日本ボロ宿紀行 全12話

全国各地のボロ宿を紹介している書籍化もされたブログドラマにしたもの。原作としてストーリーがあるわけではなく、ボロ宿の紹介ブログ/本なのでドラマ化するにあたってはオリジナルで売れない歌手とマネージャーが営業でボロ宿に泊まりながら再ブレイクを目指して全国を回るというストーリーが組み込まれたらしい。

1話

元乃木坂46の深川麻衣がマネージャー兼社長(父(平田満)が死去したので事務所を継いだが、既に潮時だったとして他のタレント・スタッフはみんな去ってしまった)の春子、20年前に1発当たっただけの歌手が元男闘呼組の高橋和也(父が死ぬ前に既に彼しか所属歌手も残っていなかった)が桜庭龍二を演じている。世代は全く違うが元アイドル同士の時を越えた共演。

桜庭龍二は20年前(99年)に「旅人」という1曲だけヒットしたが、今回の会話から今世紀になってからCDを1曲も出せていない、ヒットした「旅人」のCDがまだたんまり残っているのでこれを売り切ってから引退しろ!と焚き付けた事から営業の旅が始まった、という設定。いきなり設定緩すぎて吹いた。

売れなくなってCD出せてないなら分かるが、99年に1発ヒットしてから今世紀CD出していないってその次の新曲を出したとしても当たり年の99年と翌00年の2年間しかないし、それでは1発屋というかただ作品出してないだけじゃないか…。しかも何故か「旅人」の後にコケたシングルが余っているのではなくヒットしたはずの「旅人」が大量に余っているから売り切ってから引退しろって、在庫余ってるならその後売れなかった方のCDでそれやらないとなんかおかしくなるじゃないか。それともあれはヒットした後に出した再発盤だろうか。99年はギリ8センチCDの時代なのに余っているのアルバムサイズのシングルCDという当時は珍しいスタイルのシングル盤だったし。

まあこの辺は主題とは関係ないのでかなりテキトーに設定したんだろうけど、01年以降新曲リリースすらできずに、「旅人」も余っている状態でストーリー組んだのはやりすぎたんじゃね…?オッサン再起!っていう流れにしても、これだと20年ほとんど何もしてなかったみたいになってしまってあまりにも20年の歳月が重過ぎる…

ボロ宿に関しては実在する新潟の宿が登場。ただし他の客だけでなく、宿の人も全部役者。春子が父の影響でボロ宿好きという事もあって春子がパシャパシャ写真を撮る行動を通してボロ宿のボロっぷりを紹介していくスタイル。ちょっとズレた感じの主人公だけど深川麻衣がやるとなんだかナチュラルだ。乃木坂46時代は聖母と呼ばれるほど穏やかな印象しか無かったけどもう少し起伏のある姿が見れそう。

2話

前半は今日の営業の失敗で落ち込んでいるが一晩考えて再起するという1話とほぼ同じフォーマット。今回の旅館の方が女将が朗らかな人で女将との交流、客なのに居着いちゃって食事担当になっておるオッサンなど人情味のある人々が出てくるなど差別化するなどしていたが、これはドラマ的なアレンジだよな…。

