EX-HR99だけでなく兄弟機種HR55,HR10000でも同じファームウェア使っているので起こりうるという再生不具合。実際に経験したファームウェア番号は全部で3つ、公式発表されている初期ファームウェア含めた4つそれぞれで起こった不具合を改めてまとめておく。
V1300
最初のバージョン。これは2019年2月の発売直後に発覚して公式で無償修理を告知した際に発表されていたものでちゃんと対応された。「V114」という表記もあるらしい。公式発表して対応したため早期に回収されたものと思われる。
・電源が入らない。電源スイッチを押したりコンセントの抜差しを行っても復帰しない。
・CD再生中、ごく稀に音が一瞬途切れる。
症状はこの2つとされている。電源の方は修正されたようだがCDの音途切れは実際には修正されていなかった。
V1360
筆者が2020年3月にネットショップで新品購入したもの。電源が入らない事はなかったが購入直後から音飛びが発生しており、V1300の不具合が直っていない不完全なバージョン。その他多数の不具合が10ヶ月の間に発覚していった。
・ランダムに音飛び、途切れる事がある
・ランダムにカウントが不整脈みたいに不規則になる事がある
・カウントが進んでいるのに再生が数秒~10秒程度遅れる事がある
・25秒の無音トラックが35秒再生される
・30~40秒前後を越える無音が続くとその後の音声が再生されない
前半3つは購入当初より発動。
後半2つは特殊条件のCDのみで発動するため該当CDを再生した2020年12月まで症状に気づかなかった。
“25秒の無音トラックが35秒”というのはMr.Children『ヒカリノアトリエ』『himawari』が該当する。これは25周年なので25秒の無音を入れた後に次のトラックがシークレットトラックになっているというもの。35秒も再生されたのでは当然アーティストの意思に反する。
“30~40秒前後を越える無音が続くとその後の音声が再生されない”は要するに一定以上の無音を経て同一トラック内に収録されているシークレットトラックが再生されないというもの。直前まで早送り・巻き戻したした場合はきちんと再生される。
V1370
筆者が2021年1月に最初に修理依頼した際にアップデートされた2021年1月時点での最新ファームウェア。
・ランダムにカウントが不整脈みたいに不規則になる事がある
・25秒の無音トラックが24秒再生される
・40秒前後を越える無音が続くとその後の音声が再生されない
・シームレス再生機能が殺される
このV1370は失敗ファームウェアであり、このアップデートにより新たにシームレス再生機能が殺され、曲間に常に1秒前後の間が生じるようになった。これによりノンストップCDは全て曲間で音が途切れ、連続して曲間が繋がっているCDとしては恐らく国内最大級の売上を誇るMr.Children『深海』は冒頭「DIVE」~「シーラカンス」~「手紙」がいちいち途切れる。この症状を回避する手段はない。
1週間経たずに再修理へ送ったため音飛びと再生遅れは発動しなかったかが直っていたかは不明。音飛びに関してはたぶん直っていない。
またV2020の開発を前にしてシームレス再生殺害不具合はファームウェア修正で改善されたの事(1月末に再修理に出した際は「ファームウェアをV1360に戻したら直ったのでV1370のせいだった」という報告だったが、3/1時点での中間報告では「シームレス再生についてはすぐにファームウェアが修正された」と報告された)。
V2020
2021年3月に開発された最新ファームウェア。V1370を送り返されて激怒した筆者が症状が起こる実例CD4枚を同封して送り返し、事態の深刻さをようやく理解したJVCサイドが中国から更新用のファームウェアを取り寄せて2ヵ月かけて(実際は中国がなかなか送ってこないので最後の1か月弱くらいしか日本では作業してないっぽい)開発されたもの。
1月末の時点で1ヵ月はかかるので待てと言われ、3/1に中国からの到着に時間がかかってようやく修正作業に取り掛かったのでもう2週間待てと言われ、3/15に今週末で結論が出ると言われ、3/22に完全には直しきれなかったがひとまずこれ以上出来ない、やろうとするともう1回お取り寄せで何ヶ月もかかると妥協をそれとなく促され開発終了。
・ランダムにカウントが不整脈みたいに不規則になる事がある(頻度激減)
・25秒の無音トラックは24秒再生される
・40秒前後を越える無音が続くとその後の音声は再生されるが数秒遅れる
・音飛びも稀に起こる
完全には直りきらなかったという公式見解通りに以上の症状は残っている(今後発見された場合は追記する)。シークレットトラックが全く再生されないという事は無くなった。
