさを増している。かなり強い決意を感じる曲で絶対に全国大会に行くぞ!!というムードになっていた当時のアニメの展開とも合っていた。アニメを見ていたので当時から馴染みのあったZYYG唯一の楽曲。「君が好きだと叫びたい」より10話ほど使用回数が少ないとはいえ、結果的にはほぼアニメ全話数の折り返し付近で交代になった形だったが、この曲になってからも予告時のBGMが「君が好きだと叫びたい」のメロディー(歌なし)のままだったりしたので、ほぼ半分使われていた割には知名度ではやや劣るか。「君が好きだと叫びたい」の方がイメージが強いとはいえ聞けばTVアニメ版『SLAM DUNK』世代は熱くなる1曲だと思う。

デビュー曲以来の織田哲郎作曲での仕切り直しとなったが、知名度以外に2期ZYYGとして極端に浮いた作風ではなく、編曲がバンド名義になっているだけあってこの後目指していった方向性とそんなに離れていない楽曲にもなったと思う。この勢いを全く次につなげる事が出来ずにファンが定着しなかったのは今にしてみてもかなり謎。

『SLAM DUNK』で使用されていた音源はイントロ部分がかなり異なるアレンジになっており、CDでは『SLAM DUNK オリジナルサウンドトラック3 [’95 SUMMER]』で聞く事ができる。OP映像そのままでは『THE BEST OF TV ANIMATION SLAM DUNK ~Single Collection~』の付属DVD、Blu-rayでも見れる。

再結成後のZYYGとしても2倍以上売れているデビュー作より今作の方が『SLAM DUNK』効果で長く親しまれていて人気が高いと認識しているのか、結成30周年記念でYouTubeで発表したセルフカバー音源はデビュー作ではなく、今作であった。『SLAM DUNK』を意識したのかイントロ部分のアレンジはアニメ版に近いアレンジとなっている。かなり声は変わって年季が入った感じはするが熱さは損なわれていない。

★★★★★
2ndアルバム『Noisy Beat
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG

ぜったいに 誰も
ZYYG

C/W 最初で最後のLOVE SONG

作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
栗林誠一郎の脱退に伴い、高山征輝が作曲を手掛けるようになり今作が最初の高山作曲となった。これまでのC/Wはアップテンポ以外のミディアム~バラード系という法則(?)は守ったようなミディアムナンバー。淡々と進行していくがアレンジにややキラキラ感があり、ZYYGの中では比較的ビーイングっぽく、ポップな感触。

珍しくアルバムに収録された。表記は無いがレコーディングノーツにてミックスを変更したアルバムバージョンである事が明記されており、実際にアルバムに合わせてもう少し硬派な音色に変更されている。比較的キラキラとしたポップな質感を担っていたシンセ・キーボード系を下げてロックバンドっぽさが強調されている。シングルのままだとアルバムでは浮いていただろうからいい変更だったと思う。
★★★☆☆
シングルミックスアルバム未収録
2ndアルバム『Noisy Beat』(アルバムミックス)

最初で最後のLOVE SONG
ZYYG

最初で最後のLOVE SONG
ZYYG

6th JULIA

B00005F5GO
95年11月13日
前作から5ヵ月ぶり。今作ではついにジャケ写が高山の顔半分のみとなってしまい、裏ジャケも高山&後藤の2人だけとなっているが、シングルで初めてメンバー表記が記載された。

Vocal:高山征輝
Guitar:後藤康二
Bass:加藤直樹
Drums:藤本健一

この4人でZYYGだと正式に表記された初のシングルとなり、さすがにこれにてメンバー確定・固定となったのか以降はシングル盤でもメンバー表記されるようになった。一足先にデビューしていたDEENも95年3月のシングル「Teenage dream」にて確定・固定したメンバー4人を表記していたので少なくともこれ以降しれっと入れ替わったりする可能性は無くなったと思われる。

