恋せぬふたり 全8話

NHK総合「よるドラ」枠(月曜22時45分~23時15分。

他者に恋愛感情も性的欲求も抱かないアロマンティック・アセクシュアルの男女が始めた同居生活を描く「ラブではないコメディ」

1月放送開始で全8話なのでそのまま毎週放送すれば2月で終わるが、オリンピック期間に2週お休み、パラリンピック期間に1週お休みと3度休止があったため3月まで放送された。

また次クールより月~木の帯ドラマ枠「夜ドラ」に改編されるため、「よるドラ」枠としての最終作品となった。

1話

スーパーまるまる本社営業戦略課でバリバリ働く咲子(岸井ゆきの)は人当たりが良く慕われる性格だったが、恋愛に関心が無く、すぐに恋愛前提になる周囲への生きづらさを感じていた。後輩の企画を協力して成功させた際もその気は無かったが後輩が咲子に本気になってしまい勝手に盛り上がって咲子にその気がないと知ると会社を休んで異動願いを出してくる始末。実家住まいでも結婚を期待する両親との関係に徐々に居場所のなさを感じるようになっていた。

そんな中、友人千鶴(小島藤子)とルームシェアの話が持ち上がり、ウキウキで準備を進めていたが友人が元カレと復縁した事で破綻。何故か友人は逆ギレかましてきた挙句に早くいい人が見つかるといいねなどと捨て台詞を吐いてきたのでますます落ち込んでしまった咲子はネット検索の末にしつこい婚活サイト誘導の検索結果ばかりの中で他者に恋愛感情も性的欲求も抱かないアロマンティック・アセクシュアルを自称して情報発信しているブログを発見。共感し救われる。やがてスーパーまるまるの青果部門勤務の高橋(高橋一)が以前会話をしたときに「恋をしない人間もいる」と言っていた事、ブログに書かれたばかりのカレーうどんで汚れたシャツをまさに今来ていた事からブログ主=高橋と知り、話をすることに。自身の悩みを話し、それでも1人で生きていくのは寂しいという想いを抱えている事に共鳴した咲子は恋愛感情抜きで家族にならないか?と持ち掛けて次回へ続く。

監修も入れて丁寧に描写しているようで、咲子は人懐っこく積極的な性格(だが恋愛に関心が無い)で距離感もどんどん詰めてくる、高橋はアロマンティック・アセクシュアル両方を自認していて1人に対する寂しさはあるものの割と一匹狼タイプでもある。打ち解けるのには時間がかかりそうだがなかなか面白いコンビになりそうだ。

恋愛前提に疑問を提示しまくり、色々な志向があるとしながら1人に対する寂しさは万人共通だ見たいな描き方には違和感があったが(他人に興味がないのがまず先に来る人もいるだろう)、まあ2人とももしくはどっちかが1人で寂しくないとかになると同居する理由が無くなって物語にならなくなるからしょうがないか。

2話

咲子の家族になろうという勢いあり過ぎな提案に1度は引いていた高橋だったが話しているうちに冷静にメリットはあると判断、お試しでの同居が始まる(とりあえずのメリットが祖母亡き後に近所の住人が世話焼きで姪の写真や結婚相談所のパンフを持ってくるのが咲子と暮らせば無くなるだろうという)。

頑張ろうとする咲子とクールを貫く高橋はなんだか噛み合わず、咲子は不安を感じていたがそんな折、前回ルームシェアを破綻させた逆ギレ友人がお詫びに蟹を実家に送り付けた事で咲子が友人とルームシェアしていない事が親にバレてしまい、やむなく男性と暮らしている事を伝えると当然彼氏だと解釈されて面倒な展開に。高橋は両親には捨てられて祖母に育てられているので理解の無い両親なら捨てればいいとドライな意見をぶつけるが冷静さを欠いた、あくまで自分の価値観で押し付ける気は無いと謝罪。しかし結局カニに釣られて彼氏のフリして実家に出向く事を了承。

