フジテレビ系2023年11月11日、2018年より連続してこの時期の土曜21時枠での放送。
「トランジスタ技術の圧縮」開始前のタモリのストーリーテラーの際に後ろで圧縮していた中年男性(クレジット上は「圧縮した男」)が何故かいきものがかり水野良樹だった…という謎過ぎる仕掛けがあった。本人も早速ネタにしていた。
永遠のふたり
草彅剛主演。
自身の手柄を横取りするばかりだった教授が自殺。犯人にされてしまい立てこもった助手の坂本(草彅剛)。秘書の安藤(大西礼芳)とは恋仲になっており自殺だと証言すると言うが警察が1度犯人だと決めつけた上に無名の助手である自分を犯人に仕立てるに違いないと疑心暗鬼な坂本。外からは人質の安藤が坂本から銃を奪ったように見えたため二宮(江口洋介)ら警官隊が突入。2人はあのボタンを押すしかないとして坂本が開発したボタンを押した。
突入した二宮らは地下で白骨化している2人の死体を発見。近くにあったスマホには坂本の遺した動画が残されていた。動画を見てみると装置は時間停止装置。
時の止まった空間で2人だけで死ぬまで生きていくと決意した2人だったが…。間もなくして安藤は病気で死去(時が止まっているので効きそうな薬を探して持ってくる事しか出来ず、医療知識なしで診断もできない&薬では助けられない重病だったと思われる)。こうなったのはそもそも冤罪をふっかけられたせいであり、飛躍して世界に復讐すると誓った坂本は老人になるまで生涯をかけて1人きりの時の止まった世界で世界破壊装置を完成させ、時を止める装置の方は自動で解除されるよう設定して果てた(実際には白骨化していた安藤の隣で老人坂本がほぼ老衰?で死去、その死体が白骨化するまで時は止まっていた)。
坂本が遺していた動画から信じがたい事実を聞かされて戸惑う二宮らが外に出て改めて見上げるとここに来た時は無かった巨大装置が設置されており、無数のビーム光線を放って世界を破壊し始めた。逃げ惑う一行だったが二宮はこれを止めるにはアレしかないと戻ってボタンを起動。しかし二宮以外は全員逃げてしまっていたので二宮以外は停止してしまい、絶賛破壊ビーム放出中、街は大炎上中の状態で二宮1人の世界で時が止まったままTHE END。
構成上、白骨化した2人が出てきた時点で時間停止装置だと分かってしまうようになっていて、その後は二宮らは動画見て驚いているだけだし、時の止まった世界に生きる2人の描写からオチまでこうくると思わせてそうくるかという驚きは何一つなくこう来ると見せてそのままこう来る連発という予定調和的な展開であまり驚きは無かった。
地獄で冤罪
北村一輝主演。
優秀な弁護士の山根(北村一輝)は何者かに追われる悪夢にうなされていた。そんな中、ありとあらゆるドアや扉からドンドン叩く音とやがて青年の声(花江夏樹)が聞こえてくる。青年は地獄の裁判の弁護をしてほしいと依頼してくる。なんだか良く分からない山根だったが、三雲と名乗ったその青年の死刑が執行されたばかりだった事が判明し、死者として地獄から助けを求めてきていたのだった。三雲は無罪だと主張しており、無実だと訴え続けている両親と接触したところ、両親にも三雲の声は届いた。既に有力な真犯人候補は映像付で上がっており(現実の当時の裁判では何故か証拠にならなかった)、三雲の声だけを頼りに地獄裁判が始まるが何か違和感が拭えない山根。
記憶を辿り現場に向かうと来たことがあるような気がする上、真犯人とされた長沼(鈴之助)が出現。夢で見た追いかけてきた男も長沼だった。夢で追われた道を進んでいく長沼を尾行していく山根だったが、たどり着いた先で待ち構えていた長沼は覚えてないのか?忘れているのか?と問いかける。あれは夢ではなかったのかと困惑する山根。
事件当時、現場を通りがかっていた山根は長沼を目撃しており、後日ニュースで知り、妻や娘に犯人らしき奴を見たと話しつつ仕事が忙しく警察に行かずにスルー。三雲が逮捕されて顔写真が出た時も見た顔と違うけどなぁと妻や娘に話していたが忙しくてスルーしていた。三雲の両親が何故か駆け付け、真犯人を見ていたのに放置した山根を責め始める。行くつもりだったんだ!と言い訳する山根がさらに記憶をたどるとあの夢の続きを思い出した。本当に警察に行こうとしていた山根だったが直前に長沼に遭遇して追いかけられ、追い込まれた山根は黙っているから助けてくれと懇願していた。その事をさらに責める両親、山根は犯人は長沼だと叫ぶが地獄からの三雲の声は聞こえなくなってしまった。
