20thAl シュプール

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20thAl シュプール

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2021年12月22日
初のWinter Special Albumと銘打たれ、Summer Special Albumと銘打たれていた『クロール』『バタフライ』を踏襲した新曲、カバー、セルフカバーで構成されている。

初回盤はm-floの☆Taku TakahashiがMIXを担当したノンストップミックスアルバム『DEEN WINTER SONG PLAYLIST』が付属。『クロール』『バタフライ』、前2作を踏襲した紙ジャケット仕様。
FC限定盤は『DEEN LIVE IN CITY 2021~City Pop Chronicle~』に収録されなかった『DEEN AOR NIGHT CRUISIN’ ~5th Groove~』1st Stageの模様を収録したBlu-ray付。スリーブケース+分厚いプラケース仕様(『全開恋心』『PARADE』初回盤と同じ)。
通常盤は本編CD1枚のみ。配信版もこれに準ずる。

これで2021年は年間3枚のフルアルバム発売となったが、前2作は2020年の間にレコーディングを済ませており、2021年に本格的なレコーディングを行ったのは今作のみである。2021年1月に倒れたサポートドラマー矢野顕太郎に代わり、既にライブサポートに入っていた北村望がレコーディング初参加で以後ドラムの固定サポートメンバーとなった。

今作の発売インタビューにおいてはシティポップよりもAORという表現を多用しており、“シティポップというよりは、自分たちにとってはAOR”と発言。元々前作『TWILIGHT IN CITY ~for lovers only~ 』も久々にAORのアルバムを作ろうという意識で制作を進めていた事が改めて強調されている。今はAORではなくシティポップと呼ばれるようになったらしいという認識で語っており、これは元々やっていたAOR路線を久々にやっただけでベテランDEENがシティポップブームに急に便乗したわけではないという事を今一度主張しておきたかった=それくらいにはファン以外からの反響が感じられたというのもあったようだ。AORのオリジナルアルバムの発売を一旦見送って先にカバーアルバム制作を要求したのは会社側なのは既に明かされているし、シティポップを強調したのは会社の戦略的なところが大きかったと思われる。ただDEEN’s AOR当時とはメンバー脱退、アレンジャーが一部曲に参加している大平勉以外は一新されている、作曲家が山根さん1人だけになっている、演奏陣もほぼ全員違うなど制作スタイルが変わっている事から当時のAORとは質感が異なるのもまた事実であろう。

1.シュプール

作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:侑音
前2作で印象付けたDEENのシティポップ感全開のオシャレなサウンドが展開し、スキーに行くワクワクが全開のウィンターソング。ここ10年夏のアルバムばかり積み重なっていたので出し惜しみない冬の歌詞フルスロットルっぷり。

1曲目、オリジナル曲にしてタイトル作であるだけあって今作をリードする象徴的な曲ではあったと思うんだけど、何故か先行配信もされなかった。前2作では2曲先行配信されてアルバム1曲目は2回とも先行配信されていたのにどうしてこうなった。ウィンター感が新鮮なものの、メロディーがこれまでの曲でなんか聞いたことのある展開の合わせ技みたいな感じがしてしまうところでもう1つ印象に残りにくいところは無くもないが…。
★★★☆☆

2.マイナス20℃

作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:侑音
さらに冬が深まり…っていうかいきなりとんでもねぇ低温が飛び出したが、オーロラを見に行こうとする曲。インタビュアーが“スケールの大きな歌”とオーロラを見に行くのだから海外だろうというイメージで聞いている中で、池森さん本人が北海道でもマイナス20℃の世界はあり、北極圏に行かなくても何年かに一回ぐらいすごい神秘的なオーロラを見る事ができるとして海外ではなく国内のイメージだと説明している。ただSNSでちょっと調べたという若干信用度の怪しい発言も同時に飛び出しており、本当に何年かに1度見れるのかは怪しい。というのも2023年12月のニュースで北海道で肉眼でオーロラが見えたのは約20年ぶりとかニュースになっちゃってるので国内でオーロラ見ようするのやっぱり難しくない?歌詞中では“10年に一度の奇跡”としてかなり長めに保険をかけているものの歌詞が書かれた時点でも18年オーロラ見えてなかったって事に…。恐らく池森さんが調べた時に出てきたのは肉眼では見えないが“観測された”という情報だったと思われる。