前作で幸先のいい再スタートを切ったもののZYYGとしては全く認知されていなかったのか今作は初登場35位から2週で100位圏外となりいきなり2万弱にまで低迷。結果的に今作が最後の1万越え、2週以上のランクインとなるなど垂直降下の勢いで人気を落とした。

今作から何故かカラオケ収録が無くなった。これに伴い当時の定価1000円から930円に値下げされた。

JULIA

作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
前作C/Wに続いて高山が作曲も担当。高山がメインライターとなってから初の完全自作によるシングル表題曲となった。2ndアルバムでも今作が1曲目を飾った。このため新生ZYYGの再デビュー作のようにも感じられる。サビはけっこうキャッチーなメロディーだが、全体的にビートロックとでもいうのか硬いバンドサウンドが炸裂していてこれまで以上にロック色も強い。というかここからが本番だ!といった趣き。個人的にはビートロックと言われていたBOOWYってこういうサウンドだと思ってて学生の頃に5,6年遅れで98年発売の『This BOOWY』を聞いたらいきなりパーララパーララと装飾音が鳴り響いて戸惑ったのが凄く印象に残っている。その後この曲を聞いたのでこれだよ!これ!ビートなロックってこういうのでしょ!という感覚があった。

久々のヒットの後の完全に自立しての1曲としては申し分ない会心の1曲だったと思うが…なんでここからファンが減る一方だったのだろうか。確かに当時早くも全く見かけた記憶が無く、当時出会う事は不可能だったし、当時はこういうロック系は聞いてなかったので当時リアルタイムで聞く世界線は無かったとは思うんだけど、それにしてもさぁ…。
★★★★☆
2ndアルバム『Noisy Beat
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG

JULIA
ZYYG

C/W Only Memories

作詞:高山征輝、作曲:後藤康二、編曲:ZYYG
ギター後藤康二の初作曲。ZYYGではあくまで2番手のライターとしてC/Wやアルバム曲を数曲という程度だったが、解散後に作家として覚醒したのは後藤康二の方だった。GIZAでも作家の1人として活躍していたが、2010年代には外部提供するようになって2013年には乃木坂46「ガールズルール」作編曲で名前を見た時はかなり驚いた。今作で作曲家デビューして18年後にチャート1位か…。

ここでもC/Wはバラード路線を律儀に守ったロックバラード。C/Wだから出来たような違う一面を見せた曲で4人のロックサウンドを軸にしつつもキーボードも生かしていて全体に落ち着いた大人のロック、AOR風味も感じさせる。栗林誠一郎がいなくなってから栗林誠一郎が得意そうなAORっぽい方向に挑むのもなんだかなという感じもあるけど、アルバム3枚で終わらずに活動が続いていれば、もっとこういう方向性を開拓する未来もあったのかもしれない。派手さはなく、メインイメージとも異なるがいわゆる隠れた良曲。
★★★☆☆
アルバム未収録

Only Memories
ZYYG

7th GYPSY DOLL/BLOOD ON BLOOD/微笑みだけをくれないか

B00005F5G5
96年7月22日
唯一マキシシングルで発売された3曲入りシングル。帯や背文字では「GYPSY DOLL/BLOOD ON BLOOD/微笑みだけをくれないか」3曲A面のように表記されていた。このシングルに関しては現在の公式サイトでもきちんと3曲A面扱いされている。

実質的なメイン扱いである「GYPSY DOLL」さえも2ndアルバムの路線を引きずった曲で3rdアルバムには合わないと判断されたようで3曲ともオリジナルアルバム未収録となった。現在の公式サイトには“今までにはないシンセ音も導入した、企画もののMAXI SINGLEならではの実験的なサウンドになった。”とも書かれている。