しかしラブラブな妹夫婦もやってきたので余計面倒な空気となりなんとか無難にやり過ごしていたが高橋が両親に捨てられた話をすると重い空気になり、だったら咲子とは普通の家庭を築ければいいよねというフォローの一言が空回って普通って何だよ!と咲子がキレ散らかす展開となり、アロマンティック・アセクシュアルをカミングアウト。自身の考えを訴えるがまるで理解されず場が凍り付く+母親は明確に理解できないとわめきだし、父親こそ何であろうと娘であることに変わりはないと言いながらも帰宅を促すという最悪の状態となってしまう。

高橋のさりげなくそんな自分たちでも幸せになる方法を探っているという言葉が救いだったのとお互いを「味方」=「家族」と認識した2人は本格的に同居生活の話し合いを開始する。

しかし今度はよく話していた咲子の同僚カズ(濱正悟)がお前は俺の女だなどと言い出し…。

やや妹や母親が固定観念押し付け気味な描写にはなっていたが、あの空気は地獄だ。引き金になったのは何気にアロマンティック・アセクシュアルに関係ない。高橋が両親と縁を切っているが本人は祖母の愛情を受けて育ったし問題ないと考えているが(実家に行ったときに高橋目線でやたらと咲子の家族写真が飾られまくっているのを眺めている描写もあった)、咲子以外の全員が高橋をかわいそうな人だと一瞬でハレモノ扱いになった事で取り繕おうとして「普通」という失礼ワードを繰り出してしまい(これまでの高橋を勝手に普通じゃない、不幸せ認定する暴言)、家族観の違いに端を発してあのようになったというのがまた何とも言えない。これが無ければ何とか今日のところは乗り切れたか、咲子がだましている事に我慢できなくなって本当のことを話そうとしてももう少し穏便に話し合えたはず。咲子は手を繋ぐのもくっつくのも問題ない(ときめきはしないが不快でもない)が高橋は人に触れるのも嫌だというタイプなのでその線からバレるのは時間の問題ではあったが。

高橋はあんな感じでそっけないし現時点で全く交友関係が描かれていないが(だから今のところ1人の方が好きなタイプに見えるんだよなぁ…)、咲子は初回の後輩に続いて同僚カズにまで好意を持たれて勝手に付き合っている認定されているなどモッテモテじゃないか。これでその気がゼロとなるとあちらサイドからは魔性の女にでも見えてくるのだろうか。

それにしてもコメディ要素が思ったより無さすぎるんだけど、高橋が同居メリットとして提示したのが近所のお節介が無くなるからとか、カニに釣られて彼氏のフリを引き受けるとか全部真面目な顔して言うのがシュールだというコメディ要素…なのか…?

3話

同僚カズと咲子は一応昔付き合っていたが恋愛が分からないという咲子の態度に自ら「活動休止」という表現で別れを告げていた事が判明。休止中だから別れたわけではないと子供のような駄々をこね始めて暴走し始めるカズ。なんでこいつこんなお子様な態度なんだ…。

高橋が溜めていたポイントカード各種の消化のために2人で手分けして各店舗を回る事になり、この際に咲子は過去のお付き合いの事を高橋に話す。大学時代にバスケサークルにいた咲子は同級生に好意を持たれて告白され良く分からないが付き合い始めるもキスされたので拒絶したら相手が怒り出してしまい険悪なムードとなりサークルにも居づらくなって辞める羽目に。カズとの出会いも改めて説明され、カズは途中入社でやってきて好きな女性アイドルグループから趣味までことごとく気が合ったので付き合う事になったが3日後には襲い掛かってきて流されるままにやってみるも2回目以降はしんどくなるばかりだったという。高橋の方は接触自体が最初からNGなのに対して咲子は分からないけどとりあえず抵抗は無いのでやってみた(結果なんかどこがいいのか全く分からなかった)という違いが示され、最初から態度がハッキリしている高橋と違って咲子はこれじゃ苦労するわなぁ…という感じ。何せ咲子の愛嬌の良さが思わせぶりすぎるので相手の男が怒り出すのもそりゃそうなるだろうし…。