曲としてはサビがほぼ全部ファルセットになっているのが特徴。声変わり過渡期のSHU「ANOTHER LIFE」で1度全面的なファルセットをやっていたがDEENでは声を張らなかったAOR期にコロッコロ裏声を多用するみたいな事はあったもののサビがほぼ全部ファルセットのオリジナル曲は初めての試みといえる。「DOWN TOWN」のカバーもしたばかりだったので行けるという判断もあったのかも。全盛期のキーの復活に続いて新たな局面を見せた曲となった。
★★★☆☆

3.恋人がサンタクロース

2021年12月1日(先行配信)
作詞作曲:松任谷由実、編曲:侑音
松任谷由実(1980)のカバー。シングルではなくアルバム『SURF&SNOW』収録曲だったが1987年に映画『私をスキーに連れてって』挿入歌に起用された。主題歌は「サーフ天国、スキー天国」だったが、主題歌を越えて浸透したようで、この曲の方がベスト必須曲になったり、クリスマス定番ソングになっている。

松任谷由実のカバーはこれで4曲目。前2作と異なり、今回先行配信はこの1曲のみだった。シティポップカバーアルバムの流れを汲んだカバーでそのまま現代風に仕上げた感じ。この曲に関しては普通にカバーすれば失敗する事はないだろうなというくらいに曲自体のキャッチーさが強いし、変に独自性を出すよりストレートでいいよなとも思う。そんなわけで予想通りではあるがそれこそが最良である良カバー。
★★★★☆

4.Farewell to the snow

作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:大平勉
ヒロムーチョのSax以外打ち込み。ベースドラムだけでなくギターも使用されていない。チャカチャカとギターっぽい音も聞こえるがこれは電子音か。今作の中でも最もクールなナンバー。「マイナス20℃」に続いて今作でもサビの半分ほどがファルセットになっている。こういうクール系が得意だったのは黒森さんだったじゃないですか…。なんで作曲撤退して指示するだけになってしまわれたのですか…(分業っていうけど山根ソロは作詞も山根さんなんだから1曲くらいさ…)
★★★☆☆

5.Christmas time<spur style>

作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:大平勉
1999年の1stクラシックスシングルのセルフカバー。『pray』初回限定盤ボーナス曲でアカペラセルフカバー(a capella)を1度やっていたので2度目のセルフカバー。原曲、a capella共にビーイング管轄で未配信のため、このバージョンが初配信となった。

ピアノとストリングスメインでドラムを使用せずギターも間奏のソロのみという構成だった原曲からシンプルにバンド編成(ギターベースドラム)。しかし1番2番間奏に至るまで音数は抑えめでバンドがほぼ入らないまま穏やかに進行していき、間奏はヒロムーチョのサックスソロでここもあまり派手に盛り上がらず、最後のサビになってようやく本格的にエレキギター、ベース、ドラムが入ってきてシンプルなバンドサウンドになる。最後まで比較的抑えた雰囲気のままなのでちょっと印象は薄め。
★★★☆☆

6.Happy New Year

作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:侑音
クリスマス付近を意識した曲が多い中で、今作のみ年明けを歌っているほか、この曲のみ変異した世界からの幕開けを願う思いを歌詞に込めている。1番の歌詞はほぼそのままで“100年ぶり”というのはスペイン風邪を想定していると思われる。残念ながら2021年末に来年こそは…という思いは日本では叶わず、2022年海外では曲の通りに通常を取り戻してライブも開催されていた中で日本では2023年年明けでもまだライブの制限・規制は続く事となるなど長引く事態となった。幕開けを願う曲なので今作の中では底抜けの明るさがあるが、変わらぬ現実が続く中で正直この曲も空回って聞こえてきてしまう事2シーズン、2023年3シーズン目こそ”希望のカウントダウン”で次の年を迎えられそうな昨今である。