1話では営業の場所が温泉と真っ当だったが、今回は釣り堀で失敗、ラストで営業に向かうのもバッティングセンター…と営業する場所が早くもネタっぽくなってきた。

3話

今回は群馬の万座温泉の旅館。初めて知っている場所の宿が出てきた。万座温泉は旅館・ホテルが結構ある場所でいくつかの宿には泊まった事がある。今回出てきたのは万座温泉スキー場の閉鎖されてしまった朝日山ゲレンデ側にある旅館でかつてはゲレンデ前(スキー履いたまま行けるレベル)という一級地だったのが2011年の朝日山ゲレンデ閉鎖に伴い苦戦してそうな立地のある旅館の1つ。景色が紅葉前の秋くらいの感じだったけどリフトの支柱は閉鎖から7年経ってもまだ残っているようで映りこんでいた(この後リフト施設も撤去された模様)。一応休止扱いなのか。本体エリアから朝日山ゲレンデへ滑り込めるコースは雪崩の危険で閉鎖が多かったのと1度滑り込むと無料シャトルバスでないと戻れないという不便さから1度しか滑った事が無かったが、プチ山スキーみたいな林間コースで楽しかったのを記憶している。朝日山ゲレンデも波乗りコースがあったり、リフト頂上は冬季閉鎖の志賀高原方面へ向かう国道と交錯してたり、そのもう少し先(冬は行けない)が草津と繋いでいた万座ロープウェイの跡地だったりするので、1970年代序盤まではこんなところを谷を越えて向こうの山までロープウェイ繋がってたのかよスゲェな…と感じることが出来る…など色々と見どころが多い場所だっただけに閉鎖は残念で、閉鎖以降は万座には行っていない。2006年4月が最後だっただろうか…。

という事で前2回と違って温泉宿。ボロといっても風情のある昔ながらの旅館といった古さで台詞でも出てきちゃうくらいには古いけど綺麗。実際には人気温泉地で風情もある事からそこそこ人気の高い宿のようで、これではドラマ的に持たないという事なのか、何故かホラー演出が加えられ、夜のシーンでは照明が異常に絞られて終始”出そう”な空気を漂わせて、せっかくの自慢の乳白色の温泉も薄暗い怖さを感じる見た目になり、春子(深川麻衣)が1人怖がるという展開に。ただ単に怖がっていただけで消えた消えたち騒がれたもう1人の客も影が薄いだけ、その彼が持っていたホラー本らしき本はご飯のうまい宿の本で表紙が何故かホラー絵風味というものだったなどコメディなオチはついた。

原作者ブログ旅館主人Twitterホラーなのはドラマ演出だとさらっと強調されている。温泉ポンプの故障でけっこうてんやわんやで支援金募集とかしていたらしいので、ドラマ効果での客足増加を期待しつつも、ホラー演出が逆効果にならないようにそこは否定しておきたい感じかな。

4話

前回に引き続き群馬県の宿。今回は万座から関越道方面へ向かって移動した四万温泉の手前の沢渡温泉の宿。昭和風情の飾り物があったりと今回旅館の紹介は普通に行われて変な演出は入らなかった。ただ作者ブログでは万座温泉の帰りに立ち寄ったというボロ宿はこことは別の場所だったようだが…。

今回はストーリー展開に変更があり、明美(鶴田真由)という売れていた頃からの龍二(高橋和也)の追っかけファンが登場。ただし開口一番に「何年ぶりだろう」とか言い放っていたので、近年は姿を見せていなかった模様(というか20年近くリリースもしてない・久々に営業活動すると言っていたというどうやって歌手として生きてたの?な設定なので会える機会が無いの当たり前だ)。

明美の登場により、春子(深川麻衣)は社長やマネージャーである前に純粋に1人のファンであればいい、という教えを明美からもらった春子は心機一転。翌日のリベンジ営業(初めて前日失敗した同じ場所でもう1度営業)では、客が手拍子をくれる、旅館に一緒に泊まっていて流していた曲を知らないけど懐かしい感じで良いと絶賛していた女性2人組も見に来てくれるなど初めて盛り上がって終わった。たまにはこういう終わり方じゃないとね。

5話

新潟、群馬から千葉へ移動して木の下旅館が舞台。ボロくなりすぎて不人気のため食堂のみ営業して休業中という事だったが春子(深川麻衣)のボロ宿愛を見た店主は宿泊を許可。

先ほど撮影を行っていた地下アイドルみたいなのとそのスタッフ男性がたまたま食堂に居合わせたので、春子は今の龍二(高橋和也)で「旅人」のPVを作ろうと言い出して突貫工事のPVが出来上がった…という歌ネタを押し出した内容で作中もすぐ完成してOAされ、You Tubeにアップされていたが、現実でも後に実際に公開された。

