私たちはどうかしている 全8話

日テレ水曜ドラマ枠2020年8~9月放送。安藤なつみによる漫画原作。

新コロ自粛により春クールだった前枠の『ハケンの品格』が2ヶ月延期されて6月~8月上旬までとなり、今作の開始も当初の夏クール7月開始より遅れた。本来この水曜ドラマ枠はきっちり全10話で組まれていたが『ハケンの品格』も今作も全8話となり、通常次のドラマまで1ヵ月弱は間を開けるところノンストップで『ハケンの品格』最終回の翌週には今作が開始された。これにより9月最終週で今作が最終回となり、秋クールから通常の放送予定枠に戻った。

放送開始前の7月21日に主演の横浜流星の新コロ感染が判明し入院を余儀なくされる事態となり、出演者全員がPCRトラップにかけられたが無事に全員陰性で撮影を再開。横浜流星も30日には最短で退院してさらに1週間様子を見て復帰。放送に影響が出る事は無かった。

また吉沢悠も7月31日に体調不良を訴えて8月に陽性で入院となった。こちらは出演に影響が出たのか明言されていないが、吉沢悠の登場はかなり限られており、メインで出てきたのは7,8話のみ、1~4話では一切出ず、5,6話もほぼ出ていなかった。




15年前に和菓子屋の若旦那が殺された。息子の椿の証言で住み込みで働いていた女性職人が逮捕された後に取り調べ途中で倒れて急死してしまう。女性職人の娘として一緒に住み込みしていた七桜は椿と仲良くなっていたがこの一件をきっかけに互いに憎しみを抱いたまま離れ離れになってしまった。

15年後、母と同じ和菓子職人として働いていた七桜(浜辺美波)は馴染みの客から和菓子対決を提案され相手が母の敵である「光月庵」と知り驚き一度は断るが、母が殺人犯の嫌がらせを連日受けた事で店をクビになってしまい、さらに母の作る和菓子のファンだったという多喜川(山崎育三郎)に母からの「私はやっていない」という遺言を託された事でイチかバチか勝負に出る事に。

評価は高かったもののデキレース状態で大手の「光月庵」への忖度で七桜は負けてしまったが椿は七桜を覚えておらず、しかし決められた結婚をするのが嫌で七桜にいきなりプロポーズ。真実を掴むための潜入にちょうどいいと七桜は「光月庵」へ乗り込むが…。椿も順調な若旦那ロードを走っていたわけではなく、現当主である祖父宗寿郎(佐野史郎)には認めてもらえず母の今日子(観月ありさ)は話が通じず…と残された家族は3人ともいがみあっていて色々と問題を抱えていた。後にここらの大地主である事は判明した多喜川のサポートにより、行けつけの小料理屋店主(須藤理彩)をニセの母親役にあてがってもらったり手助けを受けながらも徐々に真相と2人の距離は縮まっていく…。

という事でいきなりプロポーズという少女漫画ちっくな世界観から始まるも意外とシリアス、そしてお互い利用するはずが椿もまた家族内で孤立していて気がつけば2人は惹かれあい…というラブストーリーと15年前の事件の真相、暗躍する母の今日子(観月ありさ)など見どころも多くけっこう面白かった。

実は若旦那と七桜の母がデキてて2人の子供が七桜、今日子と若旦那は若旦那にその気が全く無くて求愛にも関わらずそもそも1度も触れ合ってすらいないという事で椿は若旦那の子では無かった事が中盤過ぎに判明。一時は兄妹とかと思わせるもそれは引っ張らなかったり、強烈な今日子のイビリ芸も今まで主演級を20年以上続けてきた観月ありさが怪演女将というだけでも話題なのにこれをそこまで目玉にせずにちゃんとストーリーを進めたりと、フックはあってもそっちメインにならずに進行したのは良かった。予定通りの全10話だったらもっとイビリ芸の定番シーンが増えていたのかもしれないが、話数が減ったのが逆に凝縮されて良かったのかも。ただし観月ありさの怪演はHulu商法で脇役達が部屋に呼ばれて怪演の洗礼を受けるミニドラマが放送されていたらしいのでそっちで存分に発散されていたようだ。