帰宅した2人の前にカズがやはり付き合っているんだ!と尾行していて登場。子供のような態度で文句を言いだし、高橋につかみかかろうとして高橋が振り払い転落しそうになったので高橋がかばって階段から落ちて次回へ続く。

咲子の相手の男が怒り出すのもそりゃそうなるだろうという感じを中和するためなのか、カズはカズでなんか妙に子供っぽい暴走馬鹿野郎みたいに描写されているような…。ある程度極端にしないと波風が立たずに問題提起も物語進行も出来ないとはいえ…。ていうか男のアイドルオタはこんな感じだろうみたいな偏見は入ってないよね?

4話

高橋がケガでしばらく動けなくなり、ここぞとばかりに理解できない2人の関係を間近で理解しようとカズは有休を駆使して高橋を補助するために強引に同居を開始。当初は事あるごとに2人に対してカップルみがある!と子供のようにツッコミを入れまくっていてウザかったカズだが馬鹿だけど根はいい奴で吸収力も良く、徐々に理解していく様子が描かれた。

また高橋の同僚社員がやってきた際は若い方が高橋に気があったのか咲子に対してあからさまに嫌味や意識した感じを醸し出すのをカズは容易に察していたが咲子は全く気付かず後でカズに指摘されても全く意識していなかったとさらりと言ってのけるという恋愛感情が理解できないゆえの鈍感っぷりも発揮。この無自覚は本人が意識している以上に今まで苦労したり、表面では仲の良い女友達に陰では悪口言われたりしてたんじゃないのか…というレベル。さらに今やっているフェア企画が恋愛モノのためイマイチ企画ができず、いくら調べても分からないので向いていないんじゃないかと言い出して、カズにどうせOK出しているのも若い子の恋愛に理解の無いオジサンたちなんだし、大事なのは理解できるかじゃなくて企画に対する思いがこもっているかどうかだとカズの方が真っ当な事を言い出したりと、カズの良さや咲子の至らなさも示されたりも。

ある程度の理解を示し、咲子を理解するためにまだ何かできる事はないかと高橋に聞いて今までやっていたなかった料理に挑んでロールキャベツを完成させるなど努力と理解を深めたカズは改めて咲子に恋愛抜きで家族になるなら自分でも良くないか?と告げ、接触も一切しないと宣言して次回へ続く。カズを強引に動かしてなんだこいつと思わせてから後半にかけてはフォローしつつうまく話を転がしていった印象。咲子側の無自覚なで生み出してきたであろう軋轢を同時に示唆して描いていたのは意図的にバランスを取っているように感じた。

5話

俺で良くないか?というカズに高橋もそれでいいんじゃないかと同意するが、悩んだ咲子は彼氏が出来たとしてルームシェアを破綻にして去ったきりになっていた千鶴(小島藤子)に電話して話を聞いてもらおうとするが電話番号が変えられ、勤務先の美容室も小田原に異動、知らない間に引っ越しもしていた。話を聞きに行くかが最重要案件となった咲子に高橋は明らかにお察しな事態なのでわざわざ傷つきにいくことになるから会うべきではないと答えるが、カズは会ってから考えるべきだと主張。

カズのいい奴っぷりにも感化され人の良さを認めつつあった高橋はカズと話して少し考えを変え、咲子にケガも回復して動けるようになったのとカズへの感謝も兼ねて小田原に小旅行に行くことを提案し、会うかどうかはその時に決めればいいとアドバイス。なお高橋がカズへの印象を変えたのは咲子を理解したいとして当初理解できなかった2人の関係や考えを理解しようと積極的な姿勢を見せた事や高橋が渡した資料や本を付箋つけまくりで読み込む勉強熱心な姿勢に理解しようと必死に努力する姿勢を直に見たためだった事が後に判明した。