編集が雑だとか色々突っ込んでいたが逆にスタッフ男性が持っていた現代のカメラや、春子の持つ現代のPCの動画編集機能でここまで時代性を醸しだした4:3の映像を作る方が逆に難しいのでは…。あんなタイトルバックのフォントの出し方とか最早ソフトのテンプレにも無くてめっちゃ手間かかりそう。

一晩で296再生を記録して張り切った(春子が)翌日の営業だったがまさかの観客ゼロ。これまで悪条件で観客厳しい事はあったが、そんな悪そうな場所でもなく、しかもいつになく手間をかけたデカい看板を用意してゼロはキツい…。先週の客入りの良さはなんだったんだ。

しかしPVの最後に旅館の協力を示すクレジットをデカく表記していたためそれを見た外国人2名が泊まりたいと旅館に登場。店主が休業を撤回しそうな希望を見せたところで終了。

6話

引き続き千葉で民宿犬若が舞台。漁師相手の営業により曲は不評(演歌じぇねーのかよと文句を言われた挙句に歌の途中で船の先で熱唱していた龍二(高橋和也)ごと出航してしまい遠ざかっていくというギャグ演出)だったが、若くて綺麗な春子(深川麻衣)の押し売りがオッサン達に受けてCDは20枚売れた。10枚買ってくれだとあと何枚買ってくれだの元乃木坂46的には自然な会話なのかもしれないが、CDが完全に課金アイテム扱いされてんな…。

漁港で白い花を持ってたたずんでいた少女を見かけた春子だったが民宿にその少女がいた。女将のばーちゃんによると親がいないので預かっているという。勝手に海で父親を亡くした孤児だと勘違いした春子とそれに乗せられた龍二は女将のこの言葉で両親のいない孤児だと判断、少女と交流して楽しい夜を過ごす。

そして多すぎると断る女将のばーちゃんに20枚売れたCD売上を全部少女の為に使ってあげてくれと無理やり渡して自己満足して春子・龍二。しかし2人の去った直後、ハワイ旅行に出かけていた両親帰宅。少女が夜に見えないと空を見上げていたのは両親が帰宅してくる飛行機が見えないという意味だった(龍二は死んだと思っているので空から見守っていると諭していた)…という勘違いオチ。勘違いオチだとは思ったけど、さすがに人の良さそうな女将ばーちゃんが少女とグルで同情で金をふんだくろうとしていたみたいなクズ脚本にはなってなくて一安心(さすがにそんな脚本にすると民宿に迷惑すぎるので出来ないとは思うが…)。

しかし物凄い大金渡したかのように見えたが、よく考えたら1080円×20枚なので21600円。実在するこの民宿の宿泊料金は1人7000円からなので、最安7000円がこの日の料金だったとしてまあ1人分多く支払った感じか。

加えて20枚売れたCDは全部鳥除けに使われていたというこっちは春子・龍二も目撃するギャグオチも。課金アイテム化&鳥除け扱いというCD無価値っぷりの重ね掛け演出がちょっと悲しくなった…。しかも予算が無いのでテキトーに用意されたと思われし「旅人」のCD盤面は明らかにプレスCDではない緑色のやつ&レーベル面はまっ白なところに印刷入れただけのCD-Rというスタッフお手製の小道具感満載の代物だったという…。

7話

2話ごとに県を移動する法則通りに、新潟→群馬→千葉と来て栃木。今回は那須にある素泊まり専門のボロ宿「雲海閣」が舞台。那須ワールドモンキーパークの営業でサルに敗北(前座としてステージに立ち、観客はいたが全員見ていない、無拍手・無反応)だった事から龍二(高橋和也)が過去最高に落ち込んでいて春子(深川麻衣)もいつものように撮影した映像での反省会をやらずに食事の用意して励まそうとするほど。観客ゼロや罵声を浴びせられるよりもいるのに無反応・無拍手の方が辛いよな…。