音飛びは元よりランダム発動でちょっと点検したくらいじゃまず確認不可能なくらいいつ飛ぶか分からないので、修理の現場でも確認できたことがたぶんないと思うんだけど、音飛びの症状もやはり残っていた。ただ修理後1週間起こらなかったのに急に同じCD-Rで連続で音飛びが起きたりと不規則ながら起きるときは近い頻度で起きるし、起きない時はずっと起きないしよく分からん。
更なるファームウェアの更新作業は行わないとの事。
V2020追記(その後新たに起きた現象を随時追記)
初経験の突如再生が停止して固まる症状が1度だけ発現。巻き戻してもスキップしても一切再生されなくなったので、1度CDを取り出して再度再生したら何の問題も無く再生され同様の現象は発動しなかった。たまたま起きた怪奇現象なのか、新たなる不具合で今後もランダム発動するかは不明。なお盤面を確認したが傷1つ無いピカピカなCDだった。その後は音飛びも発生していない。
プリギャップ再生(マイナスカウント)の表示は最初から無い仕様でこれに伴うあれやこれや
すっかり忘れていた。特殊なCD再生としてはこれがあった。プリギャップ再生と言われるもので再生できる装置だとカウントがマイナスになるやつ。これも以前のAR3,AR9では表示されたがHR99ではマイナスカウントが表示されない。
BUMP OF CHICKEN『FLAME VEIN』は1曲目再生直後に巻き戻すとマイナスカウントに突入し、-8分15秒ほどまで巻き戻すと聞くことができるが、HR99ではマイナスカウント表示が無く、巻き戻すことが不可能なので再生不可となった。
浅岡雄也『コトノハ』では10曲目「コトノハ」の終了後にボーナストラックの11曲目「Life goes on~uyax ver.~」がマイナス1分からカウントが始まるという仕掛けが施されているが、このような場合、HR99にはマイナス表示が無いのでその分は10曲目の最後に丸々含まれていて曲間自体は同じ。
ZARDの『Cruising&Live』はMCが全てマイナス部分に収録されているが、これも全部普通に再生される。マイナスカウントが無いので前の曲の後ろにくっつく形。
※最初勘違いした。これはAR3とHR99の1曲の分数表示が同じだったため。例えば『Cruising&Live』7曲目「もう少し あと少し…」と8曲目「眠れない夜を抱いて」の間に次の曲は初めてTVに出た時の曲でその時と同じくらい緊張しているみたいなMCが入っているんだけどこの部分は仕様上は8曲目のマイナスカウント部分に収録されている。
で、AR3でもHR99でも7曲目「もう少し あと少し…」の分数表示は4分42秒で同じ。
AR3では実際には4分42秒まで再生されずに8曲目のマイナスカウントに移動してMCが流れる。
HR99ではマイナスカウントが無いので4分42秒までフル再生されてその部分でMCが流れる。
つまり流れる音声もその間も全く同じ。AR3の方が4分42秒表示なのに4分42秒再生されずに次の曲のマイナスに移動してマイナス含めて4分42秒という扱いなので勘違いした。
『コトノハ』も同様で表示上はどちらも同じ分数だが、AR3では表示より1分以上早く次の曲へ移動してマイナスカウント表示。HR99では表示通りフルで収録されて次の曲を再生。再生時間はどちらも同じで表記の違いだけだった。ギャップが勝手に埋められたり、再生されずに飛ばされたりはしてない模様。
よって『FLAME VEIN』のように頭から巻き戻さないと聞けないやつだけ再生できないっぽい。
以前よりかなりマシになったとはいえCD再生機能にはどこか難が残ってしまう模様。想定通りの許容範囲ではあるが、当然AR3,AR9ではこんなことは1度も起こらなかったので稀な音飛びだけでも呆れるレベルではある。ていうか初期から音飛びは把握しておきながら一向に直せないのだから、やはり根本的に構造に欠陥があるか、ファームウェアいじくりまわしすぎて妙な負荷がかかっているのか、CDピックアップ部の外部委託している部品に問題があるんだか…。少なくともAR9までの時代の契約先や部品とは全く違う粗悪なものを使っているのではないかとは思う。CD読み込み時の音もAR3、AR9より大きいし。
なおCD以外の再生には何の問題も無い。USB(ただし16GBまで、それ以上の容量だとフリーズしやすい)もウォークマンからのBluetooth飛ばしもBlu-rayプレイヤーからの外部接続音声再生でもCDで起きるような不具合は一切起こらずに実に快適だ。
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