結局店の前まで来て迷っているところに千鶴が出てきたので再開してしまい、咲子と2人きりで話しを聞くと彼氏の話は嘘で同居のために準備を進める中で自身の咲子への好意が本当に好きだという事に気づいてしまい苦しくなったためと明かされた。会いに来てくれて嬉しいとか気持ちに整理がついた時には咲子のヘアカットはしたいといった発言もあったものの、一緒にいるとしんどい、忘れようとしている、友達に戻りたいという提案には無理と厳しい胸の内を明かす千鶴とは結局友人に戻る事はできず別れるしかなかった。

高橋やカズにも千鶴との詳細は語らずとも決意した咲子はカズへもきちんとカズに我慢させるのは申し訳ないという事でカズと家族になる事はできないと告げる。粘り理解を示そうとするカズだったが、やはり考えの違いでお互い知らずに傷つけてばかりだった事も恐らく勉強したがゆえに咲子の言おうとしている事も理解する事ができ、自身の感情を何とか抑えて咲子の思いを受け入れ、握手してお別れ。先行帰宅していた高橋の待つ家に戻り、高橋が用意した夕食を食べながら泣き出す咲子にあえて何も言わずに見守る高橋で次回へ続く。

カズが勉強熱心で理解を示そうとしてくるところまで描いたことで当初のカズのなんだこいつ感は払拭。当初明らかに煙たがっていた高橋も「カズくんさん」と呼ぶようになっていい人だと評するほどで咲子との別れのシーンも非常に良い雰囲気だった。またドライに描かれがちな高橋がカズとの会話の時に今の生活は気に入っているから咲子が出ていく事になれば寂しいと本心を見せたところはポイントか。ドライな態度すぎてそもそもこの人他人に興味無さそうなのに何で家族は欲しがるんだろうと思うくらい1人が寂しい感じが出てなかったので…。千鶴の方はここにも友情を越えたラブをぶっこんでくるとは思わなかったが…こっちの方が相手が見るからにしんどそうなのでこっちはもうどうしようもないか…。

6話

これまでの話は年内の話だったらしく、年越しが描かれ、新年早々てんやわんやな展開に。咲子がアロマンティック・アセクシュアルの交流イベントに参加するというくだりでは他の色々な考えの人たちが登場するもほとんど一言ずつくらい。このドラマ最大の疑問にしてしかしそれを言ったらドラマにならないであろう、そもそも1人でも良くね?って人はいないの?という点に対する解答のように、いろいろな考えの人もいて1人でいいという者、パートナーだが普段は1人で必要な時だけ連絡する関係だという者、またハッキリとした分類はしたくないからあえて曖昧にしていて自分の志向を正確に決めていない人などアロマンティック・アセクシュアルの中の多様性がさらっとだけど描かれていたのは良かった。

ただこの件は本当にさらっとで終わってしまい帰宅した咲子を待っていたのは押しかけてきた妹のみのり(北香那)と子供、そして新年早々遊びに来たカズだった。みのりは2人目を妊娠中だったが夫の大輔(アベラヒデノブ)が浮気していたのが判明したとして家を飛び出し、両親には心配をかけられないので黙っていて(ただでさえ咲子との関係が悪化してあれから帰ってないので両親の心労が凄い)姉の咲子を頼って身を寄せに来たのだった。みのりは苛立ちと咲子が夫婦関係の感情を理解できないためにヘタに何か言うとすぐに突っかかってくるなどかなりキツイ態度で咲子もそのたびに黙るしかないという気まずい状況だったがみのりとは初対面だったカズが明るいキャラもあってうまい事中和して緩衝材のような役割に(しかし当日限りで帰宅)。

その後大輔もやってきて泣きながら謝罪するが、子供をダシにするような態度でさらにみのりの怒りを買い高橋が止めたところで破水。通常そこから脇役の出産までのシーンを描く事などあまりしないものだと思うが、出産が始まるまでの痛みで泣き叫んでいるシーンが延々続き、介抱する咲子とこの状況で会話しながらある程度和解するなどなかなか斬新な…。