宿自体はそのボロっぷりと温泉場までが異様に長くて狭い地下へ潜っていくような通路を時間をかけて紹介(ひたすら闇の中を地下に潜っていくように演出していたが翌朝になって立地が坂道なので斜面に合わせた構造で地下ではなかったんだと春子が窓の外を見て判明する演出)。万座温泉でのホラー演出で春子だけ怖がって龍二は全く無頓着だったが、今回は龍二の方が先に怖がって一緒に風呂場まで行こうと2人で同調しあうほど。物語的にあまり繋がってはいなかったが、そうこうしているうちに落ち込んでいた龍二も元気になったらしく終了。

帰り際に旅館主人(役の役者さん)が予約の電話を受けながら「ウチはボロボロの宿なんですよ。それでも良いですか?」とボロいけどいいのか確認取っている、というシーンがあったけどこれは現実のこの宿を反映したものらしく、そう書いてあるブログが原作以外にも出てきた

8話

新潟→群馬→千葉と6話までは1県2宿(話)で来ていたが7話の栃木から今回は長野の戸倉ホテルが舞台で1県1宿に変わった模様。営業がドタキャンされてたどり着いた寂れた温泉街。いつもの宿のボロっぷり紹介シーンではこれまでどんなボロボロでもむしろテンションを上げていた春子(深川麻衣)が壁一面カビだらけでズタボロの宿の卓球場を見て楽しそうじゃない…とテンションが下がりまくるという珍しい一幕も。これまでどんなボロボロでもホラー系以外はニコニコで褒めていたのに春子にまでディスられたら終わりじゃないかあの卓球場…。

久々に食事の出る宿で夕食後はスナックをはしごして営業。そのどれもが大盛況で、ドタキャンの鬱憤を晴らすノリノリ状態となったが…スナックのママが昔は深夜まで観光客の下駄の音がうるさくて寝れないほどだったが今はさっぱりだと言い、実際潰れた商店も数多く並んでいる描写が出てきながらも大量のスナックが営業しまくっているのは寂れているのか栄えているのかよく分からん設定だった。

最後のスナックでは春子が酒を少し飲んだだけで酔いつぶれてしまい、龍二(高橋和也)の凄さを熱弁。それを見ていた龍二は春子の父である篠宮社長(平田満)に同じようなスナックでスカウトされたことを思い出す、という回想シーンが登場。最初から所属していたわけではなくヒット曲が出ずに素行不良で事務所をクビになってヤケ酒しながら熱唱していたところを見た篠宮にスカウトされていた事が明らかになった。さすがにこの過去シーンでは「旅人」を使いまわすのではなく、その時歌っていて売れなかったのは全く別の曲(曲を用意してないので音声カット)だった。20年前にすぐに1発当たって以降さっぱりという設定だと思っていたら売れない時代を経て「旅人」を当てたという意外と苦労人だったのか。

9話

今回は埼玉県秩父市の「ゲストハウス錦」。一応準レギュラー扱いだったのに1回しか出ていなかった明美(鶴田真由)が久々に登場し同行。道の駅ちちぶでの営業では大道芸人が真横にいて客を全部持っていかれるなどしてふてくされた龍二(高橋和也)。ゲストハウスなので一緒になった夫婦はどこか気まずそうな様子を見せていたが夕食時に夫婦が大道芸人だったと発覚。次の日の営業も渋る龍二だったが、春子(深川麻衣)が2人に頼んで芝居を打つ事に。大道芸人のスピーカーが壊れたので龍二がスピーカーを貸し、大道芸人たちは最後の演目で「旅人」でコラボする…というものだったが…龍二がスピーカーを貸すところまで春子が読んでいたのかは不明。ていうかそれを抜きにしても観客ゼロだったのが地味に痛くないか。明美しかマジでいなかったじゃないか…。先週の酒場営業が大フィーバーだった反動