正体バレに葛藤する七桜というだけでも十分なのに七桜が一撃妊娠するといういかにも展開を挟み込んできた上に、火事のタイミングで本人はただ立ってただけで煙も来てないのに流産してしまったり、最終回に向けて元婚約者(岸井ゆきの)でも妊娠ネタ(こっちは嘘だった)をやったりと、妊娠展開だけ妙にB級なのが気になったが…。

6話で宗寿郎(佐野史郎)が後継者を椿以外に血を引く孫が現れた場合はその子とする遺言書を書いていたので今日子が奪おうと暴走。もみ合いの末に宗寿郎が頭部を打って気絶。投げ出されたロウソクを放置して今日子が逃げたために火事になってしまい、このドサクサで椿は負傷、七桜は前述のように煙も流れてこないような離れにいたのに突如流産してしまい、そのまま離れ離れに。

多喜川の支援で東京の店で修行した後に戻ってきて近場で店を開いた七桜は3年後、いよいよ動き出して光月庵を正当な後継者として奪い去るために動き出す。7話では3年後の様子が描かれ2人も再会。椿が後遺症で失明の危機にある事も判明。当初の計画ではもう少しゆっくり進めるつもりだったようだが、宗寿郎が余命3ヶ月が明らかになったため、七桜は宗寿郎に自分こそが孫だと明かす。宗寿郎は愛し合っていた七桜母と若旦那(七桜の実の両親)を別れさせたのは私だと懺悔すると、大晦日の会でよりおいしいお菓子を作った方を正当後継者に指名すると宣言。いやお前そこまで命が持つのかよ?というところで最終回へ。

最終回は2時間SPとなったので実質的に2回分。

前半は最終対決に動揺して七桜がスランプに陥ったり、栞(岸井ゆきの)が妊娠したと嘘ついて逆転を狙うも椿が全く関心を示さず、敵対しながらも椿を心配する七桜に全く敵わないと栞がこれ以上の奮闘を断念、そして3年前の誤解をそれぞれの関係者から聞かされ(椿は七桜が妊娠していたのも初めて聞いた)、たまらず再会して最終対決前に一夜を共に…というジェットコースターロマンスも展開しつつ最終決戦に。

なんとか持ちこたえたらしい宗寿郎はしっかりと味を判定。さらに今日子に息子の菓子がどちらか当ててみろと問題を出すも、椿がそのまま「つばき餅」を作ったというサービス問題だったのに策略と復讐心だけで生きてきたこの人、全く味音痴だったのか見事に外してしまい後継者も七桜に決定。宗寿郎は直後に倒れて椿と祖父と孫として和解するとそのままご臨終してしまった。

七桜が後継者となり、椿は出ていきそれ以外はそのままで新たな「光月庵」が始まろうとするも居座る今日子。代々受け継がれてきた道具を燃やそうとするので多喜川はこれを片づけなければ終われないと今日子にナイフを持って迫るが、このドサクサを七桜が目撃。改めて18年前の殺人事件の真相に迫るが、凶器のナイフを七桜母の包丁にすり替え、さらに椿を誘導して七桜母を犯人に仕立てようとしたのは認めるもあくまで自分はやっていないと言う今日子。

しかし今日子は多喜川を共犯者と呼び、椿も駆け付け、多喜川父と今日子が不倫して生まれたのが椿だったと判明。そして今日子は多喜川父にどちらかを殺すように頼んでいた事も判明し、殺された時はやってくれたのだと思ったがどうも違うらしく3年前まで犯人が誰かまでは把握していなかったという。しかし3年前に話しかけてきて父の不倫相手が自分だと知っている様子の多喜川を見て多喜川が犯人なのではないかと気づいたらしい。