しかもいざ産まれた後は離婚するからと大輔を会わせず帰宅させようと咲子に託しており、駆け付けたみのりの両親の前で大輔が謝罪した事で自爆(両親に言っていなかったのでこの瞬間に浮気が両親にバレた)、父(小市慢太郎)に帰るように言われて退散せざるを得なくなってしまう始末。母はまだ気まずそうで直接会話は無かったが父は高橋へも2話での無礼を詫び、咲子との再開も喜び、その後は咲子も赤ちゃんを抱いて一時的でもいい空気が漂った。

ただ高橋は何か過去を思い出したようで赤ちゃんを抱かずに去ってしまう。そして咲子もそのことを少し気にしつつ、交流イベントでも話題になった子供をどうするのか問題について接触できない高橋とどう考えていくのかを気にしはじめていて次回へ続く。

2話以来の登場のみのりがとにかくキレまくり叫びまくりでカロリー消費の高い大変な回だった。北香那もこの熱演っぷりだとジャスミン(バイプレイヤーズ)と同じ人には見えないな。

7話

高橋に子供についてや今後について聞こうとするも聞けない咲子は咄嗟に仕事の話をしてしまい高橋から野菜の雑誌を借りる事となり、そこに載っていたイノファームの社長猪塚遥(菊池亜希子)と新たな仕事を開始。しかし猪塚遥の話になると急に高橋の様子がおかしくなり、今度はそっちが気になってしまい…。さらに高橋には昇進の話が舞い込むが、野菜担当を外されるので不満だという。そもそも家から近いのと野菜の仕事ができるので現職についただけでスーパーの店長になる事には興味がないという。今更転職できる年齢でもない(もう40)という事で落ち込んでいた。

普通に相談に乗っているカズがすっかり理解ある見守り人みたいになっている中、遥が咲子の会社の社員と大失恋したという話を聞いていた咲子はついに高橋の事かと聞いてみるとそうだった。祖母の話をされたのでもう亡くなっていると告げると線香だけでもという事でやってくることになり家で高橋と再会する事に。かつてなんとなく付き合っている感じになっていた2人だったが、高橋としては祖母のためという意識が強かったようで、遥の方は盛り上がって結婚話まで持っていくが結局最後は祖母から伝わる婚約指輪を遥にはめる事が出来ずに震えだしてしまい破綻していた。高橋が相手に触れられない接触嫌悪というだけではなく引き返せないところまで来てしまった葛藤や罪悪感も込められていると思われるが細かくは触れられず。再会した遥は地方で野菜を育てる仕事を高橋に提案。自分と付き合った事も含めて祖母や家に縛られているのではないかというが高橋は今の生活を壊したくないと頑ななで最終回へ続く。

これまで描かれなかった高橋が深めに掘り下げられ、祖母のために遥と付き合おうとしたが恋愛感情が無いのをごまかしているうちに戻れないところまでいって結果相手を傷つけてしまった、祖母の遺した家を守る事を優先しすぎていて仕事もそれ+野菜でスーパー店員を選んだので昇進しても嬉しくないが今更転職も出来ないと、一気に祖母と家に縛られている感を出してきた。回想シーンは祖母の生前だが一切姿を見せず(役者を用意していないので遺影も用意されていない)、祖母と高橋の関係は直接示されていないので祖母がどういう人だったのかは不明で、その視聴者には全く人物像が見えない祖母に縛られている感がなんともいえないところではある。咲子の母のように高橋が祖母に分かりやすくプレッシャーをかけられていたのか、そこまでではないが見えない圧を感じていたのか、一切そんな様子は無いが高橋が普通に結婚をする姿を祖母に見せたいが出来ないという孝行できない罪悪感の中で生きていたのが結果自分で自分を縛っていったのかとか。咲子の方は両親と妹と激しくやり合って価値観の違いが大きく示されていただけに、高橋が祖母の縛りから開放されて1歩踏み出して最終回っていう方向にもっていこうとするのはちょっとこれまでとはズレた別の話になってきているような気もした。