今回の宿に風呂が無いため近くの温泉に行くシーンがあり、一瞬映っていたのは「神庭」というカフェ&温泉だったが…さっきアクセスしてみたらなんかこんなことに…。まだ1週間あるのに既に閉鎖告知になってしまっているが…。紅葉気味の景色からして撮影は明らかに去年秋(10月11月)くらいだと思うので、急に閉鎖が決まったのだろうか。

10話

再び1県2話に戻り、前回に続く埼玉県。寄居町「山崎屋旅館」が舞台。王道的なボロ宿だったが、今回は営業先で若者がみんなスマホをいじっていて曲を聞いていない事から若者受けを考える話になり、同じ宿泊客の若者カップルから配信はしていないのか?と聞かれて配信をしようと春子(深川麻衣)が提案するがデータで軽いやり取りをされるのは嫌だと龍二(高橋和也)がつっぱねる話に。

音質に言及したり(若者曰く普通の環境なら違いなんて分からないので問題ない)CD終了、DL時代という典型話が展開し、古い売り方(CD)にこだわる龍二というCDすっかり前時代産物みたいな扱いが少々悲しかったが、さすがにストリーミングへの言及は無し。一方で「もちろん違法じゃないところでDLしたい」としっかり言及する場面も。そこ大事な。

いつもより出番の多かった旅館主人との会話の中で龍二はこの旅の始まりである「引退するならCDを売り切ってから引退しろ」という約束を大事にしており、CDをちゃんと売り切るまではケジメだと語り、偶然聞いていた春子は龍二の意思を尊重。CDをまずは売り切らなきゃいけないのでDLはそれまでしないと若カップルに宣言し、カップルはいい曲だったから今聞きたいと1枚お買い上げ。若者に売れたCD1枚で気を良くした2人で次回へ続く。

“ネットで検索しても「旅人」が出てこない”事になっていたが、1回PV作ってネットにアップしたのはどうなったのだろうか…。この規模じゃ通販もやってなさそうだしなぁ…(社員もいないし、今2人は営業で回ってるので誰が発送業務するんだっていう)。かといって1営業につき0~10枚程度しか売れてない様子なので宿泊費・移動費・食事代で全部チャラっていう勢いだし、設定の根幹を考えてしまうような話だったな…。

11話

静岡県下田市「昭吉の湯」が舞台。今回の営業先は下田城美術館という寂れた場所。宇宙パワーを売りにした怪しい場所では完全にどうかしちゃっているおばちゃんに宇宙に向けて歌えと言われ、報酬は隕石と称した怪しい石。振り切れ具合がヤバかったが、宇宙パワーの看板等は実在するものであり、怪しいスポットとして一部マニアの間では知られた場所のようだ。美術館の名の通り、実在した下田城でもなんでもない観光用の偽の城で、しかもネットの古いレポでは在りし日の姿が見れるが潰れてしまって10年ほど経過した完全な廃墟らしい。とんでもねーところでロケしたなおい…。

ヘトヘトの2人は温泉の看板を見て「昭吉の湯」に向かうが宿もやっていると知り宿泊。部屋が空いていないのでバンガローの方に泊まるという事になり、温泉も日帰り温泉がメインなので景色も良いせいか今回はいつもより風呂のシーンも長め。さらにバンガローは標準的なものだったのでいつものボロっぷりはほぼ施設外観のみに留まるという珍しい展開に。宿泊曲の青年を指名手配犯と間違えたら売れない役者だったというドタバタもありつつ、酔って暴言モードになった春子(深川麻衣)は営業を回る金が無いと吐露。龍二(高橋和也)は100枚売ってやる!と意気込むが最終回という旅の終わりが見えてきて次回へ続く。