一方で『BEST OF BEST 1000』に使用されたのは今作のジャケット写真であった。

初登場90位、数千枚の初動売上のみで100位圏外となった。

GYPSY DOLL

作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
シングル1曲目の中で歌詞に恋愛が全く出てこない1番硬派な作品。「壊したい現実」でもまだ”彼女”が出てくる部分があったが今作は一貫して自分自身と向き合うのみで彼女は出てこない。いきなりサビから入るが、どうも他のシングルに比べてもこのサビが少々インパクトが薄いような感じもする。地を這うように突き進んでいくロックサウンドは相変わらずかなりかっこいい。憂鬱な思いを振り切るようなぶちかまし系(?)の歌詞ではあるが、“OK,MY DREAM 鮮やかに彩れ!”と歌ってみたり、“無限の夢だけ抱きしめて”みたりするところは確かな希望を感じさせるし何一つあきらめてはいない。アウトローなんだけど確かな夢があり叶えられると信じているところは高山征輝らしい部分なのかもしれない。さすがにこの段階でプロデューサーに歌詞が暗いからと前向きなフレーズを入れるように書き直しを命じられたり、某ライナーに書かれた伝説の迷文句”N戸が書き換えた”が発動するような環境ではなかっただろうし、J-POP的に考えたのではなく本心なんじゃないかと思う。

『BEST OF BEST 1000 ZYYG』リリース時には今作のみアルバム初収録を果たした。実に11年越しのアルバム初収録だった。
★★★☆☆
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG』

GYPSY DOLL
ZYYG

BLOOD ON BLOOD

作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
ロック寄りだがある程度キャッチーさもあるという意外とありそうでなかった1曲。タイトルをひたすら連呼しているサビの印象が強いが、少々変わった編成で1番と2番の間にBメロ→サビ→間奏ギターソロが入る、または3番まであって2番だけAメロが無いとも取れる構成。またこのサビの連呼は観客と一緒にシンガロングするのを想定しているかのような合唱っぽい感じにもなっている。ライブ経験を急速に重ねていった時期なので観客を考えての曲作りというのも前提にあったのかもしれない。

このためZYYGにしては少々ポップな印象もあるんだけど、己の道を突き進んでいこうとする歌詞は確固たる自身の色を打ち出している印象。
★★★☆☆
アルバム未収録

BLOOD ON BLOOD
ZYYG

微笑みだけをくれないか

作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
淡々と進行するミディアムナンバー。3曲の中で唯一のラブソング。サビに至っても全くサビと分からないほど地味なメロディーが延々展開していくので何度聞いても「ゆったりした曲」としか記憶できない。「Only Memories」の方向性でもう1曲といった感じだけど、「Only Memories」より印象薄いんだよな…。BOØWYを知るリスナーは特にAメロ部分のリズムパターンで「わがままジュリエット」を思い出すらしい。…確かに同じだ…。
★★★☆☆
アルバム未収録

微笑みだけをくれないか
ZYYG

8th Something

B00005F5H1
96年11月18日
春の初ツアーに続けて夏には早くも2度目のツアー、そして学園祭ライブも行い一気にライブバンドとしての活動が目立っている中でリリースされた。初登場83位、末期の1週ポッキリランクイン&圏外となった4シングルの中では今作が順位・売上共に最も高い。

Something

作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
サウンドは硬派さを増してシンプルにバンドサウンドで勝負しているもののメロディーは前作よりはキャッチーでもあり、前作よりもシングルらしいシングル曲。全体的に社会への不満やどう生きるべきかを自問自答するような内容だがサビでは”素直になれるのは君しかいないから”とラブソングにもなっている。「GYPSY DOLL」では相手が全く出てこなかったが、今作では迷いの末に君が必要だという方向性に帰着しており、どこか繋がりも感じさせる。

表記はないがシングルとアルバムでミックスが異なっていて全体の音の響きが異なる。方向性としてはアルバム収録に際して『SWEET PUNKS』に合わせた感じで、響き自体はシングルの方が派手だが、アルバムの方がベースやドラムの音が生々しくなっていてよりストイックなイメージ。

『BEST OF BEST 1000 ZYYG』にはシングルミックスで収録されているようだが、ド頭のギターが入る直前のアンプからのノイズのようなジーーという音がカットされているという細かい違いがある。
★★★☆☆
シングルミックスアルバム未収録
3rdアルバム『SWEET PUNKS』(アルバムミックス)
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG』(冒頭ノイズをカットしたシングルバージョン)