多喜川は父の不倫により家族が崩壊。母が自殺を図るレベルで追い詰められたため、元凶である今日子に脅しをかけようと「光月庵」に潜入したが、若旦那と遭遇してもみ合いの末に刺してしまったらしい。七桜の母が犯人扱いされた上に死んでしまうのは想定外だったが、こっちはこっちで母が精神崩壊中でこれ以上負担をかけられないので自首せずに逃げおおせ、父が死の間際に七桜の母からの手紙を託してきたので贖罪のつもりで七桜に手を貸しているうちに本気で惚れてしまったという。

というわけで多喜川は自ら呼んでいた警察に逮捕され、七桜としても許せないとはいえここまでサポートしてくれたのも事実なのでそれ以上引きずることはなく終了。今日子は放心状態で彷徨った末にトラックに当たり屋状態で飛び込んで死亡、椿への角膜移植を遺して退場。

「光月庵」を継いで奮闘する七桜は退院してきた椿の元へ走り戻ってきてほしいとお願いして2人は今度こそハッピーエンドで締め。

原作が犯人判明していないのでオリジナルストーリーで多喜川にしたみたいだけど、終始いい人だっただけにけっこう残念。ただ犯人として都合がいい上に程よく意外性があるという点では終盤ポッと出ていた今日子と親しくしていた議員(吉沢悠)では無理があったか。てか吉沢悠のやってた議員はほとんどミスリードのためだけに急に出てきた感じだったけどこれは何だったのか。横浜流星の後に吉沢悠も新コロ入院になって8月の大半は撮影に参加できなかったはずなので相当出番が減らされた可能性もありそうだが…。

良く考えずとも1度も触れてすらもらえない今日子はかわいそうすぎるし、25年も経てば妖怪じみた性格になっても不思議ではない。若旦那と七桜母は中学時代からの一途なラブストーリーとはいえ、なかなか身勝手でもあり、我慢しきれずに呼び寄せて不倫決め込んでいたわけだからなかなか凄い。居座って別の男との子供(椿)を息子として育てさせる今日も凄い。宗寿郎は単に古い家の価値観(親が家系で結婚相手決める)で行動しただけなのでどうかしているといえばどうかしているが、考えが古いだけでそんなにどうかしているわけでもない。主人公2人の親世代が揃いも揃ってトチ狂っていて、最後は2人がこんな色々あったのにどうしようもなく惹かれあってしまう私たちはどうかしているとWナレーションで締めていたが、作中で最もどうかしていたのは主人公2人よりも親世代であった。

浜辺美波はやはり華がある上に美しさも出てきて(少し前は痩せすぎ&もっと髪が短かったので首のガリガリっぷりが際立ってしまい少し心配になる細さだったけど多少はふっくらして首や手の細さがやや改善されたのと首が隠れるくらいに髪が伸びたのもあって以前より健康的に見えるようになった)、横浜流星は置いておくだけで美形のカッコよさで、美男美女の2人が和む場面は少なかったけど絵的には終始綺麗だった(子役の子も目がくりくりしててかわいらしかった)。双方楽しそうな笑顔は前半の方が多くて後半は険しい表情ばかりだったので最後ハッピーエンドは良かったけど、笑顔で店を切り盛りしている2人まで見たかった。

岸井ゆきのは結婚破棄される報われない子に定評があるのか、去年も『ルパンの娘』で結婚破綻させられてたけど最後城島(高杉真宙)と幸せになりそうな感じだった。結局厄介な人と罪人は退場、基本的にみんな報われて良かったけど、今日子は死をもってして美化しすぎたところはあった。死ぬ時のトラックがあまりに遠すぎるのも妙だったがあれはあれか?こんな大事な場面でトラック相手に異常なソーシャルディスタンスっていう痛烈ギャグなのか?

それにしてもいよいよ観月ありさに成人越えの子がいる母、佐野史郎が成人越えの孫がいるもうすぐ死にそうなじいちゃん…と時代になってきたっていうのが時代を感じた。

終盤現実には暑さが過酷化していたであろう中で、設定が真冬になってしまったのでマフラーや雪まで出てきたけど冬演出のために変に凝ってたな。神社のシーンとか雪が残ってる感じで置かれまくってたし。

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