よりによって今回みたいな完全に相手に騙された形になるような営業の後で金が無いと言われてもそれはもう完全に春子の営業手腕に問題があるとしか…。

12話

最終回は神奈川県みよし旅館が舞台。漁港での営業に失敗した2人はいつものように宿へ向かうが、いつもはボロっぷりに目を輝かせる春子(深川麻衣)が終始浮かない表情。一応龍二(高橋和也)がボロっぷりへのツッコミを代行していたが、これでは何だかいつもよりつまらない旅館みたいではないか…。

春子はこのままでは勝ち目が無く、営業を回る資金も無いため、東京に戻ろうと告げる。東京に戻って新曲を作って改めて勝負しようと今更当たり前な事を言い出す春子。そもそも20年前の小ヒット曲を今になってもう1回売ろうという前提に無理があったままここまで来てしまったのに最後の最後で新曲を出そうとか当たり前な事言い出されても…。

龍二は新曲を作る資金も無いだろうと告げるが、春子はバイトして資金を作ると宣言。そこまでしなくても「旅人」の歌唱印税を使えばいいという龍二だったが、実は印税など既に発生しておらず毎月振り込まれていた印税と思われたお金は故・社長(平田満)のポケットマネーであった。それを初めて知った龍二はさすがにショックを受け、春子の前では明るく振る舞っていたが翌日引退すると置手紙を残して姿を消す

一方の春子はこれまでの旅館女将(根岸季衣)に励まされて龍二の歌が好きだという原点を信じて旅を続けることを決意。消えた龍二を追いかけて思いを告げ改めて2人で営業の旅を続けることになり終了。

今回は宿よりも最終回展開に重きが置かれていた感じ。お決まりな展開ではあったけど、そもそも20年前のヒット曲が何故か大量に余ってるので今更営業に出てもう1回売ろうとするという旅の前提が微妙すぎたのが効いてしまい旅を続けるか否かでシリアスになるには色々おかしくなってしまったような。

演じている高橋和也本人が「旅人」を80年代にヒットした歌謡曲の設定、と思いっきり勘違いしてしまっているところも含めて設定にとにかく無茶があった。20年前のヒット曲なので99年のヒット曲のはずなんだけど、制作側含めて感覚が30年前になっててズレてしまっているという。高橋和也本人にしてみれば男闘呼組が活躍していたのが30年以上前なので若い時のヒットなら80年代という感覚から来るものだろうけど…。

それにしても社会全体の高齢化の影響なのか、来年には20年前が2000年になるという事実、来年から80年代が40年前に、90年代が30年前になっていくのを忘れがちだ。

20年前のヒット曲「旅人」の知名度を餌にして余っている売れなかった最後に出せた新曲を売るとか、20年前のヒット曲「旅人」を餌にしてこれが売れなかったらおしまいな最後の新曲を最後にならないように売るとかそういう設定が本来自然だったはずなんだけど、いずれにしても最低2曲用意しないといけないので不自然にしてでも1曲を選んで設定した結果、変な前提になってしまって結局「旅人」はヒットしたんだか売れなかったんだか良く分からねぇっていう変な事になったのか。ていうかいっそもっとテキトーに昔ちょっと売れただけ(何が売れたかは明示しない)の過去の歌謡歌手が再起をかけての「旅人」で地方営業するっていうもっとボヤっとした前提を用意した方がマシだった。

それにしたって主題歌枠は別にあって別の人が歌っているんだから挿入歌と主題歌で2曲で良かった気がしなくもない。まだCDが売れている時代だったら、「旅人」を当然CD化していただろうから自然に2曲用意できていたのだろうか…。

2人の関係性やボロ宿独特の雰囲気など、空気感は非常に良かったのと秋の山々の自然風景も癒されるものだっただけに、この変な設定を一旦破棄、リセットしてしての続編を期待したい。

日本ボロ宿紀行 Blu-ray BOX(特典なし)
深川麻衣, 高橋和也
Sony Music Marketing inc. (JDS) = DVD = (2019-06-26)
日本ボロ宿紀行 DVD BOX(特典なし)
深川麻衣, 高橋和也
Sony Music Marketing inc. (JDS) = DVD = (2019-06-26)

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