Something
ZYYG

Something
ZYYG

C/W CRYING MOON

作詞:高山征輝、作曲:後藤康二、編曲:ZYYG
ZYYGのロックバラードの中では隠れた最高峰的楽曲。バラードながら退屈するところが無く、演奏は熱く盛り上がり、メロディーも泣きメロ全開で熱く歌い上げる。C/Wはミディアム~バラード路線ばかりだが、その中でも特に今作は必聴な1曲だと思う。作曲が後藤康二という事で後のメロディーメイカーとしての才能の片鱗も垣間見える。

一方で3rdアルバム『SWEET PUNKS』には入れる余地がないし、もう少し活動が続いてバラード系のコンセプトアルバムみたいな企画が持ち上がらない限り、アルバムに収録される事はなかったかなとも思う。
★★★★☆
アルバム未収録

CRYING MOON
ZYYG

9th LULLABY

B00005F5H5
97年3月5日
今作でついに当時のO社一般公開範囲内ギリギリである初登場100位ピタリを記録。これが最後のチャートイン作品となった。

赤と黒のカラーによるジャケ写だが、復活以降の公式サイトのデザインは今作の色合いを踏襲しているようだ。

LULLABY

作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
珍しくアコースティックギターから入るがほどなくズドドドドとすさまじい勢いでバンドがなだれ込んできて激しいロックサウンドへ。激しいサウンドでありながらも切なさも感じる曲だ。強い決意を感じる曲が多い中で、不良目線での卒業ソング的な内容のようにも聞こえる(3月発売だし)。これまでを想起しつつ、それを越えて明日へ向かおうとするような歌詞の内容だからだろうか。“人並”と書いて”かなしみ”と読ませたりもしているが、T-BOLANの”大人という死体”に通じる表現のようにも思う。”ときよ輝け”が”明日よ輝け”と現在ではなく未来になっている辺りに未来を確かに信じるZYYGらしい前向きさもある。後期屈指の名曲

表記は無いがシングルとアルバムでバージョンが異なる。基本的にはミックス違いで音の響きが異なっているが、シングルの方が演奏時間が10秒ほど短い。これはアウトロの演奏がシングルの方が短いためで、アルバムではアウトロの演奏をもう1回繰り返す。これ以外にもAメロで聞こえるテテッテーテレテテッテーテレの繰り返しのフレーズがシングルだと右隅固定だが、アルバムでは左右を移動し続ける、間奏ギターソロの処理が異なる(アルバムの方がうねっている)、最後のサビとサビを挟むLULLABYッ♪のボーカルの処理が異なるなど全体の音の響き以外にもピンポイントで処理を変えている箇所がいくつかある。「Something」よりも明確にこだわって変えている感じがする。『BEST OF BEST 1000 ZYYG』でもアルバムバージョンが採用されているが理由は不明。シングルバージョンはシングルでしか聞けない。
★★★★★
シングルバージョンアルバム未収録
3rdアルバム『SWEET PUNKS』(アルバムバージョン)
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG』(アルバムバージョン)

LULLABY
ZYYG

LULLABY
ZYYG

C/W 雨に隠れた涙

作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
ガツンと歌い込まずにやや抜いた感じの歌唱やアルペジオ主体のエレキギターなど今までになかったようなミディアムロック。イントロのハーモニカの音色がちょっとフォークっぽかったりもするのでエレキではなくアコースティックだったらもっとガラッとイメージが変わっていたかもしれない。ハーモニカにしてもイントロで印象を残すもその後は間奏でもアウトロ部分でも全く出てこなくてハーモニカの印象が強くなりすぎる事もあえて避けているかのようだ。ZYYGっぽさみたいなものをちゃんと守ってもいる。『SWEET PUNKS』に向かっていく中で全く異なる方向性ではあるが、C/Wで続けてきたミディアム路線での新たな可能性を感じさせる1曲。なんかこういう系統の曲だけ集めてコンセプトアルバムとかも作れそうな。「CRYING MOON」でロックバラードを一旦極めた後の1曲として派手さはないが聞き込める1曲。
★★★★☆
アルバム未収録