2番では環境問題に話が変わるが、“僕らの住むこの地球(ほし)が”というくだりは若干「リトル・ヒーロー」の歌詞を想起させるものがあり、実際その後に“立ち上がれ僕のヒーロー”なんてフレーズまで出てくるので環境問題への憂慮を書いたら「リトル・ヒーロー」にちょっと似てしまったというよりも意識して「リトル・ヒーロー」が浮かぶように仕掛けている感がある。
★★★☆☆

7.君だけのサンタクロース

作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:侑音
新年を迎えたと思ったらまたクリスマスへ逆戻り。”キラリキラリ”とした歌詞やタイトルはいつものアンチエイジング的ラブラブソングっぽいんだけど、曲調がクールで大人びていてしっかりAOR路線なところが全開で恋心していた時期と大きく違う。やはりリスナーも年齢を重ねているのであまりウキウキときめきまくるような曲調よりもこのくらい落ち着いていた方がしっくり来る。
★★★☆☆

8.白い恋人達

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:侑音
桑田佳祐(2001)のカバー。シングルのミリオンヒットが出なくなる中で、「波乗りジョニー」に続く2連続ミリオンとなり、2001年を無双状態で締めくくったソロでは最大のヒットシングル

イントロから音数の少ない序盤のアレンジは原曲に近い雰囲気なんだけど、池森さんの歌い出しから桑田さんとは違う少し弾んだ感じで歌っていて、サビになって音数が増えるとやや跳ねたアレンジになっているのが目立ってきてゆったりノレる感じの雰囲気になってくる。ちょっと違うというか気がつけばだいぶイメージが違ってたっていう…。「恋人がサンタクロース」と正反対にだいぶオリジナル性の高いカバーだと思う。ただ2001年当時のあの大ヒットっぷりを体感&フラゲして聞き漁った原曲への思い入れが強すぎるというDEENがカバーした曲の中ではほとんど初めてといっていいくらい原曲に親しみがありすぎてちょっとこれは違うかな…という感じもある。名曲なのは間違いない。
★★★☆☆

9.White landscape

作詞作曲:山根公路、編曲:小川清邦
山根ソロ曲。今回も山根ソロのみ小川清邦を招いており、3曲連続でギターは沢頭たかし、ベースは小川清邦が自ら演奏し、ドラムは打ち込み。今回も打ち込みながらあまり打ち込みっぽさのないドラム音になっている。

「シュプール」同様にスキーに行く曲。池森さんのゲレンデソングが「シュプール」、山根さんが描くゲレンデソングが今作といったところか。スキーが10年以上ぶりという御無沙汰っぷりに年齢を重ねた大人のカップル感が漂う。今回も車に乗せ連れ出しているが、ソロで車の登場率が高いのも意識してやっているのだろうか。
★★★☆☆

10.愛の鐘が世界に響きますように…<spur style>

作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:侑音
2004年の30thシングルのセルフカバー。オリジナルはゴスペル隊をフューチャーした豪華絢爛な雰囲気だったので引きずられてコーラスもやや目立っているが、今回はシンプルなストバラ(ストリングスバラード)となり、歌の良さを前面に押し出した内容。派手さは無く、良くも悪くも普通のアレンジになっている。オリジナルにはゴスペル隊の壮大な感じに強い年末感があったけど、今作は割と通年で聞けるような普遍性があるように思う。
★★★☆☆

初回特典CD
DEEN WINTER SONG PLAYLIST

初収録曲は無いが、単に切って繋いだだけではなく、曲の繋ぎ部分を中心に音の抜き差しを伴う手の込んだミックスが施されており、昨今のDJ和に代表されるようなそのままオリジナル音源を切って繋ぐだけのNON STOP MIXCDとは一線を画している。トラックメイカーならではの素材からの編集技術が駆使されているのが特徴。

選曲は『ナツベスト』『Ballads in BlueⅡ~The greatest hits of DEEN~』などの初回特典企画ベスト同様にビーイング管轄音源は選曲されず、その時期の曲は後年のリメイクバージョンで選曲される仕様となっている。

1.Negai

イントロのストリングス演奏をループした後に女性による“DEEN WINTER SONG PLAYLIST”の声と共にバンドイン。そのまま最後まで演奏される。最後の”愛してた”の部分で一気に音が抜かれ、そのまま次の曲へ。