長沼が「三雲は天国に行きました」と言うので、なら裁判は終わりだと叫ぶ山根だったが、長沼はこれは最初から山根の地獄の裁判なんだと告げる。妻と娘がいるはずなのに最近会話した記憶が無い事を指摘され、それは2人がまだあちらの世界(現世)にいるからだと言われ、初めて自身があの時長沼に殺されていた事を思い知った山根。
長沼の顔をした男は地獄の裁判官、三雲の両親の顔をした2人は地獄の検察だった。裁判官は「何もしないことは大きな罪です」と地獄行き判決を言い渡すと地獄送りにされてしまう山根。オチは最初の三雲同様に扉から誰か弁護してくれと叫んでいる山根の声でおしまい。
いや理不尽過ぎるだろコレ…。三雲が冤罪で死刑になってしまったのも長沼が真犯人なのも事実だったようだが…。山根は最初から殺されて記憶を失っている状態だったので、作中で登場した三雲もフェイクで、両親・長沼同様に中身は地獄裁判関係者だったという事なのか。もしくは三雲が天国に行けたという事から三雲のみ本人で地獄裁判が同時進行していて、山根の証言により三雲の冤罪がその時初めて証明されて即天国送りになったのかは不明。
いずれにして最後に大々的に強調して「何もしないことは大きな罪」とか言われてもこの話に限ってはどうなのか。山根が思い出した記憶では三雲が逮捕されたニュースを見てからさほど時間が経ってない時期に警察に行こうとしている。交番が見えた瞬間に長沼に追われた末に実際にはその時に山根も殺害されてしまっているのだから同じ被害者。
長沼が現場付近で映っているドライブレコーダー映像も出ていたのに無視して死刑判決にした現実の警察・検察・裁判官という冤罪を決定させた張本人たちをスルーして被害者の山根を何もしなかったから地獄送りって。わざと胸糞展開を狙ったのかもしれないが警察に行こうとしたら殺されちゃったという真相にしたのは何故?
走馬灯のセトリは考えておいて
西野七瀬主演。
近未来(2023年から50年以上未来)、ライフログが人体に埋め込まれAIに死んだ人のライフログを記録して設計する事で本人そのもののロボットであるライフキャストを生み出せるようになった世界の話。ライフキャストを作るライフキャスターの仕事は報酬も高くその中でも優秀なライフキャスターのイノリ(西野七瀬)だったが、ライフキャストに心は無いと冷めていて仕事も辞めようと考えていた。最後のつもりで引き受けた余命間近の柚崎(朝加真由美)は、自身が50年前の2023年頃に世界中で大人気だったバーチャルアイドル黄昏キエラ(声:七海うらら)だった事を明かし、柚崎としてではなく黄昏キエラのライフキャストをバーチャル空間に作ってラストコンサート(ライブ葬)を開いてほしいと持ち掛ける。当初いつもと違う上に情報が少なくて困り果てたイノリだったが、若い頃に熱狂的な黄昏キエラファンだった父の明宏(利重剛)の証言や柚崎との交流によって徐々に前向きにライフキャスト制作を進めていく。
当時を知る明宏が途中でキエラのキャラが変わったという証言をした事から聞いてみると元々はキエラは杏(大平くるみ)が演じていて柚崎(若い頃:松永有紗)はマネージャーだった。柚崎の意向で杏のアイドルっぽいキャラよりもクール寄りで売り出そうとしていたが、杏が急死(ここの回想に時間かけてられないせいなのかその場で急にバタリ倒れてそのまま御臨終)。柚崎は杏の理想とする杏のやりたかった黄昏キエラを引き継ぐことで弔いをしていたという。
イノリは柚崎に会わせたい人がいるとバーチャル空間で柚崎を明宏と会わせ、明宏は自身はライフキャストだと明かし明宏本人は死んでいるという。イノリによれば進路のことで家出したイノリを探して事故死したが、明宏は生前ライフキャスターを仕事としていて自身のライフキャストを制作していたらしい。いざ起動してみると実際の父よりもキャラが明るくなっていて全く叱らなくなってしまったので偽者だと感じるようになり、ライフキャストには心が無いと改めて確信。イノリもライフキャスターの道を選んだのはライフキャストが人を幸せにできるのか確かめたくてなった事を打ち明ける。イノリがライフキャストには心が無くやはり偽者だと思うけどそれでもキエラのライフキャストを作るのか問いかけると、柚崎は偽者でも杏が生きた証であり魂もあると思うと告げる。