雨に隠れた涙
ZYYG

10th この情熱のそばで

B00005F5H7
97年5月21日
前作から2ヶ月のでリリースとなったが今作でついに100位圏外、続く3ヶ月後の3rdアルバム『SWEET PUNKS』も100位圏外となり、O社チャートにランクインできなくなった。アルバムの後に9月から12月までひたすらライブを行い続けていたものの、結果的にこれが最後の活動となった。

1998年は表向き何の動きも無かったが現公式では“制作活動に入ったため、表立った活動がなくなるが、FAN CLUB会報でも伝えていた通り、精力的にデモテープ作り、リハーサルなどを繰り返していた。”とあるようにFC会員向けには制作活動を伝えていたらしい。

1999年末に解散がFC会報で伝えられたとされている。一般向けには既に稼働していなかった当時の公式サイトのニュース部分でひっそりと解散が発表されていた。T-BOLANが全くの同時期にラストベストや映像作品をリリースして解散を発表していたが、BAADも同じような時期に解散していたらしく、東京勢で活動できなくなった・100位圏外になったバンドを一斉に整理したかのようでもあった。3期WANDSもまた2000年3月に解体を発表。

大黒摩季は移籍し、MANISHも活動しておらず、PAMELAHも停止、この1999~2000年の淘汰の波をなんとか突破したFIELD OF VIEWも2002年に解散。DEENは1999年に自作体制に移行した後はビーイング関係者が制作陣からいなくなっていてそのまましれっと脱ビーイングを果たして生き延びた。気がつけばみんないなくなっていた

この情熱のそばで

作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
3rdアルバムではラストを飾ったため、ZYYGの最終曲という印象が強い。これまでのアップテンポなシングルとは異なるミディアムで聞かせる曲調なのもあって余計に最終曲っぽいのはもう次が無いかもしれない事を意識していたのか、強めの曲が続いていたのでたまたまこうなっただけなのか。前作以上に終始アコギの音色も聞こえているなど、最後にしてまた新しさも進化の余地も感じさせるだけにこの先が聞きたかったなぁ…。ていうか同時期のB社ってみんなそんな感じでこの先が気になる変化の兆しを見せてみんな終わらされていくんだよな。揃いも揃ってそうなっているって事はやはり事前に何か通達や終わりそうな空気というのがあるのだろうか。アルバムの中ではラストに置くしかない感じではあったが、今後のZYYGの可能性も見える曲だけにこれで終わってしまったのは惜しい。
★★★★☆
3rdアルバム『SWEET PUNKS
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG』

この情熱のそばで
ZYYG

C/W SO WHAT?

作詞:高山征輝、作曲:後藤康二、編曲:ZYYG
表題曲がアルバムではラストだったのに対して今作は1曲目。アウトローな歌詞が目立つ『SWEET PUNKS』をいきなり印象付ける強い1曲にして、C/Wでは初のアップテンポ。今作では表題曲としては刺激が強すぎるのと「この情熱のそばの出来が良すぎたとか、表題曲は高山曲にしたい等色々理由がありそうだが、シングルとしては最後にして初めて今までのパターンから入れ替えての収録になった。

ムカつくアイツを軽くこずいただけでHigh Schoolをクビになった主人公が真っ当に生きても報われている様子が無い世間に対して毒づき、“先生あなたの言ってた事と全然違うじゃないですか?”と叫ぶアウトロー宣言のようなロックナンバー。サビの締めが”明日なんてない”になっているのでここだけ見るとやさぐれっぷりが凄いが、これはサビ前半の”しらけた奴等が指さす場所に”に続く言葉であって、このまま言いなりになっていたら明日はないと考えているという意味合い。
★★★★☆
3rdアルバム『SWEET PUNKS

SO WHAT?
ZYYG

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