2.君去りしクリスマス

音の抜き差しをしながらイントロが長くなっている。イントロが長くなった分はアウトロが短くなったことでほぼ相殺されており、最後に入ってくるハンハンハンハン言っているコーラスだけ残して次の曲へ。

3.白い記憶

前曲のハンハンハンハンが続いたままイントロに突入してイントロとハンハンハンハンが並走したまま歌の開始と同時にハンハンハンハンが消え去る。イントロのメインフレーズを奏でるキーボードは消されたままでチンチロした音だけで進行。ラストの”輝くように”で一気に音が抜かれ、ピアノのタララランラン、タララランランのメインフレーズをループしたまま徐々にキーチェンジをしていき次の曲へ。

4.星の雫

前曲のタララランランがキーチェンジしていきながら今作のキーになったところでイントロに突入。歌が終わると同時にトントンカンカンとしたリズム音が混入してくる+ループする部分に最後のウウアァ~♪が含まれているためウウアァ~♪まで一緒に繰り返されるという壊れたテープみたいな状態になりながら次の曲へ続く。

5.永遠の明日

前曲のアウトロでトントンカンカン入ってきていたリズム音にイントロのフレーズが被さり、このリズム音が「永遠の明日」イントロで鳴っていた打ち込みリズムの音だった事が判明すると同時にウウアァ~♪は急速に消えていって切り替わる。その後は原曲通りに進行するが、最後のサビ前のギターソロからするっと次の曲へ切り替わる。最後のサビはカット。

6.哀しみの向こう側

Triangle Cover Version。「永遠の明日」ギターソロ終わりからするっと切り替わるが、イントロのド頭3音だけカット。2番のサビ前まではそのまま進行するが2番のサビ~間奏をまるっとカットして2番のBメロからぬるっとラストサビに繋いで大幅短縮。アウトロは途中で急に音が伸びてテ・テ・テと音が飛んだようになって次の曲へ。

7.星降る夜、この星で

「哀しみの向こう側」の最後のでぇぇ♪の“ぇぇ”の部分に戻ってループしながら「星降る夜、この星で」のストリングスイントロが入ってきて切り替わる。最後のストリングス演奏に次の曲のストリングスが混ざりこんできて次の曲へ。

8.蒼星

前曲のストリングス演奏をダブってそのまま切り替わるためイントロカットですぐに歌に突入。アウトロ省略&アウトロが加速していき次の曲のイントロとなるアカペラコーラスのファンファンファンが入って一旦ファンファンが停止してチャララーンと流れて次の曲へ。

9.永遠をあずけてくれ

キセキVersion。ファンファン再度言い始めてすぐに歌に突入。最後の”会えるんだね”の直後にドラム音が鳴り始めて次の曲へ。

10.このまま君だけを奪い去りたい

キセキVersion。ドラム音からイントロに突入するがキーボードとベースドラムのみでギターをごっそりカットしたイントロ。アウトロと同時に次の曲のイントロと重なって次の曲へ。

これだけ冬のイメージ無くない?一応10~12月発売曲で統一されている中で31stシングルは10月発売で範囲内ではあるけどさ…。

11.もう泣かないで

前曲のアウトロと被りながらそのまま歌に突入して前曲アウトロは消失。最後の”愛してる”と同時にリズム音が変わって次の曲に合わせてテンポチェンジしながら次の曲へ。

12.Fine day

前曲からの繋ぎによるオリジナルには無いリズム音から原曲通りの演奏へ移行。50秒近いアウトロをカットして歌い終わりと同時に次の曲のピアノのイントロがスタート。

13.夢であるように

キセキVersion。既にイントロが鳴り始めていたのですぐに歌に突入。エンディングで女性によるDJアナウンスが入って次の曲へ。

14.愛の鐘が世界に響きますように…

spur styleではなくDEEN with 亀渕友香&The Voices of Japanのシングルバージョン。最初のコーラスをカットした以外はフルサイズで進行するが、間奏のギターソロ部分ではギターソロとベースドラムをカットしてキーボードとコーラス隊のみに変更。「夢であるように」ラストで締めのアナウンスが入っていたので特に何もなくそのまま演奏終了する。

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