8話

高橋があっさり農家転職の話を断ってしまった事にそれでいいのか悩む咲子。カズは以前高橋が今の暮らしを気に入っていると明言していたのを聞いているため、それは今の関係が終わってしまう、咲子と家族じゃなくなってしまうのが嫌だというのも理由にあるのではないかとアドバイス。みのりとの関係も改善し…母ともちゃんと話し、母は今でも普通に結婚してほしいとは思っているがそれ以上に幸せを願っていると話して関係が改善。

意を決して咲子は高橋に本心を聞き、高橋は咲子にはほぼ初めてちゃんと今の生活が楽しい、家族になれないと思っていたが咲子含めてカズやみのりや子供との交流を経てもう1人には戻りたくないと本音を語る。それを踏まえて咲子はそれでもやりたい事をすべきだと言い、この家は気に入ったので自分が済む、高橋は家を出て農家になればいいと提案。別々に済んだら家族ではないのでは?となるも、そんな決まりはないとオールフリーダム宣言をして家族のまま最高の形をとるべきだとのスタンスに高橋も目からうろこで納得。

こうして高橋は農家に転職、咲子は高橋の家に1人暮らしをして、連絡を取りありつつ各自幸せそうな1年後の姿が描かれ、自分の幸せは自分で決めると宣言する咲子のナレーションで締め。1年後の様子では両親やみのりと子供たち、美容師続けている千鶴の姿も1カット登場したが、離婚を突き付けられてすごすご第2子を見る事無く帰宅させられたみのりの夫の姿だけ無くそのままマジで離婚、縁を切られてしまったらしい…。

全部終わっての感想

恋愛しない2人の物語というかつてない意気込みで始まり、いろいろな価値観を提示するようになった昨今のTVもここまで来たか…というような話で興味深くはあったが、慎重に描写しなければいけないからか割と固め、重めのシーンも多く、「ラブではないコメディ」のコメディの部分がどこにあったのかは最後まで良く分からず。強いて言うならカズのキャラクター自体がコメディノリではあったけど。

結末もまあいい形には収まったものの、高橋が縛られている人生から解放されて1歩踏み出す形になる展開はややズレていった感じもあり、いつの間にか踏み出せずに自分の世界にいた高橋を咲子の明るさ前向きさが変えたみたいな別のテーマの話になっていた。高橋は最初に暮らし始める時に祖母が死んで1人は寂しいと言っていたとはいえ、1人で構わない感じの言動行動で一貫していたし、ただ淡々と自身の考えをブログにしているだけで咲子が1度行った交流会のような同じ考えの人たちと交流を深めている様子は無かった。それこそブログを軸にして交流会の主催側になっていてもよさそうなものだがそういう様子は微塵も無く(交流会に来ている人でも1人でいいという人はいたし気の合う友人くらいは作れそうだが)、前半が特に咲子を導く者としてある程度の頼もしさや達観があっただけに、1人はもう嫌だと言い出すということは咲子と出会ってよほど大きく変わったという事なのか、それでもちょっと逸れていった感がある。

しかしなんだか結果的には咲子が家を乗っ取ったとも見えなくもなく(そもそも実家に居づらくなって千鶴と暮らすつもりだったのが破綻して高橋の家に転がり込むような形で住み始めただけに)…。ただ転職前も転職後も高橋より咲子の方が給料高そうだし、資金的な問題でルームシェアしようとしていたわけでもないしな…と若干モヤる終わり方ではあった。まあありとあらゆる考え方に縛られずなんでもありなフリーダム宣言で既存の形にこだわらないという強いメッセージ性は出ていたか…。なんか安全なところ全方位に投げた感じもなくはないが…。

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