2022年6月3日公開。
匿名掲示板「2ちゃんねる」への投稿から始まった都市伝説「きさらぎ駅」を題材にした作品。80分ちょっとのやや短めの尺になっており、Blu-ray発売は無く、DVD発売1種のみ。各種配信には出ており、Amazon Primeも対象。
続編『きさらぎ駅 Re:』が3年後2025年に制作された。
民俗学専攻の大学生堤春奈(恒松祐里)は卒論のテーマに「神隠し」を選び、実際に異世界に行った事があるという葉山純子(佐藤江梨子)を探し当てて当時の出来事を聞く。当時高校教師だった葉山純子は現実世界においては2004年に学校からの帰宅途中で行方不明になり、7年後2011年に発見された事になっていたが、本人は異世界に迷い込みたった1日の出来事だったのが帰還したら現実世界では7年後だったと証言する。
葉山純子の視点で「きさらぎ駅」に迷い込んで脱出したまでが語られる。純子は1年の副担任で赴任1年の純子の事は知らないという同じ高校の3年生の宮崎明日香(本田望結)、若者3人組の松井美紀(莉子)、飯田大輔(寺坂頼我)、岸翔太( 木原瑠生)とサラリーマンの花村貴史(芹澤興人)が同時に迷い込む。早速の怪異により飯田が退場。松井と岸は線路を辿って逃げていき、純子と明日香も後を追うが、岸の暴力的な性格が災いして、道中で追いかけてきた花村・松井が怪異の犠牲になり、純子も明日香も負傷、ついには岸も怪異の犠牲になってしまう。トンネルを抜け出して親切なオジサンの車に助けられた純子と明日香だったがオジサンも怪異であり襲撃されたので逃亡。たどり着いた神社でいかにも出口っぽい光の扉が出現し、明日香を先に行かせたが、何故か助かったのは純子だけだった。
この話を聞いた後に、当日の純子の行動を確認したところ、2度寝過ごして行ったり来たりした後に最終電車に乗っていた事が判明。春奈はこれが「きさらぎ駅」へのトリガーなのではないかと考えて即実践。
予想通りに当日の純子の行動を辿って行ったり来たりした春奈は「きさらぎ駅」へ到着。さらに純子に聞いたのと同じ登場人物が揃っており、純子の立ち位置に春奈が入っている形、さらに全員記憶が始点に戻っていた。このため明日香は純子のことを覚えていなかった。純子に聞いた話を元に罠を回避・対策するように立ち回った春奈は強烈なリーダーシップを発揮して一行をリード。一応全員助けようとはしたが…。ナイフ持ってて危険な岸からは早々にナイフを奪い取るも、飯田ではなく岸が代わりに犠牲になっただけだった。
そこから春奈はさらに慎重に状況を読みながら行動した結果、トンネルを抜けて車のオジサンに到達時点で新たな犠牲者無しという大健闘。車オジサンもアグレッシブにいきなりぶん殴り何も知らない一同を唖然とさせるが迫力で圧倒。しかし神社にたどり着けずに車オジサンに追いかけられ、花村が犠牲に。さらに神社だったはずなのに見知らぬ家が最終舞台となったため、松井も飯田もあっさり退場。話に聞いてない春奈は追い込まれ、そんな中で光の扉が出現。
ここで追い込まれた春奈は純子の先の話からわざわざ襲撃されている明日香を助けて先に行かせて自分だけが助かろうと画策するが失敗。唖然とする。
現実世界では助かった明日香を純子が迎えに来ており、明日香には純子の記憶がない事を確認するも明日香が目論見通りに帰還できて安堵する純子。実は純子は既に調べに調べて「きらさぎ駅」への行き方は自身の行動から把握しており、光の扉を最初に通った1人しか帰還できない事も分かっていた。回想で春奈に聞かせた話は最後のところだけ改変されていたのだった。つまり自分が助けに行って明日香を助ければ今度は自分が取り残されてしまうのでそれはしたくないが、明日香だけは助けたかったので、話を聞いて好奇心で「きらさぎ駅」に行って最後に自分が助かろうとして明日香を先に行かせそうな人材を探し求めており、それが春奈だった。まさかの純子黒幕、最後に保身に走った春奈が取り残され、純粋無垢な明日香だけ生還でオチがついたかに思われたが…。
叔母の純子と春奈の話を聞いていた凛(瀧七海)が悪ふざけで「きさらぎ駅」に向かってしまい…。
B級ホラーという感じで、純子視点での最初の攻略シーンでは先が分からない不気味さと急に罠が飛び出すビックリ感があり、CGがチャチでも割とゾクゾクする展開。話を聞いた後の春奈の勇者猛進っぷりはなかなか痛快でシュールすぎて笑える部分もあったが最後の最後に主人公が保身に走ってしまうというのは予想外で斬新だった。
★★★★☆
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