そして柚崎は亡くなり、イノリは柚崎の遺志に従い黄昏キエラのライフキャストを完成させ、ラストライブを開催させる。ライブビューイング会場には明宏も駆けつけ、往年のファンと共に歓喜(半世紀前のアイドルなので現場もネット配信を見ているのも熟年・老人率高め)。自宅で配信で見ていたイノリはキララの手の動きの癖が柚崎と一致している事に気づく。柚崎は自身のライフログを一切使用せずに作るよう要請しており、イノリもそれは守り、最終的にはキエラに必要なデータを得るためにライフログを使用するとした時も柚崎自身の情報は一切入れない事を約束していた。このため柚崎の要素は入ってないはずだったが、キエラに柚崎の癖が出ていた事でそこに「心」を感じたイノリは今まで見せなかった笑顔を見せ、ライブ終了後にキエラが感謝を告げに出現した際には「ライフキャストの未来に心から希望を感じています」と感謝を告げ、ライフキャスターを続ける事と廃棄処分を検討していた明宏のライフキャストとこれからも暮らしていくことを決めてハッピーエンド。
久々のハートフル系。落とすオチも無く、温かいままに終わったので安心した。ここ最近の傾向だと普通に着地したくなくてわざとひねったように落としてくることがあったので、最後の最後までイノリが実は本人も気づいてないけどライフキャストだったオチ(監視している「科学者組織」の人たちが出てきて終わる典型的なやつ)が来るんじゃないかと恐れていたが来なくて良かった…。
しかしライフキャストやなんか怪しげな管理システムを体内に埋め込むのとかは無さそうだけど、半世紀後にバーチャルアイドルの中の人が老人、死期を悟った中の人がバーチャルアイドルのラストコンサート葬を人生の最後に企画する、当然当時熱狂していたファン達は熟年・老人達…というのは半世紀後に普通に訪れる話だと思うと味わい深い。
トランジスタ技術の圧縮
溝端淳平主演。
広告が多くて分厚い実在する専門誌「トランジスタ技術」。この雑誌を解体して広告部分を抜き取ってスリムにして”圧縮”して保存するその速さと正確さを競う大会という全力おふざけ展開を大真面目にやるコメディ。かつて主流だったアイロン派、その匠であった関山(志賀圭二郎)だったが、弟子の坂田(阿部亮平)は筋力でひっぺがしていくむしり派へ転向して離反、直接対決の末に坂田が勝利し、関山は引退・隠居した。関山に弟子入り志願した梶原(溝端淳平)は関山の技術を引き継いで打倒坂田を目指すが志半ばで寿命が尽きて関山は死亡。師匠を失って勝ち目のなくなった梶原だったが、関田は孫の舞衣子(田村藍)に梶原に渡せと最終奥義の巻物託していた。
対決開始後、坂田が圧倒的優勢だったが、アイロン2台で最終奥義を発動した梶原は立ち込める蒸気と共に龍を出現させて蒸気が消えると一気に5冊完了しているという神業を披露。しかし発動させた梶原も満身創痍でかなり体力を使うらしく結局1度しか使わなかった。しかもこの時点でもまだ3冊差で負けており、ゼーゼーハーハーしていて更なる最終奥義連発が出来そうもない状態では勝ち目無さそうだったが、なんと坂田の糊付けが甘く、次々剥がれて10冊ほどが一気に無効になってしまったので10冊近い大差になって大逆転。
しかし、絶望する坂田に何故か舞衣子は関山は離反した坂田の事も弟子として大事に思っていたと告げると、アイロンがもう1度必要だと思った時に渡せという遺言だったとして坂田にアイロンを渡す。体が覚えていた坂田はアイロン技術で怒涛の追い上げを見せて一気に巻き返す。最後は同時終了にまで追いつかれてしまいVAR判定で坂田勝利となるが、追い上げ過ぎた坂田は捨ててはいけない読者投稿のページも広告と一緒に捨ててしまってペナルティ-2となった事で梶原が勝利。健闘を称えあい、これで争いも終わると関田の亡霊も舞衣子と共に満足げだったが…。
雑誌「LEON」を持ったジロー・ラモがパーティーはこれからだと新たな圧縮対決を挑んできてTHE END。
専門誌「トランジスタ技術」の圧縮っていうギャグが高度過ぎないか…。変なシチュエーションだけどやっているバトルは王道的展開…というセオリーをぶち破ってなんとも奇妙な展開だったし…。
まず最終奥義なのに中盤で出てしまった上、派手な演出の割には実は奥義使っても逆転にすら至っていない。既に大差すぎたので数冊差まで追い上げた程度で、逆転したのは10冊近く糊付けが剥がれるという坂田のミスが原因。雑誌は生き物で一冊ごとに個性があるのに力技でやっていればこうなって当然だみたいな感じになってたけど関山を倒した時にこんなミスは発生せずに勝利していただろうしどうしてこうなった…。しかもむしり派VSアイロン派という話だったはずなのに最後はアイロンVSアイロンになっててしかも10冊以上の差を坂田が追いついてるし、このストーリー展開じゃ坂田強すぎるでしょ…。梶原は坂田が使えない最終奥義まで繰り出したのにこの追いつかれっぷり、10数冊以上の坂田無効判定による辛勝ってやはりまだ梶原は修行不足という事だったのだろうか。
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